画像処理ソフトウェアの移植と実験環境

Nara Women's University Digital Information Repository
Title
画像処理ソフトウェアの移植と実験環境
Author(s)
森井, 藤樹
Citation
森井藤樹:奈良女子大学情報処理センター広報, Vol.7, pp. 20-30
Issue Date
1995-09
Description
URL
http://hdl.handle.net/10935/3816
Textversion
publisher
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http://nwudir.lib.nara-w.ac.jp/dspace
利用の事例
画像処理ソフトウェアの移植と実験環境
理学部情報科学科森井藤樹
1.はじめに
今から 1
0数年程前、裕福な研究室は別として、ディジタル画像を扱うことは決して容易なことでは
なかった。研究用のディジタル画像の取得さえままならず、このことも SIDBA画像データベース配布
の一因であったと考えられる[ l,2]。また画像一枚を印刷するにしても、ラインプリンタによる文字の
多重印字で濃淡をつけたり、ドットプリンタではドットを制御するコマンドをフ。ログラムに組み込むな
ど色々と苦労が多かった。ところが、パソコン( PC入ワークステーション( WS)、レーザプリンタ
(LP)、ネットワーク等のハードウェアの著しい進展とそれに伴うソフトウェアの充実で、誰でも容易
に画像を扱え、楽しめる時代になってきた。まさに隔世の感がある。マルチメディア時代の到来に際し、
画像を柔軟に扱えない計算機システムは商品価値に之しいと言っていいだろう。
画像処理システムの構築に対しては、いわゆる PC派と
ws派に分れる。それぞれ一長一短があり、
各自の目的に応じて選択すべきである。本稿は UnixWSの X windowsystemc3Jのもとで画像処理
やコンピュータビジョン研究用の適切な計算機環境を作るための方策について述べたものである。その
実現には、
(
1
) 画像処理関連情報の取得
(
2
) 画像処理ソフトウェア及び各種画像データの移植と環境整備
の二点、が不可欠である O これは「他人が作った優秀なソフトウェアを踏み台にして自分の環境を良くす
る人すなわち「少ない労力で多大の効果を得る」という Unix思想の適用に他ならない。
(
1
)の情報取得に関して、電子ニュース、 anonymousFTP(
f
i
l
et
r
a
n
s
f
e
rp
r
o
t
o
c
o
l、
) WorldWide
Web(WWW)c・4 5Jについて述べる。( 2
)の画像処理ソフトウェアに関しては、 Unixにおける標準的ソ
o
o
l
k
i
tc・3 6'1J、並び、に PBMPlusの補完に相当し、’ 9
4年に
フトウェアである xvc・3 6'1J, PBMPlusT
公開された ImgStarを取り上げる。
2
. 画像関連情報の取得
1
)電子ニュース、(2
)anonymousFTP、
( 3)WWWにつ
価値ある新しい情報の取得は重要であり、 (
いて紹介する。
2
. 1 電子ニュース
i
s
i
o
nに関連した世界的なニュースグループとして、 comp.a
i
.v
i
s
i
o
nがあり、 D
i
g
e
s
t版の記
画像、 V
事より最新の情報を得ることができる O それに対応する日本のグループとして f
j
.
c
o
m
p
.
i
m
a
g
eがあり、
手軽に情報交換ができる雰囲気にある O
電子ニュースには、ありとあらゆるニュースグループがあり、思いがけない貴重なグループを発見す
20
ることもしばしばである。例えば、円高と裕福さを繁栄してか海外旅行の f
j
.
r
e
c
.t
r
a
v
e
l
.
a
i
r
,
f
j
.
r
e
c
.t
r
a
v
e
l
.worldは園内旅行の f
j
.
r
e
c
.t
r
a
v
e
l
.
j
a
p
a
n以上に大変活発であり、人々の旅行の視点は海
外にシフトしているようである。取り分け、若者の海外への旅に対する熱気と探求心は凄まじいものが
あり、我々の海外旅行や研修の参考となりうる興味ある旅情報が多々見受けられる。
なお、電子ニュースのためのソフトウェアとして、多国語対応エディタ Mule内で g
n
u
s
c8J を 起 動
Watcher等がある。
するか、 Macでの News
2. 2 anonymousFTP
ユーザ登録をする必要がなく、誰でもアクセス可能な anonymousFTPs
i
t
eが世界中に多数あり、
.2 で 記 述 す る PBMPlus
各種プログラム、データをネットワークを介して容易に入手できる。 3
T
o
o
l
k
i
tは、阪大の FTPs
i
t
eのディレクトリ IXc
o
n
t
r
i
bより、 Unixコマンド f
t
pを用いて以下のよ
目
うにして取得することができる。 Macでは、 f
t
p機能を実現する Fetchという使いがってのいいソフ
トウェアがある。
%f
t
pf
t
p
.
c
e
n
t
e
r
.
o
s
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u
.
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c
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j
p
Name (
f
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p
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p
:
m
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)
: anonymous
Password: m
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@
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p(自己の e
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laddress)
f
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)cdX
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)binary
f
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)g
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1
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9
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Z
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)bye
京大、東大の各 s
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e名は f
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p
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u
.
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c
.
j
p
,f
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p
.
u・t
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k
y
o
.
a
c
.
j
pである。世界中には 1
0
0
0以 上
もの s
i
t
eが あ る が 、 こ れ ら 3大 学 の anonymous FTPを 活 用 す る だ け で も Unixで の P
u
b
l
i
c
DomainSoftware(PDS)である g
e
e等の Ce
o
m
p
i
l
e
r
,Mule,TeX,X windowsystem に関連し
た基本的なプログラムを圧縮ファイルの形で取得することができる。前述の NewsWateherは東大の
FTPs
i
t
eのディレクトリ/pub/News/NewsWateherで得られる。
圧縮ファイル名が f
i
l
e
n
a
m
e
.
t
a
r
.
Zの場合、
%z
e
a
tf
i
l
e
n
a
m
e
.
t
a
r
.
ZIt
a
rx
v
f-
f
i
l
e
-name.t
a
r
.gzの場合、
%g
unzipf
i
l
e
n
a
m
e
.
t
a
r
.
g
z
%t
a
rx
v
ff
i
l
e
n
a
m
e
.
t
a
r
で解凍できる。
解凍したソースプログラムをコンパイル、リンクして実行可能なプログラムに翻訳するのが大変で、
Unixコマンド makeを用いてうまく一発で成功することは稀であり、 M
a
k
e
f
i
l
e等 を 修 正 し な が ら 誤
り を な く し て ゆ く 過 程 を 踏 ま な け れ ば な ら な い 山 。 Unix OSに関し、 BSD系 か ら ATTの
systemV 系への変更が PDSの移植を困難にしている大きな要因の一つである。私にとっては、まさ
に苦労してパズルを解くという言葉がふさわしいような気がする。この過程に費やする時間の節減や計
算機環境の充実のため、奈良女の中で PDSの移植に関する情報交換の場があればいいと考えている。
2
. 3 WorldWideWeb(WWW)
W W Wは 1
9
8
9年に CERN(EuropeanLaboratoryf
o
rP
a
r
t
i
c
l
eP
h
y
s
i
e
s)の TimB
e
r
n
e
r
s
-
21
図 1 W W Wにおける ComputerV
i
s
i
o
nHomePage (CVHP)
22
Leeによって提案された広域情報システムであり、ハイパーテキストを介して I
n
t
e
r
n
e
t上の全ての情
報にアクセスすることを可能にする。 C
l
i
e
n
tProgramとして Mosaic, Netscapeがよく知られて
いる。
n
t
e
r
n
e
t資源である ComputerV
i
s
i
o
n Home Page(CVHP)
の
コンピュータビジョンに関する I
URL(
U
n
i
v
e
r
s
a
lResourceLocator)
は
http://www.cs.cmu.edu
/
∼c
i
l
/
v
i
s
i
o
n
.
h
t
m
l
である。 Mosaicを使ってこの URLで open した CVHPのウインドウを図 1に 示 す 。 例 え ば
Related Linksを ク リ ッ ク す る と 、 コ ン ピ ュ ー タ ビ ジ ョ ン に 関 係 が 深 い S
i
g
n
a
lP
r
o
c
e
s
s
i
n
g
,
PatternR
e
c
o
g
n
i
t
i
o
n
,R
o
b
o
t
i
c
s
,ComputerGraphics等の HomePageにリンクすることができる。
また CVHPの SourceCodeで関連ソフトウェア、 T
estImagesで各種画像データを得ることができ
る
。 W W Wで FTPも使用でき、前述の阪大の場合、 URLとして
f
t
p
:
/
/
f
t
p
.
c
e
n
t
e
r
.
o
s
a
k
a
一u
.
a
c
.
j
を使い、 openすればよい。
このように、 W W Wでの Mosaicの使用は今流行のマルチメディア対応であり、デー夕、画像、音
声のディジタル統合の実現と連鎖的な情報ノードの選択により、豊富な情報を楽しく取得することがで
きる O その反面、現時点では時間がかかり過ぎるという難点があり、近い将来この問題も解決されるこ
とを願っている。
3
. 画像処理ソフトウェアの移植
CVHPの SourceCodeより通常の画像処理からステレオ画像、奥行情報を有する 3次元画像の処理
にわたる様々な処理プログラムにアクセスすることができる。ここでは、通常の白黒濃淡画像、カラー
v
,PBMPlusT
o
o
l
k
i
t
,ImgStarの 3つを紹介する。それらのソフ
画像の処理ソフトウェアとして、 x
i
t
eと各 d
i
r
e
c
t
o
r
yより得られる。
トウェアは下記の anonymousFTPs
x
v
:f
t
p
.
c
i
s
.
u
p
e
n
n
.
e
d
u
d
i
r
: /pub/xv
PBMPlus:w
u
a
r
c
h
i
v
e
.
w
u
s
t
l
.
e
d
u d
i
r
: /graphics/graphics/packages/pbmplus
ImgStar:axiom.maths.bath.ac.uk(
1
3
8
.
3
8
.
9
6
.
3
2
)d
i
r
: /pub/imgstar
以前述べたように移植の手順は、 (
1
)anonymousFTPまたは W W Wによるファイル転送、(2)圧縮
)makeによるコンパイルとなる。解凍が終われば、とにかく makeと入力する。
ファイルの解凍、(3
運が良ければ正しくコンパイルされる。 systemV の OSでは必ずと言っていいほどエラーが出るので、
エラーメッセージを頼りに M
a
k
e
f
i
l
eやヘッダーファイルをいじくりながら、諦めずにしぶとく付き合
う必要がある。そうこうするうちに何とか正しいコンパイル結果にたどりつく事になるはずである。
3
. 1 画像表示ソフトウェア xv
白黒濃淡画像は濃度値を要素としてもつ 2次元配列で表現される。それをファイルとして記憶、伝送
する際、 2次元配列を行走査し、 1次元配列の形に変換する必要がある O そのため、行数、列数、濃度
レベル数等を 1次元配列に組み込む必要があり、現実にはデータ圧縮を含めた様々な形式が存在する。
23
図 2 画像表示ソフトウェア xv
カラー画像の場合も、赤緑青( RGB)3画像を r
g
b
r
g
b
・
・
・ と行走査して l次元配列に変換することになる。
J
.
B
r
a
d
l
e
yによって作成された画像表示ソフトウェア xvは
、 pbm,pgm,ppm, g
i
f
,j
p
e
g
,t
i
f
f等の
画像形式を自動的に判定して読み込み、ディスプレイに表示してくれる強力なツールである。起動の仕
方は、
%xv または %xvf
i
l
e
n
a
m
e
とすればよい o xvウインドウ上で、マウスの右ボタンをクリックすると、コントロールパネルである xv
c
o
n
t
r
o
l
sが図 2のように表示される。 xvc
o
n
t
r
o
l
sで V
i
s
u
a
lSchnauzerを開いて、任意のディレクト
リにある画像ファイルを表示することができる。 xvは画像の拡大、縮小、回転等の豊富な機能を有し、
D
i
s
p
l
a
y
,Algorithms等の項目の使用で画像の楽しみも倍増する。
Unixコマンド xwd
e
xwindowdump)を用いて
% xwd)f
i
l
e
n
a
m
e
.
x
w
d
を実行し、十の表示をルートウインドウへ移動させ、クリックをすると xwd形式のファイルが生成さ
れる。この xwd形式のファイルをポストスクリプトファイルに変換して印刷、すなわち、
% xwdtopnmfile-name.xwdI
pnmtopsI
I
p
まf
こは、
% xwd2psf
i
l
e
n
a
m
e
.
x
w
dI
l
p
を実行して得られたのが図 2である。 xwd形式のファイルを作らないならば、
% xwdI
xwd2psI
I
p
でよい。
3. 2 PBMPlusT
o
o
l
k
i
t
PBMPlusT
o
o
l
k
i
tは J.Poskanzerによって作成、編集された、各種画像形式から pbm (
p
o
r
t
a
b
l
e
b
i
t
m
a
p
, 2値画像)、 pgm(
p
o
r
t
a
b
l
egraymap,白黒濃淡画像〉、 ppm (
p
o
r
t
a
b
l
epixmap,カラー画
像)からなる PBM形式への変換、逆変換フ。ログラム群であり、 Unixでの標準ツールになっている。
画像形式には様々な形式があり、全ての変換ぺアに対しプログラムを作ることを避け、 PBM形式を介
して変換するプログラム群から構成することによって変換ペアの数を減少させている。使い方は大変シ
ンフ。ルで、 Unixのパイプ機能とリダイレクト機能を組み合わせて画像形式の変換を行うことになる。
特別な画像処理プログラムはあなた方の好きなように自分で作りなさいよということを暗示しているよ
うである。
0
0画素、高さ 3
0
0画
付加情報をもたない画像のナマの 1次元配列は raw画像と呼ばれている。幅 4
素の白黒濃淡の raw画像を pgm画像に変換するには、
%rawtopgm4
0
03
0
0f
i
l
e
n
a
m
e
.
r
a
w)f
i
l
e
n
a
m
e
.
p
g
m
を実行することになる。残念ながら、逆の処理をする
%pgmtorawfile-name.pgm)f
i
l
e
n
a
m
e
.
r
a
w
は PBMPlusには含まれていないようだが、容易に作成できる。
幅4
0
0画素、高さ 3
0
0画素、濃度レベル数 2
5
6の pgm画像は raw画像にヘッダーとして、
P5¥n
#comment¥n
25
.
.
.
.
.
.
.
.
.¥n
#comment¥n
4
0
03
0
0¥
ロ
256¥n
が付加されている。 P5 はマジックナンバーと呼ばれ、 pgm画像であることを示している。従って、
pgmtorawは#の注釈行を除き、初めから 3行取り除くことによって実現できる。
幅4
0
0画素、高さ 3
0
0画素の赤緑青の 3枚の pgm画像より、 1枚の ppm画像を作るには、
%rgb3toppm4
0
03
0
0r
e
d
f
i
l
e
.
p
g
mg
r
e
e
n
f
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l
e
.
p
g
mb
l
u
e
f
i
l
e
.
p
g
m)f
i
l
e
.
p
p
m
とすればよい。逆の処理は
%ppmtorgb3f
i
l
e
.
p
p
m
であり、 8枚の pgm画像である f
i
l
e
.
r
e
d
,f
i
l
e
.
g
r
n
,f
i
l
e
.
b
l
uが生成される。また、赤緑青の画素が
rgbrgb…と 1次元的に配置された raw画像を ppm画像に変換するには、
%rawtoppmc
o
l
o
r
f
i
l
e
.
r
a
w)f
i
l
e
.
p
p
m
を実行することになる。なお、 ppm画像のヘッダーは pgmのヘッダーでマジックナンバーを P6と置
き換えたものになる。
i
f画像から ps画像に変換するには、以前述べたように PBMPlusでは g
i
f
t
o
p
sは作られて
また、 g
おらず、
i
l
e
n
a
m
e
.
g
i
fIpnmtops
%giftoppmf
より、 PBM形式を介して変換することになる。この pnmは p
o
r
t
a
b
l
eanymapの意味であり、プロ
グラムが画像の種類に応じて自動的に pbm,pgm,ppmを識別処理してくれることになる。なお、 PB
MPlusに含まれるプログラムの詳細は添付のマニュアルや参考資料[ 3.6・
7J
を参照すればよい。
3
. 3 ImgStar
ImgStarは英国 Bath大学の S.A.J.Winderによって作成された画像処理ライブラリであり、前述の
PBMPlusを補完する。 PBM形式以外に、新たに実数形式 F
l
t(
F
l
t画像)を設定し、 PBM形式から
F
l
t形式に変換した後、一定の処理を行う方式をとっている。
この変換のためのプログラムとして、
imgPnmToFlt
pnm画像から F
l
t画像への変換
imgFltToPgm
F
l
t画像から pgm画像への変換
imgPpmToFlt3
1枚の ppm画像から 3枚の F
l
t画像への変換
imgFlt3ToPpm
3枚の F
l
t画像から 1枚の ppm画像への変換
が代表的である。プログラム名が img*で表現される ImgStarには、各種エッジ検出、フーリエ処理、
平滑化、しきい値処理等の重要な処理が含まれている。
使い方は、 PBMPlusと同様にパイプ機能とリダイレクト機能を組み合わせて ImgStarを使うこと
e
n
i
c
e
.
p
g
mのエッジ検出ができる。
になる。一例として、以下の入力で画像 v
%imgPnmToFltくvenice.pgmI
imgSmooth2 I
imgCannyI
imgFltToPgmI
pnminvertI
xv-
∼
ここで、 imgSmooth2 は標準偏差 2のガウス密度関数による畳み込みに基づく平滑化を表し[ l
imgCannyは Cannyのエッジ検出法である c11Jo PBMPlusに含まれる pnminvertは pnm画像の濃度
値の反転操作を行う。図 3が原画像、図 4がそのエッジ検出画像を表す。図 3、 4において、
26
PBMPlusに属する pnmmarginを用いて、
% pnmmarginb
l
a
c
k2f
i
l
e
n
a
m
eI
pnmtopsI
l
p
より、幅 2画素で黒の縁が付加されている。
図 3 原画像 v
e
n
i
c
e
.
p
g
m
27
86
ミ
ヨ
主
幹αマ壬ど/さ語辞話↓2 9図
:
i
a
u
.
.
.
1
a
L
r
:
iヨ
達話回叩緋~ t
.
,rα 田~d ・ 8J~U8A
ヤ図
4
. 計算機システムと実験環境
私の研究室での計算機システムの構成を図 5に示す。
wsと PCの折衷システムである。 wsの
SUN-4
ゐX には、 SIDBA画像データベースと W W Wの CVHPの TestImagesから取得した各種画
像データが格納されている。 Macの C
e
n
t
r
i
sには Epson社のイメージリーダが接続され、 Adobe社
の Photoshopで画像を取得し、 Unixコマンド f
t
pまたは Macのソフトウェア Fetchで wsに転送
C
9
8
2
1には ADS社の画像処理装置 I
P
2が接続されており、 CCDカメラ
できる。また、 NEC社の P
による画像の取得、ハードウェアによる各種高速処理、自作のソフトウェアによる各種フ。ログラムから
なる画像処理システムを構成している。しかし、現時点では解像度、白黒濃淡画像といった制約より時
代遅れの感が否めない。
画像処理に関する私の研究テーマは、各種画像処理アルゴリズムの導出、分析、特性評価が中心にな
るため、必ずしも実時間処理は必要でない。そのため、
ws、X端末、ポストスクリプトプリンタのも
v
,PBMPlus、ImgStarの使用で基本的な画像実験が可能となる。この
とで、前述のソフトウェア x
PBMPlusは Unixにおける画像処理の標準ソフトウェアとして位置づけられている。前述のように、
PBMPI
usは各種画像形式の変換と pnmscale(拡大縮小)、 pnmcut(矩形領域の切り出し)、 pnmpaste
(画像の切り貼り)等の基本的な処理から構成された、大変簡潔なフ。ログラム群である。概して、公開
配布されたソフトウェアはプログラミングの達人の手による、巧妙で複雑なものが多い。そのまま使う
のならば問題はないが、修正、応用して使用しなければならないといった状況のもとではそのことが裏
目に出る。この辺りが PBMPlus標準の所似であるかもしれない。
Unixシステム使用の利点の一つは、 PDSを最大限に活用し、適切な計算機環境を自分の意志で作り
あげてゆくことを可能にしてくれる点にあると思われる。そのためには、本稿の主眼点である情報取得、
ソフトウェアの移植の技術、ノウハウを身につけることが環境構築のための重要な因子になると考えら
れる。
5
. むすび
ここで述べたことは Unixユーザにとって既知のことであると予想される。事実、 Unix上での、
X windows
y
s
t
e
m
,W W W
等の使用に際し、情報科学科同僚諸氏より様々な情報、知識の提供を受け
た
。 2で述べた情報の取得方法に加え、人からの情報の口込み、雑誌からの取得が極めて重要な役割を
果たすことは言うまでもない。現在の Unixシステムは初期の頃とはうって変わって、大規模、複雑に
なっており、習熟するにはそれ相応の勉学と熱意と時間を必要とする。そして、正確な記憶力も重要な
要素である。計算機システムの進歩の度合が余りにも速すぎ、私に関して言えば、 Unixシステムに振
り回されているのが現状である。このように、急速に変化、進展する分野があるかと思えば、人間の得
意とする学習、認識、理解の工学的実現やそれらの機構の解明といった研究分野は遅々として進まない。
筆を置くにあたり、画像処理ソフトウェアの移植に対し、大学院学生新野仁美、杉田真由美両嬢の尽
力に感謝する。
29
参考資料
[1]M.Onoe,M.SakauchiandY.Inomoto,SIDBAStandardImageDataB
a
s
e
,I
n
s
t
i
t
u
t
eo
f
I
n
d
u
s
t
r
i
a
lS
c
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e
n
c
e
,
U
n
i
v
e
r
s
i
t
yo
fT
o
k
y
o
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1
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[2J尾上守夫,「イメージプロセッシングの振興と標準化」情報処理, V
o
l
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2
1
,
N
o
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p
p
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4
5”6
5
9
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1
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0
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[4J吉村伸,「連載、インターネットの利用と仕組み 1
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, Mosaic
」UNIXMAGAZINE,1994.3.
[5J小特集:「人工知能研究者のためのインターネット活用術」人工知能学会誌, V
o
l
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,
N
o
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,
1
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9
4
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