複数GNSS対応単独搬送波位相測位

複数GNSS対応単独搬送波位相測位(PPP)技術
の研究開発状況
平成26年4月25日
宇宙航空研究開発機構
衛星測位システム技術室
三吉 基之
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• 目次
(1)複数GNSS対応単独搬送波位相測位(PPP)技術の研
究開発状況
・PPP実験システム概要
・PPP精度、初期収束性確認結果
・今後の研究開発計画
(2)リアルタイム補強情報のインタネット配信
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複数GNSS対応単独搬送波位相測位(PPP)技術の研究開発
単独搬送波位相測位(PPP)
軌道/時計
精密暦
~3cm/~0.1ns
電離層
2周波線形結合
~0.5 cm?
雑音+マルチパス
搬送波位相
0.3~1 cm
対流圏
モデル+推定
~0.5 cm
測位精度
1cm~数cm
出典:GPS/GNSSシンポジウム2007チュートリアル、高須
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複数GNSS対応単独搬送波位相測位(PPP)技術の研究開発
単独搬送波位相測位(PPP)の高度化実験
• 複数GNSS時代
• アジア・オセアニア地域での利用
• 精密測位技術の動向:基準局が必要なRTK
⇒基準局が不要なPPP
複数GNSS(GPS,GLONASS,Galileo,QZSS)に対応したネッ
トワークモニタ局網(MGM-net)の構築及び軌道・時刻を高
精度に推定するツール(MADOCA)を整備し、地上基準点に
よらず、センチメートル級の測位を行う研究開発を推進
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複数GNSS対応単独搬送波位相測位(PPP)技術の研究開発
単独搬送波位相測位(PPP)高度化実験 システム概要
複数GNSS
“みちびき”
補強情報(軌道・時刻オフセット情報等)を
“みちびき”のLEX信号より配信
観測データ
モニタ局ネットワーク
(MGM‐net等)
RTCM SSR
LEX信号(メッセージタイプ=12)
追管局
(沖縄)
NTRIP キャスタ
軌道・時刻推定機能
補強情報配信
平成25年4月~ GPS,QZSS
平成25年11月~ GPS,QZSS,GLONASS
PPPユーザ
LEXメッセージ
生成機能
LEX
メッセージ
目標精度:
水平10cm(RMS)
垂直10cm(RMS)
Multi-GNSS実証実験
MCS
LEX
メッセージ
MADOCA(高精度軌道・時刻推定ツール)
MGM-net (Multi-GNSS Monitoring Network):JAXAで整備を進めている複数GNSSに対応したモニタ局ネットワーク
NTRIP(Networked Transport of Rtcm via Internet Protocol):観測データ等をリアルタイムで伝送するためのプロトコル
MADOCA(Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis):複数GNSSに対応した高精度軌道・時刻推定ツール
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複数GNSS対応単独搬送波位相測位(PPP)技術の研究開発
複数GNSS対応ネットワークモニタ局網(MGM-net)構築状況(H26.4現在)
MGM-net観測局(JAXA保有受信機のホスティング局)
MGM-net観測局(参加機関所有受信機を使用)
13局(設置済み)
7局(設置済み)
個別協定によるデータ共有(MGM-net公開)
40局(設置済み)
個別協定によるデータ共有(MGM-net非公開)
10局(設置済み)
JAXA観測局
10局(設置済み)
合計
13局 (工事中)
設置済み 80局、
工事中13局
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複数GNSS対応単独搬送波位相測位(PPP)技術の研究開発
放送するLEXメッセージタイプ:12
RTCMメッセージ
RTCM Message #1
Message
Length
Preamble Reserved
(8bits)
(6bits)
(10bits)
RTCM Message #2
Variable Length
Data Message
(可変長)
CRC Preamble Reserved
(24bits) (8bits) (6bits)
Message
Length
(10bits)
RTCM Message #N
Variable Length
Data Message
(可変長)
Preamble Reserved
CRC
・・・・
(24bits)
(8bits) (6bits)
Message
Length
(10bits)
Variable Length
Data Message
(可変長)
CRC
(24bits)
LEXメッセージ
ヘッダ部 TOW
WN
SSR Packet #1
(可変長)
(49bits)
SSR Packet #2
(可変長)
・・・・
SSR Packet #N
(可変長)
予備
データ部(1695bits)
リードソロモン
符号
(詳細)
IS-QZSS ver1.6ドラフト参照
(256bits)
LEXメッセージ (2000bits)
RTCMメッセージとLEXメッセージの関係
LEXメッセージタイプ12で放送するSSRメッセージ一覧 (*: ドラフト)
SSR Packet
Message Number
Update
Interval
GLONASS
GPS
QZSS
Galileo
Orbit Correction
1057
1246 *
1240 *
1063
30sec
Satellite Code Bias
1059
1248 *
1242 *
1065
3hour
URA
1061
1250 *
1244 *
1067
30sec
High Rate Clock Correction
1062
1251 *
1245 *
1068
2sec
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複数GNSS対応単独搬送波位相測位(PPP)技術の研究開発
後処理PPP精度確認結果
2013/1/13~1/20の8日間における「みちびき」の可視範囲にある15局について、IGS観測局89局の観測データから
MADOCAにより後処理生成した軌道・クロック情報を用いて後処理PPP解析を実施した結果、評価を行った全15局で目
標精度を達成、リアルタイム処理でも目標値を満足できる目途が得られた。
(15局平均で水平方向3.8cm、垂直方向5.6cm)
2013/1/13~2013/1/20の8日間の真値との
RMS値
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複数GNSS対応単独搬送波位相測位(PPP)技術の研究開発
リアルタイム軌道推定結果(GPS)
搬送波位相のアンビギュイティをFixして軌道推定
GPS暦比較結果(MADOCA暦-IGS公開暦)
(2014.4.13-2014.4.19)
GPS暦比較結果(MADOCA暦-IGS公開暦)
(2013.9.8-2013.9.10)
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複数GNSS対応単独搬送波位相測位(PPP)技術の研究開発
リアルタイム軌道推定結果(GLONASS)
GLONASS暦比較結果(MADOCA暦-IGS公開暦)
(2014.4.19)
GLONASS暦比較結果(MADOCA暦-IGS公開暦)
(2014.4.20)
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リアルタイムPPP精度確認
リアルタイム軌道推定使用モニタ局(IGS局含む)及びPPP評価対象局
シンガポール(NTUS0)
(低緯度地域)
増田(GMSD0)
(種子島)
パルマ(LPAL0)
(高高度地域)
・評価期間:2014/04/16~2014/04/21(6Days)
・真値算出:IGS最終暦によるPPP-Static(2014/04/03)の平均値
・補正値:MADOCAが生成した軌道クロック(RTCM SSR)
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リアルタイムPPP精度確認
パルマ(LPAL0)
シンガポール(NTUS0)
使用衛星数
(0~20)
東西方向誤差
(-0.5m ~ +0.5m)
南北方向誤差
(-0.5m ~ +0.5m)
垂直方向誤差
(-0.5m ~ +0.5m)
GPS+GLO GPS
2days
増田(GMSD0)
GPS+GLO GPS
2days
GPS+GLO GPS
比較的安定している後半48時間でのRMS値
2days
RMS (cm)
XY / UD
GPS
GPS+GLO
LPAL0
10.9 / 12.6
7.8 / 11.1
NTUS0
16.6 / 10.2
13.8 / 11.2
GMSD0
19.3 / 19.9
13.6 / 12.8
・リアルタイムで10cm級の精度を達成
・今後更なる精度向上(10cm以内)を目指す
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リアルタイムPPP初期収束性確認
2014/04/16~2014/04/21のうち、十数回に分けて測位演算を実施。
GPS+GLO GPS
GPS+GLO GPS
GPS+GLO GPS
30min
Time (min)
20cm
10cm
GPS+GLO GPS
U/D Error (m)
GPS+GLO GPS
U/D Error (m)
U/D Error (m)
GPS+GLO GPS
XY Error (m)
増田(GMSD0)
XY Error (m)
シンガポール(NTUS0)
XY Error (m)
パルマ(LPAL0)
30min
Time (min)
20cm
10cm
30min
Time (min)
・測位にGLONASSを使用すること(マルチGNSS化)で収束性が良好になることを確認
・GPS+GLOでは処理開始から20~30分程度で概ね20cm以内には収まることを確認
・今後は同様の評価を重ねるとともに収束時間短縮にむけた検討(後述)
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複数GNSS対応単独搬送波位相測位(PPP)技術の研究開発
今後の研究開発計画(FY25-FY27):
1. MADOCAの維持・改善
–
2.
3.
軌道・時刻推定機能(GPS, GLONASS, Galileo, QZSS)の
チューニング等、安定性の向上
– 軌道・時刻推定機能の対象GNSSの拡大(BEIDOU後処理)
精度向上:PPP-AR技術の導入(目標:水平1cm垂直3cmRMS)
– 補強情報生成機能の拡張
– L1-L2、L1-L5、L1-L2-L5対応
– ユーザ測位ツール(RTKLIB)のPPP-AR対応
初期収束時間短縮:30分程度(現状)→1分(目標)
– ローカルな電離層遅延および対流圏遅延情報を用いた初期収束
時間の短縮
4. シームレスPPP補強
–
地上補助情報、車載センサー情報との組み合わせにより、PPP
による精密測位の信頼性向上に向けた研究
本研究で得られた成果をユーザと連携し実証実験を進
めていきたい。
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リアルタイム補強情報のインタネット配信について
-MADOCAにより生成したリアルタイム補強情報を
RTCM SSRフォーマットで配信予定。
・配信対象GNSS : GPS, GLONASS, QZSS
・配信時期
: 2014年夏頃を予定
-利用条件(整理中)
-利用したい場合、申請要
・利用者にID,パスワードを付与
-利用目的は、平和目的、非商用に限る。
-24時間のデータ提供、精度保障はしない。
・メンテナンス等によりデータ提供が止まる場合あり
-成果の共有
・本データを使用して成果を発表する際、JAXAが提供するリアルタイム
補強情報を利用等を明記など。
準備が整い次第、QZ-VISION(http://qz-vision.jaxa.jp/)上で
周知予定。
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