アンケート調査結果 - 三重県/人材育成センター

2.ヒアリング調査結果
アンケート調査では見えてこない現状もあるのではないと考え、外国人留学生を採用したことの
ある企業、留学生は採用をしたことはないが外国人技能実習生を受け入れている企業に直接訪
問し、ヒアリングを実施した。下記に内容をまとめた。
ヒアリング事例①
A 社 (三重県北勢部)
業種 業務用食材の製造、卸売り、貿易
海外拠点 米国、カナダ、中国(上海、蘇州)
・外国人留学生の採用は?
― 外国人留学生は毎年採用していますが、長く続かないのが現状であり、頭の痛いところで
あります。現在本社採用で 5 人の中国人留学生を採用しています。ほぼ全員が日本語、
英語、中国語に堪能です。
・外国人留学生を採用した経緯は?
― 中国に会社があるので、毎年積極的に、名古屋のハローワークでの外国人面接会に参加し
ました。たくさん採用してきましたが離職も多く定着しないのが現状であります。
・中国人以外の採用はどうか?
―中国に工場がある為、現在の状況では、中国人を優先して採用しています。中国語と英語が
できれば東南アジア・中近東・オセアニア地域で活躍できます。中国人以外の採用に
関しては、今後の海外戦略次第であります。
・採用で困っていることは?
― 日本本社採用の中国人と現地採用社員との賃金格差があり、バランスが難しい。日本で育成
して現地に赴任しても給与面での問題が発生。
・現在も活躍している人は?
― 四日市大学卒業の中国人留学生を採用し、現在貿易部の管理職となる。日本で定住しており
日本人と変わらない。(住宅購入および永住権取得)
・外国人留学生の印象は?
― 外国人留学生は優秀でテストも日本人に比べよく出来る。家でも勉強している。日本人より
ハングリーで向上心がある。採用の時はずっと日本で働きたいと言うが、何か不満があると
すぐ辞めてしまう。雇用誓約書も関係ない。日本では転職すると不利になるが、彼らはスキ
ルアップに繋がると考えている。
・採用した外国人留学生の業務は?
― 採用した留学生は貿易業務を担当しています。また中国で指導する立場に教育をしています
・今後の海外展開については?
― 現在は中国以外の海外展開は考えていません。あるとしても中国国内を拠点に考えていきた
い。
・今後の外国人の採用については?
― 現在採用する場合は日本人学生と外国人留学生とは職種を分けて採用している。仕事は貿
易部門が中心である。今後の海外戦略として採用は継続していきたい。我々が考えている
以上にその国の文化はわからない所が多いので、留学生を積極的に採用して活用したい。
ヒアリング事例②
B 社 (三重県中勢部)
業種 金物製造・販売
海外拠点 生産拠点 中国(山東省・上海)
・外国人留学生の採用について
― いろんなところが留学生の就職支援の話を持ってくるので混乱する。
採用した留学生は中国人1人が 6 年勤務している。初めて留学生を採用した。主に貿易部門
で仕事をしてもらっている。優秀でよく仕事ができる。
最近日本に留学したこのあるタイ人を1人採用した。タイでの展開も考えているため。
・今後の海外展開については?
― 中国では 2 カ所海外生産拠点をもっているが、今後はものづくりより販売拠点として中国マー
ケットを考えている。東南アジア特にタイ、マレーシア、インドネシアを視野に入れている。今
は先行投資としてやっている。今からやっておけば希望がある。
・外国人留学生の採用方法は?
― 外国人留学生の採用は人の紹介が中心である。
・インターンシップはされているか?
― 今までインターンシップは受け入れてはいないが、昨年は三重大学の 2 年生 40 人が工場見
学に来た。
・外国人が会社に定着してもらうために何か気を付けることは?
― 中国には人種格差がある。何かあると中国人を差別していると言う場合が多い。採用時には
オープンで平等を心がける必要がある。
自己主張が強く、はっきりものを言う。日本の考え方、文化・習慣の違いを埋めるのは難し
い。
今後の外国人の採用は?
― 今後も留学生の採用は考えていく。
中国に常勤する人間をどうするかが課題である。留学生を育てて現地に行かせる方がいい
かと思う。将来的には中国は中国人に任せた方がいいと考えている。
ヒアリング事例③
C 社(三重県中勢部)
業種 自動車部品製造販売
海外拠点 中国(天津・佛山)、タイ
・外国人留学生の採用は?
― 外国人留学生の採用は当社ではこれまで実績がないが、関連会社で鈴鹿国際大学の中国
人留学生を採用したことはある。もともと大卒の新規採用はしていない。
・外国人留学生を採用しない理由は?
― 海外拠点がある中国の天津や広州の出身なら、また本国に戻って働いてくれるかもしれない
が、それ以外の人だとすぐ辞めるかもしれない。それなら日本語が少しできる外国人実習生
のほうがいい。実習生は7、8 年で 100 人ほど受け入れている。残っている人は少ないが現地
で副工場長や部長級の人がいる。
・外国人留学生を採用する場合の問題は?
― 実習生は現在 30 人ほどいるが、その人たちは寮もある。しかし、留学生を一般の採用者と同
様に採用すると社宅がないので自分でアパートなり借りて生活することになる。給料面で厳し
いのではないか。
・海外対応はどうしていますか?
― 海外拠点では現地採用が基本。日本人が 3 人くらい行っている。
タイ、インドネシアあたりも自動車産業の進出に合わせて出ていくことになる。
タイは昨年拠点を作ったので、タイ出身の人であれば採用を考える。技術者に限るわけでは
なく、現地のマネジメントができる人を考えている。
日本語ができて、本社で勤務したことがある人が現地にいれば安心である。