岐阜薬科大学紀要、63、11

ISSN 2187-4360
CODEN: GYDKA9
岐阜薬科大学紀要
第 63 号
平成26年6月30日
THE ANNUAL PROCEEDINGS
OF
GIFU PHARMACEUTICAL UNIVERSITY
No. 63
目
総
2014
次
説
プランルカスト水和物の経口持続性製剤化を目指した胃内滞留性製剤の設計
に関する研究
・・・・杉原光、竹内洋文・・・・
(1)
膜 貫 通 糖 タ ン パ ク 質 GPNMB の ALS 病 態 に 対 す る 神 経 保 護 因 子 と し て の 可 能
性
・・・・田中彦孝、鶴間一寛、嶋澤雅光、原英彰・・・・(11)
カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用
・・・・中村信介、鶴間一寛、嶋澤雅光、原英彰・・・・(22)
光と酸素或いは過酸化水素を用いる酸化反応の開発に関する研究
・・・・信田智哉、多田教浩、三浦 剛、伊藤彰近・・・・(33)
研究論文
(平成 25 年1月より平成 25 年 12 月までに発表) ・・・・
(43)
岐 薬 紀 要
岐 阜 薬 科 大 学
Ann. Proc.
岐阜市大学西1丁目25番地4
Gifu Pharm. Univ.
Gifu Pharmaceutical University
1-25-4 Daigaku-Nishi, Gifu 501-1196
あ
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 1-10 (2014)
1
―総説―
プランルカスト水和物の経口持続性製剤化を目指した
胃内滞留性製剤の設計に関する研究
杉原光*, 竹内洋文
要約:難吸収性薬物であるプランルカスト水和物について、1 日 1 回服用型の経口持続性製剤としての設計を目指して検
討を行った。プランルカスト水和物は難溶解性、難膜透過性薬物であることから、製剤設計の方向性を見極めるためにヒ
ト消化管の吸収部位差を評価したところ、遠位小腸および結腸からの吸収性は非常に乏しく、吸収部位が小腸上部に限定
されることが明らかとなり、プランルカスト水和物を経口持続性製剤化するためには、製剤を胃内に滞留させて徐放する
必要があることが分かった。胃の生理的なストレス存在下でも十分な大きさに膨潤して、かつ薬物を徐放できる胃内膨潤
性製剤(GSS)の設計検討を実施した。ヒトにおいて製剤設計コンセプトを確認するため、GSS を経口投与後の体内挙動
をガンマシンチグラフィーによって評価したところ、胃内に 10 時間以上滞留することが確認でき、十分な胃内滞留機能
を有していることを明らかとした。また、市販品であるオノン®カプセルに比べて血中濃度は明らかに持続する結果が得
られた。GSS を夕食後投与したところ吸収性が更に増大し、夕食後投与において効果が最も発揮されることが分かった。
これらの結果から、GSS はプランルカスト水和物のように、消化管の吸収部位が限定される薬物の経口持続性製剤化に
有用な技術であることを提示することができた。
索引用語:胃内滞留性製剤、胃内膨潤性製剤、持続性製剤、ガンマシンチグラフィー、難吸収性薬物
Development of a Gastric Retentive System as a Sustained-release Formulation
of Pranlukast Hydrate and its Subsequent In Vivo Verification in Human Studies
Hikaru SUGIHARA*, Hirofumi TAKEUCHI
Abstract: In a human site-of-absorption study pranlukast hydrate was demonstrated to have extremely poor absorption properties in
the lower gastrointestinal tract. The ratios of AUC0-24 in the distal small bowel and colon compared to stomach delivery were
approximately 1/7 and 1/70, respectively. As a consequence, a gastroretentive double-layered tablet formulation (gastric swelling
system; GSS), consisting of a swelling layer and a drug release layer, was developed for once-daily dosing. To study the gastric
retention of the optimized GSS, an in vivo gamma scintigraphic study was carried out in nine healthy volunteers. The transit profiles
demonstrated that the GSS was retained in the stomach for more than 10 hr. The plasma profile was prolonged, especially following
administration after an evening meal. The human data validated the design concept and suggest that GSS could be a promising
approach for the development of a sustained-release formulation for drugs with a limited absorption window in the upper small
bowel.
Key phrases: gastric retention, swelling, sustained-release, human gamma scintigraphy
1.緒言
重点が置かれている。医薬品製剤として経口製剤が望まれ
る理由として、食物の摂取と同じ経路であることから投与
新薬開発においては、従来から経口製剤の開発に非常に
が自然で簡便であり、普段の生活でも違和感がないこと、
岐阜薬科大学薬物送達学大講座製剤学研究室(〒501-1196 岐阜市大学西 1 丁目 25-4)
Laboratory of Pharmaceutical Engineering, Department of Drug Delivery Technology and Sciences, Gifu Pharmaceutical
University (1-25-4 Daigaku-nishi, Gifu 501-1196, JAPAN)
2
杉原光ら:プランルカスト水和物の経口持続性製剤化を目指した
胃内滞留性製剤の設計に関する研究
また、消化管が薬物吸収に適した構造をとり吸収表面積が
和物)は小野薬品工業株式会社が開発した世界初のシステ
大きいことなどが挙げられる。しかし、医薬品の開発候補
イニルロイコトリエン(cysLTs)受容体拮抗剤であり、1995
化合物の中で経口投与に理想的な生物薬剤学的性質を有
年に日本で認可を受けて上市している。本剤は気管支喘息
するものは数少なく、十分な経口吸収性が得られないため
およびアレルギー性鼻炎を対象疾患として 1 日 2 回朝、夕
多くの候補化合物がドロップアウトしてしまう
1) - 7)
。経口
食後にそれぞれ 2 カプセルずつ服用する製剤であるが、同
投与による薬物の吸収を制限あるいは阻害することが知
®
効能の薬剤として、SINGULAIR(Merck)
及び ACCOLATE®
られている要素として、消化液中での溶解度不足、不安定
( AstraZeneca ) が そ れ ぞ れ 上 市 さ れ て お り 、 特 に
性、また消化管上皮細胞における低透過性、特定の消化管
SINGULAIR®は半減期が長いため 1 日 1 回投与型製剤であ
部位における酵素的あるいは非酵素的分解、代謝、さらに
る。このため、患者さんの QOL 改善のみならず、市場に
消化管に存在する金属イオンとのキレート形成などが挙
おける商品的価値の向上という点からもプランルカスト
げられる。特に近年創出される医薬品候補化合物の多くは
水和物を 1 日 1 回服用型の経口持続性製剤へと改良するこ
難溶解性、難膜透過性のいずれか、或いは両方の問題を抱
とは意義深い。
えており
8) - 11)
、医薬品の薬理作用を十分に発揮させるた
めに薬物吸収性を改善する必要がある。
1 日 1 回服用型製剤として設計する際、製剤の消化管滞
留時間を十分に考慮する必要がある。健康成人男性におい
ドラッグデリバリーシステム(DDS)の概念が提唱され
ては非崩壊性のカプセルを服用後、大腸には 5 時間以内に
て以来、DDS に関する基礎研究が積み重ねられ、化合物
移行し、その後大腸での滞留時間は平均 30 時間以上(13
が抱える難溶解性、難膜透過性という問題点を製剤学的に
~68 時間)であることから
改善する試みがなされている。経口投与された薬物の吸収
位は大腸であり、経口持続性製剤は大腸において薬物を持
性及び血中動態を改善する方法として、製剤の消化管内動
続的に放出し、吸収されるように設計する必要がある。し
態を積極的に制御し、薬物吸収性が適した消化管部位への
かしながら、持続放出製剤は大腸において持続放出性或い
滞留時間を増大させて、難吸収性薬物の吸収性及び血中動
は吸収性が十分に達成できないことがある。その 1 つの理
態を改善しようとする消化管滞留性製剤が期待を集めて
由として、製剤の大腸における滞留時間は 30 時間以上と
おり、その代表的な製剤として、胃内滞留性製剤が挙げら
長いものの、薬物が溶解するために必要な水分量が限られ
れる。
ており、特に難水溶性薬物は大腸において十分に溶解しな
33)
、経口製剤の主たる滞留部
胃内滞留型持続性製剤は、胃内に長時間滞留して薬物を
いことが挙げられる。プランルカスト水和物は水への溶解
徐放化する技術であり、吸収ウィンドウを有するような薬
度が非常に低く、そのためプランルカスト水和物の処方設
物に対して革新的な経口持続性製剤化法になり得る製剤
計を合理的に実施するためには大腸における吸収性を見
技術である。実際、消化管全体を通して十分に吸収される
積もる必要がある。しかし、ヒトとげっ歯類、イヌ、霊長
薬物は比較的少なく、大多数の薬物の透過性は近位小腸か
類などの動物のバイオアベイラビリティの相関性は広範
ら大腸へと下降するにつれて低下し、L-ドーパやシプロフ
囲の薬剤において非常に乏しく、動物実験ではヒトの吸収
ロキサシンのような化合物は上部腸では吸収ウィンドウ
性を予測することは非常に困難である 34)。したがって、大
が狭いことが示されており、その応用には期待が持たれて
腸における薬物吸収性をヒトにおいて見極めることが必
いる。胃内滞留型製剤化には大きく 3 つのアプローチがあ
要である 35)。
り、その 1 つとして、胃及び小腸壁に付着して製剤の消化
本稿ではプランルカスト水和物の 1 日 1 回投与型製剤と
管内挙動を制限する粘膜付着性製剤、次に投与製剤の比重
しての開発を目指して検討を行った内容について詳述す
を小さくして胃内に浮遊させて幽門から遠ざけ、胃から排
る。まず、製剤の設計コンセプトを明確にするために難溶
出されにくくする胃内浮遊性製剤、そして胃内水分を吸収
解性薬物であるプランルカストのヒト消化管吸収部位差
して膨潤し、幽門通過を遅延させる膨潤性製剤が挙げられ
について評価し、その結果に基づいて胃内滞留性製剤化検
る。胃内滞留性製剤化を企図して、多くの臨床試験に関す
討を実施した。次に、膨潤性及び薬物放出性が異なる種々
る報告がそれぞれ、粘膜付着性
膨潤性製剤
12) - 16)
、浮遊性
17) - 29)
及び
製剤を用いて、動物を用いた設計コンセプトの検証及びヒ
についてなされているが、上市されてい
トにおける機能性評価を行い、胃内膨潤性製剤としての可
30) -32)
®
る 製 品 は 非 常 に 限 ら れ て お り 、 GLUMETZA Tablets
能性を検討した。
®
(metformin hydrochloride、Depomed Inc.)、GRALISE Tablets
(gabapentin、Depomed Inc.)及び JANUMET® XR (sitagliptin
2.プランルカスト水和物の物理化学的性質
and metformin HCl、Depomed Inc.)の 3 品のみである。した
がって、胃内滞留性製剤として製剤設計を実施することは、
チャレンジングな試みであると言える。
オノン®カプセル 112.5 mg(一般名:プランルカスト水
プランルカスト水和物の物理化学的性質を Table 1 に示
した。プランルカスト水和物は白色~淡黄色の結晶性の粉
末で、においはなく、味はない。本化合物の水に対する溶
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 1-10 (2014)
解度は 1.2×10-3 mg/mL であり、
ほとんど溶けない。
また、
日本薬局方溶出試験第 1 液及び第 2 液に対する溶解度もそ
れぞれ 0.1×10-3 及び 0.8×10-3 mg/mL である。更に、
Caco-2(ヒト結腸癌由来株化細胞)膜透過性も低く、
Table 2. Function, morphology and physiology of the
gastrointestinal tract 36), 37)
Size
Surface
Segment
Function
pH
Diameter
area
(m2)
x length, (cm)
Biopharmaceutical Classification System において Class IV に
Stomach
分類される難溶解性、難膜透過性化合物であることから、
Duodenum
経口持続性製剤として処方設計を実施する際にはその物
Jejunum
性に十分留意して検討を進める必要があると言える。
Table 1. Physicochemical properties of pranlukast hydrate
Structure
Molecular formula
Molecular weight
Melting point
Solubility
Caco-2 permeability
C27H23N5O4・1/2 H2O
490.51
231~235 °C
1.2 × 10-3 mg/mL (25 °C, Water)
1.52 ± 0.02 x 10-6 cm/sec
3.ヒト消化管の吸収面積、消化管滞留時間
ヒト成人の消化管の生理的機能、長さ及び表面積につい
て Table 2 に示した。小腸は長さ約 6 m、直径 3-5 cm であ
り、上部から十二指腸、空腸及び回腸の 3 つの部分に分け
られ、それに続く大腸は長さ約 1 m、直径は 3-9 cm である。
部位によってこれらの表面積には著しい差があり、大腸は
1.3 m2 であるのに対して空腸は 180 m2、回腸は 280 m2 で
ある。一般的に小腸では吸収能力が大きいが、これは表面
積が大きいことに起因している。
一方、ヒトの消化管の各部位における液体及び固形食物
の滞留時間を Table 3 に示した。これより、固形物の場合
は胃における滞留時間は 1~3 時間程度であり、胃から排
泄された後は速やかに空腸、回腸へと移行し、それらの領
域における滞留時間は 4 時間程度である。その後大腸へと
移行するが、大腸における滞留時間が 20~50 時間と長い
ことがわかる。このことから、消化管滞留時間の 85%は大
腸に費やされ、吸収表面積が大きく吸収に適した消化管領
域への滞留時間はわずか 15%であることが分かる。
経口持続性製剤は 1 日複数回投与の即放錠で維持して
いた有効血中濃度を 1 回の服用で長時間にわたって血中
濃度を維持する必要があることから、大腸において持続的
に薬物を放出し、吸収させる必要がある。しかし、大腸は
薬物が溶解するための水分量が少ないことと、表面積も小
さいことから、薬物吸収性に適した部位であるとは言い難
い。したがって、特にプランルカスト水和物のような難溶
解性、難膜透過性薬物を経口持続性製剤として開発するた
めにはヒト消化管下部における薬物吸収性を見積もり、開
発戦略を早期に決定することが必要であると考えられた。
3
Ileum
Colon
Digestion
of foods
Neutralizati
on of acids
Absorption
of nutrients
Absorption
of nutrients
Absorption
of water
15 x 20
3.5
1-3.5
3-5 x 20-30
2
4-6.5
3-5 x 240
180
5-7
3-5 x 360
280
6-8
3-9 x 90-125
1.3
6-8
Table 3. Transit time in segment of the gastrointestinal tract 37)
Segment
Type of food
Liquid
Solid
Stomach
10-30 min
1-3 h
Duodenum
< 60 sec
< 60 sec
Jejunum & ileum
3 ± 1.5 h
4 ± 1.5 h
Colon
20-50 h
4.ガンマシンチグラフィーによる
ヒト消化管吸収部位差の評価
プランルカスト水和物が難溶解性、難膜透過性薬物であ
ることから、経口持続性製剤としての製剤設計方針を決定
するためにプランルカスト水和物のヒト消化管吸収部位
差について検討を行った。ヒト消化管吸収部位差を評価す
る方法として、消化管の任意の部位において封入した薬物
を放出できる EnterionTM カプセルを用いた。EnterionTM カ
プセルは、111In で標識されており、ガンマ線カメラを用
いることによってヒト消化管内での移動をリアルタイム
で追跡することが可能である。225 mg のプランルカスト
水和物を封入した EnterionTM カプセルを健常成人に経口投
与後、胃、遠位小腸及び結腸にてプランルカスト水和物を
放出した後のプランルカスト血中濃度プロファイルを Fig.
1 に示した。胃において放出した後は、投与 2 時間後に最
高血中濃度(Cmax)545.7 ng/mL を示し、遠位小腸及び結
腸にてそれぞれ放出した後は、投与 1.5 時間後に Cmax が
それぞれ 143.4 及び 3.6 ng/mL を示した。また、投与後 24
時間までの AUC は(Fig. 2)
、胃で放出した場合は 2816.8
ng*hr/mL、遠位小腸では 427.3 ng*hr/mL、結腸では 39.7
ng*hr/mL となり、胃で放出した場合の吸収性に比べて遠
位小腸及び結腸における吸収性はそれぞれ、1/7 及び 1/70
に低下することが分かった。
遠位小腸や結腸にプランルカスト水和物を送達した場
合は、胃において放出させた場合に比べて有意に低い吸収
性を示す結果となり、プランルカストはこれらの部位にお
いては十分吸収されず、吸収ウィンドウがあることが分か
った。したがって、プランルカスト水和物の経口持続性製
剤設計としては胃内滞留性製剤化のアプローチによって
のみ達成しうることが明らかとなった。
4
杉原光ら:プランルカスト水和物の経口持続性製剤化を目指した
胃内滞留性製剤の設計に関する研究
ある。そこで、胃の食物消化を模倣した機械的ストレス下
において膨潤層の膨潤性評価を行った。
1200
Plasma conc. (ng/mL)
水溶性添加剤とゲル化剤の含有率が異なる GSS6 及び
GSS18 の膨潤層を日局第一液(pH 1.2)に入れ、ガラスビ
Stomach
Distal Small Bowel
Colon
900
ーズ共存または非共存下において 3 時間振とうさせた後
の膨潤率について Fig. 3 に示した。ガラスビーズ非共存下
600
の場合、GSS6 及び GSS18 の膨潤率はそれぞれ、165.2 及
*
** ** **
び 257.3%と十分な膨潤性を示したのに対して、ガラスビ
ーズ共存下の場合は、45.1 及び 166.0%となり、GSS6 では
300
*
顕著に膨潤率が低下した。ガラスビーズ共存下においては、
*
0
膨潤後に形成されるゲル層の破壊が顕著に起こる様子が
**
*
0
4
8
12
16
20
24
GSS6 については観察されたのに対して、GSS18 のゲル層
は機械的ストレス下においても破壊されず、膨潤性を保つ
Time af ter activation (h)
Fig. 1. Plasma concentration profiles of pranlukast in healthy
volunteers after releasing 225 mg of pranlukast hydrate in the
stomach, distal small bowel and colon, respectively. *P<0.05,
**P<0.01: significantly different from the colon. Each value is
the mean ± S.D. (n=6).
ことが確認できた。
GSS18 の膨潤層処方中に占めるゲル化剤の割合は 90%
以上と高く、また高分子量のゲル化剤であるヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース(HPMC 90SH-30000F)を含有す
るのに対して、GSS6 のゲル化剤の割合は 70%であり、ま
た水溶性添加剤である乳糖を含有している。したがって
4000
GSS18 の膨潤層は膨潤後も高粘性を保持することができ、
機械的ストレスに対して構造的に安定であったものと考
AUC (ng・hr/mL)
3000
えられた。本結果より、GSS18 は胃の過酷な生理条件下に
***
おいても膨潤し、胃幽門直径よりも大きく膨潤することに
よって胃排出が遅延し、胃内に長時間滞留することが期待
2000
された。
1000
300
*
with beads
250
Stomach
Distal Small
Bowel
Colon
Fig. 2. Area under the plasma concentration time curve (0-24 h)
of pranlukast in healthy volunteers after releasing 225 mg of
pranlukast hydrate in the stomach, distal small bowel and colon,
respectively. *P<0.05, ***P<0.001: significantly different from
the colon. Each value is the mean ± S.D. (n=6).
Swelling ratio(%)
0
without beads
200
150
100
50
5.胃内滞留性製剤の設計検討
0
胃内滞留性製剤としては、主に粘膜付着性製剤、胃内浮
遊性製剤及び胃内膨潤性製剤の 3 つの製剤化アプローチ
が知られているが、プランルカスト水和物の投与量が多く、
1 日合計 450 mg 服用することから、最も服用体積が小さ
GSS6
GSS18
Fig. 3. Swelling ratio of the GSS6 and GSS18 swelling layers
after 3 hr shaking with or without glass beads in the first fluid
(pH 1.2) of the disintegration test. Each value is the mean ± S.D.
(n=3).
い胃内膨潤性製剤(Gastric Swelling System: GSS)につい
て検討を実施した。GSS の製剤設計としては、GSS を胃
プランルカスト水和物は難溶解性薬物であり、第 2 節に
内に十分な時間滞留させるために、胃幽門から容易に排出
て示したように日本薬局方溶出試験第 1 液に対する溶解
されないように胃内において十分な大きさに膨潤させる
度は 0.1×10-3 mg/mL と非常に乏しいため、薬物放出メカ
ことが必要である。一方、胃の生理機能は食物の消化であ
ニズムとしては Diffusion ではなく、Erosion となると考え
ることから、膨潤後の膨潤層は胃の生理機能によって生じ
られる。したがって、単層錠として設計すると膨潤機能と
る物理的なストレスにも耐えうる強度を保持する必要が
放出制御機能の両立が困難であることから、膨潤層と薬物
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 1-10 (2014)
5
放出層を有する二層錠として製剤設計を実施した。薬物放
エチルセルロースを用いていることから、胃内で崩壊せず、
出層についても胃の機械的ストレス存在下においてプラ
胃の機械的ストレスにも耐えうる。また、non-GSS18 の錠
ンルカスト水和物を持続的に放出する必要がある。そこで、
剤サイズは 18×9 mm であり、ビーグル犬の幽門直径はお
日本薬局方溶出試験法のパドル法において、パドル回転速
よそ 7 mm 38)であることから、non-GSS18 はビーグル犬の
度として 200 rpm の過酷な条件下で薬物放出性を評価した。
幽門直径よりも十分大きく、長時間ビーグル犬胃内に滞留
即崩壊錠及び二層錠である GSS6、GSS18 について日局
するものと考えられる。
第 1 液中におけるプランルカスト放出プロファイルを Fig.
即放錠、non-GSS18、GSS6 及び GSS18 をビーグル犬に
4 に示した。GSS6 はパドル回転速度 100 rpm において 6
胃内投与後 12 時間までの血漿中プランルカスト濃度推移
時間でプランルカストをすべて放出したが、200 rpm の過
について Fig. 6 に示した。GSS6 を投与して 6 時間後以降
酷な条件下では 3 時間でプランルカストをすべて放出す
はプランルカスト血漿中濃度が低下し、即放錠に比べて血
る結果となった。一方、GSS18 はパドル回転速度 200 rpm
中濃度の十分な持続化が認められなかったが、non-GSS18
の過酷な条件下においても 18 時間以上にわたってプラン
及び GSS18 はいずれも投与 6 時間後以降においてもプラ
ルカストを持続的に放出することが確認できた。
ンルカストが血漿中に検出され、血中濃度が持続すること
GSS18 が過酷な in vitro 薬物放出試験条件においてもプ
が確認できた。
薬物動態学的パラメーターについて Table 4
ランルカストを持続放出できた要因としては、処方中の放
に示した。non-GSS18 及び GSS18 の Tmax、平均滞留時間
出制御剤である HPMC 含量が 30%と高いことが挙げられ
(MRT)はいずれも即放錠に比べて有意に延長し、また
る。この高い含量の HPMC によって放出層に形成される
AUC についても即放錠の 2.3 倍以上となり、有意に吸収性
ゲル強度が向上し、過酷な条件下においても長時間にわた
が向上した。本結果より、non-GSS18 及び GSS18 はプラ
ってプランルカストを持続放出することができたものと
ンルカストの吸収性を改善し、かつ持続吸収機能も有する
考えられた。
ことが確認できた。
本実験とは別に GSS6 をビーグル犬に胃内投与して、開
120
腹して胃内滞留挙動を確認したところ、投与 2 時間後にお
いては GSS6 が胃内から排出されており、投与 1 時間後に
100
おいてのみ、胃内に確認することができた。この観察結果
は GSS6 が即放錠に比べて十分な血漿中濃度の持続化を示
Release %
80
さなかった結果とよく一致した。また、投与 1 時間後に観
60
察された GSS6 の形状は投与前に比べて明らかに小さく、
40
胃の生理的なストレスによって膨潤層が破壊されていた。
IR_100rpm
20
GSS6_100rpm
本結果は、Fig. 3 に示したガラスビーズを用いた in vitro 膨
GSS6_200rpm
潤性評価及び Fig. 4 に示したパドル回転速度 200 rpm にお
GSS18_200rpm
ける in vitro 薬物放出試験の結果をよく説明した。一方、
0
0
3
6
9
12
15
18
Time (hr)
non-GSS18 の非膨潤層は投与後 6 時間においても形状が変
化することなく胃内に滞留していることがビーグル犬開
Fig. 4. In vitro release profiles of IR tablet, GSS6 and GSS18 at
100 or 200 rpm in the first fluid (pH1.2) of disintegration test.
Each value is the mean ± S.D. (n=3)
腹実験によって確認できた。この結果から、幽門直径より
6.ビーグル犬に経口投与後の薬物吸収性評価
の運動性と胃内容物によって薬物放出層からプランルカ
も十分に大きくかつ十分な強度があれば胃内に滞留する
ことが確認でき、non-GSS18 が胃内に滞留している間、胃
ストが Erosion により徐々に放出されたものと考えられた。
GSS は膨潤層と薬物放出層からなる二層錠であり、経口
また、GSS18 と non-GSS18 を投与後のプランルカスト血
投与後胃内水分を吸収して膨潤し、幽門からの排出を遅延
漿中濃度プロファイルは同様であることから、GSS18 は胃
させて胃内に長時間滞留させ、プランルカストを持続的に
内水分によって膨潤し、膨潤後も胃の生理的なストレスに
胃内にて放出させるコンセプトである(Fig. 5)
。そこで本
対して十分なゲル強度を有したため、胃内に十分な時間滞
項では GSS の胃内滞留性と持続吸収性の基本コンセプト
留したものと考えられた。
を確認するために、ビーグル犬に経口投与してプランルカ
以上より、ビーグル犬を用いた動態評価において GSS18
スト血漿中濃度プロファイルを評価した。なお、ポジティ
が胃内に長時間滞留し、難溶解性薬物であるプランルカス
ブコントロールとして非膨潤層と GSS18 の放出層からな
トを持続的に吸収させる機能を有することが確認でき、
る 2 層錠(non-GSS18)を用いた。非膨潤層は水不溶性の
GSS の製剤設計コンセプトが確認できた。
6
杉原光ら:プランルカスト水和物の経口持続性製剤化を目指した
胃内滞留性製剤の設計に関する研究
を約 12 及び 24 時間に渡って徐々に放出する結果を示した。
この徐放速度の違いは、GSS12、24 それぞれ、HPMC
90SH-100 及び HPMC 90SH-4000 を用いており、HPMC の
Stomach
Drug release layer
グレードを変更することよって制御している。なお、
GSS12、24 の膨潤層はビーグル犬で十分な血中濃度持続性
Swelling Layer
Pylorus
Double-Layered Tablet
Swelling & Drug release
を認めた GSS18 の膨潤層と同様の膨潤性を示すことを in
vitro 膨潤性評価にて確認している。これら 2 処方をヒトに
経口投与して胃内滞留挙動と血漿中濃度プロファイルを
Fig. 5. Schematic image for basic concept of GSS for gastric
retention and drug release in stomach.
評価し、いずれの処方がヒトにおいて十分な血中動態を示
すか明らかにすることとした。
IR
60
100
GSS6
Non-GSS18
80
GSS18
40
Release %
Plasma conc. (ng/mL)
50
*
30
20
***
*
*
60
40
**
GSS12
20
10
GSS24
*
** **
0
0
2
4
6
8
10
12
0
0
3
Time (hr)
Fig. 6. Plasma concentration-time profiles of pranlukast after
intragastric administration of IR, GSS6, Non-GSS18 and
GSS18 to beagle dogs (75 mg/body). Each value is the mean ±
S.D. (n=4). *P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001: significantly
different from result for IR.
6
9
12
15
Time (hr)
18
21
24
Fig. 7. In vitro release profiles of GSS12 and GSS24 at 200
rpm in the first fluid (pH1.2) of the disintegration test. Each
value is the mean ± S.D. (n=6).
8.ヒト投与用胃内滞留性製剤の
Table 4. Pharmacokinetic parameters of Pranlukast after
intragastric administration of IR, GSS6, Non-GSS18 and
GSS18 to beagle dogs (75 mg/body). *P<0.05, **P<0.01,
***P<0.001: significantly different from result for IR. Each
value is the mean ± S.D. (n=4)
IR
GSS6
NonGSS18
GSS18
Tmax
hr
1.8 ± 1.0
2.5 ± 0.6
Cmax
ng/mL
42.4 ± 13.9
36.3 ± 8.9
AUC
ng/mL・hr
65.0 ± 19.2
82.2 ± 21.6
MRT
hr
2.8 ± 0.5
2.9 ± 0.4
9.0 ± 1.2***
36.5 ± 11.2
146.4 ± 27.4**
7.9 ± 0.8***
8.7 ± 3.1*
27.0 ± 3.0
158.4 ± 22.4**
7.7 ± 0.4***
胃内滞留性,血中動態評価
薬物放出時間が異なる GSS12 及び GSS24 について、
服用後の胃内滞留性を評価するために、健常人において
ガンマシンチグラフィーを用いた生体内挙動評価を実
施した。なお、放射ラベル(153Sm)は膨潤層に含有させ、
摂取カロリーを一定にするために、FDA の規定する高脂
質含有高カロリー朝食を摂取した後、5 分以内に GSS を
投与した。
7.ヒト投与用胃内滞留性製剤の
in vitro 薬物放出性評価
GSS18 をビーグル犬に投与後の十分な血中薬物濃度持
続性が確認できたが、ヒトに経口投与後の in vivo におけ
る薬物放出性を予測することは困難であることから、GSS
を投与後に持続的な血漿中濃度プロファイルを得るため
に、2 種類の大きく異なる徐放性を示す製剤で探索臨床試
験を実施することとした。GSS12 と GSS24 をパドル回転
速度 200 rpm の条件下で放出試験を実施した結果を Fig.7
に示した。GSS12 及び GSS24 はそれぞれプランルカスト
GSS24 を健常人に投与した後の胃及び大腸における挙
動をガンマシンチグラフィーによって解析した写真を
Fig. 8 に示した。投与 7.65 時間までは GSS24 が 2 錠とも
胃内に形状を保って滞留していることが確認され、12.13
時間後に大腸へと移行している様子が確認された。
GSS12 及び GSS24 の胃排出時間をそれぞれ Table 5 に示
した。GSS12 の平均胃内滞留時間は 8.53 時間であり、健
常人 9 例中 6 例において、胃内滞留時間が 8 時間以上を
示す十分な滞留性を示した。一方、GSS24 においても同
様に 9 例中 6 例において胃内滞留時間が 8 時間以上を示
し、平均胃内滞留時間は 10.12 時間であった。経口持続
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 1-10 (2014)
性製剤を食後投与した際の一般的な胃内滞留時間は 2.7
±1.5 時間と報告されていることから
39)
、GSS12 及び
GSS24 両製剤共に長時間胃内に滞留していることが明ら
かとなり、特に GSS24 は GSS12 に比べて滞留時間が延
長することが分かった。一方、GSS24 は投与後 24 時間
までに胃から排出或いは崩壊することから、GSS が胃内
に蓄積されてゆく可能性は低いことが示唆された。
経口投与製剤の胃内滞留時間に最も影響を及ぼす要
因は、食事条件である 40), 41)。食事成分中の脂質含量が胃
からの内容物の排出性などの生理機能に影響を及ぼし、
高カロリー食は低カロリー食に比べて胃内容物の排出
を遅延させることが知られており 42)、結果として製剤の
胃内滞留性に影響する。食事を摂取した直後は胃の幽門
は閉じた状態となり、胃内容物の消化の進行と共に胃か
ら内容物を排出する際に開口し、その幽門開口直径は
12.8±0.7 mm 43)である。加えて、幽門は括約筋であるた
め、加わる力によって伸縮し、幽門直径よりも大きい内
容物であっても生理的な強制排出作用によって排出さ
れてしまう。したがって、胃内滞留性製剤は食後投与が
必須であり、胃に十分な時間滞留するために膨潤後は十
分な大きさと強度となって胃排出を回避する必要があ
る。今回の結果から、高カロリー食を摂取後の投与条件
において GSS は十分な胃内滞留機能を有することが明
らかとなった。
7
Table 5. Gastric emptying of two tablets each containing 225
mg (total of 450 mg) pranlukast hydrate GSS12 and GSS24,
after a standard high calorie, high fat breakfast.
Subject No.
Gastric emptying (hours post-dose)
GSS12
GSS24
1 (1)
15-24*1
13.43*2
*1
1 (2)
15-24
13.43*2
2 (1)
9.63
12.35*2
2 (2)
9.63
12.35*2
3 (1)
4.38
4.29*2
3 (2)
4.38
4.29*2
4 (1)
4.63
4.38
4 (2)
4.63
4.38
5 (1)
9.33
15-24*1
5 (2)
9.33
15-24*1
6 (1)
4.69
10.86
6 (2)
5.03
11.87
7 (1)
8.45
10.87
7 (2)
11.04*2
10.87
8 (1)
9.27
11.89
8 (2)
9.63
13.58*2
9 (1)
9.78*2
5.78
9 (2)
9.78*2
7.46
Mean
8.53
10.12
S.D.
3.35
3.90
*1: Gastric emptying and complete disintegration occurred
during the interval between 15 and 24 hr. A value of 15 hr was
used for calculation of the mean and S.D.; *2: Complete
disintegration time (complete disintegration occurred before
gastric emptying).
FDA の規定する高脂質含有高カロリー朝食を摂取した
後、5 分以内に GSS12 及び GSS24 を健常人に経口投与し
た後の血漿中濃度プロファイルについて Fig. 9 に示した。
また、薬物動態学的パラメーターについて Table 6 に示し
た。GSS12 を投与後はプランルカスト血漿中濃度 Tmax が
6.2 時間を示し、その後速やかに血漿中濃度が低下した。
一方で GSS24 を投与後の MRT は 9.2 時間となり、GSS12
に比べて持続時間が長い結果となった。GSS24 の血中濃度
が持続した要因としては、薬物放出時間が長いことに加え
(Fig. 7)
、胃内滞留時間が長いこと(Table 5)が挙げられ
る。なお、プランルカスト血中濃度 MRT と GSS24 の胃排
出時間の相関について Fig. 10 に示すように、胃排出時間
が長い程、持続時間が延長する傾向にあることが分かり、
本結果をよく説明した。
また、投与量と食事条件は異なるものの、オノン®カプ
Fig. 8. Scintiscan images of two GSS24 tablets each containing
225 mg (total of 450 mg) pranlukast hydrate, radiolabelled with
approximately 0.5 MBq 153Sm administered to subject No.6
after a standard high calorie, high fat breakfast.
セルを服用して 12 時間後の血漿中プランルカスト濃度は
6.8 ng/mL であり、MRT は 4.4 時間であった。GSS24 を服
用して 12 及び 15 時間後の血漿中プランルカスト濃度はそ
れぞれ、103.7 及び 84.3 ng/mL であることから、GSS24 の
血漿中濃度はオノン®カプセルに比べて顕著に持続してい
ることが確認できた。
8
杉原光ら:プランルカスト水和物の経口持続性製剤化を目指した
胃内滞留性製剤の設計に関する研究
なり、MRT はいずれの投与条件でも同様であったが、夕
800
食後投与の方が Tmax は延長し、AUC が増大する結果と
Plasma conc. (ng/mL)
なった。
GSS12
600
夕食後投与において吸収性が増大した要因の一つとし
GSS24
て、夜間は消化管活動が低下することが知られており
45)
400
44),
、夕食後投与の場合は胃からの製剤排出時間がより延長
した可能性が考えられた。また、夕食後投与において AUC
が約 1.3 倍増大したことから、夕食を摂取した後に GSS24
200
を服用することによって GSS24 の胃内滞留時間がより延
長し、最も吸収されやすい小腸上部における薬物吸収性を
最大限に活用できたものと考えられた。
0
3
6
9
12
15
Time (hr)
18
21
24
Fig. 9. Plasma concentration-time profile of pranlukast after
oral administration of GSS12 or GSS24 to healthy volunteers.
Each value is the mean ± S.D. (n=9).
Table 6. Pharmacokinetic parameters of pranlukast after oral
administration of GSS12 or GSS24 to healthy volunteers. Each
value is the mean ± S.D. (n=9).
After breakfast administration
GSS12
GSS24
Tmax (hr)
6.2 ± 1.8
7.1 ± 2.8
Cmax (ng/mL)
411.8 ± 231.1
302.5 ± 184.7
2718.9 ± 1190.1
2427.2 ± 930.0
AUC (ng/mL・hr)
MRT (hr)
7.2 ± 1.3
9.2 ± 2.3
以上の結果から、GSS はプランルカスト水和物のように
消化管の吸収部位が限定される吸収ウィンドウを有する
化合物の経口持続性製剤化に有用な技術であることが明
らかにできた。
800
GSS24_breakfast
GSS24_dinner
Plasma conc. (ng/mL)
0
600
400
*
**
200
14
0
12
0
3
MRT (hr)
10
6
9
12
15
18
21
24
Time (hr)
Fig. 11. Comparison of plasma concentration-time profiles of
pranlukast after breakfast or evening meal administration of
GSS24 to healthy volunteers. *P<0.05, **P<0.01: significantly
different from GSS24_breakfast. Each value is the mean ± S.D.
(n=9).
8
6
4
R² = 0.7206
2
0
0
5
10
15
20
Gastric emptying time (hr)
Fig. 10. The correlation between plasma pranlukast MRT and
gastric emptying time after breakfast administration of GSS24
to healthy volunteers. (n=9).
次に、夕食後投与した際の血漿中動態について評価し
た。FDA の規定する高脂質含有高カロリー食を 21:00 に摂
取した後、GSS24 を服用した際の血漿中濃度推移について
Table 7. Pharmacokinetic parameters of pranlukast after
breakfast or evening meal administration of GSS24 to healthy
volunteers. **P<0.01, significantly different from breakfast.
Each value is the mean ± S.D. (n=9).
Tmax (hr)
Cmax (ng/mL)
AUC (ng/mL・hr)
MRT (hr)
GSS24
Breakfast
Evening meal
7.1 ± 2.8
10.5 ± 1.6**
302.5 ± 184.7
509.5 ± 230.7
2427.2 ± 930.0
3241.5 ± 1078.8
9.2 ± 2.3
9.4 ± 1.2
9.結論
Fig. 11 に示した。夕食後に GSS24 を服用した場合、朝食
後投与のプロファイルに比べて投与 9~12 時間後の血漿
本研究では、難吸収性薬物であるプランルカスト水和物
中薬物濃度は有意に高い結果となった。また、薬物動態学
の経口持続性製剤化を目指して検討を行った。プランルカ
的パラメーターを Table 7 に示した。夕食後投与時の Tmax
スト水和物のヒト消化管吸収部位差を評価し、製剤を胃に
及び AUC はそれぞれ、10.5 時間及び 3241.5 ng*hr/mL と
滞留させて徐放化させる必要があることを明らかとした。
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 1-10 (2014)
胃内滞留性製剤の設計を行い、胃の生理的ストレス下にお
いても膨潤し、かつ持続的に薬物を放出する GSS を設計
した。GSS をビーグル犬に投与して血中動態を評価したと
ころ、即放錠に比べて経口吸収性が有意に向上することを
明らかとした。健常人に GSS を投与後の胃内滞留挙動を
評価したところ、胃に 10 時間以上にわたって滞留するこ
とが明らかとなり、製剤設計のコンセプトが確認できた。
また、その血中濃度は、市販品であるオノン®カプセルに
比べて明らかに持続することを確認し、消化管の吸収部位
が限定される吸収ウィンドウを有する薬物の経口持続性
製剤化に有用な技術であることを提示することができた。
10.謝辞
本研究の遂行にあたり、御指導と御鞭撻を賜りました小
野薬品工業株式会社研究本部水無瀬研究所製剤研究部西
浦昭雄博士、安部和也博士に深謝致します。また、探索臨
床試験を実施するにあたり、
ご尽力頂いた Quotient Clinical
社 Ian Wilding 博士、Alyson Conner 氏に深謝致します。本
研究全般にわたりご協力頂きました岐阜薬科大学製剤学
研究室の各位に感謝致します。
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12.特記事項
本総説は、岐阜薬科大学博士論文(甲 152 号)の内容を
中心にまとめたものである。
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 11-21 (2014)
11
―総説―
膜 貫 通 糖 タ ン パ ク 質 GPNMB の ALS 病 態 に 対 す る
神経保護因子としての可能性
田中彦孝, 鶴間一寛, 嶋澤雅光, 原英彰*
要約:筋萎縮性側索硬化症 (ALS) は上位および下位運動ニューロンが選択的かつ進行性に変性、脱落する重篤な指定神
経難病である。長年、ALS に対する精力的な研究が行われてきたが、現時点で ALS 病態の原因は不明である。本試験に
おいて、変異 Cu/Zn superoxide dismutase (SOD1G93A) 発現 ALS モデルマウスを用いた DNA マイクロアレイ解析を実施し
たところ、glycoprotein nonmetastatic melanoma protein B (GPNMB) が新規 ALS 病態関連因子として同定された。ALS 患者
および ALS モデルマウス脊髄において病態の進行に伴う GPNMB の顕著な増加が認められた。また、GPNMB の発現は、
運動ニューロンおよびアストロサイトにおいて認められた。さらに、運動ニューロン様細胞である NSC34 細胞株を用い
た検討により、
SOD1G93A が GPNMB と結合し GPNMB の糖鎖修飾を阻害することで運動ニューロンの脆弱性が亢進した。
一方、
活性化したアストロサイトでは、GPNMB 細胞外断片の分泌が認められ、
その結果運動ニューロンに対する SOD1G93A
毒性を減弱させた。さらに、ALS 患者血清中の GPNMB 量は、コントロール群および他の中枢神経変性疾患群に比べ高
値を示した。以上より、GPNMB は、ALS の有用な治療標的となる可能性が示唆された。
索引用語:筋萎縮性側索硬化症、膜貫通糖タンパク質 GPNMB、運動ニューロン死
The Potential of GPNMB as a Novel Neuroprotective Factor
in Amyotrophic Lateral Sclerosis
Hirotaka TANAKA, Kazuhiro TSURUMA, Masamitsu SHIMAZAWA, Hideaki HARA*
Abstract: Amyotrophic lateral sclerosis (ALS) is an incurable and fatal neurodegenerative disease characterized by the loss of motor
neurons. Despite substantial research, the causes of ALS remain unclear. Glycoprotein nonmetastatic melanoma protein B (GPNMB)
was identified as an ALS-related factor using DNA microarray analysis with mutant superoxide dismutase (SOD1G93A) mice.
GPNMB was greatly induced in the spinal cords of ALS patients and a mouse model as the disease progressed. It was especially
expressed in motor neurons and astrocytes. In a NSC34 cell line, glycosylation of GPNMB was inhibited by interaction with
SOD1G93A, increasing motor neuron vulnerability, whereas extracellular fragments of GPNMB secreted from activated astrocytes
attenuated the neurotoxicity of SOD1G93A in neural cells. Furthermore, GPNMB expression was more substantial in the sera of
sporadic ALS patients than in other diseased patients. This study suggests that GPNMB can be a target for therapeutic intervention
for suppressing motor neuron degeneration in ALS.
Key phrases: amyotrophic lateral sclerosis, glycoprotein nonmetastatic melanoma protein B, motor neuron death
1.緒
言
ALS) は、1869 年にフランスの神経学の祖であるシャル
コー医師により初めて報告された、極めて重篤な進行性の
筋萎縮性側索硬化症 (amyotrophic lateral sclerosis:
神経変性疾患の一つである。ALS は、上位および下位運
岐阜薬科大学 生体機能解析学大講座 薬効解析学研究室(〒501-1196 岐阜市大学西 1-25-4)
Department of Biofunctional Evaluation, Molecular Pharmacology, Gifu Pharmaceutical University
(1-25-4 Daigakunishi, Gifu 501-1196, JAPAN)
田中彦孝ら:膜 貫 通 糖 タ ン パ ク 質 GP NMB の ALS 病 態 に 対 す る
神経保護因子としての可能性
12
動ニューロンの選択的かつ進行性の変性・脱落を特徴とし
に存在し,各サブユニットには活性中心である銅イオンお
ており、呼吸筋を含めた全身の筋肉の萎縮および脱力を呈
よび構造の安定性に寄与する亜鉛イオンをそれぞれ有し
する。その結果、人工呼吸器の装着および寝たきりが余儀
ている
なくされ、最終的に ALS 患者の半数ほどが発症後平均
に、孤発性 ALS の約 3%に認められる。これまでに報告
3~5 年の間に死亡する。一方、脳の高次機能は正常であり、
された遺伝性 ALS を惹起する SOD1 変異には 150 以上の
また感覚神経や自律神経は障害されないため知覚や痛覚
異なる点変異や C 末端の欠失変異が同定されているが
といった感覚は保たれるのに対し、筋肉の萎縮・脱力のた
必 ず し も SOD1 活 性 の低 下を 伴 わな いこ と、 そし て
め本人の意思による動作および意思表示ができない本疾
SOD1G93A マウスが運動ニューロン症状を示すのに対し、
患は、非常に悲惨かつ残酷な疾患と言える。ALS 病態で
SOD1 ノックアウトマウスでは示さないことから
は、眼球運動障害、膀胱直腸障害および褥瘡も認められな
SOD1 は本来の酵素活性とは関係のない “gain of toxic
いことから、感覚機能の保持と併せて四大陰性徴候と呼ば
function” によって ALS を発症させると考えられている。
れている。ALS の有病率は、人口 10 万人あたり 2~7 人
変異 SOD1 が運動ニューロン内で毒性を示す機序として
とされており、現在我が国において約 9,000 人が本疾患に
は、2 量体を形成して安定化している野生型 SOD1 タンパ
罹患している (2011 年厚生省特定疾患医療受給者証亣付
ク質と比較して、変異 SOD1 はタンパク質の構造変化によ
件数調べ)。
り不溶性・不安定化し凝集能を獲得することに起因すると
Fig. 1 に示すように、ALS 患者の大半は孤発例であるが、
5)
。SOD1 の遺伝子変異は、遺伝性 ALS の約 20%
6)
、
7)
、変異
考えられている。実際、変異 SOD1 による遺伝性 ALS 患
約 10%が遺伝性に発症すると考えられている。遺伝性
者の罹病期間は、変異 SOD1 タンパク質の安定性と相関す
ALS の多くの症例は、家族歴を除けば臨床・病理学的に
ることが示されている
は孤発性 ALS と非常に類似しているため、遺伝性および
異 SOD1 による運動ニューロン死の分子機構としては、プ
孤発性 ALS 間における共通の発症機序の存在が推測され
ロテアソームによるタンパク質分解経路の異常、ミトコン
る。近年の分子遺伝学の進歩により遺伝性 ALS の遺伝子
ドリアの機能異常、酸化ストレス、小胞体ストレス、グル
座が次々と同定され、その多くは常染色体優性遺伝形式を
タミン酸興奮毒性および軸索輸送の異常等が挙げられる
示すが、中には务性遺伝形式を示す家系も報告されている
が
1-2)
。なかでも優性遺伝性 ALS の原因遺伝子として Cu/Zn
superoxide dismutase-1 (SOD1) 遺伝子のミスセンス変異が
1993 年に初めて報告され
3)
、さらに翌年には Gurney らに
より変異ヒト SOD1 (93 番グリシン→アラニン) 遺伝子を
過剰発現させたトランスジェニックマウス (SOD1
ウス) が作製された
G93A
8)
。これまでに提唱されている変
1)
、いずれも決定的な原因には至らない。
上記の様な現状の中、ALS の新たな治療ターゲットを
同定するために、様々な ALS モデル動物
ル細胞株
11)
9-10)
および ALS 患者の神経組織
、ALS モデ
12)
を用いて
DNA マイクロアレイ法による遺伝子発現プロファイルの
マ
解析が積極的に行われてきた。その結果、ALS 病態には
。本マウスは脊髄前角の運動ニュー
炎症因子およびアポトーシス関連因子が大きく関与する
4)
10)
ロンが選択的に変性することにより筋麻痺を生じるため、
こと
が解明されてきた一方で、これらの研究により
ALS の臨床像を非常によく再現しているモデルとして世
ALS 研究における網羅的遺伝子発現解析の問題点が尐し
界中で使用され、ALS 研究は発展してきた。
ずつ浮き彫りとなってきた。その例を以下に示す。
SOD1 は、スーパーオキシドラジカルを無毒化する 153
1)
ヒトおよび動物モデル間の相違性
アミノ酸からなる酵素であり、全細胞質タンパク質の約
2)
発症形態の違い (遺伝性または孤発性) による遺
伝子発現の変化
1%を占めるユビキタスに発現した抗酸化タンパク質の一
種である。活性型 SOD1 はホモ 2 量体としておもに細胞質
3)
組織サンプルの摘出時期の違いによる病態進行度
依存的な差異
Familial ALS (10%)
4)
細胞特異性の違い (運動ニューロン、アストロサ
イトおよびミクログリア等)
結果として、網羅的遺伝子発現解析はその再現性の低さ
故に ALS の治療に向けた科学的かつ合理的なアプローチ
法の開発にまでは至っていない。事実、これまで実施され
Sporadic ALS (90%)
てきた ALS ゲノム研究に関して、試験間における結果の
相同性はわずか 5%であることが報告されている
13)
。し
たがって、ALS の病因解明には単一モデルのみを用いた
検討ではなく、ALS モデル動物および細胞株から臨床サ
Fig. 1
The rate of sporadic an familial ALS
ンプルに至るまで、様々な視点から包括的に標的因子を検
討していくことが必要となっている。
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 11-21 (2014)
13
一方、マイクロアレイ技術は近年大幅に飛躍し、検出感
した cDNA を T7 RNA polymerase および Cy3 labeled-CTP
度向上やゲノムのカバー率の向上によりこれまで検出で
含有 transcription master mix と混合し、40°C で 2 時間反応
きなかった因子の同定が可能となっている。本研究では新
させることにより蛍光標識された cRNA (labeled cRNA)
規 ALS 病態関連因子を探索するために、DNA マイクロア
を生成した。Labeled cRNA は Qiagen’s RNeasy mini spin
G93A
マウス脊髄に
columns (Qiagen) を用いて精製し、30 μL の nuclease-free
おける遺伝子発現解析を行ったところ、新規 ALS 病態関
water に溶出した。cRNA の濃度および純度は、Nanodrop
連候補因子として膜貫通糖タンパク質 nmb (glycoprotein
ND-1000 spectrophotometer (Thermo Fisher Scientific) を用
nonmetastatic melanoma protein B: GPNMB) の同定に成功
いて測定した。DNA マイクロアレイは、Agilent Mouse GE
した。GPNMB は、560 または 572 アミノ酸からなる一回
4x44K
膜貫通型の糖タンパク質であり、メラニン細胞特有のタン
Technologies) を用いて行った。DNA マイクロアレイの実
パク質である melanocyte protein 17 precursor (PMEL17) 前
験結果をスキャッタープロット法にて解析し、WT および
レイ法により ALS 発症後 14 週齢 SOD1
v1
Microarray
(Design
ID:
014868;
Agilent
。GPNMB のマウスおよ
SOD1G93A マウス間における遺伝子発現量の変化を評価し
び ラ ッ ト の オ ル ソ ロ グ と し て 、 そ れ ぞ れ dendritic
た (Fig. 2a)。アレイ上の 41,000 遺伝子の内 27,000 以上の
cell-associated heparin sulfate proteoglycan-dependent integrin
遺伝子を検出した。ALS 病態において、2 倍以上かつ有意
ligand (DC-HIL) およびオステオアクチビン (osteoactivin)
(P < 0.01) に発現増加した遺伝子が 934 個、2 倍以上かつ
駆体に対し高い相同性を示す
が存在している
14)
14)
。1995 年に低転移性メラノーマ細胞株
有意 (P < 0.01) に発現低下した遺伝子が 196 個検出され
および異種移植片において GPNMB が高発現しているこ
た。発現増加した遺伝子群に着目し、上位 5 遺伝子を table
とが報告され、GPNMB はがん細胞の増殖性および転移性
1 に示した。DNA マイクロアレイによる遺伝子発現解析
に関係があると考えられている
。実際に、GPNMB の
発現増加していた。リアルタイム RT-PCR 法は、SYBR
など様々ながん疾患で認められている。また、がん細胞以
Premix Ex TaqTM II および Thermal Cycler Dice® Real Time
外にも骨や皮膚といった様々な組織に幅広く分布してい
System を用いて増幅し、
それぞれの DNA の定量を行った。
ることが知られており、1) 骨芽細胞や破骨細胞の分化促
その結果、WT マウスと比較して SOD1G93A マウスにおい
進
18)
20)
などの様々な機能を有することが近年報告されてきた。
、2) T 細胞活性の減弱
19)
、肝細胞がん
および 3) 筋組織の再生
さらに、2002 年に DBA/2J マウスにおける色素性緑内障
て GPNMB mRNA 量が有意 (P < 0.01) に増加していた
(Fig. 2b)。
a
b
の原因遺伝子として GPNMBR150X 変異が報告されてお
いない。そこで本総説では、運動ニューロン変性を制御す
る新規病態関連因子の探索を行い、同定された GPNMB
の ALS 病態への関与について検討した結果について述べ
100000 1000000
934
196
WT : SOD1G93A = 1 : 1
100
れるが、神経変性疾患への関与はこれまで一切検討されて
SOD1G93A
報告から、GPNMB は様々な疾患に関与することが推測さ
WT : SOD1G93A = 1 : 2
WT : SOD1
。
G93A
= 2: 1
10
る
22)
10
100
1000
10000
WT
2.新規病態関連タンパク質 GPNMB の同定
2. 1. 遺伝子発現プロファイリング:新規 ALS 病態関連因
子を探索するために、DNA マイクロアレイ法を用いて 14
週齢 SOD1G93A マウス脊髄における遺伝子発現解析を行っ
GAPDH
WT G93A
10000
。これらの
1000
り、視神経における発現も確認されている
21)
GPNMB
WT vs. SOD1G93A
100000
1000000
WT G93A
(UM)
603
(UM)
603
310
194
310
194
72
72
(LM)
(LM)
Relative quantity of GPNMB
(folds)
やグリオーマ
16)
の結果、GPNMB 遺伝子が SOD1G93A マウスにおいて最も
17)
発現異常は、乳がん
15)
14)
14
**
12
10
8
6
4
2
0
WT
G93A
Fig. 2 GPNMB mRNA expression in spinal cords of WT
and SOD1G93A mice.
(a) Representative scatter plot comparison of gene expression
with DNA microarray between WT and SOD1G93A mice. (b)
Quantitative real-time polymerase chain reaction. **P < 0.01
versus WT mice (Student’s t-test). UM, upper marker; LM,
lower marker. These results ware cited from ref 22.
た。
脊髄組織より TRIzol reagent および Qiagen RNeasy Mini
Kit を用いて抽出・精製した全 RNA は、Agilent Quick Amp
Labeling Kit を用いて増幅し、Cyanine 3 (Cy3) でラベルし
た。つづいて、500 ng テンプレート RNA および濃度・純
度既知のコントロール RNA を 65°C、10 分間熱変性させ
た後、dT-T7 プロモータープライマーを用いて 40°C、2 時
間反応させ、二本鎖 cDNA に逆転写した。逆転写酵素は
65°C、15 分間の反応により不活化させた。さらに、生成
Log2Ratio
(ALS/WT)
1 glycoprotein (transmembrane) nmb
6.8
2 membrane-spanning 4-domains, subfamily A, member 7
4.8
3 membrane-spanning 4-domains, subfamily A, member 7
4.8
4 chemokine (C-C motif) ligand 4
4.8
5 chemokine (C-C motif) ligand 5
4.6
Table 1. Upregulated gene expression in the spinal cords
of SOD1G93A mice (Top 5).
The result was cited from ref 22.
No. Gene name
田中彦孝ら:膜 貫 通 糖 タ ン パ ク 質 GP NMB の ALS 病 態 に 対 す る
神経保護因子としての可能性
14
2. 2. ALS 病態進行度依存的な GPNMB の発現変化:
ドゲル (SuperSepTM; Wako) を用いて電気泳動により展開
SOD1G93A マウス脊髄組織における GPNMB タンパク質の
した。転写後、PVDF 膜を Blocking One-P によってブロッ
発現変化を免疫染色法を用いて評価した。雄性 SOD1G93A
キ ン グ し た 後 、 Can Get Signal 1 で 希 釈 し た goat
マウスおよび WT マウスにネンブタール 20 mg/kg を腹腔
anti-GPNMB polyclonal antibody (×1/1,000) と 4°C で一晩反
内投与して深麻酔させ、4%パラホルムアルデヒド含有 0.1
応させた。二次抗体には Can Get Signal 2 で希釈した
M phosphate buffer (PB; pH 7.4) を左心室内に注入して灌
HRP-conjugated anti-goat antibody (×1/100,000) を用いた。
流固定 (灌流圧 130 cm H2O) した後、脊髄組織を摘出した。
ImmunoStar LD に 20 秒間振盪した後、Luminescent image
その後、O.C.T. compound にて脊髄を包埋し、速やかに液
analyzer LAS-4000 UV mini (Fujifilm, Tokyo, Japan) で撮影
体窒素で凍結しクリオスタット (CM1850; Leica, Tokyo,
した。14 週齢より 90 kDa の GPNMB 細胞外断片が生じ、
Japan) を用いて、薄切組織切片を作製した。組織切片は
さらに 100 kDa のグリコシル化 GPNMB、65 kDa の非グリ
0.3% H2O2 含有メタノールで 30 分間反応させた後、10%
コシル化 GPNMB および C 末端断片と思われる約 25 およ
normal goat serum で 2 時間ブロッキングした。ブロッキン
び 15 kDa の GPNMB タンパク質の増加が、20 週齢におい
グ後、Can Get Signal immunostain solution A にて希釈した
て認められた (Fig. 3b)。
goat anti-GPNMB polyclonal antibody (×1/50) を用いて 4°C
a
1/1,000) にて 2 時間反応させ、Vectastain Elite ABC kit およ
試薬を用いてカバーグラスで封入した後顕微鏡 (BX50;
Relative quantity of GPNMB (%)
Olympus, Tokyo, Japan) 下 で 観 察 し 、 デ ジ タ ル カ メ ラ
(COOLPIX 4500; Nikon, Tokyo, Japan) を用いて記録した。
免疫染色後の脊髄の輝度値を定量した結果、SOD1G93A マ
ウス脊髄において、10 週齡より ALS 病態の進行に伴い
GPNMB タンパク質の発現量は有意 (P < 0.01) に増加し
b
MW (kDa)
現量の変化は認められなかった (Fig. 3a)。GPNMB は、a
100
どのプロテアーゼにより ectodomain shedding と呼ばれる
切断を受け、分子量 90 kDa の細胞外ドメインが放出され
ることが知られている
23-24)
。Liu らの報告によると、変異
SOD1 を 発 現 し た ミ ク ロ グ リ ア は 、 ADAM10 ま た は
ADAM17 の活性化を介して細胞傷害性サイトカインを放
出することから
25)
、GPNMB は ALS 病態下において酵素
的切断を受けることが予想される。したがって、各週齢の
SOD1G93A マウス脊髄における、GPNMB タンパク質の発
現量をウェスタンブロット法にて評価した。脊髄組織中の
20 weeks
Negative
control
##
2.0
1.6
**
##
WT
G93A
**
##
**
1.2
0.8
0.4
0
6
6
質の発現量は軽微であり、また加齢による GPNMB の発
disintegrin and metalloproteinase (ADAM) 10 や ADAM12 な
14
10
G93A
び DAB peroxidase substrate kit を用いて染色した。EUKITT
た (Fig. 3a)。一方、WT マウスにおける GPNMB タンパク
6
WT
で一晩反応させた。その後、biotinylated anti-mouse IgG (×
14
10
10
14
20
20
weeks
weeks
WT G93A WT G93A WT G93A WT G93A
Glycosylated
GPNMB
90
Extracellular
fragment
65
Nonglycosylated
GPNMB
25
C-terminal
fragment
15
-actin
Fig. 3 GPNMB expression in spinal cords of WT and
SOD1G93A mice.
(a) Time-dependent increase in GPNMB in the lumber spinal
cords of SOD1G93A mice. Bar = 50 μm. **P < 0.01 versus WT
mice (Student’s t-test). ##P < 0.01 versus 6-week-old SOD1G93A
mice (Dunnett's test). (b) Cleavage and up-regulation of
GPNMB during disease progression in SOD1G93A mice. These
results ware cited from ref 22.
タンパク質抽出は、RIPA buffer (50 mM Tris-HCl、150 mM
NaCl、0.5% sodium deoxycholate、0.1% SDS、1% Igepal
2. 3. SOD1G93A マウス脊髄における GPNMB の局在:
CA-630、1/100 protease inhibitor cocktail、1/100 phosphatase
GPNMB 陽性細胞を同定するために、14 週齢 SOD1G93A マ
inhibitor cocktail II お よ び 1/100 phosphatase inhibitor
ウス脊髄を用いて蛍光免疫二重染色を行った。一次抗体は、
cocktail III 含有) 100 µL を組織の入ったマイクロチューブ
goat anti-GPNMB polyclonal antibody (×1/50) 、 mouse
に添加し、ホモジナイザー (Physcotron, Microtec, Chiba,
anti-NeuN monoclonal antibody (×1/250)、mouse anti-GFAP
Japan) によりホモジネート処理を行った。その後、10,000
monoclonal antibody (×1/1,000)、rabbit anti-Iba-1 antibody
× g、4°C、20 分間遠心分離し、その上清をタンパク質抽
(×1/1,000) を用いた。二次抗体は、 Alexa 488-conjugate
出液とした。BCA 法によりタンパク質濃度を定量後、RIPA
rabbit anti-mouse IgG (×1/1,000)、Alexa 546-conjugate rabbit
buffer および等量の sample buffer solution (2ME+) (×1/4) を
anti-goat IgG (×1/1,000) 、 Alexa 488-conjugate donkey
添加し、各サンプルのタンパク質濃度を 5 または 2 μg/mL
anti-goat IgG (×1/1,000) 、 Alexa 546-conjugate donkey
とした。調製したサンプルを、5-20%のポリアクリルアミ
anti-rabbit IgG (×1/1,000) を用いた。SOD1G93A マウス脊髄
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 11-21 (2014)
15
灰白質 (gray matter) における運動ニューロンに相当する
未成熟な非グリコシル化 GPNMB の発現量は変化しなか
NeuN 陽性細胞、GFAP 陽性星状アストロサイトおよび白
った (Figs. 5a, c)。また、NucleoSpin RNA II を用いて全
質 (white matter) における GFAP 陽性繊維状アストロサイ
RNA を抽出し、PrimeScript RT Master Mix を用いて cDNA
トにおいて GPNMB タンパク質の発現が認められた (Figs.
を作製した後、リアルタイム RT-PCR を実施したところ、
4a, b)。一方、Iba-1 陽性活性化ミクログリアにおける発現
SOD1G93A は GPNMB mRNA の発現には影響を及ぼさなか
は認められなかった (Figs. 4a, b)。WT マウス脊髄では、
った (Fig.5d)。本結果より、SOD1G93A は GPNMB の翻訳
NeuN 陽性運動ニューロンにおける GPNMB の発現が認め
後の成熟過程に影響を与え、その結果グリコシル化
られたが、アストロサイトおよびミクログリアでの発現は
GPNMB タンパク質の低下につながることが推測された。
認められなかった (Figs. 4a, b)。
変異 SOD1 は、translocon-associated protein、heat shock
a
protein 25 (Hsp25)、Hsp/heat shock cognate 70 (Hsp/Hsc70)
b
G93A
WT
G93A
お よ び degradation in endoplasmic reticulum protein 1
(Derlin-1) などの様々なタンパク質と相互作用すること
26-27)
が知られている
SOD1
G93A
。 し た が っ て 、 GPNMB お よ び
間の相互作用を免疫沈降法により検討した。本
試験は Pierce Classic IP kit を用いて実施した。Myc 標識
SOD1G93A を 導 入し た NSC-34 細 胞 で は、 SOD1G93A と
GPNMB の共沈降が認められ、さらにポリユビキチン化さ
れた GPNMB の存在が確認された (Fig. 5e)。
一方、SOD1WT
発現細胞では、上記所見は認められなかった (Fig. 5e)。免
3. 1. GPNMB に対する SOD1G93A の影響:運動ニューロン
における GPNMB の発現が、SOD1G93A によりどのような
GPNMB は細胞質に凝集体を形成していることが明らか
になった (Fig. 5f)。つづいて、GPNMB siRNA を用いて、
GPNMB の発現低下に伴う SOD1G93A 毒性に対する抵抗性
の変化を検討した。GPNMB タンパク質の発現低下により、
SOD1G93A による死細胞数の増加 (Fig. 5g) および細胞生
存率の低下が認められた (Fig. 5h)。
a
0h
WT
e
収し試験に用いた。なお、12 および 24 穴プレートを用い
た場合の細胞、DNA および各試薬の量は、それぞれ 96
穴プレートの 5 および 10 倍量とした。遺伝子導入 6 時間
後に抗生物質含有培地に亣換し、遺伝子導入 2.5 日後に一
度培地亣換を行った後、5 日後に試験に用いた。遺伝子導
入により、NSC-34 細胞へ SOD1WT および SOD1G93A を発
現させた結果、SOD1WT と比較して SOD1G93A を発現させ
た細胞では、成熟したグリコシル化 GPNMB タンパク質
の発現量が有意 (P < 0.05) に低下した (Figs. 5a, b)。一方、
80
*
60
40
20
1.5
1.0
150
100
80
60
40
20
0h
48h
GPNMB
Ubiquitin
Hoechst
48h
Merged
Mock
GPNMB-Ubn
WT
75
IB: SOD1
IB: GPNMB
10% input
IB: SOD1
G93A
g
1% FBS
WT
Mock
GFP
120
0
WT G93A
100
0.5
WT
PI/Hoechst
WT
G93A
140
f
IP: GPNMB
IB: Poly-ubiquitin
250
0.0
Merged
抗生物質含有培地に亣換した後、各時間において細胞を回
100
0
d
37°C、5% CO2 の条件下で一晩培養した。翌日各穴 50 μL
合・添加し、遺伝子導入を行った。遺伝子導入 6 時間後に
120
0h
になるように抗生物質不含有の培地を用いて播種し、
ラスミドおよび 0.5 µL の Lipofectamine 2000 Reagent を混
160
WT
G93A
140
ß-actin
35,000 細胞/well または 6 穴プレート中に 200,000 細胞/well
の Opti-MEM、0.2 µg の SOD1WT または SOD1G93A 発現プ
c
160
G93A
Myc
Relative quantity of GPNMB
(folds)
96 穴プレート中に 7,000 細胞/well、24 穴プレート中に
WT
Non-glycosylated
GPNMB
影響を受けるかを検討した。今回試験に用いた NSC-34 細
胞は、Cellmatrix Type I-C を用いてコーティングを行った
b
48h
G93A
Glycosylated
GPNMB
Non-glycosylated GPNMB
(% of WT)
3.GPNMB の薬理学的作用
疫蛍光染色による可視化により、ポリユビキチン化された
Glycosylated GPNMB
(% of WT)
Fig. 4 GPNMB expressing cells in the spinal cord.
Enhanced GPNMB immunoreactivity in NeuN-positive motor
neurons and GFAP-positive astrocytes, but not in
Iba-1-positive microglia in the spinal cord gray (a) or white (b)
matter of 14-week-old SOD1G93A mice. Bar = 50 μm. These
results ware cited from ref 22.
Negative
control
GPNMB
siRNA
G93A
h
G93A
Negative
GPNMB
control
siRNA
#
120
Cell viability (% of mock)
WT
White matter
GPNMB/Iba-1 GPNMB/GFAP
GPNMB/NeuN GPNMB/Iba-1 GPNMB/GFAP
Gray matter
100
**
**
Negative GPNMB
control
siRNA
Negative GPNMB
control
siRNA
80
60
40
20
0
Mock
WT
G93A
Fig. 5 Downregulation of glycosylated GPNMB through
interaction with SOD1G93A, leading to motor neuron death.
(a-c) Expression of GPNMB. *P < 0.05 versus SOD1WT
(Student’s t-test). (d) RT-PCR. (e) Immunoprecipitation with an
antibody to GPNMB (IP: GPNMB) and analyzed using
immunoblotting with antibodies to ubiquitin, GPNMB, and
Myc. (f) Confocal photomicrographs; GPNMB (green),
ubiquitin (red), and Hoechst 33342 (blue). GPNMB are partly
colocalized with ubiquitin (arrowheads). Bar = 5 μm. (g, h)
NSC34 cells were cotransfected with small interfering RNA
(siRNA) against GPNMB or a nonspecific sequence (negative
control) and EGFP-tagged mock, SOD1WT, or SOD1G93A for 48
田中彦孝ら:膜 貫 通 糖 タ ン パ ク 質 GP NMB の ALS 病 態 に 対 す る
神経保護因子としての可能性
h. Representative fluorescence microscopy showing nuclear
staining for Hoechst 33342 (blue) and propidium iodide (red)
(g). FBS, fetal bovine serum. The cell viability was reduced 48
h after the cotransfection of siRNA and SOD1G93A (h). #P <
0.05 versus mock (Student’s t-test). **P < 0.01 versus each
negative control (Tukey’s test). Bar = 100 μm. These results
ware cited from ref 22.
3. 2. GPNMB の神経保護作用:本章 2. 2.では、GPNMB タ
ンパク質は ALS 病態下で ectodomain shedding を受け細胞
外へ放出される可能性を示した。本結果に基づき、つづい
て SOD1G93A による細胞障害に対するリコンビナント細胞
外 GPNMB 断片の作用を検討した。NSC-34 細胞に mock、
SOD1WT または SOD1G93A 発現プラスミドを導入した後、
48 時間後に FBS を含まない培地に置換し、GPNMB (0.025,
0.25, 2.5 μg/mL) を添加し、さらに 24 時間培養した。
SOD1G93A 発現プラスミドを導入した NSC-34 細胞に血清
除去処置を行うことにより、対照群と比較して PI 陽性細
胞数が有意 (P < 0.05) に増加した (Fig. 6a)。リコンビナ
ント GPNMB は、SOD1G93A および血清除去により誘発さ
れた PI 陽性細胞数の増加を濃度依存的かつ 0.25 および
2.5 μg/ml の濃度で有意 (P < 0.05 または 0.01) に抑制した
(Fig. 6a)。また、過去に GPNMB 細胞外断片による刺激に
より生存シグナルに関与する ERK1/2 のリン酸化が促進
されることが報告されており
23)
、さらに GPNMB 細胞外
断片は SOD1G93A による細胞死を抑制したことから、つづ
いてリコンビナント GPNMB による ERK1/2 および細胞生
標識 mock、SOD1WT または SOD1G93A 発現プラスミドを導
入後 5 日間培養し、その培養上清を回収した。さらに
human Osteoactivin/GPNMB DuoSet を用いて ELISA を実施
し、培養上清中に含まれる GPNMB タンパク質量を定量
した。Mock および SOD1WT 発現細胞両群間では培養上清
中の GPNMB 含有量に差が認められなかったが、
SOD1G93A
発現細胞では他の二群に比べ有意 (P < 0.01) に増加して
いた (Fig. 6e)。さらに、培地中の GPNMB 量増加に伴い、
有意 (P < 0.05) な MMP3 タンパク質の活性化
(active-MMP3) および MMP9 (pro-MMP9) タンパク質の
発現量の増加が認められた (Fig. 6f)。さらに、分泌された
GPNMB の SOD1G93A 誘発細胞障害に対する作用を検討し
た。NHAs に myc 標識 SOD1G93A 発現プラスミドを導入後
5 日間培養し、その培養上清 (conditioned media: CM) を回
収した。つづいて、rabbit anti-GPNMB polyclonal antibody
を用いた免疫沈降により培養上清中の GPNMB を除去し
た (IP: GPNMB)。対照群には normal rabbit IgG を用いた
(IP: C)。SOD1G93A を導入した NSC-34 細胞は、免疫沈降を
実施していないアストロサイト培養上清 (ABM-CM)、IP:
GPNMB 培養上清および IP: C 培養上清にそれぞれ置換し
た。IP: GPNMB 培養上清の添加により、ABM-CM 群また
は対照群と比較して有意 (P < 0.01) に PI 陽性細胞数が増
加した (Fig. 6g)。
a
b
Control
C
存シグナルに関与する Akt のリン酸化レベルの変化を検
G93A/GPNMB
(2.5 µg/mL)
% of PI positive cells
14
討した。リコンビナント GPNMB 処置により、ERK1/2 お
GPNMB
(2.5 µg/mL)
よび Akt タンパク質のリン酸化が有意 (P < 0.05 または
おいて、病態進行に伴う GPNMB タンパク質の発現増加
が認められたが (Fig. 3)、NSC-34 細胞を用いた in vitro 試
2
Total Akt
C
V
0.025 0.25
G93A
験では、SOD1
の影響により運動ニューロンにおける
GPNMB タンパク質の発現量は減尐した (Fig. 5)。そこで、
SOD1G93A マウス脊髄において運動ニューロン同様
GPNMB タンパク質を発現していたアストロサイトに注
目した。Normal human astrocytes (NHAs) は growth medium
を添加した Astrocyte Basal Medium (ABM) を用いて 37ºC、
5% CO2 中にて培養した。96 穴プレート中に 10,000 細胞/
well または 12 穴プレート中に 40,000 細胞/well になるよう
に抗生物質不含有 ABM を用いて播種した NHAs に myc
2.5 µg/mL
ß-actin
d
G93A/LY294002G93A/U0126
14
**
**
**
##
10
8
PI
4
Merged
0
LY294002
U0126
GPNMB
G93A
f
##
WT
−
−
−
−
ProMMP3
ActiveMMP3
250
MMP9
200
Glycosylated
GPNMB
ProMMP9
ActiveMMP9
150
Non-glycosylated
GPNMB
300
100
GFAP
50
Myc
Mock
WT
G93A
ß-actin
−
−
−
+
+
−
−
+
−
+
−
+
−
−
+
+
−
+
+
+
+
−
+
+
g
G93A
MMP3
**
350
0
G93A
2.5
12
e
GPNMB in the medium (pg/mL)
マウス脊髄に
min
2
加することによりリコンビナント GPNMB の細胞保護作
じる。In vivo における検討では、SOD1
60
6
MEK) 阻害剤である U0126 (5 μM) を GPNMB と同時に添
G93A
45
p-Akt
GPNMB 2.5 µg/mL
G93A/vehicle
30
4
c
Control
10
Total
ERK
**
6
GPNMB
G93A + Serum free
キナーゼキナーゼ (mitogen-activated protein kinase kinase:
これまでの結果を総合的に判断すると一つの矛盾が生
*
8
0
LY294002 (20 μM) または分裂促進因子活性化タンパク質
用は有意 (P < 0.01) に抑制された (Figs. 6c, d)。
10
% of PI positive
cells
ナ ー ゼ (phosphoinositide 3-kinase: PI3K) 阻 害 剤 で あ る
5
p-ERK
#
12
Hoechst
0.01) に亢進した (Fig. 6b)。また、ホスホイノシチド 3 キ
GPNMB 2.5 µg/mL
G93A/vehicle
CM
ABM
IP: GPNMB IP: normal IgG
##
% of PI positive cells
16
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
**
CM
Fig. 6 The extracellular fragments of GPNMB attenuated
the neurotoxicity of SOD1G93A.
(a) The recombinant GPNMB at 0.25–2.5 μg/mL demonstrated
a protective effect against SOD1G93A-induced cell death. #P <
0.05 versus control (Student’s t-test). *P < 0.05, **P < 0.01
versus vehicle (Dunnett’s test). Bar = 100 μm. (b)
Phosphorylated ERK1/2 and phosphorylated Akt level after
GPNMB treatment. (c, d) The effect of GPNMB against
SOD1G93A-induced cell death was eliminated by LY294002 at
20 μM or by U0126 at 5 μM. ##P < 0.01 versus control
(Student’s t-test), **P < 0.01 versus SOD1G93A alone or
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 11-21 (2014)
2 回浸し透徹した後、EUKITT 試薬にて封入した。G93A/マウスで認められた運動ニューロン数の有意 (P < 0.01)
な減尐は、GPNMB の過剰発現により有意 (P < 0.01) に抑
制された (Fig. 7h)。
a
-/-
-/GPNMB
G93A/-
ß-actin
3. 3. ALS 病態に対する GPNMB の作用:ALS 病態に対す
d
ス) を作製した (Fig. 7a)。SOD1
G93A
マウス [B6SJL-Tg
(SOD1-G93A) 1Gur/J] お よ び WT マ ウ ス は 、 Jackson
Laboratory (Bar Harbor, ME, USA) より購入した。GPNMB
された。実験を行うにあたっては、岐阜薬科大学動物飼
*
300
0.6
0.4
G93A/-
200
G93A/0.2
G93A/GPNMB
100
G93A/GPNMB
0
80
90
100
110
120
80
130
90
100
Days
e
110
Days
f
120
130
g
1
Cumulative survival
二川 健教授から譲与
**
400
0
過剰発現マウス (BDF1) は徳島大学大学院ヘルスバイオ
サイエンス研究部生体栄養学分野
0.8
育・動物実験委員会に動物実験承認申請を行い、許可を受
120
0.8
G93A/GPNMB
0.4
20
110
100
15
10
0.2
90
0
けた上で実施した。また、遺伝子組み換え動物は、岐阜薬
25
**
G93A/0.6
Days
ダブルトランスジェニックマウス (G93A/GPNMB マウ
1
*
500
Days
/GPNMB
##
*
600
Latency to fall off the rod (sec)
る GPNMB の作用を検討するために、SOD1
GPNMB
WT
V5-tagged
GPNMB
c
G93A
b
G93A/GPNMB
Onset
SOD1G93A treated with GPNMB (Tukey’s test). Bar = 100 μm.
(e) Quantitative analysis of GPNMB in the conditioned media
(CM). ##P < 0.01 versus mock, **P < 0.01 vs. SOD1wt
(Tukey’s test). (f) Expressions of GPNMB, MMP3, MMP9,
and GFAP in NHA transfected with Myc-tagged SOD1wt or
SOD1G93A. (g) CM from NHA transfected with SOD1G93A were
immunoprecipitated with an antibody to GPNMB (IP:
GPNMB) or control nonimmune antibody (IP: C) and added to
NSC34 cells. ##P < 0.01 versus astrocyte basal medium, **P <
0.01 versus IP: C (Student’s t-test). Bar = 100 μm. These
results ware cited from ref 22.
17
5
0
0
100
110
120
130
140
150
G93A/- G93A/GPNMB
G93A/- G93A/GPNMB
Days
換え実験申請を行い、許可を得て使用した。 V5 標識
GPNMB タンパク質は、G93A/GPNMB マウス脊髄中で顕
著に増加していた (Fig. 7b)。運動機能保持能力評価は小動
物用ローターロッド装置用いて実施した。5 rpm で回転さ
h
-/-
G93A/-
G93A/GPNMB
No. of motor neurons
科大学生命倫理・バイオセーフティー委員会に遺伝子組み
##
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
-/-
**
G93A/-
G93A/GPNMB
G93A/-および G93A/GPNMB マウス間で差は認められな
Fig. 7 Regulation of ALS pathogenesis by GPNMB.
(a) Non-transgenic (-/-), GPNMB (-/GPNMB), SOD1G93A
(G93A/-),
and
SOD1G93A/GPNMB
double-transgenic
(G93A/GPNMB) mice at approximately 5 weeks old. (b) The
protein expression levels of V5-tagged GPNMB. (c) Motor
performance assessed using the rotarod test for G93A/- and
G93A/GPNMB mice. ##P < 0.01 versus G93A/- mice (two-way
repeated measure ANOVA). *P < 0.05, **P < 0.01 versus
G93A/- mice (Student’s t-test). (d) Age of disease onset. P <
0.01 (log-rank test). (e) Survival curve. P < 0.05 (log-rank test).
(f, g) Mean onset (f) and mean duration of disease progression
(from onset to end stage; g). **P < 0.01 versus G93A/- mice
(Student’s t-test). (h) Cresyl violet staining. ##P < 0.01 versus
non-transgenic (-/-) mice, **P < 0.01 versus SOD1G93A
(G93A/-) mice. Bar = 25 μm. These results ware cited from ref
22.
かったが (Fig. 7g)、G93A/GPNMB マウスにおける生存期
3. 4. ALS 患者脊髄、
脳脊髄液および血清における GPNMB
間は、G93A/-マウスと比較して 8.2%延長した (Fig. 7e)。
の発現:ELISA を用いて孤発性 ALS 患者 (SALS) 脳脊髄
各群の平均生存期間は、[G93A/GPNMB (n = 10), 128.9 ±
液 (CSF)および血清中に含まれる GPNMB 量を検討した。
2.0 日 (mean ± SEM); G93A/- (n = 10), 119.1 ± 2.4 日 (mean
対照患者群と比較して ALS 患者群において CSF 中の
± SEM)] であった。さらに、15 週齢 G93A/GPNMB マウ
GPNMB 量の有意 (P < 0.01) な増加が認められた (Fig.
ス脊髄における GPNMB の運動ニューロン保護作用につ
8a)。
同様に ALS 患者血清中の GPNMB 量を定量した結果、
いて検討した。運動ニューロンはクレシルバイオレットを
対照患者群、アルツハイマー病患者群およびパーキンソン
用いて染色した。凍結切片を 0.01 M phosphate buffered
病患者群と比較して GPNMB の有意 (P < 0.01) な増加が
saline (PBS; pH 7.4) に浸して O.C.T. compound を洗浄した
認められた (Fig. 8b)。また、脊髄組織における GPNMB
後、
0.1%クレシルバイオレット液に 10 分間浸して染色後、
の発現を免疫組織学的に検討した。GPNMB は対照患者お
蒸留水で 2 分間 2 回洗浄し、70%、95%、99%、無水エタ
よび ALS 患者脊髄の両方において発現していたが、
ノールの順に 3 分間ずつ浸し脱水した。キシレンに 5 分間
GPNMB の凝集体が ALS 患者脊髄において観察され、そ
せたロッド上を 5 分間歩行させ、それを一週間繰り返し行
った (訓練施行)。測定試行は、5 rpm で回転させたロッド
上を歩行させ、マウスがローター上から落下するまでの滞
在時間を測定した (最大 10 分間)。一回の試行につき 3
回行い、最も滞在時間が長いものを記録した。本試験は週
2 回行い、装置から落下した時点を ALS の発症と定義し
た。また、マウスの正向反射が 15 秒間消失した時点を死
亡とした。GPNMB の過剰発現により、ローターロッドの
保持時間および発症の有意 (P < 0.01) な遅延が認められ
た (Figs. 7c, d, f)。発症から死亡までの平均罹病期間は、
田中彦孝ら:膜 貫 通 糖 タ ン パ ク 質 GP NMB の ALS 病 態 に 対 す る
神経保護因子としての可能性
18
の有意 (P < 0.01) な増加が認められた (Fig. 8c)。一方、
SOD1G93A の発現による細胞内 GPNMB 量の減尐およびそ
この凝集体は対照患者群においては観察されなかった
れに伴う細胞脆弱性の亢進 (Fig. 5) は、ユビキチン・プロ
(Fig. 8c)。
テアソーム系による GPNMB の分解に起因するものと推
a
b
**
45
3.0
**
40
GPNMB (ng/mL)
2.5
GPNMB (ng/mL)
測される。また、変異 SOD1 自身も Dorfin などのユビキ
50
2.0
1.5
1.0
チ ン リ ガ ー ゼ や Hsp/Hsc70-CHIP (carboxyl terminus of
Hsc70-interacting protein) 複合体との結合により、ポリユ
35
30
ビキチン化されプロテアソームで分解されることから
25
20
27-29)
、変異 SOD1 の分解への関与が示唆された。
15
10
0.5
GPNMB の特徴として、細胞外ドメインが ADAM10 や
5
0
0.0
Control
ADAM12 などのプロテアーゼにより ectodomain shedding
SALS
c
と呼ばれる切断を受け、細胞外に放出される
Control 1
Control 2
。本試験
において細胞外フラグメントである 90 kDa GPNMB の 14
SALS 2
SALS 3
Relative quantity of
GPNMB deposition (folds)
6
SALS 1
24)
Control 3
**
5
4
められたことから (Fig. 3)、ALS 病態において GPNMB の
3
細胞外断片が切断され、病態の進行に影響を及ぼしている
2
可能性が考えられる。実際に、 in vitro 試験において
1
0
Control
SALS
Fig. 8 Representation of GPNMB protein in cerebrospinal
fluid (CSF), sera, and lumber spinal cord tissues of
sporadic ALS (SALS) patients. (a, b) The amount of GPNMB
secreted into CSF (a) or sera (b). Values are mean ± SEM (n =
10 to 28). **P < 0.01 versus control (Mann–Whitney U-test;
CSF samples). **P < 0.01 versus controls and patients with
Alzheimer and Parkinson diseases (Tukey’s test; sera samples).
(c) Representative photographs are shown for the lumber spinal
cords in the control and SALS patients. Extracellular
deposition of GPNMB is observed in the lumber spinal cords
of SALS (arrows). Scale bar = 100 μm. Values are mean ±
SEM (n = 3). **P < 0.01 versus controls (Student’s t-test).
These results ware cited from ref 22.
4.考
および 20 週齢の SOD1G93A マウス脊髄における増加が認
GPNMB 細胞外断片は神経細胞の生存に関与する ERK1/2
および Akt の活性化を介して、SOD1G93A の誘発神経細胞
死に対する保護作用を示した (Fig. 6)。Rose らの報告によ
ると、GPNMB はアポトーシスの抑制および血管新生の促
進によりがん細胞の増殖能を亢進させる
24)
。反対に、
GPNMB 特異的抗体である CDX-011 は、GPNMB 高発現
乳がん細胞のアポトーシスを促進させることで抗がん作
用を示す
30)
。さらに、線維芽細胞への GPNMB 細胞外断
片添加により ERK1/2 のリン酸化が促進されることから
23)
、細胞外に放出された GPNMB は、MEK/ERK および
PI3K/Akt 経路を介して神経細胞の生存シグナルを活性化
させることが示唆された。
察
In vitro 試験における SOD1G93A を導入した NSC-34 細胞
本検討により、新規 ALS 病態関連因子を同定する目的
では、GPNMB タンパク質量が低下した (Fig. 5)。一方、
マウスを用いて DNA マイクロアレイ法によ
SOD1G93A マウス脊髄において GPNMB は増加しており一
る遺伝子発現解析を実施した。同定された GPNMB は、
見矛盾しているように考えられる。しかしながら、免疫組
ALS 病態に深く関与し、神経保護作用を有することが明
織学検討により GPNMB は運動ニューロン以外に活性化
らかになった。
アストロサイトに発現していることが明らかになった
で、SOD1
G93A
タンパク質の合成の過程で生じる不良タンパク質は、
(Fig. 4)。したがって、運動ニューロンでは SOD1G93A タン
細胞の恒常性を維持するために最終的に分解除去される
パク質が発現することにより GPNMB が発現低下する一
が、その主体となる真核細胞における大規模なタンパク質
方で、活性化アストロサイトにおいて発現増加したことが
分解系の一つに『ユビキチン・プロテアソーム系』がある。
推測される。実際に、SOD1G93A を導入した NHAs では、
ユビキチン・プロテアソーム系において、多数のユビキチ
非グリコシル化 GPNMB の発現上昇傾向が認められた
ン分子が枝状につながったポリユビキチン鎖に標識され
(Fig. 6)。
たタンパク質はプロテアソームに運ばれ加水分解を受け
本試験の結果を踏まえて治療的観点から考察すると、
る。ALS の病理学的特徴の一つとしてユビキチン陽性封
GPNMB 特異的な切断酵素を同定し、さらにこれらの酵素
、病理学的診断上における重要
群を活性化することにより、可能な限り早期に GPNMB
な所見となっていることからも、ALS 病態を考える上で
の ectodomain shedding を促すことが ALS の治療戦略につ
ユビキチン・プロテアソーム系は非常に重要である。本試
ながると考えられる。第一章でも述べたように、近年アス
入体の存在が報告され
28)
と結合し、
トロサイトとミクログリアなどの非神経細胞が ALS 病態
さらにポリユビキチン化を受け細胞質内に凝集体を形成
に深く関与していることが報告されており、ALS の運動
していることが明らかとなった (Fig. 5)。したがって、
ニューロン死は「非細胞自律性運動神経細胞死」と見なさ
験において、GPNMB タンパク質は SOD1
G93A
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 11-21 (2014)
31)
れている
19
。本試験により、活性化アストロサイトに発
胞に対して毒性を示すと考えられている。今回脊髄内にお
現している GPNMB は ectodomain shedding を受け細胞外
いて凝集体が観察された GPNMB はメラニン細胞特有の
へ放出されることが明らかになった (Fig. 6)。アストロサ
タ ンパク質 である PMEL17 と の相同性 が高い 。この
イトは、神経栄養因子の放出などの神経細胞の恒常性維持
PMEL17 は前アミロイドオリゴマーであり、アミロイド線
に働く多くの重要な機能を有することが知られている
GPNMB のグリコシル化は、SOD1
G93A
32)
。
維を形成することが報告されている
38)
。ALS 病態におい
との相互作用によ
て GPNMB の発現量が増加し、細胞外フラグメントが切
り抑制され、結果として運動ニューロンの脆弱性を増加さ
断されることで GPNMB も同様にアミロイド線維を形成
せた (Fig. 5)。さらに、活性化アストロサイトは GPNMB
して凝集する可能性が考えられる。アミロイド線維は一般
の細胞外断片を分泌することで運動ニューロンにおける
的に不溶性のクロス β シート構造の集合体であり、アミロ
SOD1
G93A
の神経毒性を減弱させた (Fig. 6)。これらの結果
イドの凝集体のなかにはアミロイド β のように毒性を示
33)
より、運動ニューロンのような周辺細胞の恒常性を維持す
すと考えられているものも存在する
るために、活性化アストロサイトからの GPNMB の分泌
PMEL17 はメラニンを形成するタンパク質でありアミロ
が促進されていることが示唆される。In vivo 試験では、
イド線維を形成することで、紫外線ストレスおよび酸化ス
GPNMB を過剰発現した SOD1
G93A
マウスは有意に発症を
トレスを軽減することが知られている
。しかし、この
39)
。したがって、
遅らせ生存期間を延長させたが (Fig. 7)、その効果は当初
ALS 患者脊髄において観察された GPNMB の凝集体も
予想していたよりも微弱であった。その理由の一つとして、
ALS 病態において生じる酸化ストレスに対して保護作用
運動ニューロン変性および活性化アストロサイトからの
を示している可能性が考えられる。また、本試験では脊髄
GPNMB の分泌が生じる病態時期の違いが考えられる。過
組織だけでなく ALS 患者 CSF および血清中において
去の検討により、SOD1
G93A
マウスの運動ニューロンの脱
GPNMB 量 が 増 加 し て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。
落は発症前の 10 週齢より生じることを認めているが、切
GPNMB は前述した通り、ADAM10 により切断される膜
断型 90 kDa GPNMB の増大は 14 週齢以降でしか認められ
タンパク質である。本試験において、運動ニューロン変性
なかった (Fig. 3)。GPNMB 細胞外断片は SOD1
G93A
誘発神
を抑制するために,脊髄における GPNMB 細胞外断片が
経細胞死を抑制する作用を有するにも関わらず、その分泌
増加した結果、CSF および血中への移行量が増加した可
が促進される時期が比較的病態後期であるため、本来の効
能性が示唆された。したがって、GPNMB は ALS のバイ
力を十分に示すことができなかった可能性が考えられる。
オマーカーとして有用なツールとなることが考えられる。
したがって、ALS 病態の比較的早い段階において GPNMB
の ectodomain shedding を促進することが重要であると考
えられる。
上記の結果および考察を踏まえて、ALS 病態における
Motor Neuron
Astrocyte
Non-glycosylated GPNMB
synthesis
Glial activation by mutant
SOD1
Bind with mutant SOD1
GPNMB の修飾過程を Fig. 9 に示した。運動ニューロンに
おいて、GPNMB は SOD1G93A タンパク質と相互作用しポ
リユビキチン化を受けることで、細胞内のグリコシル化成
Poly-ubiquitination of
GPNMB
Activation of sheddase
GPNMB degradation
Shedding of GPNMB
熟 GPNMB タンパク質が減尐する。その結果、細胞自身
の脆弱性が亢進し運動ニューロン死へと至る。一方、活性
化アストロサイトでは、運動ニューロン死を抑制するため
に、GPNMB は切断を受け積極的に細胞外に放出される。
Cell vulnerability ↑↑
Extracellular GPNMB ↑↑
このように GPNMB は発現する細胞の違いにより異なっ
た修飾過程を経て ALS 病態に関与していることが推測さ
れる。
さらに、臨床サンプルを用いた試験により、ALS 患者
脊髄における GPNMB の凝集体が観察された (Fig. 8)。疾
患部位における凝集体形成は、多くの神経変性疾患におい
て確認されており、例えばアルツハイマー病におけるアミ
ロイド β 33)、ハンチントン病におけるポリグルタミンタン
パク質
34)
れている
、プリオン病におけるプリオン
35)
などが知ら
36)
。近年、ALS においても新規 ALS 関連異常タ
ンパク質として TDP-43 の蓄積が報告された
37)
。これら
の異常タンパク質は神経細胞内に封入体を形成し、神経細
Cell death
Fig. 9 Hypothesized mechanisms for GPNMB regulation of
motor neuron degeneration in ALS.
In motor neurons, glycosylation of GPNMB is inhibited by the
interaction with SOD1G93A and GPNMB polyubiquitination.
The downregulation of glycosylated GPNMB increases motor
neuron vulnerability, ultimately triggering motor neuron death.
Activated astrocytes secrete the extracellular fragments of
GPNMB. The secretion of GPNMB is mediated by
metalloproteinases such as a disintegrin and metalloproteinases
20
田中彦孝ら:膜 貫 通 糖 タ ン パ ク 質 GP NMB の ALS 病 態 に 対 す る
神経保護因子としての可能性
and the fragments attenuate the neurotoxicity of SOD1 G93A in
motor neurons. Promoting the release of GPNMB extracellular
fragments may rescue the motor neurons. The image was cited
from ref 22.
以上、本研究では in vivo および in vitro ALS モデルおよび
ALS 患者サンプルを用いて、新規 ALS 病態関連因子
GPNMB が ALS 病態に深く関与していることを初めて示
した。GPNMB は運動ニューロン変性を抑制することで、
運動ニューロンの恒常性維持に重要な役割を果たしてい
る。さらにヒト ALS 患者 CSF、血清および脊髄中におけ
る GPNMB の 発 現 量 の 増加が 認 め ら れた こ とか ら 、
GPNMB は、有用な ALS の新規治療標的およびバイオマ
ーカーとなる可能性が示唆された。
5.結
論
新規 ALS 病態関連因子 GPNMB が運動ニューロン変性
を抑制し、運動ニューロンの恒常性維持に寄与することで
ALS 病態に深く関与していることが初めて示された。動
物モデルのみならずヒト ALS 患者 CSF、血清および脊髄
中における GPNMB の発現量の増加が認められたことか
ら、GPNMB は有用な ALS の新規治療標的およびバイオ
マーカーとなる可能性が示唆された。以上より、GPNMB
が ALS 病態に対して重要な役割を果たしていることが示
唆され、ALS の病態機序解明、新規治療法並びに治療薬
の開発への糸口となる可能性が期待できる。
6.謝
辞
本研究の遂行にあたり、御指導、御支援並びに実験材
料の御提供を賜りました岐阜大学大学院医学系研究科神
経内科・老年学分野教授
犬塚 貴博士、名古屋大学大学
院医学系研究科神経内科学教授
祖父江 元博士並びに井
口 洋平博士、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研
究部生体栄養学分野教授
二川 健博士、独立行政法人国
立病院機構さいがた病院臨床研究部長
新潟大学脳研究所病理学分野教授
科大学脳卒中センター准教授
山田 光則博士、
高橋 均博士、愛知医
丹羽 淳一博士、岐阜薬科
大学医療薬剤学大講座薬物治療学研究室教授
保住 功博
士に心からの感謝の意を表します。
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8.特記事項
本総説は岐阜薬科大学博士論文(甲第 144 号)の内容
を中心にまとめたものである。
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 22-32 (2014)
22
―総説―
カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用
中村信介, 鶴間一寛, 嶋澤雅光, 原英彰*
要約:現在、異常な網膜血管新生によって、不可逆的な視野欠損あるいは失明に至る患者が増加の一途をたどっている。
網膜中の異常な血管新生は血管内皮細胞増殖因子 (VEGF) などの特定のサイトカインによって誘導される。抗 VEGF 治
療薬が眼内血管新生疾患をターゲットにした治療薬として硝子体内投与によって使用されている。しかし、硝子体内に対
する連続投与は硝子体出血、網膜はく離の危険性があり、さらにコンプライアンスの低下が懸念されている。したがって、
末梢投与のような非侵襲的な薬物送達が求められている。近年、カリジノゲナーゼが末梢経路を介して網脈絡膜の循環を
改善し、さらには網膜血管透過性亢進を抑制することが報告された。網膜血管新生におけるカリジノゲナーゼの役割を明
らかにするために、増殖糖尿病網膜症患者 (PDR) の硝子体液を用いてその濃度を測定し、in vitro および in vivo 血管新生
モデルを用いて抗血管新生作用について検討を行った。硝子体中カリジノゲナーゼおよび VEGF 濃度は、黄斑円孔およ
び黄班上膜患者に比べ PDR 患者で高値を示した。カリジノゲナーゼは VEGF165 の切断を介して、in vitro 血管新生モデル
における VEGF165 誘発管腔形成、増殖、遊走を抑制した。また、カリジノゲナーゼは皮下投与によってマウス高酸素負荷
網膜血管新生モデルにおける病的な血管新生を抑制した。これらの知見はカリジノゲナーゼが増殖糖尿病網膜症の病態に
一部関与し、さらに末梢経路によって VEGF165 自体を切断する有望な治療薬になり得ることを示唆している。
索引用語:カリジノゲナーゼ、増殖糖尿病網膜症、血管新生、血管内皮細胞増殖因子
Anti-angiogenic Effect of Kallidinogenase
Shinsuke NAKAMURA, Kazuhiro TSURUMA, Masamitsu SHIMAZAWA, Hideaki HARA*
Abstract: Irreversible vision loss and blindness due to abnormal retinal neovascularization has been increasing. An abnormal
proliferation of new blood vessels in the retina is induced by a specific cytokine, vascular endothelial growth factor (VEGF). The
intravitreal injection of anti-VEGF therapeutic agents has been used in the treatment of ocular neovascular diseases. However,
repeated injections are associated with potential risks of vitreous hemorrhage, retinal detachment, and decrease in compliance.
Therefore, noninvasive delivery systems, such as peripheral administration, are required. Recently, it has been reported that
kallidinogenase improved choroidal and retinal circulation, and prevented the retinal vascular hyperpermeability by the peripheral
route. To identify the role of kallidinogenase in retinal neovascularization, we measured the concentrations in vitreous fluid from
patients with proliferative diabetic retinopathy, and investigated the anti-angiogenic effect by using in vitro and in vivo angiogenesis
models. Kallidinogenase in vitreous fluid was markedly elevated in proliferative diabetic retinopathy patients compared with that in
control patients with macular holes and epiretinal membranes. Kallidinogenase inhibited VEGF165-induced tube formation,
proliferation, and migration in an in vitro angiogenesis model via the cleavage of VEGF165. When administered subcutaneously,
kallidinogenase reduced the pathologic neovascularization in the murine oxygen-induced retinopathy model. These findings indicate
that kallidinogenase is partly involved in the pathogenesis of proliferative diabetic retinopathy and may be a promising therapeutic
agent that could cleave VEGF165 itself when administered by a peripheral route.
Key phrases: kallidinogenase, proliferative diabetic retinopathy, neovascularization, vascular endothelial growth factor
岐阜薬科大学生体機能解析学大講座薬効解析学研究室(〒501-1196 岐阜市大学西 1-25-4)
Department of Biofunctional Evaluation, Molecular Pharmacology, Gifu Pharmaceutical University
(1-25-4 Daigakunishi, Gifu 501-1196, JAPAN)
23
中村信介ら:カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用
1.緒 言
による超未熟児の死亡率低下により、皮肉にも未熟児網膜
症 (retinopathy of prematurity: ROP) 患者は著明な増加を
眼球は「ものを見る」ことを目的としている器官であ
示す。また食生活のみだれや運動不足などが原因で糖尿病
り、光が通過する角膜、前房、水晶体および硝子体には血
患 者 は 急 増 して お り 、 それ に 伴 い増 殖 糖 尿病 網 膜 症
管が存在せず、透明な組織として維持され、体内において
(proliferative diabetic retinopathy: PDR) 患者も増加してい
他の器官にはない際立った特徴的な構造を有している。
る。ROP および PDR などの後眼部疾患は、硝子体内に伸
「ものを見る」場合、光は角膜と前房を通って瞳孔から眼
展した病的な血管新生が原因で不可逆的な視野欠損や失
球内に入り、水晶体で屈折し硝子体を通った後、その光刺
明を引き起こす。網膜血管新生は、促進因子と抑制因子の
激が眼底の網膜から視神経を通って脳に伝わり、「ものを
バランスによって制御されると考えられている。生理的な
見る」ということになる。これらの組織はどれも必要な組
血管系の形成が巧妙に調節される一方で、病的状態におい
織であるが、とくに網膜は光を受容し、形態覚、色覚、明
てこれらの血管新生調節システムの破綻が網膜血管病変
暗など「ものを見る」ための重要な役割を果たしている。
に関与していると考えられる。血管内皮細胞増殖因子
視覚障害による失明原因の多くが網膜病変による疾患
(vascular endothelial growth factor: VEGF)、塩基性線維芽細
である。現在、日本における失明原因の第一位は緑内障で
胞増殖因子 (basic fibroblast growth factor: bFGF)、腫瘍壊死
あるが、異常な血管新生が一因となり発症する糖尿病網膜
因子 (tumor necrosis factor: TNF)-aなどは血管新生促進因
症と加齢黄斑変性症を合わせるとその割合は最大
子として、そして色素上皮由来因子
(28.1%) になる。我が国のみならず先進国において著しい
epithelium-derived factor: PEDF) 、 soluble VEGF receptor
視覚障害をきたす主な原因は眼内血管新生性疾患とされ、
(sVEGFR)、バソヒビンなどは血管新生抑制因子として同
代表的なものに、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑
定されている。ROP や PDR の外科的治療法としてはレー
変性症、網膜静脈閉塞症および血管新生緑内障などがある。
ザーによる光凝固術が行われており(3-6)、網膜の酸素不足
これらは、網膜、脈絡膜、虹彩などに存在する既存の血管
を解消し、新生血管の発生の予防や新生血管を減少させる
から異常な新生血管を生じる。新生血管は正常血管と比べ
効果がある。しかし、視力障害を誘発する副作用もあり、
て脆弱で破綻しやすいため、血液成分の血管外への漏出や
薬物療法を含めた新たな治療法が望まれている。近年、血
出血を起こすことにより網膜を障害し、視力の低下を引き
管新生を引き起こす因子のなかでも VEGF は ROP および
起こす。血管新生は、既存の血管から新しい血管が枝分れ
PDR の病態と関連が深いことが報告され (7-9) 、実際に
して次第に大きな血管ネットワークを構築し、生理的には
VEGF をターゲットとした抗 VEGF 抗体 (ベバシズマブ、
発生、胎盤形成および創傷治癒などに関与している。この
Avastin®)、VEGF アプタマー (ペガプタニブ、Macugen®)
現象は、1) タンパク質分解酵素 (プラスミノーゲンアク
および抗 VEGF Fab 抗体 (ラニビズマブ、Lucentis®) の有
チベーター、プラスミンおよびコラゲナーゼなど) による
効性が確認されている(10-12)。ところが、これら製剤は直接
血管基底膜の融解、2) 血管内皮細胞の血管外への遊走、
眼内に針で注射することから、患者の身体的負担が大きく、
分裂、増殖、および 3) 管腔形成の各プロセスからなる
また眼内炎などの副作用の危険性もある。したがって、今
(Fig. 1) (1, 2)。
後期待されている製剤としては、末梢からの投与、あるい
(pigment
は点眼によって、薬物が網膜に到達することにより効果を
不妊治療に伴う未熟児の増加および新生仔医療の進歩
1)
basement membrane
示すような製剤が望まれている。そこで、著者らは、既に
2)
wall cell
3)
endothelial cell
activated
endothelial cell
Basement membrane melting
by activated endothelial cell.
Fig. 1
Migration, division and proliferation
of endothelial cell.
Formation process of blood vessel.
Lumen formation.
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 22-32 (2014)
網脈絡膜の循環障害改善薬として臨床で汎用されている
24
angiotensinogen
カリジノゲナーゼ (262AA、28,890 Da、UnitProt: P06870)
renin
に着目した。既存薬の中から網膜血管新生に対する有望な
angiotensin I
bradykinin
(blood-pressure -lowering effect)
薬剤を見出すことができれば、すでに臨床における薬理学
的並びに安全性の情報が存在するため、新薬開発とは異な
kininogen
kallikrein
(kallidinogenase )
angiotensin converting enzyme
(ACE)
り、開発リスクも少ない。さらに、網膜血管新生の発生機
序において、血液循環は重要な因子のひとつであり(13)、
循環改善薬であるカリジノゲナーゼは血管新生に対して
angiotensin I I
(blood-pressure-elevating effect )
inactivated peptide
抑制効果を示すことが予想される。また、カリジノゲナー
ゼは経口投与で既に使用されている医薬品であることか
ら末梢投与による眼への効果が期待できる。以上、カリジ
ノゲナーゼは末梢投与可能で、かつ網膜異常血管新生疾患
に対して早期に有用な薬剤になり得る可能性がある。
糖尿病網膜症の発症と進行に高血圧が関与し、またレ
ニン-アンジオテンシン系およびカリジノゲナーゼ (カリ
クレイン)-キニン系が血圧と血流を制御していることが
知られている(14)。さらに糖尿病網膜症の病態には、レニ
ン-アンジオテンシン系の活性化が関与しており、その関
連因子を抑制することで糖尿病網膜症に効果を示すこと
がヒトおよび動物モデルにおいて明らかにされている
。またレニン-アンジオテンシン系と拮抗し平衡関係
(15-18)
にあるカリクレイン-キニン系は、糖尿病網膜症に対して
下方制御している (Fig. 2)。さらに、カリクレイン結合タ
ンパク質として知られているカリスタチンは、糖尿病患者
およびラット糖尿病モデルの眼内において低下している
。カリスタチンはカリジノゲナーゼに結合してその
(19, 20)
作用を阻害するため、糖尿病網膜症の病態にカリジノゲナ
ーゼが関与していることが考えられるが、これまでにカリ
ジノゲナーゼの関与について報告はない。カリジノゲナー
ゼは膵由来のタンパク質分解酵素で血漿中の α2-グロブリ
ン分画に属するキニノーゲンを酵素的に分解することで
ブラジキニンを遊離させる。ブラジキニンは、血管内皮細
胞のB2 受容体を刺激して nitric oxide (NO) やプロスタグ
ランジン類の産生を亢進させることで強力な血管拡張作
用を示す。また、微小循環速度の亢進作用を介して血流量
を増加させ、組織の循環障害を改善する。さらに、ストレ
プトゾトシン (streptozotocin) 誘発ラット糖尿病モデルに
おいて、カリジノゲナーゼの尾静脈内投与は、眼内の
VEGF 量を著明に減少させ、網膜血管透過性を低下させる
(21)
Fig. 2
sistem.
Renin-angiotensin system and kallikrein-kinin
子) および svVEGF (snake venom VEGF) の 7 つのリガン
ドが同定されている。とくに VEGF-A は血管内皮細胞に
選択的に作用し、血管新生に最も深く関与すると考えられ
ている。さらに VEGF-A は、ヒトではアミノ酸数が 121
個 (VEGF121)、165 個 (VEGF165)、189 個 (VEGF189) およ
び 206 個 (VEGF206) の 4 種類の主要なアイソフォームが
存在する。とくに VEGF165 は他のアイソフォームと比べ
て最も多く、生理活性が高いため、病態における血管新生
への関与が強いことが示唆されている(23-25)。網膜において、
生 理 学 的 な 血 管 新 生 に 対 し て VEGF121 ( マ ウ ス で は
VEGF120) が重要な役割を果たしており、一方、病的な血
管新生に対して VEGF165 (マウスでは VEGF164) が深く関
与していることが最近の研究から明らかになった(26, 27)。
そこで本稿では、まずカリジノゲナーゼと網膜血管新
生疾患の関連を調べるために、糖尿病網膜症の患者硝子体
液を用いてカリジノゲナーゼおよび VEGF の濃度を測定
した。また、カリジノゲナーゼが VEGF 誘発管腔形成を
抑制するか否かについて検討した。つぎに、カリジノゲナ
ーゼの管腔形成抑制作用の機序を明らかにするために、カ
リジノゲナーゼの管腔形成における増殖および遊走に関
与するシグナル経路に及ぼす影響について検討した。また、
カリジノゲナーゼの VEGF121 あるいは VEGF165 に対する
直接的な作用についても検討した。さらに、網膜において
異常血管新生が惹起されるマウス網膜高酸素負荷血管新
生モデルを用いて、in vivo におけるカリジノゲナーゼの末
梢投与による血管新生抑制作用を検討した。
2.硝子体液中カリジノゲナーゼ濃度の定量
。これらの知見から、カリジノゲナーゼは血管および
血管新生に対して何らかの作用を有している可能性が考
硝子体液のサンプリング:本試験は、ヘルシンキ宣言を
えられる。
遵守し、大阪医科大学倫理委員会から承認 (承認番号:
上記で述べたように、VEGF は血管新生を促進する強力
1134) を受けて実施した。対象患者 97 名に対して研究目
な因子として広く知られている。VEGF は血管内皮細胞
的および研究方法について説明後、全被験者から同意を得
に強い特異性を有するヘパリン結合性の血管新生を促す
た。被験者は黄班円孔 (macular hole: MH) 患者 40 名 (男
増殖因子として発見された(22)。現在、VEGF ファミリーと
性 9 名、女性 31 名)、黄班上膜 (epiretinal membrane: ERM)
して VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E (ウ
患者 20 名 (男性 7 名、女性 13 名) および増殖糖尿病網膜
イルス因子)、placental growth factor (PlGF: 胎盤増殖因
25
中村信介ら:カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用
症 (proliferative diabetic retinopathy: PDR) 患者 37 名 (男性
他対照となり得る患者の硝子体液中のカリジノゲナーゼ
19 名、女性 18 名)。MH および ERM は、血管新生を伴わ
および VEGF の濃度を測定した。硝子体中カリジノゲナ
ない疾患であり、かつ倫理的に硝子体液を得ることができ
ーゼ濃度は他の疾患 (MH、15,698.8 ± 3,131.4 pg/mL、n =
る疾患として、PDR の対照として試験に用いた。大阪医
40; ERM、20,625.7 ± 3,367.9 pg/mL、n = 20) に比べて、PDR
科大学病院においてそれぞれの疾患に対する治療のため、
患者 (mean ± SEM、93,821.2 ± 12 pg/mL、n = 37) で有意な
硝子体切除術を施行し、眼内灌流前に硝子体を切除した。
高値を示した (Fig. 3A)。一方、VEGF 濃度においても同
なお、繰り返し硝子体切除術を施行された患者および硝子
様に、PDR 患者において顕著な高値を示した(PDR、787.1
体中に明らかな出血が認められる患者のサンプルは除外
± 208.4 pg/mL、n = 37、versus MH、4.7 ± 1.1 pg/mL、n = 40、
した。採取した硝子体サンプルは 15,000 g、4℃で 10 分間
ERM、0.1 ± 0.1 pg/mL、n = 20) (Fig. 3B)。
遠心後、上清のみを-80℃で保存した。詳細な患者データ
A
は table 1 に示す。
##
**
B
1200
100000
Macular hole
diabetic
retinopathy
(Number of patients)
(40)
(20)
(37)
Age (years, mean ± SEM)
66.2 ± 1.0
67.3 ± 2.0
56.1 ± 1.9
Number of female patients
31
13
18
Macular edema
+ Proliferative membrane
-
17
+ Traction membrane
Alone
Vitreous hemorrhage
10
2
-
-
+ PVD
+ CME
9
15
+ Traction membrane
Alone
7
-
Traction membrane
+ CME
Alone
Proliferative membrane
+ Tractional RD
-
9
-
-
15
Alone
2
Macular hole stage 1B
Macular hole stage 2
2
10
Macular hole stage 3
Macular hole stage 4
17
10
Lamellar macular hole
1
-
-
-
-
-
-
-
-
Complications of each patient are shown in clinical findings.
PVD, posterior vitreous detachment; CME, cystoid macular
edema; RD, retinal detachment. The results were cited from ref
28 (28).
硝子体中カリジノゲナーゼ濃度と VEGF 濃度の比較:
患者硝子体液中に含まれるカリジノゲナーゼの濃度をウ
ェスタンブロット解析法により測定した。三和化学研究所
にて精製された抗組織カリクレイン (カリジノゲナーゼ)
抗体を一次抗体に用い、ヒト尿カリジノゲナーゼを基準に
して定量を行った。濃度測定は、Cs Analyzer software (Atto)
を用いて行い、基準として用いたヒト尿カリジノゲナーゼ
の標準曲線に準拠して算出した。また、患者硝子体液中に
おける VEGF 濃度は、AlphaLISA VEGF kit (PerkinElmer
VEGF (pg/ml)
Epiretinal
membrane
80000
60000
40000
20000
0
800
600
400
200
MH
ERM
0
PDR
MH
ERM
PDR
Fig. 3 Kallidinogenase and VEGF in vitreous fluid in MH,
ERM, and PDR patients.
(A, B) Concentrations of both kallidinogenase and VEGF in
the vitreous body were higher in PDR patients than in those
with other diseases (MH and ERM). Data are shown as mean ±
S.E.M. (MH, n = 40; ERM, n = 20; PDR, n = 37). ** and ##, P
< 0.001 versus MH and ERM, respectively (Steel. Dwass’s
multiple-comparison test). MH; macular hole. ERM; epiretinal
membrane. PDR; proliferative diabetic retinopathy. The results
were cited from ref 28.
硝子体液中に存在するカリジノゲナーゼおよび VEGF
の相関関係について検討した。全患者において、硝子体液
中 カ リ ジ ノ ゲ ナ ー ゼ 濃 度 は VEGF 濃 度 と 正 の 相 関
(Spearman s = 0.494、P <0.0001) が認められた (Fig. 4)。
400000
Kallidinogenase (pg/ml)
Characteristic
Proliferative
Kallidinogenase (pg/ml)
Table 1. Data from patients with proliferative diabetic
retinopathy and other ocular diseases
##
**
1000
MH
ERM
PDR
300000
200000
150000
100000
50000
0
1000
2000
4000 8000
VEGF (pg/ml)
Life and Analytical Sciences、MA、USA) を用いて測定した。
VEGF 濃度が 2.2 pg/mL 以下は検出限界を超えてしまうた
め、測定数値を 0 として設定した。PDR 患者およびその
Fig. 4
The correlation between concentrations of
Kallidinogenase and VEGF in vitreous fluid in MH, ERM,
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 22-32 (2014)
and PDR patients.
Kallidinogenase showed a significant correlation with VEGF in
the vitreous fluid. Open circles (○), closed circles (●), and
open triangles (△) represent MH, ERM, and PDR patients,
respectively.
Spearman’s
product-moment
correlation
coefficient was used. MH, n = 40; ERM, n = 20; PDR, n = 37).
MH; macular hole. ERM; epiretinal membrane. PDR;
proliferative diabetic retinopathy. The results were cited from
ref 28.
3.In vitro 血管新生モデルを用いた検討
VEGF 誘発管腔形成に対するカリジノゲナーゼの作用:
増殖糖尿病網膜症患者の硝子体内でカリジノゲナーゼ濃
度が上昇したことに起因するカリジノゲナーゼの役割を
検討する一環として、カリジノゲナーゼの抗血管新生作用
を血管新生キット (倉敷紡績株式会社) を用いて評価し
た。VEGF165 添加により、コントロール (VEGF165 非添加)
に比べ、微小血管様管腔構造の形成が増加した (Fig. 5A)。
微小血管様管腔構造の形成について定量的に解析するた
めに、血管新生定量ソフトウェアを用いて、管腔の面積
(area)、管腔長 (length)、分岐点数 (joints) および枝数
(paths) を測定した。VEGF165 添加によって、管腔の面積、
管腔長、分岐点数および枝数は、コントロールに比べて、
それぞれ 3.5 倍、3.3 倍、7.0 倍および 3.7 倍に増加した。
カリジノゲナーゼ (0.01 ~ 10 µg/mL) の添加は、VEGF165
誘発 HUVEC 管腔形成に対して濃度依存的な抑制作用を
示し、管腔の面積は 1 µg/mL 以上の濃度で、管腔長、分岐
点数および枝数は 0.1 µg/mL以上の濃度で有意に抑制した
(Fig. 5B-D)。
26
Fig. 5 Kallidinogenase inhibited VEGF165-induced tube
formation in HUVEC co-cultured with fibroblast.
(A) HUVECs were co-cultured with human fibroblasts, were
incubated with VEGF165 (10 ng/ml) (b to f), together with
tissue kallikrein (0.01, 0.1, 1,and 10 mg/ml) (c to f). Control is
shown in (a). Quantitative analysis of the stained tube-like
structures was performed (using an angiogenesis imaging
analyzer) in five different fields for each well, measurements
being made of tube area (B), length (C), joints (D), and paths
(E). Data are shown as mean ± S.E.M. (n = 3). Scale bar = 500
µm. *, P < 0.05, **, P < 0.01 vs. Vehicle (Dunnett’s multiple
comparison test). ##, P < 0.01 versus Control (Student’s t-test).
Cont : Control. Veh : Vehicle. KAL; kallidinogenase. The
results were cited from ref 28.
HUVEC および HRMEC の VEGF 誘発細胞増殖および細
胞遊走に対するカリジノゲナーゼの作用:VEGF 誘発管腔
形成に対するカリジノゲナーゼの抗血管新生作用をより
詳細に検討するため、HUVEC およびヒト網膜毛細血管内
皮細胞
(human retinal microvascular endothelial cell:
HRMEC) の細胞増殖能および細胞遊走能に対するカリジ
ノゲナーゼの作用を評価した。VEGF165 (10 ng/mL) 添加に
より、対照群と比較して HUVEC は約 1.8 倍、HRMEC は
約 1.5 倍細胞数が増加した。カリジノゲナーゼ (0.01 ~ 10
µg/mL) は VEGF165 誘発 HUVEC および HRMEC の増殖に
対して濃度依存的な抑制作用を示し、10 µg/mL の濃度で
有意であった (Fig. 6A, B)。また、カリジノゲナーゼ 10
µg/mL の単独添加は、両細胞において対照群と比較して明
らかな差は認められなかった (Fig. 6A, B)。
A
B
2.5
2
##
Proliferation rate
(fold increase)
2
A
a
b
c
1.5
Proliferation rate
(fold increase)
##
*
1
0.5
0
e
Veh
0.1
1.0
f
**
**
Cont
Veh
0.01
0.1
1
10 µg/ml
KAL
VEGF165
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
E
**
**
Cont
Veh
0.01
0.1
KAL
VEGF165
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
##
*
**
**
Cont
Veh
0.01
0.1
1
10 µg/ml
KAL
##
**
Length (fold increase)
C
##
1
10 µg/ml
Paths (fold increase)
Area (fold increase)
Joints (fold increase)
D
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
VEGF 165
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
0.5
10
10 µg/ml
Cont
Veh
0.1
1.0
##
**
**
10
10 µg/ml
KAL
KAL
VEGF165
B
*
1
0
Cont
d
1.5
VEGF165
Fig. 6 Kallidinogenase inhibited proliferation of HUVECs
and HRMECs induced by VEGF.
HUVECs (A) and HRMECs (B) were supplemented with or
without VEGF165 (10 ng/ml) plus various concentrations of
kallidinogenase, and proliferation rates were measured using
CCK-8 assay. Data are shown as mean ± S.E.M. (n = 5 or 6). *,
P < 0.05 versus Vehicle (Dunnett’s multiple comparison test).
##, P < 0.01 versus Control (Student’s t-test). Cont : Control.
Veh : Vehicle. KAL; kallidinogenase. The results were cited
from ref 28.
**
Cont
Veh
0.01
0.1
1
10 µg/ml
VEGF165 (10 ng/mL) 添加により、著明な細胞遊走が認
KAL
VEGF 165
められ (Fig. 7A, B)、HUVEC は、対照群と比較して約 2.7
27
中村信介ら:カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用
倍、HRMEC は約 2 倍細胞の遊走が認められた (Fig. 7C, D)。
た p-VEGFR-2 の割合が、カリジノゲナーゼ 1 µg/mL およ
HUVEC においてはカリジノゲナーゼの 10 µg/mL 添加に
び 10 µg/mL によってそれぞれ約 30%および約 45%抑制さ
より、また HRMEC においてはカリジノゲナーゼの 1 お
れた (Fig. 8B)。HUVEC および HRMEC 共にカリジノゲナ
よび 10 µg/mL 添加により VEGF165 誘発遊走に対して有意
ーゼ単独添加は、VEGFR-2 のリン酸化に対して明らかな
な抑制作用が認められた (Fig. 7C, D)。HUVEC および
作用は示さなかった (Fig. 8A, B)。また、VEGFR-2 の発現
HRMEC 両細胞において、カリジノゲナーゼ 10 µg/mL の
に対して、カリジノゲナーゼは作用を示さなかった (Fig.
単独添加は対照群と比較して明らかな差は認められなか
8C)。
った (Fig. 7C, D)。
A
B
VEGF165
VEGF 165
KAL
A
Cont Veh
Control
Vehicle
1
KAL
10
Cont Veh
10 µg/ml
p-VEGFR-2
p-VEGFR-2
Total-VEGFR-2
Total-VEGFR-2
b-actin
b-actin
KAL (10 µg/ml)
B
Control
Vehicle
KAL (10 µg/ml)
1.2
1
*
0.8
**
0.6
0.4
0.2
0
Veh
1
VEGF165
D
3.5
##
2
*
1.5
1
0
Cont Veh 0.1
1.0
10
KAL
10 µg/ml
*
1.5
**
1
0
10 µg/ml
1.4
1.2
1
*
0.8
**
0.6
0.4
0.2
0
Veh
1
10 µg/ml
KAL
1.5
2
0.5
0.5
10
C
2.5
##
2.5
10 µg/ml
KAL
Cont Veh 0.1
1.0
10
10 µg/ml
Density total-VEGFRs /b-actin
(fold increase)
Migration rate
(fold increase)
3
Migration rate
(fold increase)
C
Density p-VEGFR-2 /total VEGFR-2
(fold increase)
Density p-VEGFR-2 /total VEGFR-2
(fold increase)
VEGF165
1
N.S.
1
0.5
KAL
0
VEGF165
VEGF165
Cont
Veh
1
10
10
µg/ml
KAL
VEGF165
Fig. 7
Effects of kallidinogenase on VEGF-induced
migration of HUVECs and HRMECs.
HUVECs (A, C) and HRMECs (B, D) migration was assessed
using a wound-healing assay. Images of a wounded monolayer
of HUVECs and HRMECs taken at times 0 and 24 h after
treatment with VEGF (10 ng/ml) and various concentration of
kallidinogenase. Wounded region is indicated by broken lines.
Scale bar represents 500 µm (A, B). Migration was estimated
by measurement of cell numbers within the wounded region (C,
D). Data are shown as mean ± S.E.M. (n = 3 or 4). ##, P < 0.01
versus Control (Student’s t-test). *, P < 0.05, **, P < 0.01
versus Vehicle (Dunnett’s multiple comparison test). Cont :
Control. Veh : Vehicle. KAL; kallidinogenase. The results were
cited from ref 28.
Fig. 8
Kallidinogenase inhibited phosphorylation of
VEGF receptor-2 induced by VEGF165 in HUVECs and
HRMECs.
Effects of kallidinogenase (1-10 µg/ml) on VEGF165 (10
ng/ml)-induced VEGF receptor-2 (VEGFR-2) phosphorylation
in HUVECs (A) and HRMECs (B). Quantitative analysis of
western blotting of total VEGFR. (C) The data of (B) were
analyzed. There were no significant deference between vehicle
and kallidinogenase treated group. Data are shown as mean ±
S.E.M. (n = 5). Data are shown as mean ± S.E.M. (n = 5 or 6).
*, P < 0.05, **, P < 0.01 versus Vehicle (Dunnett’s multiple
comparison test). Cont : Control. Veh : Vehicle. KAL;
kallidinogenase. N.S.; not significant. The results were cited
from ref 28.
VEGF165 誘発 VEGFR-2 活性化に対するカリジノゲナー
ゼの作用:VEGF165 誘発細胞増殖および遊走に対するカリ
カリジノゲナーゼの VEGF165 切断作用:カリジノゲナー
ジノゲナーゼの作用に関する分子メカニズムを検討する
ゼの抗 VEGF 作用をより詳細に検討するために、カリジ
ために、VEGF receptor (VEGFR)-2 のリン酸化に対する作
ノゲナーゼの VEGF165 に対する直接的な切断作用につい
用を検討した。HUVEC において VEGF165 (10 ng/mL) 添加
て検討した。カリジノゲナーゼの VEGF165 に対する濃度
によってリン酸化された p-VEGFR-2 の割合が、カリジノ
依存的 (0.1 ~ 10 µg/mL) および時間依存的 (0 ~ 6 hr) な
ゲナーゼ 1 µg/mL および 10 µg/mL によってそれぞれ約
切断作用について検討した。一次抗体 [N 末端認識抗
20%および約 35%抑制された (Fig. 8A)。同様に HRMEC
VEGF 抗体および C 末端認識抗 VEGF 抗体] を用いて、ウ
において VEGF165 (10 ng/mL) 添加によってリン酸化され
ェスタンブロッティングを行った。N 末端認識および C
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 22-32 (2014)
28
末端認識の 2 種類の抗 VEGF 抗体を用いて、カリジノゲ
しまったことが考えられる。したがって、カリジノゲナー
ナーゼの VEGF165 に対する切断作用を確認した (Fig. 9A)。
ゼによって切断された VEGF165 の C 末端はリジンである
VEGF の N 末端認識抗体を用いた場合にカリジノゲナー
ことが示唆された。つづいて、Lys-C 処理直後に質量分析
ゼによって切断された VEGF165 が検出されたが (Fig.
を行った結果、切断された VEGF165 の C 末端ペプチドが
9A-a)、一方、C 末端認識抗体を用いた場合、切断された
CECRPK (iodoacetamide-CECRPK; m/Z 849) であることが
VEGF165 を検出できなかった (Fig. 9A-b)。また、カリジノ
明らかとなった (Fig. 10A-b)。同様に Glu-C 処理直後に質
ゲナーゼの VEGF165 に対する切断作用は、濃度および反
量分析を行った結果、切断された VEGF165 の C 末端ペプ
応時間に依存することが明らかとなった (Fig. 9A, B)。MH
チ ド が MSFLQHNKCE (iodoacetamide-MSFLQHNKCE;
患者および PDR 患者硝子体において、
切断された VEGF165
m/Z 1293) であった (Fig. 10A-c)。これらの結果は、カリ
は検出されなかった (Fig. 9C)。患者硝子体中に含まれる
ジノゲナーゼによって切断された VEGF165 の C 末端は
カリジノゲナーゼに対して、さらに終濃度が 10 mg/mL に
VEGF165 アミノ酸配列における 107 番目あるいは 108 番目
なるようにカリジノゲナーゼを硝子体サンプルに添加す
のリジンであることを示唆している (Fig. 10B)。
ると切断された VEGF165 が検出された (Fig. 9C)。
A
a
A
% Int.
100
a
b
KAL
90
KAL
602.1
605.6
80
Cont
0.1
1
10
mg/ml
Cont
0.1
1
10
mg/ml
70
609.1
60
21 kDa
21 kDa
VEGF165
VEGF165
50
40
603.2
619.6
633.5
660.6
30
cleaved
VEGF165
16 kDa
20
10
0
B
KAL (10 mg/ml)
600
800
10 00
1200
14 00
1600
1800
2000
Mass/Charg e
2200
2400
2600
2800 3000 m/z
b
C
c
% Int.
100
IP : VEGF
832. 5
MSFLQHNKCE (94-103)
% Int.
1279.9
100
Cont
0.5
1
3
6
hr
MH
90
PDR
90
80
KAL
21 kDa
VEGF165
128 0.9
80
KAL
1293.7
70
70
21 kDa
60
VEGF
60
833.5
50
12 94.7
50
16 kDa
cleaved
VEGF165
16 kDa
CECRPK (102-107)
40
cleaved
VEGF
834.5
20
Fig. 9 Cleavage action on VEGF165 by kallidinogenase.
(A) After incubating for 6 h with kallidinogenase (0.1-10
μg/ml), the digestion products of VEGF165 (10 ng/ml) were
analyzed by immunoblotting using both anti- N-terminal VEGF
antibody (a) and anti- C-terminal VEGF antibody (b). (B)
Digested VEGF165 (10 ng/ml) incubated with kallidinogenase
(10 μg/ml) for 0-6 h was analyzed by immunoblotting using an
anti- N-terminal VEGF antibody. (C) To confirm the cleaved
VEGF165 by using human vitreous fluids, we demonstrated
immunoprecipitation of VEGF165 with vitreous fluids in MH
and PDR patients. The results were cited from ref 28.
カリジノゲナーゼによって切断された VEGF165 の切断部
位の同定:カリジノゲナーゼ (10 µg/mL) と VEGF165 を
37℃で 6 時間反応させ、SDS-PAGE を用いた電気泳動によ
って、切断された VEGF165 の分離、検出を行った。Quick
CBB-PLUS (Wako) を 用 い て 、 泳 動 を 行 っ た ゲ ル の
10
0
B
30
880.8
849.5
804.4
835 .4
858.8
856 .4
845.2
817.5
20
1206.9
1310.7
10
884.9
0
800 805 810 815 820 825 830 835 840 845 850 8 55 860 865 87 0 875 880 885 890 895 900 m/z
Mass/Charg e
1207.9
1205.9
1200
13 36.0
1295.7
1223.8
877.5
86 7.2
1309. 7
1 335.0
40
1281.9
30
122 5.8
1220
1246.7
1240
12 65.9
1267. 7
1260
1 311.7
1323.7
1282.9 1296.7
1308.7
1322.7
129 2.7
12 80
Mass/Charge
1300
132 0
1337.0
1338. 0
134 0
m/z
Amino-acid sequence of VEGF165
10
APMAEGGGQN
20
CVPLMRCGGC
70
CNDEGLECVP
110
KCECRP KKDR
30
40
HHEVVKFMDV YQRSYCHPIE TLVDIFQEYP
60
120
80
90
50
DEIEYIFKPS
100
TEESNITMQI MRIKPHQGQH IGEMSFLQHN
130
140
150
ARQENPCGPC SERRKHLFVQ DPQTCKCSCK NTDSRCKARQ
C102-K107 (m/Z 849)
160
LELNERTCRC
165
DKPRR
Fig. 10
The identification of VEGF165 cleaved by
kallidinogenase.
(A) MALDI-TOF mass spectra after TMPP-Ac modification of
peptides digested by Lys-C (a). MS spectrometry results after
the Lys-C digestion (b) and Glu-C (c) are indicated. The x-axis
and y-axis represent m/z and % intensity, respectively, for all
mass spectra. (E) The theoretical fragments on the C-terminal
side were not detected beyond Lys 108. The C-terminal amino
acid of VEGF165 cleaved by kallidinogenase was Lys (Lys 107
and/or Lys 108). The results were cited from ref 28.
Coomassie Brilliant Blue (CBB) 染色を行った。染色された
ゲルにおいて切断された VEGF165 のみを採集し、C 末端ア
マウス OIR (高酸素負荷網膜血管新生) モデルにおけるカ
ミノ酸解析を試みたが、Lys-C および TMPP 処理後に DITC
リジノゲナーゼの作用:網膜中の異常血管新生に対するカ
で精製し質量分析を行った結果、全くピークが検出されな
リジノゲナーゼの末梢投与による作用を調べるために、マ
かった (Fig. 10A-a)。TMPP 処理後に DITC で精製すると、
ウス OIR (高酸素負荷網膜血管新生) モデルを用いて検討
末端がリジンのペプチドが全て吸着し回収されてしまう
を行った。本モデルは、Smith らの方法に準じて作製した
ため、解析タンパク質の C 末端ペプチドが溶液中に残る
(29)
はずである。しかし、質量分析による解析タンパク質の C
ら P12 まで親マウスと共に酸素制御装置によって高酸素
末端ペプチドのピークが全く検出されなかったことから、
(75 ± 1% O2) 状態に制御されたケージ内で飼育し、P12 に
解析タンパク質の C 末端ペプチドも TMPP に吸着されて
新生仔マウスを通常大気条件下 (21% O2) に戻すことで
。新生仔マウスは、生後 7 日目 (postnatal day 7: P7) か
29
中村信介ら:カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用
網膜中に異常な血管新生が出現するモデルである。通常大
気条件下 (21% O2) にマウスを戻した直後から、カリジノ
ゲナーゼ (20 または 50 mg/kg/day) を仔マウスに 1 日 1 回
5 日間皮下投与した。評価はフルオロセインと結合したデ
キストランを全身灌流することで網膜血管を可視化し、
Metamorph 内の Angiogenesis Tube Formation module を用い
て定量した。Angiogenesis Tube Formation module によって
得られる node および node area をパラメーターとして、P17
における網膜異常血管について薬物非投与 (溶媒投与)
群とカリジノゲナーゼ投与群を比較した。Node は最大血
管厚より太い塊数、node area は塊面積を示す。カリジノ
ゲナーゼ投与は、網膜中の異常血管を減少させた(Fig.
11A-a, A-c, A-e, A-g, A-i, A-j)。解析ソフトを用いて作成し
た解析画像では異常血管の塊を緑色で標識している(Fig.
the analyzed images (A-b, d, f, and h) obtained using the
Angiogenesis Tube Formation module in Metamorph. Scale
bars = 500 µm (A-b and d), 250 µm (A-f and h).
Representative photographs show the abnormal blood vessels
(A-i) of the vehicle group and the normal vessels (A-j) of tissue
kallikrein treated group. Scale bars = 25 µm (A-i and j).
Kallidinogenase significantly decreased both the number of
nodes (B) and the node areas (C), which are indexes of
pathological neovascularization, as calculated using the
Angiogenesis Tube Formation module. (D) Immunoblot of
VEGF164 protein shows that tissue kallikrein treatment at 50
mg/kg reduced this expression with no change in the level of
b-actin. *, P < 0.05; **, P < 0.01 versus vehicle (Dunnett’s
multiple comparison test). Cont; Control. Veh; Vehicle. KAL;
Kallidinogenase. The results were cited from ref 28.
11A -b, A-d, A-f, A-h)。定量的に解析を行った結果、カリジ
生理的血管新生に対するカリジノゲナーゼの作用:副作
ノゲナーゼ (20 または 50 µg/kg) の皮下投与は、OIR モデ
用の観点から、仔マウス P3 から P7 までの 5 日間カリジ
ルにおける異常血管の塊数 (nodes) を有意に抑制した
ノゲナーゼを投与して、網膜における生理的な血管新生に
(Fig. 11B)。また、異常血管の塊面積 (nodes area) は、カ
対するカリジノゲナーゼの作用について検討した。マウス
リジノゲナーゼ (50 µg/kg) の皮下投与により有意に抑制
は生後すぐから P8 にかけて、視神経乳頭から網膜の外側
された (Fig. 11C)。さらに、カリジノゲナーゼ投与により、
に向かって、生理的な血管新生を生じ、網膜全域に栄養す
切断された VEGF164 (ヒトの VEGF165 と同等) が検出され
る網目状の毛細血管が形成される (Fig. 12A-a, A-b, A-c)。
た (Fig. 11F)。
血管の面積 (area)、長さ (length)、分岐点数 (branch points)、
枝数 (segments) の全ての評価項目において、対照群と比
A
Veh
b
a
KAL
d
c
較してカリジノゲナーゼ投与群に明らかな差は認められ
なかった (Fig. 12B-E)。
A
j
B
B
C
2.5
150
*
Nodes area (mm2 )
200
Nodes (No.)
Area (fold increase)
i
a
h
**
100
50
0
20
50
µg/kg
N.S.
1
0.5
0
1
D
0.5
Veh
20
50
µg/kg
IP : VEGF
1.5
N.S.
1
0.5
KAL
KAL
Cont
E
1.5
N.S.
1
0.5
1.5
KAL
N.S.
1
0.5
VEGF164
0
0
Cont
16 kDa
d
0
Cont
KAL
21 kDa
C
1.5
**
D
Veh
c
2
1.5
0
Veh
b
Length (fold increase)
g
Paths (fold increase)
f
Joints (fold increase)
e
cleaved
VEGF164
Fig. 11 The inhibitory effect of kallidinogenase for retinal
neovascularization in a murine OIR model.
Shown are original images (A-a, c, e, g, i, and j), together with
KAL
Cont
KAL
Fig. 12 The Effect of kallidinogenase on the physiological
angiogenesis of mouse.
Representative images show the retinal flat-mount at P0 (A-a)
and at P4 (A-b). Shown are retinal blood vessels of the control
group (A-c) and of kallidinogenase treated group (A-d) at P8.
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 22-32 (2014)
Scale bar = 500 μm (A-d). Quantitative analysis of retinal
blood vessels was performed (using an angiogenesis imaging
analyzer), measurements being made of tube area (B), length
(C), joints (D), and paths (E). Data are shown as mean ± S.E.M.
(n = 5). Cont; Control. KAL; Kallidinogenase. N.S.; not
significant. The results were cited from ref 28.
30
D
VEGF121
Cont.
Veh.
KAL (10 µg/ml)
p-VEGFR
VEGF121 に対するカリジノゲナーゼの作用:生理的血管新
Total-VEGFR
生に深く関与している VEGF121 に対するカリジノゲナー
b-actin
り、対照群と比較して HRMEC は約 1.7 倍細胞が増加した。
カリジノゲナーゼ (0.1 ~ 10 µg/mL) は VEGF121 誘発
HRMEC の増殖に対して作用を示さなかった (Fig. 13A)。
VEGF121 (10 ng/mL) 添加により、顕著な細胞遊走が認めら
れ (Fig. 13B)、対照群と比較して約 3.0 倍の遊走が認めら
れた (Fig. 13C)。しかし、増殖試験と同様に、カリジノゲ
ナーゼ (0.1 ~ 10 µg/mL) は VEGF121 誘発 HRMEC の遊走
に対して作用を示さなかった (Fig. 13C)。HRMEC におい
て、VEGF165 (10 ng/mL) 添加によって VEGFR のリン酸化
が認められるが、カリジノゲナーゼ (10 µg/mL) 添加によ
Density p-VEGFRs /total VEGFRs
(fold increase)
ゼの作用について検討した。VEGF121 (10 ng/mL) 添加によ
N.S.
1.5
1
0.5
0
Veh
KAL
(10 mg/ml)
VEGF121
る変化は認められなかった (Fig. 13D)。
A
Proliferation rate
(fold increase)
2.5
N.S.
2
##
1.5
1
0.5
0
Cont
Veh
0.1
1
10
10 µg/ml
KAL
VEGF121
B
a
b
c
d
Fig. 13 The effect of kallidinogenase on VEGF121-induced
proliferation, migration, and the phosphorylation of
VEGFR-2.
HRMECs (A) were cultured in a 96-well plate, and
proliferation rates induced by VEGF121 were measured by
WST-8 assay. Data are shown as mean ± S.E.M. (n = 6).
Images of wounded monolayer of or HRMECs (B) taken at 24
h after treatment with VEGF121 (10 ng/ml) with or without
tissue kallikrein. (C) Migration was estimated by measurement
of cell numbers within the wounded region. Scale bar = 500
μm. Data are shown as mean ± S.E.M. (n = 3). Kallidinogenase
(10 μg/ml) did not inhibit VEGFR-2 phosphorylation in
HRMECs (D) induced by VEGF121 (10 ng/ml). Data are shown
as mean ± S.E.M. (n = 5). Cont; Control. Veh; Vehicle. KAL;
Kallidinogenase. N.S.; not significant. The results were cited
from ref 28.
4.考 察
Migration rate
(fold increase)
C
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
N.S.
カリジノゲナーゼは既に網脈絡膜循環改善薬として臨
床応用されている医薬品である。本章では、カリジノゲナ
ーゼの網膜血管新生抑制作用およびその作用機序の検討
を行った。患者硝子体液を用いて、カリジノゲナーゼと
VEGF が正の相関を示し、かつ PDR 患者特異的にカリジ
Cont
Veh
0.1
1
10
KAL
VEGF121
10 µg/ml
ノゲナーゼおよび VEGF が上昇していることが明らかに
なった。また、in vitro モデルにおいて、カリジノゲナー
ゼは VEGF165 切断作用を介して VEGF165 誘発管腔形成、
内皮細胞の増殖および遊走を抑制した。さらに、in vivo
モデルにおいて、カリジノゲナーゼは末梢投与により、正
31
中村信介ら:カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用
常血管には影響を及ぼさずに、網膜における異常血管を減
また、近年、カリジノゲナーゼは nitric oxide (NO) の産生
少させた。
増加を介して VEGF164 の発現を減少させることが報告さ
生体内に存在するカリジノゲナーゼの網膜血管疾患に
れた(21)。以上、カリジノゲナーゼは、眼内の VEGF164 切
対する関与を調べるために、PDR (増殖糖尿病網膜症)、
断作用および NO 増加による VEGF の減少作用の“dual
MH (黄班円孔) および ERM (黄班上膜) 患者硝子体液中
action”によって、網膜血管新生を抑制することが示唆さ
に含まれるカリジノゲナーゼおよび VEGF の濃度を測定
れた。マウスの網膜血管は生まれてすぐに伸長し始め、
した。PDR 患者特異的にカリジノゲナーゼの顕著な増加
P8 頃には網膜全域に網目構造の血管ネットワークが出来
が認められただけでなく、カリジノゲナーゼと VEGF が
上がる(32)。マウス網膜における生理的な血管伸長期間に
正の相関関係を有することを明らかにした。ホメオスタシ
おいて、カリジノゲナーゼを投与したが溶媒投与群と比べ
スの観点から、カリジノゲナーゼの増加は網膜血管新生を
全ての評価項目 (血管面積、長さ、分岐点および枝数) に
抑制する可能性が示唆された。
おいて違いはなかった。これは、カリジノゲナーゼの末梢
実際に、VEGF165 によって惹起された in vitro 管腔形成、
投与が網膜における生理的な血管新生に対して影響を及
内皮細胞の増殖および遊走に対して、カリジノゲナーゼは
ぼさないことを強く示唆している。網膜における生理的な
抑制作用を示した。VEGFR-2 のリン酸化を抑制すること
血管の発達に VEGF121 (マウスでは VEGF120) が必要とさ
が明らかになったが、カリジノゲナーゼは VEGFR-2 自体
れ、一方 VEGF165 (マウスでは VEGF164) は網膜における
に影響を及ぼしていないことから、著者はカリジノゲナー
病的な血管新生への関与が示唆されている(26,
ゼが VEGF165 に対して直接的に作用していると推察した。
ノゲナーゼは、VEGF121 誘発内皮細胞の増殖および遊走に
カリジノゲナーゼは、キニノーゲンのメチオニン-リジン
対して抑制作用を示さず、VEGF121 の生理活性においても
およびアルギニン-セリンを切断することが知られている
影響を及ぼさなかった。VEGF121 において VEGF165 におい
が(30)、本研究結果から VEGF165 の 107 番目あるいは 108
て認められたカリジノゲナーゼの切断部位は存在するが、
番目のリジンで切断することが明らかになった。VEGF165
カリジノゲナーゼ添加によって VEGF121 の生理活性が抑
のヘパリン結合部位は 111 番目から 165 番目の C 末端側
制されないことから、カリジノゲナーゼは VEGF121 に対
であることが報告されている(31)。カリジノゲナーゼによ
し て 切 断 活 性 を 示 さ な い と 考 え ら れ る 。 VEGF165 と
って切断された VEGF165 はヘパリン結合部位を持たない
VEGF121 のアミノ酸配列は 111 番目以降が異なることから、
ペプチドになっていることから、VEGFR-2 に対する生物
カリジノゲナーゼの切断認識部位が VEGF165 の 111 番目以
活性が著明に減少していることが考えられる。カリジノゲ
降に存在するのではないかと推察される。これら VEGF
ナーゼの VEGF165 に対する切断作用は 0.1 ~ 10 µg/mL にお
切断活性の有無は、ホメオスタシスの観点から、PDR 患
いて濃度依存的に観察され、in vitro における管腔形成、
者硝子体内において病的血管新生を抑制するためにカリ
細胞増殖および遊走抑制作用に対する抑制作用も 0.1 ~ 10
ジノゲナーゼは上昇してくる可能性を支持する結果とい
µg/mL の間で認められることから、カリジノゲナーゼの
える。
。カリジ
27)
VEGF165 に対する切断作用と抗血管新生作用を示すそれ
5.結 論
ぞれの濃度が一致する。PDR 患者硝子体液中において、
カリジノゲナーゼは約 100 ng/mL 含有しているが、著者ら
の検討結果から推察すると硝子体中に存在する濃度では
本稿の研究成果から、カリジノゲナーゼは現在使用さ
抗血管新生作用は弱く、網膜異常血管新生に対して作用を
れている網膜血管新生抑制薬とは異なる作用機序を有し、
示さないと考えられる。すなわち、PDR 患者に対してカ
かつ末梢投与により効果を示すことが明らかになった。既
リジノゲナーゼが抗血管新生作用の効果を発揮するため
存薬とは異なる作用機序を有することから、臨床現場にお
には、ホメオスタシスによる上昇だけでは不十分であり、
ける治療薬の選択肢が増え、さらに既存薬との併用の可能
網膜血管新生抑制作用を示すのに充分な濃度のカリジノ
性が期待できる。さらに、末梢投与による治療が可能にな
ゲナーゼが必要である。実際に、PDR 患者硝子体サンプ
ることによって、硝子体内投与による眼内炎などの副作用
ルにカリジノゲナーゼを終濃度 10 µg/mL になるように添
誘発あるいはコンプライアンスの低下等の問題点を解消
加すると、ヒト硝子体液中における切断された VEGF が
できる可能性が考えられる。さらに、カリジノゲナーゼは
検出され、この結果は in vitro VEGF165 切断試験結果と一
これまで 20 年以上服用されてきた医薬品であり、正常血
致する。
管に対する作用を含めて目立った副作用の報告がなく、安
OIR モデルに対して、カリジノゲナーゼは末梢投与に
より網膜血管新生を抑制した。また、in vitro 試験と同様
全な医薬品といえることから、臨床応用に対するリスクが
少ない。
に、カリジノゲナーゼはマウス OIR モデルにおいて眼内
以上、カリジノゲナーゼは新規作用機序を有し、末梢
で上昇する VEGF164 を切断することが明らかになった。
投与によって効果を示すことが明らかになり、糖尿病網膜
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 22-32 (2014)
症や未熟児網膜症などの網膜血管新生疾患に対して有望
23.
な新規薬剤になり得る可能性が示唆された。
24.
6.謝 辞
25.
本稿を終えるにあたり、本研究の機会を賜り、また御
懇篤なる御指導、御鞭撻を賜りました岐阜薬科大学生体機
能解析学大講座薬効解析学研究室教授原英彰先生に深甚
なる感謝の意を表します。
本研究に際し、終始御指導と御鞭撻を賜りました岐阜
薬科大学生体機能解析学大講座薬効解析学研究室准教授
嶋澤雅光先生並びに同助教鶴間一寛先生に深謝致します。
また、本研究の遂行にあたり、実験材料の御提供と御
助言を賜りました大阪医科大学眼科学教室教授池田恒彦
先生並びに株式会社三和化学研究所加藤憲明博士、市川
幸宏氏、守本 亘孝氏並びに安田美花氏に深謝致します。
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8.特記事項
本総説は、岐阜薬科大学博士論文(甲 143 号)の
内容を中心にまとめたものである。
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 33-42 (2014)
33
―総説―
光と酸素或いは過酸化水素を用いる酸化反応の開発に関する研究
信田智哉 a), 多田教浩 b), 三浦 剛 c), 伊藤彰近 b) *
要約:酸化反応は有機合成上有用な反応であるが、従来の手法では毒性の高い重金属酸化剤や原子効率の低い複雑な有機
分子が必要であった。一方、分子状酸素や過酸化水素を末端酸化剤とする手法は、原子効率が高く、廃棄物として理論上
水のみを排出する、グリーンケミストリーの概念に合致した酸化法である。筆者らは最終酸化剤としての「過酸化水素」
ならびに「分子状酸素」を利用した環境負荷低減を指向した酸化反応の開発を行った。その結果、ハロゲンソース存在下、
スチレン類の光酸素酸化により、対応するフェナシルハライド類を合成することに成功した。また、光酸素酸化反応の後
に単体ヨウ素を触媒とする反応をワンポットで行うことにより、スチレン類からアセトフェノン類を、ベンジルアルコー
ル類からビスインドリルメタン類をそれぞれ合成することに成功した。さらに、単体ヨウ素存在下、酸化剤として過酸化
水素或いは分子上酸素を用いることにより、三級アミン類と炭素求核剤の酸化的カップリング反応にも成功した。
索引用語:酸素酸化、光酸化、過酸化水素、単体ヨウ素、脱水素型クロスカップリング
Development of Oxidation Using Light and Oxygen, or Hydrogen Peroxide
Tomoya NOBUTAa), Norihiro TADAb), Tsuyoshi MIURAc),
Akichika ITOHb)*
Abstract: Oxidation is one of the most important reactions in organic synthesis; however, classical methods require toxic heavy
metal reagents or complex organic molecules. On the other hand, oxidation using oxygen or hydrogen peroxide has received much
attention in organic synthesis recently since these reagents are effective oxidants of larger atom efficiency and theoretically produce
only water as the end product. With this perspective, we have studied oxidation using oxygen or hydrogen peroxide as a terminal
oxidant. As a result, we found that styrenes can be oxidized to corresponding phenacylhalides under aerobic photo-oxidative
conditions in the presence of halogen sources. We also developed one-pot synthesis of acetophenones and bis-indolylmethanes from
styrenes and benzylalcohols, which includes aerobic photo-oxidation followed by iodine catalyzed reaction, respectively.
Furthermore, we developed a cross-dehydrogenative coupling reaction between tertiary amines and carbon nucleophiles using
hydrogen peroxide or oxygen as a terminal oxidant in the presence of catalytic iodine.
Key phrases: aerobic oxidation, photo oxidation, hydrogen peroxide, iodine, cross-dehydrogenative coupling
1.緒言
出すためには、何らかの酸化反応を行う必要があるためで
あり、石油化学工業の約半分が酸化反応である。精密有機
化学技術の中でも酸化反応は、石油化学プロセスにおい
合成においても酸化反応は重要であり、これまでに様々な
て最も基本的かつ重要な反応のひとつである。これは高度
手法が開発されてきた。しかしながら従来の酸化法ではク
に還元された炭化水素である石油を原料とし製品を生み
ロムやマンガン、オスミウムといった毒性の高い重金属酸
a)
Max Planck Institute of Colloids and Interfaces, Department of Biomolecular Systems
(Arnimallee 22 D-14195 Berlin, Germany)
b)
岐阜薬科大学創薬化学大講座合成薬品製造学研究室(〒501-1196 岐阜県岐阜市大学西 1 丁目 25-4)
Laboratory of Pharmaceutical Synthetic Chemistry, Gifu Pharmaceutical University
(1-25-4 Daigaku-nishi, Gifu 501-1196, JAPAN)
c)
東京薬科大学薬学部薬化学教室(〒192-0392 東京都八王子市堀之内 1432-1)
Pharmaceutical Chemistry, Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences (1432-1 Horinouchi, Hachioji, Tokyo 192-0392, Japan)
34
信田智哉ら:光と酸素或いは過酸化水素を用いる酸化反応の開発に関する研究
化剤の使用や、煩雑な操作、大量の有機化合物が必要、と
応の開発は近年盛んに行われている。しかしながらよりグ
いった問題点を抱えていた。
リーンケミストリーの概念に叶った手法の開発のために
かかる背景から近年、過酸化水素や分子状酸素を用いた
はまだ検討の余地が残されている。たとえば、上記 FSM-16
酸化反応に注目が集まっている。これらの酸化剤は反応後
を用いた反応では大量合成への展開を考えた場合、固体触
に廃出するのは理論上水のみであり、原子効率が高く、
媒である FSM-16 の光透過性への影響が問題となる。そこ
「人と環境にやさしい持続可能な科学技術」であるグリー
で筆者らは可視光と分子状酸素を用いる新規反応の開発
1)
ンケミストリーの概念に適った酸化法といえる 。特に分
検討を行った。
子状酸素は大気の約 20%を占め、また、植物の光合成によ
り再生可能な資源であることから最も理想的な酸化剤と
2.ハロゲンソースを用いる炭素-炭素多重結合の光酸素
いうことができる。他方、化学反応へのエネルギー供給も
酸化反応
グリーンケミストリーを実践する上で非常に重要なファ
クターである。エネルギーの供給方法としては様々な形態
フェナシルハライド類は様々な複素環合成の前駆体と
が考えられているが、近年は光を利用する手法が注目を集
なるなど、有機合成上重要な合成中間体である。特にフェ
めている。光には重さがなく、反応後に残渣を廃出しない
ナシルハライド類とチオアミド類とのカップリング反応
クリーンな試剤とみなすことができる。さらに光は浸透性
は Hantzsch 法として知られ、チアゾール環合成によく用
が高いため、通常の化学反応では困難な立体障害の大きい
いられる。これらフェナシルハライド類の合成法として主
場所でも作用することができ、また、特定の部位に高いエ
にアセトフェノン類のハロゲン化反応が挙げられ、これま
ネルギーを与えることができるため、分子の一部を選択的
でに様々な手法が報告されているが、より酸化度の低いス
に活性化することもできる。以上のように酸化剤としての
チレン類を原料とする手法は限られている 4)。スチレン類
「過酸化水素」または「分子状酸素」、エネルギー源とし
は一般にアセトフェノン類よりも安価であり、大量合成に
ての「光」は 21 世紀における化学反応を開発する上で非
より適していると考えられる。しかしながら、これまでに
常に重要なファクターと言うことができる。
報告されているスチレン類からフェナシルハライド類へ
このような背景において筆者らは、臭化マグネシウムや
の変換法は重金属試薬や原子効率の低い有機分子、過剰量
単体ヨウ素等のハロゲンを光触媒として用いる可視光光
のハロゲンソースを必要とする。一方、筆者らはこれまで
酸素酸化について報告している 2)。臭化マグネシウムを用
単体ヨウ素とメソポーラスシリカの一種である FSM-16 存
いることで芳香環上メチル基やアルコール類を対応する
在下、スチレン類を光酸素酸化することにより対応するフ
カルボン酸へ、単体ヨウ素を用いることでベンジルアルコ
ェナシルヨージド類を収率良く合成することに成功し、既
ール類やアリルアルコール類を対応するアルデヒド類へ
に報告している 3)。しかしながらこの手法では、固体触媒
それぞれ酸化できることを見出している。これらの反応は
である FSM-16 を過剰量使用する必要があり、また、生成
ハロゲンラジカルやハロゲンによって基質からラジカル
物がフェナシルヨージド類に限られる。そこで筆者らは更
種が生じ、三重項酸素をトラップすることで反応が進行し
なる効率的かつ一般性の高いフェナシルハライド類合成
ていると考えられている。また、同様の光酸素酸化条件に
法の開発検討を行った。
おいて単体ヨウ素とメソポーラスシリカの一種である
詳細な条件検討の結果、酸素雰囲気中、0.6 当量の単体
FSM-16 存在下、スチレン類からフェナシルヨージド類を
ヨウ素と 80 L の水存在下、酢酸エチル中にてスチレン類
3)
合成することにも成功している(Scheme 1) 。
に汎用の蛍光灯からの可視光を 10 時間外部照射すること
以上のように、反応促進剤としての「光」
、最終酸化剤
により、対応するフェナシルヨ-ジド類を収率良く得るこ
としての「過酸化水素」或いは「分子状酸素」を用いる反
とに成功した(Table 1)
。様々な置換基を有するスチレン
類を用いて検討を行った結果、芳香環上の置換基の種類に
関わらず、いずれも良好な収率で目的のフェナシルヨージ
ド類が得られることが分かった(2a-2c, 2f-2g)
。反応の傾
向として電子供与基を有する基質が高い反応性を示した。
これはヨウ素ラジカルが求電子的なラジカルであるため
と考えられる。オルト位に置換基を有する基質に関しては、
立体障害のため目的の 2d は中程度の収率にとどまり、特
に 1d を 用 い た 場 合 は 中 間 体 と 考 え ら れ る
2-Iodo-1-(2-methylphenyl)ethanol が 27% 得られた。ナフタ
レン環を有する基質に関しては、反応時間を延長すること
Scheme 1. Our previous study
に よ り 、 中 程 度 の 収 率 で 目 的 物 2h を 得 た 。 ま た 、
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 33-42 (2014)
35
4-Methoxystyrene (1e)を基質に用いるとポリマー化が観察
引基を有するスチレン類が高い活性を示した。これは電子
された。そこで NIS をヨードソースとして用い、対応する
供与基である tert-ブチル基を有する基質 1a ではオレフィ
フェナシルヨージド 2e を良好な収率で得ることに成功し
ンへの臭素の付加が拮抗してしまうが、電子求引基を有す
た。ピリジン環のようなヘテロ環を有する基質に関しても
る基質ではほとんど起こらないためと考えられる。芳香環
単体ヨウ素の代わりに NIS を用いることで対応する-ヨ
上にメチル基を有する基質に関しては、同条件下メチル基
ードケトン 2i を良好な収率で得た。しかしながら、位に
が酸化されてしまうため中程度から低収率にとどまった
置換基を有する基質や脂肪族アルケン類に関しては満足
(3c, 3d)
。メトキシ基を有する基質 1e を用いたところ、
のいく結果を得ることができなかった(2j, 2k)。
複雑な混合物を与え、目的物 3e はほとんど得られなかっ
た。また、ナフタレン環を有する基質 1h では中程度の収
Table 1. Aerobic photo-oxidative synthesis of phenacyl iodide
率で 3h を、ピリジン環を有する基質 1i では 48%臭化水素
酸の代わりに NBS を用いることで中程度の収率で目的の
-ブロモケトン 3i を得ることができた。さらに、位にメ
チル基やフェニル基を有する基質(1l, 1j)においても反応
が進行し、それぞれ中程度の収率で目的物(3l, 3j)を得る
ことができた。脂肪族アルケン 1k に関しても、低収率で
あるものの目的物 3k を得ることに成功した。
Table 2. Aerobic photo-oxidative synthesis of phenacyl
bromide
さらに本反応のスケールアップについても検討を行っ
た。はじめに前述の最適条件でのスケールアップを試みた
ところ、1-ethoxy-1-(4-tert-butylphenyl)-2-iodoethane の副生
が確認された。これは溶媒である酢酸エチルの加水分解に
よって生じたエタノールが、ヨウ素存在下スチレン類へ付
加し生成したものと考えられる。そこで THF を反応溶媒
に用いたところ、10 mmol までのスケールアップに成功し、
目的のフェナシルヨージド 2a を良好な収率で得ることが
できた(Scheme 2)
。
また、本反応条件においてアルキン類を用いたところ、
対応する,-ジブロモケトン類を得ることができた(Table
3)
。Ethynylbenzene 類を用いて検討を行ったところ、芳香
環上の置換基に関わらず、いずれも良好な収率で目的の
,-ジブロモアセトフェノン類を得ることができた(5a-5c,
5m, 5e, 5g)
。興味深いことに、芳香環上メチル基の酸化は
Scheme 2. Large scale synthesis
次にフェナシルブロミド類の合成を検討した。その結果、
単体ヨウ素に代えて 48%臭化水素酸を用いることにより、
目的物を良好な収率で得ることに成功した(Table 2)。様々
な置換基を有するスチレン類を用いて検討を行った結果、
芳香環上の置換基の種類に関わらずいずれも良好な収率
で目的のフェナシルブロミド類を得ることができた(3a,
3b, 3f, 3g)
。フェナシルヨージド合成法と異なり、電子求
見られなかった(5c)。内部アルキン類に関しても良好な
収率で目的物を得た(5l, 5n)
。ピリジンのような複素環を
有する基質に関しては中程度の収率で,-ジブロモケト
ンを得ることができた(5i)。また、脂肪族アルキンにお
いて検討を行ったところ、アセトニトリル中では反応は進
行しなかったが、溶媒を酢酸エチルに代えることで、低収
率ではあるものの目的物を得ることに成功した(5k)。
36
信田智哉ら:光と酸素或いは過酸化水素を用いる酸化反応の開発に関する研究
Table 3. Aerobic photo-oxidative synthesis of ,-dibromo
ketones
加体が得られていることから臭素の発生を確認している。
次に生じたハロゲンラジカルがオレフィンへ付加するこ
とで、ベンジルラジカル種 8 が生成し、分子状酸素をトラ
ップすることでペルオキシラジカル 9、次いでヒドロペル
オキシド 10 が生じる。ヒドロペルオキシドはハロゲン化
水素によってハロヒドリン(6 or 7)へと還元され、ハロ
ゲンラジカルによってベンジル位の水素が引き抜かれる
ことでベンジルラジカル種 11 となり、前述と同様の酸化
反応を経て、フェナシルハライド(2 or 3)へと変換され
るものと考えられる。水を添加することで収率が向上する
詳細な理由は不明である。しかしながら、フェナシルヨー
ジド合成法において、水を添加しない場合にはベンズアル
デヒドが検出されるのに対し、水を加えない場合はまった
く検出されないことから、過剰の酸化を抑えているものと
考えている。
次に筆者らは反応機構を解明するために以下の検討を
行った。はじめに中間体と考えられるブロモヒドリン 4b
を本反応条件に付したところ、目的のフェナシルブロミド
を 54%の収率で得た(Scheme 3, eq. 1)。次にハロゲンソー
ス存在下、4-tert-butylstyrene に対し、窒素雰囲気にて可視
光を照射したところ、ハロヒドリン類(6a and 7a)はほと
んど得られなかった(eq. 2 and 3)
。これらの結果から、生
成するフェナシルハライド類のカルボニル酸素は水由来
でないことが分かる。
Scheme 4 . Plausible path
3.単体ヨウ素を用いるワンポット反応
3.1.スチレン類からアセトフェノン類へのワンポ
ットメタルフリー合成
近年分子状酸素を用いた酸化反応に注目が集まってい
Scheme 3. Study of mechanism
るが、その最も有名な反応のひとつが Wacker 酸化反応で
ある 5)。元来触媒量の塩化パラジウムと塩化銅存在下、塩
以上の検討結果に加え、ハロヒドリン類が 1H-NMR に
酸中にてエチレンをアセトアルデヒドに酸化する Wacker
よって確認されていることから、本反応の反応機構を次の
酸化反応は、スチレン類からアセトフェノン類を得る手法
ように考えている(Scheme 4)。まず、単体ヨウ素を用い
として用いることができる。アセトフェノン類は医薬品、
た場合は、光照射によってヨウ素ラジカルが生じる。臭化
化粧品、その他の化成品の中間体として重要であり、これ
水素酸を用いた場合は、光酸素酸化条件下臭素ラジカルが
までに様々な Wacker タイプのアセトフェノン合成法が開
生じるものと考えている。臭素ラジカルが発生する経路と
発されているが、筆者の知る限りメタルフリーかつワンポ
しては、臭化水素が光酸素酸化され臭素が発生した後に光
ットでのスチレン類からアセトフェノン類への合成法は
照射下臭素ラジカルが生じる経路と、光照射下ブロミドか
知られていない。一方、前述のとおり筆者らはこれまでに
ら酸素への電子移動により直接臭素ラジカルが生じる経
スチレン類の光酸素酸化によるフェナシルハライド類の
路が考えられる。臭化水素から臭素ラジカルが発生するメ
合成法を開発している。フェナシルハライド類は汎用性の
カニズムはいまだ明らかでは無いが、反応溶液が黄色を呈
高い合成中間体として知られており、その反応のひとつに
すること、および副生成物としてオレフィンへの臭素の付
脱ハロゲン化によるアセトフェノン類への還元反応が知
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 33-42 (2014)
37
られている 6)。筆者らはこれら光酸素酸化反応と脱ハロゲ
行することが分かった(entries 1-3)。そしてアセトンの添
ン化を組み合わせることにより、ワンポットかつメタルフ
加量を 0.3 mL まで減量した場合 85%の単離収率で目的の
リーでスチレン類からアセトフェノン類を合成すべく検
アセトフェノン 12a を得ることに成功した(entries 4-5)。
討を行った。
はじめに脱ヨウ素化条件の最適化検討を行った(Table
以上の最適条件を基に、一般化の検討を行った(Table 6)。
芳香環上の置換基に関わらずいずれも良好な収率で目的
4)。4-tert-butylstyrene(1a)をテスト基質として用い、ま
のアセトフェノン類を得ることができた(entries 1-3, 5-8)。
ず 0.6 当量の単体ヨウ素と 80 L の水存在下、酸素雰囲気
オルト位にメチル基を有する基質では、立体障害のためフ
中、酢酸エチル中にて可視光を 10 時間照射した。その後、
ェナシルヨーダイドへの酸化が遅く中程度の収率にとど
減圧下酢酸エチルを除去し、新たな溶媒を加え、酸素雰囲
まった(entry 4)。ピリジン環を有する基質に関してはト
気中可視光を照射することで検討を行った。様々な溶媒を
リフルオロ酢酸を加えることで良好な収率で脱ヨウ素化
検討した結果、アセトンを用いた場合のみ良好な収率で脱
を進行させることに成功した(entry 9)
。
ヨウ素化が進行し、目的のアセトフェノン 12a が良好な収
率で得られた(entries 1-10)。また、脱ヨウ素化には光と
酸素は必要ないことが判明した(entries 11-13)
。さらに溶
Table 6. One-pot and metal free synthesis of acetophenones
from styrenes
媒量を 0.3 mL に減量し、反応時間を 3 時間に短縮しても
収率にほとんど影響を与えなかった(entry 14)
。
次に反応をより簡便にするため、光酸素酸化後に酢酸エ
チルを除くことなく直接アセトンを加え、検討を行った
(Table 5)
。その結果、室温では反応が満足に進行しなか
ったが、60 ºC まで昇温すると脱ヨウ素化がスムーズに進
Table 4. Study of reaction condition
本反応の機構を解明するために、別途調整したフェナシ
ルヨージドを用いて脱ヨウ素化のメカニズム検討を行っ
た。フェナシルヨージド 2b に対し、ケトン存在下、酢酸
エチル中、60 ºC に加温することで検討を行った(Table 7)。
その結果、ケトンとしてアセトンを用いたところ、興味深
いことに単体ヨウ素が存在する場合に脱ヨウ素化が良好
に進行することが判明した(entries 1-2)
。また、アセトン
Table 5. Study of reaction condition
の代わりに 2-heptanone を 1 当量用いた際にも、単体ヨウ
素が存在する場合のみ脱ヨウ素化が進行し、副生成物とし
て 2-heptanone のカルボニル基の位がヨウ素化された
3-iodo-2-heptanone と 1-iodo-2-heptanone が得られた
(entries
3-4)
。ケトンが存在しない場合には、脱ヨウ素化はほとん
ど進行しなかった(entry 5)。以上の検討結果から、本脱
ヨウ素化反応には触媒量の単体ヨウ素と 1 当量のケトン
が必須であることが分かった。
以上の検討結果を基に本反応機構を次のように考えた
(Scheme 5)
。まず、単体ヨウ素存在下スチレン類 1 の光
酸素酸化によりフェナシルヨージド 2 が生じる。次に光
38
信田智哉ら:光と酸素或いは過酸化水素を用いる酸化反応の開発に関する研究
Table 7. Study of mechanism
ス酸を用いた様々な手法が開発されている
9)
。一方、近
年 C-H 活性化反応が注目を集めており、より酸化度の低
いアルコール類とインドール類との酸化的カップリング
反応が報告されているものの 10)、筆者らの知る限り触媒的
かつ選択的な合成法は皆無である。筆者らは、単体ヨウ素
がルイス酸としてアルデヒド類とインドール類の縮合反
応を触媒できることに着目し 9h)、筆者らがこれまでに見出
している単体ヨウ素を触媒としたベンジルアルコール類
の光酸素酸化によるアルデヒド類合成 2d) の後にインドー
ル類を加えることでビスインドリルメタン類をワンポッ
トで合成できるのではないかと考え検討を行った。
その結果、単体ヨウ素存在下、酸素雰囲気中にてベンジ
酸素酸化で消費されなかった単体ヨウ素がルイス酸とし
ルアルコール類に対し可視光を 20 時間外部照射した後に
て働き、ケトンをエノール化する。生じたエノールが、単
インドールを加え、光を照射せずに攪拌することで、対応
体ヨウ素によってカルボニル基を活性化されたフェナシ
するビスインドリルメタン類を得ることに成功した
ルヨージドのヨウ素上で SN2 反応を起こす。そして、アセ
(Table 8)
。芳香環上にアルキル基やブロモ基を有する基
トフェノンのエノールが脱離することで、フェナシルヨー
質、あるいはナフタレン環を有する基質でいずれも良好な
ジドの脱ヨウ素化が進行すると考えられる。一方、ケトン
収率で目的のビスインドリルメタン類を得ることができ
は SN2 反応の際、カルボニル基の位がヨウ素化されると
た(15aa-15ea)。パラ位にクロロ基を持つ基質では、0.2
考えられる。p-Methoxystyrene と 2-vinylpyridine の光酸素
当量の単体ヨウ素では第一段階の光酸素酸化反応が満足
酸化には NIS をヨウ素源として用いているが、反応溶液が
に進行しなかった。そこで、光の透過性を向上させる目的
黒色を呈することから、系中でヨウ素が発生し、これが脱
で単体ヨウ素の当量を 0.1 当量に減量した結果、光酸素酸
ヨウ素化に関与していると考えている。
Table 8. One pot synthesis of bis-indolylmethanes from
benzylalcohols
Scheme 5. Plausible path
3.2.ベンジルアルコール類からビスインドリルメ
タン類へのワンポット合成
以上のアセトフェノン合成法は光酸素酸化と脱ヨウ素
化のそれぞれの段階で単体ヨウ素が関与するワンポット
反応である。ワンポット反応は同一の容器内で複数の反応
を連続して行う手法であるが、先の反応に用いた試薬で後
の反応を触媒できれば、原子効率の観点において利点があ
ると言える 7)。そこで、光触媒能とルイス酸としての機能
を持つ単体ヨウ素を利用した更なるワンポット反応の検
討を行った。
インドール誘導体は多くの天然物の構造に含まれる骨
格であり、医薬品の分野において抗生物質として用いられ
るなど、有用な化合物である。特にビスインドリルメタン
類は生理活性な代謝産物として知られており、近年興味を
持たれている 8)。その化学的合成法として、適当な触媒存
在下カルボニル化合物とインドール類との縮合反応が挙
げられる。これまでに触媒としてブレンステッド酸やルイ
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 33-42 (2014)
39
化の収率は向上したものの、インドールとの縮合反応が満
集まっている。中でも K. Ishihara らの開発した四級アンモ
足に進行しない結果となった。そのためインドールと縮合
ニ ウ ム ヨ ー ジ ド を 過 酸 化 水 素 あ る い は
させる際に 0.1 当量の単体ヨウ素を追加することで検討を
tert-butylhydroperoxide を共酸化剤として触媒的に用いる
行い、中程度の収率で目的物を得ることに成功した(15fa)
。
手法は、副生成物が水あるいは tert-butanol のみであると
メトキシ基やニトロ基を有する基質に関しては 40 ºC に加
いう利点を有している
温し、さらに反応時間を延ばすことで、いずれも良好な収
在下、単体ヨウ素を触媒とする三級アミン類と炭素求核剤
率で目的物を得ることができた(15ga, 15ha)。また、
との CDC 反応の検討を行った。
16)
。そこで筆者らは過酸化水素存
N-methylindole を用いたところ、良好な収率で目的物を得
詳細な条件検討の結果、0.1 当量の単体ヨウ素と 2 当量
ることに成功した(15cb)。3 位に置換基を有するインド
の過酸化水素水存在下、テトラヒドロイソキノリン類をニ
ールを用いた場合には、2 位がアルキル化されたビスイン
トロメタン中にて攪拌することで対応する aza-Henry 生成
ドリルメタン類を中程度の収率で得ることができた(15gc,
物を収率良く得ることに成功した(Table 9)
。テトラヒド
15hd)。インドール誘導体の代わりにピロールを用いたと
ロイソキノリンの N-アリール基上の置換基に関わらず、
こ ろ 、 低 収 率 で は あ る が 目 的 の
いずれも良好な収率で目的の aza-Henry 生成物を得ること
5-(4-methylphenyl)dipyrromethane(15ce)を収率 18%で得る
ができた(18aa-18fa)
。また、求核剤としてニトロエタン
ことができた。
を用いた場合にも、中程度から良好な収率で目的物を得る
ことができた(18ab-18fb)
。
4.触媒量の単体ヨウ素を用いる酸化的炭素-炭
素結合形成反応
Table 9. Iodine catalyzed oxidative aza-Henry reaction
基本的に有機化合物は炭素骨格を有しているため、有機
合成において炭素-炭素結合形成反応は非常に重要であ
る。
その方法論の一つとして Cross Coupling 反応があるが、
反応基質の片方あるいは両方にハロゲンやトリフラート、
亜鉛やホウ素といった金属等の誘導基をあらかじめ導入
し、活性化させる必要がある。これら活性化に用いられる
置換基は、多くの場合生成物に取り込まれることがなく、
廃棄物となる。また、活性化の際に用いられる試薬や溶媒、
エネルギー等の観点からも問題を有している。これらの背
景から、近年 Cross-Dehydrogenative Coupling (CDC) 反応
が盛んに研究されている
11)
。CDC 反応は二つの基質をあ
らかじめ活性化することなく直接炭素-水素結合同士か
ら炭素-炭素結合を形成する手法であり、原子効率やステ
ップエコノミーの観点から利点がある。中でも、三級アミ
ン類の窒素の位に直接炭素求核剤を導入する手法は、合
成的かつ生物学的に有用な Mannich タイプの生成物を、よ
り酸化段階の低い基質から得られるため、有用である。S.
Murahashi らはロジウム触媒を用いることによって三級ア
ミン類の酸化的シアノ化反応に成功している
12)
。また、
C.-J. Li らは銅触媒を用いることで、三級アミン類と種々
の炭素求核剤との CDC 反応を報告している 13) 。さらに近
年、Ir や Ru といった遷移金属を含む光触媒、或いは Eosin
Y のような有機光増感剤を用いる CDC 反応が複数のグル
ープから報告されている 14)。一方、メタルフリーの手法と
して PhI(OAc)2 や DDQ、トロピリウムイオンを用いる手法
が報告されているが 15)、触媒的かつメタルフリーの手法は
限られている。
一方近年、低毒性かつ安価であるヨードソースを化学
量論量の酸化剤存在下、触媒的に用いる酸化反応に注目が
次に酸化的 Mannich 反応について検討した(Table 10)。
求核剤として、活性メチレンを有する Dimethylmalonate を
用いたところ、良好な収率で目的の炭素-炭素結合形成反
応が進行した(18ac and 18cc)。さらに活性化されていな
いケトンを求核剤として用いたところ、前述の最適条件で
は目的の反応は進行しなかった。しかしながら、5 当量の
酢酸を加えると酸化的 Mannich 反応が進行し、求核剤とし
てアセトンや 4-methyl-2-pentanone を用いた場合、テトラ
ヒドロイソキノリンの N-アリール基の置換基に関わらず、
いずれも良好な収率で目的の Mannich 生成物を得ること
40
信田智哉ら:光と酸素或いは過酸化水素を用いる酸化反応の開発に関する研究
ができた(18ad-18ae)。
Table 10. Iodine catalyzed oxidative Mannich reaction
ル基上の置換基に関わらず、いずれも良好な収率で目的の
aza-Henry 生成物を得ることに成功した(18aa-18ca, 18ea,
18ab, 18bb, 18eb)
。また、活性メチレンを有する求核剤を
用いた場合、良好な収率で目的物を得ることができた
(18cc, 18cf)
。アセトンを求核剤として用いた場合には酢
酸の代わりに 0.1 当量の L-proline を用いることで、中程度
の収率で目的の Mannich 生成物を得ることに成功した
(18cd)。
反応機構を解明するために以下の実験を行った
(Scheme 6)。テトラヒドロイソキノリンは、エタノール
中化学量論量の単体ヨウ素によって 3,4-ジヒドロイソキ
ノリンへと酸化されることが知られている
17)。そこで
1
当量の単体ヨウ素のみで酸化的 aza-Henry 反応を試みたが、
目的物は低収率であり、原料が回収された(eq. 1, 2)
。こ
の結果より、本酸化反応には過酸化水素或いは分子上酸素
が必要であることが分かる。電子リッチな芳香環やオレフ
ィン、ケトン等の単体ヨウ素によるヨウ素化は過酸化水素
で促進され、その活性種の一つとして一価のヨウ素である
次亜ヨウ素酸(HOI)が考えられている 18)。実際、次亜ヨ
本反応は単体ヨウ素存在下、光酸素酸化条件においても
進行することが分かった(Table 11)
。0.05 当量の単体ヨウ
素と 5 当量の酢酸存在下、酸素雰囲気中、テトラヒドロイ
ソキノリン類と 5 当量の求核剤に対し、蛍光灯からの可視
光を照射した結果、目的のカップリング体を収率良く得る
ことに成功した。求核剤としてニトロメタンやニトロエタ
ンを用いた結果、テトラヒドロイソキノリンの N-アリー
ウ素酸あるいはそのプロトン化体を発生させる方法とし
て知られている NaI/H2O2/acid 系で反応を行ったところ 19)、
炭素-炭素結合形成が 65%の収率で進行することがわか
った(eq. 3)
。また、ラジカル阻害剤である BHT は本反応
をほとんど阻害しないことから、本反応はラジカル反応で
ないと考えられる(eq. 4, 5)
。
以上の結果を踏まえ、本反応のメカニズムを以下のよう
に考えた(Scheme 7)
。まず、過酸化水素を用いる場合に
Table 11. Aerobic photo-oxidative CDC reaction
Scheme 6. Study of mechanism
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63, 33-42 (2014)
41
は単体ヨウ素が次亜ヨウ素酸(HOI)へと酸化される。光
1) Anastas P. T., Warner J. C., Green Chemistry, Theory and
酸素酸化条件下における活性種は明らかではないが、次亜
Practice, Oxford University Press, 1998. (渡辺正、北島昌夫
ヨウ素酸或いは次亜ヨウ素酸アセチル(AcOI)が発生し
訳、グリーンケミストリー、丸善、1999)
ているものと考えている。次にテトラヒドロイソキノリン
16 がこれらの活性種によって酸化されイミニウム塩 19 と
なり、求核剤が付加することで目的物 18 となる。このと
き生じるヨウ化水素は過酸化水素存在下、或いは光酸素酸
化条件下再酸化され、次亜ヨウ素酸或いは単体ヨウ素が再
生し、触媒サイクルが成立すると考えている。
Scheme 7. Plausible path
5.結論
以上述べてきたように、筆者らは光と酸素、或いは過酸
化水素を用いる酸化反応の開発を行った。その結果、単体
ヨウ素や 48%臭化水素酸といったハロゲンソース存在下、
スチレン類或いはアルキン類を光酸素酸化することによ
り、対応するフェナシルハライド類或いは,-ジブロモケ
トン類をそれぞれ得ることに成功した 20, 21)。また、単体ヨ
ウ素を用いるワンポット反応の開発を行い、スチレン類か
らアセトフェノン類を 22)、ベンジルアルコール類からビス
インドリルメタン類を
23)
それぞれ合成することに成功し
た。さらに単体ヨウ素を触媒とした CDC 反応の検討を行
い、過酸化水素存在下 24)、光酸素酸化条件下 25) の両条件
下において、三級アミン類と炭素求核剤の酸化的カップリ
ング反応を行うことに成功した。これらの反応は触媒とし
て安価で低毒性な単体ヨウ素を用い、酸化剤として安全安
価で原子効率の高い分子上酸素や過酸化水素を用いる、グ
リーンケミストリーの概念に適った酸化法であると言え
る。
6.謝辞
本研究全般にわたり御協力頂きました岐阜薬科大学合
成薬品製造学研究室の諸氏に感謝致します。
7.引用文献
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8.特記事項
本総説は、岐阜薬科大学博士論文(甲 146 号)の内容を
中心にまとめたものである。
研究論文抄録
Abstracts of Published Reports
(2013. 1 ~ 2013. 12)
43
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Org. Biomol. Chem. 11, 3030-3037 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical & Medicinal Chemistry]
FRET-based Imaging of Transbilayer Movement of Pepducin in Living Cells by Novel Intracellular
Bioreductively Activatable Fluorescent Probes.
Mieko Tsuji,Satoshi Ueda,Tasuku Hirayama,Kensuke Okuda,Yoshiaki Sakaguchi,Aoi Isono and Hideko Nagasawa*
To elucidate the mechanisms of direct transmembrane penetration of pepducins, which are artificial lipopeptide G
protein-coupled receptor (GPCR) modulators, we developed two types of FRET-based probes, Pep13-FL-SS-Dab (13) targeting the
inner leaflet of the lipid bilayer and Pep13-Dab-SS-FL (14) targeting the cytosol, respectively. When they are internalized into the
cytosol, intracellular glutathione can cleave the disulfide bond to release the quencher, which results in a turn-on fluorescence signal.
Using these probes, we performed live cell imaging of transbilayer movements of pepducins on MCF-7 cells for the first time. The
results suggested that the lipid moiety of the probes facilitated pepducin flipping across and tethering to the membrane. The present
study raises the possibility of applying the probe architecture for direct intracellular drug delivery.
[Chem. Sci. 4, 1250-1256 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical & Medicinal Chemistry]
A Highly Selective Turn-on Fluorescent Probe for Iron(II) to Visualize Labile Iron in Living Cells.
Tasuku Hirayama, Kensuke Okuda and Hideko Nagasawa*
The physiological and pathophysiological functions of iron have not been sufficiently explored, partially due to a lack of
methods for visualizing intracellular labile iron. In this edge article, we present a novel turn-on fluorescent probe (RhoNox-1) for the
selective detection of Fe2+ based on N-oxide chemistry. Spectroscopic studies combined with DFT calculations and electrochemical
studies revealed that fluorescence quenching of RhoNox-1 occurred in physiological conditions, which was attributed to
non-radiative deactivation of the excited state of tertiary amine N-oxide substituted xanthene involving a twisted internal charge
transfer (TICT) process and partially due to photo-induced electron transfer (PET) from the N-oxide group. RhoNox-1 showed
significant enhancement of the fluorescence signal in Fe2+-loaded cells viaselective Fe2+-mediated deoxygenation of the N-oxide
group and also successfully detected basal and endogenous labile Fe2+ in living cells.
[J. Heterocycl. Chem. 50, E9–E11 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical & Medicinal Chemistry]
Polycyclic N-Heterocyclic Compounds. Part 73: Synthesis and Evaluation of 5-Substituted
1,2-dihydrofuro[2,3-c]isoquinolines as Inducers of Lipoprotein Lipase mRNA Expression.
Kensuke Okuda*, Masahiko Yoshida, Takashi Hirota, and Kenji Sasaki
Several 5-substituted 1,2-dihydro[2,3-c]isoquinoline derivatives were synthesized as part of our research to develop new
diabetes drugs. Amines and sulfanyls were used as substituents at the 5-position. Evaluation of the effects of the newly synthesized
compounds on lipoprotein lipase mRNA expression in 3T3-L1 preadipocytes revealed one promising candidate with potency
comparable to that of troglitazone.
[Synth. Commun. 43, 1619–1625 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical & Medicinal Chemistry]
Polycyclic N-Heterocyclic Compounds. Part 77: Synthesis of
[1]Benzothieno[3’,2’:2,3]oxepino[4,5-d]pyrimidines and Their Evaluations as Anti-Platelet
Aggregation.
Kensuke Okuda*, Takashi Nikaido, Takashi Hirota, and Kenji Sasaki
Reaction of 3-(3-cyanopropoxy)[1]benzothiophene-2-carbonitrile with sodium hydride gave
5-amino-1,2-dihydro[1]benzothieno[3,2-d]furo[2,3-b]pyridine and 5-amino-2,3-dihydro[1]benzothieno[3,2-b]oxepin-4-carbonitrile.
The latter compound served as a convenient scaffold for the synthesis of the new heterocycles
[1]benzothieno[3’,2’:2,3]oxepino[4,5-d]pyrimidines and the parent
1,2,4,5-tetrahydro[1]benzothieno[2’,3’:6,7]oxepino[4,5-e]imidazo[1,2-c]pyrimidine heterocyclic system. The new compounds
described in this report were evaluated as inhibitors of platelet aggregation in vitro.
44
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[ChemCatChem 13, 3629-2635 (2013)]
[Lab. of Organic Chemistry]
Chemoselective Hydrogenation Catalyzed by Pd on Spherical Carbon.
Hiroyoshi ESAKI, Tomohiro HATTORI, Aya TSUBONE, Satoko MIBAYASHI, Takao SAKATA, Yoshinari SAWAMA,
Yasunari MONGUCHI, Hidehiro YASUDA, Kazuto NOSAKA, and Hironao SAJIKI*
We have developed a highly chemoselective hydrogenation method using a novel palladium catalyst supported on spherical
carbon (0.5% Pd/SC). The 0.5% Pd/SC exhibited a novel catalytic activity and could achieve the chemoselective hydrogenation of
alkynes, alkenes, azides, nitro groups, and aliph. O-tert-butyldimethylsilyl (TBS) ethers without hydrogenolysis of benzyl esters,
benzyl ethers, nitriles, arom. ketones, N-carbobenzyloxy (N-Cbz) protective groups, and arom. O-TBS ethers.
[Org. Lett. 15, 5282-5285 (2013)]
[Lab. of Organic Chemistry]
Iron-Catalyzed Ring-Opening Azidation and Allylation of O-Heterocycles.
Yoshinari SAWAMA*, Kyoshiro SHIBATA, Yuka SAWAMA, Masato TAKUBO, Yasunari MONGUCHI,
Norbert KRAUSE and Hironao SAJIKI*
We have established the first catalytic C-C and C-N bond formation reactions of O-heterocycles (e.g., THF, phthalan, and
lactone derivs.) using iron trichloride as a catalyst in the presence of TMSN 3 or allylsilanes accompanied by the ring opening of
O-heterocycles. The reactions smoothly proceeded at room temperature to give the corresponding primary saturated alcoholos from
the 2-substituted tetrahydrofurans, ortho-substituted benzyl alcohols from phthalanes, and saturated carboxylic acids from lactones in
high yields.
[J. Org. Chem. 78, 8980-8985 (2013)]
[Lab. of Organic Chemistry]
Mechanism Study of Copper-mediated One-pot Reductive Amination of Aryl Halides Using
Trimethylsilyl Azide.
Toshihide MAEJIMA, Moriatsu UEDA, Jun NAKANO, Yoshinari SAWAMA, Yasunari MONGUCHI*
and Hironao SAJIKI*
Reaction mechanisms of the copper-mediated amination of aryl halides with trimethylsilyl azide (TMSN 3) were analyzed on
the basis of the time-course study using reaction monitoring FT-IR, trapping an intermediary aryl azide by the Huisgen reaction, and
the anal. of the generated N2 gas during the reaction. This amination would proceed through multiple pathways via aryl radicals and
copper(I) azide.
[Adv. Synth. Catal. 355, 1529-1534 (2013)]
[Lab. of Organic Chemistry]
Platinum on Carbon-Catalyzed H-D Exchange Reaction of Aromatic Nuclei Due to Isopropyl
Alcohol-Mediated Self-Activation of Platinum Metal in deuterium oxide.
Yoshinari SAWAMA, Tsuyoshi YAMADA, Yuki YABE, Kosuke MORITA, Kyoshiro SHIBATA,
Masahiro SHIGETSURA, Yasunari MONGUCHI and Hironao SAJIKI*
An efficient and simple deuteration method of arenes using the platinum on carbon-isopropanol-cyclohexane-deuterium oxide
combination under hydrogen gas-free conditions was accomplished. Since the hydrogen-deuterium exchange reaction cannot be
promoted without isopropanol, zerovalent platinum metal (on carbon) is self-activated by the in situ-generated very low amountof
hydrogen or hydrogen-deuterium gas derived from isopropanol or isopropanol-d1. The present hydrogen gas-free method is safe from
the viewpoint of process chemistry and various arenes possessing a variety of reducible functionalities within the molecules could be
effectively and directly deuterium-labeled without undesired reduction.
45
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[ChemCatChem 5, 2360-2366 (2013)]
[Lab. of Organic Chemistry]
Easily-Controlled Chemoselective Hydrogenation Using Palladium on Boron Nitride.
Yuki YABE, Yoshinari SAWAMA, Tsuyoshi YAMADA, Saori NAGATA, Yasunari MONGUCHI
and Hironao SAJIKI*
The hydrogenation catalyzed heterogeneously by palladium on boron nitride (Pd/BN) in methanol realized the chemoselective
hydrogenation of only azides, alkenes, and alkynes in the presence of other reducible functionalities such as benzyl ethers, aryl
halides, aryl ketones, and nitro groups. Furthermore, the totally chemoselective semihydrogenation of alkynes could also be achieved
without the reduction of other coexisting reducible functionalities, which include azides and alkenes, by using Pd/BN in pyridine as a
solvent.
[Org. Lett. 15(6), 1306-1309 (2013)]
[Lab. of Organic Chemistry]
Chemoselective Hydrogenation Reaction of Unsaturated Bonds in the Presence of an
o-Nitrobenzenesulfonyl Group.
Akinori KAWANISHI, Chiyako MIYAMOTO, Yuki YABE, Makoto INAI, Tomohiro ASAKAWA,
Yoshitaka HAMASHIMA, Hironao SAJIKI* and Toshiyuki KAN
Chemoselective hydrogenation of unsaturated compounds bearing an o-nitrobenzenesulfonyl (Ns)-amide moiety, affording the
corresponding saturated compounds, was accomplished efficiently without loss of the nitro group by using the Pd/MS3A catalyst and
a H2 balloon. Partial hydrogenation of alkynes bearing an Ns group to corresponding cis alkenes was achieved with the combination
of the Pd/BN catalyst and an additive (diethylenetriamine or acetic acid).
[Adv. Synth. Catal. 355, 517-528 (2013)]
[Lab. of Organic Chemistry]
Lewis Acid-Catalyzed Ring-Opening Functionalizations of 1,4-Epoxy-1,4-dihydronaphthalenes.
Yoshinari SAWAMA*, Yuta OGATA, Koichi KAWAMOTO, Hiroyuki SATAKE, Kyoshiro SHIBATA, Yasunari
MONGUCHI, Hironao SAJIKI and Yasuyuki KITA
We have accomplished the Lewis acid-catalyzed carbon-carbon and carbon-nitrogen bond formations assocompaneid with the
ring opening of 1,4-epoxy-1,4-dihydronaphthalenes using nucleophiles such as allyltrimethylsilanes, trimethylsilyl cyanide
andtrimethylsilyl azide, by using the stabilization effect of the cation intermediate based on the introduction of
appropriatesubstituents into the bridgehead positions of 1,4-epoxy-1,4-dihydronaphthalenes to give the corresponding unique and
multi-functionalized naphthalene derivatives. The present reactions could provide excellent regioselective functionalization methods
using unsymmetrical substrates, which are quite difficult to achieve using transition metal-induced procedures.
[Green Chem. 15, 490-495 (2013)]
[Lab. of Organic Chemistry]
Solvent-free Huisgen Cyclization Using Heterogeneous Copper Catalysts Supported on Chelate Resin.
Yasunari MONGUCHI, Kei NOZAKI, Toshihide MAEJIMA, Yutaka SHIMODA, Yoshinari SAWAMA,
Yoshiaki KITAMURA, Yukio KITADE and Hironao SAJIKI*
Copper catalysts supported on chelate resins bearing iminodiacetate moieties (DIAION CR11) or polyamine moieties
(DIAION CR20) as chelating functional groups (12% Cu/CR11 and 7% Cu/CR20, respectively) were developed. 12% Cu/CR11
effectively catalyzed the Huisgen cycloaddition of mono-substituted alkynes to azides in the presence of triethylamine under totally
solvent-free conditions to afford the corresponding 1,4-disubstituted 1,2,3-triazoles in excellent yields and in a completely
regioselective manner. Furthermore, the Huisgen cycloaddition was found to effectively proceed without addition of triethylamine by
the use of 7% Pd/CR20 as a catalyst.
46
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Angew. Chem. Int. Ed. 52, 1515-1519 (2013)]
[Lab. of Organic Chemistry]
Efficient Generation of ortho-Naphthoquinone Methides from 1,4- Epoxy-1,4-dihydronaphthalenes
and Their Annulation with Allyl Silanes.
Yoshinari SAWAMA*, Yuko SHISHIDO, Takayoshi YANASE, Koichi KAWAMOTO, Ryota GOTO,
Yasunari MONGUCHI, Yasuyuki KITA and Hironao SAJIKI*
We have established a FeCl3-catalyzed method for the synthesis of 1-naphthoquinone-2-methides from
1-siloxymethyl-1,4-epoxy-1,4-dihydronaphthalenes and the further transformation of the products in an annulation reaction with
various allyl silanes to afford biologival useful dihydronaphthopyran derivsatives. Various products were directly and effectively
obtained via the continuous sequence of reactions, including an exceptional hetero-Diels-Alder reaction of α,β-unsaturated carbonyl
compounds and allyl silanes. This methodology can be expected to contribute to the synthesis of natural products and novel bioactive
agents.
[Chem. Eur. J. 19, 484-488 (2013)]
[Lab. of Organic Chemistry]
Site-Selective Deuterated-Alkene Synthesis Using Palladium on Boron Nitride.
Yuki YABE, Yoshinari SAWAMA, Yasunari MONGUCHI and Hironao SAJIKI*
We have developed a new Et3N-mediated H-D exchange reaction of alkynes to prepare alkynes-d1 in a mixture of D2O and
THF at room temperature and the Pd/BN-catalyzed (BN = boron nitride) regioselective systematic reduction and reductive
deuteration gave various deuterated terminal alkenes from unlabeled alkynes or deuterated alkyne derivatives in excellent yields and
with high D contents and regioselectivities. A variety of reducible functionalities, such as nitro groups, benzyl ethers, TBS ethers,
and silanes, are well tolerated under the reaction conditions and the wide variety of deuterated products obtainable by this method are
expected to be useful building blocks for new deuterated materials such as deuterium-labeled drugs, deuterated polymers, and tracers.
[SYNTHESIS (PSP) 45, 40-44 (2013)]
[Lab. of Organic Chemistry]
A Practical Protocol for the Hiyama Cross-Coupling Reaction Catalyzed by Palladium on Carbon.
Yasunari MONGUCHI, Takayoshi YANASE, Shigeki MORI and Hironao SAJIKI*
A method for the palladium on carbon (Pd/C) catalyzed cross-coupling reaction between aryl halides and trialkoxy(aryl)silanes
in the presence of a small amount. of water is established using tris(4-fluorophenyl)phosphine as the ligand. A range of biaryl
compounds is prepared using this protocol.
[Tetrahedron Lett. 54, 6218-6221 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Aerobic Photooxidative Cleavage of 1,3-Diketones to Carboxylic Acids Using 2-Chloroanthraquinone.
Yuma TACHIKAWA, Lei CUI, Yoko MATSUSAKI, Norihiro TADA, Tsuyoshi MIURA and Akichika ITOH*
We developed direct aerobic photooxidation of 1,3-diketones to corresponding carboxylic acids in the presence of a catalytic
amount of 2-chloroanthraquinone under visible light irradiation from fluorescent lamps. When benzoylacetones were used as
substrates, the corresponding carboxylic acids were obtained in good-to-high yields, regardless of the presence of an
electron-donating or electron-withdrawing group on the benzene ring. Furthermore, 2-naphthoic acid and 3-thiophenecarboxylic acid
were obtained in good yields. Dibenzoylmethane was also oxidized to benzoic acid in good yield. Furthermore, 1,3-oxoester was
converted to benzoic acid in moderate yield. In addition, 1,3-cyclohexanedione and 2-hydroxyacetophenone were oxidized to
corresponding carboxylic acids albeit in low yields, respectively. Under these conditions, acetophenone functioned as a poor
substrate.
47
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Photochem. Photobiol. Sci. 12, 417-420 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Aerobic Photooxidative Cleavage of Epoxides to Carboxylic Acids Using Magnesium Bromide.
Tomoaki YAMAGUCHI, Yoko MATSUSAKI, Norihiro TADA, Tsuyoshi MIURA and Akichika ITOH*
We developed an aerobic photooxidative cleavage of epoxides to carboxylic acids using a catalytic quantity of magnesium
bromide and molecular oxygen as the terminal oxidant, under photoirradiation with a high-pressure mercury lamp. Reactions of
styrene oxides bearing substituents at the para-position proceeded smoothly to afford the corresponding carboxylic acids,
respectively in good to high yields. In addition, cis-stilbene oxide, 1-acetyl-2-phenyloxirane, and chalcone epoxide were converted to
corresponding carboxylic acids in good yields. Furthermore, -methylstyrene epoxide and 2-vinylnaphthalene epoxide were
converted to benzoic acid and 2-naphthoic acid, respectively, in moderate yields. In contrast, trans-stilbene oxide was a poor
substrate. Aliphatic epoxides were converted to the corresponding carboxylic acids, albeit in low yields. It is noteworthy that gram
scale reaction can be proceeded in 48% yield under non-optimized condition.
[Tetrahedron Lett. 54, 4896-4899 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Asymmetric Conjugate Addition of Aldehydes to Vinyl Sulfone Using a
Diaminomethylenemalononitrile Organocatalyst.
Yohei KANADA, Hiroki YUASA, Kosuke NAKASHIMA, Miho MURAHASHI, Norihiro TADA, Akichika ITOH,
Yuji KOSEKI and Tsuyoshi MIURA*
Diaminomethylenemalononitrile organocatalyst promotes the asymmetric conjugate addition of branched aldehydes to vinyl
sulfone to afford the corresponding adducts with all-carbon quaternary stereocenters in excellent yields with up to 91% ee. We
selected methyl and methoxy substituents as the representative electron-donating group and halogen substituents as the
electron-withdrawing groups on the benzene ring. The reactions of branched aldehydes with 1,1-bis(phenylsulfonyl)ethene proceeded
smoothly and resulted in the corresponding adducts in excellent yields with 82–91% ee. The conjugate addition of N-Boc
-aminophenylacetaldehyde gave the corresponding adduct in excellent yield with low enantioselectivity.
[Chem. Lett. 42, 1151-1153 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Asymmetric Conjugate Addition of Malonates to Enones Using Pperfluorobutanesulfonamide
Organocatalyst.
Yuji KAMITO, Akira MASUDA, Hiroki YUASA, Norihiro TADA, Akichika ITOH, Yuji KOSEKI and
Tsuyoshi MIURA*
Perfluorobutanesulfonamide organocatalyst efficiently promotes asymmetric conjugate additions of malonates to
,-unsaturated ketones to afford the corresponding adducts in excellent yields with up to 99% ee. We selected bromo and nitro
substituents as representative electron-withdrawing groups on the benzene ring and methyl and methoxy substituents as the
electron-donating group. The reactions of enones with substituents smoothly proceeded to give the corresponding adducts in high
yields with excellent enantioselectivitie. Moreover, we examined the reactions with enone possessing a naphthalene skeleton to
afford the corresponding adduct with 94% ee.
[Tetrahedron Lett. 54, 256-258 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Calcium Iodide Catalyzed Photooxidative Oxylactonization of Oxocarboxylic Acids Using Molecular
Oxygen as Terminal Oxidant.
Norihiro TADA, Takafumi ISHIGAMI, Lei CUI, Kazunori BAN, Tsuyoshi MIURA and Akichika ITOH*
We developed aerobic photooxidative oxylactonization of oxocarboxylic acids catalyzed by calcium iodide using molecular
oxygen as the terminal oxidant under photo irradiation. Electron-deficient and electron-rich substrates gave the
corresponding oxolactones in good yields. Sterically hindered substrates possessing two methyl groups on the
aromatic ring gave the corresponding oxolactones in modest yields. 4-(2-Naphthoyl)butyric acid gave the
corresponding oxolactone in good yield. Unfortunately, 4-acetylbutyric acid, 3-benzoylpropionic acid, and
5-benzoylpentanoic acid were poor substrates.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Synlett 24, 607-610 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Catalytic Aerobic Photooxidative Cleavage of Carbon-carbon Triple Bonds Using Carbon
Tetrabromide.
Tomoaki YAMAGUCHI, Tomoya NOBUTA, Yasuhisa KUDO, Shin-ichi HIRASHIMA, Norihiro TADA,
Tsuyoshi MIURA and Akichika ITOH*
We developed the aerobic photooxidative cleavage of carbon–carbon triple bonds to carboxylic acids in the presence of
catalytic amounts of carbon tetrabromide under photoirradiation with a high-pressure mercury lamp. Generally, the corresponding
carboxylic acids are obtained in good to high yields regardless of the electron-donating or withdrawing group on the benzene ring. In
addition, the ethynyl group is more easily oxidized to carboxylic acid than the methyl group, and 4-methylbenzoic acid was obtained
in 52% yield. Furthermore, internal alkynes were also oxidized in moderate to good yields. Unfortunately, no 2-picolinic acid was
obtained. On the other hand, 3-ethynylthiphene was converted to 3-thiophenecarboxylic acid albeit in low yield.
[Tetrahedron Lett. 54, 162-165 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Efficient Generation of Hydrogen Peroxide by Aerobic Photooxidation of 2-Propanol Using
Anthraquinone-2-carboxylic Acid and One-pot Epoxidation of α,β-Unsaturated Ketones.
Lei CUI, Sohei FURUHASHI, Yuma TACHIKAWA, Norihiro TADA, Tsuyoshi MIURA and Akichika ITOH*
We developed an efficient method for the generation of hydrogen peroxide by aerobic photooxidation of 2-propanol using
anthraquinone-2-carboxylic acid and molecular oxygen in air and visible light from fluorescent lamps. One-pot epoxidation of
,-unsaturated ketones using the generated hydrogen peroxide is also reported. In these reactions, hydrogen peroxide was generated
for 10 h, and subsequently, the ,-unsaturated ketone was epoxidized in the presence of 1.0 M aqueous KOH. trans-Chalcone and
derivatives with substituents such as electron withdrawing and donating groups are good substrates for this reaction, which afforded
corresponding epoxides in high yields. The epoxide of trans-4-phenyl-3-buten-2-one, which has one aliphatic substituent, was also
obtained in 71% yield. Furthermore, aliphatic substrates participate effectively in this reaction.
[Synthesis 45, 2684-2688 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Facile Aerobic Photooxidation of Alcohols Using 2-Chloroanthraquinone under Visible Light
Irradiation.
Yoshiko SHIMADA, Kasumi HATTORI, Norihiro TADA, Tsuyoshi MIURA and Akichika ITOH*
We report a facile photooxidation of alcohols to obtain carboxylic acids and ketones using easily handled
2-chloroanthraquinone as an organocatalyst under visible light irradiation in an air atmosphere. The reaction conditions are mild,
such as an air atmosphere and ambient pressure and temperature. Both substrates with an electron-withdrawing and electron-donating
group in aromatic nucleus gave the corresponding carboxylic acids in good yields in an air atmosphere and using visible light
irradiation from fluorescent lamps in the presence of K2CO3 (Method A) or TFA/H2O (Method B); however, the substrate with a
strong electron-withdrawing group gave few carboxylic acids. We also examined an aliphatic alcohol, and obtained the
corresponding carboxylic acid in low yields.
[Adv. Synth. Catal. 355, 2203-2207 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Metal-free Direct C-H Perfluoroalkylation of Arenes and Heteroarenes Using a Photoredox
Organocatalyst.
Lei CUI, Yoko MATSUSAKI, Norihiro TADA, Tsuyoshi MIURA, Bunji UNO and Akichika ITOH*
We report visible-light-induced trifluoromethylation of arenes and heteroarenes using sodium trifluoromethanesulfinate
catalyzed by anthraquinone-2-carboxylic acid. This reaction is the metal-free trifluoromethylation of arenes and heteroarenes
catalyzed by a photoredox organocatalyst. Perfluoroalkylated arenes were also produced using sodium perfluoroalkylsulfinate.
Electron-rich arenes gave the corresponding products in good yields. In addition, some substituted heteroarenes were also obtained in
good yields. In contrast, we got trace amounts of product when benzene was used as substrate, and nitrobenzene didn't react at all.
For further studies, we used various sodium perfluoroalkylsulfinates and found that pentafluoroethyl (C 2F5) and heptafluoropropyl
(C3F7) groups could be substituted on 1,3,5-trimethoxybenzene in good yields.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Org. Lett. 15, 574-577 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Molecular Iodine Catalyzed Cross-dehydrogenative Coupling Reaction between Two sp3 C-H Bonds
Using Hydrogen Peroxide.
Tomoya NOBUTA, Norihiro TADA, Akitoshi FUJIYA, Atsumasa KARIYA, Tsuyoshi MIURA and Akichika ITOH*
A useful method for molecular iodine catalyzed oxidative C-C bond formation between tertiary amines and a carbon
nucleophile using hydrogen peroxide as the terminal oxidant is reported. This is the first report of a molecular iodine catalyzed
cross-dehydrogenative coupling (CDC) reaction between two sp3 C-H bonds. In general, the corresponding aza-Henry products were
obtained in good yields with nitromethane as the coupling partner, regardless of whether there was an electron-donating or
electron-withdrawing group on the N-aryl group aromatic ring. Using nitroethane, C-C bond formations proceeded smoothly to
afford the desired products in moderate to good yields. Unfortunately, N,N-dimethyl-p-toluidine was poor substrete.
[RSC Adv. 3, 10189-10192 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Molecular-iodine-catalyzed Aerobic Photooxidative C-C Bond Formation Between Tertiary Amines
and Carbon Nucleophiles.
Tomoya NOBUTA, Akitoshi FUJIYA, Tomoaki YAMAGUCHI, Norihiro TADA, Tsuyoshi MIURA and
Akichika ITOH*
This paper reports a useful method for molecular-iodine-catalyzed aerobic photooxidative C–C bond formation between
tertiary amines and carbon nucleophiles. This reaction provides a practical method for C–C bond formation through the use of
molecular iodine, harmless visible light irradiation, and molecular oxygen as the terminal oxidant. In general, the corresponding
aza-Henry products were obtained in good to high yields using nitromethane and nitroethane regardless of whether an
electron-donating or electron-withdrawing group was present on the aromatic ring of the N-aryl moiety. Unfortunately other tertiary
amines, such as N,N-dimethyl-p-toluidine and N-benzyl-N-methylaniline, were poor substratas.
[Molecules 18, 14529-14542 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Synthetic Chemistry]
Perfluoroalkanesulfonamide Organocatalysts for Asymmetric Conjugate Additions of Branched
Aldehydes to Vinyl Sulfones.
Kosuke NAKASHIMA, Miho MURAHASHI, Hiroki YUASA, Mariko INA, Norihiro TADA, Akichika ITOH,
Shin-ichi HIRASHIMA, Yuji KOSEKI and Tsuyoshi MIURA*
Asymmetric conjugate additions of branched aldehydes to vinyl sulfones promoted by sulfonamide organocatalyst 6 or 7 have
been developed, allowing facile synthesis of the corresponding adducts with all-carbon quaternary stereocenters in excellent yields
with up to 95% ee. A range of electron-withdrawing substituents such as bromo and fluoro moieties, and electron-donating
substituents such as methyl and methoxy groups on the aromatic ring of branched aldehydes provided the corresponding adducts in
excellent yields with good enantioselectivities (83%–92% ee). The additions of branched aldehydes possessing a naphthalene motif,
to vinyl sulfone proceeded smoothly to afford the corresponding adducts in excellent yields with 92% ee, respectively
[Phytochem. Lett. 6, 215-218 (2013)]
[Lab. of Pharmacognosy]
Flavonoids isolated from the leaves of Melicope triphylla and their extracellular-superoxide
dismutase-inducing activity.
Masayoshi OYAMA*, Ken-ichi NAKASHIMA, Tetsuro KAMIYA, Manami HABA, Tetsuro ITO, Hiroko MURATA,
Toshiyuki TANAKA, Tetsuo ADACHI, Munekazu IINUMA and Takeshi KINOSHITA
Two novel flavonoids, named meliflavones A (1) and B (2), were isolated from the leaves of Melicope triphylla (Lam.) Merr.,
along with thirteen known compds. (3–15). Four of the polymethoxyflavonoids bearing a prenyloxy (3-methylbut-2-enyloxy)
function (1, 3–5) induced the expression of extracellular-superoxide dismutase (EC-SOD) in a human leukemic U937 cell-based
assay.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Phytochem. Lett. 6, 193-197 (2013)]
[Lab. of Pharmacognosy]
Absolute Configuration and Conformational Analysis of C-glucoside of a Resveratrol Trimer:
Structure of Hopeaside E from Hopea utilis.
Tetsuro ITO, Ryosuke HOSHINO, Yasumasa HARA, Masayoshi OYAMA* and Munekazu IINUMA
A new glucoside of the resveratrol trimer (hopeaside E) was isolated from the stem wood of Hopea utilis. The glucoside
structure is partially composed of balanocarpol (resveratrol dimer) after oxidative condensation of the
(E)-resveratrol-10-C--glucopyranoside. The structure elucidation was achieved by spectroscopic analysis including NMR
experiments, and the absolute configuration was determined on the basis of the comparative configurational analysis with the 
-D-glucopyranosyl group. Conformational analysis was also performed by considering deshielding effects due to aromatic rings using
computational methods of molecular modeling. The aglycone has six asymmetric carbons with two aliphatic hydroxyl groups
attached to them that has not been reported in any other resveratrol derivative studies.
[Chem. Pharm. Bull., 61, 551-558(2013)]
[Lab. of Pharmacognosy]
Isolation of Six Isoprenylated Biflavonoids from the Leaves of Garcinia subelliptica.
Tetsuro ITO, Renpei YOKOTA, Tatsuya WATARAI, Koki MORI, Masayoshi OYAMA*, Hideko NAGASAWA, Hideaki
MATSUDA and Munekazu IINUMA
Six new biflavonoids were isolated from the leaves of Garcinia subelliptica. The new biflavonoids are rare mono-isoprenylated
derivatives that have a flavone-(3'–8'')-flavone core (amentoflavone type) and a flavanone-(3–8'')-flavone core (morelloflavone type).
The absolute configurations of the morelloflavone-type biflavonoids were confirmed by circular dichroism. The biflavonoids with an
isoprenyloxy group and a 2-hydroxy-3-methyl-3-butenyl group, and the morelloflavone-type biflavonoids with a C5 unit are the first
examples in nature. We found that amentoflavone, one of the major biflavonoids, strongly inhibited hypoxia-inducible factor-1 in
human embryonic kidney 293 cells under hypoxic conditions.
[Phytochem. Lett. 6, 667-670 (2013)]
[Lab. of Pharmacognosy]
Novel Isolation of Resveratrol Dimer O-glucosides with Enantiomeric Aglycones
from the Leaves of Shorea cordifolia.
Tetsuro ITO, Kouko NISHIYA, Masayoshi OYAMA*, Toshiyuki TANAKA,
Jin MURATA, Dedy DARNAEDI and Munekazu IINUMA
Two O-glucosides of resveratrol dimers, ampelopsin F-11b-O--glucopyranosides with enantiomeric aglycones (cordifolosides
A and B) and an enantiomer of the aglycone [()-ampelopsin F] were isolated from the leaves of Shorea cordifolia
(Dipterocarpaceae). These structures were identified on the basis of spectroscopic evidence and their absolute configurations were
elucidated using circular dichroism data. This is the first report on oligostilbenoids that demonstrates the co-occurrence of
diastereomeric O-glucosides with enantiomeric aglycones in this family.
[Bunseki Kagaku 62, 167-171 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Analytical Chemistry]
High-performance Liquid Chromatographic Estimation of the - Charge-transfer Interaction Ability
of Electron Acceptors Using Phenyl-modified Silica-gel Column.
Bunji UNO,* Satoshi MAEKAWA, Tatsushi NAKAYAMA1, Hiroya MURAKAMI1, and Yukihiro ESAKA
The intermolecular - charge-transfer (CT) complex formation ability of electron acceptors such as p-chloranil, TCNE,
TCNQ, DDQ, and TCNB has been evaluated as retention times of HPLC using a phenyl-modified silica-gel column as a stationary
phase with mobile phase consisting of heptane and benzene. It is found that there is a good linear correlation between the retention
times of the acceptors and the formation constants (KCT) for the CT complexes with pyrene. On the other hand, half-wave reduction
potentials (E1/2) as experimental LUMO energies of acceptors are well correlated with the intermolecular CT band energies based on
Mulliken’ CT theory, but unfavorably explain the KCT values. Therefore, the retention times obtained by the HPLC system are
considered as a direct indicator value of the intermolecular - type CT ability of electron acceptors.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[J. Phys. Chem. B 117, 10834-10845 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Analytical Chemistry]
Formal Redox Potentials of Organic Molecules in Ionic Liquids on the Basis of Quaternary Nitrogen
Cations as Adiabatic Electron Affinities.
Kunimasa SETO, Tatsushi NAKAYAMA, and Bunji UNO*
Formal redox potentials E’ involving neutral species and radical anions in ionic liquids (ILs) are discussed from the point of
view of the adiabatic electron affinity as a molecular property. It is found that the E’ values of the 1,4-benzoquinone (BQ)/BQ•–
redox couple in the ammonium and pyridinium ILs are not influenced by the measurement conditions, and that they remain
considerably dependent on the nature and concentration of the electrolyte when measured using the traditional method involving
molecular solvents combined with a supporting electrolyte (0.1–0.5 M). Notably, the E’ values obtained in the ammonium IL
correlate well with the calculated standard redox potentials and are linearly fitted with high correlation over all classes of compounds
using a single regression equation based on Koopmans’ theorem.
[Int J Pharm 453, 329-335 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Drug delivery to the ocular posterior segment using lipid emulsion via eye drop administration: Effect
of emulsion formulations and surface modification.
Lin YING, Kohei TAHARA and Hirofumi TAKEUCHI*
This work explored submicron-sized lipid emulsion as potential carriers for intraocular drug delivery to the posterior segment via eye
drops. The effects of physicochemical properties of lipid emulsion on drug delivery were evaluated in vivo using mice. Different
formulations of submicron-sized lipid emulsions were prepared using a high pressure homogenization system. Using coumairn-6 as a
model drug and fluorescent marker, fluorescence could be observed in the retina after administration of the lipid emulsion. The
fluorescence intensity observed after administration of medium chain triglycerides containing the same amount of coumarin-6 was
much lower than that observed after administration of lipid emulsions. The inner oil property and phospholipid emulsifier did not
affect the drug delivery efficiency to the retina.
[Asian Journal of Pharmaceutical Sciences 8, 104-109 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Preparation of bromfenac-loaded liposomes modified with chitosan for ophthalmic drug delivery and
evaluation of physicochemical properties and drug release profile.
Toshimasa TSUKAMOTO, Kohei HIRONAKA, Takuya FUJISAWA, Daiki YAMAGUCHI, Kohei TAHARA, Yuichi TOZUKA and
Hirofumi TAKEUCHI*
The purpose of this study was to design a submicron-sized liposomal non-steroidal anti-inflammatory drug (NSAID) preparation that
targets the retina via topical instillation of eye drops. Bromfenac (BRF)-loaded liposomes were prepared using the calcium acetate
gradient method. Liposome sizes and encapsulation efficiencies were optimized by screening several liposome formulations of lipid,
drug concentration, and buffer solution. BRF entrapment efficiency was greater than 90% using this method, and was low using
conventional hydration methods. High initial BRF loading using the pH gradient method caused aggregation of liposomes.
[Powder Technology 240, 2-6 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Dry powder formulation with α-glycosyltransferase-treated stevia for the effective absorption of
hydrophobic bioactive compounds in crude drugs.
Yuichi TOZUKA, Masaaki IMONO, Hiromasa UCHIYAMA, Kohei TAHARA, Shigemi TAZAWA, Yoko ARAKI and Hirofumi
TAKEUCHI*
The purpose of this study was to prepare a functional dry powder capable of effectively improving the bioavailability of hydrophobic
bioactive ingredients in crude drugs. A dry powder formulation from an ethanol extract of Brazilian green propolis was achieved in
the presence of α-glycosyltransferase-treated stevia (Stevia-G). The resulting powder dispersed easily into an aqueous medium, and
the average particle size of the suspension was about 350 nm. Propolis is known as a mixture of more than 200 ingredients; therefore,
the suspension contains particles of hydrophobic compounds as well as dissolved molecules of several other compounds.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Journal of Drug Delivery Science and Technology 23, 471-475 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Design of rapidly disintegrating drug delivery films for oral doses with hydoxypropyl methylcellulose.
Hirofumi. TAKEUCHI*, Rie YAMAKAWA, Tomoka NISHIMATSU, Yoshiko TAKEUCHI, Kazuhisa HAYAKAWA and Naoaki
MARUYAMA
The purpose of this study was to develop pharmaceutical thin films that disintegrate rapidly in the oral cavity. Films containing
acetaminophen as a model drug were prepared by the solution/solvent casting method. HPMC as a polymeric film former, MCC and
pregelatinized starch as disintegrants, and micronized L-HPC as both a film former and a disintegrant were examined. The
disintegration time and the tensile strength were measured. The surface morphologies of the films were compared using SEM. The
addition of disintegrants or especially the optimal content of L-HPC into the films shortened the disintegration time and affected the
tensile strength.
[Journal of Pharmaceutics 2013, 6 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Quantum Dot-Loaded Liposomes to Evaluate the Behavior of Drug Carriers after Oral
Administration.
Kohei TAHARA, Shiho FUJIMOTO, Fumihiko FUJII, Yuichi TOZUKA, Takashi JIN and Hirofumi TAKEUCHI*
We have developed submicron-sized liposomes modified with a mucoadhesive polymer to enhance peptide drug absorption after oral
administration. Liposomal behavior in the gastrointestinal tract is a critical factor for effective peptide drug delivery. The purpose of
this study was to prepare quantum dot- (QD-) loaded submicron-sized liposomes and examine liposomal behavior in the body after
oral administration using in vivo fluorescence imaging. Two types of CdSe/CdZnS QDs with different surface properties were used:
hydrophobic (unmodified) QDs and hydrophilic QDs with glutathione (GSH) surface modifications. QD- and GSH-QD-loaded
liposomes were prepared by a thin film hydration method. Transmission electron microscopy revealed that QDs were embedded in
the liposomal lipid bilayer.
[Eur J Pharm Biopharm 83, 364-369 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Retinal drug delivery using eyedrop preparations of poly-l-lysine-modified liposomes.
Hitoshi SASAKI, Keiichi KARASAWA, Kohei HIRONAKA, Kohei TAHARA, Yuichi TOZUKA and Hirofumi TAKEUCHI
The purpose of this study was to develop surface-modified liposomes that enhance the efficiency of eye drop drug delivery to the
retina. Various molecular weights and concentrations of the water-soluble cationic polymer poly-l-lysine (PLL) were used to modify
the surface of submicronized (100nm) liposomes. Physicochemical properties of surface-modified liposomes were determined in
vitro, and the efficiency of drug delivery to the retina was investigated in vivo. Using coumarin-6 as a model drug and fluorescent
marker, we show that liposome surface modification by PLL dramatically increased delivery to mouse retina segments after eye drop
administration. However, when PLL of high molecular weight (>30,000) was used at higher concentrations (>0.05%), aggregation of
surface-modified liposomes increased particle size and hampered distribution to inner ocular tissues. As a result, the efficiency of
drug delivery of these aggregated surface-modified liposomes was the same as unmodified liposomes.
[Int J Pharm 458, 9-14 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
A novel approach to monitor coating amount by short-wavelength near-infrared spectroscopy using a
tracer with a long-chain hydrocarbyl group.
Takahiro OZAWA, Makoto YOKOYAMA, Tetsuya HOSONO, Takuya NAGATO, Kohei TAHARA and Hirofumi TAKEUCHI*
Investigation into the use of near-infrared (NIR) as a Process Analytical Technology has been conducted for in-process monitoring of
coating amounts for oral pharmaceutical products. However, the low specificity of NIR spectra has made it time consuming and
costly to establish quantitative calibration models for commercial production. Here we revealed that long-chain hydrocarbyl group
compounds containing saturated hydrocarbon chains, such as cetyl and stearyl, exhibit specific and strong absorption in the short
wavelength (SW)-NIR region (800-1100nm) with limited interference from peaks corresponding to other components. To simplify
the quantitative model, we used cetanol as a model tracer of coating amount to enhance detection sensitivity and analytical precision.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Int J Pharm 441, 67-74 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Rapid determination of the encapsulation efficiency of a liposome formulation using column-switching
HPLC.
Naozumi OHNISHI, Eiichi YAMAMOTO, Hiromasa TOMIDA, Kenji HYODO, Hiroshi ISHIHARA, Hiroshi KIKUCHI, Kohei
TAHARA and Hirofumi TAKEUCHI*
The feasibility of a rapid automated method for determination of the encapsulation efficiency (EE) of a liposome formulation using a
column-switching HPLC system was confirmed by employing several types of liposome formulations containing doxorubicin (DXR).
A suspension of DXR liposome was injected directly into an online solid-phase extraction (SPE) system comprising a Diol SPE
column and an ODS SPE column connected in series. Free (not encapsulated) DXR was trapped on the Diol SPE column, whereas
encapsulated DXR was eluted without interaction. The eluted encapsulated DXR was trapped on the ODS SPE column after being
extracted from the inner phase of the liposome by mixing with an organic solvent.
[J Pharm Sci 102, 1281-1289 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Surface modification of liposomes using polymer-wheat germ agglutinin conjugates to improve the
absorption of peptide drugs by pulmonary administration.
Mitsutaka MURATA, Takashi. YONAMINE, Shota TANAKA, Kohei TAHARA, Yuichi TOZUKA and Hirofumi TAKEUCHI*
In this study, we investigated the feasibility of a system based on liposomal surface modification with a novel mucoadhesive
polymer-lectin conjugate for the pulmonary delivery of therapeutic peptides and proteins. We covalently attached wheat germ
agglutinin (WGA), a ligand that specifically interacts with alveolar epithelial cells, to carbopol (CP), a mucoadhesive polymer, using
the carbodiimide method and then evaluated the efficacy and potential toxicity of CP-WGA surface-modified liposomes in vivo and
in vitro. In association studies, CP-WGA modification enhanced the interaction with A549 lung epithelial cells compared with
unmodified or CP-modified liposomes. This increased association was dependent on temperature and the surface concentration of
free WGA.
[Powder Technology 241, 60-66 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Orally disintegrating tablets prepared by a co-processed mixture of micronized crospovidone and
mannitol using a ball mill to improve compactibility and tablet stability.
Eri KATSUNO, Kohei TAHARA, Yoshiko TAKEUCHI and Hirofumi TAKEUCHI*
The purpose of this study was to prepare orally disintegrating tablets (ODTs) by directly compressing a mixture of sugar alcohol
(mannitol) and micronized crospovidone (M-CPVP). When the mixture of mannitol and M-CPVP was co-processed by ball milling,
the physicochemical properties of the resultant tablets were considerably improved, particularly their stability during storage. Several
types of coground mixtures using a different ratio of M-CPVP/mannitol and processing time were tested to determine the appropriate
aggregates for designing the ODTs. Without this co-processing, the powder mixture had poor compactibility, and the stability of the
tablet was inferior, probably due to the high hygroscopicity of M-CPVP. The ODTs containing coground M-CPVP/mannitol showed
good stability for six months under humid conditions.
[Chem Pharm Bull (Tokyo) 61, 962-966 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Development of a novel and simple method to evaluate disintegration of rapidly disintegrating tablets.
Yohei HOASHI, Yuichi TOZUKA and Hirofumi TAKEUCHI*
The purpose of this study was to develop and test a novel and simple method for evaluating the disintegration time of rapidly
disintegrating tablets (RDTs) in vitro, since the conventional disintegration test described in the pharmacopoeia produces poor results
due to the difference of its environmental conditions from those of an actual oral cavity. Six RDTs prepared in our laboratory and 5
types of commercial RDTs were used as model formulations. Using our original apparatus, a good correlation was observed between
in vivo and in vitro disintegration times by adjusting the height from which the solution was dropped to 8 cm and the weight of the
load to 10 or 20 g. Properties of RDTs, such as the pattern of their disintegrating process, can be assessed by verifying the load.
These findings confirmed that our proposed method for an in vitro disintegration test apparatus is an excellent one for estimating
disintegration time and the disintegration profile of RDTs. © 2013 The Pharmaceutical Society of Japan.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Drug Dev Ind Pharm 39, 259-265 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Solventless dry powder coating for sustained drug release using mechanochemical treatment based on
the tri-component system of acetaminophen, carnauba wax and glidant.
Yohei HOASHI, Yuichi TOZUKA and Hirofumi TAKEUCHI*
Solventless dry powder coating methods have many advantages compared to solvent-based methods: they are more economical,
simpler, safer, more environmentally friendly and easier to scale up. The purpose of this study was to investigate a highly effective
dry powder coating method using the mechanofusion system, a mechanochemical treatment equipped with high compressive and
shearing force. Acetaminophen (AAP) and carnauba wax (CW) were selected as core particles of the model drug and coating material,
respectively. Sustained AAP release was observed by selecting appropriate processing conditions for the rotation speed and the slit
size. The dissolution rate of AAP processed with CW substantially decreased with an increase in talc content up to 40% of the
amount of CW loaded.
[Int J Pharm 455, 132-137 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
A completely solvent-free process for the improvement of erythritol compactibility.
Yohei HOASHI, Yuichi TOZUKA and Hirofumi TAKEUCHI*
Objective: We obtained improvement of erythritol compactibility by formulating composite particles composed of erythritol and
porous silica using a twin-screw kneader. Methods: Erythritol-based tablets formulated with composite particles were directly
compacted, and we estimated their hardness and the friability. The compression properties of the erythritol powder bed including
composite particles were estimated using a Heckel analysis and force-displacement profiles, and we investigated the physical states
of the composite particles by powder X-ray diffractometry, a thermal analysis and a nitrogen gas adsorption study. Results: A
direct-compacted erythritol tablet formulated with composite particles, prepared at the melting temperature of erythritol (120°C),
exhibited high hardness and low friability. A pressure transmission study revealed the higher plasticity and lower elasticity of an
erythritol powder bed formulated with composite particles prepared at 120°C.
[Biomacromolecules. 14, 4420-4428 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Design and Evaluation of Folate-appended -, -, and -cyclodextrins Having a Caproic Acid as a
Tumor Selective Antitumor Drug Carrier in Vitro and in Vivo.
Ayaka OKAMATSU, Keiichi MOTOYAMA, Risako ONODERA*, Taishi HIGASHI, Takahiro KOSHIGOE,
Yasutaka SHIMADA, Kenjiro HATTORI, Tomoko TAKEUCHI and Hidetoshi ARIMA
We designed and evaluated the FA-appended three kinds of CyDs possessing a caproic acid as a spacer between FA and a CyD
molecule (Fol-c1-CyDs) as a tumor targeting carrier for antitumor drugs. Antitumor activity of doxorubicin (DOX) was increased by
the complexation with Fol-c1--CyD, but not with Fol-c1--CyD or Fol-c1--CyD in KB cells. Also, Fol-c1--CyD increased
antitumor activities of paclitaxel and vinblastine, but not 5-fluorouracil. The Fol-c1--CyD/DOX complex showed much higher
antitumor activity than DOX alone after intravenous administrations to tumor-bearing mice with a negligible change of the blood
chemistry values. These findings suggest that Fol-c1--CyD could be useful as a tumor-selective carrier for antitumor drugs.
[Int. J. Pharm. 452, 116-123 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Involvement of Cholesterol Depletion from Lipid Rafts in Apoptosis Induced by
Methyl--cyclodextrin.
Risako ONODERA*, Keiichi MOTOYAMA, Ayaka OKAMATSU, Taishi HIGASHI, Ryusho KARIYA,
Seiji OKADA and Hidetoshi ARIMA
Methyl-β-cyclodextrin (M-β-CyD), which is widely used as a lipid rafts disrupting agent, is known to induce cytotoxicity at
high concentration. In the present study, we investigated the potential of M-β-CyD as an antitumor drug. M-β-CyD markedly caused
apoptotic cell-death in KB cells, Ihara cells and M213 cells, through cholesterol depletion in cell membranes. The DNA content and
mitochondrial transmembrane potential in KB cells were significantly decreased after treatment with M-β-CyD. M-β-CyD drastically
inhibited the tumor growth after intratumoral injection to Colon-26 cells-bearing mice. These results strongly suggest that M-β-CyD
induced apoptosis in tumor cells and had the potential a novel antitumor agent and/or its lead compound.
55
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Bioconjug. Chem. 24, 724-733 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Folate-appended -cyclodextrin as a Promising Tumor Targeting Carrier for Antitumor Drugs in Vitro
and in Vivo.
Ayaka OKAMATSU, Keiichi MOTOYAMA, Risako ONODERA*, Taishi HIGASHI, Takahiro KOSHIGOE,
Yasutaka SHIMADA, Kenjiro HATTORI, Tomoko TAKEUCHI and Hidetoshi ARIMA
We first prepared heptakis-6-folic acid (FA)-appended -cyclodextrin (-CyD) possessing two caproic acids between FA and a
-CyD molecule as a spacer (Fol-c2--CyD) and evaluated the potential as a novel tumor targeting carrier for antitumor drugs
through a complexation. Fol-c2--CyD increased in vitro antitumor activities of antitumor drugs such as doxorubicin (DOX),
vinblastine, and paclitaxel in KB cells, but not in A549 cells, a FR--negative cell line. The complex of DOX with Fol-c2--CyD
markedly increased antitumor activity of DOX after intravenous administration to mice subcutaneously inoculated Colon-26 cells, a
FR--positive cell line. These findings suggest that Fol-c2--CyD could be useful as a promising antitumor drug carrier.
[Sci. Rep. 3, 1104, 1-9 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Enginnering]
Potential Use of Folate-appended Methyl--cyclodextrin as an Anticancer Agent.
Risako ONODERA*, Keiichi MOTOYAMA, Ayaka OKAMATSU, Taishi HIGASHI and Hidetoshi ARIMA
To obtain a tumor cell-selectivity of methyl--cyclodextrin (M--CyD), we newly synthesized folate-appended M--CyD
(FA-M--CyD), and evaluated the potential of FA-M--CyD as a novel anticancer agentin vitroandin vivo. Potent antitumor activity
and cellular association of FA-M--CyD were higher than those of M--CyD in KB cells, folate receptor (FR)-positive cells.
FA-M--CyD drastically inhibited the tumor growth after intratumoral or intravenous injection to FR-positive Colon-26 cells-bearing
mice. The antitumor activity of FA-M--CyD was comparable and superior to that of doxorubicin after both intratumoral and
intravenous administrations, respectively, at the same dose, in the tumor-bearing mice. Importantly, an intravenous administration of
FA-M--CyD to tumor-bearing mice did not show any significant change in blood chemistry values. These results strongly suggest
that FA-M--CyD has the potential as a novel anticancer agent.
[J. Photopolym. Sci. Thechnol. 26, 545-548 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Physical Chemistry]
Immobilization of Cyclodextrin Derivatives onto the Self-Assembled Phospholipid Layer Fabricated
by Plasma-Assisted Method.
Shin-ichi KONDO*, Masako SUZUKI, Yasushi SASAI, Yukinori YAMAUCHI and Masayuki KUZUYA
In this paper, we immobilized the cyclodextrin derivatives onto the self-assembled phospholipid layer. We immobilized
per-6-amino--cyclodextrin as a model compound on LDPE-StA-PC-SA, and labeled the immobilized per-6-amino--cyclodextrin
with fluorescein-4-isothiocyanate. In this experimental condition, self-assembled phospholipid layer with 3 or 5 layer was obtained.
It was also shown that the triple PC layer was stable up to 60 ºC. We could successfully immobilize per-6-amino--cyclo-dextrin
onto LDPE-StA-PC-SA film. Per-6-amino--cyclodextrin was easily labeled with fluorescein-4-isothiocyanate. We are now
actively elaborating the application of biosensor using LDPE-StA-PC-SA film immobilizing cyclodextrin derivatives.
[J. Photopolym. Sci. Thechnol. 26, 559-562 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Physical Chemistry]
Preparation of Enzyme-immobilized Filter Paper Using Plasma Surface Treatment.
Yasushi SASAI*, Daishi MISHIMA, Tomomi RIKIHISA, Shin-ichi KONDO,
Yukinori YAMAUCHI and Masayuki KUZUYA
In this study, the trypsin-immobilized filter paper with protease activity was designed. The surface of cellulose fiber in filter
paper was modified with vinylmethylether-maleic acid copolymer (VEMAC) by plasma-based method to immobilize trypsin with
high activity retention. The trypsin was covalently immobilized to carboxyl group of VEMAC on cellulose fiber through
1-ethyl-3-[3-dimethylaminopropyl] carbodiimide hydrochloride/N-hydroxysuccinimide (EDC/NHS) coupling reaction. The enzyme
activity of the immobilized trypsin and its thermal stability were considerably improved, indicating that VEMAC worked as an
effective interface between trypsin and cellulose fiber.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[J. Photopolym. Sci. Thechnol. 26, 529-532 (2013)]
[Lab. of Pharmaceutical Physical Chemistry]
Construction of Matrix-type Drug Delivery System Using Solid Phase Polymerization Initiated
by Plasma-induced Radicals.
Yukinori YAMAUCHI, Masayuki KUZUYA, Yasushi SASAI and Shin-ichi KONDO*
In this study, we aimed to construct the high functional surface of low-substituted hydroxypropyl cellulose (L-HPC) powder by
vibratory miximng of reactive surface radicals formed with plasma treatment and solid-state yinyl monomer, N-vinylacetamide
(NVA). The block copolymer, L-HPC-block-poly-NVA, was successfully synthesized on the L-HPC surface by radical
polymerization of NVA, which was initiated by the plasma-irradiated radicals located on the surface. Drug release properties from
tablets prepared with or without NVA grafted L-HPC had been studied and compared for the different contents of NVA. The drug
was more slowly released from the tablets with the increase of the content of NVA.
[Chemosphere, 90, 57-64 (2013)]
[Lab. of Hygienic Chemistry and Molecular Toxicology]
Practical Method for PCB Degradation Using Pd/C–H2–Mg System.
Akiko IDO, Shinji ISHIHARA, Akira KUME, Tsuyoshi NAKANISHI, Yasunari MONGUCHI,
Hironao SAJIKI and Hisamitsu NAGASE*
We have reported a catalytic degradation method of polychlorinated biphenyls (PCBs) based on a palladium on carbon
(Pd/C)-catalyzed dechlorination in the presence of Et3N under ambient hydrogen pressure and temperature. In this study, we
demonstrate a more practical system using magnesium metal instead of Et3N for the dechlorination of a variety of aromatic chlorides.
The method was applicable for the complete degradation of a variety of PCB mixtures, such as Aroclor 1242, 1248, 1254 and PCBs
removed from a capacitor toproduce only biphenyl and magnesium chloride as the maritime component, both of which are less toxic
and easily separable. Moreover, the Pd/C could be recovered and reused at least five times without any loss of catalytic activity. The
present Pd/C–Mg–H2 system is a simple, safe, inexpensive, and environmentally-benign degradation method of PCBs.
[J. Toxicol. Sci., 38, 151-153(2013)]
[Lab. of Hygienic Chemistry and Molecular Toxicology]
Microarray analysis of neonatal brain exposed to cadmium during gestation and lactation.
Akiko HONDA, Chiho WATANABE, Minoru YOSHIDA, Hisamitsu NAGASE* and Masahiko SATOH
DNA microarray containing 30,000 genes was used to monitor the transcriptional response of the neonatal brain after cadmium
(Cd) exposure. C57BL/6J pregnant mice were exposed to Cd (10 ppm) during gestation and lactation via drinking water. In a
comparison between the Cd-exposed neonatal brain and control, three genes including transferrin receptor (Tfrc) were up-regulated
and one gene was down-regulated.
[J. Toxicol. Sci., 38, 155-157 (2013)]
[Lab. of Hygienic Chemistry and Molecular Toxicology]
DNA microarray analysis of hepatic gene expression in mice exposed to cadmium for 30 days.
Maki TOKUMOTO, Tomoaki OHTSU, Shunji IMAI, Akiko HONDA, Hisamitsu NAGASE*and Masahiko SATOH
Although cadmium causes hepatotoxicity, its molecular mechanism is unclear. In the present study, transcriptional responses in
the liver of C57BL/6J mice given 50 ppm cadmium as a drinking water for 30 days were evaluated with DNA microarray. Serum
aspartate aminotransferase (AST) and alanine aminotransferase (ALT) activities were not elevated following the administration of
cadmium. Cadmium increased the expressions of 2 genes and reduced those of 15 genes in the liver of mice before the leading to
hepatotoxicity.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[J.Funct.Foods. 5, 601-606 (2013)]
[Lab. of Molecular Biology]
Medium-chain Fatty Acid-containing Dietary Oil Alleviates the Depression-like Behaviour in Mice
Exposed to Stress due to Chronic Forced Swimming
Hisami SHINOHARA, Hidefumi FUKUMITSU, Akira SETO and Shoei FURUKAWA*
Antidepressant-like effects of medium-chain fatty acid-containing dietary oil were examined by using mice forced to swim.
This stress induced depressive symptoms and decreased the ratio of phosphorylated (p) extracellular signal-regulated kinases
(ERK)1/2 to ERK1/2 in the hippocampus, demonstrating that our model prepared in mice was comparable to the models using rats.
Consequently, the intake of medium- and long-chain triacylglycerols (MLCTs) resulted in a reduction in the immobility time in the
forced swim test. Moreover, the ratio of pERK 1/2 to ERK1/2 was higher in mice fed the MLCT diet than in those fed the long-chain
triacylglycerols. These results are the first evidence showing that MLCTs have a preventive effect against forced swimming-induced
depression-like symptoms.
[Evid Based complement Alternat Med.2013 403503 (2013)]
[Lab. of Molecular Biology]
Neurite Outgrowth in PC12 Cells Stimulated by Components from Dendranthema × Grandiflorum
cv. ”Mottenohoka” Is Enhanced by Suppressing Phosphorylation of p38MAPK.
Atsuyoshi NISHINA, Hirokazu KIMURA, Hiroyuki TSUKAGOSHI, Kunihisa KOZAWA, Mamoru KOKETSU,
Masayuki NINOMIYA and Shoei FURUKAWA*
Components from Dendranthema × grandiflorum cv. "Mottenohoka" that promote neurite outgrowth of PC12 cells were
identified as acacetin and luteolin. The effects on PC12 cells were evaluated by immunoblot and immunostaining. Slight neurite
outgrowth in PC12 cells was observed within 2 days of culture by luteolin or acacetin. However, NGF-stimulation induced
remarkable neurite outgrowth in comparison. Neurite outgrowth by luteolin or acacetin was significantly enhanced by pretreatment
with SB203580 (a p38MAPK inhibitor). The results of this study into the phosphorylation of ERK 1/2 and p38MAPK by flavonoids
suggest that the inhibition of p38MAPK phosphorylation may effectively enhance neurite outgrowth.
[Biochem.Biophys.Res.Commuun. 432, 456-459 (2013)]
[Lab. of Molecular Biology]
Intracellular Interaction of Newly Synthesized Nerve Growth Factor and its Receptors.
Hiroshi NOMOTO, Hisako NOTSU, Yukio KATO, Keigo EKINAGA and Shoei FURUKAWA*
In autocrine cells, both a ligand and its receptors are synthesized in the same cell, but their intracellular interaction is not well
known. We examined it using PC84 cells, a mutant PC12 cell line expressing (NGF. We have already reported that
the intracellularprecursor of TrkA was phosphorylated and that MAP kinase was phosphorylated in PC84 cells. In this paper we
found that the NGF receptors, TrkA and p75NTR, existed mainly as precursors, and most p75NTR localized inside PC84 cells. The
phosphorylation of MAP kinase was also observed even when PC84 cells were incubated with anti-NGF antibody to block the
extracellular interaction. These results suggest the possibility that newly synthesized NGF could interact intracellularly with the
receptors in PC84 cells.
[Biomed. Res. 34, 259-267 (2013)]
[Lab. of Molecular Biology]
Anxiolytic-like Effect of 2-Decenoic Acid Ethyl Ester in Stress-Induced Anxiety-like Model Mice.
Akihisa MAKINO, Munekazu IINUMA, Hidefumi FUKUMITSU, Hitomi SOUMIYA and Shoei FURUKAWA*
We developed trans-2-decenoic acid ethyl ester (DAEE) as a stable and small molecule with BDNF-like activities, and tested
its activities on a stress-induced anxiety-like mouse model. Mice were subjected to 3 sets of sequential leaning, drenching, and
rotation as chronic mild stresses applied for 1-2 days over a 3-week period; and the anxiety-like symptom was evaluated by use of
the elevated plus-maze test. A daily administration of DAEE competed against the anxiety-like symptom when administered during
the stress-loading, and became therapeutic when administered after the stress-loading. This activity was accompanied by
amelioration of the stress-induced reduction of BDNF and neurotrophin-3 mRNAs and phosphorylated ERK1/2 in the hippocampus.
These results demonstrated that DAEE behaved like an anxiolytic and ameliorated anxiety-like symptom, suggesting that DAEE may
be a promising candidate for a novel anxiolytic with a new mechanism of action.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Biomed. Res. 34, 231-239 (2013)]
[Lab. of Molecular Biology]
Neurotrophin-3 Influences the Number and the Laminar Fate of Cortical Progenitors in the
Developing Cerebral Cortex of Mice through the MEK/ERK1/2 Signaling Pathway.
Masanari OHTSUKA, Hitomi SOUMIYA, Masami HANAI, Shoei FURUKAWA and Hidefumi FUKUMITSU*
The laminar formation in the developing cerebral cortex requires precisely regulated generation of phenotype-specific neurons.
We investigated whether neurotrophin-3 (NT3) is involved in this formation by using intrautero injection of NT3 to lateral
ventrilcule of E13.5 mouse embryos. NT3 increased the number of newly generated neurons and altered the neuronal phenotypes in
the position and the transcription factors-expression profiles; the neuronal phenotypes originally committed for layer IV neurons
were altered toward for layers II/III neurons. The former effects were observed when the parent progenitor cells were exposed to
NT3 in the G1- to S-phase, whereas the latter effects were observed with exposure in the G1-phase. Taken together with aggitional
observations suggested that NT3 is involved in the cortical laminar formation through the intercellular MEK/ERK pathway.
[Neurochem. Res. 38, 2397-2407 (2013)]
[Lab. of Molecular Biology]
Neurite Outgrowth of PC12 Cells by 4'-O-β-D-Glucopyranosyl-3', 4-Dimethoxychalcone from
Brassica Rapa L. 'Hidabeni' was Enhanced by Pretreatment with p38MAPK Inhibitor.
Atsuyoshi NISHINA, Hirokazu KIMURA, Hiroyuki TSUKAGOSHI, Kunihisa KOZAWA, Mamoru KOKETSU,
Masayuki NINOMIYA, Daisuke SATO, Yuki OBARA and Shoei FURUKAWA*
The cellular effects of eleven compounds including chalcone glycosides isolated from Brassica rapa L. 'hidabeni' and their
synthetic derivatives were studied in rat pheochromocytoma PC12 cells. 4'-O-β-D-Glucopyranosyl-3', 4-dimethoxychalcone (A2)
increased the levels of the phosphorylated ERK 1/2, p38 MAPK, and JNK/SAPK, but did not affect Akt. NGF increased the levels of
phosphorylated ERK1/2, JNK/SAPK, and Akt but not p38MAPK. Signals evoked by A2 shared characteristics with those induced by
NGF. Although the neuritogenic activity of A2 was weak, this effect was enhanced by pre-treatment with a p38MAPK inhibitor,
suggesting that the phosphorylation of p38MAPK down-regulated neurite outgrowth.
[FEBS J. 280, 3313-3327 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmaceutics]
Zinc-induced Modulation of SRSF6 Activity Alters Bim Splicing to Promote Generation of The Most
Potent Apoptotic Isoform BimS.
Hirokazu HARA*, Tatsuya TAKEDA, Nozomi YAMAMOTO, Keisuke FURUYA, Kazuya HIROSE,
Tetsuro KAMIYA and Tetsuo ADACHI
Bim, a pro-apoptotic BH3-only Bcl-2 family proteins, undergoes alternative splicing to produce three dominant splicing
variants (BimEL, BimL, and BimS). Zn 2+ triggered alterations in Bim splicing and induced preferential generation of BimS, but not
BimEL and BimL. Analysis using Bim mini-gene revealed that predicted binding sites of the SR-protein SRSF6 are located in the
intronic region adjacent to exon 4. The mutations in the binding sites abolished generation of BimS mRNA derived from the mutated
Bim mini-gene. In addition, SRSF6 directly bound to the binding site and Zn2+ suppressed the binding. Our findings suggest that Zn2+
inhibits the activity of SRSF6 and promotes elimination of exon 4, leading to preferential generation of BimS.
[Biol. Pharm. Bull. 36, 585-591 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmaceutics]
Protective Effects of Apomorphine against Zinc-induced Neurotoxicity in Cultured Cortical Neurons.
Hirokazu HARA*, Asuka MAEDA, Tetsuro KAMIYA and Tetsuo ADACHI
There is evidence that excessive Zn2+ release from presynaptic terminals following brain injuries such as ischemia and severe
epileptic seizures induces neuronal cell death. Pretreatment with apomorphine (Apo) dose- and time-dependently ameliorated Zn2+
neurotoxicity. In addition, pretreatment with Apo prevented intracellular NAD+ and ATP depletion caused by Zn2+ exposure.
Dopamine receptor antagonists did not influence Apo protection against Zn 2+ neurotoxicity. N-acetylcysteine, a thiol compound,
partially reduced Apo protection. Entry of Zn 2+ into neurons is thought to a critical step of Zn2+ neurotoxicity. Interestingly, we found
that pretreatment with Apo decreased elevation of intracellular Zn2+ levels after Zn2+ exposure. Taken together, these results suggest
that the protective effects of Apo are regulated, at least in part, by its oxidized products, and preventing intracellular accumulation of
Zn2+ contributes to Apo protection against Zn2+ neurotoxicity.
59
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[J. Clin. Biochem. Nutr. 52, 101-105 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmaceutics]
Effect of Endoplasmic Reticulum (ER) Stress Inducer Thapsigargin on the Expression of
Extracelular-Superoxide Dismutase in Mouse 3T3-L1 Adipocytes.
Tetsuro KAMIYA*, Hirokazu HARA and Tetsuo ADACHI
Endoplasmic reticulum (ER) stress is related to metabolic disorders. It is known that inflammatory adipocytokines and
oxidative stress are increased, while anti-inflammatory adipocytokines such as adiponectin are decreased in adipocytes during above
conditions. Extracellular-superoxide dismutase (EC-SOD) is an anti-inflammatory enzyme that protects cells from oxidative stress. It
is speculated that the regulation of EC-SOD might lead to the suppression of metabolic disorders. We observed the reduction of
EC-SOD and adiponectin in 3T3-L1 adipocytes treated with thapsigargin, an ER stress inducer. Moreover, eukaryotic translation
initiation factor 2α signaling cascade plays a pivotal role in the reduction of EC-SOD in 3T3-L1 adipocytes during ER stress
conditions.
[Free Radic. Biol. Med. 61C, 197-205 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmaceutics]
Epigenetic Regulation of Extracellular-Superoxide Dismutase in Human Monocytes.
Tetsuro KAMIYA*, Masatomo MACHIURA, Junya MAKINO, Hirokazu HARA, Isao HOZUMI and Tetsuo ADACHI
Extracellular-superoxide dismutase (EC-SOD) plays an important role in normal redox homeostasis. It has been reported that
epigenetic factors, such as DNA methylation and histone modification, are involved in several kinds of gene regulation. We
investigated the involvement of epigenetic factors in EC-SOD expression and determined high levels of DNA methylation within
promoter and coding regions of EC-SOD in THP-1 cells compared to those in U937 cells. Treatment with a DNA methyltransferase
inhibitor significantly induced the expression of EC-SOD in THP-1 cells. Moreover, we detected histone acetylation during
differentiation. Further, pretreatment with histone acetyltransferase inhibitors significantly suppressed the TPA-inducible EC-SOD
expression. We also determined the epigenetic suppression of EC-SOD in peripheral blood mononuclear cells. These findings
provide novel evidence that cell-specific and TPA-inducible EC-SOD expression are regulated by epigenetics in human monocytes.
[J. Nat. Prod. 76, 1285-1290 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmaceutics]
Luteolin Suppresses the Differentiation of THP-1 Cells through the Inhibition of NOX2 mRNA
Expression and the Membrane Translocation of p47phox.
Junya MAKINO, Ryohei NAKANISHI, Tetsuro KAMIYA*, Hirokazu HARA, Masayuki NINOMIYA,
Mamoru KOKETSU and Tetsuo ADACHI
Luteolin is known to have several biological activities. Cluster for differentiation (CD) families are expressed during
pathological processes of atherosclerosis. We investigated whether luteolin and three other flavonoids, chrysin, apigenin, and tricetin,
blocked TPA-triggered induction of CD families, which were induced through the activation of PKC, MEK/ERK, and NOX-derived
ROS. Luteolin blocked TPA-triggered induction of CD families in THP-1 cells. Luteolin completely blocked ROS generation,
whereas it did not inhibit MEK/ERK phosphorylation. Moreover, pretreatment with luteolin suppressed TPA-triggered activation of
NOX2. It is revealed that luteolin suppresses TPA-triggered induction of CD families by the prevention of NOX2 activation.
[Int. J. Food Sci. Nutr. 64, 407-414 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmaceutics]
Consumption of Polyphenol-rich Juar Tea Increases Endothelium-bound Extracellular Superoxide
Dismutase Levels in Men with Metabolic Syndrome: Link with LDL Oxidizability.
Harumi UTO-KONDO, Makoto AYAORI, Yoshimi KISHIMOTO, Tetsuo ADACHI*, Shunichi TAKIGUCHI,
Emi YAKUSHIJI, Makoto SASAKI, Tomohiro KOMATSU, Kazuo KONDO and Katsunori IKEWAKI
Endothelium-bound extracellular superoxide dismutase (eEC-SOD), a major antioxidative enzyme in the vasculature, is
involved in anti-atherogenesis by inhibiting low-density lipoprotein (LDL) oxidation. The objective was to investigate whether the
polyphenol-rich juar tea had beneficial effects on LDL oxidation and eEC-SOD levels in patients with metabolic syndrome (MetS).
Although there was no change in LDL oxidizability after consumption of either tea, juar tea significantly increased eEC-SOD levels
by 16%, whereas barley tea significantly decreased levels by 15%. It is noteworthy that the changes in eEC-SOD were positively
associated with those in LDL oxidizability after tea consumption.
60
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Med. Biol. 157, 134-141 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmaceutics]
The Nutritive Power and Antioxidant Potential of Brown Rice Power with Five Grain Ingredients:
The Expected Benefit of the High ORAC Value.
Kazuo AKUTSU, Hiroshi MORI, Takaharu YANAGISAWA, Hiroshi KAYAHARA, Yuki UEKI, Naoyuki HIRAKATA,
Takahiro IMAZATO, Tetsuo ADACHI*, Hiroji SHIMOMURA and Eisuke MAEHATA
We investigated the mitigation of oxidative stresses using a brown rice formula containing five grain ingredients (brown rice,
black soy beans, small adzuli beans, edible adlay and sesame). Tests in U.S. verified that the oxygen radical absorbance capacity
(ORAC) of this formula was as high as 21 mol TE (Trolox equivalent)/g, and it was found to contain abundant water-soluble
vitamins and minerals. These characteristics are conductive to higher antioxidant potential. We evaluated the use of this product in
rheumatoid arthritis patients in as attempt to bolster the body’s resilience to oxidative stresses.
[Biomed. Rep. 1, 614-618 (2013)]
[Lab. of Pharmacokinetics]
Suppression of Metallothionein 3 Gene Expression by Androgen in LNCaP Prostate Cancer Cells.
Takashi OTSUKA, Aki HAMADA, Kazuhiro IGUCHI, Shigeyuki USUI, and Kazuyuki HIRANO*
Prostate tissue has a high zinc concentration, which may correlate with prostate cancer progression. We investigated the effect
of dihydrotestosterone (DHT) on the gene expression of metallothioneins (MTs) and zinc transporters in prostate cancer. The MT3
gene expression in LNCaP cells was suppressed by DHT in a dose-dependent manner. However, it increased in a culture medium
containing androgen-deficient FBS. Bicalutamide increased the gene expression of MT3 and partially reversed the suppression of
MT3 gene expression induced by DHT. In PC‑ 3 cells lacking androgen receptors, DHT and bicalutamide exerted no effect on MT3
gene expression. These results suggest that MT3 gene expression is downregulated by androgen.
[Jpn.J.Pharm.Health Care Sci. 39, 156-165 (2013)]
[Lab. of Pharmacokinetics]
A Novel Comparative Evaluation for the Quality of Oral Generic Drugs.
Masato TERASHITA , Kazuhiro IGUCHI, Shigeyuki USUI and Kazuyuki HIRANO*
We propose a statistical and objective method to evaluate the quality of generic drugs using the coefficient of variances (CVs)
calculated from their pharmacokinetic parameters. CVs were estimated from AUC, Cmax, Tmax, t1/2, and MRT which were
provided as publicly-available drug information. The generic drug assessment tool (G-DAT), an original equation derived from the
ratio of CVs of corresponding generic to original drugs, and the quality of generic drugs was statistically evaluated. The proposed
comparative evaluation showing equivalent pharmacokinetics of generic to original drugs can be used as one solution to reduce
anxieties and increase the reliability of generic drugs.
[Gan To Kagaku Ryoho. 40, 349-354 (2013)]
[Lab. of Pharmacokinetics]
Evaluation of the efforts of pharmaceutical care services before medical examination at an outpatient
cancer chemotherapy clinic.
Chiaki YOSHIMI, Maya YAMADA, Hironori FJII, Minako NISHIGAKI, Hirotoshi IIHARA, Kiyoyuki KITAICHI*,
Mayu TANAKA, Sayoko KURAHASHI, Takao TAKAHASHI, Kazuhiro YOSHIDA, Yoshinori ITOH
In the outpatient cancer chemotherapy clinic of Gifu University Hospital, we evaluated the efforts of the pharmaceutical care
services (PCS) to all patients. As a consequence, the time spent for patient education and monitoring and the number of proposals on
prescriptions significantly increased. After PCS, the percentage of the acceptance of proposals was reached to 94%. PCS also
improved the control of chemotherapy-induced nausea and vomiting, peripheral neuropathy and skin rash. These results suggest that
PCS by pharmacists would be beneficial to progress the quality of outpatient cancer chemotherapy.
61
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Mol. Clin. Oncol. 1, 41-46 (2013)]
[Lab. of Pharmacokinetics]
Difference in the emetic control among highly emetogenic chemotherapy regimens: Implementation
for appropriate use of aprepitant.
Shinya AOKI*, Hirotoshi IIHARA, Minako NISHIGAKI, Yoshinori IMANISHI, Keita YAMAUCHI, Masashi
ISHIHARA, Kiyoyuki KITAICHI, Yoshinori ITOH
Although antiemetic medication based on the emetogenicity of the cancer chemotherapy regimen is recommended, emetic
control varies even among highly emetogenic chemotherapy (HEC). In the present study, we retrospectively investigated the rates of
emetic control by a combination of aprepitant (APR), granisetron, 5-HT3 antagonist, and dexamethasone in various HEC regimens.
The analized data suggest that the rate of emetic control was varied between HEC regimens as expected. APR would be benefical to
improve emetic control in HEC regimens if it used appropriately. These results suggest that further intervention of emetic control in
HEC regimens would be needed.
[Biol. Trace. Elem. Res. 151, 9-13 (2013)]
[Lab. of Medical Therapeutics & Molecular Therapeutics]
Decreased Bioelements Content in the Hair of Patients with Fahr's Disease (Idiopathic Bilateral
Calcification in the Brain).
Mari TAKAGI, Kazuhiro OZAWA, Hiroshi YASUDA, Mitsuko DOUKE, Kazunori HASHIMOTO, Yuichi HAYASHI,
Takashi INUZUKA and Isao HOZUMI*
The remarkable calcification of the basal ganglia and cerebellum has been traditionally called Fahr's disease, but this
nomenclature is criticized for including heterogeneous diseases. To determine the pattern of some biological metals in the hair of
patients with Fahr's disease, we investigated the levels of 24 bioelements in the hair of 28 patients (17 males and 11 females) with
Fahr's disease and compared them with those of three age-, sex-, and living region-matched controls (84 controls in total). Although
Fahr's disease has been considered to be a heterogenous entity, the significant tendencies of several bioelements in the hair of patients
in this study suggest metabolic disorders of bioelements, especially biometals, on the background.
[Geriatr. Gerontol. Int. 13, 706-710 (2013)]
[Lab. of Medical Therapeutics & Molecular Therapeutics]
High Frequency of Calcification in Basal Ganglia on Brain Computed Tomography Images in
Japanese Older Adults.
Megumi YAMADA, Takahiko ASANO, Kouichirou OKAMOTO, Yuichi HAYASHI, Masayuki KANEMATSU,
Hiroaki HOSHI, Yasuhisa AKAIWA, Takayoshi SHIMOHATA, Masatoyo NISHIZAWA, Takashi INUZUKA
and Isao HOZUMI*
To investigate the frequency of calcification in the basal ganglia and the dentate nuclei in the cerebellum, and compare the
difference in age and area, we examined the brain computed tomography (CT) images of all patients in two representative university
hospitals in Japan. Compared with previous reports, the frequency of calcification of the basal ganglia in this study markedly
increased. This might be because of the increased number of older adults and the increased sensitivity of CT.
[Brain Res. 1531, 75-83 (2013)]
[Lab. of Medical Therapeutics & Molecular Therapeutics]
Localization of Type-III Sodium-dependent Phosphate Transporter 2 in the Mouse Brain.
Masatoshi INDEN, Masaki IRIYAMA, Mari TAKAGI, Masayuki KANEKO and Isao HOZUMI*
Type-III sodium-dependent phosphate transporters 1 and 2 (PiT-1 and PiT-2, respectively) are proteins encoded by SLC20A1
and SLC20A2, respectively. The aim of this study is to clarify the distribution of PiT-2 expression in the mouse brain. Our
biochemical and immunohistochemical analyses using a polyclonal antibody (Ab) and a monoclonal Ab showed that PiT-2 was
ubiquitously expressed throughout the brain. PiT-2 was expressed in neurons, astrocytes and vascular endothelial cells. Our results
indicate that PiT-2 plays an important role in the maintenance of cellular Pi homeostasis in neurons, astrocytes, and endothelial cells.
This finding is a milestone in the study of the function of PiT-2 in the brains of patients with Fahr’s disease.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[J. Neurol. 260, 1611-1616 (2013)]
[Lab. of Medical Therapeutics & Molecular Therapeutics]
Is There a Difference in Gastric Emptying between Myotonic Dystrophy Type 1 Patients with and
without Gastrointestinal Symptoms?
Yuji TANAKA, Tomohiro KATO, Hiroshi NISHIDA, Megumi YAMADA, Akihiro KOUMURA, Takeo SAKURAI,
Yuichi HAYASHI, Akio KIMURA, Isao HOZUMI*, Hiroshi ARAKI, Masahiko MURASE, Masahito NAGAKI,
Hisataka MORIWAKI and Takashi INUZUKA
Gastrointestinal symptoms are frequent complaints in patients with myotonic dystrophy type 1 (MyD1) and may be associated
with reduced gastrointestinal motility caused by smooth muscle dysfunction. Although previous studies have found delayed gastric
emptying (GE) in MyD1 patients, the relationship between GE and symptoms has been unclear. These findings suggest that
impairment of GE evolves over time and that the progression of delayed GE and skeletal muscle impairment are independent.
Smooth muscle impairment may be affected at an earlier stage in MyD1.
[J. Neurol. 260, 2380-2386 (2013)]
[Lab. of Medical Therapeutics & Molecular Therapeutics]
Cardiac Sympathetic Function in the Patients with Amyotrophic Lateral Sclerosis: Analysis Using
Cardiac [123I] MIBG Scintigraphy.
Yuji TANAKA, Megumi YAMADA, Akihiro KOUMURA, Takeo SAKURAI, Yuichi HAYASHI, Akio KIMURA,
Isao HOZUMI and Takashi INUZUKA
Amyotrophic lateral sclerosis (ALS), which is the most serious form of degenerative motor neuron disease in adults, is
characterized by upper and lower motor neuron degeneration, skeletal muscle atrophy, paralysis, and death. Some patients with
respiratory-dependent ALS die of sudden cardiac arrest or anoxic encephalopathy following circulatory collapse, which may be
associated with sympathetic hyperactivity. These results suggested that some patients with ALS have sympathetic hyperactivity at the
time of diagnosis. ALS patients may suffer from chronic cardiac sympathetic hyperactivity, which is associated with sudden cardiac
death and stress induced cardiomyopathy. Increased WR in cardiac [(123)I] MIBG scintigraphy may be a predictive factor in ALS.
[Chemistry Letters 42, 1051-1052 (2013)]
[Lab. of Medical Therapeutics & Molecular Therapeutics]
Discovery of Synthetic Methoxy-substituted 4-Phenylbutyric Acid Derivatives as Chemical
Chaperones.
Seisuke MIMORI, Yasunobu OKUMA, Masayuki KANEKO*, Koichi KAWADA, Yasuyuki NOMURA,
Yasuoki MURAKAMI and Hiroshi HAMANA
In this study, we evaluated the chemical chaperone activity of synthetic 4-phenylbutyric acid (4-PBA) derivatives. These
derivatives have a methoxy group at the benzene ring and/or longer or shorter fatty acid portions. Several 4-PBA derivatives
demonstrated higher antiaggregation activity than 4-PBA. Moreover, 4-(4-methoxyphenyl)butanoic acid (7b) showed protective
effects against endoplasmic reticulum stress-induced neuronal cell death.
[Bioorg. Med. Chem. Lett. 23, 6015-6018 (2013)]
[Lab. of Medical Therapeutics & Molecular Therapeutics]
4-Phenylbutyric Acid Protects against Neuronal Cell Death by Primarily Acting as a Chemical
Chaperone rather than Histone Deacetylase Inhibitor.
Seisuke MIMORI, Hiroyasu OHTAKA, Yukari KOSHIKAWA, Koichi KAWADA, Masayuki KANEKO*,
Yasunobu OKUMA, Yasuyuki NOMURA, Yasuoki MURAKAMI, Hiroshi HAMANA
This letter describes the mechanism behind the protective effect of 4-phenylbutyric acid (4-PBA) against endoplasmic
reticulum (ER) stress-induced neuronal cell death using three simple 4-(p-substituted phenyl) butyric acids (4-PBA derivatives).
Their relative human histone deacetylase (HDAC) inhibitory activities were consistent with a structural model of their binding to
HDAC7, and their ability to suppress neuronal cell death and activity of chemical chaperone in vitro. These data suggest that 4-PBA
protects against neuronal cell death mediated by the chemical chaperone activity rather than by inhibition of histone deacetylase.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[J. Neurosci. Res. 91, 62-72 (2013)]
[Lab. of Medical Therapeutics & Molecular Therapeutics]
Therapeutic Effects of Human Mesenchymal and Hematopoietic Stem Cells on Rotenone-treated
Parkinsonian Mice.
Masatoshi INDEN*, Kazuyuki TAKATA, Kaneyasu NISHIMURA, Yoshihisa KITAMURA, Eishi ASHIHARA,
Kanji YOSHIMOTO, Hiroyoshi ARIGA, Osamu HONMOU and Sun SHIMOHAMA
To appreciate the potential applications of stem cell technology in neurodegenerative diseases, including Parkinson’s disease
(PD), it is important to understand the characteristics of the various types of stem cells. In this study, we designed a set of
experiments to compare the ability of three types of human stem cells—mesenchymal stem cells (MSCs), bone marrow CD34+ cells
(BM), and cord blood CD34+ cells (CB)—using rotenone-treated NOD/SCID mice. The beneficial effects of intravenous delivery of
stem cells into rotenone mice may result not only from a neurotrophic effect but also from endogenous brain repair mechanisms and
the potential of intravenous delivery of stem cells derived from an autologous source for clinical applications in PD.
[Immunopharmacol Immunotoxicol. 35, 1-7 (2013)]
[Lab. of Microbiology & Immunology]
Antiviral Activity of Acidic Polysaccharides from Coccomyxa Gloeobotrydiformi, a Green Alga,
Against an in Vitro Human Influenza A Virus Infection.
Takayuki KOMATSU, Nobuo KIDO, Tsuyoshi SUGIYAMA* and Takashi YOKOCHI
The acidic polysaccharide fraction from a green alga Coccomyxa gloeobotrydiformi (CmAPS) was isolated and the antiviral
action on an in vitro infection of influenza A virus was examined. The 50% inhibitory concentration of CmAPS on the infection of
human influenza A virus strains ranged from 26 to 70 µg/mL and the antiviral activity of CmAPS against influenza A/USSR90/77
(H1N1) was the strongest. The antiviral activity of CmAPS required its presence in the inoculation of virus onto MDCK cells.
Pretreatment and post-treatment with CmAPS was ineffective for the antiviral activity. CmAPS inhibited influenza A virus-induced
erythrocyte hemagglutination and hemolysis. Taken together, CmAPS was suggested to exhibit the anti-influenza virus activity
through preventing the interaction of virus and host cells. The detailed antiviral activity of CmAPS is discussed.
[Cell Signal. 25, 41-49 (2013)]
[Lab. of Microbiology & Immunology]
Identification of a Rho Family Specific Guanine Nucleotide Exchange Factor, FLJ00018, as a Novel
Actin-Binding Protein.
Katsuya SATO, Hiroaki HANDA, Masashi KIMURA, Yukio OKANO, Hitoshi NAGAOKA, Takahiro NAGASE,
Tsuyoshi SUGIYAMA*, Yukio KITADE and Hiroshi UEDA
FLJ00018/PLEKHG2 is a guanine nucleotide exchange factor for the Rho family small GTPases. FLJ00018 is directly
activated by heterotrimeric G protein Gβγ subunits. Using two-hybrid screening, we have identified non-muscle cytosolic actin as a
binding partner of FLJ00018. We found that there were two actin-binding regions in FLJ00018 at the N-terminal region (150-283
amino acids) and at the C-terminal region (465-1386 amino acids). The overexpression of non-muscle cytosolic actin attenuated the
FLJ00018-induced serum response element-dependent gene transcription. These results suggest that non-muscle cytosolic actin may
be a negative regulator of FLJ00018 through its interaction with the Dbl homology domain.
[Inflammation. 36, 372-378 (2013)]
[Lab. of Microbiology & Immunology]
Inhibitory Mechanism of 10-Hydroxy-trans-2-decenoic Acid (Royal Jelly Acid) against
Lipopolysaccharide- and Interferon-β-induced Nitric Oxide Production.
Tsuyoshi SUGIYAMA*, Keita TAKAHASHI, Akihiro KUZUMAKI, Shunji TOKORO, Paola NERI and Hiroshi
MORI
Royal jelly acid, 10-hydroxy-trans-2-decenoic acid (10H2DA), is a major lipid component of royal jelly. In this study, the
ability of 10H2DA to inhibit LPS-induced nitric oxide (NO) production was investigated. LPS-induced NO production and inducible
NO synthase (iNOS) gene transcription were inhibited by 10H2DA. LPS-stimulated interferon (IFN)- production, IFN regulatory
factor-1 induction and IFN-stimulated response element activation were unaffected by 10H2DA. IFN--induced NO production,
however, was significantly inhibited by 10H2DA. These results and our previous study suggest that 10H2DA inhibits LPS- and
IFN--induced NO production via inhibition of NF-κB activation induced by LPS or IFN-.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Biomed Res. 34, 205-214 (2013)]
[Lab. of Microbiology & Immunology]
Inhibitory Effect of 10-Hydroxydecanoic Acid on Lipopolysaccharide-induced Nitric Oxide Production
via Translational Downregulation of Interferon Regulatory Factor-1 in RAW264 Murine
Macrophages.
Keita TAKAHASHI, Tsuyoshi SUGIYAMA*, Shunji TOKORO, Paola NERI and Hiroshi MORI
In this study, we investigated the effect of 10-hydroxydecanoic acid (10HDA), a saturated fatty acid of 10H2DA, on
LPS-induced cytokines/chemokines and NO production. 10HDA inhibited LPS-induced NO production. LPS-induced activation of
interferon (IFN)-stimulated response element was inhibited by 10HDA. We found that IRF-1 mRNA level in the polysomal fraction
was significantly decreased by 10HDA. Further, LPS-induced phosphorylation of Akt and 4E-BP1, which control mRNA translation,
was markedly decreased. These results suggest that 10HDA inhibited LPS-induced NO production through inhibiting IRF-1
translation. These findings elucidate a novel mechanism for anti-inflammatory activity of medium-chain fatty acid 10HDA.
[Vaccine 31, 3199-3205 (2013)]
[Lab. of Microbiology & Immunology]
Effects of Immunization of Pregnant Guinea Pigs with Guinea Pig Cytomegalovirus Glycoprotein B
on Viral Spread in the Placenta.
Kaede HASHIMOTO, Souichi YAMADA, Harutaka KATANO, Saki FUKUCHI S, Yuko SATO, Minami KATO,
Tokyofumi YAMAGUCHI, Kohji MORIISHI and Naoki INOUE*
Cytomegalovirus (CMV) is the most common cause of congenital virus infection. Although glycoprotein B (gB) vaccines have
been reported to reduce the incidence and mortality of congenital infection, the mechanisms of protection remain unclear. To
understand the gB vaccine protection mechanisms, we analyzed the spread of challenged viruses in the placentas and fetuses of
guinea pig dams immunized with recombinant adenoviruses expressing guinea pig CMV gB and β-galactosidase. We found that
antibodies against gB protected against infection mainly at the interface of the placenta rather than from the placenta to the fetus. The
development of strategies to block cell-to-cell viral spread in the placenta is required for effective congenital CMV vaccines.
[Int. J. Infec. Dis. 17, e1092-1097 (2013)]
[Lab. of Microbiology & Immunology]
Polymorphisms in Toll-like Receptor 2 are Associated with Congenital Cytomegalovirus Infection.
Rumi TANIGUCHI, Shin KOYANO, Tatsuo SUZUTANI, Keiji GOISHI,Yushi ITO, Ichiro MORIOKA, Akira OKA,
Hiroyuki NAKAMURA, Hideto YAMADA, Takashi IGARASHI and Naoki INOUE*
The risk factors for cytomegalovirus (CMV) infection in utero and for progression to a severe clinical outcome remain
uncertain. In this study, associations between the single nucleotide polymorphisms (SNPs) of Toll-like receptor (TLR)-2, -4, and -9
genes and congenital CMV infection or disease were evaluated. The CC genotype at SNP rs3804100 in the TLR-2 gene was
significantly associated with congenital CMV infection but not with congenital CMV disease. Furthermore, the AG genotype at SNP
rs1898830 in the TLR-2 gene tended to be identified less frequently in children with congenital CMV infection. Thus, TLR-2
polymorphisms may have some association with congenital CMV infection, although the mechanism underlying this effect remains
to be clarified.
[Arch. Dis. Child Fetal Neonatal Ed 98, F182 (2013)]
[Lab. of Microbiology & Immunology]
Newborn Screening of Congenital Cytomegalovirus Infection Using Saliva can be Influenced by Breast
Feeding.
Shin KOYANO, Naoki INOUE*, Tsunehisa NAGAMORI, Hiroyuki MORIUCHI and Hiroshi AZUMA
As the early identification of congenitally cytomegalovirus infected newborns may allow early intervention and antiviral
treatment options, it is important to establish newborn CMV screening programs. Since newborn screening assays using dried blood
spots were shown to have a limitation in their sensitivity, an assay using saliva specimen were reported. To validate the assay, we
examined the presence of CMV DNA in breast milk and saliva specimens collected within 6 days after parturition). Some saliva
specimens collected within 30 min after breastfeeding were CMV positive due to the viral secretion to breast milk, suggesting that
the timing of specimen collection is critical to ensure proper implementation of saliva-based screening programs. Alternatively,
CMV screening can be done by collecting urine onto filter paper placed in diaper, as we reported recently.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Herpesviridae 4, 2 (2013)]
[Lab. of Microbiology & Immunology]
Human Cytomegalovirus Induces Apoptosis in Neural Stem/Progenitor Cells Derived from Induced
Pluripotent Stem Cells by Generating Mitochondrial Dysfunction and Endoplasmic Reticulum Stress.
Hiroyuki NAKAMURA, Huanan Liao, Kaori MINAMI, Masashi TOYODA, Hidenori AKUTSU, Yoshitaka
MIYAGAWA, Hajime OKITA, Nobutaka KIYOKAWA, Akihiro UMEZAWA, Ken-ichi IMADOME, Naoki INOUE*
and Shigeyoshi FUJIWARA
An induced pluripotent stem cell (iPSC) line was established from the human fibroblast line by introducing the Yamanaka's
four factors and then induced to differentiate into neural stem/progenitor cells (NSPCs). iPSC-derived NSPCs were susceptible to
HCMV infection, allowed the expression of both early and late viral gene products, and underwent apoptosis. Several lines of
evidence indicated the involvement of mitochondrial dysfunction and endoplasmic reticulum (ER) stress in the HCMV-induced
apoptosis. Thus, iPSC-derived NSPCs are thought to be a useful model to study HCMV neuropathogenesis.
[J. Clin. Virol. 58, 474-478 (2013)]
[Lab. of Microbiology & Immunology]
Cytomegalovirus (CMV) Glycoprotein H-based Serological Analysis in Japanese Healthy Pregnant
Women, and in Neonates with Congenital CMV Infection and their Mothers.
Kazufumi IKUTA, Toshio MINEMATSU, Naoki INOUE*, Takahiko KUBO, Kimisato ASANO, Kei ISHIBASHI,
Takashi IMAMURA, Hidetaka NAKAI, Tetsushi YOSHIKAWA, Hiroyuki MORIUCHI, Sigeyoshi FUJIWARA, Shin
KOYANO and Tatsuo SUZUTANI
Seroprevalence against CMV and IgG subclasses were determined in 344 serum samples from healthy pregnant
women in Japan. Thirty-two percent of them were seronegative, while 66% of seropositive women had IgG3 antibodies
against one epitope on glycoprotein H (gH). Only a single genotype determined by CMV gH neutralizing epitope was
found in the urine from the 18 congenital CMV cases. Two (11%) of the cases had infection via maternal CMV
reinfection, indicating that maternal humoral immunity did not prevent infection with another gH subtype strain.
[BMC Neurol. 13, 200 (2013)]
[Lab. of Microbiology & Immunology]
Detection of Human Herpesviruses in the Cerebrospinal Fluid from Patients Diagnosed with or
Suspected of Having Progressive Multifocal Leukoencephalopathy.
Kazuo NAKAMICHI, Naoki INOUE*, Toshio SHIMOKAWA, Ichiro KURANE, Chang-Kweng LIM and Masayuki
SAIJO
Progressive multifocal leukoencephalopathy (PML), a fatal demyelinating disease caused by JC virus (JCV), occurs mainly in
immunocompromised patients. While JCV DNA is detected in the cerebrospinal fluid (CSF) from a certain proportion of patients
suspected of having PML, JCV-negative patients may also develop brain lesions. This study assessed the prevalence of six
herpesviruses in the CSF from patients diagnosed with or suspected of PML. Herpesvirus DNAs were detected in the CSF specimens
from 29 of 255 patients. HSV-1 and CMV were detected in JCV-negative patients, whereas VZV and EBV were detected in both
CSF JCV-positive and -negative individuals.
[J. Clin. Microbiol. 51, 356-359 (2013)]
[Lab. of Microbiology & Immunology]
Neonatal Herpes Encephalitis Caused by a Virologically Confirmed Acyclovir-Resistant HSV-1.
Satsuki KAKIUCHI, Shigeaki NONOYAMA, Hajime WAKAMATSU, Kazuhiro KOGAWA, Lixin WANG, Hitomi
KINOSHITA-YAMAGUCHI, Mutsuyo TAKAYAMA-ITO, Chang-Kweng LIM, Naoki INOUE*, Masashi
MIZUGUCHI, Takashi IGARASHI and Masayuki SAIJO
A neonate with herpes simplex virus 1 encephalitis was treated with intravenous acyclovir. During the course of
therapy, the infection became intractable to the treatment and a mutation in the viral thymidine kinase gene (nucleotide
G375T, amino acid Q125H) developed. This mutation was demonstrated in vitro to confer acyclovir resistance.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Biochim. Biophys. Acta. 1833, 2617-2627 (2013)]
[Lab. of Biochemistry]
Hyperosmolarity-induced up-regulation of claudin-4 mediated by NADPH oxidase-dependent H2O2
production and Sp1/c-Jun cooperation.
Akira IKARI*, Kosuke ATOMI, Yasuhiro YAMAZAKI, Hideki SAKAI, Hisayoshi HAYASHI,
Masahiko YAMAGUCHI and Junko SUGATANI
Claudin-4 is exclusively localized in the tight collecting ducts in the renal tubule. We examined what molecular mechanism is
involved in the regulation of claudin-4 expression. In rat kidney slices, Madin-Darby canine kidney cells, and mouse inner medullary
collecting duct cells, hyperosmolarity increased the expression level of claudin-4 and the production of reactive oxygen species,
which were inhibited by an NADPH oxidase inhibitor and a scavenger of H2O2. Western blotting, immunofluorescence, and
chromatin immunoprecipitation analysis showed that hyperosmolarity increases nuclear Sp1/c-Jun complex and the association of the
complex with the Sp1 binding site, resulting in the segment-specific expression of claudin-4 in the kidney.
[Biochem. Pharmacol. 86, 632-644 (2013)]
[Lab. of Biochemistry]
A Penicillium sp. F33 metabolite and its synthetic derivatives inhibit
acetyl-CoA:1-O-alkyl-sn-glycero-3-phosphocholine acetyltransferase (a key enzyme in
platelet-activating factor biosynthesis) and carrageenan-induced paw edema in mice.
Yasuhiro YAMAZAKI, Kengo YASUDA, Tensei MATSUYAMA, Takuya ISHIHARA, Ryoko HIGA, Taira SAWAIRI,
Masahiko YAMAGUCHI, Masahiro EGI, Shuji AKAI, Toshio MIYASE, Akira IKARI*, Masao MIWA
and Junko SUGATANI
Acetyl-CoA:1-O-alkyl-sn-glycero-3-phosphocholine (lyso-PAF) acetyltransferase is a key enzyme in the biosynthesis of PAF
in inflammatory cells. Substances which inhibit this enzyme are of therapeutic interest. We screened for new inhibitors of lyso-PAF
acetyltransferase with anti-inflammatory effects and isolated novel acetyltransferase inhibitor identified as dihydrofumigatin
(2-methoxy-1,3,4-trihydroxy-5-methylbenzene) from high resolution mass spectrometer and NMR data.
[Chem. Biol. Interact., 202, 234-242 (2013)]
[Lab. of Biochemistry]
Pathophysiological Roles of Aldo-Keto Reductases (AKR1C1 and AKR1C3) in Development of
Cisplatin Resistance in Human Colon Cancers.
Toshiyuki MATSUNAGA*, Aki HOJO, Yumi YAMANE, Satoshi ENDO, Ossama EL-KABBANI and Akira HARA
We established the cisplatin (CDDP)-resistant phenotypes of human colon HCT15 cells and monitored expressions of
aldo-keto reductases (AKRs) 1A1, 1B1, 1B10, 1C1, 1C2 and 1C3. Among the six AKRs, AKR1C1 and AKR1C3 are highly induced
with the CDDP resistance and their overexpression in the parental HCT15 cells mitigated the cytotoxicity of the drug. The resistant
cells also showed an enhancement in proteolytic activity of proteasome accompanied by overexpression of its catalytic subunits
(PSMβ9 and PSMβ10) and pretreatment of the resistant cells with a potent proteasome inhibitor Z-Leu-Leu-Leu-al augmented the
CDDP sensitization elicited by the AKR inhibitors. Collectively, these results suggest the involvement of up-regulated AKR1C1,
AKR1C3 and proteasome in CDDP resistance of colon cancers and support a chemotherapeutic role for their inhibitors.
[Anticancer Drugs. 24, 473-483 (2013)]
[Lab. of Biochemistry]
Sphingosine Kinase 1 Plays a Role in the Upregulation of CD44 Expression Through Extracellular
Signal-Regulated Kinase Signaling in Human Colon Cancer Cells.
Satomi KAWAHARA, Yoko OTSUJI, Mitsuhiro NAKAMURA, Masashi MURAKAMI, Takashi MURATE,
Toshiyuki MATSUNAGA*, Hiroyuki KANOH, Mariko SEISHIMA, Yoshiko BANNO and Akira HARA
We used two colon cancer cell lines (oxaliplatin-resistant RKO and -sensitive HCT116) to examine the relationship between
sphingosine kinase (SPHK) 1 activity and CD44 expression. The levels of SPHK1, CD44 and phosphorylated-extracellular
signal-regulated kinase (ERK) were much higher in the RKO cells than in the HCT116 cells. The SPHK1 inhibition suppressed
CD44 expression in RKO cells, and overexpression of SPHK1 enhanced the expression of both CD44 and phosphorylated-ERK in
HCT116 cells. Exogenous sphingosine-1-phosphate (S1P) increased ERK phosphorylation and CD44 expression in HCT116 cells,
indicating that SPHK1 acts as a regulator of CD44 expression through the ERK signaling pathway in human colon cancer cells.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Arch. Biochem. Biophys. 529, 131-139 (2013)]
[Lab. of Biochemistry]
Characterization of a Rabbit Morphine 6-Dehydrogenase and Its Two Isoforms Which Function as
NAD+-Dependent 3α(17β)-Hydroxysteroid dehydrogenases.
Satoshi ENDO*, Toshiyuki MATSUNAGA, Airi FUJIMOTO, Sho KUMADA, Yuki ARAI, Yoko MIURA,
Hiroshige MIKAMO, Ossama EL-KABBANI, Shigeru YAMANO, Munekazu IINUMA and Akira HARA*
Mammalian morphine 6-dehydrogenase (M6DH) converts morphine into a reactive electrophile, morphinone. We isolated
cDNAs for the three rabbit AKRs (AKR1C26, 1C27 and 1C28). Among them, only AKR1C26 oxidized morphine. The three AKRs
showed NAD+-dependent dehydrogenase activity towards other non-steroidal alicyclic alcohols and 3α/17β-hydroxysteroids. The
kinetic constants for the substrates suggest that at least AKR1C26 and AKR1C28 act as NAD +-dependent 3α/17β-hydroxysteroid
dehydrogenases. AKR1C27 differed from AKR1C28 in its low affinity for the substrates and low inhibitor sensitivity, despite their
95% sequence identity. We also showed that Tyr118 and Phe310 in AKR1C27 have played key roles in ligand binding.
[Chem. Biol. Interact., 202, 146-152 (2013)]
[Lab. of Biochemistry]
Modulation of Activity and Inhibitor Sensitivity of Rabbit Aldose Reductase-Like Protein by Oxidized
Glutathione and SH-Reagents.
Satoshi ENDO*, Airi FUJIMOTO, Sho KUMADA, Toshiyuki MATSUNAGA, Satoshi OHNO, Jun'ichi MANO,
Kazuo TAJIMA, Ossama EL-KABBANI and Akira HARA*
In this study, we found that the reductase activity of AKR1B19 was activated to about 5-fold immediately after the addition of
10 μM SH-reagents such as p-chloromercuriphenylsulfonic acid. The activity was also activated by incubation with glutathione
disulfide (GSSG) for 1h. The activated enzyme was converted into the native enzyme by further incubation with dithiothreitol and
glutathione. The activation was abolished by the C299S mutation of AKR1B19. In the reduction of 4-oxo-2-nonenal, the catalytic
efficiency of cys299-modified enzyme was increased. Thus, AKR1B10 may be modulated by cellular ratio of GSSG/glutathione and
more efficiently act as a detoxifying enzyme for the cytotoxic aldehyde under oxidatively stressed conditions.
[Biol. Pharm. Bull., 36, 1514-1518 (2013)]
[Lab. of Biochemistry]
Substrate Specificity and Inhibitor Sensitivity of Rabbit 20α-Hydroxysteroid Dehydrogenase.
Satoshi ENDO*, Yuki ARAI, Akira HARA, Yukio KITADE, Yasuo BUNAI, Ossama EL-KABBANI
and Toshiyuki MATSUNAGA
In this study, we examined the substrate specificity of rabbit 20α-hydroxysteroid dehydrogenase (AKR1C5), which plays a role
in the termination of pregnancy by progesterone inactivation. AKR1C5 moderately reduced the 3-keto group of only
5α-dihydrosteroids with 17β- or 20α/β-hydroxy group. In contrast, the enzyme reversibly and efficiently catalyzed the reduction of
various 17- and 20-ketosteroids, including estrogen precursors and tocolytic 5β-pregnane-3,20-dione. In addition to the progesterone
inactivation, the formation of estrogens and metabolism of the tocolytic steroid by AKR1C5 may be related to its role in rabbit
parturition. AKR1C5 also reduced various carbonyl compounds, including isatin, an antagonist of the C-type natriuretic peptide
receptor, and 4-oxo-2-nonenal, suggesting its roles in controlling the bioactive isatin and detoxification of cytotoxic aldehydes.
[Biochem. Pharmacol. 86, 1366-1375 (2013)]
[Lab. of Biochemistry]
Rabbit 3-Hydroxyhexobarbital Dehydrogenase Is a NADPH-Preferring Reductase with Broad
Substrate Specificity for Ketosteroids, Prostaglandin D2, and Other Endogenous and Xenobiotic
Carbonyl Compounds.
Satoshi ENDO*, Toshiyuki MATSUNAGA, Atsuko MATSUMOTO, Yuki ARAI, Satoshi OHNO,
Ossama EL-KABBANI, Kazuo TAJIMA, Yukio KITADE, Yasuo BUNAI, Shigeru YAMANO and Akira HARA
We have examined the specificity for coenzymes and substrates and tissue distribution of rabbit 3-hydroxyhexobarbital
dehydrogenase (3HBD). 3HBD reduced broad substrate specificity for various carbonyl compounds, including steroids and
prostaglandin D2. The overexpression of the enzyme in the cells decreased the cytotoxicity of 4-oxo-2-nonenal. The results suggest
that 3HBD is an NADPH-preferring reductase, and plays roles in the metabolisms of steroids, prostaglandin D 2 and xenobiotics, as
well as a defense system, protecting against reactive carbonyl compounds.
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岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Bioorg. Med. Chem., 21, 6378-6384 (2013)]
[Lab. of Biochemistry]
Synthesis and Structure-Activity Relationship of 2-Phenyliminochromene Derivatives as Inhibitors for
Aldo-Keto Reductase (AKR) 1B10.
Satoshi ENDO*, Dawei HU, Miho SUYAMA, Toshiyuki MATSUNAGA, Kenji SUGIMOTO, Yuji MATSUYA,
Ossama EL-KABBANI, Kazuo KUWATA, Akira HARA, Yukio KITADE and Naoki TOYOOKA
AKR1B10 Inhibitors are regarded as promising therapeutics for the treatment of cancer. Recently, we have discovered a
chromene-3-carboxamide derivative (1) as the potent competitive inhibitor. In this study, 18 derivatives of 1 were synthesized and
their inhibitory potency against AKR1B10 evaluated. Among them, 7-hydroxy-2-(4-methoxyphenylimino)-2H-chromene-3carboxylic acid benzylamide (5n) was the most potent inhibitor (Ki = 1.3 nM). The molecular docking and site-directed mutagenesis
suggest that the hydrogen-bond interactions between the 7-hydroxyl group of 5n and the catalytic residues of the enzyme, together
with a π-stacking interaction of the benzylamide moiety of 5n with Trp220, are important for the potent inhibition.
[J. Trad. Med. 30, 114-123 (2013)]
[Lab. of Pharmacology]
Assessment of Relief from Pruritus Due to Kampo Medicines
by Using Murine Models of Atopic Dermatitis.
Hirotaka YAMASHITA*, Toshiaki MAKINO, Naoki INAGAKI,
Mitsuhiko NOSE and Hajime MIZUKAMI
Kampo medicines are used as an alternative medical option for the treatment of chronic allergic diseases such as atopic
dermatitis. Since kampo medicines should be used according to the particular physical and mental conditions, the use of distinctive
animal models is necessary for the experimental assessment of the efficacy of kampo medicines. In this study, we assessed 7 kampo
medicines that have been used for atopic dermatitis patients in 2 types of atopic dermatitis-like murine pruritus models. One kampo
medicine, shofusan, suppressed the persisting scratching behavior induced by repeated hapten treatment. The results indicate that
certain kampo medicines improve chronic itching sensation to the same extent as or better than antiallergic medicines.
[J.Invest. Dermatol. 133, 2695-2705 (2013)]
[Lab. of Pharmacology]
Mast Cells are Required for Full Expression of Allergen/SEB-induced Skin Inflammation.
Tomoaki ANDO, Kenji MATSUMOTO, Siavash NAMIRANIAN, Hirotaka YAMASHITA*,
Haley GLATTHORN, Miho KIMURA, Brandon R DOLAN, James J LEE, Stephen J GALLI,
Yuko KAWAKAMI, Colin JAMORA and Toshiaki KAWAKAMI
Repeated epicutaneous applications of a house dust mite extract and Staphylococcal enterotoxin B to murine skin induced
eczematous lesions, and global gene expression patterns in the skin were very similar to human atopic dermatitis (AD) skin. In this
model, mast cells and T cells, but not eosinophils, were required for the dermatitis. The clinical severity of dermatitis correlated with
the numbers of mast cells. Consistent with the idea that Th2 cells played a predominant role in allergic diseases, the receptor for the
Th2-promoting cytokine thymic stromal lymphopoietin and the high-affinity IgE receptor were required to attain maximal clinical
scores. Therefore, this clinically relevant model provides mechanistic insights into the pathogenic mechanism of human AD.
[Stroke 44, 2862-2868 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Cilostazol Ameliorates Warfarin-induced Hemorrhagic Transformation after Cerebral Ischemia in
Mice.
Akira KITASHOJI, Yusuke EGASHIRA, Keisuke MISHIRO, Yukiya SUZUKI, Hideki ITO, Kazuhiro TSURUMA,
Masamitsu SHIMAZAWA and Hideaki HARA*
Although long-term treatment with the oral anticoagulant warfarin is widely used to prevent cardioembolic ischemic stroke, it
has been reported that warfarin can exacerbate hemorrhagic transformation (HT) after cerebral ischemia. We investigated whether
cilostazol, a phosphodiesterase-III inhibitor, suppressed the warfarin-induced HT after cerebral ischemia in mice. HT volume was
exacerbated by warfarin treatment, and cilostazol (3 mg/kg, IP) suppressed this exacerbation. Furthermore, cilostazol improved
survival rate and upregulated the expression of tight junction proteins and vascular endothelial cadherin. This result suggested that
cilostazol administration in patients with acute ischemic stroke might reduce HT.
69
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[J. Neurol. 260, 1782-1797 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
ITIH4 and Gpx3 Are Potential Biomarkers for Amyotrophic Lateral Sclerosis.
Hirotaka TANAKA, Masamitsu SHIMAZAWA, Masafumi TAKATA, Hideo KANEKO, Kazuhiro TSURUMA,
Tsunehiko IKEDA, Hitoshi WARITA, Masashi AOKI, Mitsunori YAMADA, Hitoshi TAKAHASHI, Isao HOZUMI,
Hiroshi MINATSU, Takashi INUZUKA and Hideaki HARA*
The diagnosis of amyotrophic lateral sclerosis (ALS) is difficult due to lack of definitive biomarkers. We identified two
candidate proteins—inter-alpha-trypsin inhibitor heavy chain H4 (ITIH4) and glutathione peroxidase 3 (Gpx3). The 120kDa ITIH4
increased at the onset of the disease and the 85kDa ITIH4, a cleaved form, at the end-stage in the sera of the mutant superoxide
dismutase-1 (SOD1)H46R rats. Expression of the 85kDa ITIH4 was substantial in ALS patient. The Gpx3 protein levels in the sera of
SOD1H46R rats were upregulated pre-symptom and gradually decreased as the disease progressed. The Gpx3 protein levels were
lower in the sera of the patients. These results indicate that ITIH4 and Gpx3 are potential biomarkers for ALS.
[Br. J. Pharmacol. 170, 341-351 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Fasudil, a Rho Kinase Inhibitor, Limits Motor Neuron Loss in Experimental Models of Amyotrophic
Lateral sclerosis.
Masafimi TAKATA, Hirotaka TANAKA, Masataka KIMURA, Yuki NAGAHARA, Kousuke TANAKA,
Koh KAWASAKI, Minoru SETO, Kazuhiro TSURUMA, Masamitsu SHIMAZAWA and Hideaki HARA*
Amyotrophic lateral sclerosis (ALS) is a fatal neurodegenerative disorder with no effective treatment. In this study, we
investigated the effect of fasudil on experimental models of ALS. Hydroxyfasudil prevented motor neuron cell death in in vitro and
fasudil slowed disease progression, increased survival time and reduced motor neuron loss, in mutant superoxide dismutase 1
(SOD1G93A) mice. As the mechaniasm, fasdil suppressed both the increase in ROCK activity and phosphorylated phosphatase and
tensin homologue deleted on chromosome 10 (PTEN). These findings indicate that fasudil may be effective at suppressing motor
neuron degeneration and symptom progression in ALS. Hence, fasudil may have potential as a therapeutic agent for ALS treatment.
[J.Neuroinflammation 10: 105 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
The Growth Factor Progranulin Attenuates Neuronal Injury Induced by Cerebral
Ischemia-Reperfusion Through the Suppression of Neutrophil Recruitment.
Yusuke EGASHIRA, Yukiya SUZUKI, Yukio AZUMA, Toshinori TAKAGI, Keisuke MISHIRO, Sou SUGITANI,
Kazuhiro TSURUMA, Masamitsu SHIMAZAWA, Shinichi YOSHIMURA, Masanori KASHIMATA, Toru IWAMA
and Hideaki HARA*
The aim of this study was to investigate the possible ameliorative effects of progranulin (PGRN) against ischemia-reperfusion
(I/R) injury in mice. We found that recombinant-PGRN (r-PGRN) treatment at 2 h after MCAO resulted in a reduction in the infarct
volume and decreased brain swelling. Furthermore, r-PGRN treatment suppressed neutrophil recruitment into the I/R brain, and this
led to a reduction of nuclear factor-κB and matrix metalloproteinase-9 activation. From these results, PGRN exerted ameliorative
effects against I/R-induced inflammation, and these effects may be due to the inhibition of neutrophil recruitment into the I/R brain.
[Sci. Rep. 3: 3177 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Involvements of Mincle and Syk on the Changes to Innate Immune after Ischemic Stroke.
Yukiya SUZUKI, Yusuke NAKANO, Keisuke MISHIRO, Toshinori TAKAGI, Kazuhiro TSURUMA,
Mitsuhiro NAKAMURA, Shinichi YOSHIMURA, Masamitsu SHIMAZAWA and Hideaki HARA*
Macrophage-inducible C-type lectin, Mincle, is one of the innate immune receptor C-type lectin-like receptor (CLR) to
response against dying cells. In the present study, we showed that Mincle, its ligand SAP130, and its downstream phospho-Syk/Syk
were upregulated after ischemia, and that Mincle is expressed in immune and non-immune cells in the ischemic brains of mice and
human. We treated mice with piceatannol, a Syk inhibitor, and consequently the infarct volume and swelling were suppressed by
piceatannol. The levels of phospho-Syk, MMP9 and ICAM-1 were downregulated, and the level of Claudin5 was uplegurated in
piceatannol-treated groups. These data indicate that innate immune system, such as Mincle and Syk plays a pivotal role in the
pathogenesis after the ischemia and reperfusion.
70
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Curr. Neurovasc. Res. 10, 39-48 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Tissue Plasminogen Activator Prevents Restoration of Tight Junction Proteins Through Upregulation
of Angiopoietin-2.
Keisuke MISHIRO, Mitsunori ISHIGURO, Yukiya SUZUKI, Kazuhiro TSURUMA, Masamitsu SHIMAZAWA and
Hideaki HARA*
We examined the temporal profiles of changes in the expressions of tight junction proteins (TJPs) after focal cerebral
ischemia/reperfusion in mice. We also examined the effects of delayed treatment with tissue plasminogen activator (tPA) on the
expressions of TJPs and angiopoietin (Ang) -1/2/Tie2. The expressions of TJPs were significantly decreased in the early phase of
ischemia/reperfusion, and then gradually recovered. A delayed treatment with tPA decreased the expressions of TJPs and increased
Ang-2 expression. These findings suggest that delayed tPA treatment prevents recovery of TJPs following focal cerebral
ischemia/reperfusion, partially via upregulation of Ang-2.
[Biochem. Biophys. Res. Commun. 434, 904-909 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
A Sigma-1 Receptor Antagonist (NE-100) Prevents Tunicamycin-Induced Cell Death via GRP78
Induction in Hippocampal Cells.
Yoko ONO, Hirotaka TANAKA, Kazuhiro TSURUMA, Masamitsu SHIMAZAWA and Hideaki HARA*
In the present study, we investigated whether N, N-dipropyl-2-[4-methoxy-3-(2-phenylethoxy)-phenyl]-ethylamine
monohydrochloride (NE-100), sigma-1 receptor antagonist, might suppress neuronal cell death that is induced by endoplasmic
reticulum (ER) stress. NE-100 protected the ER stress-induced cell death of murine hippocampal HT22 cells. In addition, NE-100
attenuated the upregulation of C/EBP homologous protein (CHOP) induced by ER stress and upregulated the expression of both the
50-kDa activating transcription factor 6 (p50ATF6) and the 78-kDa glucose-regulated protein (GRP78). These findings suggest that
NE-100 suppresses ER stress-induced cell death via CHOP expression by the upregulation of GRP78 through ATF6 pathway,
independent sigma-1 receptor antagonist effect.
[Neurosci. Med. 4, 117-122 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Increased Seizure Susceptibility in a Mouse with Diacylglycerol Kinase β Deficiency.
Mitsue ISHISAKA, Kazuhiro TSURUMA, Masamitsu SHIMAZAWA, Yasuhito SHIRAI, Naoaki SAITO and
Hideaki HARA*
Diacylglycerol kinase (DGK) is an enzyme that converts diacylglycerol to phosphatidic acid. In the present study, we
investigated the involvement of DGKβ in seizure using DGKβ knockout (KO) mice. Seizures were more severe in DGKβ KO mice
than in wild-type (WT) mice after pentylenetetrazol (PTZ) treatment and after kainic acid treatment, but there were no differences in
latency to seizure. There were fewer parvalbu-min-positive interneurons in the hippocampal CA3 area in DGKβ KO mice than in
control WT mice, which might partly account for the increased seizure susceptibility displayed by DGKβ KO mice. These results
suggest that DGKβ may play a pivotal role in the development of the relevant interneurons, and that on inherent deficiency of DGKβ
in-creases the animal’s sensitivity to seizure-inducing stimuli.
[J. Neurochem. 125, 111-124 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Role of Endoplasmic Reticulum Stress in Light-Induced Photoreceptor Degeneration in Mice.
Tomohiro NAKANISHI, Masamitsu SHIMAZAWA, Sou SUGITANI, Takashi KUDO, Shunsuke IMAI,
Yuta INOKUCHI, Kazuhiro TSURUMA and Hideaki HARA*
Exposure to excessive levels of light induces photoreceptor apoptosis and can be a causative factor in age-related macular
degeneration (AMD). We investigated the roles of endoplasmic reticulum (ER) stress in light-induced cell death in the murine retina
and murine photoreceptor cells (661W). Excessive light exposure induced retinal dysfunction, photoreceptor degeneration, and
apoptosis. Furthermore, the accumulation of polyubiquitinated proteins and the transcriptional expression of ER stress-related factors
were increased in light-exposed retinas. Treatment with BiP inducer X (BIX), an ER stress inhibitor, reduced light-induced
photoreceptor cell death. These data indicate that the ER stress may play a pivotal role in light exposure-induced retinal damage.
71
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Mol. Neurodegeneration 8:4(2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Kinetics of Neurodegeneration Based on a Risk-related Biomarker in Animal Model of Glaucoma.
Takuya HAYASHI, Masamitsu SHIMAZAWA Hiroshi WATABE, Takayuki OSE, Yuta INOKUCHI, Yasushi ITO,
Hajime YAMANAKA, Shin-ichi URAYAMA, Yasuyoshi WATANABE, Hidehara HARA* and Hirotaka ONOE
Neurodegenerative diseases progress slowly and steadily over years or decades. However, there is no established ―biomarker
model‖ by which one can quantitatively predict the progress of neurodegeneration. We show predictability of a model with
risk-based kinetics of neurodegeneration, whereby neurodegeneration proceeds as probabilistic events depending on the risk. We
used several experimental glaucomatous animals and repeatedly measured IOP as well as white matter integrity by diffusion tensor
imaging (DTI) as a biomarker of axonal degeneration. Our findings indicate that the variable-risk model, using a risk-related
biomarker, could predict the spatiotemporal progression of neurodegeneration. This model, virtually equivalent to survival analysis,
may allow us to estimate possible effect of neuroprotection in delaying progress of neurodegeneration.
[Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 54, 5807-5816 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Toll-like Receptor 4 Mediates Retinal Ischemia/Reperfusion Injury Through Nuclear Factor-κB and
Spleen Tyrosine Kinase Activation.
Fumiya ISHIZUKA#, Masamitsu SHIMAZAWA#, Yuki INOUE, Yusuke NAKANO, Hiromi OGISHIMA,
Shinsuke NAKAMURA, Kazuhiro TSURUMA, Hiroyuki TANAKA, Naoki INAGAKI and Hideaki HARA*
# : Contributed equally
This study aimed to determine whether toll-like receptor (TLR) 4 is involved with injury in an ocular ischemic syndrome mice
model and to clarify the downstream pathway of TLR4. TLR4 knock-out (KO) mice significantly inhibited the histologic damage
induced by ischemia/reperfusion (I/R). A spleen tyrosine kinase inhibitor, Piceatannol, inhibited the histologic and functional retinal
damage, and reduced the phosphorylation level of nuclear factor-κB induced by I/R. These data indicate that TLR4 has a pivotal role
in the pathogenesis of ocular ischemic syndrome, and Syk and NF-κB are key molecules in TLR4 signaling in retinal ischemia.
[Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 54, 3815-3829 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Role of Heparin-binding Epidermal Growth Factor-like Growth Factor in Light-Induced
Photoreceptor Degeneration in Mouse Retina.
Yuki INOUE, Kazuhiro TSURUMA, Tomohiro NAKANISHI, Atsushi OYAGI, Yuta OHNO, Tomohiro OTSUKA,
Masamitsu SHIMAZAWA and Hideaki HARA*
We investigated the role of heparin-binding epidermal growth factor-like growth factor (HB-EGF) in light-induced
photoreceptor degeneration using forebrain-specific Hb-egf knockout (KO) mice. Hb-egf and pro-HB-EGF levels were increased
after light exposure. Exposure to light reduced the a- and b-wave amplitudes of the dark-adapted electroretinogram, and also outer
nuclear layer (ONL) thickness, in Hb-egf KO mice. Treatment with HB-EGF improved both the a- and b-wave amplitudes and the
thickness of the ONL. HB-EGF also protected against light-induced cell death and reduced reactive oxygen species (ROS)
production in 661W cells. These data suggest that HB-EGF plays a pivotal role in light-induced photoreceptor degeneration.
[PloS ONE 8(3), e60517 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Mild Endoplasmic Reticulum Stress Promotes Retinal Neovascularization via Induction of
BiP/GRP78.
Shinsuke NAKAMURA#, Haruka TAKIZAWA#, Masamitsu SHIMAZAWA#, Yuhei HASHIMOTO, Sou SUGITANI,
Kazuhiro TSURUMA and Hideaki HARA* #: Contributed equally
The goal of the present study was to clarify the relationship between endoplasmic reticulum (ER) stress and pathological
neovascularization in the retina. Exposure to tunicamycin and thapsigargin increased the proliferation and migration of human retinal
microvascular endothelial cells (HRMEC). Tunicamycin enhanced the protein level on the cell surface, and increased the formation
of a BiP/T-cadherin immunocomplex. In oxygen-induced retinopathy model mice, retinal neovascularization was accelerated by
treatments with ER stress inducers. In conclusion, ER stress may contribute to the formation of abnormal vasculature in the retina via
BiP complexation with T-cadherin, which then promotes endothelial cell proliferation and migration.
72
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Exp. Eye Res. 116, 254-264 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
The Potential Neuroprotective Effect of Human Adipose Stem Cells Conditioned Medium against
Light-induced Retinal Damage.
Sou SUGITANI, Kazuhiro TSURUMA, Yuta OHNO, Yoshiki KUSE, Mika YAMAUCHI, Yusuke EGASHIRA,
Shinichi YOSHIMURA, Masamitsu SHIMAZAWA, Toru IWAMA and Hideaki HARA*
Human adipose-derived stem cells (hASCs) are reported to secrete various factors that have neuroprotective effects. In the
present study, we examined whether hASC-conditioned medium (hASC-CM) was effective against experimental degenerative retinal
disease. hASC-CM inhibited photoreceptor degeneration and retinal dysfunction after exposure to light. Several proteins secreted by
hASCs, such as the tissue inhibitor of metalloproteinase-1 and the secreted protein acidic and rich in cysteine, protected against
light-induced damage in vitro and in vivo. These showed that hASC-CM has neuroprotective effects against light-induced retinal
damage and hASCs have a therapeutic potential in retinal degenerative diseases via their secreted proteins.
[Exp. Eye Res. 113, 19-25 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Thickness Mapping of the Inner Retina by Spectral-Domain Optical Coherence Tomography in an
N-methyl-D-aspartate-Induced Retinal Damage Model.
Yuta OHNO, Shuichi MAKITA, Masamitsu SHIMAZAWA, Kazuhiro TSURUMA, Yoshiaki YASUNO and
Hideaki HARA*
Spectral-domain optical coherence tomography (SD-OCT) is an interferometric optical tomography technique and provides
high resolution and noninvasive visualization of retinal morphology. The purpose of this study was to assess the utility of thickness
maps and quantitative thickness measurements of the ganglion cell complex (GCC) obtained by SD-OCT of a mouse model of
N-methyl-D-aspartate (NMDA)-induced retinal damage. The GCC thickness measured using OCT sectional images correlated with
the thickness measured using histological images in NMDA-treated retina. In conclusion, GCC thickness mapping is a useful method
for evaluating NMDA-induced retinal degeneration in mice.
[Exp. Eye Res. 111, 1-8 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Establishment of the Ocular Hypertension Model Using the Common Marmoset.
Masamitsu SHIMAZAWA, Shinsuke NAKAMURA, Miki MIWA, Kazuhiro TSURUMA, Makoto AIHARA,
Katsuki NAKAMURA and Hideaki HARA*
The purpose of this study was to establish an experimental glaucoma model in the common marmoset (Callithrix jacchus).
Chronic intraocular pressure (IOP) elevation was induced by laser trabeculoplasty. Mean IOP values were over 40 mmHg in
laser-treated eyes. In ophthalmoscopy, deepened and enlarged optic disc cupping, depending on the extent of IOP elevation and
duration, were observed in laser-treated eyes. Histological examination showed marked atrophy with deepened and enlarged cupping
of optic disc, thinning of retinal nerve fiber layer and retinal ganglion loss in the retina, and axonal atrophy and loss in the optic nerve,
depending on the extent of IOP elevation and duration. In conclusion, we succeeded in producing an experimental glaucoma model
in the common marmoset, and this model may be useful in elucidating the pathophysiological mechanism for glaucoma.
[Eur. J. Pharmacol. 702, 56-61 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Bimatoprost Protects Retinal Neuronal Damage via Akt Pathway.
Norihiro TAKANO, Kazuhiro TSURUMA, Yuta OHNO, Masamitsu SHIMAZAWA and Hideaki HARA*
Worldwide, prostaglandin analogs, such as bimatoprost, have become the major therapeutic class for medical treatment of
glaucoma, however, the detailed mechanism of the direct action of bimatoprost on retinal ganglion cells (RGC) has rarely been
understood. In this study, we elucidated the mechanism of the protective effects of bimatoprost on RGC against oxidative stress.
Bimatoprost significantly reduced l-buthionin-(S,R)-sulfoximine (BSO) plus glutamate- and serum deprivation-induced death in
concentration-dependent manners in in vitro. In an in vivo study, bimatoprost reduced N-methyl-D-aspartate -induced RGC death.
Bimatoprost induced activation of Akt and ERK. These findings indicate that bimatoprost has protective effects on in vitro and in
vivo retinal damage, suggesting that the mechanism underlying may be via the Akt pathway, which may modulate the ERK pathway.
73
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Eur. J. Pharmacol. 703, 1-10 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Crocetin, a Carotenoid Derivative, Inhibits Retinal Ischemic Damage in Mice.
Fumiya ISHIZUKA, Masamitsu SHIMAZAWA, Naofumi UMIGAI, Hiromi OGISHIMA, Shinsuke NAKAMURA,
Kazuhiro TSURUMA and Hidehara HARA*
We evaluated the protective effects of crocetin against the retinal ischemia induced by ligation of both the pterygopalatine
artery and the external carotid artery in anesthetized mice. The histological analysis revealed that ischemia/reperfusion (I/R)
decreased the cell number in the ganglion cell layer (GCL) and the thickness of inner nuclear layer (INL), and that crocetin inhibited
GCL and INL. Electroretinogram measurements revealed that crocetin prevented the I/R-induced reductions in a- and b-wave
amplitudes. In addition, crocetin decreased the numbers of apoptotic cells and 8-hydroxy-2-deoxyguanosine-positive cells, and
phosphorylations of mitogen-activated protein kinases, nuclear factor-kappa B, and c-Jun present in the retina after I/R. These
findings indicate that crocetin prevented ischemia-induced retinal damage through its inhibition of oxidative stress.
[Pharmacol. Res. Perspectives 1, e00006 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Cilostazol Prevents Retinal Ischemic Damage Partly via Inhibition of Tumor Necrosis
Factor-α-induced Nuclear Factor-kappa B/Activator Protein-1 Signaling Pathway.
Fumiya IHIZUKA #, Masamitsu SHIMAZAWA #, Yusuke EGASHIRA, Hiromi OGISHIMA, Shinsuke NAKAMURA,
Kazuhiro TSURUMA and Hideaki HARA* #: Contributed equally
Cilostazol is widely used to treat ischemic symptoms of peripheral vascular disease. We evaluated the protective effects of
cilostazol in a murine model of ocular ischemic syndrome. The histological analysis revealed that ischemia/reperfusion (I/R)
decreased the cell number in the ganglion cell layer and the thicknesses of the inner plexiform layer and inner nuclear layer, and
cilostazol attenuated these decreases. Additionally, cilostazol prevented the hyperpermeability of blood vessels and the increased
expression of tumor necrosis factors- (TNF-) and the phosphorylation levels of nuclear factor-kappa B (NF-B). These findings
indicate that cilostazol may prevent I/R-induced retinal damage partly through inhibition of TNF--induced NF-B activation.
[Neurosci. Lett. 535, 95-99 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Effects of Roscovitine, a Cell Cycling-Dependent Kinase Inhibitor, on Intraocular Pressure of Rabbit
and Retinal Ganglion Cell Damage.
Hiroyoshi KASAI, Tomoyo IMAMURA, Kazuhiro TSURUMA, Yuji TAKAHASHI, Takashi KURASAWA,
Haruhisa HIRATA, Masamitsu SHIMAZAWA and Hideaki HARA*
Glaucoma is characterized by increased intraocular pressure (IOP) and the death of retinal ganglion cells. Roscovitine, a cell
cyclin-dependent kinase (CDK) inhibitor, has racemic isomers. In this study, we investigated the effects of both the R-isomer and the
S-isomer on the IOP of rabbits and on the death of cultured retinal ganglion cells. In the in vivo rabbit experiment, instillation of both
isomers significantly lowered the IOP. In the in vitro cell experiment, the only R-isomer amplified the effects of tunicamycin, an
endoplasmic reticulum stress inducer, and increased oxygen– glucose deprivation-induced cell death. These results suggest that the
S-isomer of roscovitine may be useful as an agent for lowering IOP and its neuroprotective effects.
[Pharmacol. Pharm. 4, 377-384 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Comparison of Efficacy and Safety Evaluation of Latanoprost Formulations with and without
Benzalkonium Chloride.
Hiroyoshi KASAI, Yumiko AOYAMA, Takashi KURASAWA, Tomoyo IMAMURA, Kazuhiro TSURUMA,
Hideaki HARA*, Haruhisa HIRATA and Tetsuya YAMAMOTO
This study investigated the safety and pharmacological effects of latanoprost formulations with benzalkonium chloride
(latanoprost with BAK) and without BAK (NP). Cytotoxicity tests in vitro revealed that NP was less toxic than latanoprost with BAK
and significantly inhibited H2O2-induced cell damage while latanoprost with BAK did not. NP was safer than latanoprost with BAK
with respect the results obtained in the in vitro cytotoxicity test. There was no difference observed between latanoprost with BAK
and NP in the IOP lowering effect in monkeys and healthy volunteers. Taken together, these results indicate that NP is as effective as
latanoprost with BAK, and is more likely to maintain ocular surface health than latanoprost with BAK.
74
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Food Chem. 139, 129-137 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Maqui Berry (Aristotelia chilensis) and the Constituent Delphinidin Glycoside Inhibit Photoreceptor
Cell Death Induced by Visible Light.
Junji TANAKA, Takashi KADEKARU, Kenjirou OGAWA, Shoketsu HITOE, Hiroshi SHIMODA and
Hideaki HARA*
The protective effects of maqui berry (Aristotelia chilensis) extract (MBE) and its major anthocyanins [delphinidin
3,5-O-diglucoside (D3G5G) and delphinidin 3-O-sambubioside-5-O-glucoside (D3S5G)] against light-induced murine photoreceptor
cells (661W) death were evaluated. MBE, D3G5G, and D3S5G significantly inhibited the cell death and the production of reactive
oxygen species (ROS). Furthermore, MBE significantly suppressed the light-induced phosphorylation of p38. These findings indicate
that MBE and its anthocyanidins suppress the light-induced photoreceptor cell death by inhibiting ROS production, suggesting that
the inhibition of phosphorylated-p38 may be involved in the underlying mechanism.
[J. Agric. Food Chem. 61, 10345-10353 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
The Protective Effects of Bilberry and Lingonberry Extracts against UV Light-induced Retinal
Photoreceptor Cell Damage in Vitro.
Kenjirou OGAWA, Kazuhiro TSURUMA, Junji TANAKA, Mamoru KAKINO, Saori KOBAYASHI,
Masamitsu SHIMAZAWA and Hideaki HARA*
We investigated the protective mechanisms of the bilberry extract (B-ext) and lingonberry extract (L-ext) against ultraviolet A
(UVA)-induced retinal photoreceptor cell damage. B-ext, L-ext, and constituents improved cell viability and suppressed reactive
oxygen species (ROS) generation. B-ext and cyanidin inhibited phosphorylation of p38 mitogen-activated protein kinase, and B-ext
also inhibited phosphorylation of c-Jun N-terminal kinase by UVA. L-ext, trans-resveratrol, and procyanidin alleviated the reduction
of phosphorylated Akt levels by UVA. Finally, a cotreatment with B-ext and L-ext showed an additive effect on cell viability. Our
findings suggest that both B-ext and L-ext endow protective effects against UVA-induced retinal damage.
[Life Sci. 92, 17-25 (2013)]
[Lab. of Molecular Pharmacology]
Purple Rice Extract and Its Constituents Suppress Endoplasmic Reticulum Stress-induced Retinal
Damage in Vitro and in Vivo.
Junji TANAKA, Tomohiro NAKANISHI, Hiroshi SHIMODA, Seikou NAKAMURA, Kazuhiro TSURUMA,
Masamitsu SHIMAZAWA, Hisashi MATSUDA, Masayuki YOSHIKAWA and Hideaki HARA*
The protective effects of maqui berry (Aristotelia chilensis) extract (MBE) and its major anthocyanins [delphinidin
3,5-O-diglucoside (D3G5G) and delphinidin 3-O-sambubioside-5-O-glucoside (D3S5G)] against light-induced murine photoreceptor
cells (661W) death were evaluated. Viability of 661W after light treatment was improved by addition of MBE, D3G5G, and D3S5G.
Intracellular radical activation was reduced by MBE and its anthocyanins. MBE significantly suppressed the light-induced
phosphorylation of p38. These findings indicate that MBE and its anthocyanidins suppress the light-induced photoreceptor cell death
by inhibiting ROS production, suggesting that the inhibition of phosphorylated-p38 may be involved in the underlying mechanism.
[Jpn. J. Pharm. Health Care Sci. 39, 104-109 (2013)]
[Lab.of Pharmacy Practice and Social Science]
Retrospective Survey of the Efficacy of Erlotinib for Non-small Cell Lung Cancer Patients
Previously Treated with Gefitinib.
Makoto NAKASHIMA, Ryoko OHNISHI, Mie NOMURA, Takuya GOTO, Rie MORI, Takahiro KUMAGAI,
Nobuyuki MISHIMA, Tatsuo KATO and Tadashi SUGIYAMA*
We surveyed the efficacy of erlotinib for patients who had been previously treated with gefitinib. The subjects comprised
non-small cell lung cancer patients being treated with erlotinib, who had previously been treated with gefitinib. A total of 11 patients
were included. The minimum value of time to treatment failure (TTF) was 12 days and average TTF was more than 136 days. Three
patients who discontinued gefitinib treatment because of hepatic disorder did not develop severe hepatic disorder with erlotinib
treatment. The minimum value of TTF for these 3 patients was 182 days and the average TTF was more than 250 days. In conclusion,
erlotinib treatment is one option for patients previously treated with gefitinib.
75
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Jpn. J. Pharm. Health Care Sci. 39, 286-293 (2013)]
[Lab.of Pharmacy Practice and Social Science]
A retrospective survey of implementation status of non-daily administration of gefitinib to control
associated adverse reactions.
Makoto NAKASHIMA, Mie NOMURA, Takuya GOTO, Rie MORI, Yuka AIZAWA, Takahiro KUMAGAI,
Nobuyuki MISHIMA, Tatsuo KATO and Tadashi SUGIYAMA*
We surveyed the implementation status of non-daily administration of gefitinib to control associated adverse reactions.
The most common reasons for complementation with non-daily administration were hepatic disorder, anorexia, and dermatitis. The
levels of aspartate aminotransferase and alanine aminotransferase were significantly lower during non-daily administration than
during daily administration of gefitinib. Control of adverse reactions was essential for the continuation of gefitinib treatment over a
long period of time. Therefore, non-daily administration of gefitinib could be considered as a useful treatment option for the control
of adverse reactions induced by gefitinib.
[Jpn. J. Pharm. Health Care Sci. 39, 294-303 (2013)]
[Lab.of Pharmacy Practice and Social Science]
Survey of the efficacy and cost of administering aprepitant to non-small cell lung cancer patients
treated with combination therapy of carboplatin and paclitaxel every 3 weeks.
Makoto NAKASHIMA, Takuya GOTO, Mie NOMURA, Rie MORI, Yuka AIZAWA, Takahiro KUMAGAI,
Tatsuo KATO and Tadashi SUGIYAMA*
We evaluated the adequacy of aprepitant (APR), an antiemetic drug, to 3w-CP therapy in patients treated with 3w-CP
therapy. With regard to efficacy, nausea that had developed in the delayed phase and anorexia that had developed in the delayed and
post-delayed phases were significantly suppressed by the coadministration of APR. With regard to safety, the incidence of hot flashes,
hiccups and hyperglycemia were increased significantly by the coadministration of APR. These results suggest that the use of APR
during 3w-CP therapy would be beneficial to prevent the impairment of quality of life as well as the losing motivation for continuing
chemotherapy by inhibiting the incidence of nausea, vomiting, and anorexia especially in the delayed and the post-delayed phases.
[Jpn. J. Pharm. Health Care Sci. 39, 552-557 (2013)]
[Lab.of Pharmacy Practice and Social Science]
A case of a patient with non-small cell lung cancer in whom periodic testing for D-dimer led to early
detection of pulmonary embolus caused by bevacizumab and early initiation of anticoagulation
therapy.
Makoto NAKASHIMA, Ryoko OHNISHI, Tatsuo KATO, Nobuyuki MISHIMA, Morihito TERASHI
and Tadashi SUGIYAMA*
We report a case of patient with non-small cell lung cancer in whom periodic testing for D-dimer led to early detection of
pulmonary embolus caused by bevacizumab. We noted markedly elevated levels of D-dimer by testing for D-dimer once a month,
and thus, we could initiate anticoagulation therapy before the patient suffer from symptom of pulmonary embolus. As a result, the
thrombus could be dissolved rapidly. Therefore, we suggest that testing for D-dimer before initiating chemotherapy and periodic
testing could facilitate the early detection of pulmonary embolus and thus early initiation of anticoagulation therapy.
[Jpn. J. Pharm. Health Care Sci. 39, 294-303 (2013)]
[Lab.of Pharmacy Practice and Social Science]
A comprehensive dispensing support system for community pharmacists.
Saori MATSUNAMI, Syuji YAMASHITA, Masafumi KUBOTA, Shigeharu TANEI, Kazuhiro IGUCHI,
Yoshihiro NOGUCHI, Naoki MIZUNO, Kiyoshi SAKURAI and Tadashi SUGIYAMA*
We developed a dispensing support system for community pharmacists that uses an iPhone in conjunction with a
prescription database. This system integrates three functions: verification of drug tablet dispensing, recording photographs of
dispensed medicines, and displaying patients’ medication records. We compared the rate of incidents between system-operated and
non-system-operated dispensing; the error rates were 1.12% and 2.00%, respectively, and this difference was significant.
System-operated dispensing completely prevented medication incident related to drug names. The average waiting time for patients
were 606 seconds and 612 seconds, respectively, and this difference was not significant. Therefore, this dispensing support system
for community pharmacists appears to be particularly useful for preventing dispensing errors.
76
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Jpn. J. Pharm. Health Care Sci. 39, 52-60 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmacy]
Factors Analysis in Communication Skills by Fifth-year Pharmacy Students
after Long-term Practical Training.
Hitomi TERAMACHI*, Tomoya TACHI and Teruo TSUCHIYA
In the present study, an anonymous questionnaire and the TePSS-31 scale for measuring pharmacists’ communication skills
were conducted on 76 fifth-year students in the 2011 academic year after completing either term I, II or III of practical training at
hospitals and pharmacies. Most students reported high levels of overall satisfaction with both hospital- and pharmacy-based practical
training and also gave high evaluations regarding improvements in their medical communication skills, observing how pharmacist
instructors dealt with patients, and direct patient interaction, demonstrating that effective training was achieved. The high internal
consistency of the TePSS-31 was reconfirmed, and factor analysis of the 31 scale items identified the following four skill subscales:
―information collection and acceptance‖, ―encouraging others‖, ―dealing with patients positively‖, and ―expressive behavior‖.
[Jpn. J. Ther. Drug Monit. 30, 1-5 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmacy]
Investigation for Factors Affecting Clearance of Vancomycin.
Satoshi AOYAMA, Hitomi TERAMACHI*, Takeyuki MIYAZATO, Tsuyoshi SUGIYAMA, Hiroshi MORI,
Teruo TSUCHIYA and Chitoshi GOTO
It has been shown that Japanese cancer patients treated with Vancomycin (VCM) for treatment of methicillin-resistant
Staphylococcus aureus infection frequently have lower serum VCM concentration than expected, despite having normal renal
function. Therefore, in this study, VCM pharmacokinetic parameters in Japanese cancer patients were compared with those in
non-cancer patients for patients with normal renal function and those with impaired renal function. The two-compartment Bayesian
pharmacokinetic program was used to analyze the parameters in patients. The cancer patients with normal renal function showed 1.5
times higher VCM clearance (0.097 ± 0.032 L/hr/kg) than non-cancer patients with normal renal function (0.064 ± 0.016 L/hr/kg)
(p<0.05). These findings suggest that the measurement of VCM serum concentration is required for patients with malignancy.
[Pharmazie 68, 217-220 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmacy]
Risk Factors Contributing to Urinary Protein Expression Resulting from Bevacizumab Combination
Chemotherapy.
Hitomi TERAMACHI*, Hitomi SHIGA, Natsuki KOMADA, Kento TAMURA, Masahiro YASUDA, Michi UMEDA,
Tomoya TACHI, Chitoshi GOTO and Teruo TSUCHIYA
In this study, the risk factors for urinary protein expression resulting from bevacizumab combination chemotherapy were
investigated. The subjects were patients aged ≥ 20 years who had received bevacizumab combination chemotherapy at Gifu
Municipal Hospital between February 2010 and February 2011, and 24 and 10 were assigned to the urinary protein non-expression
and expression group, respectively. The results of multivariate logistic regression analysis revealed a significant difference in systolic
blood pressure (≥ 130 mmHg) between the two groups (OR: 14.499, 95%CI: 1.326-158.577). This finding shows that systolic blood
pressure (≥ 130 mmHg) is a risk factor for urinary protein expression resulting from bevacizumab combination chemotherapy.
[Pharmazie 68, 706-710 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmacy]
Risk Factors for Clostridium Difficile-associated Diarrhea and the Effectiveness of Prophylactic
Probiotic Therapy.
Takashi MIZUI, Hitomi TERAMACHI*, Tomoya TACHI, Kento TAMURA, Hitomi SHIGA, Natsuki KOMADA,
Michi UMEDA, Akihide KODA, Satoshi AOYAMA, Chitoshi GOTO and Teruo TSUCHIYA
This study was conducted to identify the risk factors contributing to C. difficile-associated diarrhea and to evaluate the clinical
benefit of probiotics in its prevention. The study included 2716 patients at least 20 years old who received an injected antibiotic at
any time between February 2010 and February 2011; 2687 and 29 patients were assigned to the non-C. difficile-associated and the C.
difficile-associated diarrhea group, respectively. Multivariate logistic regression analysis revealed that antibiotic therapy for ≥ 8 days,
intravenous hyperalimentation, proton pump inhibitor use and H2 blocker use were risk factors for C. difficile-associated diarrhea.
Prophylactic probiotic therapy was not shown to suppress the occurrence of C. difficile-associated diarrhea.
77
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Pharmazie 68, 909-915 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmacy]
Pharmacoeconomic Analysis of DPP-4 Inhibitors.
Hitomi TERAMACHI*, Hiroki OHTA, Tomoya TACHI, Manabu TOYOSHIMA, Takashi MIZUI, Chitoshi GOTO
and Teruo TSUCHIYA
This study was a comparative survey of the usage, treatment effectiveness, and cost of Dipeptidyl peptidase-4 (DPP-4)
inhibitors. The subjects were patients prescribed DPP-4 inhibitors (sitagliptin, vildagliptin, and alogliptin) at Gifu Municipal Hospital
between February 2010 and August 2011, and HbA1c and concomitant antidiabetic agents were surveyed for 12 weeks after the start
of DPP-4 inhibitors. A cost-effectiveness analysis showed that the cost required for a 0.1% decrease in HbA1c for 12 weeks was the
lowest with vildagliptin (2,478 yen; decrease in HbA1c: 0.75% +/- 0.85%). In a cost analysis with a virtual cohort of 1000 patients,
the number of patients who achieved the treatment target (HbA1c 6.5%) was estimated with respect to a virtual cohort created based
on the HbA1c level (7.59 +/- 1.13%) at baseline of 307 patients. The results suggest that vildagliptin provides a superior cost-benefit.
[Pharmazie 68, 977-982 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmacy]
Impact of Levofloxacin Dosage Adjustments by Dispensing Pharmacists on Adverse Reactions and
Costs in the Treatment of Elderly Patients.
Tomoya TACHI*, Hitomi TERAMACHI, Shoko ASANO, Kazuhide TANAKA, Masahiro FUKUTA, Tomohiro
OSAWA, Satoshi AOYAMA, Masahiro YASUDA, Takashi MIZUI, Chitoshi GOTO and Teruo TSUCHIYA
Upon receiving a prescription of levofloxacin for patients aged ≥ 75 years, pharmacists evaluate the patients' kidney function
and adjusted the appropriate dosage at the time of dispensation. The comparative study was performed at Gifu Municipal Hospital in
Japan from March to August 2011, and included an intervention (142 patients) and a control group (98 patients). In the intervention
and control groups, levofloxacin-induced adverse reactions developed in 6 of 142 (4.2%) and 13 of 98 (13.3%) patients, respectively
(p < 0.05). The intergroup difference in the total cost per patient was ¥465.6. Dose adjustment of levofloxacin at the time of
dispensation by the pharmacist for patients aged ≥ 75 years resulted in a decrease in the incidence of adverse reactions and cost.
[J. Pharm. Pract. 26, 409-414 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmacy]
Pharmaceutical Care for Patients Undergoing S-1 Plus Cisplatin Therapy for Unresectable Recurrent
Gastric Cancer.
Michio KIMURA, Eiseki USAMI, Tomoaki YOSHIMURA, Tadashi YASUDA, Yuji KANEOKA, Hitomi
TERAMACHI*, Tadashi SUGIYAMA and Teruo TSUCHIYA
We examined the adverse gastrointestinal events associated with tegafur/gimeracil/oteracil potassium (S-1) plus cisplatin
therapy for unresectable recurrent gastric cancer and risk factors for discontinuing therapy due to adverse events. A total of 65
subjects who had received S-1 plus cisplatin therapy for gastric cancer at Ogaki Municipal Hospital were examined. We found that
the risk factors for discontinuation of the therapy due to adverse events were serum albumin (Alb) level less than 3.5 g/dL, creatinine
clearance (CrCl) rate less than 78 mL/min, and performance status more than 1. Moreover, grade 3 or 4 nonhematological toxicities
(including malaise and anorexia) were significantly higher in subjects with Alb less than 3.5 g/dL and CrCl less than 78 mL/min.
[J. Com. Pharm. Pharm. Sci. 5, 124-131 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmacy]
Study on the Safety and Continuity of Multiple Tyrosine Kinase Inhibitors in Chemotherapy for
Advanced/metastatic Renal Cell Carcinoma.
Michio KIMURA, Eiseki USAMI, Tomoaki YOSHIMURA, Tadashi YASUDA, Hitomi TERAMACHI*, Tadashi
SUGIYAMA and Teruo TSUCHIYA
We retrospectively studied the safety and continuity of sunitinib and sorafenib therapy for advanced/metastatic renal cell
carcinoma (mRCC), for pharmaceutical care practices. Suspention or dose reduction of sunitinib was because of thrombocytopenia in
33.3% and hand-foot syndrome (HFS), and the relative dose intensity (RDI) was 60.7%. Suspention or dose reduction of sorafenib
was because of HFS in 46.6%, and the RDI was 87.5%. It may be difficult for Japanese to sustain treatment of sunitinib therapy at
standard dose. Therefore, altering the dose and administration method for individual patients at the outset of treatment appears to be
advisable.
78
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[Yakugaku Zasshi 133, 1223-1233 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmacy]
Economic Evaluation of Adjustments of Levofloxacin Dosage by Dispensing Pharmacists for Patients
with Renal Dysfunction.
Tomoya TACHI*, Misa KATO, Tomohiro OSAWA, Akihide KODA, Masahiro FUKUTA, Kazuhide TANAKA, Satoshi
AOYAMA, Masahiro YASUDA, Takashi MIZUI, Chitoshi GOTO and Hitomi TERAMACHI
In our study, we used questionnaires that were administered to pharmacists and doctors at the hospital to investigate their
respective working times and the cost of the program, in order to comprehensively analyze the clinical resource costs of the hospital
and evaluate the economic burden of the program for levofloxacin. In addition, we studied the pharmacists’ and doctors’ attitudes
toward the program and the circumstances of prescriptions for patients with renal dysfunction. For cost estimation, we used data from
this study as well as those of our previous study that suggested that the levofloxacin program was economically beneficial.
Furthermore, their attitudes toward the program and circumstances of prescriptions for patients with renal dysfunction were clarified.
[J. Jpn. Soc. Hosp. Pharm. 49, 653-658 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmacy]
Evaluation of the Role of Full-time Clinical Pharmacists in the Hematology Ward.
Masahiro YASUDA, Michi UMEDA, Tomoya TACHI*, Kenji KOBAYASHI, Hitomi TERAMACHI, Teruo TSUCHIYA
and Chitoshi GOTO
We evaluated the role of full-time clinical pharmacists in the hematology ward. We classified the tasks of pharmacists into 13
items and analyzed scores of ―contribution to clinical staffs‖ and ―contribution to patients‖ about the tasks from April to August 2012.
―Confirmation of patients’ background and drugs, and planning and suggestion of prescription based on the evaluation‖ was the most
(18.9%) in the tasks of pharmacists. The roles of full-time clinical pharmacists were important and they resulted in direct participatin
to a medical team.
[Parasitol. Int. 62, 368-371 (2013)]
[Lab. of Clinical Pharmacy]
Synthesis of carbocyclic pyrimidine nucleosides and their inhibitory activities against
Plasmodium falciparum thymidylate kinase.
Yoshihiro NOGUCHI*, Yuri YASUDA, Makoto TASHIRO, Tadashi KATAOKA, Yoshiaki KITAMURA,
Mahmoud KANDEEL and Yukio KITADE
Plasmodium falciparum thymidylate kinase (Pf TMK) is a promising antimalarial target due to its unique substrate specificity.
We have designed and synthesized enantioselective 2′, 3′-dideoxycarbocyclic pyrimidine nucleosides based on our previous results
and screened them for inhibitory activity against Pf TMK. The most potent inhibitor showed KiTMP and KidGMP values of 14 and 20
μM, respectively. The fluorinated dideoxy derivative exhibited lower KiTMP and higher KidGMP compared with that of the parent
compound (KiTMP, KidGMP equals 20 and 7 μM, respectively). The modification of carbocyclic pyrimidine nucleosides is a promising
strategy for developing powerful Pf TMK inhibitors.
[Biochim. Biophys. Acta. 1833, 1006-1016 (2013)]
[Lab. of Drug Informatics]
Sphingosine kinase 1 expression is downregulated during differentiation of Friend cells due to
decreased c-MYB.
Naoki MIZUTANI, Misa KOBAYASHI, Sayaka SOBUE, Masatochi ICHIHARA, Hiromi ITO, Koji TANAKA,
Soichiro IWAKI, Satoshi FIJII, Yuri ITO, Keiko TAMIYA-KOIZUMI, Akira TAKAGI, Tetsuhito KOJIMA, Tomoki
NAOE, Motoshi SUZUKI, Mitsuhiro NAKAMURA*, Yoshiko BANNO, Yoshinori NOZAWA and Takashi MURATE.
Mouse Friend cells showed higher SPHK1 but not SPHK2 expression compared with other mouse cell lines. A Sphk1
promoter analysis demonstrated the region between -53bp and the first exon as the minimal promoter. Further promoter truncation
revealed the importance of a MYB-binding site. Effects of pertussis toxin, a G-protein-coupled receptor inhibitor, and S1P receptor
antagonist on Friend cell growth and differentiation were negligible, suggesting the importance of the intracellular SPHK1/S1P
signaling in Friend cells.
79
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
[J Nat Med 67, 276-280 (2013)]
[Lab. of Herbal Garden]
Identification of Anogeissu latifolia Wallich and analysis of refined gum ghatti .
Eiji SAKAI, Tsuyoshi KATAYAMA*, Takeshi OGASAWARA and Mizuo MIZUNO
Gum ghatti was originally used as an alternative to gum arabic having similar properties to those found in gum arabic.
Currently, gum ghatti has been used as a food additive due to its excellent emulsification properties. In this study, we obtained gum
ghatti nodules and branches with flowers and leaves as botanical specimens which were collected from the same harvesting area.
Component analysis of the refined gum ghatti samples revealed that they contained arabinose, galactose, mannose, xylose, rhamnose,
and glucuronic acid as constituent sugars, protein, moisture and tannin. As a result of the investigation of botanical specimens, they
were identified as Anogeissus latifolia Wallich.
[Mutagenesis. 28, 161-168 (2013)]
[Lab. of Radiochemsitry]
The Enhancing effect of ethanol on the mutagenic activation of N-nitrosomethylbenzylamine by
cytochrome P450 2A in the rat oesophagus.
Kenjiro TATEMATSU*, Akihiro KOIDE, Keiichiro MORIMURA, Shoji FUKUSHIMA and Yukio MORI
To elucidate the mechanism underlying the role of ethanol in the enhancement of N-nitrosomethylbenzylamine
(NMBA)-induced oesophageal carcinogenesis, we evaluated the hepatic and extrahepatic levels of the cytochrome P450 (CYP) and
mutagenic activation of environmental carcinogens in F344 rats treated with 10% ethanol in the drinking water or 50% ethanol
intragastriclly. The results of these experiments showed that the enhancing effect of ethanol on NMBA-induced oesophageal
carcinogenesis could be attributed to an increase in the metabolic activation of NMBA by oesophageal CYP2A during the initiation
phase, and that this occurred independently of CYP2E1.
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
80
紀 要 論 文
(1) 栁瀬考由,澤間善成,門口泰也,佐治木弘尚:パ ラ ジ ウ ム 炭 素 を 触 媒 と し た 檜 山 ク ロ ス カ ッ プ
リング反応.
[岐阜薬科大学紀要 62, 57-67 (2013)]
(2) 高橋圭太, 杉山剛志, 森裕志:自 然 免 疫 受 容 体 シ グ ナ ル に 対 す る ロ ー ヤ ル ゼ リ ー 由 来 脂 肪 酸
の抑制作用.
[岐阜薬科大学紀要 62, 32-37 (2013)]
(3) 大八木篤, 原英彰:前 脳 選 択 的 HB -EG F 欠 損 マ ウ ス を 用 い た 、中 枢 神 経 系 の 高 次 脳 機 能 に
お け る HB -EG F の 役 割 .
[岐阜薬科大学紀要 62, 12-21 (2013)]
(4) Adam Serag:Self-Access Language Learning: Japanese autonomy.
[JALT National Conference Proceedings, Japan Association for Language Teaching (JALT), 231-240 (2013)]
総
説
(1) 佐治木弘尚:不均一系白金族触媒的 C– H 活性化に基づく重水素標識化法の開発.
[薬学雑誌 133, 1177-1193 (2013)]
(2) 佐治木弘尚:重水素標識化反応~「炭素-水素」結合を「炭素-重水素」結合に変換する~.
[化学と教育 61,404-407 (2013)]
(3) 内山博雅, 竹内洋文:糖転移化合物の新規医薬品添加剤への応用を目指した製剤設計及び処方検討に関
する研究.
[岐阜薬科大学紀要 62, 1-11 (2013)]
(4) 田原耕平:微粒子キャリアーを用いた局所および全身への薬物送達.
[Pharm Tech Japan 29, 1893-1899 (2013)]
(5) Isao HOZUMI:Roles and Therapeutic Potential of Metallothioneins in Neurodegenerative Diseases.
[Curr. Pharm. Biotechnol. 14, 408-413 (2013)]
(6) Tomohiro OMURA, Masayuki KANEKO, Yasunobu OKUMA, Kazuo MATSUBARA and Yasuyuki NOMURA:
Endoplasmic reticulum stress and Parkinson's disease: the role of HRD1 in averting apoptosis in
neurodegenerative disease.
[Oxid. Med. Cell. Longev. 2013, Article ID 239854, 7 pages (2013)]
(7) 金子雅幸:変性タンパク質を分解除去する酵素の発見.
[ファルマシア 49, 121-125 (2013)]
(8) 金子雅幸:ヒトユビキチンリガーゼ HRD1 低下によるアルツハイマー病発症機構の解析.
[薬学研究の進歩 29, 55-58 (2013)]
(9) 位田雅俊,北村佳久:ドパミン神経の保護および再生の多様性.
[ファルマシア 49, 859-863 (2013)]
(10) 井 上 直 樹 , 谷 口 留 美 , 古 谷 野 伸 : 抗 ウ イ ル ス 療 法の 現 状 と 今 後 の 展 望 - サイ ト メ ガ ロ ウ イ ル ス ,
Epstein-Barr ウイルス, ヒトヘルペスウイルス-6, -7, 8.
[臨床と微生物 40, 36-42 (2013)]
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
81
(11) 五十里彰:腎尿細管におけるマグネシウム輸送の分子制御.
[生化学 85, 574-577 (2013)]
(12) 稲垣直樹:アトピー性皮膚炎の慢性化とペリオスチン.
[ファルマシア 49, 1170-1174 (2013)]
(13) Hirotaka YAMASHITA, Hiroyuki TANAKA and Naoki INAGAKI:Treatment of the Chronic Itch of Atopic
Dermatitis Using Standard Drugs and Kampo Medicines.
[Biol. Pharm. Bull. 36, 1253-1257 (2013)]
(14) 高 橋剛 , 浅 沼富 士夫 , 田中 宏幸 , 稲 垣直 樹 , 七條通 孝 : アレ ルギ ー性 鼻炎に おけ る鼻 閉に 対する
Prostaglandin D2 の役割.
[アレルギーの臨床 450, 62-65 (2013)]
(15) Yasushi ITO, Hirotaka TANAKA, Hideaki HARA:The Potential Roles of Metallothionein as a Therapeutic Target
for Cerebral Ischemia and Retinal Diseases.
[Curr. Pharm. Biotechnol. 14, 400-407 (2013)]
(16) 田中彦孝, 原英彰:筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療と早期診断.
[ファルマシア 49, 945-949 (2013)]
(17) 寺町ひとみ:中学校保健体育科「医薬品の正しい使い方」授業プログラムの構築.
[Yakugaku Zasshi 133, 1325-1334 (2013)]
著
書
(1) 田原耕平 (分担執筆), 廣中耕平, 竹内洋文 (分担執筆):リポソームによる薬物の後眼部送達.
[非経口投与製剤の開発と応用 (シーエムシー出版) pp.125-131 (2013)]
(2) 竹内洋文:日本薬局方の改正、製剤技術の動向
[医薬品製剤化方略と新技術Ⅱ (シーエムシー出版) pp.1-7 (2013)]
(3) 笹井泰志 (分担執筆):第 2 章第 4 節[1] 再生医療研究のために求められる培養器材.
[再生医療における臨床研究と製品開発 (技術情報協会) pp. 225-228 (2013)]
(4) 神谷哲朗, 小原
彩, 和泉美里,原
宏和, 山田晴生,足立哲夫 (分担執筆):カドミウム曝露下の COS-7
細胞における extracellular-superoxide dismutase 発現変動.
[腎とフリーラジカル
第 11 集 (東京医学社) pp. 63-66 (2013)]
(5) 山田晴生,山田裕一, 足立哲夫, 今井裕一 (分担執筆):塩酸ジラゼプの細胞周期・フリーラジカル産生
に及ぼす影響.
[腎とフリーラジカル
第 11 集 (東京医学社) pp. 127-133 (2013)]
(6) 山田晴生,足立哲夫,山田裕一,今井裕一 (分担執筆):プタバスタチンによる low density lipoprotein (LDL)
結合 serum amyloid (SAA)を指標とした抗炎症効果と腎保護作用.
[腎とフリーラジカル
第 11 集 (東京医学社) pp. 170-175 (2013)]
(7) 平野和行,臼井茂之(分担執筆):
[2013 版
実習に行く前の 覚える医薬品集 -服薬指導に役立つ-(廣川書店)(2013)]
(8) 北市清幸(分担執筆):第 13 章
オータコイド.
[わかりやすい薬の効くプロセス第 2 版 (ネオメディカル) pp.372-387 (2013)]
(9) 北市清幸(分担執筆)
,中野一子(分担執筆):ビタミンとその類似物質と薬剤の相互作用について
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
82
[日本食品安全協会会報 8(1), 38-41 (2013)]
(10) 北市清幸(分担執筆)
,中野一子(分担執筆):ミネラルと薬剤の相互作用について
[日本食品安全協会会報 8(2), 37-39 (2013)]
(11) 北市清幸(分担執筆)
,中野一子(分担執筆):がんに関係する健康食品と薬の相互作用について
[日本食品安全協会会報 8(3), 24-25 (2013)]
(12) 保住 功 (分担執筆):副甲状腺機能亢進症
[今日の神経疾患
治療指針(第 2 版) (医学書院) pp.1020-1023 (2013)]
(13) Souichi YAMADA, Rumi TANIGUCHI, Isao KOSUGI, Naoki INOUE (分担執筆) :Cytomegalovirus
[Neuroviral Infection (Taylor & Francis CRC Press) pp.273-312 (2013)]
(14) 五十里彰 (分担執筆):尿細管マグネシウム輸送の分子病態生理.
[腎と透析
74 (東京医学社) pp. 293-299 (2013)]
(15) 五十里彰 (分担執筆):細胞間隙を介したマグネシウム輸送と異常.
[腎と骨代謝
26 (日本メディカルセンター) pp. 181-186 (2013)]
(16) Toshiyuki Matsunaga, Ossama El-Kabbani and Akira Hara(分担執筆):Aldo-Keto Reductases as New
Therapeutic Targets for Colon Cancer Chemoresistance.
[Molecular Mechanisms of Tumor Cell Resistance to Chemotherapy, (SPRINGER), pp.109-133 (2013)]
(17) Toshiyuki Matsunaga, Akira Hara, Tsugikazu Komoda(分担執筆)
:Oxidized High-Density Lipoprotein: Friend
or Foe.
[The HDL Handbook -Biological Functions and Clinical Implications- (2nd Ed.), (ACADEMIC PRESS),
pp.247-272 (2013)]
(18) 稲垣直樹 (分担執筆):第 1 章総論.
[図解 薬害・副作用学 第 1 版 (南山堂) pp. 58-65 (2013)]
(19) 杉山 正(分担執筆)
[2013 年版
実習へ行く前の
覚える医薬品集,(廣川書店) , (2013)]
(20) 杉山 正(分担執筆)
[わかりやすい病院実務実習テキスト 第 3 版
(じほう),(2013)]
(21) 杉山 正(分担執筆)
[図解
医薬品情報学 改訂 3 版
(南山堂), (2013)]
(22) 寺町ひとみ:
[「医薬品の正しい使い方」教育プログラムの開発とその短期的効果の評価 (東海電子印刷)
(2013)]
(23) 寺町ひとみ (分担執筆):
[モデル・コアカリキュラムに沿った わかりやすい病院実務実習テキスト第 3 版 (じほう) (2013)]
(24) 舘知也 (分担執筆):
[モデル・コアカリキュラムに沿った わかりやすい病院実務実習テキスト第 3 版 (じほう) (2013)]
(25) 舘知也 (分担執筆):てんかん.
[2 ページで理解する標準薬物治療ファイル (南山堂) pp. 64-65 (2013)]
(26) 中村光浩 (分担執筆):
[モデル・コアカリキュラムに沿った わかりやすい病院実務実習テキスト第 3 版 (じほう) (2013)]
(27) 酒井英二 (編集・分担執筆):
[薬用植物学
改訂第7版 (南江堂) (2013)]
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
そ の
83
他
(1) 佐治木弘尚:2.重水素標識化号物の簡便合成法の開発と応用.
[薬事日報 2013 年 12 月 4 日, 8]
(2) 佐治木弘尚:巻頭言,ネバーギブアップ!
[有機合成化学協会誌 71,405 (2013)]
(3) 竹内 洋文:製剤と粒子設計部会 2011~2012 年度活動報告,
[粉体工学会誌 50,764 (2013)]
(4) 永瀬久光:学校における化学物質の使用と管理
―塩素系消毒剤と殺虫剤を例として―.
[日本薬剤師会雑誌 65, 1017 (2013)]
(5) 永瀬久光:化学物質に関する話題の環境保健問題.
[愛知医報、1953 号, 8-9 (2013) ]
(6) 北市清幸:降圧薬データ捏造問題と健康食品
[日本食品安全協会会報 8(4), 35-36 (2013)].
(7) 山田
恵,田中優司,木村暁夫,香村彰宏,林
祐一,保住
功,小池春樹,祖父江
元,犬塚
貴:
変形性脊椎症を有する高齢者に発症した nonsystemic vasculitic neuropathy の一例.
[日老医誌 50, 400-403 (2013)]
(8) 石塚達夫,福沢嘉孝,田中章景,𡌛村信介,堀川幸男,松林宏行,保住
功:第 16 回東海支部専
門医部会教育セミナーまとめ 内科疾患における遺伝子異常.
[日本内科学会雑誌 102, 1001-1009 (2013)]
(9) 井上直樹 (研究代表):感染動物モデル及び胎盤組織培養系を用いた先天性サイトメガロウイルス感染機
構の解析と中和抗体及びワクチンの開発.
[厚生労働科学研究費補助金 (創薬基盤推進研究事業政策創薬マッテング研究) 総合・平成 24 年度研究報
告書 237 (2013)
(10) 井上直樹 (分担研究):水痘の流行解析のための血清学・免疫学検査法の改良とワクチン製剤の分析.
[厚生労働科学研究費補助金 (新型インフルエンザ等新興再興感染症研究事業 ワクチンにより予防可能
な疾患に対する予防接種の科学的根拠の確立及び対策の向上に関する研究 ) 平成 24 年度分担研究報告
書 57 (2013)
(11) 井上直樹 (分担研究):先天性サイトメガロウイルス感染スクリーニングと感染及び発症のリスク因子の
解析.
[厚生労働科学研究費補助金 (新型インフルエンザ等新興再興感染症研究事業 ワクチンにより予防可能
な疾患に対する予防接種の科学的根拠の確立及び対策の向上に関する研究 ) 平成 24 年度分担研究報告
書 65 (2013)
(12) 稲垣直樹 (分担研究):マウスモデルを用いた掻痒発現機序の解析と治療戦略の構築.
[平成 24 年度厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業(免疫アレルギー疾患等予防・治療研
究事業)研究報告書 (2013)
(13) 勝野眞吾,寺町ひとみ:セルフメディケーション推進のための薬教育の現状および薬学の使命.
[薬事日報 3/22, 18-18 (2013)]
(14) 寺町ひとみ:中学校保健体育科「医薬品の正しい使い方」授業プログラムの構築.
[調剤と情報 22, 545-550 (2013)]
岐阜薬科大学紀要 Vol. 63 -研究論文抄録-
84
(15) 勝野眞吾,寺町ひとみ:セルフメディケーション推進のための薬教育— 現状及び薬学の使命— .
[Yakugaku Zasshi 133, 1307-1307 (2013)]
(16) 中村光浩:登録販売者に求められる社会的ニーズについての調査研究.
財団法人一般用医薬品セルフメディケ-ション振興財団 平成 24 年度研究助成金報告書 (2013)
(17) 酒井英二 (分担研究):漢方薬に用いられる薬用植物の内部及び外部形態情報にかんする研究.
厚生労働省科学研究費補助金 (創薬基盤推進研究事業
漢方薬に使用される薬用植物の総合データベ
ース構築のための基盤整備に関する研究)平成 24 年度 総括・分担研究報告書 (2013)
(18) 酒井英二,田中俊弘,後藤稔治,川村智子:
乗鞍スカイライン沿線植物群落-モニタリング調査報告書(平成 24 年度)(2013)
(19) Yuri Nishio:
(2013). What is the goal of English Pronunciation for Japanese Future Elementary
School Teachers: Accuracy or Intelligibility?
[全国英語教育学会北海道研究大会発表予稿集, 36-37 (2013)]
(20) Yuri Nishio:The Crucial Factors Affecting Perceptional Units of English for Japanese Children:
Syllables or Moras?
[The JACET 52nd International Convention Book, 59 (2013)]
(21) Masako Tsuzuki & Yuri Nishio:Intelligibility Assessment of Japanese Accents by Native Speakers
of English
[ELF The Sixth International Conference of English as a Lingua Franca, Programme and Abstracts,
80 (2013)]
(22) Yuri Nishio & Masako Tsuzuki, M:Realization of English Intonation by Japanese Future Teachers
Affecting Intelligibility ELF
[The Sixth International Conference of English as a Lingua Franca, Programme and Abstracts, 68
(2013)]
(23) 杉浦春雄,山口さおり,杉浦浩子:大学生の友人関係と対人ストレスイベントとの関連.
[健康レクリエーション研究 9, 9-20 (2013)]
(24) 杉浦春雄,宮島由珠,杉浦浩子:大学生における友人関係と対人ストレスコーピングと友人関係満足度
の関連.
健康レクリエーション研究 9, 21-29 (2013)
編集委員
稲垣直樹, 澤岡 藩,
中西 剛, 多田教浩
岐阜薬科大学紀要 第 63 号
(非売品)
発行日
平成26年6月30日
発行所
岐
〒501-1196
編集者
発行者
阜
薬
科
大
学
岐阜市大学西1丁目25番地4
稲 垣 直 樹
THE ANNUAL PROCEEDINGS OF
GIFU PHARMACEUTICAL UNIVERSITY
Vol. 63
June 2014
CONTENTS
Reviews
Development of a Gastric Retentive System as a Sustained-release Formulation of Pranlukast
Hydrate and its Subsequent In Vivo Verification in Human Studies
··· Hikaru SUGIHARA, Hirofumi TAKEUCHI ···(1)
The Potential of GPNMB as a Novel Neuroprotective Factor in Amyotrophic Lateral Sclerosis
··· Hirotaka TANAKA, Kazuhiro TSURUMA, Masamitsu SHIMAZAWA, Hideaki HARA ···(11)
Anti-angiogenic Effect of Kallidinogenase
··· Shinsuke NAKAMURA, Kazuhiro TSURUMA, Masamitsu SHIMAZAWA,
Hideaki HARA ···(22)
Development of Oxidation Using Light and Oxygen, or Hydrogen Peroxide
··· Tomoya NOBUTA, Norihiro TADA, Tsuyoshi MIURA, Akichika ITOH ···(33)
Abstracts of Published Reports
(January – December, 2013) ············(43)
Published Annually by Gifu Pharmaceutical University
1-25-4 Daigaku-Nishi, Gifu 501-1196, Japan