事例3資料

特色ある取組み③資料
第5学年算数科学習指導案
日時 平成17年2月4日(金)
どんどんコース 5年2組教室
じっくりコース
「円をくわしく調べよう」
少人数教室
1.単元名
2.単元のねらい
円周率の意味や円の面積の求め方を理解しそれを用いることができる。
3.「単元のねらい」にせまる授業をつくる
子どもたちは4年生で、円の中心、直径および半径を知り、円を書いたりつくったりすることを学
習している。また、面積については正方形や長方形の面積を求める時に単位の大きさとなる正方形、
つまり一辺が1cmの正方形を敷き詰めてその個数を求める方法から、単位の正方形が縦と横にそれ
ぞれいくつずつあるかを調べ「長方形の面積=縦×横」という式で面積が求められることを学習して
いる。
5年生の平行四辺形や三角形の面積を求める単元では、必要な部分の長さを測り既習の長方形や正
方形の面積の求め方に帰着させ計算で求めたり、新しい公式をつくり出し、それを用いて求めたりす
ることができるようにすることをねらいとし学習を進めてきた。この学習過程では、個々の児童が自
分の考えをもち、他児童の多様な考えに触れるなかでや数学的な考え方を身につけていくことを大事
にしてきた。
本単元「円をくわしく調べよう」では、円や円と既習の図形を組み合わせた形を児童自ら工夫して
面積を求めることができれば、数学的な考えはさらに深まり確かなものとなるにちがいない。そのた
めに、学習過程において作業的な活動を多く取り入れることで児童の興味・関心を高め、意欲的に学
習に向かう姿が見られるよう、また円の面積の求め方を考える場面では、1平方センチメートルの正
方形の数を数えることや、面積が求められる既習の形に分割して求めることなど、児童の多様な考え
が生きる授業をつくりたい。
夢中になれる学習をつくる
児童が学習に夢中になる根本には、学習に向かおうとする準備を子ども自らがもてているかが大切
である。そのために、児童の心身の状況の把握や学習用具の準備に注意を払いたい。また、夢中にな
れる学習をつくるための手だてとして、身近なところに学習の素材がありそれらを使って算数的活動
ができることがあげられる。本単元では、与えられたものでなく児童自らが身の回りから学習の素材
を選び、算数的活動を通してきまりに気付いていけるようにした。特に第一次の学習では班活動を取
り入れ、班で円周を測って直径を求めたり、より確かな長さの円を描いたりするなど、友だちと関わ
りながら意欲的に学習に向かえるよう工夫してみた。また単元の終わりでは、児童が学習内容を振り
返り自ら工夫した問題を作り、コース別に手作り問題集を作成させたい。自分たちが作った問題集は
必ずや子どもたちの宝となるであろう。
見通しがもてる学習をつくる
一人ひとりが見通しをもって学習するためには、まず子ども自身が自分の考えをもてることが大
切である。そのためには、毎時間の授業で学習課題を明確にかつ具体的に伝えていき、自己解決の時
間を十分に確保したい。また、今まで学習してきたことをヒントにしたり、似たような学習を振り返
ったりしながら、自分の考えを図に表したり、文章に書いたり、またその考えを言葉で説明したりと
多様な考え方を引き出し表現させたい。ただ、自分だけでは考えられなくなったり、考えに行き詰ま
った時には、友だち同士で意見を交換できる場づくりや教師の支援を受けることができる場づくりも
必要と考えている。児童の中には大勢の前で発表することは苦手だとか恥ずかしいと思っている子が
少なくないが、少人数での学習を生かし、考えを認め合える雰囲気を大事にしながら授業を進めたい。
また、子どもが見通しをもつ手だての一つとして、毎時間の学習の終わりには子ども自身による「ふ
り返りカード」により自分の学びをふり返り、確かな学びにつなげさせていきたい。
自信がもてる学習をつくる
自信がもてる学習をつくるために次の2つのことを大事にしたい。1つ目は子ども自身が自分で考
えられたと実感できること、2つ目は問題にたくさん挑戦することである。
1つ目は、子どもが自分の考えを先生や友だちに認めてもらえたり、誉めてもらったりすることに
より、自分にもできた考えられたという思いが生まれ、それが自信につながると考える。そのために
教師は、子どもの自己解決の姿を大事にしながらも、個に応じたヒントや助言などの支援を行い、ど
の子にどのような言葉をかけていくか、それによってその子がどのように考えを進めていくかを考え
たい。さらに、指導過程の時々での評価は、個々の学習の様子を見取り、次の指導に生かすためのも
のであり、具体的にはプリントやノートのチェックをしながら、子どもの考えを把握してコメントを
つけていこうと考えている。また、授業後に子どもが「ふり返りカード」に記入することで子ども自
身が自分の学びを確かめられ、さらに教師がコメントすることで子どもにやる気や自信が湧いてくる
であろう。
2つ目は、学習した内容について子ども自身が自ら工夫した問題を作り解くことにより、この学習
での押さえどころを意識させたい。実際に子どもたちはすくすくタイムや単元の学習のまとめの時に、
自分で課題を選び問題を解くことの楽しさを味わっている。これまでは与えられた問題であったが、
自ら作った問題を解きあう中でできる問題を増やし、「この学習でどんな問題が出ても大丈夫だ」と
思える学習は、今までに比べてより楽しく自信がもてる学習となるであろう。
4.単元の目標と評価規準
○円周率の意味と円周率の求め方を知り、それらを用いることができるようにする。
○方眼を用いたり、等分したりして円の面積の求め方を調べ、円の面積が求められるようになる。
【関心・意欲・態度】
・円周や円の面積の求め方を知り、公式をつくり出したりする楽しさや良さに気付き、進んで活用
しようとする。
【数学的な考え方】
・円周や直径の求め方や、円の面積の求め方を見通しをもって考えることができる。
【表現・処理】
・円周率を用いて直径から円周の長さ、円周から直径の長さを求めることができる。
・円の面積の公式を用いて、円の面積を求めることができる。
【知識・理解】
・円周、直径、円周率の関係や円の面積の求め方が理解できる。
5.単元の指導計画と評価規準(全14時間)
次 時
学
習
活
動
評
価
規
準
学習形態
一 1 ・大小2つの一輪車が1回転に進む長さ [関]一輪車を回転させた時の長さと直 一斉
を比べ、直径や円周について興味、関心
径との関係を考えることができる。
をもつ。
[考]周りの長さが1mの円の作り方を
・周りの長さが1mになる円の半径や直
考えることができる。
径の求め方を考え、交流する。
2 ・円の形をしたいろいろなものの円周と [関]身の回りから円を探して直径と円 同質
直径の長さを調べて表にまとめる。
周の長さを調べようとする。
2集団
・調べた結果から円周と直径の長さのき [考]直径の長さと円周の長さの関係を
まりについて考える。
考えることができる。
( 班活動)
3 ・円周と直径の長さのきまりについて考 [知]円周率の意味を理解する。
同質
え 、「円周率」の意味を知りその求め方
2集団
をまとめる。
・円周率の話に関心をもつ。
・学校にある円柱や樹木の円周を測り、
そ れ ら の お よ その 直 径 の 長 さ を円 周 率 [表]円柱や樹木の円周を測り、円周率 (班活動)
(3.14)を使って求める。
を使って直径を求めることができる。
4 ・班で運動場に棒とひもを使い円周が、 [考]円周が10mの円を描くための工 一斉
10mの円をより正確に描く。
夫が考えられる。
《班対抗円周ピッタリ大作戦・・・どの
( 班活動)
班の円周が一番10mに近いだろうか?》
5 ・直径が1cm長くなると円周はどれだ
け長くなるかを調べる。
・半円の円周や大小の円が組み合わさっ
た図形の円周の和を求める問題を解く。
[表]直径が1cm長くなると円周はど 一斉
れだく長くなるかを計算で求めることが (班活動)
できる。
[知]直径の長さが2倍、3倍・・・に
なると、円周も2倍、3倍・・・になる
ことを理解している。
6 《コース選択》①
7 ・円周率を用いて円周の長さや直径の
長さを求める問題をする。
【じっくりコース】 【どんどんコース】 【じっくりコース】 【どんどんコース】
円周や直径の長さを 円を含む複雑な図形 [表]円周率を用 [ 表]円周率を用い
求める問題をする。 の周囲の長さを求め いて円周の長さや 円周の長さや直径の
る問題をする。
直径の長さを求め さを求めることがで
ることができる。
る。
習熟度別
二 1 ・半径 10cm の円の面積の求め方を考え [考]半径 10 cmの円の面積の求め方を 一斉
る。
考えることができる。
2
《コース選択》②
・ ・既習の面積の求め方を活用しておよそ
本 の面積の求め方を知る。
時 【じっくりコース】 【どんどんコース】 【じっくりコース】 「【どんどんコース】
・1cm方眼の正方 ・三角形に分割して [考]1cm方眼 [考]三角形に分割
形を使って円の面積 円の面積を求める方 を使って円の面積 して円の面積を求め
を求める方法を理解 法を理解する。
を求める方法を理 る方法を理解するこ
する。
解することができ とができる。
る。
習熟度 別
3 ・三角形に分割して ・より細かい三角形 [考]三角形に分 [考]より細かい三
円の面積を求める方 に等分割するとより 割して円の面積を 角形に等分割すると
法を理解する。
正確な値に近づくこ 求める方法を理解 円の面積がより正確
とを知る。
することができる。な値に近づき、それ
・分割でできた三角
を並べ替えると平行
形を並べ替えると平
四辺形から長方形に
行四辺形から長方形
近づいていくことを
に近づいていくこと
理解する。
を確かめる。
[知]円の面積の公
・円の面積の公式を
式を理解することが
まとめる。
できる。
習熟度別
4 ・より細かい三角形
に等分割するとより
正確な値に近づくこ
とを知る。
・分割でできた三角
形を並べ替えると平
行四辺形から長方形
に近づいていくこと
習熟度別
・ひもを使って円の
面積を求める方法か
ら、円の面積の公式
を考える。
[考]より細かい
三角形に等分割す
ると円の面積がよ
り正確な値に近づ
き、それを並べ替
えると平行四辺形
から長方形に近づ
いていくことを理
[表]ひもを使って
円の面積を求める方
法を確かめることが
できる。
を確かめる
・円の面積の公式を
まとめる。
5
《 確認テスト・コース選択》③
6 ・公式を使って円の ・公式を使って円の
7 面積や円周の長さの 面積や円周の長さの
求め方を考える。
求め方を考える。
・円やおうぎ形など ・円やおうぎ形など
の面積の求め方を考 の面積の求め方を考
える。
える。
・円周や直径の長さ ・等積変形の考えを
や円の面積を求める 使って、細かく等分
問題作りをする。
した三角形を、円周
・自分たちが作った を底辺とする三角形
問題を解きあう。
に見立てて円の面積
を求める方法を考え
る。
・円周や直径の長さ
や円の面積を求める
問題作りをする。
・自分たちが作った
問題を解きあう。
解する。
[知]円の面積の
公式を理解するこ
とができる。
[表]公式を使っ
て円周、直径の長
さや円、おうぎ形
の面積を求めるこ
とができる。
[表]公式を使って
円周、直径の長さや
円、おうぎ形の面積
を求めることができ
る。
[考]等積変形の考
えを使って、細かく
等分した三角形を、
円周を底辺とする三
角形に見立てて円の
面積を求める方法を
理解する。
習熟度別
[関]意欲的に問 [関]意欲的に問題
題作りに取り組み、作りに取り組み、問
問題を解こうとす 題を解こうとする。
る。
【コース選択について】
本単元では学習過程において、3回のコース選択を行う。以下それぞれについて説明する。
・コース選択①
ここでは学習の進め方に対する習熟度別学習のためのコース選択を児童が行う。児童は次の学
習で円周率を用いて直径から円周の長さ、円周から直径の長さを求めるやり方を学習した後、円
周や直径、または円を含む複雑な図形の周囲の長さを求める問題に取り組む。
「じっくりコース」
では、もう一度円周率の意味や円周や直径を求める公式に立ち返りながら基礎的な問題にじっく
り取り組ませたい。また、「どんどんコース」では基礎的な問題から、応用的な問題も含めてで
きるだけ自分の力で問題を考えさせたい。児童の中には、円周と直径の関係を十分理解している
が、じっくり自分のペースで学習を進めたいと思うものもいる。このような児童は「じっくりコ
ース」を選択することもあるであろう。いずれにしても児童が自分の学習スタイルに合ったコー
スを選択できればと考えている。
・コース選択②
ここでは前時に児童が考えた半径 10cm の円の面積の様々な求め方を整理し、「じっくりコー
ス」「どんどんコース」の2つに分かれ習熟度別学習を行う。「じっくりコース」では1cm方
眼を使って面積を求めたり、二等辺三角形に少しずつ細かく等分して面積を求めたりするなど、
基本的な円の面積の求め方を学習する。また「どんどんコース」では、二等辺三角形に等分して
面積を求め、それをさらに細かく等分することで、円の面積が次第に平行四辺形から長方形に近
づいていく考えや、それ以外の発展的な内容の求め方にまでせまりたい。児童には本時の学習前
に2つのコースの学習内容を提示し、児童が見通しをもってコース選択ができるようにした。
・コース選択③
ここでは、円周、直径、円周率の関係や円の面積の求め方を学習した後、確認テストを行い、
その結果を児童に知らせた後、児童がコース選択を行う。本単元の学習のまとめにあたり、児童
選択と教師の助言により、個々の児童の学習の理解にあったコースを選択させ習熟度別学習を行
いたい。