GPS+ BeiDou 1 周波 RTK の瞬時 AR 性能について Instantaneous AR performance of GPS+ BeiDou single frequency RTK 菊地錬 Ren Kikuchi １．まえがき久保信明 Nobuaki Kubo 東京海洋大学 Tokyo University of Marine Science And Technology 信号の RTK 瞬時 AR 性能は、GPS2 周波 RTK に及ばない RTK-GNSS により cm オーダーの高精度測位が可能でまでも GPS1 周波 RTK に比べ劇的にアベイラビリティが向上したことがわかる。あるが、問題はそのコストである。通常は高価な多周波受信機が用いられるが、安価な構成かつ高精度な位置情報を求める市場は多いように感じる。しかし、1 周波の RTK-GPS では測位率、信頼性は不十分である。本稿では GPS、BeiDou の L1 帯信号のみを用いた RTK 瞬時 AR の性能を調査した結果を報告する。２．実験概要オープンスカイ環境下での静止実験と、都市部における移動体実験を行った。どちらも GNSS 観測データを取得し後処理で解析した。使用した基準局、実験機材を表 1 に示す。表 1．実験に使用した基準局及び機材基準局東京海洋大学第 4 実験棟屋上使用受信機基準、移動どちらも Trimble 社 NetR9 使用アンテナ基準、移動どちらも Trimble 社製解析ソフト研究室で使用しているものまた、整数値アンビギュイティの推定には LAMBDA 法を利用し、Ratio テストの閾値は 2 とした。実験 1. 静止実験（オープンスカイ） 2014 年 8 月 25 日 18:00~19:00(JST)の 1 時間で実施した。評価対象は東京海洋大学明治丸前（基線長約 200m の地点）に設置し、その時間での FIX 率を評価した。以下に示す 3 つの条件で解析し、結果を比較した。 1．GPSL1 信号のみでの RTK 瞬時 AR 2．GPS L1 信号+BeiDouB1 信号の瞬時 AR 性能 3．GPSL1 信号+GPSL2 信号の瞬時 AR 性能尚、条件 2 では GPS 衛星 5 機、BeiDou 衛星 5 機を選択し、条件 3 では GPS 衛星 5 機を選択した。実験 2．移動体実験（都市部） 2014 年 10 月 5 日 16:30-17:00(JST)に東京海洋大学～月島を自動車で走行し実験を行った。実験 1 同様に 3 つの条件で解析したが、衛星をあえて選択することはしていない。３．実験結果実験 1．この時の GPS 平均衛星数は 8 機であった。実験した時間の衛星のスカイプロットを図 1 に示し、実験結果を表 2 に示す。図 1 において×印をつけた衛星は条件 2、3 で使用しなかった衛星である。表 2 より GPSL1+BeiDouB1 図 1．静止実験スカイプロット（左：GPS/QZS 右：BeiDou） L1 L1+B1 L1+L2 表 2．実験 1 結果 HDOP 1.35 1.17 1.75 FIX 率 31.8% 78.8% 95.1% 実験 2．移動体実験の結果を表 3 に示す。表 3 より、GPS1 周波 RTK は、衛星配置がいい場合だけ FIX していることがわかる。また、GPS+BeiDou は衛星配置が良好なものの、 FIX 率は GPS1 周波 RTK の性能に近いことがわかる。対して GPS2 周波 RTK は衛星配置が悪いも場合でも FIX することがわかる。表 3. 実験 2 結果 L1 L1+B1 L1+L2 HDOP 0.88 1.3 4.1 FIX 率 13.0% 28.2% 44.5% ４．まとめ短基線での静止実験と移動体実験をおこない GPS+BeiDou の 1 周波 RTK 瞬時 AR の結果を比較した。静止実験では、GPS+BeiDou1 周波 RTK 瞬時 AR は GPS2 周波での RTK の性能に迫ることがわかった。しかし都市部における移動体では GPS2 周波の性能に及ばないことがわかった。