生 物 Ⅰ

物 Ⅰ
生
(全
第1問
問
必
答)
キイロタマホコリカビの細胞分化に関する次の文章を読み, 各問い(問1・
問2)に答えよ。
解答番号
1
6
∼
(配点
18)
キイロタマホコリカビの子実体の胞子塊から落ちた胞子はアメーバ状の細胞になり,
細菌などを食べながら
1
によってどんどん増え,
2
生物のような生活を送
る(アメーバ期)。 しかし, 捕食する細菌が不足してくるとアメーバ状細胞が集合して
(集合期), 長さ数
のナメクジ状の移動体になって移動する(移動期)。 しばらく
すると移動が止まり, 前部の細胞群が重なり合って柄を形成し, 後部の細胞群は柄の
先端に胞子塊を形成して, 子実体が完成する。 集合期から移動期, 子実体形成の段階
では
3
生物のような生活を送る。 (図1)
胞子塊
胞子
移動期
柄
子実体
集合期
アメーバ期
図
1
― 24 ―
生物Ⅰ
キイロタマホコリカビを用いて次の実験1・実験2を行った。
実験1
ナメクジ状の移動体ではまだ胞子塊になる細胞と柄になる細胞に分化しているよ
うには見えないが, 胞子塊になる細胞だけを染める特殊な染色法で染め分けると,
移動体の後半部が染色された。
実験2
ナメクジ状の移動体をばらばらの遊離細胞にしてから胞子塊になる細胞だけを染
色すると, はじめのうちは染色される細胞と染色されない細胞とが存在したが, 数
時間たったのちに染色するとどの細胞も染色されなかった。
問1
1
前ページの文章中の
3
∼
に入る語として最も適当なものを, 次の
①∼⑦のうちからそれぞれ一つずつ選べ。
①
原核
②
真核
⑥
分裂
⑦
接合
問2
③
多細胞
④
単細胞
⑤
胞子生殖
前ページの文章および実験1と実験2の結果をもとに, キイロタマホコリカビ
の細胞分化について正しい記述を, 次の①∼⑤のうちから三つ選べ。 ただし, 解
答の順序は問わない。
4
5
6
①
キイロタマホコリカビの子実体をつくる細胞の種類は3種類である。
②
細胞が集合することと, 細胞が分化することは関係がない。
③
細胞が分化したかどうかの決め手は形態だけではない。
④
アメーバ期の細胞はまだ分化していない。
⑤
分化が始まったものでも, 条件によって未分化な状態に戻る。
― 25 ―
生物Ⅰ
第2問
生殖と配偶子形成に関する次の文章を読み, 各問い(問1∼5)に答えよ。
解答番号
1
∼
8
(配点
21)
動物では卵や精子ができるとき, 染色体数が半分になる
1
とよばれる細胞分
裂が起こる。 このようにしてできた卵と精子が受精することによって新しい次代の個
体をふやす生殖法を
2
という。 それに対して, 植物のなかでサツマイモやジャ
3
ガイモなどは根や茎の一部から
によって新個体をつくったり, 酵母菌やヒド
4
ラでは親のからだから芽が出るようにして次代の個体が生じる
を行う。
図1は, 動物の雄の精巣での精子が形成される過程を顕微鏡で観察した模式図であ
る。 精細管基底膜にある精原細胞は分裂を繰り返しながら内部に向かって移動し精子
に変化していく。
精子
ウ
イ
ア
精細管基底膜
精原細胞
図
問1
上の文章中の
1
∼
4
1
に入る語として最も適当なものを, 次の①∼⑨
のうちからそれぞれ一つずつ選べ。
①
分裂
②
出芽
③
有性生殖
④
栄養生殖
⑤
胞子生殖
⑥
核分裂
⑦
細胞質分裂
⑧
減数分裂
⑨
体細胞分裂
― 26 ―
生物Ⅰ
問2
図1のア∼ウの細胞の名称の正しい組合せとして最も適当なものを, 次の①∼
④のうちから一つ選べ。
5
ア
イ
ウ
①
始原生殖細胞
二次精母細胞
精細胞
②
二次精母細胞
一次精母細胞
精細胞
③
一次精母細胞
精細胞
二次精母細胞
④
一次精母細胞
二次精母細胞
精細胞
問3
卵の形成過程が正常に進行している場合において, 第一極体が 20 個数えられ
たとき, 卵は最大何個できるか。 最も適当なものを, 次の①∼⑤のうちから一つ
6
選べ。
①
問4
5個
②
10個
③
20個
④
40個
⑤
80個
動物の精子に関する記述のうち誤っているものを, 次の①∼④のうちから一つ
選べ。
7
精子の頭部はおもに核からなる。
②
精子の尾部にはミトコンドリアが多数集まっている。
③
精子のベン毛は受精の際の運動に関係している。
④
ウニ・ヒトデなどの精子は体外受精を行う。
問5
①
卵形成が精子形成と比べて異なる特徴として最も適当なものを, 次の①∼④の
うちから一つ選べ。
8
①
核相が
に変化する。
②
細胞質分裂において不等分裂がみられる。
③
染色体の乗換えが起こる。
④
相同染色体の対合が起こる。
から
― 27 ―
生物Ⅰ
第3問
昆虫の遺伝に関する次の文章を読み, 各問い(問1∼4)に答えよ。
解答番号
1
∼
6
(配点
22)
昆虫の色彩には図1に示すように, 黄色型, 半黒型および黒色型が存在する。 この
遺伝様式を調べるため, それぞれのホモ接合体の両親を使って交配実験を行い
得た。 さらに,
どうしを交配して
を得たところ, 表1のような結果が得られた。
なお, この交配実験は雌雄を逆にして行っても結果は同じであった。
黄色型
を
半黒型
図
黒色型
1
交配実験1
交配実験2
交配実験3
黄色型×黒色型
黄色型×半黒型
半黒型×黒色型
すべて黄色型
すべて黄色型
すべて半黒型
黄色型:黒色型
黄色型:半黒型
半黒型:黒色型
3:1
3:1
3:1
表
1
― 28 ―
生物Ⅰ
この昆虫の色彩は三つの複対立遺伝子によって支配されていて, 黄色型遺伝子, 半
黒型遺伝子および黒色型遺伝子をそれぞれ
問1
,
,
とする。
交配実験1で用いた両親の黄色型と黒色型および
て最も適当なものを, 次の①∼⑥のうちから一つ選べ。
黄色型
黒色型
黄色型
①
②
③
④
⑤
⑥
問2
の遺伝子型の組合せとし
1
黒色型
三つの複対立遺伝子の優劣関係を説明した記述として最も適当なものを, 次の
①∼⑧のうちから二つ選べ。 ただし, 解答の順序は問わない。
①
遺伝子
は遺伝子
②
遺伝子
,
③
遺伝子
は遺伝子
④
遺伝子
,
⑤
遺伝子
は遺伝子
,
⑥
遺伝子
は遺伝子
より劣性である。
⑦
遺伝子
は遺伝子
より優性である。
⑧
遺伝子
は遺伝子
より劣性である。
,
より劣性である。
は遺伝子
より劣性である。
,
より優性である。
は遺伝子
より優性である。
より優性である。
― 29 ―
2
3
生物Ⅰ
問3
交配実験1の
と交配実験3の
を交配すると, 次代の表現型とその分離
比として最も適当なものを, 次の①∼⑦のうちから一つ選べ。
4
①
黄色型
半黒型
黒色型
=
3
0
1
②
黄色型
半黒型
黒色型
=
3
1
0
③
黄色型
半黒型
黒色型
=
1
2
1
④
黄色型
半黒型
黒色型
=
1
1
2
⑤
黄色型
半黒型
黒色型
=
1
1
0
⑥
黄色型
半黒型
黒色型
=
2
1
1
⑦
黄色型
半黒型
黒色型
=
1
0
1
,
と ,
を使って説明したい。
をもつが
をもたないと半黒型,
問4
この昆虫の色彩の遺伝を2対の対立遺伝子
遺伝子
と
をともにもつと黄色型, 遺伝子
遺伝子
をもたないと黒色型になる。 2対の対立遺伝子は連鎖していて組換え
を起こさないとすれば, 交配実験1の結果を得るために用いる両親の正しい遺伝
子型の組合せとして最も適当なものを, 次の①∼⑧のうちから二つ選べ。 ただし,
解答の順序は問わない。
①
と
5
6
②
と
③
と
と
⑥
と
④
と
⑤
⑦
と
⑧
と
― 30 ―
生物Ⅰ
第4問
種子の発芽に関する次の文章を読み, 各問い(問1∼4)に答えよ。
解答番号
1
∼
8
(配点
19)
被子植物では胚のう内の卵細胞と中央細胞がそれぞれ花粉管によって運ばれた
1
珠の
2
と受精して, 前者から
4
ができ, 後者から
3
ができる。 そして胚
が種皮に変化して種子ができる。 しかし, 被子植物の種子は成熟後に休
眠するものが多く, 休眠した種子にはア植物ホルモンの一種が多く含まれている。 休
眠種子は含水量が低く, 乾燥状態にあるが,
イ
環境要因が整うと, 種子の休眠を破り,
発芽を促進するウ植物ホルモンが合成される。 レタス・タバコなどの種子の発芽には
光を必要としていることもわかってきた。 そこで, オオバコの種子を水で湿らせたろ
紙をしいたペトリ皿に置き, 次の
∼
の条件下に 24 時間処理をしたのち, 暗所に
置き発芽率を調べた。 その結果は表1のようになった。
ペトリ皿に蛍光灯の光を照射する。
黒色の紙でペトリ皿全体をおおい, 明所に置く。
青色のフィルターでペトリ皿をおおい, 明所に置く。
緑色のフィルターでペトリ皿をおおい, 明所に置く。
赤色のフィルターでペトリ皿をおおい, 明所に置く。
表
ペトリ皿
1
総種子数
発芽した種子数
発芽率 (%)
30
30
100
30
1
3
30
2
7
30
1
3
30
29
97
― 32 ―
生物Ⅰ
問1
前ページの文章中の
1
4
∼
に入る語として最も適当なものを, 次の
①∼⑧のうちから一つずつ選べ。
①
子房
②
胚乳
③
胚
⑥
精細胞
⑦
珠皮
⑧
果皮
問2
④
雄原細胞
⑤
下線部イの環境要因の組合せとして最も適当なものを, 次の①∼⑥のうちから
一つ選べ。
5
①
水分・温度・酸素
②
水分・温度・二酸化炭素
③
水分・塩類・温度
④
糖・温度・水分
⑤
糖・水分・酸素
⑥
塩類・糖・水分
問3
花粉管核
下線部アとウの植物ホルモンとして最も適当なものを, 次の①∼⑥のうちから
それぞれ一つずつ選べ。 ア
6
ウ
7
オーキシン
②
ジベレリン
③
サイトカイニン
④
エチレン
⑤
アブシシン酸
⑥
フロリゲン
問4
①
表1の結果より, 種子の発芽に関する記述として誤っているものを, 次の①∼
⑤のうちから一つ選べ。
8
①
オオバコの種子は光発芽種子である。
②
オオバコの種子の発芽にとって青色の光は重要でない。
③
オオバコの種子の発芽にとって赤色の光は重要でない。
④
蛍光灯の光には赤色の光も含まれている。
⑤
オオバコの種子は葉が茂った森林の下では, 赤色や紫色の光が葉に吸収され
てしまうので発芽しにくい。
― 33 ―
生物Ⅰ
第5問
目の構造とはたらきに関する次の文章を読み, 各問い(問1∼5)に答えよ。
解答番号
1
∼
8
(配点
20)
ヒトの目の構造はカメラの構造とよく似ている。 光は
2
1
を通って目に入ると
で屈折しガラス体を経て網膜の上に像を結ぶ。 遠くの物や近くの物を網膜の
3
上にピントを合わせるために
の筋肉の調節で
た, 網膜に達する光の量を調節するため
4
2
の厚さを変えている。 ま
がひとみの大きさを変えている。
図1は左目を上からみた水平断面図で, 網膜の位置(横軸)とその場所にある視細胞
の数を左半分のみグラフに描いたものである。
細
胞
数
相
対
値
イ
ア
(
)
図
問1
上の文章中の
1
∼
4
1
に入る語として最も適当なものを, 次の①∼⑧
のうちからそれぞれ一つずつ選べ。
①
虹彩
②
チン小帯
③
強膜
④
水晶体
⑤
角膜
⑥
毛様体
⑦
脈絡膜
⑧
黄斑
― 34 ―
生物Ⅰ
問2
ガラス体に近い側から配列している網膜にある細胞の順序として最も適当なも
5
のを, 次の①∼⑧のうちから一つ選べ。
①
色素細胞 → 視神経細胞 → 連絡神経細胞 → 視細胞
②
色素細胞 → 視細胞 → 連絡神経細胞 → 視神経細胞
③
視神経細胞 → 視細胞 → 連絡神経細胞 → 色素細胞
④
視神経細胞 → 連絡神経細胞 → 色素細胞 → 視細胞
⑤
視神経細胞 → 連絡神経細胞 → 視細胞 → 色素細胞
⑥
連絡神経細胞 → 視神経細胞 → 視細胞 → 色素細胞
⑦
連絡神経細胞 → 色素細胞 → 視細胞 → 視神経細胞
⑧
連絡神経細胞 → 視細胞 → 視神経細胞 → 色素細胞
問3
図1のグラフのアとイで示した視細胞の組合せとして最も適当なものを, 次の
①∼④のうちから一つ選べ。
ア
イ
①
かん体細胞
錐体細胞
③
グリア細胞
錐体細胞
問4
6
ア
イ
②
錐体細胞
かん体細胞
④
錐体細胞
グリア細胞
図1のグラフで, 網膜の右半分の位置とその場所にある視細胞の数を描いたグ
ラフとして最も適当なものを, 次の①∼④のうちから一つ選べ。
①
③
(
)
細
胞
数
相
対
値
)
)
細
胞
数
相
対
値
④
(
(
)
細
胞
数
相
対
値
(
細
胞
数
相
対
値
②
― 35 ―
7
生物Ⅰ
問5
遠くの物を網膜の上にピントを合わせるために, 前ページの文章中の
の筋肉と
2
3
の厚さはどのようになるか。 最も適当なものを, 次の①∼④の
うちから一つ選べ。
8
①
3
の筋肉は収縮して
2
が厚くなる。
②
3
の筋肉は収縮して
2
がうすくなる。
③
3
の筋肉はゆるんで
2
が厚くなる。
④
3
の筋肉はゆるんで
2
がうすくなる。
― 36 ―