音韻性読み 音韻性読 み 書 き 障 がいをもつと思 がいをもつと 思 われる児童 われる 児童への 児童 への読 への 読 み 書 き 指導事例 三春町立三春小学校 Ⅰ 指導の 指導 の 実際 1 領域・ 領域 ・ 題材名 自立活動「 自立活動 「 本 と 出会う 出会 う 、 友達 と 出会 う 」 ~「三 ~「 三 つのお 願 い 」( 光村図書 国語4 国語 4 年上)~ 年上 )~ 齋藤 2 ○ 忍 授業の 授業 の 意図 教材観 今回取 り 上 げた教材文 げた 教材文は 教材文 は 、 光村図書国語4 光村図書国語 4 年上の 年上 の 教科書に 教科書 に 最初に 最初 に 出 てくる物語文 てくる 物語文である 物語文 である( である ( 本校 は 東京書籍 を 採用 )。 本人 の 4 年生 であるという 自尊心 と 、 ここで 獲得 した 力 は 通常 の 学級 にお ける 国語科の 国語科 の 授業において 授業 において 般化 されることが 最終目的であることから 最終目的 であることから、 であることから 、 敢 えて 学年相当レベル 学年相当 レベルの レベル の 文章を 文章 を 教材として 教材 として取 として 取 り 上 げることにした。 げることにした 。 ○ 児童観 A児は、 「 読 みの困難 みの 困難 さ 」を 主訴 として 、学級担任の 学級担任 の 気 づきから支援 づきから 支援につながった 支援 につながった児童 につながった 児童である 児童 である 。 全般的な 全般的 な 知的発達に 知的発達 に 遅 れはないものの 、 音読 がたどたどしく 文節ごとに 文節 ごとに 区切って 区切 って読 って 読 むことができ ず 、 何度練習 しても 流暢な 流暢 な 読 みにならないとのことであった 。 本人 もその点 もその 点 については既 については 既 に 気 づ いており、 いており 、 学習に 学習 に 対 する 自信の 自信 の 喪失 が 非常 に 心配された 心配 された。 された 。 そこで 、 特別支援教育コーディネーター 特別支援教育 コーディネーターである である授業者 通常 の 学級 における国語科 における 国語科と コーディネーター である 授業者 が 、 通常の 国語科 と 算数科 の 授 業 を 参 観 し たと こ ろ 、「 音 韻 認識 の 弱 さ 」( 注 1 ) と 「 文字 と 音 の 対 応 ( マッ ピン グ ) の 困 難 さ 」( 注 2 ) か らく る 、 音 韻 性 読 み 書 き 障 が いの 可能 性 が うか がわ れた 。「 平仮 名文 字 → 音 」 変換 の 困難 さは 、 さらに 、「 平仮名単語 → 音 」 変換 を 困難 にしており 、 内容 の 理解 にまでは 到底 至 らないという 状況 にあった。 にあった 。 こうした 読 みの 困難 は 、 読解 ・ 作文 の 能力を 能力 を 必要とする 必要 とする全 とする 全 ての教 ての 教 科学習に 科学習 に 遅 れを 生 じさせているであろうことは 、 容易に 容易 に 想像 することができた 。A児 。A 児 に 対 し 、 読 みの 力 の 獲得 、 特 に 「 特殊音」 特殊音 」 についての音韻認識 についての 音韻認識 を 高 め 、 読 み 間違いを 間違 いを軽減 いを 軽減 することは、 することは 、 緊急 の 課題 である 。 さらに 、「 学習 の 困難 さ 」 からくる 学習意欲 の 低下 や 自己評価 の 低下 が 、 今後 の 成長発達 に 与 える影響 える 影響は 影響 は 大 きいと 考 え 、 すぐに支援 すぐに 支援を 支援 を 開始した 開始 した。 した 。 ( 注 1 ) 音韻認識の 音韻認識 の 弱 さ ・ 音韻認識とは 音韻認識 とは・・・ とは ・・・話 ・・・ 話 し 言葉 の 中 の「 音 の 単位( モーラ )」に 気 づき 、音 の 単位 を 容易に 容易 に 操作( 合 成 ・ 分解 ・ 抽出・ 抽出 ・ 削除等) 削除等 ) できること。 できること 。 ( 例 )A児 )A 児 の 板書事項の 板書事項 の 写 し 方 ( は 一般的な 一般的 な 文節の 文節 の 切 り 方 : /は /はA児の切り方 ) 中 / 心 / と な/ な / る / 人 / 物 / の / 気 / 持 / ち / を / 考 / えよう サ / ーカ/ ーカ / ス / の / ライ/ ライ / オン ( 注 2 ) 文字と 文字 と 音 の 対応( 対応 ( マッピング ) の 困難 ・ マッピング とは ・・・「 あ 」 は [a ] 、[ 花 ] は [ hana] hana ] と 読 むという 文字 と 音 の 対応 ルール を 学 習 し 、 脳内の 脳内 の 貯蔵庫に 貯蔵庫 に 記憶されたその 記憶 されたそのルール されたその ルールが ルール が 、 必要なときにいつでも 必要 なときにいつでも取 なときにいつでも 取 り 出 せること。 せること 。 ( 例 )A 児 の 教科書の 教科書 の 音読 文字を 文字 を 見 て 声 に 出 すことができず、 すことができず 、 隣席の 隣席 の 女児が 女児 が 文節ごとに 文節 ごとに、 ごとに 、 読 み 方 を 教 える。 える 。 - 56 - 特殊音 の 読 み 間違い 間違 い 「 いった 」 → 「 いつた」 いつた 」 「 だれか 」 → 「 たれか」 たれか 」 「去 「 去 った」 った 」 → 「 去 つた」 つた 」 「どなった 「 どなった」 どなった 」 → 「 となった」 となった 」 文末表現の 文末表現 の 勝手読み 勝手読 み 「 すきではなかった」 すきではなかった 」 → 「 すきではありませんでした」 すきではありませんでした 」 助詞の 助詞 の 脱落 「~と 「~ と 、 だ ( た ) れかが 、 ど ( と ) なった」 なった 」 ○ 指導観 指導にあたっては 指導 にあたっては 、 適切 な 情報収集 と 心理検査アセスメント 心理検査 アセスメントに アセスメント に 努 め 、 本児の 本児 の 認知特性と 認知特性 と 、 学習 上 の 困難 や 発達 の 偏 りを分析的 りを 分析的 に 関連 づけ、 づけ 、 強 い 認知特性で 認知特性 で 弱 い 認知特性を 認知特性 を カバーするという カバー するという観 するという 観 点 で 、 指導方法、 指導方法 、 教材・ 教材 ・ 教具、 教具 、 指導 の 手立 てを 考 えていきたい。 えていきたい 。 そのために 、 まず 、 通級指導教室での 通級指導教室 での 指導 は 、 あくまでも 「 障 がいに 基 づく 種 々 の 困難を 困難 を 主体 的 に 改善 ・ 克服 するために 必要 な 知識 、 技能 、 態度 、 習慣を 習慣 を 養 い 、 もって心身 もって 心身 の 調和的発達 の 基 礎 を 培 う 」 ことを目標 ことを 目標 とする自立活動 とする 自立活動 の 授業 として 展開 し 、 各教科 での 応用・ 応用 ・ 般化は 般化 は 、 通常 の 学 級 での 指導や 指導 や 家庭との 家庭 との連携 との 連携に 連携 に 期待することとする 期待 することとする。 することとする 。 さらに 、A 児本人 が 「 自分の 自分 の 学 び 方 の 特徴 」 として自己理解 として 自己理解を 自己理解 を 深 め 、 自己支援できる 自己支援 できる力 できる 力 を 獲得 することを個別指導 することを 個別指導 の 最優先課題とし 最優先課題 とし、 とし 、 指導方法と 指導方法 と 内容を 内容 を 工夫・ 工夫 ・ 選定したいと 選定 したいと 考 える。 える 。 3 本題材の 本題材 の 目標 自分 の 「 学 び 方 の 特徴 」 を 理解 し 、「 特殊音 を 読 む 」 ことについて 自己支援 するための 手立 て を 獲得 し 、 物語文の 物語文 の 読 みに生 みに 生 かすことができる 。 4 指導計画 ( 総時数 12時間 12 時間 : ◆ 本時 ) 次 時 指 導 内 容 1 1 自分の 自分 の 学 び 方 の 特徴 を 知 ろう(WISC- ろう (WISC- Ⅲ の 結果から 結果 から )。 音韻認識 ・ 音読の 音読 の 実態把握。 実態把握 。 2 2 「 三 つのお願 つのお 願 い 」 第 1 段落 ○ 拗音 の 読 み 方 ・ 書 き 方 ○ 拗音を 拗音 を 見 つけよう 3 ○ 促音 の 読 み 方 ・ 書 き 方 ○ 促音を 促音 を 見 つけよう 4 ○ 撥音 の 読 み 方 ・ 書 き 方 ○ 撥音を 撥音 を 見 つけよう 5 ○ 長音 の 読 み 方 ・ 書 き 方 ○ 長音を 長音 を 見 つけよう 3 6 「 三 つのお願 つのお 願 い 」 第 2 段落 ○ 特殊音を 特殊音 を 見 つけて、 つけて 、 マーキングしよう マーキング しよう 7 ○ 音読発表会の 音読発表会 の 練習をしよう 練習 をしよう 4 8 「 三 つのお願 つのお 願 い 」 第 3 段落 ○ 特殊音を 特殊音 を 見 つけて、 つけて 、 マーキングしよう マーキング しよう 9 ○ 音読発表会の 音読発表会 の 練習をしよう 練習 をしよう 5 10 「 三 つのお願 つのお 願 い 」 第 4 段落 ◆ 特殊音を 特殊音 を 見 つけて、 つけて 、 マーキングしよう マーキング しよう 11 ○ 音読発表会の 音読発表会 の 練習をしよう 練習 をしよう 6 12 学習を 学習 を 振 り 返 り 、 いろいろな場面 いろいろな 場面で 場面 で 特殊音 の 読 みにチャレンジ みに チャレンジしよう チャレンジ しよう。 しよう 。 「 三 つのお願 4年2組 朝の つのお 願 い 」 音読発表会 朝 の 会 で 発表 5 手立てと 手立 てと 検証の 検証 の 観点 ( 1 ) 手立て 手立 て 手立 て 1 強 い 認知特性 の 活用 : 言語概念化の 言語概念化 の 強 さを 生 かした、 かした 、 音韻認識の 音韻認識 の 向上 ・ 音 の 種類ごとに 種類 ごとに 手 のたたき 方 を 決 め 、 手 をたたきながら 「 絵 カード」 カード 」 を 見 て 単語 を 発音 することにより、 することにより 、 音韻認識を 音韻認識 を 高 めることができるようにする。 めることができるようにする 。 手立 て 2 強 い 認知特性 の 活用 : 視覚刺激 への 俊敏性 を 生 かした 、 活動 の 工夫 ・ 「 視覚刺激 への 俊敏性 」 を 生 かし 、「 特殊音 カード」 カード 」 をもとにした 「 特殊音探 し 」 を 通 して、 して 、 自分が 自分 が 見落としがちな 見落 としがちな特殊音 としがちな 特殊音 に 気 をつけることができるようにする。 をつけることができるようにする 。 手立 て 3 自己理解 に 立 った自己支援力 った 自己支援力を 自己支援力 を 育 むための 、 支援の 支援 の 工夫 - 57 - ・ 「 楽 しく 読 むために カード 」 の 活用により 活用 により、 により 、 自分の 自分 の 「 学 び 方 の 特徴」 特徴 」 を 理解 し 、 読 みの 困難さを 困難 さを改善 さを 改善 ・ 克服できるようにする 克服 できるようにする。 できるようにする 。 ( 2 ) 検証の 検証 の 観点 観点 1 言語概念化の 「 絵 カード 」を 見 て 、楽 しく音韻認識 言語概念化 の 強 さを 生 かし 、 しく 音韻認識できていたか 音韻認識 できていたか 。 観点2 観点 2 観点3 観点 3 「 特殊音 カード」 カード 」 を 手掛 かりとして 、 特殊音を 特殊音 を 見 つけ 、 音読 の 際 に 気 をつける ことができていたか。 ことができていたか 。 「 楽 しく 読 むために カード」 カード 」 を 使 い 、 つまずきやすさを理解 つまずきやすさを 理解 した 上 で 、 音読 の 練習ができていたか 練習 ができていたか。 ができていたか 。 6 本時のねらい 本時 のねらい 「 特殊音 カード」 カード 」 をもとに 、 第 4 段落 の 特殊音を 特殊音 を 独力 で 見 つけ、 つけ 、 音読 に 生 かすことができる。 かすことができる 。 7 指導過程 学習内容 ・ 活動 1 はじめのあいさつをし、ウォー ミングアップをする ミングアップ をする 。 ・ 特殊音節の「音節-モーラ- 文字」 文字 」 対応の 対応 の 確認 。 時間 5 2 本時の 5 本時 の 学習内容を 学習内容 を 知 る 。 (1)前時を振り返り、本時の学習 範囲を 範囲 を 確認する 確認 する。 する 。 「 三 つのお 願 い 」 の 第 4 段落 を 読 ん で 、「 音 読 発 表 会 」 の 準 備 を し よう。 よう 。 (2)楽しく読むためのポイントを 確認する 確認 する。 する 。 3 自 分 で 音 読 し 、 自 己 理 解 を 深 め 25 る。 (5) ( 1 )学習範囲 を 、独力で 独力 で 音読する 音読 する 。 (2)教師の範読を聞き、内容を理 解 する 。 (2) 4 「 特殊音カード 特殊音 カード 」を 手 がかりに 、 特殊音に蛍光ペンでマーキングす る。 ( 1 ) 拗音 ( ねじれた 音 ): 水色 ( 2 ) 促音 ( つまる音 つまる 音 ) :橙色 : 橙色 ( 10) ○ 指導上の 指導上 の 留意点 ☆ 仮説との 仮説 との関連 との 関連 ※ 評価 ☆ 「 絵 カード 」ゲーム により 、仮名文字の 仮名文字 の「 音 - 文字 」 対応 の 例外 を 確認し 確認 し 、 特殊音 を 意識 できるようにする。 できるようにする 。 ※ 「 絵 カード 」 を 見 て 、 特殊音 の 音韻 を 正 し く 認識できていたか (観察 認識 できていたか。 できていたか 。 ( 観察) 観察 ) ☆ 「 楽 しく読 しく 読 むためにカード むために カード 」 で 、 つまずき やすさと 対応 を 確認 し 、 読 みへの抵抗 みへの 抵抗 を 軽減 できるようにする。 できるようにする 。 ※ 「 楽 しく読 しく 読 むためにカード むために カード 」 により 、 音読 の 練習 への見通 への 見通 しをもつことができたか。 しをもつことができたか 。 ( 観察・ 観察 ・ 発表) 発表 ) ○ 後 に 行 う 特殊音探 しが 効果的 であることを 確認 できるよう 、 間違えてもよいので 間違 えてもよいので 、 まず 自分 で 音読するよう 音読 するよう励 するよう 励 ます。 ます 。 ○ 本時 の 学習範囲を 学習範囲 を 途中 まで ( 話 の 結末は 結末 は 明 か さな い )、 ま ず 授 業 者 が 音読 す る こと に よ り 、「 読 ん で も らう 」 と い う 支 援 も 受 け 入 れ られるようにする。 られるようにする 。 ○ 本時 のねらいを、 のねらいを 、 特殊音を 特殊音 を 見 つけることに 絞 ることにより 、 読 みに 対 する 負担 を 軽減 す るようにする。 るようにする 。 ☆ 「 特殊音カード 特殊音 カード」 カード 」 により、 により 、 手 がかりをもと に 独力 で 特殊音 を 見 つけることができるよう にする。 にする 。 ※ 「 特殊音カード 特殊音 カード」 カード 」 を 手 がかりに、 がかりに 、 自分で 自分 で 特 殊音に 殊音 に 気 づくことができていたか。 づくことができていたか 。 - 58 - ( 3 ) 撥音 ( はねる音 :桃色 はねる 音 ) : 桃色 ( 4 ) 長音 ( のばす音 のばす 音 ) :紫色 : 紫色 5 ( 教材 教材プリント プリント ) マーキングした特殊音に気をつ けながら音読し、教師と一緒に文 節 を 斜線 で 区切 る 。 ( 8) 通し読みをし、学習のまとめを する。 。 する ( 1 )「 三 つのお 願 い 」 第 4 段落を 段落 を 、 通 して 音読する 音読 する。 する 。 ( 2 )特殊音 に 気 づいたことによる 、 音読の 音読 の 変化を 変化 を 確認 する。 する 。 (3)次時の学習内容を知り、音読 発表会 への見通 への 見通しをもつ 見通 しをもつ 。 10 6 8 ○ 単語 の 抽出練習( 抽出練習 ( 言葉 さがしの学習 さがしの 学習 ) は まだ 行 っていないため、 っていないため 、 教師 が 手伝 う 。 自分 で 文節 を 区切 ることができた 際 には 、 大 いに 賞賛 し 、 次 の 学習に 学習 に 生 かせるようにする 。 ○ 最初 の 読 みと 比較 しながら 、 特殊音 への 気 づきが 音読にもたらした 音読 にもたらした 変化 を 言語化 して 伝 え 、 読 みへの 自信をもつことができるように 自信 をもつことができるように する 。 ※ 自分 の 音読 の 変化 に 気 づき 、 自信 を 回復 す ることができているか 。 (音読 ( 音読・ 音読 ・ 観察) 観察 ) 授業の 授業 の 実際 1 はじめのあいさつをし 、 ウォーミングアップ をする 音韻認識の 音韻認識 の 中 でも 、 特 に 、 特殊音の 特殊音 の 認識の 認識 の 弱 さが 読 みに影響 みに 影響している 影響 している A 児 であるが 、WISC - Ⅲ 知能検査 の 結果 から、 から 、 絵 や 写真、 写真 、 実物等 の 有意味刺激から 有意味刺激 から物 から 物 の 名前 や 用途 を 理解 する、 する 、 言語 概念化 の 力 が 強 いことが 分 かった 。この強 「 特殊音 カード 」と「 絵 この 強 さを音韻認識 さを 音韻認識に 音韻認識 に 生 かせるよう 、 カード 」 を 準備した 準備 した 。 これらの視覚情報 これらの 視覚情報 をもとに、 をもとに 、 ・ 拗音( 拗音 ( 1 音節 - 1 モーラ - 2 文字 ): 特殊表記 の 多 さ ( 3 音 × 11行 11 行 = 33 種類 ) ・ 促音( 促音 ( 1 音節 - 2 モーラ - 2 文字 ): 無音の 無音 の 一拍の 一拍 の 存在 ・ 長音( 長音 ( 1 音節 - 2 モーラ - 2 文字 ): あ 段 ・ い 段 ・ う 段 の 他 、 え 段 ・ お 段 の 特例 など 、「 音 - 文字 」 対応 の 例外 を 確認し 確認 し 、 特殊音を 特殊音 を 意識しながら 意識 しながら 音読 できるようになった。 できるようになった 。 T C T C これは、 これは 、 どう読 どう 読 むのかな? むのかな ? (口型 口型の ( 口型 の 絵 を 見 ながら ) ひ ・ あ ー だから、 だから 、 ひゃ。 ひゃ 。 そう 、 そう !! その通 その 通 り 。 じゃ、 じゃ 、 これは? これは ? ひ ・ う ー だから 、 ひゅ 。 〈 ひゃ・ ひゃ ・ ひゅ・ ひゅ ・ ひょ 〉 T C T C これは 、 何 ?(カッターナイフ ?( カッターナイフの カッターナイフ の 絵 カード提示 カード 提示 ) カッターナイフ。 。 カッターナイフ そうだね。 そうだね 。 手 をたたきながら 、 言 ってみよう。 ってみよう 。 カ ・( 休 み )・ タ ・( のばす )・ ナ ・ イ ・ フ 〈 一音ずつ 一音 ずつ手 ずつ 手 サイン をして音韻確認 をして 音韻確認 〉 2 本時 の 学習範囲と 学習範囲 と 、 楽 しく読 しく 読 むためのポイント むための ポイントを ポイント を 確認する 確認 する 聞 く ・ 話 す ・ 読 む ・ 書 く ・ 計算 する ・ 推論 するのある 部分 にだけ 困 り 感 を 抱 える学習障 える 学習障がい 学習障 がい児 がい 児 - 59 - は 、「 分 か っ て い るの に 、 ど う し てう ま くで き ない のだ ろう ・ ・・ 。」 と 、 自分 に 対 し 不 全 感 をもち 続 けることが 多 い 。 支援 にあたっては 、 そうした 子 ど もたちの困 もたちの 困 り 感 に 気 づき 、 思 いに 寄 り 添 いながら 支援すると 支援 すると とも に 、「 自分 には こう いう とこ ろが ある 。 でも 、 こ うすれ ば 大 丈 夫 。」 と いう 、 自 己支 援 の 方法 を 確実 に 身 に 付 けさせ ることが、 ることが 、 何 よりも大切 よりも 大切になる 大切 になる。 になる 。 こ こ では 、「 楽 し く 読 むた めに カー ド 」 を 準備 し 、 音読 を する 際 に 気 をつける 点 を 絵 や 文字 で 表記するだけでなく 表記 するだけでなく 、 実 際 に A 児 が マーキング する際 する 際 に 使用する 使用 する蛍光 する 蛍光 ペン で 明確化 す る な ど し 、「 こ う す れ ば 、 上 手 に 音 読 で き る 。」 と い う 見 通 〈 楽 しく読 しがもてるようにした 。 しく 読 むためにカード むために カード〉 カード 〉 この後 この 後 、A児 、A 児 は 、 カードを カード を 見 ながら特殊音 ながら 特殊音を 特殊音 を 自力で 自力 で マーキ ングし ング し 、 苦手な 苦手 な 音読に 音読 に 主体的 に 取 り 組 むことができた 。 3 自分 で 音読 し 、 自己理解を 自己理解 を 深 める ( 1 ) 学習範囲を 学習範囲 を 、 独力 で 音読 する T C 間違 えても 、 大丈夫 。 まずは 、 自分 で 読 んでみよう 。 ・・・ えいがに 行 くときも 、 歌 の 練習 をするときも 、 ボール遊 ボール 遊 びをするときも、 びをするときも 、 いつもいっしょだった。 いつもいっしょだった 。 この 場面 は 、 今回初 めて 音読 する 場面 であったが 、 前時 ま での 学 習 を 生 か し 、「 ボ ー ル 」( 長 音 )、「 い っし ょ 」( 促 音 + 拗 音 )、「 ・ ・ ・ だ っ た 」( 促 音 ) 等 の 特 殊音 を 一 発 で 正 しく読 しく 読 むことができた。 むことができた 。 〈 聞 いて、 いて 、 もうこんなに 読 めるよ〉 めるよ 〉 ( 2 ) 教師の 教師 の 範読を 範読 を 聞 き 、 内容 を 理解する 理解 する 前時 までの 各場面 の 読 みを通 みを 通 して 、特殊音 の 認識が 認識 が 可能となり 可能 となり 、読 みの コツをつかんだ コツ をつかんだA をつかんだ A 児 は 、 独 り 読 みだけでお話 みだけでお 話 の 内容 をほぼ 理解 できた 様子であったが 様子 であったが 、 自力 で 読 み 取 った内容 った 内容 を 確認 する こと 、「 他者 に 読 んでもらう 」 という 支援 を 受 け 入 れられるようになることをねらい 、 教師 が 範 読 をして 聞 かせた。 かせた 。 本文を 本文 を 追 う A 児 の 視線は 視線 は 、 以前 のように 紙 の 上 を 泳 ぐことはなく 、 教師 の 声 に 合 わせて、 わせて 、 しっかりと 文字を 文字 を 追 うことができていた 。 4 「 特殊音カード 特殊音 カード」 カード 」 を 手 がかりに、 がかりに 、 特殊音 に 蛍光ペン 蛍光 ペン で マーキングする マーキング する A 児 は 、 指導計画 2 次 ( 1 の 場面の 場面 の 読 み 取 り ) の 学習 の 中 で 、 拗音は 拗音 は 水色、 水色 、 促音は 促音 は 橙色、 橙色 、 撥音 は 桃色 、長音 は 紫色 ・・・と ・・・ と 自分で 自分 で 決 め 、特殊音探しを 特殊音探 しを繰 繰 り 返 し 行 ってきた 。 学習 が 進 むにつれ 、 しを 特殊音探 しは スムーズ になり、 になり 、 短時間 で 落 ちなく蛍光 ちなく 蛍光ペン 蛍光 ペンで ペン で チェックすることができるようにな チェック することができるようにな った。 った 。 〈 ねじれた音 ねじれた 音 は 、 水色だね 水色 だね 〉 〈はねる 〈 はねる音 はねる 音 は 、 桃色だね 桃色 だね 〉 - 60 - 5 マーキング した特殊音 した 特殊音 に 気 をつけながら 音読 し 、 教師と 教師 と 一緒に 一緒 に 文節を 文節 を 斜線 で 区切 る 特殊音 の マーキング を 終 えると 、 特殊音も 特殊音 も 含 め 、 いくつかの文字 いくつかの 文字 と 文字とをつないでできてい 文字 とをつないでできてい る 「 単語」 単語 」 を 見 つけ 出 すことが 、 文章を 文章 を 読 む 上 で 必要 となる。 となる 。 A 児 の 場合 、「 単語 の 抽出 」 ということば 探 しの 学習 はまだ 行 っていないため 、 教師 と 一緒 に 文節 を 斜線で 斜線 で 区切ることを 区切 ることを 目標 とした 。 ところが、 ところが 、 ここのところの A 児 は 、 以前のように 以前 のように本文 のように 本文を 本文 を 斜線 で 区切らなくても 区切 らなくても 、 音読しながら 音読 しながら 文節と 文節 と 文節の 文節 の 切 れ 目 を 自分で 自分 で 見 つけ、 つけ 、 聴 き 取 りやすい 音読 が 可能 となっていた 。 それは 、 特殊音 の 読 みが スムーズ にな ったことで 、 音韻認識 が 高 まり 、 文字 の 羅列 から 単語 のまと まりが 見 つけやすくなったことが 影響 しているものと 思 われ る。 そこで 、ここでは 、全 ての文節 ての 文節に 文節 に 斜線を 斜線 を 入 れるのではなく 、 A 児 が 読 みの 過程 で 戸惑 い 、 逐次読 みになった 部分 のみにと どめた 。 C えいが/ えいが / に 行 くときも、 くときも 、 歌 の 練習をするときも 練習 をするときも、 をするときも 、 ボール遊 ボール 遊 び / をするときも 、いつもいっしょだった 。 〈 斜線を 斜線 を 入 れて 、わかりやすく 〉 単語と 単語 と 助詞 の 混同 が 見 られたため、 られたため 、 斜線を 斜線 を 入 れるとともに 、 助詞 に ○ 印 を 付 けるようにした。 けるようにした 。 この 問題 を 解決 するために 、 単語 の 抽出練習 と 同時 に 、 助詞探しの 助詞探 しの 学習 も 必要 であることがわか った。 った 。 6 通 し 読 みをし、 みをし 、 特殊音 に 気 づいたことによる 音読の 音読 の 変化 を 確認 する C 先生 、 こ この 「 いい 友 だ ち ( がいなくなって 、 さびし い よ )」 と 、「 い い 友 だ ち よ 、 ノ ー ビ ィ 」( 母 の 台 詞 ) の と こ ろ、同じ。 T 本当 だね 。 この 「 いい 友 だち 」 が 、 この 物語 の キーワ ー ド だね 。 いいところに、 いいところに 、 気 づいたね 。 音 読 が スム ーズ に なったば かりか 、 全文 を 振 り 返 り 、 キ ー ワ ー ド か ら 物 語 の 主 題 に ま で 迫 る こ と が で き た A 児 。「 読 む 」 ことが 、A児 、A 児 の 世界 を 大 きく広 きく 広 げる 瞬間を 瞬間 を 共有 できたことを、 できたことを 、 うれしく 思 う 。 Ⅲ まとめ 1 手立て 手立 て 「 自分 には 、 こんなところがある 。 でも 、 こうすれば 大丈夫 。」 そう A 児自身 が 思 えるように なることを意識 なることを 意識 しながら、 しながら 、 授業 を 構築 してきた 。A 児自身が 児自身 が 、 自己理解 を 深 め 、 強 い 認知特性を 認知特性 を 生 かしながら 自己支援する 自己支援 する力 する 力 を 獲得 することを 目標に 目標 に 、 手立てを 手立 てを 講 じた 。 ( 1 ) 手立て 手立 て 1 : 言語概念化の 言語概念化 の 強 さを生 さを 生 かした 、 音韻認識 の 向上 ここでは、 ここでは 、 まず、 まず 、 ① 単語はいくつかの 単語 はいくつかの音 はいくつかの 音 が 組 み 合 わさってできていることを理解 わさってできていることを 理解 する ① 自分はその 自分 はその音 はその 音 の 認識 が 弱 く 、 合成・ 合成 ・ 分解・ 分解 ・ 抽出・ 抽出 ・ 削除等が 削除等 が 苦手であることを 苦手 であることを理解 であることを 理解する 理解 する - 61 - ことを 目標とした 目標 とした。 とした 。 その上 その 上 で 、WISC-Ⅲ 、WISC- Ⅲ 知能検査の 知能検査 の 結果から 結果 から 、 言語概念化 の 強 さを生 さを 生 かし、 かし 、 絵 や 写真、 写真 、 実物な 実物 な ど 、 その物 その 物 を 見 れば 何 かが言 かが 言 える力 える 力 を 活用 して 、 絵 カード に 書 かれた物 かれた 物 を 、 ① 「 カ ・( 休 む )・ タ ・( のばす )・ ナ ・ イ ・ フ 」 と 音 を 分解して 分解 して言 して 言 いながら手 いながら 手 サイン をする ② 絵 カード の 裏 に 、 音韻数分貼られた 音韻数分貼 られたドットシール られた ドットシール を 指 さしながら、 さしながら 、 単語を 単語 を 唱 える 等 の 練習を 練習 を 行 った。 った 。 その 結果 、教材文 を 読 んだ際 んだ 際 に 、文字 と 文字 をつないで 単語 を 見 つける 単語抽出が 単語抽出 が 容易となり 容易 となり 、 文節ごとに 文節 ごとに入 ごとに 入 れる斜線 れる 斜線の 斜線 の 数 が 、 少 なくてすむようになった 。 ( 2 ) 手立て 手立 て 2 : 視覚刺激への 視覚刺激 への 俊敏性を 俊敏性 を 生 かした、 かした 、 活動の 活動 の 工夫 WISC- Ⅲ 知能検査の 知能検査 の 結果 から、A から 、A 児 は 、 構成 や 組 み 立 てを必要 てを 必要とする 必要 とする視覚刺激 とする 視覚刺激 の 処理 は 苦 手 であるが、 であるが 、 そうした 操作 を 必要 としない、 としない 、 単純な 単純 な 記号 などの視覚刺激 などの 視覚刺激 の 処理 は 強 いことが 明 ら かとなった。 かとなった 。 そこで 、 ① 拗音・ 拗音 ・ 促音・ 促音 ・ 撥音・ 撥音 ・ 長音等 、 特殊音の 特殊音 の 特徴 を 記号化した 記号化 したカード した カード ② 発音 の 困難 な 拗音 について 、 音 の 変化( 変化 ( 例 : きゃ= きゃ = き → や ) と 、 それに伴 それに 伴 う 口型 の 変化 を 絵 に 描 いたカード いた カード を 準備 した。 した 。 〈 特殊音の 〈 特殊音の 特殊音 の 記号カード 記号 カード 〉 特殊音 の 口型カード 口型 カード〉 カード 〉 A 児 は 、 この カード を 常 に ランドセル に 入 れて携帯 れて 携帯し 携帯 し 、 音読でつまずいてしまった 音読 でつまずいてしまった 際 にいつで も 取 り 出 して 確認するようにしたことにより 確認 するようにしたことにより 、 やがてカード やがて カード を 見 なくとも特殊音 なくとも 特殊音を 特殊音 を 「 文字」 文字 」 から 「 音 」 に スムーズに スムーズ に 変換 し 、 教材文 を 読 むことができるようになった。 むことができるようになった 。 ( 3 ) 手立て 手立 て 3 : 自己理解に 自己理解 に 立 った 自己支援力 を 育 むための、 むための 、 支援の 支援 の 工夫 まず、WISC- まず 、WISC- Ⅲ 知能検査 の 結果 を 、A 児 の 困 り 感 と 結 び 付 けながら、 けながら 、 本人に 本人 に 説明した 説明 した 。 さ らに 、「 では 、 その 困難 さを 克服 するためには 、 どんなことに 気 をつけ 、 どんな 手順 で 音読 すれ ばよいのか」 ばよいのか 」 といった 、 障 がいに 基 づく 種 々 の 困難 を 改善・ 改善 ・ 克服するための 克服 するための手立 するための 手立てを 手立 てを 本人が 本人 が 獲得 できるよう 、「 楽 しく読 しく 読 むためにカード むために カード」 カード 」 を 準備した 準備 した 。 この カード を 使 って 、 音読 の 手順 を 確認 しながら 教材文 を 読 み 進 めるとともに 、「 特殊音 の 記 号 カード 」 や 「 特殊音 の 口型カード 口型 カード」 カード 」 と 同様 に 、 いつも ランドセル に 携帯することにより 携帯 することにより、 することにより 、 通常 の 学級における 学級 における 国語科 や 算数科 の 授業 においても、 においても 、 その 教科書の 教科書 の 読 みに 活用するなど 活用 するなど 、 自立活動 の 時間 に 獲得 した力 した 力 を 広 く 般化 することができた。 することができた 。 「 子 どもの認知特性 どもの 認知特性を 認知特性 を 把握し 把握 し 、強 い 認知特性 を 支援に 支援 に 生 かす 」 「自己理解を深め、自己支援力を育てる」このことは、全ての 発達障 がい支援 がい 支援に 支援 に 共通することであり 共通 することであり、 することであり 、 これからも 目 の 前 の 子 どもたちの 支援 に 生 かしていきたいと 考 える 。 〈 自分 の 教科書 にも ・・・ 〉 - 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