パワーアンプ出力段の電力損失と安全動作領域 リニアアンプ出力段で過大な電力が発生して温度上昇が限度を超えるとトランジスタが破壊す ることがあります。動作が安全であるか否かは安全動作領域(SOA - Safe Operating Area)で規定さ れます。この資料ではコイルやコンデンサ(リアクタンス)負荷にスポットを当てて SOA の考え 方とこれを利用した設計法をまとめます。 1, MOSFET 出力段の電力損失 は最大となります。 ±両極性出力時には同図上側の Nch MOSFET が正の半サイクルを、下側の Pch MOSFET が負の 半サイクルをそれぞれ分担します。図 2 は抵抗負 荷時に発生する電力損失の例です。各々の損失 発生は半サイクルのみで残りの半サイクルではほ とんど発生しません。 図 1 は MOSFET コンプリメンタリ出力段です。トラ ンジスタには電源電圧と出力電圧との差の電圧が 印加されます。したがって出力最小時にこの電圧 +出力側 2, 模擬回路によるシミュレーション 図 2 は PSPICE シミュレーションの結果です。対象 とした回路、および、ノードの割り振りは図 3 のとおり です。以降の解析はこの回路でおこないます。構 成は(OP アンプの電圧増幅段)プラス(電力増幅 段)となっています。OP アンプは理想 OP アンプ(電 圧制御型電圧源)とし、アンプ全体の電圧ゲインは 10 倍に設定しました。インピーダンス一定のリアク タンス負荷で力率を変えての実測は困難です。シ ミュレーションは現象の理解に役立ちます。 電流 −出力側 電流 図1 MOSFET SEPP出力段 +出力側 −出力側 +出力側 −出力側 電力 図2 抵抗負荷時 出力段の電力損失 時間 1 2000. 3 S. Hashizume 100 ― + 図3 SPICEシミュレーション用回路 3, 抵抗負荷時出力段の最大電力 す。最大電力が発生するのは内部抵抗が負荷抵抗 と等しい場合であり電源電圧を Vs とするとアンプの 損失 PD は PD= Vs2 / 4R となります。この関係は直流だけではなく交流でも 成り立ちます。図 5 には正弦波出力時の出力電圧 をX軸に、そして、+側出力 MOSFET 損失をY軸に プロットしました。電源電圧 24 Vの 1/2 の 12V 出力時 に電力は最大になります。 リニアアンプは図 4 のように内部抵抗が入力電圧 でコントロールされる可変抵抗とみなせます。アンプ には入力電力と出力電力との差の電力が発生しま 4, 負荷と力率 コイルやコンデンサのようなリアクタンス負荷での 損失 P(単位 W)は次のように表せます。cosθは力率 と呼ばれます。(θは位相角) P = E I cosθ E I は皮相電力といわれ単位は VA です。この関係 から力率が 0.8 の 図4 簡略化したリニアアンプ + 側出力段電力 電 源 電 圧 24V の 半 分 の 12V 出 力 時に損失は最大 になる 出力電圧 図5 抵抗負荷時出力電圧 対 出力段損失 2 負荷に 100W を出力するには 100 / 0.8 = 125(VA) のトランスが必要と計算できます。「力率が低くなると 無効電力が増える」のように電力関連で力率という 言葉を耳にするようになりました。後述のように力率 の低いコイル(モータ)やコンデンサの負荷はアン プにとっても厳しい負荷です。 図7 コンデンサ 負荷時動作 5, リアクタンス負荷 リアクタンス負荷は同一インピーダンスの抵抗負 荷に較べてアンプの損失は大きくなります。リアクタ ンスでは本質的に電力消費はないのでアンプの分 担分が増えます。 インダクタンス負荷、あるいはコンデンサ負荷で負 担が大きくなるのは回路動作面から次のように説明 できます。 です。 R(Ω) 10 7.78 3.4 1 インダクタンス負荷 (図 6) プラス電圧出力時の負荷電圧はほぼ VSP になりま す。この時に入力にマイナス電圧出力信号が急に 加えられたとします。電流は信号逆転前の電流が 流れつづけようとするのでマイナス出力側トランジ スタには(VSN + VSP)の電圧が加わります。±同一 電圧の電源ならばインピーダンスが同一の抵抗負 荷に較べておよそ 2 倍の電圧が瞬時値としてトラン ジスタに加わることになります。 L(mH) 0.01 1 1.5 1.585 Z(Ω) 10 10 10 10 cosθ 0.999 0.78 0.34 0.10 図 8(a)∼ 11(a)に出力段トランジスタのドレイン・ソ ース間電圧、ドレイン電流、そして、電力をシミュレー ションでプロットしました。ドレイン電流は見やすいよ うに 10 倍しました。 アンプが安全動作領域内で動作しているかを実 働状態で確認する方法としてリサージュ波形の観 測があります。これは X 軸を出力トランジスタのドレ イン・ソース(D-S)間電圧、Y 軸をドレイン電流として 2 次元表示させるものです。前記 4 つの場合のシミ ュレーションによるリサージュ波形が図 8(b)∼ 11(b) です。これらの波形からインピーダンスが同じ負荷 でも力率が低くほど派生電力が大きくトランジスタ の負担が重いことがわかります。 6, 正弦波出力時リアクタンス負荷での損失計算 電源電圧± Vs、負荷インピーダンス ZL で正弦波 出力時出力段損失の平均値 PD は次のように計算 できます。(Appendix 3 参照)損失は ZL、 cosθ, そして電源電圧で決まり、出力電圧には依存しませ ん。これは出力できる電圧範囲内での最大損失を 計算しているからです。 図6 インダクタンス負荷時動作 コンデン サ負荷 (図 7) マイナス電圧出力時には負荷のコンデンサは VSN に充電されます。プラス電圧出力信号が急に入 力された時点で正出力側トランジスタには (VSN + VSP)の電圧が印加されます。インダクタンス 負荷と同じく抵抗負荷比約 2 倍の電圧が加わること になります。 位相角 50 ゜以下 PD = 2 Vs2 /(π2 ZL cosθ) --- ① 位相角 50 ゜以上 PD = Vs2 ×( 4 /π− cosθ)/ 2 ZL ---② これにアイドリング電流による損失を加えると出力 段の全損失となります。①②式は B 級アンプの損失 計算式です。 次にインピーダンスが同じで力率の異なる 4 種の 負荷に対して正弦波出力時に出力段プラス側トラ ンジスタで発生する電力を求めてみます。インピー ダンスは 4 種とも 1kHz で 10Ω、力率は 0.1 から約 1 3 D-S間電圧 図8(a) 出力段D-S間電圧 電流、電力損失 電流 負荷 10Ω+0.01mH (力率 0.999) 電力 ドレイン電流 図8(b) 図8(a)に対する リサージュ波形 負荷 10Ω+0.01mH (力率 0.999) D-S間電圧 D-S間電圧 図9(a) 出力段D-S間電圧 電流、電力損失 電力 電流 負荷 7.78Ω+1mH (力率 0.78) 4 ドレイン電流 図9(b) 図9(a)に対する リサージュ波形 負荷 7.78Ω+1mH (力率 0.78) D-S間電圧 電力 D-S間電圧 図10(a) 出力段D-S間電圧 電流、電力損失 負荷 3.4Ω+1.5mH (力率 0.34) 電流 ドレイン電流 図10(b) 図10(a)に対する リサージュ波形 負荷 3.4Ω+1.5mH (力率 0.34) D-S間電圧 5 電力 D-S間電圧 図11(a) 出力段D-S間電圧 電流、電力損失 電流 負荷 1Ω+1.585mH (力率 0.10) ドレイン電流 図11(b) 図11(a)に対する リサージュ波形 負荷 1Ω+1.585mH (力率 0.10) D-S間電圧 瞬時損失 P は次式で計算できます。(参考資料 1) る出力電圧を④と⑤式、そして、ピーク電力を⑥と ③式で計算してみます。④と⑤式の計算では Vp = Vs×0.9 としました。また、SPICE シミュレーション でもピーク電力を求めました。③から⑥式の計算 より SPICE シミュレーションの方が理論計算として の精度は高いと考えます。 P = Ep cosωt / ZL ×〔Vs − Ep cos(ωt +θ)] --- ③ Ep は損失が最大となる出力電圧であり Ep = 2 Vs /π cosθ cosθ> 2 Vs /(π Vp)の場合 Ep = Vp cosθ< 2 Vs /(π Vp)の場合 --- ④ 電力最大発生時 出力電圧 (V) ① 15.3 ② 19.6 ③ 21.6 ④ 21.6 --- ⑤ です。 Vp は Vs から MOSFET やソース抵抗での 電圧降下分を差し引いたアンプの出力可能電圧 です。Vp=Vs と仮定すると損失ピークは ピーク損失 (W) ③⑥式 SPICE 14.6 13.8 36.5 29.4 59.5 50.9 70.4 59.5 Vs=±24V、f=1,000Hz 共通 ① 10Ω+ 0.01mH (cosθ=0.999) ② 7.78Ω+ 1mH (cosθ=0.78) ③ 3.4Ω+ 1.5mH (cosθ=0.34) ④1Ω+ 1.585mH (cosθ=0.10) ωt = ( π―θ)/ 3 --- ⑥ で発生します。 安全動作領域の設計ではピーク電力を知らね ばなりません。先の 4 種の負荷で電力が最大とな 6 イナス対称動作ではマイナス側出力は半周期ずれ たほぼ同じ波形となります。 電源電圧、負荷インピーダンス、そして、力率から 算出したピーク損失は大きめですが安全動作領域 を検討する目安にはなりそうです。 7, 電力損失の実測 演算機能をもつディジタルオシロスコープで電流 と電圧を測定すれば電力を表示できます。図 12 の 回路で電力損失を実測しました。電源電圧 Vs は± 170V、出力は 400Hz AC100V、そして、負荷は 98.5Ωです。 電圧 電流 1番端子 -0 電流 電圧 3番端子 170V 図12 出力段の 電圧、電流測定 電力 -0 98.5Ω 図14 プラス側出力段電圧、電流、電力 出力 !00Vrms 400Hz (400Hz AC100V出力、負荷:98.5Ω) 水平軸: 500μs/div 出力電圧:100V/div、電流:0.5A/div、電力:256W/div 170V 図 14 の 演 算 結 果 は 出 力 段 損 失 は ピ ー ク で 71.5W、平均で 27.5W です。マイナス側と合わせる た出力段全体での平均損失はこの倍の 55W となり ます。この実測値に対して計算値は次のとおりです 。 電流と電圧とを測定してこれらの積である電力と を表示したのが図 13 です。電流測定にはテクトロニ クス製電流プローブを使いました。 電力 -0 (電源の出力電力)= 2×170×(141 / 98.5 /π) = 154.9 (W) (負荷の電力) = 1002 / 98.5 = 101.5 (W) 出力段損失は電源の出力電力と負荷の電力との差な ので 53.4 (W)となります。実測値と計算値との対応は 良好です.。 8, SOA 定格 電流、電圧 パワー MOSFET の SOA 定格はどのようにして決 められているのでしょうか? IRFP22N50A (500V 22A 0.23ΩTO-247 外形品)を例に説明します。この 製品の SOA 定格が図 15 です。横軸は出力段ドレイ ン・ソース間に印加される電圧であり、電源電圧と 出力電圧との差です。縦軸はドレイン電流であり、 定格はパルス幅をパラメータとして両対数で表され ています。 定格は基本的に電流(パルス電流定格の 88A)、 電圧(500V)、電力で制限され、さらにオン抵抗によ る制限(最大オン抵抗で決まる以上の電圧は発生 しない)が加わっています。電力制限はチップの温 度を定格内に収めるように決められています。この 製品の最高 Tj は 150℃のところ Tc=25℃が条件の SOA 定格なので許容上昇分 ∆Tj は 125℃です。図 15 で斜めに引かれた等電力線は図 16 の過渡熱抵 抗 Rth (Single Pulse)を使いパルス幅毎に次のよう 図13 出力電圧、電流、電力 (400Hz AC100V出力、負荷:98.5Ω) 水平軸:500μs/div 出力電圧:50V/div、電流:0.5A/div、電力:128W/div オシロスコープで演算された電力のピークは 205W、そして、平均は 101.8W です。これに対して計 算 で は ピ ー ク は 141(V)×141(V) / 98.5(Ω)か ら 202W、また、平均は 100(V)×100)V)/ 98.5(Ω)から 100.5W となります。これらの値を比較すると演算機 能は信用できそうです。 次に同条件で出力段の電力損失を測定します。 実測での電圧と電流の測定ポイントは図 12 の通り です。プラス出力側測定結果が図 14 です。プラスマ 7 。起動時にかかる負担は 1 ヶ月に 1 度だけですがこ れも「繰り返し」現象と考えてください。 オン抵抗による制限 定格グラフは Tc = 25゚C のものです。実使用時に は Tc が 25゚C より上がるのが普通です。ディレーティ ングは次のようにします。この場合の定格電力は (Tjmax―Tc)/(Tjmax − 25)倍とします。この関係 をグラフ化したのが図 17 です。 電流の制限 電力の制限 電圧の制限 (例)Tjmax=150℃で 100W の定格は Tc=85℃では いくらになるか? 100×(150 − 85)/(150 − 25)= 52(W) Tcが上がれば 時間 10ms ∆Tj Rth (℃/W) 定格電力 (W) 1ms 100µs 定格電力 図15 IRFP22N50Aの安全動作領域 10µs SOAは下がる 125℃ 0.13 961 0.044 2,840 0.014 8,928 0.004 Tjmax 25゜C ケース温度 31.250 図17 ケース温度上昇時のディレーティング に計算されたものです。 定格とはこれ以上の負担をかけると壊れるという 素子側の限界であり、これには繰り返し定格と非繰 り返し定格とがあります、MOSFET の SOA 定格は繰 り返し定格です。バイポーラトランジスタには 220゚C 程度の最高温度を想定した非繰り返し定格が規定 された製品もあります。MOSFET 回路では非繰り返 しと考えられる動作でも繰り返し定格で設計してく ださい。極端な例ですがモータを 1 ヶ月に 1 度だけ 起動停止させ、残りの期間は連続運転するとします 9, 出力段 SOA の設計 実動作時のリサージュ波形全体が定格グラフ内 に収まるかどうかは SOA 定格の有力な検証法です 。(図 18) 机上の SOA 設計法をまとめます。素子側の SOA 定格は方形波電力パルスを対象にしています。動 作条件(周波数、負荷インピーダンス、力率)での計 算から等価方形波パルスを想定して定格と比較し 図16 IRFP22N50Aの安全動作領域 8 ドレイン電流 前記 72.8W の 2 倍を加算して全損失は 151.6W と なります。 (3) ケース温度 Tc 151.8W と Rthca の 0.35゚C/W をかけてケース温 度上昇は 28゚C となります。最高周囲温度は 40゚C ですから最高ケース温度は 68゚C です。 (4) 方形波電力パルス等価パルス幅と Tc = 68゚C での SOA 定格 等価パルス幅は半周期のさらに 1/2 とします。 1kHz なので 0.25ms となります。SOA 定格例 1 の最 小パルス幅は 10ms でこれ以下は同一値とします。 10ms、120V での定格電力は図 19 から Tc = 25゚C で 3,000W (120×25) で す。Tc = 68゚ C で は (150―68)/(150―25)倍して 1.968W が定格電力と なります。 等価パルス幅が例えば 25ms な場合は規定され ている複数のパルス幅から補間して下さい。 (5) SOA 定格内かの確認 実測、あるいは計算で求めたピーク電力が定格 内かどうかを確認します。ピーク電力の計算値は ③式 と ⑥式 か ら 177W となり ます。こ れ は定 格 1.968W を大きく下回り安全動作領域についての 問題はないことになります。 計算値は実際より大きな数字となるために計算 上は定格を上回っても実動作では問題のないこと もあります。 (6) 電力実測で等価パルス幅の扱い 実測した電力波形を基にして SOA 計算をしよう として困るのは波形が方形波とは似ても似つかな いことです。ピーク値が等しい方形波に置き換える のにステップ(4)では電力波形は図 20 のような波 形になるので単純に 1/2 として扱いました。これは 等価パルス幅についてはあまり厳密に考えても意 味がないから です。もともと SOA 定格は 1ms、 10ms,100ms,DC のように粗い時間ステップでしか規 定されていないません。半値幅を等価パルス幅と みなせば実用上十分です。(図 20) デバイスのSOA定格 実測リサージュ波形 ドレイン・ソース間電圧 図18 リサージュ波形によるSOA定格の検証 ます。手順は次の通りです。 a, 平均電力損失を知る b, Tc を計算する c, 方形波電力としてのピーク値と幅を特定する d, Tc とパルス幅での素子側定格を知る e, c と d とを比較する *a,b のかわりに Tc を実測する方法もあります。 (実例) * SOA 定格例 (図 19)の製品で電源電圧が± 60V で 1kHz 正弦波出力、最高周囲温度は 40゚C *負荷 10Ωと 2mH との直列 * フィン熱抵抗は接触熱抵抗を含み 0.35゚C/W * 最大出力振幅は電源電圧マイナス 5V の 55V と する。 (1) インピーダンス、力率、位相角 (1kHz) インピーダンス 16.1Ω 力率 0.623 位相角 51.5 ゜ (2) 平均損失 位相角が 50゚以上なので②式から 72.8W が求ま ります。アイドリング電流が 50mA とするとこれにより 発生する損失は 60(V)×2×0.05 の 6W です。これに 図20 半値幅方形波電力で近似する 図19 SOA 定格例1 9 Appendix 1 PSPICE 用 CIRCUIT ファイル 側を正弦波出力のパワーアンプでドライブしまし た。1 次側電圧と電流とのリサージュ波形が図 21 と 22 です。 *POWER AMP SOA1k-0 3.4ohm 1.5mH COS 0.339 VIN 100 0 SIN(0V 2V 1kHz) .TRAN 1u 14ms 12ms .OPTIONS RELTOL=.00002 *---load ----------------------------R0 101 107 3.4 L0 107 0 1.5mH *------------------------------------R1 100 2 10k R2 2 101 100k R4 110 102 10k R5 103 120 10k R6 5 106 330 RSN 104 101 0.47 RSP 101 105 0.47 *---active device--------------------EOPA 5 0 2 0 100k D1 102 106 D1S1588 D2 106 103 D1S1588 *---power supply---------------------VSP 110 0 +24V VSN 120 0 -24V *---MOSFET---------------------------MN1 110 102 104 104 MH1 MP1 120 103 105 105 MH2 *----------------------------------.MODEL MH1 NMOS(Level=3 Gamma=0 Delta=0 + Eta=0 Theta=0 Kappa=0 Vmax=0 + Xj=0 Tox=100n Uo=600 Phi=.6 + Kp=20.42u W=17m L=2u Rs=20m Vto=.8 + Rd=.3953 Rds=1MEG Cbd=1.441n Pb=.8 + Mj=.5 Fc=.5 Cgso=58.89n + Cgdo=27.26n Rg=12.78 Is=10f N=1 Rb=1m) *------------------------------------.MODEL MH2 PMOS(Level=3 Gamma=0 Delta=0 + Eta=0 Theta=0 Kappa=0 Vmax=0 + Xj=0 Tox=100n Uo=300 Phi=.6 + Kp=10.21u W=34m L=2u Rs=20m Vto=-.8 + Rd=.5453 Rds=1MEG Cbd=1.552n Pb=.8 + Mj=.5 Fc=.5 Cgso=29.56n + Cgdo=13.63n Rg=21.16 Is=10f N=1 Rb=1m) *----------------------------------.MODEL D1S1588 D(Is=4.507f Rs=1.025 + Ikf=8.32m N=1 Xti=3 Eg=1.11 Cjo=1p M=.3333 + Vj=.75 Fc=.5 Isr=5.801n Nr=2 + Bv=100 Ibv=100u Tt=2.885n) *------------------------------------.PROBE .END a b 図21 2次側ショート時のリサージュ波形 f=50Hz、X軸:電圧 1V/div、Y軸:電流:1A/div 図22 2次側オープン時のリサージュ波形 f=400Hz、X軸:電圧 50V/div、Y軸:電流:20mA/div リサージュ波形から位相角θは次のように計算 できます。 θ= sin-1(a / b) 電圧、電流、位相角、そして、周波数から求めた R と L は次の通りです。 Appendix 2 位相角、インピーダンスの実測 ト ランスのイン ダクタンスと等価直列抵抗 は LCZ メータで測れるでしょうか?答えはノーです 。トランスにはヒステリシスがあり、励磁電流も流れ るからです。しかし、R と L との値がわからないと先 の SOA 関連の計算ができません。トランスに正弦 波電力を印加して電圧と電流のリサージュ波形 から R と L を求めた例を紹介します。測定したの は タ ン ゴ MG300B 型 電 源 ト ラ ン ス(1 次 側 AC100V、2 次側 AC50V―0V―50V 5A)です。 2 次側はショート、オープンの 2 つの状態で 1 次 (サンプル MG300B 型電源トランス) R L 2 次側ショート 0.74Ω 0.57mH 2 次側オープン 2.2kΩ 400mH 同様にして 3VA のトランスは 2 次側をショートし て測定したところ、こちらはほぼ純抵抗でした。ま たコンデンサも原理的にはこの方法で測定でき 10 ます。コンデンサでは既知インダクタンスとの共振 を利用した測定もできます。 Vp = kVs(0 ≤ k ≤ 1)とおくと Ip = Appendix 3 電力損失の計算式について リアクタンス負荷時正弦波出力の出力段最大 損失の計算式①と②は次のようにして導出でき ます。 ZL I kVs Is = P = π πZ L PD = Ps − PL = 2VsIs − ± Vs Vp ZL Ps PD PL Ip Is cosθ 電源電圧 出力電圧のピーク値 負荷インピーダンス 電源の出力電力 出力段消費電力 負荷の電力(有効電力) 出力電流のピーク値 出力電流(電源)の平均値 負荷力率 kV =2Vs = (1) kVs πZ L ZL πcosθ (2) cosθ kVs kZ L cosθ 2 2 ≤ 1 (θ≤ 50゚ )のとき 2 のときに最大になる ので πcosθ 2 2Vs 2 π Z L cosθ 2 πcosθ ≥ 1 (θ≥ 50゚ ) のとき PDは k = 1 のときに最大になる ので 2 Vs 4 PD = − cosθ 2 Z L π V Is Ip 2 2 2 PD = V 2 4 2 k − cosθk 2 Z L π Vs PDは k = Is − Vp Ip Vp Vs -0 時間 Appendix 4 負荷を短絡させたら? 故意、または、過失で負荷を短絡させると出力段 が壊れることがあります。先にシミュレーションした のと同等の回路で負荷短絡(0.1Ωと 0.01mH との 直列負荷)時の結果は図 24 のようになります。出 力段にとっては厳しい状態になっています。 Appendix 5 コンデンサ負荷 先にリアクタンス負荷例としてインダクタンス負荷 を検討しました。インピーダンス一定で力率の異な る 4 種のコンデンサ負荷でのシミュレーション結果 だけを紹介します。安全動作領域面での厳しさはイ ンダクタンス負荷と同等です。(図 25 ∼ 29)インダク タンス負荷では軌跡が時計回りなのに対して反時 計回りになります。 Vs Θ 図23 出力段電力損失の計算 11 電力 電流 図24 出力段D-S間電圧、電流、電力損失 負荷短絡時 (0.1Ω+0.01mH) DS間電圧 時間 図25 リサージュ波形 1 ドレイン電流 負荷 10Ω+1.,000μF 1,000Hzで10Ω 力率 0.999 D-S間電圧 ドレイン電流 図26 リサージュ波形 2 負荷 7.8Ω+25.4μF 1,000Hzで10Ω 力率 0.78 D-S間電圧 12 図27 リサージュ波形 3 ドレイン電流 負荷 3.4Ω+16.9μF 1,000Hzで10Ω 力率 0.34 D-S間電圧 図28 リサージュ波形 4 ドレイン電流 負荷 1Ω+15.97μF 1,000Hzで10Ω 力率 0.10 D-S間電圧 電力 D-S間電圧 図29 図23に対する D-S間電圧、電流、電力 負荷 1Ω+15.97μF 1,000Hzで10Ω 力率 0.10 電流 参考資料 1 A 150W IC Op Amp Simplifies Design of Power Circuits National Semiconductors Application Note 446 2 IR 社パワー MOSFET IRFP22N50A データシート その他参考資料 * パワー OP アンプの使い方 実験で学ぶ OP アンプ CQ 出版社 * POWER AMPLIFIER STRESS AND POWER HANDLING LIMITATIONS BURR BROWN APPLICATION BULLETIN * SOA AND LOAD LINES APEX APPLICATION NOTE 22 13
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