制御弁式鉛蓄電池の特性

第
1
章
制
御
弁
式
鉛
蓄
電
池
の
概
要
特性
温度条件
充電、放電および保存の推奨温度範囲は右記のとおり
です。
放 電
-15℃∼50℃
充 電
0℃∼40℃
保 存
-15℃∼40℃
充電特性
【電流別定電圧充電特性の一例】
制御弁式鉛蓄電池の充電特性(定電圧定電流充電方式)
の一例は右記のとおりです。特性を十分に発揮させる
ために、定電圧定電流充電方式を推奨致します。
(V) 2.5
充
電
電 2.0
圧 ~
0.4
0.3
充
電 0.2
電
流 0.1
(CA) 0
0
~
~
〔試験条件〕
放電:0.05CA 定電流放電
終止電圧:1.75V/2V
充電:2.45V/2V 2.30V/2V
温度:25℃
~
3
6
9
12
15
18
充電時間(h)
制御弁式鉛蓄電池
15
2008
第
1
章
制
御
弁
式
鉛
蓄
電
池
の
概
要
放電特性
■ 放電電流と放電終止電圧
【図1】放電電流と放電終止電圧
5.4
6Vまたは12V蓄電池の放電電流の大小に応じた当社
の放電終止電圧(推奨値)は右記の【図1】のとおりで
す。放電電流が小さい場合には活物質が効率よく利用
されるため放電し過ぎないよう終止電圧を高めに、大き
い場合には低めに設定しています。
10.8
放
電
終
10.0 止
電
9.6
圧
︵
9.2
12
8.8 V
蓄
8.4 電
池
8.0
︶
放
電 5.2
終
止 5.0
電
圧 4.8
︵ 4.6
6
V 4.4
蓄
電 4.2
池
︶ 4.0
■ 放電の温度範囲
放電中の雰囲気温度は以下の理由から−15℃∼50℃
としてください。
蓄電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換す
るために電気化学反応を利用しています。この電気化
学反応は温度が高いほど活発になるため、−15℃未満
の低温側では使用可能な放電容量が著しく減少しま
す。一方高温側は、蓄電池を構成する電槽樹脂材料の
変形および寿命劣化防止のため、50℃を越えない範囲
で放電してください。
10.4
0.05
0.1
0.2
0.3
0.5
1
2
3
放電電流(CA)
■ 温度別・電流別放電容量
【図2】温度別・電流別放電容量
放電容量は、蓄電池の雰囲気温度と放電電流の大きさ
により、おおよそ右記の【図2】のとおり変化します。
120
0.05CA
0.1CA
100
■ 放電電流範囲
放
電
容
量
︵
%
︶
機器使用中に蓄電池から取り出す電流は、蓄電池の放
電能力を表す20時間率放電(定格)容量値の1/20∼3倍
(1/20∼3CA)の範囲になるように蓄電池を選定してく
ださい。この範囲外ですと、蓄電池から取り出せる放電
能力が著しく減少したり、繰り返し使用の回数が減少し
たりすることがあります。
この放電電流範囲を越えての
ご使用を希望される場合には、事前に当社へご相談く
ださい。
0.25CA
80
1CA
60
40
20
0
-20
-10
0
10
20
30
40
50
温 度(℃)
制御弁式鉛蓄電池
16
2008
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御
弁
式
鉛
蓄
電
池
の
概
要
保存特性
■ 保存条件
蓄電池をやむを得ず保存する場合は以下の条件にし
たがってください。
(1)雰囲気温度:−15℃∼40℃
(できるかぎり30℃を超
えないようにしてください。)
(2)相対湿度:25%∼85%
(3)振動、塵埃がなく、直射日光および雨滴等の当たらない場所
【図3】保存特性の一例
100
残
存
容
量
︵
%
︶
80
60
50
40℃
30℃
25℃
40
20
■ 容量保存特性
0
蓄電池を十分に充電後、一定の雰囲気温度で一定期
間開路状態で放置した後、その蓄電池がなお保有して
いる容量(残存容量)
を各温度別に試験した結果は右
記の
【図3】のとおりです。自己放電の量は、蓄電池を保
存する雰囲気温度に大きく影響されます。雰囲気温度
が高いほど一定期間の残存容量は減少します。保存温
度が10℃上昇するごとに、自己放電の量は約2倍増加
します。
0
3
6
12
15
【図4】容量と端子開路電圧(25℃)
14.0
7.00
(温度25℃)
端
子
開
路
電
圧
︵
6
V
蓄
電
池
︶
■ 残存容量と端子開路電圧
残存容量は、右記の【図4】のとおり端子開路電圧を測
定することにより推定することができます。
■ 補充電
蓄電池をやむを得ず3ヵ月以上保存する場合は、保存
温度により右記の【図5】
のとおり定期的に補充電を実
施してください。ただし、保存期限は12ヵ月を限度として
ください。
6.75
13.5
6.50
13.0
6.25
12.5
6.00
12.0
5.75
11.5
5.50
11.0
5.25
10.5
5.00
10.0
0
20
40
60
80
100
端
子
開
路
電
圧
︵
12
V
蓄
電
池
︶
容量比率(%)
【図5】保存温度と補充電間隔
保存温度
■ 自己放電と回復充電
保存中でも蓄電池は自己放電(徐々にその容量を外部
回路に放電することなく失うこと)するため、保存後の
放電容量は初期の放電容量と比較して少なくなってい
ます。放電容量を回復させるために、
サイクル用途に用
いられる蓄電池の場合は、数回充電と放電をくり返して
ください。
トリクル用途の場合は、蓄電池を使用する機
器で48∼72時間充電し続けてください。
制御弁式鉛蓄電池
9
保存期間(月)
17
補充電間隔
20℃未満
9ヵ月
20℃∼30℃
6ヵ月
30℃∼40℃
3ヵ月
2008
第
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章
制
御
弁
式
鉛
蓄
電
池
の
概
要
寿命特性
■ サイクル寿命
【図6】サイクル寿命特性(LC-XCシリーズの一例)
蓄電池のサイクル寿命は、蓄電池の種類・充電方式・雰
囲気温度・充放電間の休止期間および放電の深さ等に
影響されます。
したがって実寿命は、実際の充電器およ
び機器を使用して実際の使用環境下で確認する必要
があります。右記の【図6】
は参考試験データです。
(実使用の場合にはこれらの結果と異なることもありま
す。)
120
容 100
量
比 80
率
︵ 60
%
︶ 40
〔試験条件〕
放電:0.25CA 終止電圧:1.75V/セル
充電:2.45V/セル 最大電流:0.4CA 12時間 温度:25℃
20
0
注1) それぞれの機種における詳細特性は、仕様書等
でご確認ください。
一部の機種は専用充電器がございますので、別
冊データブックをご確認ください。
0
100
200
300
400
500
600
充放電サイクル回数(回)
注2) 充放電条件により寿命が大幅に変化する可能性
があります。特に、放電深度が極端に浅い場合
(通常、定格容量の30%以下を目安とします)
と充電を繰り返す場合、充電条件によっては蓄
電池の寿命が大幅に短くなる可能性があります。
実負荷パターン・ 実使用条件での十分なご検討
を推奨いたします。
ご不明点は事前にお問い合わせください。
制御弁式鉛蓄電池
18
2008
■ トリクル寿命
蓄電池のトリクル寿命は、使用機器が蓄電池に与える温度に大きく影響されます。
また蓄電池の種類、充電電圧、
放電電流の大小などによっても影響を受けます。
トリクル寿命に及ぼす蓄電池周囲温度の影響、寿命特性の一
例は下記の【図9】
【図10】
のとおりです。
【図9】トリクル寿命と温度
(LC-VおよびLC-Pシリーズの一例)
【図10】トリクル寿命特性
(LC-Pシリーズの一例)
10
100
5
LC-Pシリーズ
容
量
比
率
︵
%
︶
LC-Vシリーズ
寿
命
︵
年
︶
1
0.5
〔試験条件〕
放電:0.25CA 終止電圧:1.75V/2V
充電:2.28V/2V 定電圧制御
寿命判定:初期の50%
50
〔試験条件〕
放電:0.25CA 終止電圧:1.75V/2V
21日毎に容量確認
温度:25℃
充電:2.28V/2V 定電圧制御
最大電流 0.15CA 温度:60℃
0
0
6
12
18
24
30
36
60℃充電期間(週)
0.1
-20
0
20
40
0
60
1
2
3
4
5
6
7
25℃推定換算値(年)
温 度(℃)
【図11 非常灯実用試験(DE-5108A】
(対象電池LC-R063R2PJ×2)
制御弁式鉛蓄電池
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2008
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式
鉛
蓄
電
池
の
概
要