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⑦亀石と亀形石

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H-7
亀石と亀形石
*なぜ亀なの?
亀は古代から長寿のシンボルとして親しまれてきておりますが、中国古代には亀は神
意を伝達するとの考え方があり、天の神と地の人間との媒介役を果すとして塔や碑の台
きふせんざん
石として亀を彫刻しており、これが不老不死の仙人が住む仙山を背負う「亀負仙山」の考
しんせんしそう
えが生れて道教の神仙思想 となりこの思想が飛鳥時代に我国に持ちこまれたのでしょ
う。
*亀石とはなに?どこにあるの?
亀石は石舞台と並んで巨石の造形物で昔から飛鳥の顔になっているが製作目的が謎
で諸説があります。
一説には村の境界石で飛鳥のあちこちにある立石と同類とし、川原寺や橘寺の寺域石
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とか寺の鎮護石(ちんごせき)等の説があり、現在南西を向いていますが西を向くと大
和盆地が水没するとの伝説が在り、謎に包まれたまま川原寺と橘寺の間の周遊道沿いに
座っています。
30トン近くある花崗岩で石刻には相当な技術と工具を要したはずです。
*亀形石造物とはなに?どこにあるの?
20 世紀最後の正月に酒船石遺跡(しゅせんせきいせき)の丘陵北麓で発見され、瑞亀
(ずいき)の出現としてマスコミを賑わしました。
丁度飛鳥池遺跡と酒船石遺跡の間に位置し、酒船石遺跡の丘陵側から取水して北側へ
の流水施設と考えられ、流水路の両側は広場となり階段状の石組みが発見されています。
この流水路の中心に在るのが亀形石造物で見事な彫刻品です。石材は亀石と同じ飛鳥
で産する花崗岩で甲羅部は円形に削り込んで水槽とし、頭・尾・手足が丁寧に彫られて
います。
東西は丘陵の尾根が延び下界から隠された広場となっていることから祭祀(さいし)
の目的で造営されたのではないかと考えられています。
*亀石とどうちがうの?
亀石は自然造形石に目鼻、手足を彫刻した標識石で道祖神の同類と考えられますが、
てんじゅこうしゅうちょう
亀形石造物は流水施設の目的で加工され、その造形から中宮寺蔵の「 天 寿 国 繍 帳 」に刺
繍されている百匹の亀が想起され、この図柄をモデルにして彫刻されたのではないかと
考えられる。
「天寿国繍帳」は聖徳太子歿(622 年)後、住んでいるとされる天寿国を想定して橘夫人
が采女等と共に製作し、その後聖徳太子ゆかりの中宮寺に収められていたが現在は殆ど
ざんけつ
が損失して一部の残闕のみが保存されて国宝に指定されている。
「天寿国繍帳」の亀は甲羅部に四文字を背負っており四百字で繍帳の製作履歴が記さ
れているのが文献で確認出来るが多くは欠損しており完全なのは三匹が残されている
のみでその文様と亀型石造物の造形が酷似しているのがみられます。
*だれが何の目的でつくらせたの?
亀石の製作者や製作年代は全く不明ですが、亀形石造物は斉明天皇が造らせた物で七
世紀中頃に製作されたと考えられております。
斉明天皇はカリスマ性のある女性であったらしく謎の石造物や建造物を多く残して
おり、当時としては最先端の技術や文化に興味を示しております。
民衆から不評を買い「狂心の渠」(たぶれごころのみぞ)と悪評を受けた運河を構築
して天理近くの山から石を切り出し、水運で酒船石遺跡の丘まで運び石垣を築いて祭祀
場としたと考えられ、この石垣は岡寺近くまで続いており石垣の山と称された。
この石垣の山の北端に亀形石造物の流水施設があり、謎の酒船石との関係が有るので
はないかと考えられています。
この流水施設の中心に亀形石造物を置いたのは中国から伝来された道教の神仙思想
に基づいて「天寿国繍帳」の亀の文様を造形させたのだろう。これは文字を背負った亀は
大変めでたいこととされ奈良時代の「天平」年号は背中に「天王貴平和百年」と記された
亀が献上されたことに起因していることからもうかがえる。
階段状のスタンドに群臣が居並ぶ中で、明天皇がこの流水施設を使って聖水を流して
国家安寧等の祈祷を行いカリスマ性を発揮したと予想され、亀の背に溜められた聖水は
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神に祈るため、斉明が身を清める「禊」(みそぎ)であったのかもしれない。
亀形石造物の上流に小判型石造物と湧水施設があり小判型石造物の穴から出る水を
亀が飲み込む形に配置され、尾部より排出されていることから亀自身が斉明であり神の
御宣託を群臣に伝える巫女的形態を現しているとも考えられている。
<註>
立石:飛鳥には標識石とみられる立石が多く有り、上居の立石・マラ石・ミロク石等
道教:不老長生を目指す現世利益的宗教で神仙思想を中心に星占、老壮思想等を採り入
れた
たぶれごころのみぞ
「狂心の渠」:天理から飛鳥まで自然河川と人口運河を組みあわせてつないだとされ、膨
大な労力を使い民を疲弊させたと批判を受けた土木工事
酒船石:石垣の山の頂に据えられた巨石に円や楕円が抉られてその間を溝でつながれて
いる造形が謎とされている。拝火教の祭壇説、酒の製造施設説等あり
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