■設計主旨■ 計画 の 経緯 鍼灸医養成 の 専門学校 として 38 年 の 歴史 をもつ 森ノ宮医療学園 が、医療 の 大学 を 持 ちたいということで 計画 を 開始し たのは 2002 年 11 月のことである。大阪市内 のあちこちが 敷地 の 候補となり、 かなりの 数 の 計画案 を 作った 。 そして 2006 年、 ようや く大阪港 を 臨 む 現在 の 敷地 が 決定し、鍼灸 学科と理学療法学科 のための 校舎(東棟)の 完成 をみて 、 2007 年 4 月、森ノ宮医療大学 森ノ宮医療大学 西棟 大阪市住之江区 設計・監理/永田建築研究所 施工/安藤建設 Morinomiya University of Medical Sciences Yuzo Nagata & Associates が 開学した 。 2009 年 秋 より、 学 生 食 堂 の 設 計 を 開 始、 2010 年 6 月 の 完成時 には 新 たに 設立 される 看護学科棟(西棟)の 設計 が 進 んでいた 。西 棟 は 2011 年 3 月 に 完成、 これからも 新学科 設立に伴 い 、新校舎 が 建設されるであろう。 ユニバー サ ル vs ユニーク 大学 の 長期的 な 運営を考 えたとき、建物 はできるだけ 転用 可能 な 方 がよい 。 構造体 そ のものは 教室 の モデュー ルに 因 るとしても 、間仕切りや 設備 は 将来 のカリキュラム 変更 に 合 わせて 自由 に 改修 できるよう、可能 なかぎりユニバーサ ル な 設計を目指した 。一方、医療大学という特 質 や 学生生活特有 の「自由 さ 」といった 、建 物 が 個別的に持 つユニークな 側面 も 表現した かった 。 相反 するこれら 2 つ の ベクトルを 両立 させて いく設計姿勢 は 、伝統医学 と 現代医学 の 融 和、 セクショナリズムを 排した 教育 の 場 の 創 造という大学 の 理念と通じている。 豊 かさ 人 と人 は 空間 を 媒体 として 出会う。 そ の「出会 い 」が 画一的とならないように 多 様 な 空間を設計した 。 そして 、空間と人間 が ファジーでかつ 濃密 な 関係性 をもってつなが っている、 そういう建築を目指した 。 敷地中央 にはキャナル(運河)が 流 れている が 、 ほどよい スケ ー ル で 設計 された 大学 の 建築群とともにやさしい 風景を生 んでいる。 ここで 学 ぶ 若者 たちは 、病気を患う人や 負傷 した 人を助 け 、癒 す職業に就く人 たちである。 彼らが 周辺 に 聳 え 立 つ 港湾地区開発 を 象徴 する高層ビルを垣間 みるとき、彼ら自身 の 中 に真 の 豊 かさについての 示唆 が 与 えられるの ではと、 そんな 願 いもある。 (永田祐三/永田建築研究所) 永田 祐三…… ながた ゆうぞう 1941 年 大 阪 生 ま れ。 1963 年 京 都 工 芸繊維大学建築学科卒業、1965 ー 85 年 竹 中 工 務 店 設 計 部。 1973 年 SOM 在籍。 現在、永田建築研究所 代表取 締役 上/3 階中庭 下/ キャナルより見る大学 の 建築群 124 125 大講義室 屋上庭園 大講義室 研究室 実習室 実習室 実習室 研究室 ゼミ室 女子更衣室 コスモ国際フェリー線 ゼミ室 断面図 西棟 東棟 食堂 コスモ2号線 コスモ1号線 運河 南立面図 グラウンド 西立面図 1 階吹抜ホールを見下ろす 5 階廊下 窓が多様 な 風景を切取る 上/視線 が 海 へとつながる窓 下/2 階 ラウンジ 食堂とブリッジでつながっている 北立面図 縮尺 1/1,000 窓に設置された 外部ブラインド 北側道路より見る 森ノ宮医療大学 西棟 データ 構造規模 RC 造 地上 6 階 所在地 地域地区 大阪市住之江区南港北 1 ー 26 ー 16 主要用途 大学 学部構成 設計・監理 学生数 永田建築研究所 美代子 監理:永田祐三、行田英視 鍼灸学科、理学療法学科、看護学科 560 名 教職員数 78 名 [主な外部仕上げ] 現代構造 担当/新井泰夫、藤野里絵 屋根 アスファルト防水の上シンダーコンクリート 設備 設備計画・黎 担当/保田 章 外壁 コンクリート 打放 しの 上水性 2 液形無機塗料+無 施工 安藤建設 担当/青田 学 機系超汚染コーテティング剤 設計期間 2010 年 2 月~ 2010 年 7 月 2010 年 7 月~ 2011 年 3 月 [建築概要] 敷地面積 7,683.81 ㎡ 建築面積 3,792.48 ㎡ 延床面積 12,725.00 ㎡ 建ぺい率 49.36%(許容 70%) 容積率 165.61%(許容 200%) 撮影/土面彰史 準工業地域、準防火地域、臨港地区 構造 工事期間 上空より見る大学 の 建築群 [学校施設] 建築主 学校法人 森ノ宮医療学園 担当/建築:永田祐三、行田英視、渡辺樹美、高内 126 配置図 縮尺 1/2,000 外構 インターロッキング舗装 建具 窓:アルミ、扉:スチール [主な内部仕上げ] 1 階ホール 床/フローリング 壁/RC 打放しの上 VP 天井/スクエアトーン 講義室・研究室 床/ビニルシート張 壁/PB の上 EP 天井/スクエアトーン 協力会社 電 気 設 備 工 空 調 ・ 衛 生 設 備 工 ス テ ン レ ス 鋼 管 継 光 触 媒 手 す り 工 外 部 ブ ラ イ ン ド 工 事 事 手 事 事 スライディングウォール工事 フローリング ・木製 デッキ 工事 六 興 電 気 日 比 谷 総 合 設 備 オ ー エ ヌ 工 業 ワ イ エ ム 工 業 ヘルム・インターナショナル・マテリアルズ ニ チ ベ イ 昭 和 洋 樽 製 作 所 127
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