平成27年伸銅協会重大ニュース

平成27年伸銅協会重大ニュース
平成27年12月22日
日本伸銅協会事務局
1.伸銅品需要の低迷により、27年伸銅品生産は2年振りの80万トン割れ
・26年4月の消費税引き上げ以降の国内の自動車・住宅・白物家電等の
需要業界の落ち込みにより製品在庫が積み上り、黄銅棒や銅管等の需要が
年間を通し低迷した。更に、27年春からは中国経済の減速により半導体
・電子機器等の需要が目立って低迷し、銅条・黄銅条等の板条製品も低調
に推移するに至った。
その結果、平成27年の伸銅品生産は、2年振りに80万トンを下回る見
込みである。
2.伸銅品の輸入量が大幅に減少
・27年の伸銅品輸入量は、前年に対し△20%程度(約△1,000T/月)の大
幅な減少で推移した。銅棒以外の主な伸銅品種が前年を大きく下回り、特
に輸入量の多い銅管と黄銅条は△20%を大きく超える減小となった。
両品種共、既にある範囲で国内のエアコンや一般板条のサプライチェーン
に組み込まれており、国内需要の低迷に伴い輸入材も大幅に減少すること
となった模様である。(注記:1 月~10 月の統計による)
3.年間を通した LME 銅価の低迷
・銅価は、近年に比べると年間を通し低位で推移し、総じて$5,000 台から
11月以降は$5,000 を下回るレンジで推移した。中国の銅需要に嘗ての勢
いが見られないうえに低価格が続く原油価格に引っ張られ、ファンド筋の
投機資金の出し入れが相場に影響した。$5,000 割れは、リーマンショック
後の低迷からの回復期に当たる平成21年7月以来7年ぶり。
銅価低迷は、伸銅製品の販売とリサイクル原料の集荷に少なからず影響し
た。
4.CK サンエツの日本伸銅の連結子会社化による黄銅棒業界の集約化推進
・サンエツ金属㈱の親企業である㈱CK サンエツが、日本伸銅㈱の株式を公
開買付けにより取得し連結子会社としたことから、黄銅棒事業の再編と集
約が一層進むこととなった。両社は前年4月に業務提携を発表していた
が、棒・線・めっき線等の事業の提携の効果を更に上げるための方針と
されている。相互の OEM 推進・技術面とマンパワーの交流などによる、
効率化が図られている。
5.三菱電機メテックスの事業清算による青銅板条等の銅合金事業の再編推進
・青銅・洋白等の銅合金板条の主要メーカーであった三菱電機メテックス㈱
が27年上期で板条生産を終了し事業清算の手続きを進めている。当初は
27年3月末の販売、生産の終了が発表されていたが、ユーザー業界への
製品供給の影響を軽減するため半年程度の延長となった。
日系家電メーカーの薄型テレビ生産撤退など電子機器分野の縮小により、
国内のりん青銅等の市場も縮小が目立っていた。
一部設備は他社に引き継がれる等、銅合金板条事業の再編に繋がってい
る。
6.リサイクル原料の調査結果を報告書として取り纏め
・日本伸銅協会原料委員会が中心となり26年度に調査活動を進めてきた
リサイクル原料調査の結果を報告書として取り纏めた。報告書には、調査
内容と共にリサイクル原料の課題・政府等への支援を期待する事項も織り
込まれた。共同調査を進めた(一社)日本メタル経済研究所との共催によ
り、経産省非鉄金属課と関係部課をはじめ、JOGMEC、リサイクル事業
者、製錬・電線・伸銅のリサイクル需要業界の参加による報告会を開催し
、今後のリサイクル原料のあり方などについての意見交換がなされた。
7.活況を呈する日本銅学会の活動と産学連携の推進
・27年11月に開催された日本銅学会講演大会は参加者数・講演件数共に
前年を上回り、特に近年減少傾向が見受けられた産業界側の講演件数は、
過去最高に迫る伸びを見せた。
このように活性化しつつある日本銅学会の活動も踏まえ、学会規約の
改正を行い、将来の学会独立を目指した準備作業が始められようとして
いる。
8.伸銅品ロードマップ策定の順調な進捗による伸銅事業中長期計画の推進
・日本伸銅協会は、独自の活動として将来の伸銅品生産の100万トン台へ
の回復を目指し、27年年間を通しロードマップ(RM)策定の作業を進
めてきた。活動は、板条・棒線・管の3分野別に当該企業の中堅技術者よ
るワーキンググループ(WG)を設置し、大学の研究者の支援も得て長期
ビジョン策定の作業を進め、委員会での検証を行っている。
・RM は28年3月の初版策定を目指し順調に作業が進められており、同報
告書は、(1)産業ビジョン、(2)ビジネスロードマップ、(3)技術ロードマッ
プで構成される予定である。
9.経産省の「金属素材競争力強化プラン」並びに伸銅業のフォローアップ
・本年6月の「金属素材競争力強化プラン」の策定に当たっては、吉田伸銅
協会会長(当時)が委員として検討に参加するなど、協会として積極的に
対応した。
・また「金属素材競争力強化プラン」の伸銅業のフォローアップに取組み、
伸銅業に関する内外のデータ類と板条・管・棒線の事業動向の整理を行っ
ている。
10.伸銅品製造に係る省エネや産業廃棄物等の発生実績の大幅改善
・27年度に取り纏めた伸銅業の26年度の低炭素社会実行計画の実績値
は、エネルギー原単位が 0.482kl/トンとなり目標値の 0.516kl/トンから大
幅な改善を示した。産業廃棄物最終処分量は、目標値 0.18 万トンに対
し実績値は 0.108 万トン,VOC 排出量も目標値(22 年度実績)88 トンを
下回る 72 トンを達成するなど、全ての目標値で大幅改善を達成した。
11.日本銅センターの正会員 ICA の Lea 新会長の来日
・(一社)日本銅センターの正会員で銅需要開拓調査への資金面の支援を
受けている ICA(国際銅協会)の会長が本年9月に交代し、新会長に就任
した Anthony Lea 氏が11月に3年ぶりに来日した。
来日の機会に合わせて国内銅産業の幹部40名を招待した歓迎の懇親会が
開催され、Lea 会長より国内の銅産業発展と銅需要拡大への期待が表明さ
れ、出席者との親交を深めた。また、メディアとの懇談会も開催され、
ICA の構造改革への熱意、銅需要の見通し、銅からの素材代替の状況と銅
需要拡大の重点プロジェクトなどが紹介された。
12.IWCC の中期戦略の策定の協議が進捗中(IWCC Strategy)
・IWCC(世界銅加工業者協議会)は、IWCC Strategy と銘打ち IWCC の
あり方全般を見直しする中期戦略の協議を行っている。検討の範囲は
IWCC の活動全般を対象とし、組織の強化、会員数の増加と会員サービ
ス、各種の会議体のあり方、事務局体制と他の銅関連団体との連携等を検
討中。
日本伸銅協会は、IWCC に加入する日本銅加工業者協議会の事務局を務め
ていることから、こうした協議にも積極的に参画している。
以上