消防技術安全所報 45号(平成20年) ガンタイプノズルのノズル圧力と放水量の関係について (ガンタイプノズル送水基準板の作成) 岡崎洋行¥野本秀和¥高井啓安¥渡遁茂男¥佐藤建司* 概 要 ガンタイプノズ、ルは、規定ノズ.ル圧力において 5段階の流量設定が可能である。しかし、 規定ノ ズル圧力以 外のノズル圧力で放水した場合の放水量は検証されていない。本検証は、ガンタイプノズ、ルの安全な活用に資 するため、基本的な放水特性であるノズル圧力と放水量の関係を把握し、ポンプ車の送水圧力算出の補助とな る送水基準板を作成した。 図 1に示すように、 1 はじめに ガン タイプノズル(以下 f GNJ とす る。)の最大の特 40凹ホース 1本をポンプ車から 1 線延長し、 GNにより放水する。 GNとホースとの聞に圧 徴は、規定 ノ ズ ‘ル圧力 ( 0 .7 M P a ) において、筒先員が 力変換器を取り付け、ノズル圧力を測定した。また、電磁 流量切替ダイヤル(以下「ダイヤノレj とする。)を操作す 流f 前十を用いて放水量を測定した。 ることにより 5段階の流量設定を行えることである。 圧力変換器 ところで送水基準板は、ノズ‘ル口径、ノズ、/レ圧力、放水 電磁流量計 監及びホースの摩僚損失圧力の関係、をグラフで示したもの 4 0皿ホース X1本 である。これを用いることによりポンプ機関員は、火災現 GN 場等で‘簡単かっ確実にポンプ送水圧力を求めることができ る。ところが、放水車ーを任意に変えられる特徴を持つ GN 図 1 実験設定 の場合、 ノズ‘ル圧力 O .7 M P aでの使用を市I 提としてダイ ヤルの数値が表示されているため、各ダイヤル設定値が 口 (2) 測定条件 径何回のノズルに相当するのか、また、ノズル圧力と放水 ア 測 定 に 使 用 し た GN 測定に使用した GN及び各 GNのダイヤル設定値は表 1 ほの関係が明らかにされていない。 そこで、ダイヤル設定値に対するノズノレ圧力及び放水量 のとおりである。 の測定を行い、両者の関係を把握するとともに、得られた 測定データと各種ホースの損失圧力データ 1) 表 を使用して 、 GNのダイヤル設定値からポンプ送水圧力を求めることが 製造会社 できる GN用送水基準板を作成した。 A社 製 B f 土製 2 実験日時 (1) 平成 19年 6月 22 日(金)~ 23日(土) ( 2 ) 平成 20年 2月 29日(金) 3 実験場所 東京消防庁消防学4 交校庭 4 実験方法 (}) 実験設定 C胡 GN及びダイヤル設定値 ダイヤル設定値 ( L / m in ) 1 1 5, 2 3 0, 3 6 0,4 7 5, F L U S H 1 1 0, 2 3 0, 3 6 0,4 7 0, F L U S H 1 1 5, 2 3 0, 3 5 0,4 7 5, F L U S H ※ FLUSH・・・ノズノレ内に詰まった異物の除去に使用 イ ノズノレ圧力及び放水形状 .2 M P aから1. 4 放水 肢の測定は、ノズノレ圧力が O M P aまで、 O .2 M P a ごとに実施した。ただし、 GNの規 定 ノズル圧力である O .7 M P aにおける放水量も測定した。 また、放水形状についてはストレートで *装備安全課 2 3 表 2 ノズル圧力及び放水形状 1 0 0 0 900 0.2, 0.4, 0.6, 0.7, 0.8, ノズ‘ル圧力 ( M P a ) 600 t ー ー .2, 1 .4 1 .0, 1 7 0 0 ストレート 放水形状 ' E 600 ミ 500 E 判。 ウ 測定に使用した機器 3 0 0 (7)電磁流量計 2 0 0 1 0 0 愛知時計電気株式会社製 :TAV65V-30を使用し て放水祉を測定した。 o0 . 10 . 20 . 30 . 40 . 50 . 60 . 70 . 80 . 9 1 1 . 1 1 .2 1 . 31 .4 1 .5 1 .6 ノズル圧力 (Mp.) (イ)圧力変換器 図 2 G N (A社製)流量グラフ 株式会社共和屯業製の圧力変換器を使用し、ノズ‘ル圧力 を測定した。 (ウ)データ収録器 ∞ー ∞ 1 0 KEYENCE社製データロガー GR-3000を使用 一 /ドnU宮島 9 し、サンプリング周期を 50ms としてデータを収録した。 . /戸 ' 800 エ測定方法 7 0 0 レ / E6∞ 表 1に示した各ダイヤル設定値で放水を行い、ノズ、/レ圧 / ) 型4∞ 3∞ 調節する。ノズル圧力がほぼ安定した時点から 10秒間、 放水量を測定した。以上の操作を表 2に示した各ノズル圧 200 力について、各 3回実施した。 1 . . - 日' レ-ドd 。 トー戸 1 3 ーー /戸 ∞ L -ド- . . - V戸 戸 " レ 〆 4 7 l / j 5∞ 力の測定値が表 2に示した値となるようポンプ送水圧力を V 〆 同' 1札 o 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.6 0.9 1 1 1 . 1 1 .2 1 .3 1 .4 1 .5 1 .6 ノズル圧力 (MPa) 5 実験結果 図 3 G N (8社製)流量グラフ 検子政サ象となるそれぞれの G N (A、 B、 C社製)につ いて、放水量のデータ (200点分)を、表 2で示したノ ス、ル圧力ごとに最小二乗法(グラフ解析ソフト使用)によ ∞ りプロットし、ノズル圧力と放水量の関係を示した。(図 1 0 r-r - l ・寸寸r - I - I~I~ 900「 2~ 図 4) 卜ー 7 0 0 ~r1~ ( ル圧力との関係、を示したものが図 5である。この図 5と過 E600 ) 各 G Nによって表示が異なるダイヤル設定値を、① (A社 110、C社製 2 3 0、 B社製 JJ?"tk{1JII' n : 竺 出 OLl 「一← E た各ノズル圧力に対する放水量を表 3に示す。なお便宜 k、 115、 B社製 ~ニp+-- 内 また、各 G Nについて、ダイヤル設定値ごとに測定し qd とに送水基準板を試作した。(図 6、図7) nununu o o4・ o 制判。 挺 I " " L . .LLJ-日 f i j ート j 500 去に行った各種ホースの損失圧力検証実験の結果 1) をも 社製 ← ー 600 各 G Nでの放水量の測定結果ーから平均値を求め、ノズ 製 一一一一「 ドrI I レ 戸 . , . -ド t f f l l l l l +1 J-J-~I-4I-1-1-1ï o0 . 10 . 20 . 30 . 40 . 50 . 60 . 70 . 60 . 9 1 1 . 1 1 .2 1 .3 1 .4 1 .5 1 .6 ノズル圧力 (MP.) 115) 、② (A 図4 2 3 0、 C社製: 2 30) 、③ G N (C社製)流量グラフ (A社製 :360、 B 干団~: 360、 C 間~: 350) ④ (A 干団~ :475、 B間 十 4 7 0、 C社製: 475) 、 ∞ FLUSHの 5区分に分類した。これらの図表から読み取 900 れる結果を以下に示す。 (1) 一 1 0 800 ダイヤル設定値を上げると、ノズル圧力に対する (2) 与 5∞ 型 n ,4∞ ズ.ル圧力 (0. 7MPa) において、各社とも概ねダイヤル ∞ 3 設定値と同程度の放水量となった。 200 1 0 0 ( 3 ) ダイヤル設定値③で放水した場合、規定ノズル圧 力 (0. 7MPa) において、いずれの G Nも設定値を超え る放水量 (A社製 門・ 事 い 戸 μ 日" . , . " ~1 l . . r " " 1 6 1 日 ぽ ‘F ドーー mL r - o0 . 10 . 20 . 3 0. 40 . 50 . 60 . 70 . 80 . 9 1 1 . 1 1 .2 1 .3 1 .4 1 .5 1 .6 ノズル庄力 (MPa) 370 L/min、肘団~: 3 84L /min、 図 5 G N (平均)流量グラフ 24 4 , 戸 e6∞ ダイヤル設定値①及ひ匂で、放水した場合、規定ノ F 41 7 0 0 ( 流量の増加率も上昇した。 -, 園 噛 表 3 i~IJ 定結果 (単イ立:L/min) ノズル圧力 ( M P a ) 製造会社 ダイヤル設定値 0.2 ① A社 製 1 .0 1 .2 1 .4 8 1 97 1 0 4 1 1 0 1 2 1 1 3 1 1 4 1 ② 230 1 2 2 1 6 9 205 2 2 1 235 2 6 1 285 306 ③ 360 2 0 1 277 342 370 397 446 490 5 3 1 ④ 475 275 383 464 499 532 5 9 1 645 694 FLUSH 295 432 539 587 632 714 790 859 1 1 0 5 4 7 9 99 1 0 7 1 1 5 1 3 0 1 4 4 1 5 6 ② 230 1 1 3 1 6 2 1 9 9 216 2 3 1 260 285 309 ③ 360 1 9 3 283 353 384 413 466 515 5 6 1 ④ 470 256 366 451 488 522 586 644 697 FLUSH 428 602 735 792 846 944 1 0 3 3 1 1 1 4 1 1 5 66 94 1 1 5 1 2 4 1 3 3 1 4 9 164 1 7 7 ② 230 1 3 2 1 8 6 227 246 262 293 3 2 1 346 ③ 350 2 0 1 2 9 1 3 6 1 392 4 2 1 473 522 566 ④ 475 264 376 463 5 0 1 536 6 0 1 659 713 FLUSH 274 388 475 512 548 612 6 7 1 724 60 85 1 0 4 1 1 3 1 2 1 136 1 4 9 1 6 1 ② 230 1 2 2 1 7 3 2 1 1 228 244 273 299 322 ③ 360 ( 3 5 0 ) 1 9 8 285 353 383 4 1 1 462 509 552 ④ 475 ( 4 7 0 ) 263 373 458 495 530 593 650 703 FLUSH 332 474 583 6 3 1 675 757 8 3 1 899 ① 3社平均 0.8 5 9 ① C聞込 o .7 1 1 5 ① B社製 0.4 0.6 1 1 5( 11 0 ) / m i n ) となった。 C間 上 392L に増加する。すなわち、ダイヤル設定値が小さい程、ノズ ( 4 ) ダイヤル設定値④て。放水した場合、規定ノズ、ル圧 ル圧力の変動に対して放水量は安定しているが、ダイヤル 力 (0. 7M i 'a ) において、いずれの G Nも放水量は概ね 設定値が大きい程、ノズ、ル圧力の僅かな変化にも放水量は 50OL/m i ni :3%の範囲となり、ダイヤル設定値を超え 大きく変動することになる。これは、ダイヤル設定値が現 る放水量で、あった。 行の送水基準板におけるノズル口径に相当していることか (5) ダイヤル設定値を FLUSH とした場合、各社各様 らも推察できる。 このことをふまえて、ポンプ機関員は、ダイヤル設定値 の特性があったが、いずれの G Nについても規定ノズル圧 力 ( 0. 7 M P a ) で 500L / m i n を上回る放水量となった。 が大きい場合程、ポンプ送水圧力の設定を慎重に行う必要 i日にも達した。 特に、 B間出土約 800L/m がある。 (2) ダイヤル設定値を FLUSHとした場合 FLUSH による放水は、規定ノズル圧力 (0. 7MPa) 6 考察 (1) ダイヤル設定値と放水量の関係 ダイヤル設定値が 115 (110) のとき、ノズ、ル圧力 の増加に対する放水量の増加は緩やかである。それに対し、 において 500L/m i n を超える放水量となり、大変危険な ので、規定ノズ‘ル圧力における FLUSHでの放水は行わな いよう、十分な注意が必要である。 ダイヤル設定値が 475 (470) のとき、放水量は急激 25 [参考文献] 1)中川英二、高井啓安、星哲也、菅原洋一消防用ホ ース等の性能検証について 、消防技術安全所報 44号、 24 3 1、平成 19年 9月 延長ホース数 1 .4 U 骨λ / 1 . 2 ' l . n u nヲ 'a-tnu 損失圧力(高血) 0 . 7 / 0 . 6 // 0. 5 /ど ど 0. 4 / 〆 // 0. 3 0. 1 ど ,<,'t' 、 / / V / / / / レ / / / // / γ / v / レ / レ / 1 // / / / / 0. 8 0. 2 / / 1 . 3 占 ノ+ λ せノ~,、 v ν / ラ /シ ぷ 二μ: 広 一 - 髪 室主~二 に ニL--戸 ∞ l ∞ ∞ 2 γ / / ど ど レ/ レ / - 〆 〆 〆 / 〆 - レ/ v ,/ /ナ ト/ - 3 / 1本 v 戸/ / /" y / い/ ∞ 4 ∞ ∞ ∞ 6 5 7 ∞ 8 ∞ 9 ∞o l 流量 (Umin) 0 . 1 0 . 2 ノズル圧力 0. 3 0. 4 │ ¥ ¥ ¥ ¥ ト、 i 九 ¥ ¥h¥ ¥ 0. 5 ト ¥ (Y 司白) ¥ 0. 6 0 . 7 ¥円 、 l ¥ ¥ ¥ ¥ 1 0 . 8 ¥ ¥ 1 0 . 9 ¥ ¥ ¥ 1 .0 1 . I ¥ ¥ 1 1 . 2 1 . 3 ¥ ¥ 1 ¥ 1 Jl5 ( J1 0 ) 卜 ¥ ¥ 2 3 0 3 6 0( 3 5 0 ) ¥ ヘ ¥ 4 7 5( 4 7 0 ) 0m mホース) 図 6 送水基準板(低圧力損失型 4 2 6 流量切替ダイヤル設定値 1 .4 1 . 3 25 損失圧力 延長ホl ス数 1 .2 5本 1 . 1 / 1 .0 レ / 0. 9 0 . 7 0 . 6 / / 0 . 4 / / / / 0 . 2 0 . 1 戸 乞v 4同 ョ = 回 空 : : : :F ∞ l ∞ F ∞ 4 3 〆〆〆〆 ∞ ,/"2本 ,/ ./ ν / ト〆 ~ 戸 戸J 戸'戸戸' ~ . . 6 " 3本 ど / ~ ドJ 1本 . J . - ドー トー" ∞ 2 ← / , ,t ' 〆' . / " / / ./v ' " ' " " ン/ / づ 戸/ 0. 3 / / / / A / A // レ / 0. 8 0 . 5 4本 ∞ ∞ 6 5 7 s ∞ ∞ 9 l 伐 ) ( ) 流 量 (νmin) 0 . 1 0. 2 ノズル圧力 0 . 3 0. 4 i ¥¥ ¥ ヘ ¥ ¥ 卜 、 屯白) (7 0 . 5 ¥ 0 . 6 九 ¥¥ ¥ ¥ 0. 8 ¥ 1 ¥ 0 . 9 卜 ¥ ¥ l ¥ 1 .0 l . l ¥ 1 1 .2 1 . 3 ¥ X¥ ¥ ¥ 0 . 7 ¥ 作 、 卜 ¥ ¥ 1 ¥ 1 1 5( 1 1 0 ) ¥ ¥ ¥ 代 ¥ 3ω(350) 230 5 伽mホース) 図 7 送水基準板 ( 2 7 4 7 5( 4 7 0 ) 流最切替ダイヤノレ設定値 R e l a t i o n s h i pb e t w e e nn o z z l ep r e s s u r ea n da p p l i e df i r e f l o wo ft h eg u n t y p en o z z l e (Development of t h e standard display plate f o r water supply t ot h e gun-type n o z z l e ) O M O T O ., Hiroyasu TAKAI Hiroyuki O K A Z A K I *, Hidekazu N 本 Shigeo W A T A N A B E ., Kenji SATO 本 Abstract Flowrate setting i nfiv世 stagesi spossibleforaspecifiedpressurewith t h egun-typen o z z l e . How告ver,appliedfireflowi sn o t verifiedforawat告ra p p licationa tanozzl母 pressureotherthan t h especif ie dp r e s s u r e . 官it ht h i sverification,therelationshipbetweennozzlepressureandapplied fireflowasbasicdischargecharacteristicsi sconfirmedt ocontributet osafeuseoft h egun-type nozzle.B昌sedon t h i s,t h e standard display plate for water supply i s developed as an aid t o calculating water supply pressure t o the p u m p e r . 本 E q u i p m e n lS 呂f e t yS e c t i o n 28
© Copyright 2024 Paperzz