VR VR VE - 国土交通省

≪新技術関連≫
「四国技報」第27号
平成26年10月
新技術活用システムの改正概要について
企画部
施工企画課
課長補佐
木下
功
1.はじめに
新技術活用システムは民間等で開発された有用な新技術の積極的な活用を推進することで、公共
工事のコスト縮減や品質向上を図り新技術の更なる改善を促進するための仕組みとして、平成13
年度より運用を開始しています。また、NETISとは新技術を共有、広く提供するとともに、公
共工事において積極的に活用・評価し、技術開発を促進していくためのシステムです。
平成25年度に新技術活用システム実施要領の改正がなされ、本年度より運用しています。今回
は、改訂の概要についてお知らせ致します。
2.新技術活用システムの改正概要
改正点は大きく4つあります。①技術特性の明確化、②テーマ設定型(技術公募)の追加、③活
用効果調査の改正、④外部機関の活用による有用な技術の現場導入促進です。
改正④
外部機関の活用による有用な技術の
現場導入促進
新技術の登録
技術開発
重要
性の
高い
テーマ
技術特
性の明
確化
発注者による活用
・フィールド提供
・試行申請
活用支援の強化
・発注者指定
(技術選定、積算等支援)
行政ニーズ・
現場ニーズ
改正②
テーマ設定型
(技術公募)
施工者による活用
活用
・施工者希望
・試行申請
※工事成績評定において、
試行的活用に対するイン
センティブ(加点措置)を
是正
活用・充実
メリハリ(技術特性 コ・メント重視)
※
類似
技術
がある
技術
→改正①
事前審査等
(試行の可否、検証方法)
※品質が確認されている
場合等は省略可とする。
改正③活用効果調査
新技術
※外部技術力の活用
・有用な技術の推薦
「評価促進技術」 等
・事後評価
への活用
事後
評価
新たな
評価軸
※従前の
一律な評
価を改め、
技術特性
を重視し
た評価を
実施。
※以降の
活用効果
調査及び
評価の改
善
VR
評価
継続
VR
評価
不要
VE
(一般化
・標準化)
○推奨技
術等評価
結果が高
く、活用が
多い技術
↓必要に
応じ
○基準類
(技術基
準、積算
基準等)
へ反映
評価結果の公表
技術比較表作成
活用・充実
図-1
新技術活用システム改正の概要
新技術活用システムの概要と改正点の相関図は上図の通りです。以下、4つの改正点について紹
介致します。
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3.技術特性の明確化について
NETISに登録しても活用されない新技術の多くは、従来技術やNETIS既登録の技術と比
べて、特徴がわかりにくい等が原因で活用に至っていない実態です。登録しても活用されない技術
を減少させるため、登録申請時に「既登録技術との比較」「適正な従来技術の設定」、「評価項目の
追加」が出来るよう改訂しました。なお、評価会議でも同様に対応出来るようにしました。
○対
応:登録申請時に、以下のように改正
・適正な従来技術の設定(妥当性を示す根拠資料の提示)。
・従来技術に加え、既NETIS登録技術(類似技術)との比較。
・技術特性に応じ、新たな評価項目の追加。
新技術(Z工法)
従来技術(A工法)
類似技術(B工法)
SK○△-A
-
KT○○-V
50m以内
50m以内
50m以内
経済性
120
100
95
工程・工期
80
100
110
品質
◎・・・
○・・・
◎・・・
出来形
◎・・・
○・・・
◎・・・
環境負荷
○・・・
○・・・
△・・・
安全性
◎・・・
○・・・
○・・・
NETIS番号
改良深度
◎:従来技術より優れている、 ○:従来技術と同程度、 △:従来技術より劣る。 ・・・は文字による説明
図-2
登録申請時における従来技術や類似技術との比較(例)
4.テーマ設定型(技術公募)の追加について
特定の工種・工法において複数の新技術が登録されているが、特徴(長所、短所)がわかりにく
い等が原因で、現場での活用が進まない。これらの技術について、現場での工法選定を支援するた
め、現場で活用・評価・類似技術の比較表を策定し、技術基準等に位置付けました。
本省(システム検討会議)が現場ニーズ、行政ニーズにより設定(技術公募)されたテーマに基
づき、地方整備局等が技術を公募し、直轄工事等のフィールドにおいて確認が必要と認められたN
ETIS登録技術を対象に、工事等の発注に際し発注者が新技術を指定し、活用する型式です。
技術比較資料策定の流れ
① 公募テーマ設定
公募
応募技術の選定
非選定 ・公募内容に適合していない技術
・技術の成立性が無い技術
②NETIS登録技術に加え、技術公募。
・NETIS登録技術→申請者に試行・評価の意志確認
・応募のあった技術→現場試行可否の事前審査
登録
② 活用現場を探す
③現場での試行・評価
・概ね1年以内に原則1件活用・評価、なお、期
間・件数については分野(工種・工法等)に依存
発注者指定で活用活
用(活用効果調査)
④評価結果に基づき、技術比較資料を策定。
策定後、有識者委員会等の審議を経て公表。
適宜基準書等に位置づけ。
評価
③ 技術比較資料の作成・公表
①発注者ニーズ、NETIS登録技術数の多い分野(工
種・工法等)、技術比較が求められる分野を選定。
定期的に見直し
技術比較資料の活用
新技術の活用
図-3
テーマ設定型のフロー
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5.活用効果調査の改正について
現行の活用効果調査は6つの調査項目(経済性、工程、品質・出来型、安全性、施工性、環境)
について定量的に評価するため、技術特性が反映できない技術があります。また、多数活用される
技術についても、調査と評価を継続する必要があります。
○改正による対応:活用効果調査表の改正、継続調査の必要性の判定等
・活用効果調査表を、点数だけでなく定性的(コメント重視の)評価が可能な調査表へ改訂。
・技術特性に応じ、調査項目の追加や見直しが可能。
・継続調査の必要が無いと地方整備局等の評価会議で判断された技術については、以降の活用効
果調査を省略可能。
【現行の活用効果調査表】
【活用効果調査表の改訂】
①一律の調査項目で評価しており、技術特
性が反映できない技術がある。
①一律の調査項目で評価しており、技術特
性が反映できない技術がある。
技術特性に合わない項目は、
調査及び評価を行わない
技術特性に応じて、評価の視点をチェック及びコメントを記載
6つの調査項目(経済性、工程、品質・出来形、安全性、
施工性、環境)の評価点を集計し、技術の優劣を判断
【事例】
○工事看板では、環境の調査項目は不要
○防草シートでは、ランニングコストの比較も必要
大項目の点数化は継続
技術特性に応じて、評価項目を追加
等
②調査と評価の効率化
②2回目以降の評価が変わらない技術ま
で、調査と評価を継続
○継続調査の必要が無い技術を評価会議で判断、以降の調査
と評価を省略
③一般化・標準化した技術の指定
③普及への道筋が不明確
○技術指針や標準歩掛に制定された技術をシステム検討会議
で指定
図-4
活用効果表の改訂等
6.外部機関の活用による有用な技術の現場導入促進について
NETIS登録技術については、国土交通省発注工事おける実績に基づき事後評価されており、
地方公共団体等の実績、評価が反映されないなど非効率となっていました。
推奨技術・準推奨技術選定はそれまでNETIS登録技術のうち活用効果が実施された技術であ
って、選考要件のいずれかに合致する画期的な技術として以下の推薦のある技術とされていました。
①評価会議が、「設計比較対象技術」「少数実績優良技術」「活用促進技術」のうち、主として現場
における改善効果、将来性の観点から推薦する技術。
②関係研究機関又は第三者機関等が、主として技術の画期性等の観点から推薦する技術。
③その他システム検討会議の委員が推薦する技術。
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○改正による対応
・関係研究機関または第三者機関等に加え、新たに地方公共団体からの推奨技術等推薦受け入れ
等を行うことで有用な新技術の現場導入を促進することとしました。
・新たに「評価促進技術」を設定し、外部機関より推薦のあった技術の活用、評価を促進するこ
とで有用な新技術の現場導入を促進することとしました。
H26以降
実施主体
現状
①評価会議
有用な技術(「設計比較対象技術」
「少実績優良技術」「活用促進技
術」)から推薦
推奨技術
準推奨技術
評価促進技術
有用な技術(「活用促進技術」)等から推薦
現行どおり
現行どおり
-
②第三者機
関
建設技術審査証明を取得しており、
近年、NETISにおいて活用・評価さ →
れた技術
・建設技術審査証明や港湾関連民間技術の
確認審査・評価等を取得しており、近年ETIS
において活用・評価された技術
・学会についても検討
現行どおり
(強化)
現行どおり
(強化)
新規
③研究機関
事前審査等を行い、近年NETISに
おいて活用・評価された技術
→
・事前審査等を行い、近年NETISにおいて活
用・評価された技術
・自機関(共同開発含む)で開発・評価した技
術
現行どおり
(強化)
現行どおり
(強化)
新規
④地方公共
団体等
現在無し
→
特定の条件を満たした技術
例:NETIS同様の制度を有した、活用・評価さ
れた技術
-
新規
新規
→
図-5
推奨技術等の推薦方法
7.事後評価の改正について
NETISに登録された新技術には登録番号が付与されます。登録番号は受付地整、登録年度、
通し番号と末尾に評価、未評価を区別する記号が付きます。「A」は評価会議で評価していない技
術、「V」は評価済み技術です。
今年度から評価会議にかけられると、末尾は「VR」と「VE」で標示されることとなりました。
「VR」は継続調査が必要と判断された技術で、引続き活用効果調査表の作成、提出が必要です。
「VE」は今後も評価結果が変わらないと判断された技術で、活用効果調査表の作成、提出は必要
ありません。なお、「VR」、「VE」とも工事成績評定の対象と成ります。
SK-140001-A
SK-140001-V●
SK-000001-●G
港湾関係は、
○○Kと表示
四国の場合は、
SKKと表示
登録年度
例:2014年度
2000年度
未評価技術とは、評価会議において評価していない技術
V(VR,VEを含む)とは、評価済技術
評価済技術とは、評価会議において1回以上評価を行っ
た技術であり、従来技術に対し、優れている・同等や
劣っている技術、継続調査が必要な技術も含まれる。
AG/VGとは、掲載期間終了技術
掲載期間終了技術とは、実施要領で定められた掲載期間
を経過し、NETISホームページより削除された技術
今年度、評価済技術(V)の表示が評価会議開催後に随時変更になります。
A
V
図-6
評価会議
受付(登録)地整
北海道・・・HK
東 北・・・TH
関 東・・・KT
北 陸・・・HR
中 部・・・CB
近 畿・・・KK
中 国・・・CG
四 国・・・SK
九 州・・・QS
沖 縄・・・ON
Aとは、未評価技術
VR
VE
評価会議において、継続調査が必
要と判断した技術であり、活用効果
調査表の作成・提出が必要な技術。
評価会議において、今後も評価が
変わらないと判断した技術であり、
活用効果調査表の作成・提出が必
要でない技術
なお、工事成績評定は新技術を活
用した場合には評価する。
NETIS登録番号の見方
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8.有用な新技術について
活用効果評価等に基づき次の技術を指定し、有効な新技術の活用促進を図ります。
①活用促進技術
四国地方整備局新技術活用評価委員会では、新技術の活用効果評価において、総合的に活用の
効果が優れている技術、特定の性能又は機能が特に優れている技術、特定の地域のみで普及して
おり全国に普及することが有益とされる技術に該当する技術から「活用促進技術」を指定します。
②推奨技術、準推奨技術
本省の新技術活用システム検討会議は、公共工事等に関する技術の水準を一層高めるために、
画期的な新技術を対象に「推奨技術」あるいは「準推奨技術」として選定します。
③評価促進技術
他機関等の実績に基づき、公共工事等に関する技術水準等を高めることが見込める技術につい
ては「評価促進技術」に位置付けられます。
9.工事成績評定への加点について
NETIS登録の新技術を活用すれば工事成績評定で加点対象となりますので、お忘れ無いよう
に宜しくお願い致します。
試行申請型及び施工者希望型により施工者が新技術の活用を提案し、実際に工事で活用された
場合は、活用の効果に応じて工事成績評定での加点対象となります。
視点①
視点②
事後評価未実施と実施済で評価を
分ける。
活用したことによる効果を評価する。
活用の効果が相当程度
事後評価未実施技術の活用
活用の効果が一定程度
活用の効果が従来技術と同程度
活用の効果が相当程度
事後評価実施済技術の活用
※「有用とされる技術」を用いた場合は無
条件で+1点
活用の効果が一定程度
活用の効果が従来技術と同程度
NETIS登録番号 sk-123456-A →(事後評価が実施されていない技術)
※「相当程度」とは、大幅な工期短縮や
飛躍的な施工の効率化が図られた技術
など、工事推進に対して大きな効果をも
たらしたものとする。
「一定程度」とは、従来技術と比較して
効果が認められる技術であっても、活用
した工事全体としては影響が小さいもの、
例えば使用する材料のみの技術等は
一定程度とする。
3
2
1
2+1
1+1
0+1
sk-123456-V(VE,VR) →(事後評価が実施された技術)
注1.掲載期間終了技術について: HPから削除された日以前に提出された技術提案書もしくは新技術活用報告書に掲載の新技術については加点対象です。
注2.VE付与の新技術について: 活用効果調査表の提出の必要が無いため、活用効果については主任監督職員が判断して工事成績への反映をして下さい。
※活用効果調査表の評価内容を工夫して確認することをお勧めします。
図-7
工事成績評定への加点方法等
10.終わりに
新技術はNETISに登録された時点では、あくまで申請者責任の下の技術PRにすぎません。
登録により技術の有用性を認めたわけではありませんのでご注意下さい。
試行調査(全てが対象では無い)により技術の成立性、申請情報の妥当性を確認し、施工現場で
活用して活用効果調査を行い、地整評価会議(四国地方整備局新技術活用評価委員会)で技術的、
経済性等の事項が従来技術に対して優位であることが認められて「有用な技術」に位置付けられる
ことになります。よって、現場での新技術の活用にあたっては活用効果調査を十分実施し、効果を
把握して頂き、各評価項目覧(6つ)に監理技術者(受注者)、主任監督員のコメントを出来るだ
け具体的に記述することをお願い致します。
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