図書館長が交代 - 新渡戸文化学園

2011.6.9
第6号
図書館長が交代しました
2011 年 4 月の学園人事異動で、図書館長が交代しました。新館長は、新渡戸・森本研究所所長を兼ねてお
り、前館長の「新渡戸の教育」を続けてまいります。
図書館長 森本晴生
<幼き日の思い出>
2007 年 (財)新渡戸基金発行
これまで、明治から大正にかけての新渡戸稲造博士
の著書を紹介してきましたが、ここで気分を変えて、
数年前に発行されたものを紹介します。数年前といっ
ても、最初は新渡戸博士が 60 歳頃に書いておいたもの
を、カナダでなくなった翌年の 1934 年にメリー夫人
が「はしがき」と「エピローグ」を書き加えて丸善か
ら英文で発行されました。
「武士道」のように英文で書
かれているのは、メリー夫人を初めとする外国人に読
んでもらう意図があったのでしょう。
第二次大戦後、教文館から「新渡戸稲造全集」が発
行されるとき、孫の加藤武子さんが「幼き日の思い出」
を邦訳したものが加えられました。そして、今回の新
しい本は、英文は曾孫(ヒマゴ)の加藤幸子さんが、邦訳
は加藤武子さんが校閲して、(財)新渡戸基金から発行
されたのです。
ここには新渡戸博士の 4 歳の頃から 14 歳 11 か月で
札幌農学校に入学するために東京から船で北海道に向
かうところまでが書かれています。終わり方が唐突な
ので、たぶん、このあとも続けられるつもりだったの
が,中断されたままになったようです。
「はしがき」と「エピローグ」では、メリー夫人が
新渡戸博士の祖父・伝(ツトウ)、父・十次郎、母・勢喜(セ
キ)のことや、成人後の新渡戸博士のエピソードを書い
ています。英文の本に載っていた写真(新渡戸博士 8
歳の写真など)や挿絵もあり、当時の様子がよく分か
ります。また、英文のものも載っているので、英語で
の表現も知ることができます。
はしがき
第一章 幼き日の思い出
五、六十年前の〔一八六〇年代〕日本の普通の家庭
には、極東の国々の他にも色々な国が存在しているこ
とを暗示するような品物は、ほとんどなかった。私の
記憶は四歳の時にさかのぼるが、私の身近に数知れず
あったありふれた品々の中に、異国の息吹(イブキ)を持
って幼い私の心を捕らえたものがほんの三つ四つあっ
た。
まず最初に、
「オランダのはやつけ木」といわれてい
た蝋(ロウ)マッチの小箱について話そう。それは役に立
たない物や、使い古された物ばかりが入っている古箪
笥の引出しの中にしまわれて、ほんのまやかし物のよ
うに扱われていた。さもなくば、当時火起こしに使わ
れていた火打ち具と取り替えられていたはずだ。実は、
マッチの使用に踏み切れない宗教的なためらいがあっ
たのである。火打金と火打石で打って起こした火のみ
が,神棚の蝋燭(ロウソク)や燈明(トウミョウ)をともす汚れなき火
であると考えられていた。われわれ子供達は、つけ木
は赤ひげの男共の住む遠つ国から渡来した物だと教え
られた。当時の人のいう「オランダ」とは必ずしもオ
ランダを意味していなかった。この言葉は、欧州全体
と米国を含むほど包括的であったので、後年オランダ
とは西洋全域のことではないと知ったときは、残念か
つ意外な新事実であった。
(以下略)
第二章 西洋の影響
第四章 道徳的影響
第三章
過渡期の学校
(注:新渡戸博士が9歳で上京して叔父の養子とな
り、12歳で外国語学校に入るまでの話。)
(前略)
私の勉学がいくらか進歩しているのを知った叔父は、
当時の最高の学校に私を入れる決心をした。それは官
立の外国語学校である。その頃私は十二歳になってい
た。その学校の裁定学年に入学許可を得る年齢に達し
ていた。五つの部門があり、英語、フランス語、ドイ
ツ語、ロシア語、中国語等である。私は大多数の者と
英語部にいたが、その部は間もなく切りはなされた。
私立校よりはるかに規則と制限が厳しかった。ここ
もまた広い敷地を占める昔の大名屋敷である。私立校
では外人教師を雇う費用がほとんど無いが、ここでの
授業はすべてアメリカ人か英国人によってなされた。
約三百人の男子中、三、四人のみが洋装で登校した。
革靴をはいた者は五十人にも満たなかったと思う。学
費はほんの少額で、一ヵ月にして一シリングに相当し、
申し出さえすれば、この額からも免除を簡単に受ける
ことができた。私は寄宿舎に入った。ここの毎月の費
用は約八シリングで、四ドルに満たないものであった。
これは日本の教育界の太平時代で、学費は無料同然、
地位、階級、貧富にかかわらず、国民すべてに入りや
すくなっていた。この英語学校は後に東京大学予備門
となり、また後の第一高等学校となった――おそらく
一高は、日本国中広く影響を及ぼした点で、日本の教
育史上最も重要な機関であろう。
第五章
第六章
教育手訓練と英語の勉強
天職の選択
エピローグ
(この連載の筆者も新館長に代わりました。)
2010 年度の図書館利用率は、2009 年度に比べ大幅に多くなりま
した。2009 年度に比べて図書の貸出冊数は 600 冊増加、ビデオ・D
VDの視聴数は 140 本増加しました。 食物栄養専攻では、食材や
献立作成に役立つ料理のレシピ本、実験書など、児童生活専攻で
は、絵本や紙芝居、
実習先で役立つ工作
の 本 が 多 く貸 し出 さ
れました。
図書館では、皆さ
んのリクエストを取り
入れて本を購入して
います。リクエストの
ある方は、図書館に
申し出て下さい。
『食材の切り方大図鑑』
新渡戸文化幼稚園(こども園)の旧校舎
で使われていた本棚を譲り受け、新着絵
本コーナーが出来ました。毎月新しい絵本
が入れ替わります。
『12 か月の製作あそび』
辻調理専門学校/監修
596/Sh96
魚介・肉・野菜・フルーツ・チ
ーズなど、日本・西洋・中国料理
の187種類の食材のさばき
方・切り方を網羅。食材の切り方
を活かす和・洋・中の料理211
品のレシピも掲載している本。
宮地明子/著 376.156/Mi71
身近な材料で、子どもでも簡単にか
わいく作れる製作物を月別に掲載。お
店やさんごっこを盛り上げる商品、絵
本やうたを導入として取り組む製作
のアイデアも紹介していて児童生活
専攻では実習に役立つ1冊です。
『おべんとうんち』
『食育アイデア Book』
石倉ヒロユキ/作・絵
726.5/I76
498.53m/Sh96
全国各地の保育園で実践され
た食育活動24例と、その園の親
子が地域の食材を生かしてクッ
キングをする様子&レシピを紹
介している本。
5cmのウンチは、おにぎり7コぶ
ん! 食べ物がおなかの中でウンチに
なっていく様子をやさしく描く。大切
なウンチのことを教える絵本。
※ 内容紹介は「http://www.bk1.jp/」より参考
6月~7月の開館日は左記の通りです。
6月
日 月 火 水
1
5 6 7 8
12 13 14 15
19 20 21 22
26 27 28 29
■ が開館日
7月
木
2
9
16
23
30
金
3
10
17
24
土
4
11
18
25
開館時間
日 月 火 水 木 金
1
3 4 5 6 7 8
10 11 12 13 14 15
17 18 19 20 21 22
24 25 26 27 28 29
31
10時~18時
土
2
9
16
23
30
通常、図書の貸出は2週間、5冊までで
すが、実習の準備や実習中に使いたい本が
ある場合は、実習期間に合わせて貸出日数
や冊数を増やすことが可能です。希望する
人は、貸出の時に申し出てください。