データとスポーツの関係性 茨城県立水戸第二高等学校 岡野優風(2年),平野真愛(2年)野村和子 1.はじめに 今日では、様々な物事がデータ化されそのデータは世界中であらゆることに利用されている。バ レーボールの日本代表の試合も、データによって組み立てられている。私たちはスポーツの世界 でデータが利用されていることに目を付け、データとスポーツの関係性について研究した。 2.方法 本校2学年の体力テストのデータを集計し偏差値を求め、部活ごとにレーダーチャートを作り比 較した。各種目の偏差値の合計が最も高かったハンドボール部に絞り、去年との記録の変化を t 検定を用いて調べた。t検定の結果より、1年間で記録の伸びがほとんどなかった2種目(反復 横とび、立ち幅とび)において効果的なトレーニングを考案し、実際に行いトレーニングの効果 を検証している。 3.分析結果 t検定によりハンドボール部のハンドボール投げ、50m走の記録の向上は数学的に証明された。 4.考察 ハンドボール投げ、50m走は一年次の記録と今年度の記録には有意な差があるためトレーニン グをすることで記録の向上がしやすい種目だと考える。一方で有意な差が見られなかった種目は 遺伝的な理由が関係し記録の向上が難しい種目だと考える。 5.課題 反復横とび、立幅とびの向上を目的として考案したトレーニングを継続していきたい。また、ト レーニングの結果を検定したい。種目ごとの記録の分布を調べ種目の特徴を調べていきたい。 数学1-① 微分方程式~1階線形微分方程式の研究~ 茨城県立緑岡高等学校 小峰航(2) ,柴田卓(2),後藤司 【はじめに】動機と目的は以下の通りである 〈動機〉授業で微分積分を学び,解析学に興味を持ち,微分積分の応用である微分方程式を研究 しようと思った 〈目的〉微分方程式や,その他の解析学に関する定理の証明,数理モデルでの微分方程式の利用 【微分方程式】 の関数 における , やその導関数 , …の関係式を微分方程式という ⇒まずは, , , の関係式である「1階線形微分方程式」を考える 【微分積分】 微分は平均変化率の極限,積分はグラフ間の面積を表す 微分積分学の基本定理より以上の二つの演算は逆演算であることがわかる 【変数分離形微分方程式】 の形の微分方程式 で解くことができる …①の形の微分方程式 【1階線形微分方程式】 主な解法は以下の二つである , 〈解の公式〉 とおくと以下で解が得られる は任意定数 〈定数変化法〉①の右辺を 0 に置き換えた同次方程式を用いる ′ その解を として ′を の関数 で置き換え,①に代入して得られた方程式の解を とすると①の解は である( は任意定数) 【今後の展望】以下の4点である ・1階線形微分方程式以外の微分方程式の解法を学ぶ ・微分方程式を利用して数理モデルについて考察する ・微分方程式についての定理の証明方法を検討する ・微分に似た差分について研究する 【参考文献】以下の三冊を用いた ・はじめての微分方程式入門 ・モノグラフ ・教科書 微分方程式 数学Ⅱ・Ⅲ プレアデス出版 改訂版 井上一哉 著 科学新興新社 数研出版 数学1-② 石原繁 著 卓球の打球の数学的考察 茨城県立緑岡高等学校 亀井宣之(2),塚田大翔(2),山口千恵子 1 動機 卓球の打球の軌道を数学的に分析することに関心があり,研究したいと思った。 卓球の研究については選手の身体の使い方やボールの打ち方についての研究はあった が、軌道について研究は見つからなかったので研究することにした。 2 目的 上手な人の卓球の軌道を数学的に解析して卓球部を強くする。 3 手段 (1) 壁と卓球台に方眼紙を貼り,それを背景にして卓球部にボールを打ってもらう。 (2) ボールの軌道の撮影は,卓球台を横から三脚を用いて撮影し,上からは別の卓球台 に三脚をのせて棒にカメラをガムテープで固定して撮影する。 (3) 使用するボールは回転数を調べるため,異なる三色の線を引く。 (4) 撮影した動画から,ボールの通った座標を調べる。 (5) 得られた情報から打球の軌跡の特徴を知る。 ・座標をつないで図形的な特徴がないか ・座標の値を近似化して関数ができないか ・打球の軌跡を決定している要因は何か (ラケット面の角度,回転数,回転の方向 4 今後の計画 撮影 撮影して得られた情報を分析する。 数学1-③ 等) 和算における誤りに関する研究~『かうばいのひ割付の違』に着目して~ 茨城県立竜ケ崎第一高等学校 1年 髙森 彩花 江寺 理紗 担当教員 小林 徹也 『和算』とは日本独自に発達した数学であり江戸時代には,大きく発展普及した。数ある和 算書の中でベストセラーは『塵劫記』であり、 『改算記』は『塵劫記』の誤りを訂正した。 1.動機・目的 私たちの学校は今年度よりSSH校に指定された。それに関する授業で『和算』について学 び、塵劫記と改算記の存在を知った。その中で『かうばい(勾配)のひ割付の違』について興 味を持った。勾配とは、傾斜面の傾きの程度を指すもので,垂直距離と水平距離の比によって 決まる。例えば、水平距離 10寸、垂直距離4寸のときの角度を「4寸勾配」という。 ここ での勾配ののびとは, b = 10(寸)のときの AD の長さである。 -10 …(1) AD = この研究の目的は,『塵劫記』および『改算記』中の『かうば いのひ割付の違』、それの現在の考え方を比較し、間違えを特定 し、さらにその間違えた原因を推測することである。 2 . 図1 考 察 勾配ののび 「7.5 寸勾配」と「1.0 寸勾配」においての間違えに着目する Ⅰ 数値における間違いの比較 ① 漢数字の五と九は書体が似ていることがある。 ②7.5 寸…塵劫記 2.9 改算記 2.5 (斜体は間違えた箇所) 1.0 寸…塵劫記 0.045 8 改算記 0.0498 上のように塵劫記も改算記も間違えている桁の前後の数は正しい値と一致している。 Ⅱ 間違いの原因の特定1 ① 7.5 寸は(1)の計算方法を行うと割り切れるのに、答えを間違えている ②7.5 寸も 1.0 寸も五と九が正しい答えと入れ替わっており、それ以外は正しい。 したがって、計算間違いでないと考えられる。 Ⅲ 間違いの原因の特定2 ①江戸時代はまだ1つの文字においても沢山の書き方があったため形の似ている五と九は 見間違える可能性が高いと考えられる。 ②版木という方法を用いて印刷していたため、彫り間違え、インクのかすれ、校正という仕 組みがないことや、数学の素養がない人が掘っていたりもしたと思われる。 よって 7.5 寸と 1.0 寸の間違えは五と九の見間違えによる入れ替わりである。 3.まとめ 計算間違いでなく、漢数字の五と九が似ていること、印刷技術等が未発達であったことが原 因で誤ったと考えられる。このことより,技術の遅れが科学の発展の妨げとなったと考えられ る。つまり,現在における科学の発展は、技術の発達によってよりスムーズにもたらされたも のであり,科学と技術は密接にかかわっているということがわかる。 4.参考文献 野口泰助(1998).江戸初期和算選書.改算記.研成社 数学1-④ 吉田光由(1627).塵劫記.原本 和算における誤りに関する研究~銀玉の数違~ 茨城県立竜ヶ崎第一高等学校 1年 1 押田真吾 吉田佳祐 上原茉弥 石松愛梨 北澤彩音 担当教員 小林徹也 はじめに 和算とは江戸時代に日本で発展した数学と言われており、私たちは授業 で和算を学び、もっと学びたいと思いこの研究にあたった。 本件の目的は塵劫記と改算記における「周の長さが 3 尺の銀玉の重さを 求める問題」の相違点を明らかにすること。なぜ2つに違いが生じたのか を明らかにすることである。 図1 2 塵劫記 数学的考察 (1)塵劫記の数学的考察 この銀玉は円周が3尺=30 寸である。ここで塵劫記を書いた人は円周率を3としていたとする と、球の直径は 10 寸となる。 この問題の 1 つ前の問題の記述より、球の直径を三乗し、それに玉率 9/16 をかけるとその 球の体積になると書いてあった。銀は 1 寸 3 で 140 匁なので、その体積に 140 をかければ銀の重 さとなる。したがって、計算すると重さは 103 × 9/16 ×140 =78750 したがって、78 貫 750 目となる。 (2)改算記の数学的考察 改算記には計算方法は書いてなかったので、塵劫記の体積の出し方を用いる。 しかし、塵劫記の玉率と改算記の玉率がちがうため、そこだけを変えて計算 をしてみる。計算方法は 直径の 3 乗×玉率×銀の比重 である。 よって改算記の円周率 3.16 と玉率 0.493039(参考: 「算勘」と「工夫」.西田 知己.研成社)を用いて計算すると、59 貫 62 匁 5 分と出る。 一方、改算記に「30 貫もない」と書いてあることが理解できない。 (3)現代の方法を使った数学的考察 塵劫記のときの公式に現在の玉率のπ/6を代入する。 (30/π)3×π/6×140=63897.1155 図2 改算記 つまり、重さは 63 貫 897 匁である。 3 結論と課題 当時の銀の比重 1 寸 重さ 3 =140 匁という値、球 の体積を求めるために用いられた玉率、円周率 を駆使し、塵劫記、改算記の値を求めることが 玉率 円周率 塵劫記 78 貫 750 匁 16/9 3 改算記 59 貫 62 匁 5 分 0.493039 3.16 現 63 貫 897 匁 π/6 3.14 代 できた。現代の方法でも銀玉の重さを求めてみ たが、そこから改算記のほうが近い値だといえた。原因は玉率、円周率の違いである。 今後は改算記がなぜ「30 貫もない」という記述をしたのか探求していきたい。 数学1-⑤ 身近におけるボロノイ図の活用テーマ Application of Voronoi diagram near to us 清真学園高等学校 発表者:永山 幸歩(1年),中村 汐里(1年) 担当教員:法貴孝哲 1.目的 鹿嶋市と新宿区のコンビニエンスストア(以下コンビニと省略)を母点とするボロノイ図を 作図し,ボロノイ図の性質を理解する。また,そのボロノイ図をコンビニの種類や地域(鹿嶋 市と新宿区)で比較する。 2.方法 鹿島神宮駅付近にあるコンビニを母点としてボロノイ図 を作図する。新宿駅でも同様。なお,セブンイレブン,ロー ソン,ファミリーマート,ミニストップの4つのコンビニを 調べる。 3.結果 右図が,作図したボロノイ図である。 スペースの関係上,セブンイレブンのみ図を載せた。 4.考察 鹿嶋市は各店舗で勢力圏の広さが異なる。一方で新宿区は 新宿駅付近の勢力圏が比較的狭いが,駅の周辺の勢力圏の広 さは同じくらいである。 5.結論 鹿嶋市のコンビニは勢力圏にばらつきがあるが,新宿区は 各店舗の勢力圏の差は少ない。 6.参考文献 杉原厚吉(2009)「なわばりの数理モデル」共立出版 https://www.google.co.jp/maps/search/ 7.キーワード ボロノイ図 母点 垂直二等分線 勢力圏 数学1-⑥ 正多角形とフーリエ変換 ~多角度的に近似を試みる~ 清真学園高等学校 発表者:樋口 雄紀(2年) 担当教員:法貴孝哲 1.目的 昨年研究した正多角形の方程式を,フーリエ変換含め様々な正弦曲線の組み合わせで近似的 に表現する。 2.方法 ・フーリエ級数に正多角形の式を代入して,それを変形する。 ・grapes を用いて正弦曲線を試行的に組み合わせて,正多角形に近似する。 ・正多角形の式を変形して,簡単な正弦曲線に近づける。 3.結果 現状では,上の3番目の方法が,比較的成果が挙げられた。 4.考察 フーリエ級数の展開や,ガウス記号や絶対値などを使わない,単純な正弦曲線の組み合わせ で近似する方向からも掘り下げていきたい。 5.結論 比較的簡単な正弦曲線の組み合わせでも,十分に正多角形に近似可能である。 6.参考文献 「フーリエ級数展開の式を理解する」―大人になってからの再学習 http://d.hatena.ne.jp/Zellij/20130705/p1 7.キーワード 三角関数 フーリエ変換 フーリエ級数 数学1-⑦
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