送電線路の電圧降下と電力損失 1. 電 圧 降 下 送 ・ 受 電 端 の 電 圧 差 を 求 め る た め に は , 1線 当 た り の 電 圧 降 下 を 求 め , 三 相 3線 式 は 倍 すればよい. ES 送電端 R I 受電端 X ES Er RIcosθ XI θ Er RIθ XIsinθ θ I 1 線 (1相 )当 た り の 電 圧 降 下 e は , e = E s - E r ≒ R I cosθ + X I sinθ 電圧降下υは,υ=(RIcosθ+XIsinθ)= R× P Vr +X× Q Vr = RP+XQ Vr [V] R , X :線 路 の 電 線 1条 当 た り の 抵 抗 及 び リ ア ク タ ン ス [Ω ] I :負 荷 電 流 (線 路 電 流 )[A ], V r :受 電 端 電 圧 [kV], cosθ :負 荷 力 率 P :負 荷 の 有 効 電 力 [kW], Q :負 荷 の 無 効 電 力 [kvar] S :負 荷 の 皮 相 電 力 [kVA] 2.電 圧 降 下 率 と 電 圧 変 動 率 (1) 電圧降下率= 送電端電圧-受電端電圧 (2) 電圧変動率= 受電端電圧 ×100[%] 無負荷時の受電端電圧-全負荷時の受電端電圧 全負荷時の受電端電圧 ×100[%] 3. 電 力 損 失 抵 抗 R [Ω ]に 電 流 I [A ]が 流 れ る と , I 2 R [W ]の 電 力 と な る . こ れ が 電 線 路 な ど で 発 生すると熱に変わり電力損失となる. 電 力 損 失 は 電 線 3条 分 で あ る か ら , =3I2R=3 2 2 P R= S P R= Vrcosθ Vr Vrcosθ R :線 路 の 電 線 1条 当 た り の 抵 抗 [Ω ] R I R Vr VrI 2 R [W] R Vr 三相 P 負荷 cosθ I I :負 荷 電 流 (線 路 電 流 )[A ] V r :受 電 端 電 圧 [kV] P P :負 荷 の 有 効 電 力 [kW], cosθ :負 荷 力 率 Q :負 荷 の 無 効 電 力 [kvar] θ S :負 荷 の 皮 相 電 力 [kVA] 4. 電 力 損 失 率 と 送 電 損 失 率 電力損失 (1) 電力損失率= ×100 [%] 受電電力 (2) 送電損失率= 電力損失 送電端電力 ×100= 電力損失 受電電力+電力損失 ×100 [%] S= P cosθ sinθ Q=P cosθ 送配電線路の短絡電流,地絡電流の計算 1 短絡電流の計算 (1) オ ー ム 法 で の 短 絡 電 流 の 求 め 方 短絡電流IS= (R1+R2)2+(X1+X2)2 100 %Z Pn [A] In= V X2 R2 [A] 短絡 V 変圧器 (2) % Z 法 で の 短 絡 電 流 の 求 め 方 短絡電流IS=In× X1 R1 V V/ 線路 [A] 配電用 変電所 %Z:短絡点から電源側を見た合成%イ 高圧配電線 受電点 短絡 S/S ン ピ ー ダ ン ス [% ] す べ て 基 準 容 量 P nに 換 算 し た 値 %Z2 %Z1 I n : 基 準 電 流 [A ] %Z=%Z1+%Z2 V : 短 絡 点 の 線 間 電 圧 [V ] *オーム値からパーセント値への変換 %Z= 2 PnZ 2 V %R= ×100[%] PnR 2 V %X= ×100[%] PnX V2 ×100[%] 1線 地 絡 電 流 の 計 算 地絡電流は,テブナンの定理を使って,接地前に現れる対地電圧を,接地点から見た合 成インピーダンスで除して求められる. (1) 非 接 地 系 統 V/ 1線地絡電流Ig= V 2 1 Rg2+ C V C V Rg C V C C C 3ωC Ig Rg 地絡時の等価回路 Ig * 完 全 地 絡 (R g = 0)時 の 地 絡 電 流 は , 1線地絡電流Ig=3ωC× V C:1線の対地静電容量 (2) 抵 抗 接 地 系 統 1線地絡電流Ig= V/ V Rn+Rg V Rg V Rn V Rn Rg Ig 地絡時の等価回路 (3) 消 弧 リ ア ク ト ル 接 地 系 統 1線地絡電流Ig= 3ωC- 1 ωL × V V L I g = 0と な る の は , L= 1 3ω2C V L 3C V C CC Ig 地絡時の等価回路 V 架空送電線路の構成と各種障害対策 1 架空送電線路の構成 架空地線 (1) 支 持 物 : 鉄 塔 , 鉄 柱 , 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 柱 , 木 柱 θ:遮へい角 (2) 鉄 塔 の 構 成 θ ・ 架 空 地 線 :避 雷 , 電 磁 誘 導 障 害 の 軽 減 耐霧がいし ・ ア ー ク ホ ー ン :雷 電 流 か ら の が い し 保 護 アーマロッド オフセット ・ が い し :懸 垂 が い し , ピ ン が い し , 長 幹 が い し , アークホーン 電線 ・ ア ー マ ロ ッ ド :電 線 の 素 線 切 れ 防 止 ・ 埋 設 地 線 :塔 脚 接 地 抵 抗 の 低 減 , 雷 電 流 に よ る 逆 フ ラ ッ シ オーバの防止 (3) 線 路 ・ ダ ン パ :電 線 の 振 動 防 止 埋設地線 ・ ス ペ ー サ :多 導 体 線 路 の 相 電 線 相 互 の 離 隔 維 持 2 電線の振動と防止対策 振動の種類 微風振動 振動発生原因・内容 電 線 と 直 角 方 向 に 微 風 が 吹 く と , 電 線 の 背 に う ず (カ 防止対策 ダンパ,ア-マロッド ル マ ン う ず )が 生 じ て 電 線 が 鉛 直 方 向 に 振 動 を 起 こ す 振 動. ギャロッピング 電線に氷雪が付着して,その断面が非対称になり, これに風が当たると揚力が発生し振動が生じる. スリ-トジャンプ 積雪の落下による電線の跳ね上がりによる振動. ダンパ,スペ-サ 難着雪リング 電線の上下配列のオフ セット サブスパン振動 多 導体のスペーサ間に風雪によるねじれ現象による振 スペーサの適正配置 動. 風圧 3 風による風圧を受けて,電線が横振れする. V吊りがいし装置 塩害対策と着氷雪対策 (1) 塩 害 対 策 ①がいしの個数を増加する.②耐張吊りにし,又は長幹がいし,スモッグがいしを使用 する.③がいしにシリコーンを塗布する.④定期的に洗浄を行う. (2) 着 氷 雪 対 策 ①鉄塔など支持物の機械的強度を大きくする.②電線に難着雪リングを取り付ける. ③電線にねじれ防止用ダンパを取り付ける.④電線に大電流を流し,ジュール熱で着氷 雪を溶かす. 4 雷害対策 (1) 架 空 地 線 の 設 置 … 支 持 物 の 頂 部 に 設 け る 接 地 導 体 で , 架 空 電 線 へ の 雷 の 直 撃 か ら の 遮 へい,誘導雷の大きさの軽減,電磁誘導障害の軽減効果がある.遮へい角は小さいほど 効 果 が 大 き い (1条 → 2条 ). (2) 埋 設 地 線 を 設 置 … 鉄 塔 の 接 地 抵 抗 を 低 減 し , 鉄 塔 や 架 空 地 線 か ら 電 線 へ の 逆 フ ラ ッ シ オ ー バ を 防 止 す る . 地 下 0.5mの 深 さ に 30m程 度 の 長 さ の も の を 埋 設 . (3) 避 雷 器 の 施 設 … 異 常 電 圧 を 大 地 に 放 流 さ せ て , 絶 縁 協 調 を は か る . (4) 不 平 衡 絶 縁 の 採 用 … 2回 線 同 時 雷 害 事 故 の 発 生 を 回 避 す る . (5) 高 速 度 再 閉 路 方 式 の 採 用 … 遮 断 速 度 を 向 上 さ せ る .
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