MRI装置の外観 MRI装置の外観 MRI検査室の概観 ハードウェア MRIの特徴(CTとの比較) ・放射線被爆がない. ・任意の断層面が撮像可能. ・骨によるアーチファクトは発生しない. ・軟部組織のコントラスト分解能に優れている. ・血管の描出能(検出能)に優れている. ・石灰化の情報は得られない. ・金属(磁性体)により欠損アーチファクトが 発生する. ・検査時間が長い. 腰椎MRI検査 脊椎 椎間板 脊髄 椎間板ヘルニア 1 椎間板ヘルニア 術前のX 術前のX線写真 MRI使用上の注意 術後のX 術後のX線写真 MRI使用上の注意 ●心臓ペースメーカ,人工内耳,脳動脈瘤クリップのように強磁 性体でできた異物が体内にある人は使用できない. ●磁性体金属製品はMRI室に持ち込まない。 (はさみ,ナイフ, 簡易カイロ,エレキバン,酸素ボンベ,心電図計,他) ●磁気カードは消磁してしまうのでMRI室に持ち込まない。 ●変化磁場の胎芽への影響は不明な点が多いので、妊娠初 期にはMRI検査は受けない。 脳動脈瘤クリップ(非or弱磁性体はOK.例えば,チタン製) 人工血管(通常はポリエステル繊維でできてるのでOK) 自然状態のプロトン MRIの原理 ①体内には無数の水素原子核(=プロトンproton)があり、個々 のプロトンは小さな磁石と同じである。自然状態ではバラバラ な方向を向いている. ②強い静磁場の中にプロトンをおくと、一斉に一方向に整列す る。(=定常状態) ③一定の周波数の電波(RF波:ラジオ波)を照射すると、プロト ンが特定の 特定の向きに倒れる。(=共鳴現象) 向きに倒れる。(=共鳴現象) ④RF波を切ると、電波(エコー)を出しながらプロトンが定常状 態に戻る。 (=緩和現象) 緩和の速度は、組織により、また病変により異なる。 ⑤この電波(エコー)を分析すると、緩和の速度を知ることがで き、これを画像の白黒に反映させて診断する。 静磁場 N 病変部 病変部 そこに強力な磁場 (静磁 そこに強力な磁場(静磁 場)を与えると ,水素原 場)を与えると, 子核は一斉に一方向に向 く (定常状態) 正常部 自然状態では,体内の 水素原子核はそれぞれ バラバラな方向を向い ている. 正常部 水素原子核 S 水素原子核 2 RFパルス印加 RFパルス RFパルス N 緩和 STOP→ STOP→ RFパルス RFパルス N 電波を切ると水素原子 電波を切ると水素原子 核は定常 状態に戻る る. 核は定常状態に戻 この時の水素原子核の 戻り方の緩急( 戻り方の緩急(緩和)に 緩和)に よって, よって,疾患の状態が わかる. わかる. そこに電波(=RF パ そこに電波(=RFパ ルス)を当てると水素 ルス)を当てると水素 原子核は一斉に, 原子核は一斉に,ある 特定の方向を向く 特定の方向を向く =磁気共鳴現象 組織によって戻り方が異なる. S ここまでのおさらい ・MRIの特徴( CTとの比較) との比較) MRIの特徴(CT X線被爆がない 撮影時間が長い… 撮影時間が長い…etc. ・MRI使用上の注意 MRI使用上の注意 磁性体は持ち込まない… 磁性体は持ち込まない…etc. 心臓ペースメーカー × 脳動脈瘤クリップ × MR信号 MR信号 S (1)MRIの検査室での安全管理に ついて正しいのはどれか. 1.患者が急変したので酸素ボンベを持ち込んだ. 2.検査後の消毒を目的に殺菌灯を持ち込んだ. 3.長時間の検査となるので携帯用CDプレー ヤーを患者のそばに置いた. 4.看護師が入室しようとしたので所持品を確認 した. 5.患者を一般ストレッチャーで検査室に入れた. ・MRIの撮像 原理 ・MRIの撮像原理 プロトン ⇒静磁場 ⇒RFパルス RFパルス ⇒磁気共鳴 ⇒RFパルス Stop ⇒緩和 ⇒画像化 RFパルスStop (2)MRI検査を行ってはならない のはどれか. 1.義歯を装着している患者 2.ペースメーカーを装着している患者 3.人工内耳を埋め込んでいる患者 4.チタン製脳動脈瘤クリップを有する患者 5.人工血管置換術を受けた患者 コンタクトレンズは装着したままでよいのか? MRI検査時にはコンタクトレンズ をはずすのが望ましい MRI検査時にはコンタクトレンズを はずすのが望ましい 2006年にMRI検査時に違和感を感じたという事例報告あり. 2006年にMRI検査時に違和感を感じたという事例報告あり. カラーコンタクトレンズに酸化鉄が含まれている製品がある. (3)MRI検査技師として正しい行 為はどれか. 1.患者監視用モニターに注意を払い,患者が気 になる動きをしたので,検査を中断して異常 がないか確認した. 2.患者にMRI検査室の中で着替えてもらった. 3.盗難防止のため,検査中も貴重品を身につけ てもらうよう徹底した. 4.脳動脈瘤クリップを有する患者でクリップが チタン製と判明したので,検査を中断した. 5.検査前に,患者に検査に時間がかかることを 説明し,何かあった場合のためにブザーを 持ってもらうようにした. 3 (4)MRIの特徴で誤っているのは どれか. 1.被爆がない. 2.機能画像を得ることができる. 3.任意の方向の断面像が得られる. 4.脂肪組織の信号を特異的に抑制できる. 5.石灰化病変の検出力が高い. MRIに必要な3要素 静磁場 (5)MRIの長所として誤っている のはどれか. 1.軟部組織の濃度分解能が高い. 2.検査時間が短い. 3.緊急時の検査として対応しやすい. 4.骨によるアーチファクトは発生しない. 5.血管の描出能に優れている . ハードウェア 回転するプロトン に歳差運動をさ せる 傾斜磁場 ωφ = γBφ 傾斜磁場 (x,y,z) 位置情報をencode するため RF波の送受信 電磁場 (電波、RF) 信号を送受信するため 静磁場磁石 超伝導磁石 電 (高.中磁場) 液体ヘリウムが必要である。 磁 石 常伝導磁石 常時大電流を流す必要がある。 永久磁石 静磁場 温度による磁場変動が大きく常 時温度を一定に保つ必要がある。 永久磁石 vs 電磁石 永久磁石 それ自身が磁石の性質を持 ち, ,磁力をながく保ってい る磁石 名の通り本当に永久に磁力を保つのか? YES 電磁石 磁場の中に置かれたときだ け磁石になる磁性体 鉄心にコイルを巻きつけたもの。コイルに電流 を通じると電磁誘導を生じ、鉄心が一時的に磁 石となる. 4 永久磁石 長所 常伝導磁石 長所 ・値段が安い ・ラン二ングコストも低い (電力不要) ・磁場は永久に出ている ・漏洩磁場が少ない ・値段が安い ・コイルの保守が容易 ・軽い ・停止することが可能(使用中以 外は節電のため運転停止) 短所 短所 ・磁場強度が弱い(<0.3 T) ・非常に重い(12~20t) 0.3T以下の低磁場用 ・移動式にならない ・温度変化に敏感(要恒温装置) ・非常時に磁場を遮断できない 高磁場のシステムはすべて、 超伝導磁石 超伝導の磁石を使っている。 長所 ・高磁場(3T程度まで) ・超伝導状態では磁力が持続 ・電力消費が少ない ・永久電流によって安定な磁 場が得られる. ・軽い(5~10t) 短所 なんらかの原因で超伝導状態 が消失すること.液体ヘリウ ムが気化する. ・値段が高い ・液体ヘリウム冷却が必要 ・騒音 ・クエンチングの可能性あり シミング 静磁場の均一性を高めるために調整を行う こと(シムコイル) ・静的シミング(パッシブシム) 鉄片を用いて調整する方法 手作業 一度調整を行うと電力は不要 複数の電線のループからなる非常 に大きな電磁石である。0.2T以下 の磁場強度でもっともよく用いられ る。 ・磁場強度が弱い(<0.2 T) ・電力消費が大きい ・漏洩磁場が大きい ・水冷が必要 磁場の強さによる分類 1.0T,1.5T,3T 高磁場装置 0.5T 中磁場装置 0.15T,0.2T,0.3T 低磁場装置 *磁場の単位T=1テスラ=10000ガウス *地磁気の強さ 0.4~0.6ガウス 家庭用冷蔵庫 100ガウス(0.01T)以下 産業用電磁石 0.3~2.0T (廃車や鉄屑を持ち上げる電磁石) 一般に、磁場が強いほど、より良い画像が、より短時間 に撮像できるが、装置の購入価格も高くなる。(1~4億 円)また、磁気、電波を使用するため、外部から、および 外部への影響を防ぐ為に、検査室内は、磁気・電波 シールド材を使用している。(数十トンの重さ) ハードウェア 静磁場 傾斜磁場 RF波の送受信 ・動的シミング(アクティブシム) 電磁石を用いた調整法 電流により微調整が可能 電力が必要 5 傾斜磁場コイル 3個の傾斜 磁場コイル スライス断面やエコー信号を取得するために, 静磁場にわずかな傾斜をつけるために必要なコイル ・電磁石である ・高性能な電源が必要 ・MRI装置の中で最も高性能化 MRI装置の中で最も高性能化 ・MRIの騒音の原因 MRIの騒音の原因(傾斜磁場コイルが振動するため) 正面カバーOPEN 正面カバーOPEN 傾斜磁場コイル取付 必ず3個1組で, 撮像のときは, スライス選択, 周波数エンコード, 位相エンコードと, 個別または同時に稼動 傾斜磁場コイルの概観 体幹の基準面 X ハードウェア Axial plane 水平断 水平断面 Z 傾斜磁場 Y RF波の送受信 Sagittal plane 矢状断 矢状断面 スライス選択 Z軸方向の位置特定 周波数エンコード X軸方向の位置特定 位相エンコード Y軸方向の位置特定 静磁場 Coronal plane 冠状断 冠状断面 RFコイル 各RFコイルの特徴 RF(ラジオ)波を送信または受信するためのコイル RF(ラジオ)波を送信または受信するためのコイル ・ボリュームコイル ・サーフェスコイル ・クワドラチャーコイル ・フェーズドアレイコイル ・ボリュームコイル 撮像対象を全体的に包み込むような形状 撮像領域内の感度分布はほぼ均一 送信コイルと兼用が多い 矢印のカ バーの内 側にRF コ 側にRFコ イルがあ る ・サーフェスコイル 撮像対象を表面よりあてがうように使用 撮像領域内の感度分布はコイル面から距離が離れるごとに低下 同じ撮像範囲のボリュームコイルよりは感度が高い ・クワドラチャーコイル 受信コイルを直角に2つ配置して互いに位相が90 °ずらした電流として受信 受信コイルを直角に2つ配置して互いに位相が90° し,その後に位相を合わせて合成し画像化するコイル. 通常のリニアコイルより√ 通常のリニアコイルより√2倍の感度が得られる=S/N比が高い. ・フェーズドアレイコイル ボリュームコイル サーフェスコイル クワドラチャーコイル フェーズドアレイコイル 小さなサーフェスコイルをいくつか組み合わせたコイル 強い信号強度と大きな撮像領域 サーフェスコイルよりS サーフェスコイルよりS/N比の良い画像が得られる 6 安全性 ここまでのおさらい ・静磁場磁石 永久磁石,超伝導磁石,常伝導磁石 永久磁石,超伝導磁石,常伝導磁石 シミング,クエンチング ・傾斜磁場コイル X,Y,Z軸方向各1個ずつ:必ず3個1 軸方向各1個ずつ:必ず3個1セット 画像化するときに空間位置を特定するために必要 水平断面,矢状断面,冠状断面 ・RFコイル RFコイルの使用を誤ると,火傷の原因に成り得る. (6)永久磁石型MRI装置の特徴で 誤っているのはどれか. 1.軽量である. 2.運転経費が安い. 3.温度変化に敏感である. 4.オープン型に適している. 5.0.3T以下の低磁場に適している. (8)MRI装置について正しい組み 合わせはどれか. 1.超伝導磁石方式 --- 低磁場 2.永久磁石方式 --- 消費電力大 3.常伝導磁石方式 --- 冷却水設備 4.ボリュームコイル --- 傾斜磁場発生 5.フェーズドアレイコイル --- スライス選択 RF波を発生・受信するために用いる RF波を発生・受信するために用いる コイルの種類はいくつかある (7)超伝導MRI装置に関して正し いのはどれか. 1.電力消費が大きい. 2.冷却用に大量の水が必要である. 3.クエンチングの可能性がある. 4.永久電流によって安定した磁場が得られる. 5.安価である. (9)MRI装置について正しいのは どれか. 1.静磁場と傾斜磁場だけで画像が得られる. 2.静磁場コイル内の電流量が増加しても静磁場強 度は変化しない. 3.傾斜磁場用磁石は電磁石である. 4.RFコイルは大電流によって強磁場を作る. 5.サーフェイスコイルは,傾斜磁場を発生させる. 7 (10)MRI装置で誤っているのは どれか. 1.RFコイルは液体ヘリウム中にある. 2.シミングによって均一磁場が確保される. 3.静磁場が強いほど,より良い画像が撮像でき るが,その分,撮像時間は長くなる. 4.傾斜磁場コイルによって空間位置が特定でき る. 5.騒音の主原因は傾斜磁場コイルの振動にある. (11)MRI装置で正しいのはどれか. 1.常伝導磁石方式は冷却に液体ヘリウムを用い る. 2.永久磁石方式は高磁場を発生させるのに適し ている. 3.シムコイルは静磁場の均一度を調節する. 4.クワドラチャーコイルは信号雑音比を上げる. 5.傾斜磁場コイルは,X,Yの2組である. 8
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