別添1 別添1 案件概要表 案件概要表 1.案件名 国 名: ミャンマー連邦共和国 案件名: ヤンゴン市開発委員会水道事業運営改善プロジェクト The Project for Improvement of Water Supply Management of YCDC 2.事業の背景と必要性 (1)当該国における上水道セクターの開発実績(現状)と課題 ミャンマー旧首都のヤンゴン市は、全人口約 6 千万人のうち約 1 割弱の 510 万人が集中する 中心都市である。ヤンゴン市の上下水道システムの歴史は古く、上水は 1842 年に整備が始まり、 現在では 4 つの貯水池と多数の井戸を水源としている。ヤンゴン市の上水道整備を所掌してい るのはヤンゴン市開発委員会(YCDC)である。YCDC から配水管網による給水を受けている人 口は、ヤンゴン市全体の 35%(推定)であり、市の中心部では 24 時間給水を達成しているもの の、ヤンゴン市全体の平均給水時間は 9.2 時間に留まっている。また老朽化した送配水管の更新 を含む無収水対策が適切に行われていないことから、無収水率は 66%(推定)にも上っている。 水源の約 9 割を表流水(貯水池)に依存し、表流水の水質が良好ではないにも関わらず、3 分の 2 が浄水処理をしないまま直接給水されている。水道メーター設置率は約 7 割と比較的高いが、 水道料金はメーターの設置された家庭で約 8 円/㎥、設置されていない家庭では月額約 170 円と 低く抑えられているため、水道料金収入は十分ではない。YCDC は、頻繁に起こる施設・機材 の故障や断水への応急的な対応に留まり、新規の施設整備や、老朽化した施設の更新には十分に 対応できていない。 上記背景の下、ヤンゴン市の支援要請を踏まえ、JICA は有償資金協力「ヤンゴン都市圏上水 整備事業」により、上水道施設整備によるヤンゴン市東部及びティラワ特別経済特区への給水、 及びヤンゴン市内の既存上水道施設における塩素消毒設備設置を実施予定である(2014 年 6 月 L/A 調印予定)。 他方、上述のとおり、YCDC の浄水場運転維持管理や水質管理、無収水管理については改善 の余地が多い。また、YCDC には計画部門がなく、業務指標のモニタリング、基準に沿った水 道事業の実施、適切な収入を確保するための財務管理、広報等、持続的な水道サービスを提供す るための経営管理も十分ではない。上記背景のもと、YCDC は我が国に対し、YCDC の組織能 力強化にかかる技術協力を要請した。 (2)当該国における上水道セクターの開発政策と本事業の位置づけ ミャンマーの現政権は、第一次国家開発 5 ヶ年計画として、①各種改革(政治、経済、行政、 民間セクター開発)、②国民中心の開発、及び③優先すべき 10 の開発分野を掲げており、本事 業は③優先すべき 10 の開発分野のひとつ(上水分野)に位置づけられる。 (3)上水道セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績 本事業は、我が国の対ミャンマー支援方針(2012 年 4 月)3 本柱のうち「国民生活向上の ための支援」に位置付けられる。また、JICA は「ヤンゴン市上下水道改善プログラム」により ヤンゴン市の上水道開発計画にかかるマスタープランを作成しており、その中で優先的に取り組 むべき能力開発を踏まえて実施するものである。これまで JICA は「ヤンゴン市生活用水給水ア ドバイザー」を派遣し、YCDC に対する技術移転を行っている他、無償資金協力(2013 年 10 月 G/A 締結)及び有償資金協力(2014 年 6 月 L/A 調印予定)による上水道整備事業をヤンゴン 市において展開している。その他、外務省による草の根無償資金協力によりヤンゴン市中部にお いて漏水対策にかかる技術移転も実施されている。 (4)他の援助機関の対応 中国・韓国企業がヤンゴン市西部の浄水場にかかる F/S 実施の覚書をヤンゴン市と締結して いる。この他、フランス開発庁、アジア開発銀行がヤンゴン市内の上水整備支援に関心を示して いるが、現在のところ、本事業との重複の可能性はない。 3.事業概要 (1)事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む) YCDC の水道経営及び運転・維持管理に係る能力向上を通して、ヤンゴン都市圏における水供 給衛生局による上水道サービスが改善される。 (2)プロジェクトサイト/対象地域名:ヤンゴン都市圏 (3)本事業の受益者(ターゲットグループ):YCDC 職員約 2,196 人 (4)事業スケジュール(協力期間):2014 年 11 月~2019 年 10 月(計 60 ヶ月) (5)総事業費(日本側):約 7 億円 (6)相手国側実施機関:ヤンゴン市開発委員会 (7)投入(インプット) 1)日本側:専門家派遣、資機材供与、研修受け入れ等 2)ミャンマー国側:執務スペース、ローカルコスト負担等 (8)環境社会配慮・貧困削減・社会開発 1)環境に対する影響/用地取得・住民移転 ① カテゴリ分類:C ② カテゴリ分類の根拠 : 「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」 (2010 年 4 月公布、 以下「JICA 環境ガイドライン」)に掲げる上水道セクターのうち大規模なものに該当 せず、環境への望ましくない影響は重大ではないと判断され、かつ、同ガイドライン に掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため。 2)ジェンダー平等推進・平和構築・貧困削減:特になし (9)関連する援助活動 1)我が国の援助活動:「ヤンゴン市上下水道改善プログラム協力準備調査」にて作成した ヤンゴン市上水道にかかる開発ビジョン及びマスタープランとの整合性に留意する。ま た、YCDC に派遣中のヤンゴン市生活用水給水アドバイザーや他省庁、自治体の動向と の役割分担・連携に留意する。 2)他ドナー等の援助活動:本事業では他のドナー事業と直接的な連携は予定されないが、 YCDC が複数のドナー間で適切に予算や人員を確保するよう注意が必要であり、また他 のドナーから異なる提案があった場合には、ドナー間でも調整が必要。なお JICA は UNICEF、世界銀行と連携してミャンマーの水・衛生分野にかかるセクター・レビュー 支援を実施している。 4.協力の枠組み (1)協力概要 1)上位目標と指標 ヤンゴン市開発委員会(YCDC)による上水道サービスが改善される。 <指標 1>設定された業務指標(PIs)の指標値が改善する。 <指標 2>YCDC の給水区域の無収水率が○○%から○○%に低下する。 <指標 3>YCDC による水質検査において、水質基準を満たす率が○○%から○○%に増 加する。 2)プロジェクト目標と指標 YCDC の水道事業運営能力が向上する。 <指標 1>PIs に基づき、YCDC の水道事業評価が定期的に行われる。 <指標 2>パイロット地区において無収水率が○○%から○○%に削減される <指標 3>パイロット浄水場において、水質基準を満たす割合が○○%から○○%に改善 される。 3)成果 i)YCDC の水道経営能力が強化される <指標 1>YCDC の水道事業経営にかかる活動計画がヤンゴン地域政府に承認される。 <指標 2>YCDC の人材育成にかかる活動計画がヤンゴン地域政府に承認される。 <指標 3>YCDC の水道の規程・基準・ガイドライン案がヤンゴン地域政府に承認される。 ii)YCDC の無収水削減能力が強化される <指標 1>無収水対策のマニュアル・研修教材が○人以上の YCDC 職員に活用される。 <指標 2>パイロット地区の顧客情報や配管データが整備・更新される <指標 3>YCDC 職員の○○%が無収水管理研修を受講する。 <指標 4>YCDC の無収水削減活動計画が YCDC に承認される。 iii)YCDC の水質管理能力が強化される <指標 1>水質管理のマニュアル・研修教材が○人以上の YCDC 職員に活用される。 <指標 2>パイロット浄水場及び配水地域における簡易水質検査結果が記録・モニタリン グされる。 <指標 3>YCDC 職員の○○%が水質管理研修を受講する。 <指標 4>YCDC の水質管理改善活動計画が YCDC に承認される。 4)活動 1-1 1-2 1-3 1-4 1-5 水道事業の計画セクションを設置する。 業務指標(PIs)による水道事業のモニタリングを行う。 水道事業にかかる規程・基準・ガイドラインを策定する。 財務管理にかかる理解を促進する。 広報を強化する。 1-6 人材育成にかかる体制を強化する。 1-7 組織経営計画の策定・実施支援を行う。 2-1. 無収水管理ユニットを設置する。 2-2. 無収水管理にかかる情報収集・データ整備を行う。 2-3. 物理的損失(漏水、越流等による損失)改善のための人材育成及び活動モデルを構 築する。 2-4. 非物理的損失(メーター不感、誤針、盗水等による損失)改善のための人材育成及 び活動モデルを構築する。 2-5. 無収水削減の活動計画の策定・実施支援を行う。 3-1. 水質管理の現状分析及び対策活動計画を策定する。 3-2. 水質改善のための人材育成を行う。 3-3. 水質管理の標準手順書(SOP)を作成する。 3-4. パイロット浄水場及び消毒施設において、水質管理を行う。 3-5. 水質管理の活動計画の策定・実施支援を行う。 5.前提条件・外部条件 (1)前提条件:ヤンゴン市開発委員会水供給衛生局に必要な人材が配置される。 (2)外部条件(リスクコントロール):YCDC が浄水場、消毒設備、管網等の建設や更新を可 能とする外部資金を得られる。 6.評価結果 本事業は、ミャンマー国の開発政策、開発ニーズ、日本の援助政策と十分に合致しており、ま た計画の適切性が認められることから、実施の意義は高い。 7.過去の類似案件の教訓と本事業への活用 (1)類似案件の評価結果 円借款附帯プロジェクト「インドネシア国南スラウェシ州マミナサタ広域都市圏上水道サービ ス改善プロジェクト」 (2009 年 9 月~2012 年 3 月)では、パイロットエリアにおける無収水 削減にかかる費用と便益が定量的に理解されたことで、プロジェクト実施期間中から水道公社が 他のエリアにも自助努力により無収水対策を展開していくという効果が見られた。 (2)本事業への教訓 本プロジェクトにおいても、パイロットエリアにおける配水状況や無収水対策の費用対効果を 定量的に把握した上で、YCDC の財務状況を踏まえた現実的な展開計画の策定を策定し、自助 努力及び開発パートナーを活用しながら無収水対策を展開していくことを促す。 8.今後の評価計画 (1)今後の評価に用いる主な指標:4.(1)のとおり。 (2)今後の評価計画 事業開始 6 か月 ベースライン調査 事業終了 3 年度 事後評価 (3)実施中モニタリング計画 プロジェクトによる進捗報告書作成(6 か月毎) JCC による進捗モニタリング(最低 1 年に 1 度) JICA 調査団による進捗モニタリング及び運営指導(最低 1 年に 1 度) 9.広報計画 (1)当該案件の広報上の特徴 1)相手国にとっての特徴 2)日本にとっての特徴 (2)広報計画
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