ヒラリズム 4の11 陽羅 義光 西部劇はもう要らない アメリカで性懲りもなく

ヒラリズム
4の11
陽羅
義光
西部劇はもう要らない
アメリカで性懲りもなく、若造がまたやらかした。
銃 の 乱 射 事 件 が あ る た び に 、大 統 領 が メ ッ セ ー ジ を 流 す が 、
言葉通り流すだけ、どの時代の大統領も「この際、銃の所持
を禁止する」なんてことは決して云わない。
ライフル協会のみならず、アメリカ人は銃が大好き、とい
うか西部開拓史の誇りとホコリの象徴が銃なのであるし、叩
い て も ホ コ リ く ら い し か 出 な い の だ か ら 、ど う し よ う も な い 、
銃の所持を禁止すべきだと考える国民もほんの数えるほどだ
から、大統領が極少数派の考えを代弁するわけがない。
わしの親父は西部劇が大好きだった、
(飼い犬にジョンと名
づけるくらい)ジョン・ウェインの大ファンだったのだ、そ
の影響で子どもの頃はよく映画館に西部劇を観に行ったもの
だ。
わしはゲーリー・クーパーが大好きだった、ジョン・ウェ
インみたいにいかにも強そうな男が強いよりも、ゲーリー・
クーパーみたいにどことなく弱そうな男が強い方が魅力があ
った、例えばマッチョなシュワルツネッガーよりも小柄なジ
ャッキー・チェン、例えば『七人の侍』ならば、元気溌剌の
三船敏郎よりも栄養失調風の宮口精二。
それにクーパーは(ジョンと違って)銃を捨てそうな感性
を感じさせた、カウボーイが銃を捨てることは武士が刀を捨
てることに似ている。
だいたい、いつまでも銃でもあるまい、今日、銃の所持そ
のものが、野蛮で下品で不潔で不穏で、いかがわしくさえあ
る。
侍が刀を捨てた国だからチャンバラ映画も楽しいが、銃を
捨てない国民が西部劇を観て楽しいのだろうか、よくわから
んが、どうやらアメリカでも西部劇はあまり流行らなくなっ
たようだ。
その割りには現実社会でのドンパチが多すぎる、まあ世界
のあちこちで銃や砲をぶっぱなしている国だから、麻痺して
いるのかもしれない。
きみがアメリカという国を、どういうイメージで思ってい
るかしらんが、わしは昔からアメリカという国は野蛮で下品
な国だと思っている。
アメリカ人の友人も少なくないからあまり大きな声では云
わないが、アメリカ人も大凡野蛮で下品な国民だと思ってい
る。
そんな国や国民の真似をしたり追随したりゴマを擂ったり
は、そろそろやめにすべきじゃあねえの、おめえさん。