第5学年 国語科学習指導案 平成21年11月13日(金)3校時 活動場所 5年1組教室 指 導 者 亘理町立高屋小学校 教諭 1 単元名 2 単元の目標 ○ 古典作品を音読しよう 千葉 純也 〔竹取物語〕 古典作品「竹取物語」の冒頭部分を音読して,古文のひびきやリズムのよさを味わうとともに, 古典の文章に親しむ。 単元の評価規準 [関心・意欲・態度] ・進んで音読や暗唱し,古典の文章に親しもうとする。 [読むこと] ・「竹取物語」の大体の内容をつかみながら,場面を想像して音読する。 [言語についての知識・理解・技能] ・音読を通して,古文の独特なリズムや語調に慣れ親しむ。 3 単元設定の理由 (1) 単元について 本単元は,国語科新学習指導要領第5学年の内容〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事 項〕に基づいて設定したものである。 (1)「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項につ いて指導する。 ア 伝統的な言語文化に関する事項 (ア) 親しみやすい古文や漢文,近代以降の文語調の文章について,内容の大体を知り,音読 すること。 これを受けて,本単元における基礎・基本を次のようにとらえる。 ○ 音読や暗唱を通して,古文のリズムや語調を味わうこと。 ○ 音読や暗唱を通して,内容の大体をつかみ,古典の文章に親しむこと。 これまでの国語科学習指導要領では,第5学年及び第6学年の内容〔言語活動(1)エ 文語調 の文章に関する事項〕において設定されていたが,今回の改訂のように第1学年から系統的に位 置付けられたものではなかった。そのため,5年生の児童にとっては,古典作品の原文にふれる のは初めてのことになると思われる。 古文には,今は使わない言葉が数多く存在していたり,表現の違いがあったりして,文語調の 文章になじみの薄い児童にとっては読みづらいものである。しかし,はじめは意味がわからなく ても,何度も音読することで文体に慣れていったり,暗記したりすることができるようになると 思われる。そして,繰り返し音読する中で,古文のもつ独特のリズムや美しい語調を感覚的に味 わっていくものと思われる。このようにして「文語の調子に親しむ」ことで,言語感覚を豊かに 育てていくことができると思われる。 教材文として扱う「竹取物語」は,「かぐや姫」として児童に馴染みのある童話作品のもとに なるものであり,その原文を読むことで古典作品への興味をもつきっかけとなるだろう。また, 5年- 1 - 文体も簡潔で,比較的分かりやすく,小学校最初の古典教材として適切なものと考えられる。 〔教材の関連図: 4年 ア 伝統的な言語文化に関する事項について〕 9月 「ことわざ・故事成語」辞典を作ろう 伝国ア(イ) ○ことわざや故事成語に興味をもち,いろいろな語や表現を調べて,自分でも使えるようにする。 4年 1月 「百人一首」のお気に入りの歌をしょうかいしよう 伝国ア(ア) ○和歌のもつ五・七・五・七・七のリズムに加え,古語の美しいひびきを味わうとともに,自分の心に響く 一首を見付ける。 5年 11月 古典作品を音読しよう ―「竹取物語」 【本単元】 伝国ア(ア) ○古典作品「竹取物語」の冒頭部分を音読して,古文のひびきやリズムのよさを味わうとともに,古典の文 章に親しむ。 5年 1月 短歌と俳句を味わおう 伝国ア(ア),イ(カ)(ケ) ○短歌や俳句の形式を知り,季節感を表した表現を読み味わう。 5年 2月 漢詩に親しもう―「春暁」 「絶句(杜甫)」 伝国ア(ア) ○場面の様子や作者の心情を表す表現を味わいながら読み,リズムや美しいひびきを感じながら音読して, 漢詩に親しむ。 (2) 児童の実態 男子6名,女子8名,計14名の学級である。 今回の学習を進めるにあたり,以下の調査・分析を行った。 A)国語科に対する意識調査(調査実施日:平成21年10月13日,調査対象数:14名) B)教研式CRT学力検査 (検査実施日:平成21年 4月21日,調査対象数:14名) 学級全体として,学力的にはやや低いところがあるものの,学習に真面目に取り組むことがで きる児童が多く,与えられた課題を一生懸命解決しようとする姿がみられる。積極的に自分の考 えを発表しようとする児童は固定化してきてしまっている。発表が苦手な子や何を発言すればよ いか分からない子は,声も小さくて聞き取りにくかったり,語尾が明瞭でなかったりすることも ある。 意識調査の結果から,児童の国語学習に対する関心の低さがうかがえる。音読や漢字学習とい った基礎的な学習への抵抗感が,その主な要因となっていることにやや驚く。家庭学習等で継続 的に音読練習や漢字書き取り練習に取り組ませているが,まだまだ力不足であることを児童自身 も感じているのかもしれない。本単元は,文章の質的な負担に比べ,量的な負担は少ない音読で あり,児童の活躍できる場を意図的に設けて,音読や発表への自信を育てていくことが大切であ ると思う。 「読むこと」については,意識調査では読書することを好む児童が多いものの,「みんなの前 で音読する学習」や「文章を正しく読み進める学習」に抵抗を感じている児童の割合がやや高く なっている。このことは,学力検査の「読む能力」の得点率の低さとも関係しているように思わ れる。音読への抵抗感を和らげること,音読を通して物語の内容の大体をつかめるようにするこ とに配慮して指導にあたる必要があると思われる。 童話作品「かぐや姫」については,その大体の内容を知っている児童が多いものの,やはり古 典作品「竹取物語」を知っている児童はほとんどいない。初めての古典の出会いを新鮮なものに するためにも,教科書の挿絵や絵巻物などを提示して視覚的な面からも古典の世界に親しませて 5年- 2 - いきたいと思う。 (3) 指導の着眼 「竹取物語」の冒頭部分は,文体も簡潔で比較的読みやすいものと思われる。古典入門期の今 は,声に出して何回も読ませ,古文のもつ独特なリズムや語調を味わわせたい。同時に,古典を 身近なものとして感じられるように指導していきたい。児童が「昔の言葉遣いは難しい」という 意識をもつことがないよう,適宜「かぐや姫」の話を取り上げ,「それなら知っている」という 安心感をもたせながら,単元のねらいに迫っていきたい。そして,繰り返し音読することで,文 末の形や仮名遣いの違い,現在の言葉遣いと変わらないもの,つながりのあるものなど,児童自 身の気付きを大切に取り上げていくよう心掛けたい。 また,音読による学習を核として授業展開していくことになるので,活動が単調にならないよ う学習形態の工夫を図っていくことも大切であると考える。さらに,学習の成果を発表する場と して音読朝会を活用し,児童の活躍の場としたい。ただし,人前での音読発表に抵抗感をもって いる児童や,初めて接した古典作品でなかなか思うように読むことができない児童も多いに違い ない。発表会に際しては,全文を暗唱できたかどうかだけではなく,古典への気付きを大切にす る励ましや,活動に取り組む姿への賞賛を心掛けていきたい。 4 時 単元の学習指導計画と評価規準(2時間扱い・本時2/2時間) 目 標 1 古典作品「竹取物 語」の冒頭部分を 音読して,古文の ひびきやリズムの 良さを味わうとと もに,古典の文章 に親しむ。 主な学習活動 ○冒頭の原文を声に出して読もう。 1. 「かぐや姫」の話を知っているかどうか発表し合い, 「竹 取物語」がその基になっていることを知る。 主な評価規準と評価方法 関「竹取物語」に関心をもち, 進んで音読しようとする。 (初発の感想,音読) 2.現代語訳を読み,場面の様子を思い描きながら冒頭部 分のあらすじをとらえる。 3.繰り返し教師の範読を聞き,古文のひびきやリズムに 慣れる。 読 内容の大 体をつかみなが ら,音読することができる。 (音読,つぶやき) 4.原文を,一文ずつ,教師の範読に続いて学級全体で音 読し,その後各自で読む。 言 音読練習を繰り返し行い, 課 ○冒頭の原文を音読練習する。 古文のリズムに慣れる。 外 1.原文を繰り返し音読し,暗唱できるか挑戦する。 (音読) 2.原文の視写をする。 (家庭学習の活用,読書タイムの活用) 1 ○古文のリズムや語調を感じながら,音読しよう。 【本時】 関 進んで音読し,古典の文章 1.ペアを作って音読練習をする。 2.グループ発表会を開き,成果を交流する。 に親しもうとする。 (音読練習) 3.音読朝会に向けて,めあてをもつ。 課 ○全校児童への発表会を開く。 (音読朝会11月17日実施予定) 読 古文のリズムや語調を感 外 1.全校児童の前で,音読発表する。 2.各先生方から評価してもらう。 じ取りながら音読する。 (音読,つぶやき) (事後に評価用紙を回収する。) 3.各先生方の評価を知る。 4.自分の発表を振り返り,「竹取物語」の学習を通して気 付いたことや感じたことをまとめる。 (1~3については,短学活を利用して行う。4について は,家庭学習で取り組ませる。) 5年- 3 - 言 学習を通 して,文語の調 子やリズムを感じ取る。 (まとめの感想作文) 5 本時の指導 (1) 本時のねらい ○古文のリズムや語調を感じ取りながら,「竹取物語」の冒頭部分を音読する。 (2) (3) 本時の評価規準 ① 進んで音読し,古典の文章に親しもうとする。(関心・意欲・態度) ② 古文のリズムや語調を感じ取りながら音読する。(読むこと) ③ 音読を通して,古文の独特なリズムや語調を感じる。 (言語についての知識・理解・技能) 本時の指導にあたって ① 導入の工夫を図る。 前時での古文に対する児童の気付きを取り上げ,その中から本時で感じ取らせたい「リズ ム」や「語調」をおさえていく。 ② 活動の見通しをつかませる。 音読朝会での発表をゴールとして,音読練習の意欲を継続させる。 ③ 学習形態の工夫を図る。 音読が学習の中心的な展開となるため,活動が単調にならないようペアを組ませたり,グ ループを作ったりして,互いに聞き合う機会を設ける。 ④ 自己評価,相互評価の工夫を図る。 音読練習や発表の前に,古文の言葉のリズムや語調について気付いたことや感じたことを 発表させ,古典の味わい方をつかませたい。 自己評価,相互評価の規準を児童に考えさせ,音読の工夫を図らせる。 (4) (5) 準備物 教 師・・・絵巻物の印刷物,前時の感想等をまとめた紙,ワークシート 児 童・・・教科書,筆記用具 指導過程 段階 主な学習活動 形態 指導上の留意点(○) (●教師の動き,C:予想される児童の反応) 導 1.前時の学習を振り返る。 一斉 ○古文との出会いについての感想や, 入 言葉遣いの相違など,前時に児童が 気付いたことをまとめておき,黒板 ●数名に音読発表させる。 に貼り出す。 C:(音読) ○課外での音読・暗唱練習の成果を発 ●暗唱できている児童に発表させる。 表させ,その姿を賞賛し励ます。 C:(暗唱) 2.本時の課題を知る。 一斉 「竹取物語」のリズムや昔の言葉遣いの調子に気を付けながら,音読しよう。 ●「古文のリズム」や「昔の言葉遣い ○児童から意見が活発に出ないときに の調子」について,感じたことを発 は,前時の感想や気付きを基に考え 表させる。 させるようにする。 C:一つ一つの文章が短い。 C:「けり」とか「たり」という言葉で ○古文の解釈や文法的な内容を学習す るのではなく,児童の気付きや感覚 5年- 4 - 評価と方法 終わっていて,何となく読みやすい。 を大事にして音読の工夫につなげて C:「ん」と読む言葉が文章の途中にあ いきたい。 って,リズムがよい。 C:今の読み方を違う平仮名の読み方が あってややこしい。 ●音読するときのめあてを決める。 ○自己目標ではなく,全体としての目 C:リズムよく読もう。 標を設定し,自己評価,相互評価の 15 C:抑揚をつけて読もう。 際の観点とする。 分 C:ゆっくり,はっきり読もう。 展 3.繰り返し音読する。 開 一斉 来週の音読朝会に向けて,みんなで考えためあてが達成できるように,繰 り返し音読練習しよう。自信のある子は,暗唱(暗記)にも挑戦してみよう。 ●担任に続いて音読させる。 ○音読練習への目的と見通しをもたせ, C:(音読) 意欲を継続させる。 ●一斉音読。 ○机間巡視をしながら,思うように読 C:(一斉音読) むことができない児童へは,担任の 範読に続いて音読させるようにする。 ●2回,自分で音読させる。 個人 C:(音読) 複数名いる場合は,一カ所に集めて 行う。 ●暗唱テストへの挑戦を促す。 ○暗唱への挑戦は評価シートを提示し (個別課題) て,個別課題とする。 C:(暗唱) ●友達とペアを作って,互いに聞き合 ペア ○音読のめあてを基に意見交換させ, ってアドバイスさせる。 短時間の設定で改善に取り組ませる。 10 分 ●アドバイスを基に,改善を図らせ, 個人 評価① 音読練習に取り組ませる。 ま 4.グループ発表会をする。 と め (音読,暗唱) 集団 練習の成果をグループ内で発表し合いましょう。発表ごとに,次の発表者 は良かったところを伝えてください。 C:(4グループに分かれての発表) ○ペア学習とはメンバーの違うグルー 評価② プ編成をし,発表会をさせる。 (音読,発表) ○良かった点を伝える際にも,学級全 体で設定しためあてを基に伝えるよ う確認してから活動に取り組ませる。 5.学習のまとめ 一斉 今日の学習課題である「古文のリズム」や「昔の言葉遣いの調子」につい て,繰り返し音読してみて気付いたことや感じたことを,この画用紙に書き ましょう。 ●短冊画用紙に書かせ,黒板に掲示す る。 ○貼り出した短冊画用紙を学習課題に 評価③ 沿って整理し,前時の感想からの変 (短冊画用紙) 5年- 5 - C:(短冊画用紙に書く) 化をつかませたい。 C:何回も読んでいるうちに,リズムが ○課題からずれて,個人の学習感想を よくて読みやすくなってきた。 書き出す児童がいるかもしれないが, C:山をつけて(抑揚をつけて)読みや それも認めていくようにする。 すい文章だった。 C:読んでいるうちに,話の内容が分か って暗記までできた。 6.音読朝会に向けて,新たな課題を 知る。 音読朝会で,みんなが発表する「竹取物語」。下の学年の友達にも分かっ てもらえるかな。どうしたら,話の中身が分かってもらえるか考えてみよう。 C:絵本を見せながら発表するのはどう ○伝える対象を意識した発表ができる かな。 よう仕掛ける。児童からの考えが出 C:「かぐや姫」のお話をいっしょにし 一斉 てあげればいいんじゃない。 てこないときには,第1時の自分た ちと「竹取物語」との出会いのこと C:どうしたらいいかなぁ・・・ を想起させる。 C:??? 20 よし,みんなの考えた○○の方法で発表しよう。楽しみだね。 分 音読朝会 成功させよう! C:オー (6)板書計画 竹取物語 気 付き * 前時 の 感 想 課題 5年- 6 - リズムや昔の言葉遣いの (別紙資料) 調子に気を付けながら, 音 読 で き る よう に し よ う 。 めあ て (学級全体で 設定したもの) 学 習 のま と め 音 読朝 会 成 功 さ せよう ! (7)ワークシート はじめの感想 【音読から】 ○昔の言葉づかい(今とはちがう言葉づかい)で書かれていて,読むのがむずかしかった。 ○昔の言葉づかいで書いてあって,おもしろかった。 ○音読するときのリズム感・発音がむずかしい。 ○音読するときのリズム感が必要だと思った。 ○読んでいるうちに,少しだけ昔の言葉が分かってきた。 【言葉から】 ○昔と今では,言葉づかいがちがっていておどろいた。 ○昔の言葉と今の言葉では,同じところがあった。 ○初めて聞いた言葉や聞いたことのある言葉があって,おもしろかった。 ○「ありけり」,「まじりて」,「光りたり」の言葉がおもしろい。 ○「けり」や「たり」の言葉が多かった。 ○「よろづのこと」の意味が,よく分からなかった。 ○「よろづのことに使ひけり。」 「讃岐の造となむいひける。」 「いとうつくしうてゐたり。」 は,リズムよく読むといいような気がする。 【思いから】 ○「竹取物語」が「かぐや姫」のもとになっているなんておどろいた。 ○「竹取物語」の続きの話を読んでみたい。 ○昔の言葉づかいで書かれた,ちがう古典作品を読んでみたい。
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