大阪労働局 Press Release 大阪労働局発表 平 成 27年 3月 16日 労働安全衛生法違反の疑いで書類送検 −ベンジジン等製造等禁止物質を使用,譲渡した疑い− 大阪労働局(局長 中沖剛)は平成27年3月16日,一般財団法人カケンテ ストセンター,同法人大阪事業所分析テストラボ長,株式会社ダイトー,同社 営業員を労働安全衛生法違反の疑いで,大阪地方検察庁に書類送検した。 記 1 被疑者 (1) 一般財団法人カケンテストセンター 主たる事務所 事業内容 東京都中央区日本橋本石町四丁目 生活用品等に関する試験及び検査並びに証明等の事業 (2) 同法人大阪事業所分析テストラボ長(以下「被疑者A」という) (3) 株式会社ダイトー 本店所在地 大阪市西淀川区姫里二丁目 事業内容 試薬,化学工業薬品等の売買の事業 (4) 同社営業員(以下「被疑者B」という) 2 違反条文 (1) 一般財団法人カケンテストセンター,株式会社ダイトーについて 労働安全衛生法違反 同法第55条 同法施行令第16条第1項九号 同法第116条(罰則) 同法第122条(法人両罰) (2) 被疑者A,被疑者Bについて 労働安全衛生法違反 1 同法第55条 同法施行令第16条第1項九号 同法第116条(罰則) 3 被疑事実の概要 第一 被疑者Aは,被疑法人一般財団法人カケンテストセンターが大阪市西区 江戸堀2丁目に置く大阪事業所の分析テストラボ長として被疑法人大阪 事業所分析テストラボの責任者を務める被疑法人の使用人であるが,被疑 者Aは,被疑法人の業務に関して法定の除外事由がないのに,平成24年 7月9日から平成26年6月30日までの間,延べ62日間に亘り,特定 芳香族アミン類の分析試験に使用する標準原液作成のため,ベンジジンを その重量の1パーセントを超えて含有する試薬,四−アミノジフェニルを その重量の1パーセントを超えて含有する試薬,ベータ−ナフチルアミン をその重量の1パーセントを超えて含有する試薬を使用したものである。 第二 被疑者Bは,被疑会社株式会社ダイトーの営業員として一般財団法人カ ケンテストセンター大阪事業所を担当する被疑会社の使用人であるが,被 疑者Bは,被疑会社の業務に関して法定の除外事由がないのに,平成24 年8月30日から平成26年3月18日までの間,ベンジジンをその重量 の1パーセントを超えて含有する試薬を2回に亘り,四−アミノジフェニ ルをその重量の1パーセントを超えて含有する試薬を5回に亘り,ベータ −ナフチルアミンをその重量の1パーセントを超えて含有する試薬を5 回に亘り,大阪市西区江戸堀2丁目所在の一般財団法人カケンテストセン ター大阪事業所に譲渡したものである。 4 参考事項 (1) 労働安全衛生法第55条においては,体内に吸入することによって急性 膀胱炎症状をおこしたり膀胱腫瘍,特に膀胱がんを発生することのあるベ ンジジン,ベータナフチルアミン,四−アミノジフェニル等の製造,輸入, 譲渡,提供又は使用の禁止を定めている。 (2) 特定芳香族アミン類の分析試験とは,衣服等を着用したときに汗等によ って溶出した繊維の染料が,皮膚の常在菌によって分解等して発がん性を 有する又は発がん性が疑われる特定芳香族アミン類と呼ばれる化学物質に なる可能性やその濃度をガスクロマトグラフ−質量分析計により分析する もので,本件ベンジジン,ベータナフチルアミン,四−アミノジフェニル の各化学物質は特定芳香族アミン類に属する。 また,特定芳香族アミン類の分析試験時においては,定性,定量のため 2 の標準物質として,特定芳香族アミン類の標準液を使用するが,標準液を 作成する前段階において濃度0.1パーセント,0.25パーセント等に 調整した特定芳香族アミン類の標準原液(保管用)を準備しておく必要が あり,被疑法人一般財団法人カケンテストセンター大阪事業所においては, この標準原液作成のため,純度がほぼ100パーセントである特定芳香族 アミン類の各物質の試薬を使用していた。 (3) 被疑会社株式会社ダイトーは,一般財団法人カケンテストセンターから 注文を受け,上記標準原液の作成に使用する純度がほぼ100パーセント であるベンジジン,四−アミノジフェニル,ベータ−ナフチルアミンの各 試薬をC社(大阪府外所在)から仕入れ,一般財団法人カケンテストセン ター大阪事業所に販売していた。 (4) 本件の捜査においては,平成26年7月31日に被疑法人一般財団法人 カケンテストセンター大阪事業所に対して検証並びに捜索差押を,同日に 被疑会社株式会社ダイトー本店に対して捜索差押を実施している。 (5) 適用法条項は,別紙のとおり。 3 別 紙 労働安全衛生法 (製造等の禁止) 第五十五条 黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障 害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用し てはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で 定める要件に該当するときは、この限りでない。 (罰則) 第百十六条 第五十五条の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。 (両罰) 第百二十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人 の業務に関して、第百十六条、第百十七条、第百十九条又は第百二十条の違反行為をし たときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 労働安全衛生法施行令 (製造等が禁止される有害物等) 第十六条 法第五十五条の政令で定める物は、次のとおりとする。 一 黄りんマツチ 二 ベンジジン及びその塩 三 四-アミノジフエニル及びその塩 四 石綿 五 四-ニトロジフエニル及びその塩 六 ビス(クロロメチル)エーテル 七 ベータ-ナフチルアミン及びその塩 八 ベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのりの溶 剤(希釈剤を含む。)の五パーセントを超えるもの 九 第二号、第三号若しくは第五号から第七号までに掲げる物をその重量の一パーセン トを超えて含有し、又は第四号に掲げる物をその重量の〇・一パーセントを超えて含有 する製剤その他の物 2 法第五十五条ただし書の政令で定める要件は、次のとおりとする。 一 製造、輸入又は使用について、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、 都道府県労働局長の許可を受けること。この場合において、輸入貿易管理令(昭和二十四 年政令第四百十四号)第九条第一項の規定による輸入割当てを受けるべき物の輸入につ いては、同項の輸入割当てを受けたことを証する書面を提出しなければならない。 二 厚生労働大臣が定める基準に従つて製造し、又は使用すること。 4 特定化学物質障害予防規則 (製造等の禁止の解除手続) 第四十六条 令第十六条第二項第一号の許可(石綿等に係るものを除く。以下同じ。)を受けようとす る者は、様式第四号による申請書を、同条第一項各号に掲げる物(石綿等を除く。以下「製 造等禁止物質」という。)を製造し、又は使用しようとする場合にあつては当該製造等禁 止物質を製造し、又は使用する場所を管轄する労働基準監督署長を経由して当該場所を 管轄する都道府県労働局長に、製造等禁止物質を輸入しようとする場合にあつては当該 輸入する製造等禁止物質を使用する場所を管轄する労働基準監督署長を経由して当該場 所を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。 2 都道府県労働局長は、令第十六条第二項第一号の許可をしたときは、申請者に対し、 様式第四号の二による許可証を交付するものとする。 (禁止物質の製造等に係る基準) 第四十七条 令第十六条第二項第二号の厚生労働大臣が定める基準(石綿等に係るものを除く。)は、 次のとおりとする。 一 製造等禁止物質を製造する設備は、密閉式の構造のものとすること。ただし、密閉 式の構造とすることが作業の性質上著しく困難である場合において、ドラフトチエンバ ー内部に当該設備を設けるときは、この限りでない。 二 製造等禁止物質を製造する設備を設置する場所の床は、水洗によつて容易にそうじ できる構造のものとすること。 三 製造等禁止物質を製造し、又は使用する者は、当該物質による健康障害の予防につ いて、必要な知識を有する者であること。 四 製造等禁止物質を入れる容器については、当該物質が漏れ、こぼれる等のおそれが ないように堅固なものとし、かつ、当該容器の見やすい箇所に、当該物質の成分を表示 すること。 五 製造等禁止物質の保管については、一定の場所を定め、かつ、その旨を見やすい箇 所に表示すること。 六 製造等禁止物質を製造し、又は使用する者は、不浸透性の保護前掛及び保護手袋を 使用すること。 七 製造等禁止物質を製造する設備を設置する場所には、当該物質の製造作業中関係者 以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示すること。 5
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