負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じぬくこと。 バングラデシュ・BWCA NGO office 奥原祐貴 このタイトルは大事MANブラザーズバンドのそれが大事という曲の歌詞である。 滞在期間中に何度もこの歌を頭に浮かべ、口ずさんできた。中長期ボランティアに参加し、活動をした中 で嫌になることは何度もあった。そして、その脳裡には、うまく逃げ出すという選択肢もあった。だが、そ の壁に立ち向かうことで得たモノが今までの経験として、また、これからの人生にとって大きな宝になると 考える。 この壁はすぐに立ちはだかった。それは、仕事がないということである。厳密に言えば、仕事がないので はなく、与えられないという現状であった。何かやることはないかと聞けば、特にないから街中を観光でも してきなよと返されていた。その現状を変えることができずに過ぎた1ヵ月は今でも恥ずかしく情けないと 思う。その後、現地団体のスタッフであり、ホームステイ先であった人が倒れた。何もできず、何も変える ことができず、そのまま終わってしまうのではないかという不安が頭から離れなかった。 だが、その中で、団体が開催するワークキャンプに参加した、その後は協力団体に派遣され、別のNGO にて活動をしてきた。しかし、本来の団体で、オフィスワーカーのボランティアとして来たことを忘れるこ とはできなかった。仕事がなければ、作ればいいという答えはでているが、それを実行することに抵抗があ ったからである。それは、自分の弱さだと思う。しかし、その弱さに打ち勝つことを自分に言い続けた。こ の歌を口ずさみながら。 団体に戻り、再度、仕事のないオフィスワーカーとしての活動が始まった。倒れたスタッフも危機を乗り 越え、リハビリをしながら生活をしていた。その中で、運良くも、団体の活動レポートを作ってほしいと仕 事の要望があった。それは嬉しいことではあるが、1ヵ月の時を忘れることはなく、自分なりにできる行動 を行った。ワークキャンプにおける評価と中長期ボランティアに向けた評価の実施である。実際に提案をし たときには、すごい笑顔で喜んでくれた。 笑顔を見た時、こんな簡単なことができずに1ヵ月を悩んでいたのかと思う。それでも、私にとっては大 きな大きな壁であった。この壁から逃げ出す選択肢を掲げていたが、壁に立ち向かい登り終えた時の達成感 はすごく大きなものであった。 外を歩けば人に囲まれ、1人でリフレッシュすることもできなかった。壁と向き合う中で、フラストレー ションを中々払拭することは難しかった。だが、夜の空いた時間には毎日、自分と向き合う時間を取ってい た。長い時には3時間、考え続けていた。こうした向き合いがフラストレーションをコントロールし、また、 自分がやるべきことを見失わずにいられた最大要因の1つである。 また、スタッフが倒れたことでコミュニケーションが希薄していた。団体に戻った時に、団体として何を 人々に与えたいのか、将来の夢を聞き、語り合った。こうしたコミュニケーションがプレゼンをするにあた ってプラスになったことも大きな要因であった。 今までの生活の中で、これといった大きな壁と挫折はなかった。こうしたものから、避けることをうまく こなしてきたからである。今回の中長期ボランティアでは、大きな期待や貢献を胸に来ていた、そして、家 族や友人、NICEといった人たちが、応援をしてくれ頑張っていると信じていた。こうした人たちに胸を 張った姿を見せたいと思った、そして、自分が胸に抱いた思いを何もできずに終えることはできなかった。 ボランティアを通じて、本当に多くの人に感謝している。人に支えられていたからこそ、達成感を味わうこ とができ、この過程で得た成長は大きなものとなった。自身のできた貢献というのは本当に小さいものだと 思う。しかし、逃げ出さずにやり遂げてきたことには得るものは大きくあった。 各々が直面する壁というのは違うと思う。 だが、その壁に向き合うことができることは大きな経験だろう。 ボランティアとして貢献に行ったはずなのだが、与えるよりも得たモノがあまりにも大きな結果となった。 しかし、いずれ、どんな形であっても恩返しができればと思う。 団体のイベントでのスピーチ 突撃お宅訪問にての1枚 ワークキャンプでのクリスマスパーティー
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