初発のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+CML) 患者

ノバルティス ファーマ株式会社
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MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG
2014年12月18日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2014年12月8日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳
(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。
英語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。
初発のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+CML)
患者さんを対象とした主要試験で、6年間のフォローアップデータに
おいても「タシグナ®」が「グリベック®」を上回る効果を示す

CML 治療において、病期進行の抑制は最も重要な目的の一つであり、重要な臨床効果。
ENESTnd 試験の 6 年のフォローアップデータにおいて、「タシグナ」の投与を受け
た患者さんは「グリベック」の投与を受けた患者さんに比べ病期が進行した例は少数
であった 1

「タシグナ」の投与を受けた患者さんでは、「グリベック」に比べ、Ph+CML の原因
となるタンパクが極めて少量レベルであることを指す MR4.51 を含む深い分子遺伝学
的効果の早期達成、および持続的な効果がより高率に認められた

初発の(新たに診断された)CML 患者さんを対象とした ENESTnd 試験の 6 年間のフ
ォローアップデータにおいても、「タシグナ」は「グリベック」に比べ、良好なリス
ク・ベネフィットのプロファイルを示した
2014年12月8日、スイス・バーゼル発 – 無作為化第III相臨床試験であるENESTnd試験の
6年間のフォローアップデータによると、初発のPh+CMLの患者さんにおいて、深いレベ
ルの分子遺伝学的効果を早期かつ持続的に得られた割合が、「グリベック®」(一般名:
イマチニブメシル酸塩)と比べて「タシグナ®」(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)投
与群で高いことが引き続き証明されました1。本データはサンフランシスコで開催された第
56回米国血液学会(ASH:American Society of Hematology)の年次総会で発表されました。
ENEST試験の治験責任医師でありイタリア・トリノ大学サンルイージ病院分子医学標的治
療学部長兼内科学血液学教授であるジョゼッペ・サリオ医師(Giuseppe Saglio, MD,
ENEST studies investigator, Professor of Internal Medicine and Haematology and Director
of the Department of Molecular Medicine and Targeted Therapy at San Luigi Hospital, at
the University of Turin)は次のように述べています。「ENESTnd試験の6年間のフォロー
アップデータにおいて、『タシグナ』投与を受けた患者さんでは、『グリベック』投与の
患者さんと比較して、より深い分子遺伝学的効果が達成され、病期の進行が少ないという
一貫した科学的根拠が示されました。これらのデータは、タシグナが初発の患者さんに対
する治療の中心となるという、臨床プロファイルの科学的根拠を強固にするものです」
6年間のフォローアップデータから、「タシグナ」は、「グリベック」に比べ、より速や
かに、MR4.5を含むより深いレベルの分子遺伝学的効果を達成・維持し、疾患進行のリス
クを減少させることが示されました1。「タシグナ」300mg 投与群、400mg 投与群と「グ
リベック」群のMR4.5の達成率の差では、「タシグナ」の両群で「グリベック」に比べ、
より深い分子遺伝学的寛解を高頻度に達成(MR4.5:1年後までの達成率の差は6~10%、
1/4
6年後までに22~23%)1したことが示されています。MR4.5は、Ph+CMLの原因となる
BCR-ABLタンパクがごくわずかしか検出されない状態を指します(国際基準で血液中の発
現量が0.0032%以下に減少)。治療開始から3カ月後にBCR-ABLIS≦10%(国際基準で血
液中の発現量が10%以下に減少)を達成した患者さんの割合は、「タシグナ」投与群では、
「グリベック」投与群に比べて高いことが示されました1。
さらに、病期が移行期や急性転化期に進行した患者さんは「グリベック」投与群と比較し
て「タシグナ」投与群で少数でした1。CML関連死は、「タシグナ」300mg 1日2回投与群
が6名、「タシグナ」400mg 1日2回投与群が4名だったのに対し、「グリベック」投与群
は16名でした1。また、
「タシグナ」の安全性プロファイルはこれまでの試験と同様でした。
最も多く報告された有害事象は、発疹、頭痛、ALT上昇、悪心で、「タシグナ」投与群で
は、「グリベック」投与群に比べ、高い心血管イベントの発生率が認められました1。
ノバルティス・オンコロジー事業部のプレジデントであるブルーノ・ストリジニ(Bruno
Strigini)は次のように述べています。「15年前にグリベックによる私たちの初の主要な
CMLの試験データがASHで発表され、この疾患の患者さんにとって治療の大きな転機にな
りました。その後も継続的な研究を続け、今日では、深いレベルの早期かつ持続的な分子
遺伝学的効果を得ることがCMLの患者さんの転帰にどのような影響を与えるのかをより
よく理解するようになっています。私たちは、こうした知見を生かし、MR4.5のようなよ
り深い分子遺伝学的効果と、それが将来的なCML治療の在り方にどう影響するかを考察し
ていきます」
CMLに対するノバルティスの取り組み
過去数十年に渡り、Ph+CMLに対するノバルティスの研究は、Ph+CMLを致死的疾患から
慢性疾患に変える上での役割を担ってきました。当社は今日も、世界中のCMLに関わる人
びとに対する長期的なコミットメントを続けています。患者さんの試験参加登録が完了し
た 2 本 の ENEST TFR ( Treatment-free remission : 無 治 療 寛 解 ) 臨 床 試 験 で あ る
ENESTfreedomとENESTop試験は、慢性期のCML患者さんにおける治療中止の可能性と、
TFRと深いレベルの分子遺伝学的効果の達成を評価する試験です。
治療中止は、臨床上推奨される事項ではなく、適切に管理されている臨床試験でのみ試み
られるべきです2。こうしたTFR試験においては、国際標準リアルタイム定量的ポリメラー
ゼ連鎖反応(IS RT-Q-PCR)法による定期的な分子遺伝学的なモニタリングの導入が非常
に重要な点の一つです。治療を中止した後は、分子遺伝学的モニタリングによって、患者
さんが深いレベルの分子遺伝学的効果を持続できているかどうか、あるいは治療の再開が
必要かどうかを見極めます3。
ENESTnd試験の詳細1
ENESTnd(Evaluating Nilotinib Efficacy and Safety in Clinical Trials of Newly Diagnosed
Patients)試験は、無作為化・オープンラベル・多施設共同の第III相試験で、初発慢性期の
Ph+CMLの成人患者さんにおける、経口治療薬「タシグナ」と「グリベック」の有効性お
よび安全性を比較する、過去最大規模の国際無作為化比較試験です。
ENESTndは、世界の217の施設で846名の患者さんを対象に実施されています。患者さん
は、「タシグナ」300mg 1日2回投与群(n=282)、「タシグナ」400 mg 1日2回投与群(n=281)、
または「グリベック」400mg 1日1回投与群(n=283)のいずれかの群に無作為に割り付け
されています。主要評価項目は治療開始12カ月時点の分子遺伝学的寛解(MMR)達成率
で、副次評価項目は24カ月時点の持続的MMR達成率でした(12カ月および24カ月時点で
評価した際にいずれの時点においてもMMRを達成していた患者さんの割合)。本試験に
おけるMMRは、IS RT-Q-PCR法による測定でBCR-ABL遺伝子の発現量が0.1%以下と定義
しています。「タシグナ」300mg 1日2回投与群または「グリベック」投与群でsuboptimal
response(薬剤で効果は得られているが、長期予後の観点から病状が進行するリスクを伴
う状態)またはtreatment failure(効果が得られない状態)がみられた患者さんは、「グリ
ベック」の増量や、継続試験に移行して「タシグナ」400 mg 1日2回投与群への切り替え
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を行うことが可能です。ASHで発表されたデータは、6年間(1サイクルを28日として72
サイクル施行)のフォローアップデータです。
ENESTnd試験の6年間のフォローアップデータでは、投与開始から6年後までのMMRと
MR4.5の達成率が、「グリベック」による治療を受けた患者さんに比べ、「タシグナ」に
よる治療を受けた患者さんで高いことが示されました。MMRおよびMR4.5の達成率は、
これまでの報告同様、「タシグナ」300mg 1日2回投与群と「タシグナ」400mg 1日2回投
与群で引き続き「グリベック」投与群を上回りました(MMR:1年後までの達成率の差は
24~28ポイント、6年後までに16~18ポイント。MR4.5:1年後までの達成率の差は6~10
ポイント、6年後までに22~23ポイント)。病期が移行期や急性転化期に進行した患者さ
んは、「グリベック」投与群に比べて「タシグナ」投与群では少数でした。72カ月時点で
病期が移行期や急性転化期に進行しなかった患者さんの割合は、「グリベック」投与群で
92.2%、「タシグナ」300mg 1日2回投与群で95.8%、「タシグナ」400mg 1日2回投与群
で97.8%と推定されました。72カ月時点での試験患者さんの全生存率(OS)は、「グリベ
ック」投与群で91.4%、「タシグナ」300mg 1日2回投与群で91.6%、「タシグナ」400mg
1日2回投与群で95.8%と推定されました。72カ月時点でCML関連死に関する生存率は、
「グリベック」投与群で93.9%、「タシグナ」300mg 1日2回投与群で97.7%、「タシグナ」
400mg 1日2回投与群で98.5%と推定されました。治療開始から3カ月後にBCR-ABLIS ≦
10%を達成した患者さんは、「グリベック」投与群(n=176)に比べて「タシグナ」投与
群(300mg がn=234、400mg がn=232)で多数でした。「タシグナ」の安全性プロファ
イルは、これまで報告された内容と同様でした。最も多い有害事象は、発疹、頭痛、ALT
上昇、悪心でした1。心血管イベントの発生率は「グリベック」投与群に比べて「タシグナ」
投与群が高くなりましたが、移行期や急性転化期への進行やCMLによる死亡は「グリベッ
ク」投与群と比較して「タシグナ」投与群で少数でした。
「タシグナ」(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)について
「タシグナ」は、110カ国以上で、「グリベック」(一般名:イマチニブメシル酸塩)を
含む少なくとも一つの前治療に抵抗性か不耐容の慢性期または移行期のフィラデルフィア
染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+CML)成人患者さんの治療薬として、また初発慢性期
のPh+CML成人患者さんの治療薬として85カ国以上で承認されています。
「タシグナ」の重要な安全性情報
コントロール不良または重大な心疾患のある患者さん、あるいはQT間隔延長のおそれまた
はその既往歴のある患者さんへの使用に当たっては注意が必要です。カリウムまたはマグ
ネシウムの血中レベルが低い場合は、「タシグナ」
の投与開始前に正常化させてください。
QT間隔延長への影響については患者さんの状態を十分に観察してください。治療開始に先
立ち、臨床的に示されているように、ベースラインでのECG測定が推奨されています。稀
ではあるものの(0.1~1%)、重要なリスクファクターのある患者さんについて、臨床試
験での突然死が報告されています。
肝機能障害、膵炎、胃の全摘手術の既往歴のある患者さんへの使用に当たっては注意が必
要です。ガラクトース不耐性、重篤なラクターゼ欠損症、またはグルコース・ガラクトー
ス吸収不良などの稀な遺伝性疾患のある患者さんは「タシグナ」を使用すべきではありま
せん。妊娠中の「タシグナ」の服用は重大な悪影響を与える可能性があります。「タシグ
ナ」を使用中の女性は授乳を避けてください。
最も多いグレード3または4の有害事象は(好中球減少症や血小板減少症など)血液学的有
害事象で、一般に可逆的であり、通常、「タシグナ」の一時中断や減薬で管理可能です。
血球数を定期的に観察してください。膵炎が報告されています。最も多い非血液学的有害
事象は、発疹、掻痒、悪心、疲労感、頭痛、脱毛、筋肉痛、便秘、下痢であり、大半は軽
等度から中等度でした。
詳しい添付文書は www.tasigna.comをご覧ください。
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「グリベック」(一般名:イマチニブメシル酸塩)について
「グリベック」は、110カ国以上で、全ての病期のPh+CML治療薬、また、切除不能また
は転移性のKIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍(GIST)の成人患者さんの治療薬、KIT陽
性 GIST完全切除後の成人患者さんの治療薬としても承認されています。「グリベック」
は食物または大きめのグラス一杯の水とともに服用してください。
「グリベック」の重要な安全性情報
妊娠中の「グリベック」の服用は重大な悪影響を与える可能性があります。「グリベック」
は重篤な浮腫(腫脹)および重篤な体液貯留との関係がみられます。血球減少症(貧血、
好中球減少症、血小板減少症)がよくみられますが、一般に可逆的であり、通常、「グリ
ベック」の一時中断や減薬で管理可能です。血球数を定期的に観察してください。重篤な
うっ血性心不全や左心室機能不全、肝不全と肝損傷など肝移植を必要とする重篤な肝障害
が報告されています。心疾患や肝機能障害のある患者さんへの投与にあたっては注意深い
観察が必要です。
出血が起きる恐れがあります。KIT陽性GISTの患者さんで重篤な胃腸(GI)出血が報告さ
れています。皮膚反応、レボチロキシン置換薬を使用している患者さんにおける甲状腺機
能低下症、命に関わる胃腸穿孔、場合によっては致命的な腫瘍崩壊症候群なども「グリベ
ック」の副作用として報告されています。治療に先立って脱水症および高尿酸値を正常化
してください。長期的に使用すると、肝臓、腎臓、心臓などに毒性が生じる恐れ、また、
免疫系が抑制される恐れもあります。好酸球増加症候群と心合併のある患者さんにおいて
は、心疾患の症例が「グリベック」による治療の開始と関連付けられています。「グリベ
ック」を小児が服用した場合、成長の遅れが報告されています。「グリベック」による治
療が子供の成長に及ぼす長期的影響は未解明です。
最も多い副作用は、体液貯留、筋肉の痙攣や筋肉痛、骨の痛み、腹部痛、食欲不振、嘔吐、
下痢、ヘモグロビン減少、出血、悪心、疲労感、発疹などです。
処方にあたっては詳しい添付文書をご覧ください。
参考文献
1.
2.
3.
Larson, R, et al. Efficacy and Safety of Nilotinib (NIL) vs Imatinib (IM) in Patients (pts) With Newly Diagnosed Chronic
Myeloid Leukemia in Chronic Phase (CML-CP): Long-Term Follow-Up (f/u) of ENESTnd. Poster Presentation. Abstract
#4541. 2014 American Society of Hematology Annual Meeting. San Francisco, Calif.
National Comprehensive Cancer Network (NCCN). Clinical Practice Guidelines in Oncology: Chronic Myelogenous
Leukemia, V1.2014. Available at: http://www.nccn.org/patients/guidelines/cml
Kim, D. Recent advances in the path toward the cure for chronic myeloid leukemia. The Korean Journal of Hematology.
2011; 46(3), 169-174.
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内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどに
より、現在の予想と異なる場合があることをご了解下さい。なお、詳細につきましては、
ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照下さい。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼
科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品、予防の
ためのワクチン、OTC医薬品、動物用医薬品など、幅広い分野の製品を提供しています。
ノバルティス グループ全体の2013年の売上高は579億米ドル、研究開発費は99億米ドル
(減損・償却費用を除くと96億米ドル)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバル
ティスは、約133,000人の社員を擁しており、世界150カ国以上で製品が販売されています。
詳細はホームページをご覧ください。http://www.novartis.com/
以上
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