医 療 の 質 国 保 中 央 病 院 平成 26 年 8 月 序 文 医療の質(Quality Indicator)の公表について 院長 吉川高志 国保中央病院は『医療の質を高めることにより、地域住民の皆様の健康保持と増進に寄与し、 住民の皆さまに信頼され、愛される心温かな病院を目指します』を理念とし、その基本方針の 第一項に『医療の質の向上に日々努め、患者様にとって最適の医療を提供すること』を唱って、 病院を運営して参りました。 この当院の医療の質を外部評価していただくため、平成 15 年 7 月には奈良県で 2 番目 に日本医療機能評価機構の機能審査を受け、Ver.3 の認証を頂きました。さらに平成 21 年には Ver.5 の再認証も受けております。 また、平成 21 年度からスタートしました当院の病院改革プランには BSC(バランスド・ スコアカード)に基づく 4 つの視点の中に、今回公表します臨床指標を含む様々な評価指 標に目標を設けて達成度をホームページ上で公表して参りました。 今回、更に当院の医療の質を患者さんや住民の皆さんの厳しい目で評価頂くために、新 たに立ち上げた QI 委員会(委員長:阪井副院長)で検討した評価指標を公表することと なりました。 皆さま方からの忌憚のないご意見をお待ちしております。 いただいたご意見を参考に更に医療の質の向上に取り組んで参りますので、よろしくお 願い申し上げます。 目 次 (1) 病院全体 1 . 病床利用率 P2 【 阪井 利幸 】 2 . 平均在院日数 P3 【 阪井 利幸 】 3 . 救急患者数 P4 【 小野 浩史 】 P5 【 小野 浩史 】 P6 【 江嶋 陸司 】 6 . 入院患者におけるリハビリテーションの実施率 P7 【 亀山 卓也 】 7 . 2週間以内の退院サマリー完成率 P8 【 新居崎哲也 】 P9 【 江嶋 陸司 】 9 . 職員の健診率 P10 【 米田 拓也 】 10 . 職員の非喫煙率 P11 【 米田 拓也 】 11 . 職員のインフルエンザ予防接種率 P12 【 米田 拓也 】 12 . クリティカルパスの使用率 P13 【 竹島 曜子 】 13 . 外来化学療法件数 P14 【 山田 行重 】 14 . 血液透析の効率(KT/V) P15 【 奥畑 秀之 】 15 . 褥創発生率 P16 【 河合 佳子 】 16 . 術後 1 ヶ月以内の死亡率 P17 【 山田 行重 】 4 . 救急車・ホットライン応需率 5 *新規 死亡退院率 8 . 紹介率・逆紹介率 *新規 (2) 予防医療 (3) 診療プロセス 17 . 糖尿病患者の血糖コントロール *新規 P18 【 上田 重彦 】 18 . がん対策における診療の質 *新規 P19 【 山田 行重 】 P21 【 山田 行重 】 P22 【 関山まゆみ 】 P23 【 橋詰千代子 】 P24 【 大倉 章代 】 23 . 患者満足度 P26 【 河野 弥生 】 24 . 入院患者の食事満足度 P27 【 萬谷智奈津 】 25 . 患者待ち時間 P28 【 河野 弥生 】 26 . 栄養指導件数 P29 【 萬谷智奈津 】 27 . 医療相談件数 P30 【 江嶋 陸司 】 28 . 感謝と苦情の割合 P31 【 河野 弥生 】 (4) 感染防止 19 . 手術部位感染率(SSI) 20 . 尿道留置カテーテル使用率 *新規 (5) 検査部門 21 . 輸血廃棄率 (6) 医療安全 22 . 転倒・転落発生率 (7) 患者満足度と支援 国保中央病院 1. 【Quality Indicator】 病床利用率 【病床利用率の計算方法】 年間病床利用率(%)= (月間在院患者延数の 1 月~12 月の合計) / (月間日数×月末病床数)の 1 月~12 月の合計 × 100(%) 病床利用率は、病院の病床がどの程度、効率的に稼動しているのかを示す指標です。100%に近 いほど、空き病床がない状態で利用されていることになります。 急性期病棟と亜急性期病床や緩和ケア病棟では、病院機能において当然数値の意味するところ は違ってきます。病院の安定した経営面からも高い病床利用率が望まれますが、国の医療費抑制 政策や平成 16 年度から始まった新臨床研修医制度の影響による医師不足により病床利用率は、 年々減少していました。しかし、平成 20 年度に策定した国保中央病院改革プランに沿った基本方 針を実行するにあたり、少し改善がみられているところでしたが、H24 年度以降は一部の科の医 師の退職などによる影響がでて、再び下降傾向となっています。 病床利用率は病院の入院機能を示す指標となりますので、ますます近隣の診療所との連携を密 にして新規患者を受け入れ、病床利用率を高めていく予定です。 80.0% 73.8% 73.4% 75.0% 69.2% 66.3% 70.0% 61.1% 65.0% 60.0% 55.0% 50.0% 45.0% 40.0% H21 H22 H23 2 H24 H25 国保中央病院 2. 【Quality Indicator】 平均在院日数 【平均在院日数の計算方法】 平均在院日数= 年間在院延患者数 / (年間新入院患者数+年間退院患者数)/ 2) 平均在院日数は、病院に患者がどれぐらいの期間入院しているかを示す指標です。医療の質と 効率化が高いほど、平均在院日数は短縮するといわれています。 急性期病棟とその他の亜急性期病床・緩和ケア病棟では平均在院日数は、当然異なりますし、 疾患によっても違ってきますが、DPC 導入や医学の進歩により年々、全国の在院日数は短くなって きています。 当院でもその傾向がみられますが、最近は亜急性期病床を拡張したことで若干長くなってきて いましたが、H24 年度以降は再び短縮傾向となっています。 平均在院日数【病院全体】 日 20 16.7 17.0 17.1 16.1 15.1 15 10 5 0 H21 H22 H23 H24 H25 平均在院日数【急性期病棟】*亜急性期病床、緩和ケア病棟除く 14 日 11.2 11.3 11.2 12 9.6 10.2 10 8 6 4 2 0 H21 H22 H23 3 H24 H25 国保中央病院 3. 【Quality Indicator】 救急患者数 救急医療の機能を計る指標として「救急患者受託数」を採用しています。 当院は桜井地区病院群輪番、中南和小児科二次輪番に参加しており地域の救急医療を担ってお ります。 救急医療は医師の確保や負担などの様々な問題を抱えている分野になりますが、当院は救急の 受け入れ強化を目標としており、今後も、地域から信頼される自治体病院を目指し地域医療に貢 献していきたいと考えております。 6,000 泌尿器科 小児科 整形外科 内科 件 80 5,000 外科 63 142 163 94 4,000 2,165 2,772 1,689 2,603 2,501 3,000 738 683 634 2,000 1,000 576 1,499 552 389 1,537 1,434 721 654 410 354 1,311 1,334 0 H21 H22 H23 4 H24 H25 国保中央病院 4. 【Quality Indicator】 救急車・ホットラインの応需率 【救急車・ホットラインの応需率の計算方法】 救急車・ホットラインの応需率(%)= 救急車で来院した患者数 / 救急車受け入れ要請件数 × 100(%) 救急車・ホットラインの応需率は、救急隊からの搬送の要請に対して、どれだけの救急車の 受け入れが出来たかを示す指標で、病院の救急診療を評価する指標の一つとなります。 当院では、90%以上の応需率で年度推移しております。また、この指標は地域医療への貢献 を示す指標にもなるため、今後も救急医療体制を整備し、地域医療に貢献していきたいと考え ております。 93.6% 95.0% 90.7% 93.4% 90.9% 90.3% 90.0% 85.0% 80.0% 75.0% 70.0% H21 H22 H23 5 H24 H25 国保中央病院 5. 【Quality Indicator】 死亡退院率 【 死亡退院患者率の計算方法 】 死亡退院患者率(%)= 死亡退院患者数 / 退院患者数 × 100(%) ※ 分子除外 緩和ケア科退院の死亡患者 ※ 分母除外 緩和ケア科退院患者 当院を利用された入院患者の中で、死亡退院された件数を占める割合です。尚、緩和ケア科の 入院患者は、病棟の特殊性を考慮して全体の数より除外しました。 死亡退院率は、病院の努力で下げられる部分と、疾病や重症度等の患者属性から死亡したと推 測される部分があります。当院の死亡退院率は、ここ数年 4%前後で推移しておりますが、この数 字だけでの病院間比較は難しく、医療施設の特徴(職員数、病床数、救急救命センターや集中治 療室の有無、平均在院日数等)や入院患者属性(年齢、性別、疾患の種類と重症度等)を揃えた うえで比較しなければなりません。 当院においては、病院間の数値を比較するだけではなく自院の死亡退院率の毎年の変化にも着 目しております。 4.5% 4.1% 4.0% 4.2% 3.9% 3.7% 3.2% 3.5% 3.0% 2.5% 2.0% 1.5% 1.0% 0.5% 0.0% H21 H22 H23 6 H24 H25 国保中央病院 6. 【Quality Indicator】 入院患者におけるリハビリテーション実施率 【リハビリテーション実施率の計算方法】 リハビリテーション実施率(%)= リハビリを実施した延べ入院患者数 / 延べ入院患者数 × 100(%) 急性期におけるリハビリテーションの目的は廃用症候群や合併症の予防改善にあります。発症 早期からのリハビリテーションは重要と言われ、急性期病院ではリハビリテーション実施率は在 宅復帰率などと共に重要な指標として挙げられています。 リハビリテーション実施率は、H21 年度 20.4%、H22 年度 24.5%、H23 年度 30.0%、H24 年度 29.9%、H25 年度 32.3%であり、技師数の増員とともに年々上昇してきました。 また、入院患者に対するリハビリテーション実施の依頼は、整形外科 約 53%、内科 約 26%、 外科 約 8%、緩和ケア科約 10%、泌尿器科約 3%となっています。整形外科は手術後のリハビ リが最も多く、内科は様々な要因による廃用症候群、外科はがんのリハビリが多くなっています。 H24 年からリハビリテーション科専門医が常勤となり、H26 年 4 月現在、理学療法士 10 名、 作業療法士 2 名、言語聴覚士 2 名の体制となりました。これからも医師の指導の下に、質の高い リハ医療を患者に提供していきたいと考えます。 40.0% 35.0% 30.0% 30.0% 25.0% 29.9% 32.3% 24.5% 20.4% 20.0% 15.0% 10.0% 5.0% 0.0% H21 H22 H23 7 H24 H25 国保中央病院 7. 【Quality Indicator】 2 週間以内の退院サマリー完成率 【退院サマリーの完成率の計算方法】 退院サマリーの完成率(%)= 退院後 2 週間以内にサマリーを記載した件数 / 退院患者数 × 100(%) 退院サマリーとは、患者さんの病歴や入院時の身体所見、検査所見、入院経過など、入院中に 受けた医療内容を要約し、最終診断名と転帰を記入したものです。 一定期間内に退院サマリーを作成する事は、病院の医療の質を表しています。 90.0% 88.0% 85.4% 87.0% 85.1% H22 H23 H24 85.0% 80.0% 70.0% 60.0% 50.0% 40.0% 30.0% 20.0% 10.0% 0.0% H21 H21 年度 H22 年度 H23 年度 H25 H24 年度 H25 度 サマリー件数 * 3,023 3,023 2,923 2,460 2,764 退院患者数 3,436 3,540 3,358 2,892 3,250 * 退院後 2 週間以内にサマリーを記載した件数 8 国保中央病院 8. 【Quality Indicator】 紹介率・逆紹介率 【紹介率・逆紹介率の計算方法】 【紹介率の計算方法】 紹介率(%) =(文書紹介患者数+救急車搬送患者数) /(初診患者数-時間外および休日救急受診患者数) 【逆紹介率の計算方法】 逆紹介率(%) = 診療情報提供料算定患者数 / 初診患者数 紹介率は、当院を受診された患者さまのなかで、他医療機関から紹介状を持参された患者さま の割合を示しています。逆紹介率は、当院から他医療機関へ紹介状を作成し、受診いただいた患 者さまの割合を示したものです。 近年、医療機関の在り方は多様化しており、それぞれの医療機関の役割や機能は、ほぼ明確な ものとなってきています。患者さまの症状にあわせて、必要な治療や検査を行える病院を紹介し たり、患者さまがお住まいの地域の開業医の先生を紹介することで、患者さまのニーズに合わせ た医療の連携を図っています。 これらの数字が高くなるということは、地域の医療機関との連携がうまく機能しているという ことであり、各医療機関で役割を分担し、患者さまひとりひとりに適切な医療が提供できている ということにつながります。 当院では、紹介率の向上及び、医療連携の強化施策として、桜井地区病院群輪番、中南和小児 科二次輪番に参加することで、救急の受け入れ態勢を強化し、地域の医療機関から患者さまをご 紹介いただき、患者さまにとってのベストな診療を行えるよう取り組んでおり、さらに、平成 25 年 6 月より「消化器病センター」を設立し、消化器疾患を抱える患者さまの診療を強化するとい う取り組みも行っております。 今後も、地域の医療機関との連携を深めていき、より良い医療を提供できるよう努めてまいり ます。 70.0% 60.0% 50.0% 48.1% 51.4% 紹介率 56.0% 53.0% 55.4% 逆紹介率 40.0% 26.7% 30.0% 18.9% 15.5% 20.0% 10.0% 0.0% H21 H22 H23 9 H24 H25 国保中央病院 9. 【Quality Indicator】 職員の健診受診率 【職員健診率の計算方法】 職員健診率(%)= 職員健診受診者 / 全職員数 × 100(%) 労働安全衛生法第66条で、労働者に対する健康診断の実施が健康の保持増進のための措置と して事業者に義務付けられています。 当院では、35歳・40歳など年齢の節目と45歳以上の職員に対して健診の項目を充実させ、 職員の健康管理に努めています。 また健康診断の結果、再検査・治療の必要性が指摘された職員に対しては、所属長に受診を促 すように指示しています。 尚、育児休暇・病気休暇の職員を除けば、100%の受診率です。 H25 96.6% H24 96.6% H23 97.7% H22 97.1% H21 80.0% 93.5% 82.0% 84.0% 86.0% 88.0% 90.0% 92.0% 94.0% 96.0% 98.0% 100.0% H21 H22 H23 H24 H25 職員数 248 243 260 265 268 職員健診実施者 231 236 254 256 259 10 国保中央病院 10. 【Quality Indicator】 職員の非喫煙率 【非喫煙率の計算方法】 非喫煙率(%)= 非喫煙者 / 職員数 × * 100(%) 喫煙の調査については、職員の健診時の問診にて調査。 日本病院機能評価機構の統合版評価項目 V6.0 の 1.7.2 では禁煙が徹底されているという項目が あり、全館禁煙の遵守並びに患者・職員に対する禁煙の推進に対するチェックがあります。 当院では、安全衛生委員会などで職員の禁煙に対する啓発活動を実施しております。また、病 院敷地内を禁煙とし、受動喫煙を防ぐとともに、禁煙外来を実施し、患者・職員に対する禁煙の 推進を行っています。 H25 86.2% H24 80.8% H23 82.7% H22 78.6% H21 0.0% 81.9% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0% H21 H22 H23 H24 H25 職員数 248 243 260 265 268 職員健診実施者 203 191 215 214 231 11 国保中央病院 11. 【Quality Indicator】 職員のインフルエンザ予防接種率 【インフルエンザワクチン接種率の計算方法】 インフルエンザワクチン接種率 (%)= インフルエンザワクチン接種職員 / 全職員数 × 100(%) 病院職員が、インフルエンザに感染すると、他の職員や入院患者が院内感染するリスクが発生 します。また、病院の運営においても、職員がインフルエンザに罹患してしまうと、自宅療養を 指示しなければならないため、人員不足が考えられ、病院の運営にとっても重要な問題となりま す。 そのため、インフルエンザの予防接種率を把握し、さらに接種率を向上させることが患者の安 全、病院の運営にとって重要な課題となります。啓発活動の結果、接種率は年々上昇しています。 尚、H24 度から接種率が低下したのは、育児休暇者などの休職者が増えたためです。 H25 81.6% H24 87.5% H23 91.9% H22 84.8% H21 0.0% 75.8% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0% H21 H22 H23 H24 H25 職員数 248 243 260 265 282 接種人数 188 206 239 232 230 12 国保中央病院 12. 【Quality Indicator】 クリティカルパスの使用率 【クリティカルパスの使用率の計算方法】 クリティカルパスの使用率(%)= パス件数 / 実入院患者数 × 100(%) クリティカルパス(以下、パスと略す)とは、医療の内容を評価・改善して、よりよい医療を 患者に提供することを目的として、入院から退院までの医療の内容(検査、手術、処置、投薬、 注射、リハビリ、指導、看護ケア、食事指導、安静度、退院指導など)を時間軸に沿って標準化 し、スケジュール表にまとめたものです。パスを患者に明示し医療スタッフと共有することで患 者も自らの病状の改善に参加することができます。 パスの使用率は、標準化された医療が「見える化」された状態で提供されたかを示す指標です。 100.0% 90.0% 80.0% 79.3% 70.0% 71.4% 60.0% 82.0% 57.8% 30.0% 20.0% 37.3% 33.3% 22.3% 87.4% 82.4% 82.4% 内科 50.0% 40.0% 85.6% 39.4% 36.6% 60.6% 64.9% 64.4% 59.3% 50.1% 49.1% 35.2% 35.8% 23.2% 24.2% 52.0% 泌尿器科 34.6% 小児科 23.9% 全体 10.0% 0.0% H20 H21 整形外科 46.0% 29.6% 19.8% 外科 58.0% H22 H23 13 H24 H25 国保中央病院 13. 【Quality Indicator】 外来化学療法件数 現在、死亡原因の第1位は「がん」であり『化学療法』は、その治療方法の一つとして、欠か すことの出来ない治療方法となっています。 当院は、平成 18 年度にがん化学療法を専門に行う『通院治療センター』を設置しました。外来 化学療法は入院加療と比較して、入院による身体的・精神的な拘束を回避できるだけでなく、患 者にとってQOLの維持・向上(日常生活を行いながら治療を継続できる)、医療費負担の軽減 (入院基本料が不要となるため、経済的負担が軽減される)などのメリットもあります。 当院の通院治療センターは医師、専従看護師、薬剤師で構成されており、質の高い化学療法を 提供するため、多職種のスタッフが一丸となって努力を続けています。 また、外来で十分ながん治療を安心して受けていただけるよう患者の声も積極的に取り入れ、 今後も更なる改善に努めていきます。 650 600 628 件 569 577 566 549 550 500 450 400 H21 H22 H23 14 H24 H25 国保中央病院 14. 【Quality Indicator】 血液透析の効率(KT/V) 【血液透析の効率(KT/V)の計算方法】 血液透析の効率(KT/V)(%)= K(ダイアライザーの尿素除去率)×T(透析時間)/V(体内の水分量) ×100% 血液透析は、腎不全の治療のひとつで、血液中の老廃物や水分などを除去する治療です。 当院では、血液透析の効率を示す指標のひとつとして KT/V を使用しています。この KT/V とは、 K(ダイアライザーの尿素除去率) 、T(透析時間)と V(体内の水分量)から血液中だけではなく、 体液全体の尿素の除去効率を算出し、KT/V の値が大きいほど、血液透析で体液中の尿素が除去さ れていることを示しており、血液透析の効率を示す指標の一つとして、KT/V は 1.2 以上が推奨さ れています。 しかしながら、尿が出る患者や導入期の患者などでは、KT/V の値は低い値となるため、すべて の患者にあてはまる指標とはなっておりません。また、当院で血液透析を開始する患者も多いた め KT/V 1.2 以上の患者の割合は 70%程度の推移となっております。 また、KT/V とは、尿素などの小分子量の老廃物が除去されたかも示し、透析患者の予後にも重 要な影響があります。下図は、当院で血液透析を施行しているすべての患者の KT/V を 1.2 以上、 1.2 未満で分類したものです。 100% 90% 29% 25% 22% 16.1% 31% 69% 71% 75% 78% 84.1% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% H21 H22 KT/V H23 1.2以上以下 15 H24 KT/V H25 1.2以上 国保中央病院 15. 【Quality Indicator】 褥瘡発生率 【褥瘡発生率の計算方法】 褥瘡発生率(%)= 分子 / 分母 × 100(%) ○分子 調査機関における分母対象患者のうち、d2以上の褥瘡の院内新規発生患者数 ・包含 院内で新規発生の褥瘡(入院時刻により24時間経過後の褥瘡の発生または記録) 深さd2以上の褥瘡、深さ判定不能な褥瘡、深部組織損傷疑い ○分母 入院延べ患者数 ・除外 下記患者の入院日数 日帰り入院患者(同日入退院患者も含む) 入院時すでに褥瘡保有が記録されていた患者 調査期間より前に褥瘡の院内発生が確認され、継続して入院している患者 褥瘡ケアの基本はリスクアセスメント・体圧分散ケア・スキンケア・栄養管理・患者教育であ り、リスクアセスメントなしではケアに結びつきません。当院では、リスクアセンスメントの結 果をもとに褥瘡予防ケア計画につなげています。 平成 25 年度の褥瘡発生率が上昇した原因として、寝たきり患者、重症患者が増加したことが褥 瘡発生率の上昇に繋がったと考えます。その要因としては、下半身の手術件数の増加に伴い日常 生活動作やADLの低下が原因と考えます。また看護職員による知識の共有不足のため、褥瘡状 態の評価に対する見解の相違が見られたこともありました。しかし本質的な原因として、褥瘡予 防ケアに対する看護のケア不足により褥瘡発生率の増加に繋がったと認識すべきだと考えていま す。今後は、再度職員に対して教育を実施し褥瘡対策に関して意識を高め、職員全体で褥瘡予防 ケアに努めます。 < 褥瘡の状態の評価 d0 d1 d2 D3 : : : : > 褥瘡なし 持続する発赤 真皮までの損傷 皮下組織までの損傷 D4 D5 DU : 皮下組織を超える損傷 : 関節腔、体腔にいたる損傷 : 深さ判定不能の場合 褥創発生率 H25 0.067% H24 0.049% H23 0.070% H22 0.060% H21 0.054% 0.000% 0.010% 0.020% 0.030% 0.040% 0.050% 0.060% 0.070% 0.080% 0.090% 0.100% 16 国保中央病院 16. 【Quality Indicator】 術後1ヶ月以内の死亡率 【術後 1 ヶ月以内の死亡率の計算方法】 術後 1 ヶ月以内の死亡率(%)= 術後1ヶ月以内死亡(件) / 手術室での手術件数 × 100(%) *明らかな他病死は除く 手術を受けられた患者が何らかの原因で亡くなられることがあります。当然のことですが、医 療行為、特に手術においては、ある程度の危険が伴います。その多くは様々な特殊事情が関連し ており、全ての患者が対象となる訳ではありません。危険を最小限にくい留めるよう最大の努力 をしておりますが、それでも危険をゼロにすることは困難です。 当院では術後 1 カ月以内の死亡率は 0.7%以下の割合で推移しており良好な成績を収めており ます。 900 2.0% 件 852 850 829 819 791 800 750 1.5% 手術件数 (件) 732 700 1.0% 術後1ヶ月以内 死亡率(%) 650 600 0.5% 0.4% 550 0.1% 0.1% 0.1% 0.0% 500 H21 H22 0.0% H23 H24 17 H25 国保中央病院 17. 糖尿病患者の血糖コントロールHbA1c(NGSP)< 【Quality Indicator】 7.0% 【糖尿病患者の血糖コントロールの計算方法】 分 子 : HbA1c(NGSP)の最終値が7.0%未満の外来患者数 分 母 : 糖尿病の薬物治療を施行されている外来患者数(過去1年間に該当治療薬 が外来で合計90日以上処方されている患者) 分母除外 : 運動療法または食事療法のみの糖尿病患者 糖尿病の治療には運動療法、食事療法、薬物療法があります。運動療法や食事療法の実施を正 確に把握するのは難しいため、薬物療法を受けている患者のうち適切に血糖コントロールがなさ れているかをみる事としました。 HbA1c は、過去 2~3 か月間の血糖値のコントロール状態を示す指標です。各種大規模スタディ の結果から糖尿病合併症、特に細血管合併症の頻度は HbA1c に比例しており、合併症を予防する ためには、HbA1c を 7.0%以下に維持することが推奨されています。したがって、HbA1c が 7.0% 以下にコントロールされている患者の割合を調べることは、糖尿病診療の質を判断する指標の 1 つであると考えられます。ただし、インスリンが必要でもインスリンを打てない高齢者、認知症 があり食事したことを記憶できない患者、低血糖を感知できない糖尿病自律神経症を合併してい る患者、狭心症があり血糖を高めにコントロールした方が安全である患者など、各患者の条件に 応じて目標値を変えることが真の糖尿病治療の質”であり、専門医があえて HbA1c を高めに維持 している患者もいます。従って、すべての患者で、厳格なコントロールを求めることが正しいと は限らないことも忘れてはなりません。 【参考 日本病院会 QIプロジェクト参加病院平均値 国保中央病院 60.0% 56.2% 一般社団法人日本病院会 QI プロジェクト(QI 推進事業)】 54.0% 55.0% 51.7% 49.0% 50.7% 50.0% 45.0% 40.0% 35.0% 30.0% 25.0% 20.0% H23.10~H24.9 H24.7~H25.6 18 H25.7~H26.6 国保中央病院 18. 【Quality Indicator】 がん対策における診療の質 【がん対策における診療の質(QI)の計算方法】 標準診療が行われた症例数 / 標準診療の対象となる症例数 厚生労働省がん臨床研究事業「がん対策における管理評価指標群の策定とその計測システムの確立 に関する研究班」(祖父江班)では、がん医療の“均てん化”の推進を目的に、5大がん(胃がん、大腸がん、 肝がん、肺がん、乳がん)と緩和ケアについてのQIを作成しています。 ※祖父江班QIについては、詳しくはこちら http://qi.ncc.go.jp/ このたび、当院でもこのQIを用いて胃がん、大腸がんに関する「診療の質」の評価に取り組みました。 【評価の方法】祖父江班で作成した診療の質の指標(QI)のうち、7項目のQIを用いて評価を行いました。 評価の対象 2012 年~2013 年の院内がん登録で胃がん、大腸がんで新規 に登録され、国保中央病院で治療を行った症例。 データを収集する方法 カルテや検査報告書など、病院に保管されている治療経過の記録 の中から必要な情報を集める。 祖父江班作成のQIでは「標準診療を行われたか、『行われなかった場合には理由を診療録に記載す る』」ということを指標としているので集計表ではそれぞれ分けて集計しています。 (1) 実際に該当する「標準診療」が行われた患者の割合 (2) 「その治療は行われなかったが、行わない理由が記載してあった患者」の割合 (2012 年~2013 年) 胃 が ん QI:1 治療前の腹部造影CT 集計対象症例 実施率 分子 治療前に腹部造影CT(行えない場合には他の腹部画像検査)が施行さ れた患者数 (1) 15 分母 待期手術または化学療法を受けた胃癌患者数(進行癌 深達度T2以上) 15 根拠 転移の有無を検索することでより正確な臨床ステージの決定が可能になり、治療方針の決定に寄与するこ とから、待期手術、化学療法を受ける場合は治療前に腹部造影CT(行えない場合は他の腹部画像検査) を行うべきである QI:2 治療前の血清腫瘍マーカー値の測定 分子 治療前に血清腫瘍マーカー値(CEA、CA19-9、AFPなど)が測定された 患者数 (1) 15 分母 根治的待期手術(進行癌 深達度T2以上に対して)または化学療法を受 けた胃癌患者数 15 根拠 予後予測因子、術後再発早期診断、抗癌剤治療効果の指標として有用であるため根治的手術又は化学 療法を実施する患者に対しては測定され、その結果が診療録に記載されるべきである。 100.0% 集計対象症例 実施率 19 100.0% 国保中央病院 QI:23 Stage II、III(pT2以上)術後TS-1療法 【Quality Indicator】 集計対象症例 実施率 S-1療法による補助化学療法の選択肢が提示されたか、または提示し ない理由が診療録に記載されている患者数 (1) 9 (2) 3 分母 根治手術を受け組織学的にStage II、III(pT2以上)の進行癌と診断され6 週以内に退院した患者数 12 根拠 Stage II、III胃癌患者の術後化学療法の実施は手術単独と比べて有意に高い生存率を示すことから、胃癌 の手術を実施し、組織学的にstage2,3の進行癌と診断され6週以内に退院した患者はS-1療法による補 助化学療法の選択肢が提示されるか、されない場合には診療録に理由が記載されるべきである。 分子 100.0% (2012年~2013年) 大 腸 が ん QI:1 治療前腫瘍マーカー(血清CEA値)の測定 集計対象症例 実施率 分子 治療前の血清CEA値の測定結果が診療録に記載されている患者数 分母 手術または化学療法を受けた大腸癌患者数(深達度T1以上) 根拠 治療前CEA値は大腸癌治癒切除後の予後予測因子として、治療効果の指標として、また術後サーベイラ ンスの際の比較対象として有用であることから、手術を受ける大腸癌患者では、治療前に血清CEA値が測 定され、その結果が診療録に記載されるべきである。 QI:2 術前の全大腸の検索(内視鏡検査または注腸造影検査)が施行された、 集計対象症例 実施率 もしくは施行されない理由が診療録に記載されている患者数 分子 術前に大腸の検索(内視鏡検査または注腸造影検査)が施行された、もし くは施行されない理由が診療録に記載されている患者数 分母 手術を受けた大腸癌患者数 根拠 術前の全大腸内視鏡検査は、大腸癌治療に関する複数のガイドラインでも推奨されており、同時性多発 癌、ポリープの頻度から考えて、必須の検査であると考えられる。そのため手術を受ける大腸癌患者は、術 前に全大腸の検索(内視鏡検査か注腸造影検査)が施行されるか、施行されない場合にはその理由が診 療録に記載されるべきである。 QI:6 術前の腹部画像検査 分子 術前に肝臓を含む腹部造影CT(行えない場合には他の腹部の画像検 査)が施行された患者数 分母 待期手術を受けた大腸癌患者数(深達度T1以上) 根拠 術前の腹部CTは正確な病期診断、および治療方針決定に有用であり、また術後のサーベイランスの比較 対象となることから、SM以深の大腸がんに対して待機手術を受ける患者は、術前に肝臓を含む腹部造影 CT(行えない場合にはUS/MRI等の他の腹部画像検査)が行われるべき。 (1) 28 100.0% 28 (1) 33 100.0% 33 集計対象症例 実施率 (1) 28 100.0% 28 QI:32 Stage IIIに対する術後補助化学療法 集計対象症例 実施率 分子 術後8週間以内に標準的補助化学療法が施行されたか、もしくは施行し ない理由が診療録に記載されている患者数 分母 組織学的Stage IIIと診断された大腸癌患者数 根拠 大腸癌治療ガイドラインではStageⅢ大腸癌に対する術後補助化学療法を推奨しており、国内の臨床試 験では化学療法を術後8週以内と定めているため。 (1) 4 (2) 4 100.0% 8 【使用したQI出典】厚生労働省がん臨床研究事業「がん対策における管理指標群の策定とその計測システ ムの確立に関する研究」班:診療の質指標 20 Quality Indicator 2009 国保中央病院 19. 【Quality Indicator】 手術部位感染率(Surgical site infection: SSI) 【手術部位感染発生率の計算方法】 手術部位感染発生率(%)= 手術部位感染(SSI)発生数 / SSI 対象術式件数 × 100(%) 手術部位感染(Surgical site infection: 以下 SSI)は外科手術後30日以内における手術を 行った部位に発生する感染症のことです。さらに切開部表層・切開部深層・臓器/体腔と区分があ ります。 発生率はJANIS のコード分類に準じて求めており、毎年コード変更に対応しています。 感染リスクのある「手術」という医療行為においては、現在のところ 100%感染を防ぐ方法はあ りませんが、手術前・中・後に適切な取り組みを行っています。今後も感染の原因追究を継続的 に行い、SSIを減らす努力をしていきたいと考えます。 900 800 手術件数 件 5.1% 700 600 500 SSI発生数 6.0% SSI発生率 795 5.0% 3.9% 584 576 4.0% 3.9% 3.8% 3.0% 400 2.6% 308 300 337 2.0% 200 1.0% 100 30 31 22 H21 H22 H23 21年度 SSI 対象術式件数 外科 22年度 23年度 H25 24年度 25 年度 199 198 159 161 18 13 19 7 12 10.4% 6.5% 9.6% 4.4% 7.5% 393 519 333 132 164 12 18 3 1 1 3.1% 3.5% 0.9% 0.8% 0.6% 18 77 45 17 12 感染発生件数 0 0 0 0 0 発生率 0 0 0 0 0 感染発生件数 SSI 対象術式件数 感染発生件数 発生率 SSI 対象術式件数 泌尿器科 0.0% H24 173 発生率 整形外科 13 8 0 21 国保中央病院 20. 【Quality Indicator】 尿道留置カテーテル使用率 【尿道留置カテーテル使用率の計算方法】 分 子 : 尿道留置カテーテルが挿入されている入院述べ患者数 分 母 : 入院述べ患者数 カテーテル関連尿路感染症の発生率を算出するための前段階指標で、どのくらいの患者さんに 尿道留置カテーテルが使用されているかをみています。尿路感染は医療関連感染の約 40%を占め ており、そのうち 66~86%が尿道カテーテルなどの器具が原因です。いったん尿道カテーテルを 挿入すると 15 日までに 50%、1ヶ月までにほぼ 100%尿路感染症を起こすといわれています。尿路 感染症は一般的には重症化することなく無症状で経過することがほとんどですが、まれに膀胱炎、 腎盂炎、敗血症に至ることがあるため、適切に管理することが重要です。このように、尿道留置 カテーテル関連尿路感染対策は医療関連感染対策の重要な課題の一つとなっています。 なお、こちらの指標については、平成 25 年度から算出を開始している為、単年度のみの掲載と なっております。 【参考 一般社団法人日本病院会 QI プロジェクト(QI 推進事業)】 35.0% 30.0% 25.0% 20.0% 15.0% 10.0% 19.7% 5.0% 0.0% H25 22 国保中央病院 21. 【Quality Indicator】 輸血廃棄率 【輸血廃棄率の計算方法】 輸血廃棄率(%)= 廃棄赤血球製剤単位数 / 検査室より出庫された赤血球製剤単位数 × 100(%) 【当院数値・解釈】 輸血用の血液製剤は、安全で適切に無駄なく使用されなければなりません。 平成 21 年 10 月より、輸血用血液製剤を中央検査室で一元管理を行うようになり、血液センタ ーへの発注と受け取り後の保存、クロスマッチング検査、病棟への払い出し、輸血前の検体保存 を医療安全上の視点から大変重要と考え取り組んでいます。 25 年度は電子カルテが導入され、新しく掲示板に返品血液製剤を記載し、再利用をお願いして おりましたが、再利用率が減少し、廃棄率が上昇しました。今後は返品になった輸血用血液製剤 を分かりやすく掲示板に掲載し、必要な方に使用していただく事が廃棄率を下げる要因になりま す。貴重な輸血製剤を大切に使用するように、継続的な取り組みを実施していきたいと考えてい ます。 発注 廃棄 廃棄率 単位 8.00% 1200 7.21% 7.00% 1010 915 895 6.00% 6.14% 801 5.00% 1000 800 683 4.00% 600 3.51% 3.00% 3.00% 2.79% 400 2.00% 1.00% 200 66 24 24 25 62 0.00% 0 H21 H22 H23 23 H24 H25 国保中央病院 22. 【Quality Indicator】 転倒・転落発生率 【転倒・転落発生率の計算方法】 転倒・転落発生率(‰)=(転倒・転落件数/入院延患者数) × 1000(‰) 損傷発生率(‰)=(損傷レベル 4 以上の転倒・転落/入院延患者数) × 1000(‰) 入院中の患者さんは、入院という環境の変化によるものや病態そのものの動作障害、治療・手術な どによる身体的変化などが原因となり転倒・転落を起こすことがあります。 これらの転倒・転落は外傷や骨折につながり、患者さんの回復遅延や日常生活動作の低下など生活の 質に大きな影響を及ぼします。転倒・転落を完全に予防することは困難ですが、その発生を可能な限 り防ぐために様々なリスクを把握して予防に取り組む必要があります。 したがって、転倒・転落件数や受傷内容は病院の看護の質を示す重要な指標の一つとなり、防止す ることが病院とりわけ看護部門にとって大きな課題です。 入院患者さんには平成 17 年より転倒アセスメントスコアシートによる点数評価を行い、危険度別にい ろいろな対策を実施してきましたが、平成 20 年以降、転倒・転落件数は増加傾向をたどりました。 そのため、平成 24 年度には転倒防止センサーマットの増数やベッド柵に触れると鳴る”手すりコー ル”の導入を行い、L 字型介助手すりや安定性の良いポータブルトイレの増数も行いました。さらに、 理学療法士によるポータブルトイレへの移動動作の指導やベッド周囲環境整備、夜間、看護師による 巡回などを行ってきました。 その結果、効果は少しずつ上がり、右肩上がりとなっていた転倒・転落発生件数は平成 23 年度を境 に少しずつ減少させることができ、平成 25 年度損傷レベル 4 以上の損傷発生件数は 1 件でした。 今後とも、転倒・転落の原因を詳細に分析し、さらに減らすよう対策を立て取り組んでいきたい。 【転倒・転落件数と転倒発生率】 件 転倒・転落件数 250 3.42 200 150 100 2.66 202 ‰ 転倒率 4 3.69 220 3.26 3.21 3.5 3 2.5 174 148 158 2 1.5 1 50 0.5 0 0 H21 H22 H23 24 H24 H25 国保中央病院 【Quality Indicator】 【転倒・転落件数による損傷件数と損傷発生率】 件 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 損傷件数 0.13 ‰ 損傷発生率 0.14 0.11 0.12 0.1 0.09 8 0.08 0.05 7 5 0.06 0.02 3 H21 H22 H23 H24 1 0.04 0.02 0 H25 転倒・転落による損傷件数や損傷発生率は、平成 20 年以降、転倒アセスメントスコアシートに よる点数評価と危険度別対策を行なったことで減少維持しています。 損傷レベル 1 2 3 4 5 6 説 明 なし 軽度 中軽度 重度 死亡 UTD 患者に損傷はなかった 包帯、氷、創傷洗浄、四肢の拳上、局所薬が必要となった、あざ・擦り傷を招いた 縫合、ステリー・皮膚接着剤、副子が必要となった、または筋肉・関節の損傷を招いた 手術、ギプス、牽引、骨折を招いた・必要となった、または神経損傷・身体内部の損傷の診察が必要となった 転倒による損傷の結果、患者が死亡した 記録からは判定不可能 件 安全対策の一環として病院全体で、日々、転倒・転落防止のため取り組んでいます。 今後も、ひとりでも多く転倒・転落事故の発生を防げるよう、医療安全委員会を中心に職員全員で取 り組んでまいります。 25 国保中央病院 23. 【Quality Indicator】 患者満足度 病院に対する患者の評価として、毎年入院患者・外来患者の満足度調査をアンケート方式で行 いサービス向上委員会にて分析、評価し患者にフィードバックしています。 満足度は個々の患者一人一人に違いがあることを医療者が理解する指標にもなります。満足か ら不満までを5段階で「診療面」 「接遇面」 「環境面」の 12 項目の質問と自由記載で意見をいただ けるような内容を心がけています。 満足に安心するのではなく、何%かの不満に対応できるように取り組んでいます。 【設問 : 病院に満足していますか】 分子 満足 分母 回答者数 【入 5点 やや満足 普通 3点 やや不満 2点 不満 1点 (無回答除く) 院】 満足 やや満足 普通 31.0% H25 37.7% H23 38.2% 0% 10% 20% 17.2% 14.8% 0.0% 55.2% 6.6% 0.0% 45.8% 44.1% H21 不満 47.5% 37.9% H22 やや不満 50.0% H24 【外 4点 11.1% 38.2% 30% 40% 50% 60% 11.8% 2.9% 70% 80% 90% 100% 来】 満足 H25 34.0% H24 34.5% やや満足 普通 0% 10% 14.0% 1.0% 46.4% 20.3% 38.4% 22.0% H21 11.1% 0.9% 49.5% 24.5% H22 34.8% 45.9% 20% 不満 53.3% 28.5% H23 やや不満 30% 40% 50% 26 1.9% 28.3% 60% 70% 80% 4.5% 2.6% 90% 100% 国保中央病院 24. 【Quality Indicator】 入院患者の食事満足度 食事内容については疾病や年齢層が幅広いこと、また、味付けの薄い辛いについても疾病や家 庭での味付けの違いにより、一人々々感じ方に違いがあるのではないかと思われます。温度につ きましては、各階最初に配膳される方と最後の方との時間の差により不満という方が多少おられ たのかと思われます。現在は配膳の順序を朝・昼・夕により交替など工夫をしております。また、 当院は普通食の患者さんに週1回選択メニューを実施しております。選択メニューは喜んでいた だいているようです。今後は回数増に取り組んでまいります。 平成 21 年度 満足 やや満足 41.5% 50.0% 54.5% 47.7% 45.5% メニューや味… 衛生 片付け 温度 時間 0% 10% 20% 30% 普通 21.5% やや不満 不満 21.5% 12.3% 25.8% 21.2% 0.0% 15.2% 24.2% 1.5% 26.2% 23.1% 1.5% 22.7% 25.8% 3.0% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 平成 22 年度 満足 32.3% メニューや味… 衛生 片付け 温度 時間 51.6% 46.8% 46.8% 41.9% 0% 10% 20% やや満足 21.0% やや不満 不満 32.3% 9.7% 17.7% 25.8% 3.2% 14.5% 32.3% 4.8% 11.3% 38.7% 3.2% 6.5% 48.4% 3.2% 30% 平成 23 年度 【入院中の食事について】 とても良い 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% * H23 年度は京都大学 QIP 事業の調査結果を参照 良い 12.2% 普通 普通 悪い 29.7% とても悪い 50.0% 8.1% 平成 24 年度 メニューや味… 衛生 片付け 温度 時間 0% 13.1% 満足 やや満足 42.6% 30.0% 29.5% 29.5% 25.0% 10% 20% 30% 40% 普通 やや不満 37.7% 43.3% 41.0% 41.0% 41.7% 50% 60% 70% 不満 4.9% 1.7% 0.0% 1.6% 0.0% 25.0% 29.5% 27.9% 33.3% 80% 90% 100% 平成 25 年度 メニューや味… 7.3% 衛生 14.5% 片付け 14.5% 温度 9.1% 時間 8.9% 0% 10% 満足 32.7% やや満足 普通 43.6% 43.6% 52.7% 41.1% 20% 30% 40% 27 50% やや不満 不満 49.1% 38.2% 38.2% 36.4% 46.4% 60% 70% 80% 10.9% 3.6% 3.6% 1.8% 3.6% 90% 100% 国保中央病院 25. 【Quality Indicator】 患者待ち時間 予約診療が中心となっている現在の診療体制でも、外来待ち時間は患者からの苦情のトップと なっています。 外来待ち時間が発生する原因には、診療行為の延長や救急患者への緊急対応などがあります。 また、少しでも多くの患者を診ようとする医療従事者の姿勢でもあります。 しかし、患者満足度向上のためにも、外来待ち時間の短縮や患者の不満軽減等に対する取り組 み(待ち時間を利用した情報の提供など(検診や禁煙・糖尿病などの特殊外来のPR))が今後の 課題であります。 各科待ち時間推移 (予約あり) 分 40 36 35 30 30 25 24.8 20 20.2 17.1 13.9 15 26.2 26 24.1 28 26 20 19 18 30 20 18 12.1 10 H20 H23 H21 内科 外科 H24 整形外科 H25 泌尿器科 各科待ち時間推移 (予約なし) 100 分 93 90 85 80 70 69 60 54.2 50 40 42.3 38.8 34.3 30 48 45 40 39 37 52 49 33 24.5 21.6 20 61 54.6 10 H20 H23 H21 内科 外科 整形外科 28 H24 小児科 H25 泌尿器科 国保中央病院 26. 【Quality Indicator】 栄養指導件数 医師の指示のもと、治療の一環として患者個々の身体状況に合わせた栄養管理を管理栄養士が 行い、治療効果を上げることを目標としています。また、飽食の時代と言われるようになった現 代、生活習慣病の一次予防として食生活改善のために、栄養指導が必要であると考えられます。 栄養指導件数 74 H25 87 H24 91 H23 89 134 46 入院 94 H22 57 外来 113 H21 0 51 50 100 150 200 内科(糖尿病・脂質代謝異常・腎臓疾患等)外科(消化管術後) 250 件 泌尿科(腎疾患)からの依 頼が多く、特に糖尿病を始めとする生活習慣病の件数が増加傾向にあります。 栄養指導内容の内訳 11 H25年度 4 5 9 9 5 41 H24年度 6 H23年度 13 5 8 H22年度 12 6 8 H21年度 12 7 0 高脂血症 10 心臓高血圧 10 20 6 12 3 20 10 6 16 腎疾患 7 3 40 消化管術後 29 2 7 35 30 6 8 50 肝疾患 60 13 70 後期高齢者 22 80 肥満 90 その他 国保中央病院 27. 【Quality Indicator】 医療相談件数 当院では、平成15年8月に医療・福祉に関する相談を行う地域医療室が開設されました。その後、 平成20年4月からは専門的な医療知識を必要とする相談にも対応するために看護師を配置し、名称 も地域支援センターへ変更し、業務を行っています。 ここにおける数値は、全ての医療相談件数(外来・入院の相談)の数です。相談窓口を設置し て以来年々増加しておりましたが、平成23年度以降の患者数の減少による影響と平成25年度より 相談件数のカウント方法を見直し、より濃密な相談内容のみをカウントするようした事により、 医療相談件数は減少しております。 また、がん相談件数に関しても、国立がんセンターの様式を用いる件数のカウント方法に変更 した為(延べ相談件数から実相談件数に変更)、統計上は減少となっております。今後も奈良県 地域がん診療連携支援病院であることやホスピスを有している病院であることから、積極的に多様な相談 を受けていきたいと考えています。 件 がん相談件数 4,500 4,000 3,500 475 999 3,000 2,500 839 449 2,000 3,510 3,026 1,500 1,000 医療相談件数 532 2,127 2,383 2,036 500 0 H21 H22 H23 30 H24 H25 国保中央病院 28. 【Quality Indicator】 感謝と苦情の割合 病棟5ヶ所、外来1ヶ所に“患者さまの声”ボックスを設置し、患者やご家族、面会者の皆さ んのご意見を直接お聞きしています。その中から苦情については速やかに関係部署に報告して検 討・改善策の内容を掲示版でフィードバックしています。 苦情の割合が感謝を上回っていますが、一つ一つ苦情を感謝に変換していく努力が、個人の満 足度から総合的な満足度に繋がるのではないかと考えられます。 患者にご満足いただける病院に、安心して利用していただける病院に近づけるように努めてい きます。 90 件 77 80 70 61 60 58 総数 56 51 50 42 41 40 30 内、苦情 34 31 26 内、感謝 20 18 10 6 9 12 10 0 H21 H22 H23 H24 31 H25 QI 委員会を代表して 近年、医療の質を表す指標(QI)を公表する病院が増えてきています。当院でも、理念 に掲げています医療の質を高めるために、さまざまな QI を公表し、それを職員にフィー ドバックすることにより QI すなわち質の改善が図られること、また、他の医療施設と比 較するためのベンチマーキングになることから QI を公表する準備を進めてきました。こ れにより優れた指標を示す他施設の診療内容や病院運営管理を参考にさせていただき、当 院の医療の質の改善につなげていきたいと考えています。 平成 23 年度からは、日本病院会の QI 推進事業にも積極的に参加し、定期的に指標デ ータを提出しています。指標項目については、今後さらに検討し、臨床指標項目を増やせ るよう努力していきたいと思います。 最後に、QI の公表にあたり、データ収集・分析に多大な尽力を尽くしていただきまし た故上田征昭次長に深謝いたします。 平成 24 年 1 月 QI 委員会 委員長 委 員 初 版 更 新 更 新 更 新 阪井 山田 河野 川﨑 利幸 行重 弥生 忠記 奥谷 江島 奥田 : 平成 23 年 12 月 : 平成 24 年 12 月 : 平成 25 年 9 月 : 平成 26 年 8 月 泰造 陸司 篤志 副院長 阪井利幸
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