プログラム・抄録集

第 167 回日本結核病学会関東支部学会
第 167 回日本結核病学会関東支部学会
第 213 回日本呼吸器学会関東地方会 合同学会
第 213 回日本呼吸器学会関東地方会 合同学会
プログラム・抄録集
日時 平成27年2月14日
(土)8:40~17:56
日時
平成 27 年 2 月 14 日(土)8:40~17:56
会場
慶應義塾大学 薬学部
会場 慶應義塾大学
薬学部 芝共立キャンパス
芝共立キャンパス
〒105-8512 東京都港区芝公園
1-5-30
〒105-8512
東京都港区芝公園1-5-30
TEL 03-3434-6241
03-3434-6241
TEL
会長 長谷川 直樹(慶應義塾大学医学部 感染制御センター)
会長 長谷川 直樹(慶應義塾大学医学部 感染制御センター)
都営大江戸線
羽田空港方面
至 両国
至 東京
浜松町駅
至 品川
JR 山手線・京浜東北線
東京モノレール
至 日本橋
芝共立
キャンパス
至 日比谷
至 五反田
都営浅草線
港区役所
御成門駅
A2 出口
大門駅
A6 出口
正面口
至 新宿
都営三田線
至 目黒
増上寺
■交通アクセス
■交通アクセス ※駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用ください
電車
電 車●浜松町駅(JR山手線/JR京浜東北線)徒歩10分
●御成門駅(都営地下鉄三田線)徒歩2分
●浜松町駅(JR 山手線/ JR 京浜東北線)徒歩 10 分
●大門駅(都営地下鉄浅草線/都営地下鉄大江戸線)徒歩6分
●御成門駅(都営地下鉄三田線)A2 出口より徒歩 2 分
●大門駅(都営地下鉄浅草線/都営地下鉄大江戸線)A6 出口より徒歩 6 分
座長、演者の先生方へ
1.座長紹介のアナウンスはいたしませんので、各自簡単な自己紹介
(所属と名前)
をして始めてください。
2.演者の紹介も所属と氏名のみで演題名は省略願います。
3.発表 5 分、質問 2 分です。時間厳守でお願いいたします。
<利益相反(COI)申告のお願い>
本学会では、地方会における医学研究に関する発表演題での公明性を確保するため、発表者に利益相反事
項に関する申告を行っていただきます。
申告方法は、1)演題登録画面での利益相反事項の入力、2)
発表データでの利益相反事項の開示となります。
<PC 発表についてのご案内>
1.発表形式は PC 発表のみです。
●発表スライドの TOP に COI 情報を記載した画面を掲示してください。
(必須)
●会場で使用するパソコンの OS およびアプリケーションは Windows 版 PowerPoint2003、2007、2010、
2013 です。
●発表用データは USB メモリでご持参ください。CD-R や PC の持ち込みはできません。
●発表予定時刻の 30 分前までに確認を終了してください。
●演者ご自身で操作をお願いいたします。
ご参加の皆様へ
1.会場内での発言はすべて座長の指示に従い、必ず所属・氏名を述べてから簡潔に発言してください。
2.学会中の呼び出しは緊急でやむを得ない場合以外いたしません。
3.会場には駐車場の用意はございません。
4.会場周辺は飲食店が少ないので、昼食はランチョンセミナーをご利用になることをお勧めいたします。
5.当日のプログラムは部数が限られております。会員の方はご持参くださいますようお願いいたします。
6.日本結核病学会関東支部学会では、受付にて参加証を配布します。結核・抗酸菌症認定医・指導医・エ
キスパート資格の申請・更新に必要な 5 単位を取得できます。
7.日本呼吸器学会員は、会員カードをお持ちください。
日本呼吸器学会専門医のかたは地方会出席で 5 単位です。専門医をお持ちでない場合も参加受付を必ず
行ってください。
なお、代理の方による受付はできません。必ずご本人が行ってください。
参加登録および専門医単位の確認を会員専用ページで行ってください。
8.初期研修医・医学生の発表に対する表彰式を 13:50~14:00 で行います。
演者および関係者のかたがたは必ずご出席ください。
※会員カードを 1 名で複数枚、または代理の持ち込みはご遠慮願います。なお、最近入会された先生方
は未発行です。それまでは、受付名簿に所属・氏名をご記入ください。
1
第 167 回日本結核病学会関東支部学会
第 213 回日本呼吸器学会関東地方会 合同学会 日程表
※発表 5 分 質問 2 分
第1会場(1号館B1F 講堂)
第2会場(3号館11F 1101会議室)
8:40~8:45
8:45~9:27
9:00
10:00
開会の辞
医学生・初期研修医の発表 I 研 1~研 6
座長:小熊 剛
9:27~10:02
医学生・初期研修医の発表 II 研 7~研 11
座長:大西 司
10:02~10:37
医学生・初期研修医の発表 III 研 12~研 16
座長:西尾 和三
10:37~11:19
11:00
医学生・初期研修医の発表 IV 研 17~研 22
座長:青島 正大
11:19~12:01
医学生・初期研修医の発表 V 研 23~研 28
座長:駒瀬 裕子
12:00
12:10~13:40
13:00
14:00
ランチョンセミナー
若手医師への抗酸菌感染症のセミナー 基礎から臨床まで
「肺非結核性抗酸菌症の疑問と課題」
演者:森本 耕三
「結核症の感染免疫」
演者:西村 知泰
座長:西村 知泰、森本 耕三
共催:大正富山医薬品株式会社
日本結核病学会関東支部 総会
医学生・初期研修医優秀者表彰式
12:20~13:20
日本結核病学会関東支部
代議員会
13:40~13:50
13:50~14:00
14:00~14:42
セッションI 1~6
座長:奥村 昌夫
15:00
セッションII 7~11
座長:高崎 仁
セッションIII 12~16
座長:川島 正裕
16:00
セッションIV 17~21
座長:佐山 宏一
セッションV 22~26
座長:猪狩 英俊
17:00
14:42~15:17
14:50~15:32
セッションVII 34~39
座長:高橋 典明
15:17~15:52
15:32~16:14
セッションVIII 40~45
座長:大石 展也
15:52~16:27
16:14~16:56
セッションIX 46~51
座長:清水 邦彦
16:27~17:02
16:56~17:38
17:02~17:51
セッションX 52~57
座長:中村 守男
セッションVI 27~33
座長:坂巻 文雄
17:51~17:56
閉会の辞
2
第 1 会場(1 号館 B1F 講堂)
開会の辞 8:40~8:45
会長 長谷川直樹(慶應義塾大学医学部感染制御センター)
医学生・初期研修医の発表Ⅰ 8:45~9:27
座長 小熊 剛(東海大学医学部内科学系呼吸器内科)
研 1. 肺結核治療中に、エタンブトールによる薬疹とイソニアジドによる薬剤性肺障害を
きたした 1 例
東京医科歯科大学医学部呼吸器内科
まんだ
もこ
○萬田木香、東 盛志、岡本 師、足立雄太、本多隆行、佐内 文、
三ツ村隆弘、内堀 健、古澤春彦、立石知也、藤江俊秀、土屋公威、
玉岡明洋、坂下博之、宮崎泰成、角 勇樹、稲瀬直彦
症例は 80 歳男性。肺結核 bII3 に対して、INH、RFP、EB を開始し 12 日目に、発熱、滲出性紅斑を認めた。3
剤中止しステロイド軟膏塗布で改善した。SM を先行させ EB を再開したところ、再度、発熱、紅斑を認め、
EB が原因と考えられ中止した。RFP、INH を順次再開し 24 日目に、発熱、低酸素血症、胸部画像ですりガラ
ス影を認めた。INH 中止のみで改善を認め、INH による薬剤性肺障害と考えられた。
研 2.
抗 ARS 抗体陽性皮膚筋炎を発症した気腫合併肺線維症の一例
NTT 東日本関東病院初期臨床研修医1、NTT 東日本関東病院呼吸器内科2
ひの
としや
○日野俊哉1、小原さやか2、棚井千春2、田中良明2、野田裕道2、臼井一裕2
65 歳男性。呼吸困難にて入院。高 CK 血症、身体所見等から皮膚筋炎(抗 ARS 抗体陽性)の診断。胸部 CT 上
は肺気腫と両肺下葉に網状影がみられ気腫合併肺線維症の所見。また、左肺に不整形の陰影を認め TBLB にて
器質化肺炎の診断。ステロイドパルス療法の後、プレドニン維持療法、シクロスポリンを追加し、皮膚筋炎は
軽快。左肺の陰影も消失。皮膚筋炎を発症した気腫合併肺線維症は稀であり報告する。
研 3. 間質性肺炎の増悪との鑑別に苦慮した肝肺症候群の一例
聖路加国際病院呼吸器内科
おがわ ゆうすけ
○小川悠介、小林宏維、中岡大士、岡藤浩平、北村淳史、冨島 裕、
仁多寅彦、西村直樹、田村友秀、蝶名林直彦
66 歳男性。無治療のアルコール性肝硬変あり。進行性の労作時呼吸困難を主訴に来院。既存の間質性肺炎の増
悪を疑いステロイドパルス療法を開始するも呼吸不全は進行した。胸部 CT にて胸膜に伸展する血管拡張像が
疑われ、コントラスト心エコーにて右左シャントの存在を確認し、肝肺症候群と診断した。保存的治療にて 2
か月の経過で永眠された。間質性肺炎に肝肺症候群が合併した場合の画像所見は注意を要すると考えられた。
3
研 4.
抗 MAC 抗体陽性を示した肺分画症の一切除例
川崎市立井田病院呼吸器内科1、聖隷横浜病院呼吸器外科2
こばやし けんた
○小林研太1、会田信治1、長谷川華子1、塩見哲也1、西尾和三1、大内基史2
56 歳、男性。CT 上で左下肺に空洞を伴う浸潤影を認め、当院紹介受診。抗 MAC 抗体陽性、気管支鏡所見、
胸部 DynamicCT 上で大動脈から分枝する異常血管を認めたことから、非結核性抗酸菌(NTM)感染を合併し
た肺分画症が考えられた。CAM、RFP、EB の 3 剤を 4 ヶ月内服後に外科的切除施行。病理学的には NTM 感
染を示唆する所見は認められなかった。肺分画症、抗 MAC 抗体に関し、文献的考察を交えて報告する。
研 5. 肺アスペルギルス症経過中、術後 10 年以上を経て肺に転移再発した精巣腫瘍の一例
国家公務員共済組合連合会立川病院内科1、国家公務員共済組合連合会立川病院泌尿器科2、
国家公務員共済組合連合会立川病院病理科3
いなもと
りん
○稲本 林1、加行淳子1、黄 英文1、西本紘嗣郎2、内田 厚2、緒方謙太郎3、
太田晃一1
77 歳男性。肺アスペルギルス症につき 8 年来加療中、入院 5 か月前の胸部 CT で右小葉間裂に腫瘤影が出現し
た。入院 1 か月前より背部痛が出現、その後右小葉間裂腫瘤は急速に増大した。精査待機中に呼吸困難で緊急
入院時 DIC 状態であり、直後より第 2 胸椎転移性腫瘍による対麻痺が出現・完成した。CT ガイド下生検の結
果、65 歳時左除睾術後の精巣腫瘍肉腫成分の転移再発と診断された。希有な一例を経験したので報告する。
研 6. 治療に難渋した居住環境中のアスペルギルスによる慢性過敏性肺炎の一例
昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科部門
こばやしたかひろ
○小林孝弘、鈴木慎太郎、古川 瞳、福田陽佑、桑原直太、木村友之、
眞鍋 亮、平井邦朗、神野恵美、宮田祐人、村田泰規、岸野(大木)康成、
田中明彦、横江琢也、大西 司、相良博典
70 歳男性。抗菌薬不応性の肺炎として当科に紹介受診した。胸部単純 CT で以前から指摘されていた間質性陰
影の増悪を認めた。帰宅する度に症状が増悪し慢性過敏性肺炎を疑い患者宅でのサンプリングを行った。寝室
から検出された Aspergillus fumigatus もしくは A. niger による慢性過敏性肺炎と考えた。同菌は慢性過敏性肺
炎を生じにくいとされるが、一方で環境中に広く存在するため抗原回避が困難である。
医学生・初期研修医の発表Ⅱ 9:27~10:02
座長 大西 司(昭和大学医学部呼吸器・アレルギー内科)
研 7.
Pasteurella multocida 肺炎による敗血症から腸腰筋膿瘍、椎体炎、髄膜炎をきたし
長期抗菌薬治療を要した 1 例
JCHO 東京新宿メディカルセンター呼吸器内科
おだわら なりあき
○小田原成彬、小林正宏、山下未来、日野 葵、小島 弘、清水秀文、
堀江美正、溝尾 朗
90 歳女性、室内犬を飼育。肺炎の診断で入院となり、血液培養、痰培養から P. multocida が検出された。第 7
病日より右下腹部痛、腰痛出現し、画像検索の結果、L1 椎体炎、右腸腰筋膿瘍を認めた。その後、髄膜炎の合
併も指摘された。計 4 か月の抗菌薬投与で寛解に至った。同菌はイヌ・ネコによる咬・掻傷からの感染だけで
なく経気道感染もあり、本症例のように重篤な経過を呈する場合もあるため注意を要する。
4
研 8. 多発性嚢胞腎に気管支動脈肺動脈瘻が合併した一例
東京都保健医療公社大久保病院
おおい ゆうき
○大井由貴、中田潤子、関根裕子、杉田知妹
多発性嚢胞腎(以下 PKD)にて通院中の 73 歳女性。就寝中、午前 2 時に喀血。おさまるも午前 5 時に再び喀
血したため来院した。造影胸部 CT にて気管支動脈肺動脈瘻からの出血が確認されたため、気管支動脈塞栓術
を施行した。PKD は脳、腹部の血管異常を合併することが知られているが、肺の血管異常を合併することは稀
である。若干の文献的考察を加え報告する。
研 9. 真武湯による薬剤性肺炎の一例
東京医科大学呼吸器内科学分野
もり
みほ
○森 美穂、山越志保、杉山伸也、藤原赤人、冨樫佑基、宮地敦子、
笠木 聡、中山秀章、瀬戸口靖弘
2014 年 2 月から乾性咳嗽、息切れが出現、3 月近医受診。非定型肺炎が疑われ、抗生剤、鎮咳剤を処方された
が、症状は軽快せず、紹介受診。来院時、胸部背側に捻髪音(+)、室内気 SpO2 94%、KL-6 5152U/ml。また、
2013 年 12 月から下痢が有り、柴苓湯と真武湯が投与。臨床経過と DLST から、真武湯による薬剤性肺炎と診
断。薬剤中止後、症状軽快。真武湯による薬剤性肺炎はこれまで報告がなく症例を提示する。
研 10.金属表面処理作業中の硝酸ガス曝露により急性呼吸不全を呈した 1 例
東京大学医学部附属病院呼吸器内科1、東京大学医学部附属病院検査部2
きど やすとし
○城戸康年1、砂金秀章1、竹島英之1、三谷明久1、成本 治1、田中 剛1、
高井大哉2、高見和孝1、大石展也1、長瀬隆英1
症例は 50 歳男性。金属表面処理作業中、発生した硝酸ガスを吸入、翌日未明から咳嗽と呼吸困難が増悪し当院
救急外来を受診。来院時呼吸不全と、胸部 CT にて両側にびまん性斑状影を認め、化学性肺炎による急性呼吸
不全と診断し ICU 入室となった。ステロイドパルス療法およびステロイド後療法施行、陰影ならびに呼吸不全
の改善を認め第 15 病日に退院。その後、線維性閉塞性細気管支炎による再増悪を認めず、良好な経過であっ
た。
研 11.経皮肺生検と臨床経過より肺原発淡明細胞癌と診断した 1 例
江東病院呼吸器・感染症センター
かみや あゆみ
○神谷歩美、小幡賢一、門屋講太郎、藤川貴浩、糸魚川幸成、工藤宏一郎、
田村尚亮
症例は 75 歳男性。喫煙歴 30 本/日 40 年間。健診で右下肺野に腫瘤影を認めた。X 年 12 月経皮肺生検で淡明細
胞癌と診断。免染で CK7(+)CK20(-)で TTF-1(-)CD10(+)のため腎原発も否定できなかったが、CT
で腎に病巣なく経過中も変化ないため肺原発と考えた。以降 BST となり、原発巣及び縦隔リンパ節が拡大、
X+1 年 8 月多発性脳転移と右副腎転移が出現、11 月死亡した。剖検は得られなかった。肺原発淡明細胞癌は少
なく文献的検索を加え報告する。
5
医学生・初期研修医の発表Ⅲ 10:02~10:37
座長 西尾和三(川崎市立井田病院呼吸器内科)
研 12.胸膜癒着術後に急速に進行した高度皮下気腫の一例
昭和大学医学部卒後臨床研修センター1、昭和大学病院呼吸器外科2、
昭和大学病院呼吸器・アレルギー内科3
むらい
そう
○村井 聡1、渡部良雄3、桑原直太3、南方孝夫2、古川 瞳3、眞鍋 亮3、
水間紘子3、氷室直哉2、岸野康成3、富田由里2、楠本壮二郎3、片岡大輔2、
大西 司3、相良博典3、門倉光隆2
悪性関節リウマチでステロイド内服をしていた 60 歳の女性。初発の右緊張性気胸で救急搬送され胸腔ドレーン
が留置された。肺の拡張は得られたがエアーリークが持続するため、第 5 病日に自己血を用いた胸膜癒着術を
施行した。癒着後より呼吸困難感、嗄声を訴え、突然の高度な皮下気腫を認め集中管理部門へ転床し、直ちに
皮下ドレーンを留置した。胸膜癒着術施行後に致死的な皮下気腫を呈した一例を報告する。
研 13.間質性肺炎を伴う高齢発症の全身性エリテマトーデスの 1 例
独立行政法人国立病院機構災害医療センター
ならば
ひろむ
○奈良場啓、井部達也、毛利篤人、亀山伸久、武岡慎二郎、本間千絵、
上村光弘
76 歳の男性。画像所見上、間質性肺炎と考えられ、経過観察となっていた。白血球、血小板の低値を伴うもの
の、原因同定には至らなかった。発熱、呼吸苦がみられ、左肺下葉浸潤影をみとめたため、抗菌薬加療を施行
したところ、改善傾向が得られた。その後、溶血性貧血を併発したことより、全身性エリテマトーデスの診断
に至った。肺野病変を伴う高齢発症の全身性エリテマトーデスの報告は少なく、文献的考察を含め報告する。
研 14.複視を初発症状に健常成人女性に発症し、治療に難渋した粟粒結核・結核性髄膜炎の一例
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科1、東京歯科大学市川総合病院神経内科2
たざわ ゆうき
○田澤雄基1、中島隆裕1、岩見枝里1、中鉢正太郎1、松崎 達1、寺嶋 毅1、
阿部哲郎2、岡田 聡2
症例は 62 歳女性。2014 年 5 月複視を主訴に眼科を受診したが、その 4 日後に意識障害、右上肢痙攣で救急搬
送された。意識障害を伴う結核性髄膜炎は、結核感染症の中で現在でも予後不良とされ、早期診断・早期治療
の重要性が強調されている。初発症状から 1 週間以内に診断、治療開始され、一時改善傾向にあったにもかか
わらず、経過中のステロイド減量で意識障害が悪化し治療に難渋した一例を経験したので報告する。
6
研 15.友人宅で飼育していたフクロウが原因と考えられた慢性鳥関連過敏性肺炎の一例
聖マリアンナ医科大学初期臨床研修センター1、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院呼吸器内科2、
東京医科歯科大学呼吸器内科3
かさがわ
あきら
○笠川 彰1、山口裕礼2、駒瀬裕子2、小野綾美2、檜田直也2、石田 明2、
立石知也3
症例は 77 歳男性。特発性間質性肺炎の経過観察中に呼吸困難が増悪し入院となった。入院後の問診にて、5 年
前から友人がフクロウを飼育しており、友人宅に出入りするようになってから呼吸困難の悪化を認めた事が分
かった。入院後は抗原隔離のみで自覚症状、呼吸機能の改善と KL-6 の低下が認められた。以上の経過から慢性
鳥関連過敏性肺炎と診断し、友人宅には行かないようにしたところ呼吸困難の悪化は出現していない。
研 16.急速に増大した仮性肺動脈瘤にコイル塞栓術を施行した一例
東海大学医学部内科学系呼吸器内科学1、東海大学医学部専門診療学系画像診断学2
もりせ まさひろ
○森瀬昌裕1、小熊 剛1、友松裕美1、田中 淳1、佐藤雅子1、堀尾幸弘1、
滝口寛人1、友松克允1、滝原崇久1、新美京子1、端山直樹1、青木琢也1、
浦野哲哉1、伊藤千尋2、小泉 淳2、浅野浩一郎1
症例は 89 歳男性。肺膿瘍のため入院。抗菌剤で加療するも膿胸を併発。その後膿瘍腔内に造影効果を有する腫
瘤影が出現、右肺下葉肺底部肺動脈末梢の仮性肺動脈瘤と考えられた。約 3 週間の経過で仮性肺動脈瘤は急速
に増大していたため、経カテーテル的コイル塞栓術を施行。仮性肺動脈瘤の造影効果の消失が確認された。比
較的稀な疾患である末梢性仮性肺動脈瘤につき文献的考察を含め報告する。
医学生・初期研修医の発表Ⅳ 10:37~11:19
座長 青島正大(亀田総合病院呼吸器内科)
研 17.乳麋胸水よりセルブロックを作成することにより診断したリンパ脈管筋腫症(LAM)の 1 例
昭和大学横浜市北部病院初期研修医1、昭和大学藤が丘病院呼吸器内科2
おさかべ ゆうき
○刑部優希1、松倉 聡2、山崎洋平2、井上大輔2、柿内佑介2、船木俊孝2、
高安弘美2、田澤咲子2、楯野英胤2、加藤栄助2、若林 綾2、多田麻美2、
岩崎拓也2、林 誠2、山口史博2、土屋 裕2、山下 潤2、武田純一2、
国分二三男2
症例は 47 歳女性。咳嗽を主訴に前医受診、胸部 X 線にて左胸水貯留を指摘され当院を紹介受診。胸部 CT に
て左胸水貯留、両肺に境界明瞭な薄壁嚢胞が散在。胸水穿刺にて乳麋胸水を採取し、セルブロックを作成、病
理診断を行った。紡錘形・類上皮様の細胞を認め、免疫染色にて抗 α-SMA、HMB45、PR、ER 抗体すべてに
陽性を示し、LAM と診断した。侵襲の少ない胸水細胞診より LAM と診断した希少例として報告する。
7
研 18.多発空洞結節・胸膜炎を呈した CA-MRSA 感染症の一例
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院臨床研修センター1、
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院呼吸器内科2、
聖マリアンナ医科大学川崎市立多摩病院総合診療内科3、東北大学病院総合感染症科4、
聖マリアンナ医科大学呼吸器・感染症内科5
なかむら
ゆりえ
○中村友梨江1、檜田直也2、駒瀬裕子2、小野綾美2、石田 明2、山口裕礼2、
國島広之3、遠藤史郎4、宮澤輝臣5
31 歳女性。ベトナム出身。右眼瞼を虫に刺された後、鼻粘膜/両眼瞼の蜂窩織炎を起こした。一旦改善したが
咳嗽/呼吸困難が出現し胸部に空洞を伴う多発結節/両側胸水が出現、抗菌薬で陰影は改善したが炎症反応の改
善が認められなかった。喀痰より MRSA が検出された為 LZD に変更した。菌は SCCmecV 遺伝子陽性、PVL
毒素産生で CA-MRSA 感染症と診断した。
研 19.アトピー性皮膚炎と歯周疾患を有する成人に発症し、多発肺結節影を認めた
三尖弁感染性心内膜炎の 1 例
昭和大学藤が丘病院臨床研修センター1、昭和大学藤が丘病院呼吸器内科2
うちだ よしたか
○内田嘉隆1、加藤栄助2、井上大輔2、柿内佑介2、船木俊孝2、山崎洋平2、
高安弘美2、楯野英胤2、若林 綾2、岩崎拓也2、林 誠2、武田純一2、
松倉 聡2、國分二三男2
症例は 61 歳女性。発熱と全身倦怠感、ふらつきを主訴に当院を受診。炎症反応高値と多発肺結節影を認めた。
血液培養から S. aureus が検出され、経胸壁心エコーで三尖弁に疣贅を認め、感染性心内膜炎と敗血症性肺塞栓
症と診断した。右心系感染性心内膜炎は心奇形患者に多いとされる。しかし、心奇形非合併例でも、アトピー
性皮膚炎や歯周疾患患者の多発肺結節影では、感染性心内膜炎を鑑別にあげることが重要である。
研 20.EBUS-TBNA を契機に診断に至った続発性アミロイドーシスの一例
青梅市立総合病院
かもしだ たつひこ
○鴨志田達彦、矢澤克昭、川口陽史、塚原加樹子、榛沢 理、井上幸久、
高崎寛司、大場岳彦、磯貝 進
69 歳男性。2 年前から労作時呼吸困難・咳嗽が出現。CT にて縦隔・肺門リンパ節腫脹と両肺野に多発結節影
を認めた。肺門リンパ節に対し EBUS-TBNA を施行しアミロイドーシスと診断した。血清検査でモノクローナ
ルな IgM も認め、原発性マクログロブリン血症による続発性アミロイドーシスと診断した。EBUS-TBNA を契
機に診断された症例は稀であるため文献的考察を加えて報告する。
研 21.食道癌治療中に膿胸を来した 2 例
草加市立病院呼吸器内科
あおき
ひかる
○青木 光、柴田 翔、佐藤謙二郎、藤井真弓、齋喜優子、塚田義一
症例 1 は 80 歳男性、胸部下部食道を主座とする食道癌に対し 60Gy の放射線外照射を行った。照射終了 1 週間
後に呼吸困難を生じ、右気胸、膿胸を認めた。症例 2 は 71 歳女性、胸部中部食道を主座とする食道癌に対し内
視鏡的粘膜下層剥離術を行った。術中に穿孔したためクリップにて縫合した。翌日に呼吸困難を生じ、縦隔気
腫、右気胸、膿胸を認めた。食道癌治療中の穿孔に伴う膿胸を 2 例経験したため、若干の文献的考察を踏まえ
て報告する。
8
研 22.従来の治療法にリツキシマブを加えて加療した CADM に合併した
急速進行性間質性肺炎の 1 例
群馬大学医学部附属病院呼吸器・アレルギー内科
かたやま あやか
○片山彩香、山口公一、山口 彩、鈴木雅文、内田 恵、原健一郎、
青木 望、神戸将彦、増渕裕朗、須賀達夫、前野敏孝
症例は 71 歳女性。X 年 8 月頃より全身倦怠感、皮疹が出現し当院入院。精査により抗 MDA5 抗体陽性 CADM
に伴う急速進行性間質性肺炎の診断。ステロイド、タクロリムス、エンドキサンパルスを施行したが間質性肺
炎の改善を認めなかった。従来の治療法に加えリツキシマブを併用したところ臨床症状、胸部 CT 所見の改善
を認めた。従来の治療法で効果が乏しい症例に対してはリツキシマブの投与も検討する必要がある。
医学生・初期研修医の発表Ⅴ 11:19~12:01
座長 駒瀬裕子(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院呼吸器内科)
研 23.自己免疫性膵炎寛解後に肺病変が出現した IgG4 関連疾患の 1 例
亀田総合病院呼吸器内科
とくもと あきこ
○徳本晶子、渡邊純子、鈴木 史、山脇 聡、大槻 歩、高井基央、
桂田雅大、桂田直子、中島 啓、三沢昌史、青島正大
症例は 80 歳男性。自己免疫性膵炎に対しステロイド治療を 4 年間行い寛解となっていた。治療終了から 1 年半
後、右大腿骨転子部骨折を契機に両側肺の間質性陰影を指摘され当科紹介となった。血清 IgG、IgG4 の上昇を
認め、経気管支肺生検にて中等度のリンパ球形質細胞浸潤と、一部に IgG4 陽性細胞を認めた。IgG4 関連肺疾
患としてステロイド内服治療を開始した。経過と考察を含めて報告する。
研 24.喀血を来たし経気管支肺生検にて診断し得た肝細胞癌肺・気管支転移の 1 例
群馬大学大学院病態制御内科学呼吸器・アレルギー内科
おかだ じゅんいち
○岡田純一、小野昭浩、桑子智人、上出庸介、増田友美、今井久雄、
解良恭一、古賀康彦、砂長則明、久田剛志、土橋邦生、山田正信
症例は 55 歳男性。10 か月前に肝細胞癌下大静脈塞栓の診断で陽子線治療を受けた。6 か月前に大量喀血で当院
搬送され気管支動脈塞栓術で止血し得た。右下葉に腫瘤影認めたが気管支洗浄で悪性所見認めず、出血予防に
60Gy の照射を施行した。今回、再喀血にて入院。気管支鏡で右中間管内腔に腫瘍の進展を認め生検にて肝細胞
癌の気管支転移を確定できた。肺転移単発で気管支内腔進展を来たす肝細胞癌は稀であり文献的考察を加え報
告する。
9
研 25.広範な進行性嚢胞性肺病変を呈した HIV 感染症に合併したニューモシスチス肺炎の 1 例
獨協医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科
ますやま たいき
○増山大樹、中村祐介、渡邉泰治、正和明哲、九嶋祥友、小池亮祐、
奥冨泰明、曽田紗世、池田直哉、町田安孝、塩原太一、梅津貴史、
近江史人、新井 良、滝澤秀典、降籏友恵、三好祐顕、清水泰生、
武政聡浩、石井芳樹
症例は 40 歳男性。喫煙歴 20 本 20 年間。職業:介護事業。2013 年 2 月、検診 CXp で異常指摘なし。12 月から
労作時息切れを自覚。近医胸部 CT で両側上葉優位の広範囲の嚢胞性病変を認めた。症状が増悪し、紹介入院
精査の際に両側気胸を認めた。進行性嚢胞性肺疾患の鑑別で HIV をスクリーニングし陽性。喀痰 PCR でニュー
モシスチス肺炎と診断し治療した。広範な進行性嚢胞性病変を呈し、他の嚢胞性疾患との鑑別が問題となった
ため報告する。
研 26.MPO-ANCA 陽性であった線維化性非特異性間質性肺炎(f-NSIP)の一例
JA 長野厚生連篠ノ井総合病院呼吸器科1、同 病理診断科2、JA 長野厚生連新町病院内科3
かこ
さとこ
○加古里子1、松尾明美1、金城 匠1、川口研二2、牧野睦月2、堺澤和泉3
症例は 44 歳、女性。半年前から労作時呼吸困難がみられ、間質性肺炎疑いで当科紹介された。胸部 CT では両
肺に網状影と気腫変化が下肺優位に中層~胸膜下までみられ、MPO-ANCA 陽性であった。このため、腎生検、
胸腔鏡下肺生検施行したが血管炎の所見は認められず、小葉全体に広がる同時性の高い線維化でリンパ濾胞形
成が目立ち f-NSIP パターンと考えられた。MPO-ANCA 陽性の f-NSIP の報告は少なく、文献的考察も含め報
告する。
研 27.気管内挿管を要した急性好酸球性肺炎の 1 例
信州大学医学部内科学第一教室
きたむら
さとし
○北村 聡、荒木太亮、町田良亮、立石一成、小林信光、牛木淳人、
安尾将法、漆畑一寿、山本 洋、花岡正幸
24 歳の女性。倦怠感を主訴に前医を受診し、肺炎と診断され抗菌薬による入院加療を受けた。翌日に呼吸状態
が悪化し、当院へ転院搬送された。気管内挿管の上、気管支肺胞洗浄を施行したところ、好酸球が 42.5% と上
昇していた。受診 2 週間前から喫煙を開始していたことが判明し、急性好酸球性肺炎と診断した。ステロイド
パルス療法により、呼吸状態と画像所見は速やかに改善した。重症化した急性好酸球性肺炎の 1 例を報告する。
研 28.低 Na 血症による意識障害にて発症した ALK 融合遺伝子陽性肺腺癌の一例
山梨県立病院機構県立中央病院医療局
はなわ こうたろう
○花輪幸太郎、小林寛明、曽我美佑介、榊原里江、宮下義啓
症例は 60 歳台の男性で意識障害にて当院救命救急センターに搬送された。血液検査により高度の低 Na 血症
(98.7mEq/l)による意識障害と診断され、全身精査の CT にて左下葉に巨大腫瘤を認め、胸骨、両側副腎、腹
部リンパ節および腹膜などに転移を認めた。胸骨転移部からの穿刺組織診にて肺腺癌と診断され、同検体での
免疫組織検査にて ALK 陽性と確認された。低 Na 血症による意識障害にて発症した ALK 融合遺伝子陽性肺腺
癌は珍しく報告する。
10
ランチョンセミナー 12:10~13:40
若手医師への抗酸菌感染症のセミナー 基礎から臨床まで
座長 西村知泰(慶應義塾大学保健管理センター) 森本耕三(公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター)
「肺非結核性抗酸菌症の疑問と課題」
演者:森本耕三(公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター)
「結核症の感染免疫」
演者:西村知泰(慶應義塾大学保健管理センター)
共催:大正富山医薬品株式会社
日本結核病学会関東支部 総会 13:40~13:50
医学生・初期研修医優秀者表彰式 13:50~14:00
セッションⅠ 14:00~14:42
座長 奥村昌夫(公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器内科)
1. リファンピシン投与下と非投与下の双方でドセタキセル単剤療法を施行、経過を比較し得た
肺扁平上皮癌の 1 例
国立病院機構千葉東病院呼吸器科
のぐち なおこ
○野口直子、石川 哲、永吉 優、水野里子、山岸文雄
62 歳男性。進行期前立腺癌にステロイド投与し糖尿病発症後、発熱・血痰、左肺門部の空洞を伴う浸潤影が出
現し、結核疑いで当院紹介。喀痰抗酸菌塗抹±、結核菌群 PCR-も、診断的治療で HRZE で加療し軽快。その
後肺扁平上皮癌と診断。RFP 投与下で DOC 単剤を 2 コース投与し PD。結核治療完遂後 CBDCA+TS-1 を 4
コース施行。その後 DOC 単剤を 2 コース投与し SD。RFP とがん治療各薬剤との相互作用が問題となった。文
献的考察を加え報告する。
2. 診断に苦慮した肺糞線虫症の 1 例
東邦大学医療センター大橋病院呼吸器内科
くろせ よしゆき
○黒瀬嘉幸、山岸 亨、小高倫生、三浦淳生、北原麻子、渡邉賀代、
岸本久美子、中野千裕、押尾剛志、平山可菜子、松瀬厚人
症例は 50 歳男性。健診で胸部異常陰影を指摘されて受診。胸部 CT で右上葉に移動性の浸潤影を認め、気管支
鏡下肺生検を 2 回行うも診断に至らなかった。血清 IgE が高値であり、寄生虫抗体スクリーニング検査を行っ
たところ糞線虫抗体が陽性であった。ELISA でも抗糞線虫抗体が陽性で、肺糞線虫症と診断し、イベルメクチ
ンの投与で改善を得られた。九州南部、奄美、沖縄の滞在歴がなく、肺糞線虫症を発症した症例を経験したの
で報告する。
11
3. 急激な経過をたどった市中感染型の大腸菌性肺炎の 1 例
昭和大学藤が丘病院呼吸器内科1、昭和大学藤が丘病院救命救急センター2
たかやす ひろみ
○高安弘美1、井上大輔1、柿内佑介1、船木俊孝1、山崎洋平1、楯野英胤1、
加藤栄助1、若林 綾1、岩崎拓也1、林 誠1、武田純一1、松倉 聡1、
國分二三男1、林 宗貴2
77 歳男性。生来健康。数時間前からの背部痛、呼吸困難のため救急搬送。来院時ショック状態で右上葉に広範
囲に浸潤影を認めた。肺炎、敗血症性ショックと診断し、抗菌薬、昇圧剤投与などを開始するも、急速に状態
が悪化し第 2 病日に死亡した。死後判明した培養検査にて、気管支肺胞洗浄液、血液培養ともに E. coli が検出
された。市中感染型の大腸菌性肺炎でさらに急激な経過をたどる症例は稀と考えられ文献的考察を加え報告す
る。
4. 結核性胸膜炎治療後に生じた空洞形成を伴う肺内結核腫の 1 切除例
大森赤十字病院呼吸器外科1、大森赤十字病院病理部2
やまなかすみたか
○山中澄隆1、友安 浩1、坂本穆彦2
症例は 49 歳男性。平成 20 年に結核性胸膜炎に対して、前医にて治療を受けその後経過観察されていた。平成
22 年より左上葉胸膜直下の不整型陰影が増大傾向を示した為、当院紹介となった。当院での経過観察の CT に
おいても増大傾向を示した為、気管支鏡検査を施行したが診断が得られず、確定診断目的に胸腔鏡下左上葉部
分切除を施行した。術中迅速診断の結果は結核腫であり悪性所見は無く、腫瘍内膿瘍の培養結果は陰性であっ
た。
5. 広範な浸潤影を呈し、細菌性肺炎を疑ったが、抗菌薬無効であり、
肺 Mycobacterium abscessus 症と診断された 1 例
東京山手メディカルセンター呼吸器内科
いしもり たろう
○石森太郎、岩田裕子、井上拓也、江本範子、笠井昭吾、大河内康実、
徳田 均
生来健康 29 歳女性。発熱、咳、痰で発症し、右中葉の粒状影伴う広範な浸潤影が見られた。抗菌薬治療に反応
乏しかった。ガフキー 2 号であり、結核、非結核性抗酸菌症疑われたが、TB-PCR、MAC-PCR は陰性。培養の
上、遺伝子検査の結果、肺 Mycobacterium abscessus 症と診断された。非結核性抗酸菌症で広範な浸潤影を呈
することは稀であり、文献学的考察を交え報告する。
6. 左右主気管支に瘻孔形成を認めた気管支・縦隔リンパ節結核の 1 例
小張総合病院内科・呼吸器内科
ひがしよういちろう
○ 東 陽一郎、二宮浩樹、川上 毅、近藤享子
症例は 79 歳女性。本年 1 月に湿性咳嗽を認め、3 月に当科受診。胸部 XP で異常陰影なし、胸部 CT で気管分
岐部リンパ節の腫大などを指摘。気管支鏡検査にて左右主気管支に潰瘍と瘻孔形成を認めた。喀痰抗酸菌塗抹
で Gaffky 5 号、Tb-PCR 陽性で気管支・縦隔リンパ節結核と診断。HREZ 4 剤で治療開始し、HRE 3 剤治療へ
移行。左右主気管支に瘻孔を形成する気管支・縦隔リンパ節結核の報告は極めて少なく、文献的考察を加えて
報告する。
12
セッションⅡ 14:42~15:17
座長 高崎 仁(国立国際医療研究センター病院呼吸器内科)
7. 受診の遅れ・診断の遅れの原因
川崎市多摩区役所保健福祉センター1、川崎市麻生区役所保健福祉センター2
にしむらまさみち
○西村正道1、松下陽子2
結核サーベイランスにおいて、「受診の遅れ」「診断の遅れ」は内容を評価する主要な指標である。前者は「症
状出現から初診までが 2 か月間以上」、後者は「初診から診断までが 1 か月間以上」の例と定義される。遅れた
原因を調査した。前者にて、受診を妨げた明らかな要因を持つ例は少数であった。後者では、問題点が「胸部
X 線検査実施にある場合」と「抗酸菌検査実施にある場合」とに大別されるが、いずれも啓発が有用と考えた。
8. 標準治療完遂後早期に再燃し、診断に苦慮した肺結核症の一例
医療法人鉄蕉会亀田総合病院呼吸器内科1、医療法人鉄蕉会亀田総合病院臨床病理科2、
日本赤十字社松山赤十字病院呼吸器内科3
おおつき
あゆむ
○大槻 歩1、桂田直子1、牧野英記1,3、星 和栄2、青島正大1
79 歳男性。体重減少、咳嗽を自覚し、胸部 CT で浸潤影を認め、胃液 PCR が陽性で肺結核と診断され、6 ヶ月
間の標準治療が完遂された。3 ヶ月後に発熱を自覚し、新たな浸潤影が認められ入院した。結核再燃も考慮さ
れたが喀痰塗抹は陰性で、細菌性肺炎として抗菌薬治療されるも解熱せず、入院 18 日目気管支鏡検査の気管支
洗浄液で、抗酸菌塗抹が陽性であった。結核治療が行われ、解熱するも、徐々に全身状態が悪化し死亡した。
9. RFP 耐性、RBT 感受性肺結核の 1 例―rpoB 遺伝子変異解析の有用性について―
独立行政法人国立病院機構茨城東病院呼吸器内科1、
公益財団法人結核予防会結核研究所抗酸菌部細菌科2
さくらいひろふみ
○櫻井啓文1、乾 年秀1、中澤真理子1、中嶋真之1、兵頭健太郎1、金澤 潤1、
根本健司1、高久多希朗1、大石修司1、林原賢治1、斎藤武文1、近松絹代2、
御手洗聡2
31 歳中国人女性。20XX 年 2 月来日。胸部異常陰影指摘され 6 月外来受診。気管支洗浄の結核菌 PCR 陽性とな
り診断。HREZ で治療開始し Day18 に肝障害出現。薬剤感受性結果より INH(MIC 値 8)と耐性。RFP は 0.12、
中間だったが、rpoB 遺伝子解析で Leu511Pro(CTG → CCG)変異を認めた。RFP 耐性だが RBT に感受性を
もつ変異であり、本例は RBT(0.008)と感受性があったため RBT を含めた治療を開始。rpoB 遺伝子変異解析
が有用だった症例を経験し報告する。
13
10.家族内発症を繰り返した結核の一例
昭和大学病院呼吸器・アレルギー内科1、結核予防会結核研究所2
くわはら なおた
○桑原直太1、大西 司1、村田泰規1、楠本壮二郎1、渡部良雄1、田中明彦1、
横江琢也1、御手洗聡2、相良博典1
祖母と両親、姉妹の 5 人暮らしの家庭で 2004 年 2 月に祖母が活動性肺結核を発症し潜在性結核感染症として
INH の内服を行なった。その後父が 2011 年 9 月に活動性結核を発症した。このとき姉妹は QFT 陽性であっ
た。2013 年 10 月祖母が結核を再発し死亡した。2014 年 8 月に姉が培養陽性の結核性胸膜炎を発症し HREZ を
導入した。その後接触者検診で妹の培養陽性の肺結核が判明し HREZ を開始した。家族内で多数の発症を繰り
返した例として報告する。
11.当院における活動性肺結核/肺外結核に対する補助診断としての
T-SPOT.TB の有用性に関する検討
国立病院機構茨城東病院内科診療部呼吸器内科
ねもと けんじ
○根本健司、乾 年秀、中嶋真之、中澤真理子、兵頭健太郎、櫻井啓文、
金澤 潤、高久多希朗、大石修司、林原賢治、斎藤武文
IGRA は、肺結核の補助診断に有用である。T-SPOT.TB(T-SPOT)は、従来の IGRA と比較しリンパ球数が
減少する免疫抑制状況でも感度に優れるとされる。今回、2013 年 5 月~2014 年 10 月に診断した肺結核/肺外結
核患者 98 例中、T-SPOT を測定した 45 例を検討。その結果、T-SPOT 陽性は 30 例(66.7%)。末梢血リンパ球
数 1000/μl 以上の症例で陽性となったのは 19/25 例(76.0%)、1000/μl 未満では 11/20 例(55.0%)であった。
偽陰性例の検討を含め報告する。
セッションⅢ 15:17~15:52
座長 川島正裕(独立行政法人国立病院機構東京病院呼吸器センター)
12.新菌種 Mycobacterium shinjukuense (M. shinjukuense )による非結核性抗酸菌症の 1 例
昭和大学藤が丘病院呼吸器内科1、結核予防会結核研究所抗酸菌部2
ふなき としたか
○船木俊孝1、松倉 聡1、林 誠1、山崎洋平1、井上大輔1、柿内佑介1、
高安弘美1、田澤咲子1、楯野英胤1、加藤栄助1、若林 綾1、多田麻美1、
岩崎拓也1、山口史博1、土屋 裕1、山下 潤1、武田純一1、鹿住祐子2、
前田伸司2、國分二三男1
症例は 86 歳女性。気管支拡張症にて通院中、胸部 X 線 CT にて右上葉に新な浸潤影を認めた。喀痰・胃液か
らは菌を検出できず、気管支内視鏡により抗酸菌塗抹陽性、PCR 法では結核/MAC ともに陰性、他の非結核性
抗酸菌症または肺結核再発を疑い、INH、RFP、EB の 3 剤で治療を開始した。その後培養検体より sequence
にて M. shinjukuense と同定。治療を継続し、改善していたが脳梗塞を発症し死去した。非結核性抗酸菌症の
希少例として報告する。
14
13.肺癌化学療法中に興味深い陰影を呈した Mycobacterium kansasii 症の 1 例
済生会横浜市東部病院呼吸器内科
すなだ こういち
○砂田幸一、豊田 学、今坂圭介、高倉裕樹、小室彰男、濱中伸介、
高橋実希、清水邦彦
肺扁平上皮癌に対し、左上葉切除後の 50 歳男性。術後再発で Cisplatin+S-1 の再投与を行っていたところ、38
度台の高熱があり左肺炎の診断で入院。浸潤影とすりガラス影から成る肺炎像であったが、一般抗菌薬と抗真
菌薬は無効。高熱が続くため PZFX 併用の上で PSL30mg を開始したところ解熱したが、フォローの CT で浸
潤影は空洞影に変化していた。入院前に採取した喀痰検査の抗酸菌培養が 5 週で陽性となり、同定結果は M.
kansasii であった。
14.多剤耐性肺結核に対して新規抗結核薬デラマニドを使用した 1 例
財団法人結核予防会複十字病院呼吸器内科
まつだ しゅういち
○松田周一、吉山 崇、佐々木結花、奥村昌夫、大澤武司、伊 麗娜、
森本耕三、國東博之、尾形英雄、倉島篤行、後藤 元、工藤翔二
29 歳女性。2014 年 2 月より血痰を自覚し、3 月に肺結核と診断。HREZ で治療していたが、4 月に右上葉の気
道散布影は悪化し、右下葉にも気道散布影が出現。INH、RFP、EB、SM、PZA、LVFX の耐性が判明し、6 月
2 日に当院へ転院。KM、TH、CS、PAS、リネゾリドで治療したが、10 月 7 日にリネゾリドをデラマニドへ変
更。今後も治療完遂まで慎重に経過観察する予定だが、多剤耐性結核の新たな選択肢となったデラマニドの使
用経験について報告する。
15.結核性縦隔膿瘍の 1 例
さいたま市立病院内科1、さいたま市立病院耳鼻咽喉科2
おかやま みきお
○岡山幹夫1、浅見貴弘1、吉田秀一1、舘野博喜1、吉浜圭祐2
64 歳男性。入院 1 年前に成人スティル病と診断されプレドニゾロン内服中であった。10 日前からの発熱・咳嗽
で粟粒結核と診断され、当院を紹介された。胸部 CT で食道周囲に広範な膿瘍を認めた。頸部より膿瘍への吸
引穿刺を行い、抗酸菌塗沫・培養陽性で結核性縦隔膿瘍の合併と診断した。抗結核剤による保存的治療のみで
膿瘍は縮小した。今回、我々は診断および治療方針の選択に苦慮したので、文献的考察を加えて報告する。
16.リステリア髄膜炎で発症し、抗ウイルス薬開始後免疫再構築症候群による
肺 MAC 症を発症した HIV 感染症の 1 例
千葉大学医学部附属病院感染症管理治療部1、千葉大学医学部附属病院呼吸器内科2
いがり ひでとし
○猪狩英俊1、竹内典子1、櫻井隆之1、谷口俊文1、石和田稔彦1、山岸一貴2、
田中 望2、鈴木健一2、石綿 司2、津島健司2、巽浩一郎2
症例は 50 歳代男性。意識障害で救急搬送された。HIV 陽性、血液と髄液から Listeria monocytogenes が分離
された。ICU 管理で急性期を脱し、抗ウイルス療法(ART)を開始した。ART 開始 50 日目に左肺に腫瘤陰影
が出現し、気管支鏡を行い 2 回目に Mycobacterium avium が陽性となった。当初 CD4 は 53 であったが 200 を
超え、免疫再構築症候群(IRIS)と診断し治療を開始した。IRIS 出現まで比較的時間を要し、肺癌・肺結核・
真菌症等の鑑別を要した。
15
セッションⅣ 15:52~16:27
座長 佐山宏一(川崎市立川崎病院呼吸器内科)
17.胸部空洞を示した HIV 陽性播種性クリプトコッカス症
公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器内科1、公益財団法人結核予防会複十字病院病理検査科2
おおさわ たけし
○大澤武司1、佐々木結花1、松田周一1、伊 麗娜1、大藤 貴1、山名一平1、
上山雅子1、森本耕三1、渡辺雅人1、矢野量三1、國東博之1、奥村昌夫1、
内山隆司1、吉森浩三1、吉山 崇1、早乙女幹朗1、倉島篤行1、尾形英雄1、
河端美則2、後藤 元1
症例は 62 歳男性。発熱、体重減少が続き前医を受診した。胸部 CT で左肺下葉に空洞が認められ肺結核疑いで
当院へ紹介された。問診で HIV 感染を疑い、検査で抗体陽性と判明したため各種精査した。採血 3 日後に抗酸
菌培養ボトルより酵母様真菌を認めた。経気管支肺生検の病理組織より酵母様真菌の増殖を認め、髄液でも同
様で後日 Cryptococcus neoformans と同定した。免疫抑制宿主に発症した播種性クリプトコッカス症の一例を
経験した。
18.重症肺 Cryptococcus gattii 症の 1 例
国立病院機構東京病院呼吸器センター1、国立病院機構東京病院病理2
もり
あや
○森 彩1、田村厚久1、井上恵理1、日下 圭1、田下浩之1、鈴木純子1、
廣瀬 敬1、松井弘稔1、山根 章1、永井英明1、赤川志のぶ1、深見武史1、
木谷匡史2、蛇澤 晶2、大田 健1
71 歳男性、糖尿病あり。他院で細菌性肺炎として入院加療も改善なく当院紹介入院。右下葉に巨大な water
density mass を認め、TBLB で肺 Cryptococcus 症と診断。重篤で髄膜炎も合併、L-AMB+FLCZ で治療開始も
病状好転せず L-AMB+5-FC に変更。菌同定検査で C. gattii と判明、薬剤感受性から VRCZ+5-FC に切り替え、
徐々に自他覚所見は改善。その後、病変で破壊された右中下葉切除を行い、軽快退院。6 か月後、外来治療継
続中で増悪なし。
19.リウマチ性多発筋痛症の診断でステロイド投与中に肺クリプトコックス症・髄膜炎を認めた 1 例
順天堂大学医学部呼吸器内科
くわさき
えりこ
○鍬崎恵里子、早川乃助、堤 建男、小山 良、守尾嘉晃、高橋和久
症例は 65 歳男性。数年来続く上腹部痛あり前医受診。リウマチ性多発筋痛症の診断でステロイド等で治療開始
されるも改善に乏しく当院紹介。胸部 CT で左下葉に多発結節影・浸潤影を認めており気管支鏡検査を行い C.
neoformans が検出され肺クリプトコックス症の診断。髄液検査からも同様に C. neoformans が検出されクリプ
トコッカス髄膜炎と診断した。抗真菌薬治療を行い経過良好。本症例について若干の文献的な考察を加え報告
する。
16
20.致死的な転帰を辿った菌血症を伴う肺ノカルジア症の 1 例
昭和大学藤が丘病院呼吸器内科
やまざきようへい
○山崎洋平、加藤栄助、井上大輔、柿内祐介、船木俊孝、高安弘美、
楯野英胤、若林 綾、岩崎拓也、林 誠、武田純一、松倉 聡、
國分二三男
71 歳女性。自己免疫性肝炎に対して 10 年前から PSL を内服していた。3 週間前から血痰を自覚し、入院日早
朝から呼吸困難と右側胸部痛が出現。CT で右肺尖部に空洞を伴う腫瘤影と両側多発結節影を認め、肺膿瘍と
敗血症性肺塞栓症が疑われ緊急入院となった。第 3 病日から意識障害が出現し、第 4 病日に永眠。入院時喀痰・
血液培養からは Nocardia farcinica が同定された。菌血症を伴うノカルジア症は極めて稀であり文献的考察を加
え報告する。
21.糖尿病性ケトアシドーシスと共に発症した肺ムコール症の 1 例
茨城西南医療センター病院呼吸器内科
はやし
ひろき
○林 大樹、重政理恵、松村 壮、野村明広
80 歳男性。4 日前から咳嗽・食欲低下を認め近医受診し、左上葉に空洞を有する浸潤影・糖尿病性ケトアシドー
シスで当院に緊急入院となった。第 4 病日には血糖は正常化した。肺炎に対して抗菌薬で改善なく、気管支鏡
検査を行った。R. microsporus が検出されたため L-AMB の投与を開始したが、第 53 病日に死亡された。糖尿
病性ケトアシドーシス時の肺炎にはムコール症も考慮する必要があると考えられた。
セッションⅤ 16:27~17:02
座長 猪狩英俊(千葉大学医学部附属病院感染症管理治療部)
22.胸腔鏡下肺生検(VATS-LB)を行った血管炎を伴う器質化肺炎の一例
日本赤十字社長野赤十字病院呼吸器内科1、日本赤十字社長野赤十字病院呼吸器外科2、
日本赤十字社長野赤十字病院病理部3、埼玉循環器呼吸器病センター病理科4
あきやま たつや
○秋山達也1、會田有香1、和田洋典1、降旗兼行1、増渕 雄1、倉石 博1、
小山 茂1、小林 理2、渡辺正秀3、河端美則4
症例は 74 歳男性。発熱、呼吸困難のため当院受診。胸部 CT では上葉優位に気管支血管束に沿った辺縁不整の
陰影が両肺に多発していた。気管支鏡検査を施行したが確定診断は付かず、VATS-LB を施行した。病理組織
では、血管炎と形質細胞を伴う気腔内器質化、器質化肺炎類似の肺の炎症の所見がみられた。ステロイド治療
を開始し経過は良好である、VATS-LB を行うものの、診断が困難な症例であった。
23.抗 EJ 抗体陽性の抗 ARS 抗体症候群の一例
国立国際医療研究センター病院呼吸器内科
ながはらよしのり
○長原慶典、飯倉元保、保坂悠介、泉 信有、竹田雄一郎、放生雅章、
杉山温人
71 歳女性。2 週間以上持続する発熱と膿性痰、全身疼痛を認め当院に入院。採血上、炎症反応の上昇、肝障害、
CPK 上昇を認め、胸部 CT では両肺底部中心に consolidation とスリガラス影を認めた。抗生剤加療でも低酸素
血症は進行し、間質性肺炎像の増悪を認め、ステロイドパルス療法に引き続きステロイド+免疫抑制治療を施
行し、改善した。精査の結果、抗 ARS 抗体の一つの抗 EJ 抗体が陽性と判明した。
17
24.関節リウマチ治療中に間質性肺炎を合併した抗 ARS 抗体(抗 PL-12 抗体)症候群の 1 例
東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科1、東邦大学医療センター大森病院病院病理部2
しみず ひろしげ
○清水宏繁1、佐野 剛1、杉野圭史1、山本 愛1、鈴木亜衣香1、磯部和順1、
坂本 晋1、高井雄二郎1、栃木直文2、渋谷和俊2、本間 栄2
症例は 66 歳、男性。1999 年に関節リウマチと診断後、一時的に金製剤の投与が行われていた。2013 年 8 月よ
り労作時呼吸困難が出現し、間質性陰影を指摘され当院精査入院。VATS 下肺生検で、NSIP パターンと腔内
の器質化に加えて一部に UIP パターンを認めた。その後、抗 PL12 抗体が陽性であることが判明し、抗 ARS 抗
体症候群と診断し、PSL による治療を開始した。関節リウマチとの関与も含め、文献的考察を加え報告する。
25.抗 Scl-70 抗体が陰性化した後も漸次増悪した強皮症合併上肺野優位型間質性肺炎の 1 例
独立行政法人国立病院機構茨城東病院呼吸器内科
いぬい としひで
○乾 年秀、中嶋真之、中澤真理子、兵頭健太郎、櫻井啓文、金澤 潤、
根本健司、高久多希朗、大石修司、林原賢治、斎藤武文
症例は 88 歳女性。2012 年に皮膚硬化、抗 Scl-70 抗体陽性(19.5U/mL)から強皮症の診断に至り、上葉優位の
線維化を認めたことで、強皮症合併間質性肺炎と診断。強皮症は経過観察で抗 Scl-70 抗体は陰性化。間質性肺
炎に対しては Pirfenidone を試みたが、緩徐に増悪し、2014 年急性増悪により永眠した。強皮症関連として上
肺野優位型間質性肺炎の発症は稀と考え、文献的考察を加え報告する。
26.抗ミトコンドリア M2 抗体陽性筋炎に伴う続発性肺胞低換気症候群の一例
千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学
ひらさわやすたか
○平澤康孝、寺田二郎、櫻井隆之、安部光洋、津島健司、坂尾誠一郎、
田邊信宏、巽浩一郎
64 歳女性、BMI16.4。日中の眠気を自覚し、前医での簡易睡眠検査で睡眠時無呼吸症候群が疑われ、同年当科
紹介となった。睡眠ポリグラフ検査では、AHI が 111.1(閉塞型低呼吸優位)、lowest SpO2 は 57.0%、動脈血
ガス分析(日中安静時室内気)は A-aDO2 3.4 Torr の 2 型呼吸不全を認めた。抗ミトコンドリア M2 抗体陽性
と筋生検の結果から、睡眠呼吸障害及び呼吸不全にて発症した M2 抗体陽性筋炎による続発性肺胞低換気症候
群と診断した。
セッションⅥ 17:02~17:51
座長 坂巻文雄(東海大学医学部付属八王子病院呼吸器内科)
27.骨髄線維症、播種性非結核性抗酸菌症に合併した二次性肺胞蛋白症の一例
青梅市立総合病院呼吸器内科
やざわ かつあき
○矢澤克昭、鴨志田達彦、川口陽史、塚原加樹子、榛沢 理、井上幸久、
高崎寛司、大場岳彦、磯貝 進
44 歳女性。X-3 年骨髄線維症(MF)、播種性非結核性抗酸菌症(dNTM)と診断。MF は無治療、dNTM は化
学療法を施行しコントロール良好だった。X 年 6 月呼吸困難と発熱を主訴に入院。胸部 CT でび慢性スリガラ
ス状陰影を認めた。白色混濁した BALF と TBLB で肺胞内に SP-A 染色陽性の沈着物を認め、抗 GM-CSF 抗体
陰性・血清中 GM-CSF 上昇なく二次性肺胞蛋白症(sPAP)と診断。MF、dNTM、sPAP のいずれも稀な疾患
で、これらの関連について考察し報告する。
18
28.Multicentric Castleman’s Disease(MCD)の 1 例
さいたま赤十字病院呼吸器内科1、日本赤十字社医療センター病理部2
あまの まさこ
○天野雅子1、西沢知剛1、大場智広1、川辺梨恵1、本多紘二郎1、奥田 良1、
松島秀和1、武村民子2
44 歳女性。胸部異常影精査目的に受診。CT にて肺門縦隔リンパ節腫脹、びまん性すりガラス影、多発結節影、
嚢胞を認めた。高 γ グロブリン血症、貧血から MCD を疑い、右頸部リンパ節生検、左舌区 VATS を施行し、
MCD 形質細胞型と診断した。ステロイドおよび抗 IL-6 抗体 tocilizumab を併用し治療中である。MCD は標準
治療が未だ確立されておらず、症例の蓄積が重要と考えられ報告した。
29.豊胸術 50 年後に両側乳房周囲と縦隔・肺門リンパ節へ FDG 集積を認めた一例
国家公務員共済組合連合会立川病院内科1、国家公務員共済組合連合会立川病院外科2
おおいし てつじ
○大石哲司1、黄 英文1、加行淳子1、岩丸有史2、山本達也2、太田晃一1
71 歳女性。既往歴として豊胸術と子宮頸癌手術歴あり。20XX 年 8 月中旬、食欲不振・体重減少を主訴に近医
受診。胸部 CT で縦隔リンパ節腫大を指摘され、当院紹介受診。NSE、リゾチーム、IL-2R が軽度高値を示し
た。ガリウムシンチおよび FDG-PET では両側乳房周囲や縦隔・肺門リンパ節、さらに右頚部・右上腹部へ
の集積を認めた。サルコイドーシス、ヒトアジュバント病、悪性腫瘍の鑑別を要する症例として文献的考察を
含め報告する。
30.喀血で発症した異所性子宮内膜症の 1 例
茨城西南医療センター病院呼吸器内科
しげまさ りえ
○重政理恵、林 大樹、松村 壮、野村明広
17 歳女性。1 年前に人工妊娠中絶の既往がある。血痰及びその 1 ヶ月後に喀血があったため近医より紹介受診
となった。CT で右 S9 に GGO を認め、喀血に周期性があることより異所性子宮内膜症と診断した。偽閉経療
法で繰り返す喀血は消失したが、5 ケ月後に偽妊娠療法に変更したところ再度喀血が始まった。そのため右下
葉切除術を施行し、以後喀血は消失した。若年でも女性の場合には中絶等の病歴をきく必要性があると考えら
れた。
31.全身性アミロイドーシスと鑑別を要した肺アミロイドーシスの一例
東京都保健医療公社大久保病院
せきね ひろこ
○関根裕子、中田潤子、菊池亮太、杉田知妹
80 歳女性。脱水症で入院。胸部単純 X 線写真で多発結節影、心肥大を認めた。胸部 CT 上の左 S1+2 の spicula
を伴う結節影に対し、CT ガイド下肺生検を施行し、アミロイドーシスと診断した。胃生検ではアミロイドの
沈着を認めなかった。頭部 MRI、胸部 MRI、心エコー、腹部エコーではアミロイドーシスを示唆する所見を認
めなかった。以上より肺アミロイドーシスと診断した。まれな疾患であり、若干の文献的考察を加え、報告す
る。
19
32.反復する気道感染と免疫グロブリン低下から Common Variable Immunodeficiency(CVID)の
診断に至った 1 例
東京女子医科大学病院呼吸器内科1、東京女子医科大学病院血液内科2
かまた
みどり
○鎌田 碧1、近藤光子1、赤羽朋博1、久保綾子1、山田 武1、武山 廉1、
多賀谷悦子1、吉永健太郎2、玉置 淳1
症例は 51 歳女性。生来健康であったが入院の約 2 年前から気道感染を反復するようになったため精査加療目的
に当科入院となった。低免疫グロブリン血症と脾腫を認め、骨髄検査などから既知の免疫不全症が除外された
ため CVID と診断された。免疫グロブリンの定期的な補充療法を開始後、細菌感染症の増悪頻度が減少し経過
している。反復する細菌感染症を主徴とした CVID の 1 例を経験したため若干の文献的考察を踏まえて報告す
る。
33.両側多発腎嚢胞を合併した BHD の 1 例
JR 東京総合病院呼吸器内科
いくぼ
ゆみこ
○井窪祐美子、直井兵伍、東海林寛樹、宮下直也、川述剛士、田中健介、
鈴木未佳、河野千代子、山田嘉仁
症例は 59 歳女性。LD-SCLC(StageIIIA)完全寛解後のフォローアップ中、2014 年 7 月に左 I 度自然気胸を発
症。過去 5 回の気胸歴と両肺多発嚢胞の存在から BHD を疑い FLCN 遺伝子検査を行った結果、確定診断が得
られた。また、肺以外に両腎にも多発嚢胞を認めた。BHD 患者で腎癌が好発することは有名だが、両側多発腎
嚢胞を合併した BHD の症例は稀であり、若干の文献的考察を交えて報告する。
閉会の辞 17:51~17:56
会長 長谷川直樹(慶應義塾大学医学部感染制御センター)
20
第 2 会場(3 号館 11F 1101 会議室)
日本結核病学会関東支部 代議員会 12:20~13:20
セッションⅦ 14:50~15:32
座長 高橋典明(日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野)
34.気管内進展による無気肺を伴い、肺癌との鑑別が困難であった侵襲性胸腺腫の一例
独立行政法人国立病院機構東京病院呼吸器センター1、
独立行政法人国立病院機構東京病院臨床検査科2
なかむら すみえ
○中村澄江1、廣瀬 敬1、森 彩1、木谷匡志2、島田昌裕1、深見武史1、
加藤貴史1、船曳 茜1、赤司俊介1、松井弘稔1、田村厚久1、赤川志のぶ1、
蛇澤 晶2、大田 健1
77 歳女性、咳嗽と血痰を主訴に受診し、胸部 CT で左上葉気管支の閉塞と無気肺を認めた。気管支鏡で左主気
管支内腔の腫瘍閉塞、病理組織で扁平上皮癌を疑う異形細胞を認めた。扁平上皮癌による腫瘍性無気肺と診断
し左肺全摘術を施行。病理診断は Invasive thymoma、typeB3 で腫瘍が肺外から直接浸潤し気管支内を進展し
ていた。胸腺腫が気管支内に直接浸潤する事は稀であり、文献的考察を加えて報告する。
35.肺癌化学療法中に発熱をきたし薬剤性の動脈炎が疑われた 1 例
筑波大学附属病院呼吸器内科
ひだ のりひと
○肥田憲人、藤田一喬、角田義弥、中澤健介、際本拓未、小川良子、
松野洋輔、本間晋介、川口未央、森島祐子、坂本 透、大塚盛男、
檜澤伸之
63 歳男性。2012 年 7 月に検診異常を契機に右下葉原発肺腺癌 cT2aN1M0 StageIIA と診断、同年 12 月に胸腔
鏡下右下葉切除術が施行された。2014 年 6 月に第 4 頸椎転移などで再発し、同部位へ放射線照射およびシスプ
ラチン+ペメトレキセドを開始した。第 11 病日より抗菌薬不応の発熱を認め、CT で左鎖骨下動脈と左大腿動
脈の血管炎が疑われた。化学療法終了に伴い血管壁肥厚は自然軽快した。薬剤性の動脈炎が疑われた稀な症例
として報告する。
36.肺動脈吸引細胞診で腫瘍細胞を証明した乳房外 Paget 病による肺動脈腫瘍塞栓症の 1 例
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科1、埼玉県立循環器・呼吸器病センター病理診断科2
しのはら
わかこ
○篠原和歌子1、高柳 昇1、伊藤晶彦1、河手絵理子1、太田池恵1、小田島丘人1、
蘇原慧伶1、田村仁樹1、石黒 卓1、高久洋太郎1、鍵山奈保1、倉島一喜1、
柳澤 勉1、杉田 裕1、清水禎彦2
症例は 75 歳男性。3 年前より外陰部に皮疹が出現するも放置。10 日前からの息切れを主訴に受診。SpO2 79%、
右下葉の一部にすりガラス影があるのみで RVSP65mmHg、肺血流シンチで両肺末梢に小さな血流欠損を認め
た。肺動脈吸引細胞診を行い腫瘍細胞を認めた。外陰部より皮膚生検を施行し乳房外 Paget 病と診断。治療希
望なく第 21 病日に永眠。肺動脈吸引細胞診は肺高血圧を伴った症例にも安全に施行できた。
21
37.S-1 が奏功した胸腺癌肺転移の一例
独立行政法人国立病院機構水戸医療センター
ほんま
ゆき
○本間祐樹、大澤 翔、沼田岳士、箭内英俊、遠藤健夫
症例は 70 歳女性で胸部異常陰影の精査で胸腺腫瘤摘出術を行い胸腺癌、多発肺転移、縦隔リンパ節転移、血管
浸潤と診断された。1st line の化学療法を 6 コース施行ののち再発し 2nd line で S-1 を選択し、開始 6 か月で PR
を維持している。胸腺癌は稀であり治療法が確立されておらず治療選択に難渋することが多い。2nd line とし
て S-1 が奏功した再発胸腺癌の一例を経験したので文献的考察を含めて報告する。
38.EML4-ALK 融合遺伝子変異陽性肺腺癌による甲状腺転移を認めた一例
東京慈恵会医科大学附属第三病院呼吸器内科1、東京慈恵会医科大学附属病院呼吸器内科2
かわもとひろのり
○川本浩徳1、金子有吾1、劉 楷1、馬場優里1、斉藤那由多1、藤崎育実1、
渡辺 翔1、堀切つぐみ1、関 文1、木下 陽1、竹田 宏1、齋藤桂介1、
桑野和善2
42 歳、女性。左鼠径部痛を主訴に受診。全身精査を行い、ALK 融合遺伝子陽性右下葉肺腺癌と診断。左鼠径
リンパ節腫脹、甲状腺右葉腫瘤を認めた。左鼠径リンパ節生検にて ALK 陽性腺癌、FDG-PET で甲状腺右葉に
集積あり、穿刺吸引細胞診で RT-PCR 法を施行し ALK 陽性腺癌を認め、転移と診断した。クリゾチニブで加
療し PR 得られ継続中である。ALK 陽性肺腺癌の甲状腺転移は報告がなく文献的考察を加え報告する。
39.術後 11 年で肺転移をきたし診断に難渋した脳原発血管周皮腫(hemangiopericytoma:HPC)の
1例
東京労災病院呼吸器内科1、東京労災病院呼吸器外科2、東京労災病院病理科3
あなざわ りえ
○穴澤梨江1、横江絢子1、高村智恵1、相澤豊昭1、河野正和1、酒井俊彦1、
戸島洋一1、穴見洋一2、塩野さおり3
71 歳女性。既往歴は胃癌、髄膜腫。健診の胸部 X 線で異常陰影を指摘され紹介となり、胸部 CT で右上葉に
10mm 大の境界明瞭な結節影を認めた。気管支鏡では診断がつかず呼吸器外科で右上葉区域切除術を行った。
病理は孤発性線維性腫瘍(SFT)の診断であったが、髄膜腫の手術歴があり以前の標本を再検したところ HPC
の診断であったため脳 HPC の肺転移と診断した。HPC は稀な腫瘍であり診断に難渋した症例であるため考察
を加えて報告する。
22
セッションⅧ 15:32~16:14
座長 大石展也(東京大学医学部呼吸器内科学)
40.輸入コーヒー豆運搬業務後に発症した急性過敏性肺炎の 1 例
神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科
ふなき よしひろ
○舟木佳弘、萩原恵里、馬場智尚、千野 遥、櫻中晴康、細田千晶、
伊藤博之、松尾規和、水堂祐広、中澤篤人、関根朗雅、北村英也、
篠原 岳、西平隆一、小松 茂、加藤晃史、小倉高志
症例は 44 歳男性、輸入コーヒー豆運搬業務の翌日より 40 度の発熱あり、胸部 Xp にてすりガラス影を認め、
当科受診。TBLB では肉芽腫様多核巨細胞の浸潤を認め、経過中に喀痰、コーヒー豆の培養検査にて A. niger
検出し、血清 Aspergillus 沈降抗体陽性と判明。ステロイドパルス療法にて病状改善乏しく、IVCY、Tacrolimus
追加し、感染合併の可能性も考慮し、VRCZ 併用。約 1 ヶ月の経過で症状軽快したが、初期治療への反応が悪
く、治療に難渋したため、報告する。
41.禁煙を契機に発症したと考えられた鳥関連過敏性肺炎の 1 例
自治医科大学医学部呼吸器内科1、自治医科大学医学部病理診断部2
とくだ こうじ
○徳田皇治1、佐多将史1、坂東政司1、中山雅之1、中屋孝清1、間藤尚子1、
山沢英明1、吉本多一郎2、杉山幸比古1
59 歳の男性。2009 年より閉塞性睡眠時無呼吸症候群及び慢性閉塞性肺疾患にて通院中であったが、喫煙は継続
していた。2011 年より禁煙したが、同年 3 月の CT で両側肺底部のすりガラス様陰影が出現し、徐々に増悪し
た。2013 年 10 月に胸腔鏡下肺生検を施行し、過敏性肺炎を示唆する所見であった。鳩飼育歴、沈降抗体陽性、
画像及び臨床経過より鳥関連過敏性肺炎と診断した。過敏性肺炎発症の契機として禁煙が関与した可能性が考
えられた。
42.メンソールタバコの喫煙を契機に発症した急性好酸球性肺炎の一例
同愛記念病院アレルギー呼吸器科1、獨協医科大学越谷病院臨床検査部2
おぐら なおと
○小倉直人1、河野雄太1、添田聖子1、三上慎太郎1、原 紘子1、山本義孝1、
黨 雅子2、黨 康夫1
症例は 19 歳の男性。発熱・乾性咳嗽・呼吸困難を主訴に受診。喫煙歴・画像所見から AEP を疑い BAL 施行。
有意な好酸球の上昇を認め、ステロイドパルス開始。自覚症状・画像所見は改善しステロイドを漸減しながら
経過観察を行った。その後明らかな再発を認めなかった。メンソールタバコの喫煙を契機に発症しておりその
関連性が着目される。
23
43.アレルギー性気管支肺真菌症様の病態を呈した肺ノカルジア症の一例
東京都立多摩総合医療センター
やまもと みあけ
○山本美暁、高森幹雄、高橋由希子、木内 達、横須賀響子、佐藤 祐、
岡本翔一、阪下健太郎、北園美弥子、市岡正彦、村田研吾、和田曉彦
症例は 67 歳女性。X 年 12 月から喘息様症状を認め、前医で気管支拡張薬、抗アレルギー薬を処方されたが改
善がなかった。X+1 年 5 月には呼吸困難増悪、黒色痰も出現し、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症が疑
われ、ステロイド、イトラコナゾール内服の上、精査目的で当科紹介となった。アスペルギルス抗原は陰性で
あり、吸引痰培養で Nocardia farcinica が同定された。貴重な症例であり、報告する。
44.HTLV-1 関連細気管支・肺胞異常症(HABA)の 1 例
東京慈恵会医科大学附属柏病院呼吸器内科1、東京慈恵会医科大学附属柏病院病理部2、
東京慈恵会医科大学附属柏病院腫瘍・血液内科3、東京慈恵会医科大学内科学講座呼吸器内科4
やまかわひであき
○山川英晃1、吉田正宏1、矢部真紗美1、石川威夫1、高木正道1、佐藤 峻2、
田上 晋3、佐野公司3、西脇嘉一3、桑野和善4
症例は 63 歳女性。2011 年に健診の呼吸機能検査で閉塞性換気障害を指摘されていた。2013 年、下肢の感覚障
害の精査で HTLV-1 関連脊髄症(HAM)を疑われたが、その後軽快したため HAM は否定的と考えられた。
その際に肺野異常陰影を指摘され 2014 年に当院紹介。胸部 CT 検査では mosaic perfusion の像を認め、BALF
の flow cytometry と胸腔鏡下肺生検を施行し HABA と診断した。
45.肺動脈血吸引細胞診が有用であった Intravascular Lymphoma の 1 例
東京慈恵会医科大学附属柏病院呼吸器内科1、東京慈恵会医科大学附属柏病院循環器内科2、
東京慈恵会医科大学内科学講座呼吸器内科3
やべ
まさみ
○矢部真紗美1、山川英晃1、吉田正宏1、石川威夫1、高木正道1、鈴木健一朗2、
桑野和善3
症例は 85 歳男性。発熱、呼吸困難を主訴に入院。LDH および sIL2R 上昇あり Intravascular Lymphoma(IVL)
を疑ったが診断つかずプレドニゾロンの投与を開始し改善した。約半年後症状再燃し再度入院。Swan-Ganz カ
テーテルを用いた肺動脈血吸引細胞診を施行し大型で核型が不整な異型細胞が散在し免疫染色で同細胞は
CD20 および CD79a 陽性細胞であり IVL と考えた。呼吸状態は悪化傾向であったが R-CHOP 療法を開始し速や
かに改善した。
24
セッションⅨ 16:14~16:56
座長 清水邦彦(社会福祉法人恩賜財団済生会横浜市東部病院呼吸器内科)
46.クリゾチニブ投与中に放射線脳壊死を認めた肺腺癌の 1 例
土浦協同病院呼吸器内科
やまな たかし
○山名高志、西山直樹、齋藤弘明、山下高明、若井陽子、齊藤和人、
篠原陽子
65 歳女性。20XX 年 4 月から咳嗽が出現、当科紹介され ALK 陽性の肺腺癌の診断となった。多発脳転移を認
め最大病変に対し定位放射線治療、その後化学療法を 3 コース施行した。12 月からクリゾチニブ投与を開始、
胸部陰影は改善したが翌年 10 月よりもの忘れが出現した。MRI にて定位放射線治療施行部位に ring 状に増強
される腫瘤影を認めた。腫瘤摘出術を施行したところ放射線脳壊死の診断となった。
47.姑息的放射線療法により病変の縮小と症状緩和を認めた高悪性度肺粘表皮癌の 1 例
横浜市立みなと赤十字病院呼吸器内科1、横浜市立みなと赤十字病院アレルギー科2、
横浜市立みなと赤十字病院呼吸器外科3、横浜市立みなと赤十字病院病理診断科4
かわはら たつお
○河原達雄1、龍神聡子1、片 佑樹1、片柳真司1、清水郷子1、鵜浦康司1、
河崎 勉1、遠藤順治2、下山武彦3、熊谷二朗4
症例は 83 歳、男性。胸部 CT にて両側鎖骨上窩および縦隔リンパ節腫大、気管分岐下に腫瘤を認めた。右鎖骨
上窩リンパ節生検を行うとともに、気管支鏡にて気管支腔内に腫瘤を認め生検を施行。いずれも高悪性度粘表
皮癌を認めた。血痰、呼吸困難とともに病変は増大し、気管分岐下の腫瘍に対し、姑息的放射線療法を施行し
たところ、病変の縮小と症状緩和を認めた。高悪性度粘表皮癌の放射線治療報告は稀で、貴重な症例と考えら
れた。
48.サルコイドーシスに合併した肺小細胞癌の 1 例
聖路加国際病院呼吸器内科
こばやしひろただ
○小林宏維、冨島 裕、中岡大士、岡藤浩平、北村淳史、仁多寅彦、
西村直樹、田村友秀、蝶名林直彦
52 歳男性。40 歳頃よりぶどう膜炎あり。大動脈血栓症手術時に縦隔・肺門リンパ節腫大と Klinefelter 症候群
が判明し、1 年後にリンパ節の増大と中葉に粒状陰影を伴う浸潤影を認めた。縦隔リンパ節生検では非乾酪性
類上皮肉芽腫を認めサルコイドーシスと診断されたが、肺野の生検で肺小細胞癌を診断されリンパ節の増大は
その転移であった。サルコイドーシスの経過中にリンパ節の増大を認めた際は悪性疾患の合併も考慮する必要
がある。
25
49.Gefitinib の効果が転移部位により著しく異なった EGFR 遺伝子変異陽性肺腺癌術後再発の 1 例
東京慈恵会医科大学呼吸器内科1、東京慈恵会医科大学病院病理部2
かみい やすひろ
○上井康寛1、和久井大1、三石雄大2、嶋田真梨子1、渡部淳子1、門田 宰1、
稲木俊介1、高坂直樹1、藤井さと子1、皆川俊介1、小島 淳1、原 弘道1、
清水健一郎1、沼田尊功1、河石 真1、荒屋 潤1、金子由美1、中山勝敏1、
桑野和善1
症例は 48 歳女性。EGFR 遺伝子変異陽性肺腺癌術後再発に対して 1st line gefitinib を開始し多発肺転移は著明
に縮小したが、多発リンパ節転移・多発骨転移が急速に増大。原発巣とリンパ節転移巣の病理組織学的検査と
遺伝子検査を比較した結果、de novo 耐性の機序として上皮間葉移行と c-MET 増幅が考えられた。貴重な症例
と考えられ、文献的考察も含め報告する。
50.EGFR 遺伝子変異陽性肺多形癌に対し、erlotinib にて長期病勢コントロールを得ている一例
東京都済生会中央病院内科1、東京都済生会中央病院病理部2
さかい てつや
○酒井徹也1、扇野圭子1、宮崎雅樹1、中村守男1、廣瀬茂道2、向井 清2
77 歳男性。血痰にて近医を受診、画像上肺癌が疑われ紹介。右上葉 19mm の結節、縦隔、左鎖骨下含めたリン
パ節転移、多発骨転移を認め stage4 と診断。左鎖骨下リンパ節生検を施行し多形癌と診断、EGFR 遺伝子変異
陽性(Ex19del)であった。Erlotinib150mg 内服を開始、grade2 までの皮疹を認める以外の有害事象はなく、
内服開始 2 か月にて good PR と判断、以後 31 か月間再燃なく良好な病勢コントロールを維持している。
51.大空洞陰影を主体とし急速に陰影拡大した浸潤性粘液産生性肺腺癌の 1 例
日野市立病院内科1、国家公務員共済組合連合会立川病院2
ますざわ けいた
○増澤啓太1、峰松直人1、君塚善文1、大澤一馬1、三上修治1、山本達也2、
岩丸有史2、緒方謙太郎2、増田しのぶ2
症例は 75 歳、男性、胸部 CT で右下葉に大空洞を主体とする陰影を指摘された。約 1 か月で急速な陰影の拡大
を認め、経気管支肺生検にて、浸潤性粘液産生性腺癌と診断された。経気道転移の出現を認めたが、化学療法
に先行して主病巣の外科的切除を行い、肺胞壁に沿って進展する粘液産生性の癌細胞を認めた。本症例のよう
に大空洞陰影を主体として、急速な陰影拡大を示す浸潤性粘液産生性腺癌は稀と考えられ、考察を加え報告す
る。
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セッションⅩ 16:56~17:38
座長 中村守男(東京都済生会中央病院呼吸器内科)
52.PMX-DHP 療法を含めた集学的治療が奏功した CADM 合併間質性肺炎の 1 例
独立行政法人国立病院機構高崎総合医療センター呼吸器内科
さとう
まり
○佐藤麻里、上野 学、長岡真梨子、原田直之、相澤智弘、折居美波、
清水雄至、茂木 充
45 歳女性。呼吸困難のため前医に入院し、間質性肺炎と診断され mPSL パルス治療を行ったが呼吸状態が悪化
し、当院に転院。抗 MDA-5 抗体陽性であり、所見から CADM に合併した間質性肺炎と診断し、mPSL パルス
治療、PMX-DHP 療法、シクロホスファミド、シクロスポリン投与を行った。経過中に縦隔気腫を併発したが、
治療は奏功し、縦隔気腫も治癒し軽快退院した。重症の CADM 合併間質性肺炎に対して、治療が著効したた
め報告する。
53.エベロリムス溶出冠動脈ステントによる薬剤性肺炎が疑われた一例
日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
ひきち
まり
○引地麻梨、畑岡つかさ、高野友喜、深井有美、平沼久人、中川喜子、
清水哲男、権 寧博、高橋典明、橋本 修
症例は 72 歳の男性。冠動脈ステント留置から 4 ヶ月後に乾性咳と息切れ、発熱を認め近医を受診。胸部エック
ス線写真で浸潤影を認め、低酸素血症も伴っていたことから紹介入院となった。明らかな原因が認められない
ため薬剤性肺炎の診断でステロイド治療を行ったところ速やかに改善した。原因薬剤としては 4 ヶ月の経過が
あるが、薬剤溶出ステントのエベロリムスが考えられた。
54.肺癌術後の間質性肺炎急性増悪に対し、早期の PMX(ポリミキシン B 固定化カラム)療法を
用い改善を認めた一例
慶應義塾大学医学部呼吸器内科1、慶應義塾大学病院腫瘍センター2、慶應義塾大学医学部呼吸器外科3、
慶應義塾大学病院病理診断部4
すみや
ちえこ
○住谷智惠子1、宮脇正芳1、上田壮一郎1、福永興壱1、鎌谷高志1、平野俊之1、
正木克宜1、猶木克彦2、副島研造1、朝倉啓介3、林雄一郎4、別役智子1
症例は 56 歳男性。間質性肺炎経過観察中に指摘された左上葉 26mm 大の結節影に対し胸腔鏡補助下左上葉切
除術を施行し肺扁平上皮癌 pT1bN0M0stage1A と診断した。術後 30 日目に発熱、労作時呼吸困難が出現、間
質性肺炎急性増悪と診断しステロイド投与に加え入院 2 日目に PMX(ポリミキシン B 固定化カラム)療法を
行い呼吸状態、画像所見ともに改善を認めた。間質性肺炎急性増悪に対し早期の PMX 療法で改善を認めた症
例を経験したので報告する。
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55.広範な蜂巣肺を有する間質性肺炎に出現した肺癌の一手術例
神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科
さくらなかはるやす
○ 櫻 中 晴康、関根朗雅、千野 遥、舟木佳弘、細田千晶、伊藤博之、
松尾規和、水堂祐広、中澤篤人、北村英也、馬場智尚、篠原 岳、
西平隆一、小松 茂、加藤晃史、萩原恵里、小倉高志
67 歳男性。2004 年に間質性肺炎と診断。2014 年 6 月胸部 CT で右肺下葉結節影を認めた。10 月に胸腔鏡下右
肺下葉切除術を施行。術後に自覚症状は改善し、PaO2 値は軽度上昇した。本症例は両肺下葉に広範囲な蜂巣肺
を呈しており、同部位を切除することが呼吸状態の維持に寄与したと考えられた。慢性閉塞性肺疾患とは異な
り、間質性肺炎における同様な報告は少ないため報告する。
56.プレガバリン(リリカⓇ)によると考えられた薬剤性器質化肺炎の一例
東京都立多摩総合医療センター呼吸器科
たけうちゆうすけ
○竹内悠介、阪下健太郎、木内 達、高橋由希子、横須賀響子、山本美暁、
佐藤 祐、岡本翔一、北園美弥子、村田研吾、和田曉彦、高森幹雄
82 歳男性。肺非結核性抗酸菌症で通院中。腰痛に対し他院よりプレガバリンを含む 4 剤新規処方あり。内服 1
週間後より発熱と咳嗽を認め来院。胸部 X 線で新規浸潤影認め、細菌性肺炎を疑い抗菌薬投与するも軽快乏し
く、TBLB 施行し器質化肺炎と診断。薬剤性を疑い DLST 施行したところ、プレガバリンのみ S.I. が 372 と高
値。プレガバリンによる薬剤性肺障害は本邦では報告が無く、頻用薬でもあり教訓的症例として報告する。
57.メサラジンが原因と考えられた薬剤性好酸球性肺炎の 1 例
順天堂大学医学部呼吸器内科
たなべ ゆうき
○田辺悠記、平間未知大、杉山 藍、小池健吾、鳥羽慶栄、木戸健治
46 歳女性。潰瘍性大腸炎に対して 2 ヶ月前からメサラジン内服を開始。その後乾性咳嗽などの症状出現したた
め、当科外来受診。画像上左肺胸膜直下に浸潤影を認め、採血上炎症高値、好酸球上昇を認めた。薬剤性好酸
球性肺炎を疑いメサラジン内服は中止とし、気管支鏡検査を施行。病理の結果好酸球性肺炎の診断となり、
DLST も陽性であり、薬剤性好酸球性肺炎と診断。ステロイドの投与も検討したが薬剤中止のみで症状、画像
所見など改善を認めた。
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今後のご案内
 第 214 回日本呼吸器学会関東地方会
会 期:平成 27 年 5 月 23 日(土)
会 場:秋葉原コンベンションホール
会 長:別役智子(慶應義塾大学呼吸器内科)
演題募集期間:平成 27 年 1 月 15 日(木)
~2 月 19 日(木)
【第 214 回運営事務局】
(株)コンベンションアカデミア 畠山太郎
〒113-0033 東京都文京区本郷 3-35-3 本郷 UC ビル 4 階
TEL:03-5805-5261 FAX:03-3868-2113 E-mail:[email protected]
 第 215 回日本呼吸器学会関東地方会
会 期:平成 27 年 7 月 11 日(土)
会 場:秋葉原コンベンションホール
会 長:一和多俊男(東京医科大学八王子医療センター)
【第 215 回運営事務局】
(株)コンベンションアカデミア 畠山太郎
〒113-0033 東京都文京区本郷 3-35-3 本郷 UC ビル 4 階
TEL:03-5805-5261 FAX:03-3868-2113 E-mail:[email protected]
 第 216 回日本呼吸器学会関東地方会(合同開催:第 168 回日本結核病学会関東支部学会)
会 期:平成 27 年 9 月 26 日(土)
会 場:前橋テルサ
会 長:徳江 豊(群馬大学医学部感染制御部)
※初期研修医ならびに医学生の発表を積極的に受け付けております。
初期研修医・医学生につきましては入会の義務はございません。
たくさんのご参加をお待ち申し上げております。
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