P- -1 PD・HD 併用療法の中止時期についての検討 P-

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PD・HD 併用療法の中止時期についての検討
三樹会吉野・三宅ステーションクリニック1)、
鳥取赤十字病院2)
○吉野保之1)、庄司裕美子1)、中村勇夫1)、三宅茂樹1)、小坂博基2)
PD療法は残腎機能が廃絶すると,溶質除去不足・除水不足のためPDの継続は困難と
なり,PDの継続期間は3年程度と報告されている.これに対して,PD+HD併用療
法が行われ,2012年末のJSDT集計では,PD患者の19.6%がHDを併用している.
我々は,併用によるPDの長期継続を期待し,これまでに61名に併用を行ったが,6
名にEPSの発症を来した.併用療法の中止は,PDガイドラインに準じているが,
EPS例にPETのHはなく,長期継続につながった.そこで,併用患者のPD中止理由
と期間,中止時のD/PCr などをJSDT集計と比較検討し,併用療法の中止について考
える.
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PD 導入患者の検討
市立三次中央病院 外科
○越智 誠、赤山幸一、橋詰淳司
【はじめに】中山間地域にある当院では在宅医療であるPDはメリットが多いと考え、
PD Firstで透析医療を行っている。過去7年間のPD導入患者を検討し、今後の治療
に生かしたい。 【対象】2007年4月から2014年3月までに、175例の透析導入を行い、
うち57例がPD導入であった(PD選択率32.6%)。 【結果】年度毎のPD選択率は、前
半は30~58%であったが、後半は15~28%に低下していた。緊急透析導入の割合は、
前半は23~37%、後半は50~59%に増加していた。14例にHD併用療法を行い、PD導
入からHD併用開始までの期間は26.4±11.0ヶ月であった。36例がPDを離脱し、死亡
6例、腎移植1例を除いた29例の離脱理由は、7例が除水不良、7例が腎不全症候、
7例が腹膜炎、6例がトンネル感染、その他2例であった。PD導入患者の5年生存
率は74.1%であった。PD継続期間では、50%PD単独継続期間は31ヶ月、HD併用を含
めた50%PD継続期間は42ヶ月であった。 【結語】腎代替療法の選択を安定した状態
で行えるように、かかりつけ医とのCKD連携を早期から行い、緊急透析導入になら
ないようにする必要がある。PDは長く続ける治療ではないが、PD離脱理由のうち
PD関連感染症(腹膜炎、トンネル感染)が45%を占めており、感染対策を強化しPD
継続期間が延長できるように努めたい。
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重度心機能低下を認める高齢者での腹膜透析の有用性
島根大学医学部附属病院卒後臨床研修センター1)、
島根大学医学部附属病院腎臓内科2)、
島根大学医学部附属病院血液浄化治療部3)
○宇賀田 圭1)、芦村龍一2)、長谷川志帆2)、望月かおり2)、福永昇平2)、
花田昌也2)、花田 健2)、伊藤孝史2)、椎名浩昭3)
【背景】高齢者にとって腹膜透析(PD)は、心血管系への負担が少なく、少ない透析
量でも施行可能というメリットがあり、以前からPDラストという概念がある。 【症
例】80代、女性 【現病歴】2012年9月に拡張型心筋症と診断され、その際CKD
stageG5A3も認めていた。β遮断薬や利尿薬で外来加療されていたが、同年12月に慢
性心不全急性増悪を認め、当院循環器内科に入院した。呼吸管理とニトログリセリン
投与により数日で心不全は改善し、腎機能もBUN 63.4 mg/dL、Cr 4.86 mg/dLで著
変なかったが、今後の体液管理のため早期の透析導入が望ましいと判断した。自宅と
医療機関との地理的条件やご本人の希望からPDを選択し、当科入院の上導入した。
【その後の経過】体格や手技的煩雑さを考慮し、イコデキストリン透析液1.5Lの1
日1回交換とした。尿量は300~500 mL、除水量は200~400 mLで推移し、心拡大や
BNP上昇を認めず、左室駆出率はPD導入前23%から導入後31%と改善し、拡張能の
悪化も認めなかった。導入後1年半以上たった現在に至るまで、心不全の再発なく経
過している。 【結語】腹膜透析は厳密な体液管理という面では血液透析に劣り、高
度の心機能障害を有する症例ではコントロールに難渋することもあるが、本症例では
イコデキストリン透析液の1日1回交換のみで体液管理が良好となり、心不全の再発
なくQOLも保つことが出来ている。重度心機能低下を認める高齢者での腹膜透析の
有用性について報告する。
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腎機能障害を合併した重症心不全に対するイコデキストリン
の有用性について
心臓病センター榊原病院 内科
○清水明徳
【目的】腎機能障害を合併した重症心不全に対して、夜間1回腹腔内にイコデキスト
リンを貯留した症例について、経過と予後を検討したので報告する。
【対象】中等度以上の腎機能障害(eGFR15以下)を合併し、重症心不全のために低
血圧と溢水のため内科的な治療のみでは長期間の良好なコントロールが困難であると
判断された12例。
【経過】イコデキストリンにより、腹膜透析導入直後は11例が溢水状態を改善し、体
重が6.5±2.3kg減少,BNP3460±350から1480±272に改善して軽快退院した。
【予後】7例が現在も生存。4例が死亡している。生存した7例のうち2例はイコデ
キストリン夜間1回貯留のみ(2年目と3年目)。3例はイコデキストリン夜間1回
貯留+2.5% 1500ml(9ヶ月目,2年目,3年目)。1例はAPD+イコデキストリン(2.5年目)。
1例CAPD(3年目)。1例は8ヶ月目にMRSA腹膜炎となり腹膜透析離脱、血液透
析で現在入院中である。死亡した4例は、1ヶ月目に心不全死。 肺炎で2年目に死亡。
突然死で2.5年目に死亡。 MRSA腹膜炎で3年目に死亡。
【結論】腎機能障害を合併した重症心不全に対するイコデキストリンの短期経過は良
好であった。その後残腎機能の低下に伴い追加のバック交換など腹膜透析処方が必要
となったが、重症例にもかかわらず比較的良好な経過を得ることが多かった。
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腹膜透析カテーテルの破損;あってはならない合併症
松江生協病院 腎・透析科1)、
松江生協病院 泌尿器科2)、貴友会王子病院 腎臓内科3)
○松井浩輔1,3)、塩野 学2)、都筑優子3)、船木威徳3)、窪田 実3)
【目的】腹膜透析(PD)カテーテルの破損はあってはならない合併症である。自験例
についてその原因と治療法を報告する。
【原因】以下の3つの原因がある。
1.患者・家族によるもの:最も頻度が高いと思われるが、固定しているテープをは
がす際にハサミやカッターを使用したり、認知症患者では邪魔だからといって自分で
切断してしまうことがある。
2.医療処置に伴うもの:腹膜透析の管理をしていない医師が処置を行う際に、カテー
テルを金属製の鉗子で挟むことで破損したり、感染巣をデブリードメントする際に誤っ
てカテーテルを損傷してしまった症例があった。また出口変更術(SPD)で、カテーテ
ルをチタニウムエクスダーに接続する際にカテーテルに亀裂が入った症例を経験した。
3.その他:カテーテル機能不全で紹介となったが、腹膜カフと皮下カフの間でカテー
テルが離断していた症例も経験した。
【治療】出口より外側であれば、破損部より腹腔側でカテーテルを切断し、チタニウ
ムアダプターと接続チューブを接続する。皮下トンネル部であればSPDを行うが、カ
テーテルとチタニウムエクステンダーを接続する長さが確保できない場合は、カテー
テルを入れ替えるしかない。いずれも予防的に抗菌薬を投与した方が良いと考える。
【考察】カテーテルの破損はあってはならない合併症であり、患者側、医療者側も正
しい知識をもつことで予防ができる。認知症患者でカテーテルを引っ張ってしまう場
合には、肩甲骨部出口(SBE)も検討する必要がある。
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SMAP の埋没期間中にカテーテル閉塞が認められた 5 例の
検討
かつたにクリニック1)、
JA広島厚生連尾道総合病院2)
○勝谷昌平1)、大久保愛子2)、江崎 隆2)
【はじめに】SMAPは適切な時期にPD導入できることやカテーテル感染のリスクが軽
減されることなど、様々な有用性が示されているが、SMAP特有の合併症の一つとし
て埋没期間中のカテーテル閉塞があげられ、出口作製時に初めて認められることにな
る。今回我々は、埋没期間中にカテーテル閉塞が認められた症例を検討し、報告する。
【症例と方法】我々は2006年4月から2014年6月まで77例にSMAPによるCAPDカ
テーテル挿入術を施行した。このうち、5例(6.5%)(男性1名、女性4名、年齢
57.0±12.5歳)に埋没期間中のカテーテル閉塞が認められた。この5例についてカテー
テル埋没期間、カテーテルの位置異常の有無、閉塞の原因などを検討した。 【結果】
カテーテルの埋没期間は12.8±2.0ヶ月(5-26ヶ月)であった。カテーテルの位置異
常は5例中4例に認められた。閉塞の原因は大網捲絡2例、フィブリン栓2例、線維
性組織の形成1例であった。1例はシリンジによるフィブリン栓の吸引にて再開通が
得られたが、4例は下腹部切開示指挿入矯正法にて閉塞を解除した。いずれの症例も
その後は注排液異常は認められず経過良好であった。 【考察】今回の検討において、
SMAPの埋没期間中にカテーテル閉塞が認められた症例は、比較的埋没期間が長く、
カテーテルの位置異常が認められた症例が多かった。埋没期間中にカテーテル閉塞が
起こる誘因は判明されていないが、少なくともカテーテル挿入時にはカテーテルを適
正な位置に挿入するよう心がけるべきであると考えられた。
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