SURE: Shizuoka University REpository

SURE: Shizuoka University REpository
http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/
Title
Author(s)
植物病原細菌Pantoea ananatisに関する研究
木戸, 一孝
Citation
Issue Date
URL
Version
2010-03-21
http://dx.doi.org/10.14945/00006418
ETD
Rights
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静 岡大学
―
博 士 論文
θgα α4α α′
お
Sttdies On the plant pathogenic Pα ″′
“
植 物 病 原 細 菌 Pα ηJθ gα α α αJお に 関す る研 究
““
2009年 12月
大 学院
自然 科学系教育部
バ イオサイ エ ンス 専攻
本戸 一孝
f
博
学
位
論
文
目
次
本
論文名
一
孝
′′J′ 」′鮨 に関す る研究
植物病原細菌 爵留わθ
目
次
1
1章 序 論
第 2章 メ ロ ン果実 内腐 敗 病
第
2.1
2.2
2.3
戸
貢
11
貢
緒言
材料及び方法
結果
メロン果実内腐敗病の発生状況とそ の特徴
分離 された黄色細菌のメロンに対する病原性
(病 徴再現)
細菌学的性状試験
16Sr DNAシ ー クエ ンス解析
第
2.4
考察
3章
メ ロ ン果 実 内腐 敗 病 菌 の ウ リ類 に対 す る病 原 性
3.1
3。 2
3.3
28貢
緒言
材料及び方法
結果
メロン果実内腐敗病の病徴発現
様 々 な ウ リ類 へ の病原 性
3.4
第
4章
4.1
4.2
4.3
考察
メ ロ ン果 実 内腐 敗 病 菌 の 病 原性 因子
51貢
緒言
材料及び方法
結果
メロン罹病果実か らの菌収集
メロン子葉 における病徴形成
メロン果実内腐敗病 を接種 したメ ロン子業 の組織学的観察
メロン果実内腐敗病菌 が保有す る特異的遺伝子
f“
ZJ“嘱 `た 遺伝子を保有するメ ロン分離株 のメ ロンヘの病原性
SulP1791,SUPP2219の
シュタコンカス ミソウに対す る病原・
性
メロン果実内腐敗病菌 によるペ クチ ン分解酵素 の分泌
4.4
考察
第
5章 Pα
5.1
5.2
5.3
Joθ α曲翻
82貢
αご
お の 多様 性
“
緒言
材料及び方法
結果 様々な植物からの P
ttα η
αJお
の分離
Pα 認
翻αrJJを 接種 したネ ギ、 タマネ ギの反応
Pα α‖″おを接種 したタバ コの反応
“
′鮒仰α′
おの遺伝子特性
交互接種試験における P αttα 4α Jお の宿主植物に対す る病原差異
5.4
第
6章
6.1
6.2
6.3
考察
114貢
メ ロ ン果 実 腐 敗 病 菌 の伝 染 経 路
緒言
材料及び方法
結果
α″
おの検 出
メロン雄 花か らの Pα″
α√
ヒラズハ ナアザ ミウマか らPα ″α″α′ の分離
j∫
花器感 染経路
メロン柱頭除去試験
種子伝染
6.4
第
7章
7.1
7.2
7.3
考察
助 ″ゎθ
αttα ″αノ
おによ り引き起 こ されるタバ コ壊死反応
157 霧
罫
緒言
材料及び方法
結果 P ttα αrお Group Iに よる HR様 反応 の形成条件
“
Pα燿硼α′
おGroup Iに より形成 された HR様 反応 の特徴
メ ロ ン子葉における壊死斑形成
IIR様 反応 の誘導・形成要因
抗生 物質 による HR様 反応形成 へ の影響
力
rp誘 導培地 による HR様 反応 へ の影響
Pα″α4α JJ∫ による HR様 反応 にお ける ん
ψ 遺伝子群 の関与
第
8章
総 合 考察
1 総合考察
8.2 引用文献
8.3 摘要
8.4 Summary
8。
192]罫
第 1章
序論
は じめに
植物病原細菌は宿主植 物 に感染 し、萎凋、斑点 、枯死、腐敗、増生、奇形 と
いった様 々 な病徴 を引 き起 こす。植物 に病原細菌 が感染 し発病 に至るまでには
一定の潜伏期間が必要 であ り、その期間は病原細菌 の種類、病原力、侵入方法、
増殖量、植物 の種類・生 育 ステージ、栽培環境な どによつて異なる。特にそ の 中
で も、病原性 を直接支配す るタイプⅢ分泌機構(Type Ⅲ Secretion System:TTSS)
によつて宿 主に注入 され る多 くのエ フェクター タ ンパ タや 、病原力に関わるペ
クチン分解酵素 (PLな ど)、 植物 ホル モン、毒素産 生 、菌体外多糖質などの発病
因子は潜伏期間に大き く影響を与えると考 えられ る。宿 主植物 に対 し強い病原
性 を示す 病原細菌は これ らの発病因子 を保有 し、感染 か ら短 い潜伏期間で 肉眼
的に病徴 を認識できるまでに発展 させ る。 しか し、病原性 の弱 い病原細菌 に関
しては、潜伏期間が長期化(潜 在感染)、 も しくは、潜在感染に より植物が健全 な
状態 を保 つている間は発病せず、肥培管理や栽培環境 によつて植物体が弱ま っ
た時にのみ発病に至 る場合がある。 これを日和見感染 とも呼び 、い くつかの 事
″
α歯 (=E卿 加lia α
例 が報告 されてい る。例 えば、Rttagα αα
Hαttα め により引き起
“
こ され るイ ネ内穎褐変病 はイネもみ の内頴 にのみ褐 変病徴を示す。本菌は下位
葉鞘 の葉先 や傷 な どの枯 死 した組織 に腐 生的に存在 し、 もみへ の感染 は開花前
後 の僅 かな期間であ り、約、柱頭、子房基部が感染 に関わる菌増殖 の場 とな つ
ている 椰 asegWa d d.2003)。 ただ し、感染 した もみ、すべてに病徴を引き起 こ
すわけではな く(Azegami et J.1983)、 本菌が定着 したイネの葉や葉鞘 でさえ病徴
を形成 しな い。 これは病 原性 の弱い植物病原細菌 に よる典型的な 日和見感染 と
い える。 このよ うな病原性 の弱い細菌は、マイナ ー な病原細菌 とされ研究対象
として注 目されてこな か った。そのため、 これ らの病原細菌 が どの よ うな発病
因子を保有 しているのか な どその発病機構に関す る知見は乏 しい。本研究 は最
近わが 国 で発生 したメ ロ ン果実内腐敗病 がそ うい うた 日和見感染菌 として知 ら
α″
αガJに より引き起 こされ る病 害の一つ であることを報告するもので
れる Pα″
あ り、
αttα ガJの 種内多様性 を検証す る ものであるが、
通常の病原菌 との違 いや P αη
本論 に入 る前に、本病原細菌 の研究背景 について若干触れたい。
腸内細菌科 の植物病原細菌
植物病原細菌は系統的 に多 くの起源 に由来 し、そ の性状もグル ー プによつて
大きく異なる。本研究対象 であるP囲 確α油 はDttrab“ たガα β科
`gα
(腸 内細菌
科)に 属す る細菌 であ り、 この科に属す る植物病原細菌 は数多 くの植物に感染
し多様 な病気を引き起 こす ことが知 られている。近年、遺伝子診断技術 の進歩
や膨大な DNA情 報 を蓄積 したデー タベ ースの充実 を背景 とし、その分類体系 は
生理,生 化学的性状試験 ,PrOtdn pro■ le,DNA― DNA相 同性試験によるものか ら、
16S rDNAシ ー ク エ ン シ ン グ解 析 ,multi4ocus sequence andysis(MLS対
muhi‐ locus
,
sequence typing(LLST)に 基づ いた系統解析 に変化 して きた。その結
果、DttЮ ら たFJα αθ科 に属す る植物病原細菌 の分類 は激 しく変化 し、現在、
“
“
F闊卿θ
Fね 属,Dc晦α属,Eη ″rab“ たr属 ,Ettν ttJα 属,Pα ″
Jo`α 属,ル θ
わら た/J“ 閣属
“
■rratiα 属 に再分化 されてい る (Ga宙 ni et al.1989,Hauben et al.1998,Samson et
,
J.2005)。
本研究対象 の
P…
由 は長 い問 昴 ッ
加ね amsと 位置づ けられ 、
ル印wFJα 属 ,Dノ β
α 万γ
解属細菌 はいづれ も
弯 Q属 ,EⅣJi41ia属 ,Pα ηわ 属,Pgrゎ ら
`α
旧励
`″
滋 属細菌 とい う大 きなグルー プに含 まれてい た。 この 旧伽 枡α属細菌
は果実や野菜生産 の現場 に大 きな被 害 を与え、経済問題 となることが多いため、
古 くか ら多 くの研究 が行 われてきた。
1917年 、E乃 ッ
加ブ
αとい う属名 を Winslowが 初 めて使用 して以来、 グラム陰性、
通性嫌気性、オキシダーゼ陰性、 カタラーゼ陽性 とい う細菌学的性状 を示す植
物病原細菌は全て DΨ 漸α属 とされてきた。 しか し、そ の中には当初 か ら性質 の
異なる多 くの種 が存在す る こ とが知 られていた。そ こで、Dyeは 、 1968年 か ら
1969年 にかけて、それ までに報告 された約 60種 の 加 瀬α属細菌 を、宿主植物
に対する病原性 と細菌学 的性状な どの表現形質を基 に動Ψわッ
θ
‖',蹴 脚わ
"認
',
こ
ルrら れ山 'の 3つ の細菌群 に分けることを提案 した (Dye1968,1969a,1969b)。
`amyJo7ara'群 細菌は宿 主植物にえそ症状や萎凋症状 を引き起 こす。
Dyeは この
グル ープを `true
erwinia'と
言及 した。この グループには E印 加加岬
loソ
θ
認 (Burrill
1882)Wins10W et al.1920が 属 し、本種 はル輛認
ね 属の基準種 (Type species)と さ
れ てきた(Lellioi
and DickeL 1984)。
本菌により引き起 こ される人傷病 は、リンゴ、
ナ シなどのバ ラ科果樹 に壊滅的 な被害 をもた らす こ とで 有名 である。火傷病 は
古 くか ら猛威 を振るい続 けて い る防除困難 な重要病 害 で あるため、世界中で生
態 と防除に関す る研究が行 われてい る (畔 上 2007)。 また、植物病原細菌は植
物 を病気に導 くために多 くのエ フェクター を生産す る。 このエ フェクター分泌
機構 の一つ であるタイプⅢ分泌機構 は、植物病原細菌 において、植物 に対す る
過敏感反応 (野 perSensitive=eattion)と 病原性 (ptthOgenici哺 を支配す る遺伝子 と
して同定された み
ψ 遺伝子群 によって構成 されてい る。 そ して、二 岬 low期 に
お い ても 力ψ 遺伝子群 を保 有 してい る こ とが報告 され てい る oady and Beer
1992)。
ペ クチ ン酸 リアーゼ (PL)、
翻力 認'群 細菌は数種 のペ クチ ン質分解酵素 〔
“
ポ リガラク ツ ロナーゼ な ど〕やセル ラーゼ を分泌 し、宿 主植物を腐敗 ・萎凋・
`β
立 ち枯れ症状 を引き起 こす特徴 を持つ。 この グル ー プには、ル悧ガα θ
αЮわ
"認
や ル前滋だぃ smヵ θ Jが 含 まれ、これ ら 2種 の病原細菌 は多数 の植物 に軟腐病
“
を 引き起 こす ため、栽培 上 防除対策 が重要 となる。 この ため、 より効果的な防
除 を 目的 として、その病原性発 現機構、伝染性や防除方法に関わる研究が盛ん
に行われてきた
複数の
(Toth et al.2003)。
両者 の細菌学的性状は似てい るが、分泌す る
PLの アイ ソザ イ ム が 異 な り、前者 は主 に
PLl∼
5を 分泌 し、 E.
働響w滋
`認
Jは PLa∼ PLcを 分泌す る。PL分 泌機構 に関 しては基質分解産物誘導
機構、植物成分 による超誘導機構, 自己誘導機構 、その他多 く病原性 に関与 し
た研究が行 われている(露 無 ら、2004)。
こ
ルFbた θ力'群 細菌は これ まで葉面細菌、腐生細菌、病原性 の弱い植物病原性細
菌または 日和見植物病 原細菌 として認識 されてきた。 この中で も例外的に宿 主
植物に強 い病原性 を示 す植物病原細菌 として、宿 主植物に全身萎凋を引き起 こ
す トウモ ロコシ萎凋病菌 EⅣ 加滋酔″ ″ブ 硼わβ
αJJttΨ ガJ)、 宿主植物に こぶ を
『
引き起 こす特徴 を持 つ 、 シュク コンカス ミソウこぶ病菌 ルⅦirた みgFbjcaJJ pv
'PSリ
ルゴ
此脇 ぽ 観 ね 鍬 偲 癬 勧 解 期 脚
pv.解 ノJJg″ ″
椰閉ゎ
`α
pv ttstthj力 θ)、
フ ジ こぶ 病 菌
E印 加 ね 乃θFbiiCθ ル
aggJOHβ 聞 脚 pv″ ゴJJg筋 解 )が 報 告 さ れ て い る (Ooto d al.
198軋 Miller d J.1981;Mergaert d al.1993)。
徴や萎凋症状に関連 した w歯 へ
トウモ ロコシ萎凋病菌は、水浸状病
B,C遺 伝子を含 む病原性 関連遺伝子群(Coplin
et
ともに 力
ψ 遺伝子群 も保有 してい るこ とが知 られている rederiCk et al.
「
シユタコンカ ス ミソウこぶ病菌は巨大なプ ラス ミドpPATHを 保有 し、そ
al.1992)と
2001)。
のプ ラス ミド上にイ ン ドール酢酸(IAA_l合 成遺伝子(し面 、れガ 遺伝子)、 サイ ト
カイエ ン合成遺伝子(g″ 遺伝子)、 及び、病原性関連 遺伝子(み ψ 遺伝子)の 存在 が
報告 され 、 これ らの遺伝 子 が病原性 に関与 してい る こ とが報告 された(Clark et
al.1993,Lichter et J.1995a,Nizan d al.1997)。
フジこぶ病菌において も、:α嘱
放ガ:θ ″遺伝子 とAFP遺 伝子群に含 まれ るか訳,加パ 遺伝子を保有す る菌株 が存
在するこ とが確認 された
(Kobayashi et al.1998)。
この よ うに強い病原性 を示す病
原細菌 に関 しては、そ の生態 か ら発病に関わる遺伝 子にまで多 くの研究がな さ
れてい るが、病原性 の弱 い病原細菌 に関 しては知見が少ない現状 にある。
E‖ッ
limJα 属細菌 と近縁属 の変歴
分類手法 とその技術 の進歩に伴 い、 これまでの分類 が見直 されるよ うにな っ
た。そ して、生理 ,生 化学的性状試験 ,PrOtdn pro■ le,DNA‐ DNA相 同性試験 の
結果に基づ き E印 加ね 属 か らい くつかの種 が 几耐agα 属 に移 された (Gavini et
al.1989)。
J″ ね 属細菌は 16S rRNAシ ー クエ ンシングの結果 か ら
そ の後、E乃 ッ
ル前ガα属 が 4つ の クラス ター に分かれ るこ とが報告 され(Kwon et al.1997)、
れぞれの グル ープに対 して 励
,wttrJα,ル
`rab“
そ
れ 比開能α とさらに 2つ の新 しい属名 として
たFJγ″ が 提 案 され た (Hauben tt al.1998)。
さ らに 、
ル rdhヵ 油脚 属に含まれていた元 E ch7田醜力θ
″Jの グループは、生理 ,生 化学
的性状試験 、免疫学的試験 、 16S rRNAシ ー クエ ンシング、そ して、DNA‐ DNA
相同性試験に基づ き、Dたルμ 属 として分離 された(SamSOn et J.2005)。
本研究 の主 な対象 である P"鋼 α廊 が属す る几
"洸
α属は、医療現場において
分離 され主に黄色色素を産 生 す る腸内細菌 の一群 として以前
Fに 分
EJ7″ Юル
αε
た
類 されてい た菌株 に対 して、 1989年 に 几硼初α属 の新属名 が与え られ 、新設 さ
れた もので ある。 さらに、DNA相 同性試験や prOtein
pron胎
o可 i
tt al.1988)な
ど
の結果か らル朝″liJ ttθ Fら J“ ル と環境細菌 で あるDっ た ら rar ttgJttaFα η
Jを 同 じ
““
種 と して ■ 脚 JO“ 偲 ゴ θ″θttα ″S(BtterinCk 1888)Gavini,Mergae■ ,Btti,Mielcrek,
Izttd,Kertters&Deley 1989に
P ttΨ
リ,
`フ
P′ 鰤7ε ″″,P ritta,P Jgrrgα ,Psた wαrtif
θttCα 昴 ガ,P硼 晦
と
ま と め られ た 。 そ し て 、 現 在 で は 、 Pa露
pv.脚 鶉 ″ liJaθ
I側g「郎
F α″α″αl常 ,Pッ 喫口 島
、
P
“
h力 の 10種 が 本 属 に 加
の
2病 原 型
え られ 、P
、 Psた ソ″ ″ノ に は
tt10認 働 悧 ∫ に は pv‖ JJJgrttg
ssp.れ 力 崚 ″θ∫ と SSp.J″ w″ ″ゴ
の 2亜 種 が設定 されてい る。従来 の黄色色素を持つ
θ たθ
ル'群 蜘 加α属細
`乃 Fら
菌 は本属に ほぼ移 された。 この うち、植物 に対 し明確 な病原性 を示す ものは
P
JJgノ ′
Jα θ
Psた ‖′
α″
″ゴsubsp.Jた 刊
眈
7Fガ ブ
、
ブ
19θ
QBJθ ″grms pv.解 ゴ
,P aggJaw`rmspv.』 Jttp∫ 6F刀 乃
gr夕 θ
の 3種 で ある。Parttθ α属 の同定に関 しては、み
θル 群細菌を類別す るための
い くつかの生理化学的性状項 目(黄 色色素産生、硝酸塩還元、イ ン ドール産生、
数種糖類 の分解能)(Dye 1969b)、 ″ 遺伝子 の PCR‐ RFLP分 析(WalerOn
“
et d 2002)、
そ して 、MLSAに よ る手 法 (Brdy et al.2008)な どが あ るが 、P硼 開 ガ∫や
P
aggrawθ rα rJに つ い て は表 現 型 にヘ テ ロ な も の が あ る こ とが知 られ て お り、植 物
病 原 細 菌 と葉 面 細 菌 ,腐 生 細 菌 とを 区別 す るた めの 確 固 た る新 た な 分 類 手 法 が
必 要 とされ て い る。
助
ragα α α
″α″J
“
“
上 述 の よ うな歴 史 を有 す る R副馳α属細 菌 は例外 的 に強 い 病原性 を示 す 3種 の
植 物 病 原 細 菌
鍔JmerttS
P si騨鮮 ガゴ subsp.Jた w″ ガJ、 P電
誠
w飢
脚
pv.所 JJgrrJαθ,P
pV,P岬 カカ θを除き、一般的に、植物葉面細菌、植物腐 生細菌、
土 壌 生息菌 として知 られてい る。本属細菌 の 中には、植物や土以外 に、湖や人
間 か ら分離 されたとい う報告 もあ り(Eayre et al.1995:Kageyama et al.1992;Baere
et al.2004)、
ある●aere
幅広い生息圏を持 つ。 また、植物や人間に対 し日和見感染す る種 も
et al.2004)が
、病原性 が弱いため、 これまで注 目されて こなか った。
本研究の主題 となるP ttα隠 ″Jは 、 このよ うな 几劇能α属細菌の一種 に含 まれ、
植 物非病原性細菌、も しくは、 日和見感染菌 として扱 われてきた。
RttJθ α α碑醐
麻 は長 い 問
EⅣ 加 加
α″α‖
Jと
して
場 θ″らJεθヵ
'群
細 菌 の 一 種 と
位 置 づ け られ て きた。 そ の 後 、Mergae■ 飢 al.(1993)に よ つて R″agα 属 へ 移 さ
れ 、THiilper and De'Clari(1997)に よる種名 の訂 正 が あ り、現在 の 此耐
離酬αガJ
"α
ttα 納 の植 物病原 と
(Se∬ 狙01928)Mergard tt al.1993と な っ た経 緯 が あ る。 P α
して の歴 史 は 、 1928年 に パ イナ ップル 花樟 病 の 病原 細 菌 と しては じめて 報告 さ
れ た こ とに始 ま る(Serm0 1928)。
(PaCC01a… MeirelLs
それ以 後 、本菌 は トウモ ロ コシ `leaf spot'病
d J.2001), トマ ト `gratywall'病 (Stan d J.1969),イ ネ 内頴褐
変病(Azegami et J.1983),ハ ネデ ューメロンodls et al.1987)や キャンタロープ
メ ロンoruton d al.1991)の `Brown spot'病 ,ス ーダングラス `hafspot'病 (Azad
et al.2000),エ リンギ軟腐病(Kim et al.2007)を 引き起 こす病原細菌として報告 さ
れたが、宿 主植物 に対 し明確 な病原性 を示 さない こ とか らマイナー な病原細菌
とか ら扱 われて きた。 しか し、最近 にな つて、海外 でタマネ ギや ユ ー カ リに対
して本病原細菌 が例外的 に激 しい病原性 を示す 事例 が報告 された(CoutinhO et
al.2002:Gitdtis md Gay.1997)。
日本 国 内では
Pα‖翻αrdisは イネ 内頴褐 変病 の病原 菌 として知 られてきた
(Azegami tt al.1983)。
特に、近年 の夏期 の高温化 による影響 か らこのイネ内頴褐
変病 が各地で顕在 化 して きた との報告 がある
(長 谷川 2007)。
年 にスパテ ィア ィラム葉腐細菌病(木 嶋
パイナ ップル花樟病(TakaeSu et
al.1996)、
1987)、
そ の ほか、1985
フ リー ジア首腐病 (Abe d al.2000)、 本研究の主な対象 としてメロン果
実内腐敗病
ido就 J.2008)が 報告 された。 さらに、Pα碑
翻αtisに よる病害 として
“ 、タマネ ギ 白色葉枯病(田 中、青 田 1991)や ア リウム腐敗病 (Taga
推測 されている
et J.2005)な ども上げられ る。この よ うな こ とか ら、Pα碑
醐 腑 は宿 主範囲がと
て も広 く、日本各地の広範囲 に存在す ると推測 される。しか しなが ら、P鰍翻α麻
が寄生する こ とのできる多 くの植物 が、上記 で紹介 した病害の伝染源 となる可
全ての P ttma由 が、
能性や、
記載 された宿主植物全てに病原性を持 っているか、
即 ち寄生性 に分化 があるのか不明である。
メ ロン果実内腐敗病 の発 生 と本研究 の 目的
1998年 、高知県の メロン産地におい て、メ ロン果実内腐敗病の発 生が初 めて確
認 され、2003年 以降は毎年その発 生が確認 されるよ うになった。 当初、本病は
原因不明の障害 として、対策す ら執 るこ とがで きず に問題 となって い た。そ こ
で、本研究にて 2007年 よ り本病 の原因 を明 らかにす るため試験に取 り組 んだ。
本研究の過程 において、メ ロン果実内腐敗病は Pα″
α″αガJに より引き起 こされ
る病害の一つ であることが判明 した。続 い て、本病害 の防除対策 を考 える上で
そ の発生生態 (宿 主範囲・感染源 ・伝染源 )を 明 らか とす るこ とを重 要視 し、
メ ロン種子、メロン雄花・雌花、交配に利用 されてい るミツバチ、メロンの害虫
である ミナ ミキイ ロアザ ミウマ 、 ミカンキイ ロアザ ミウマ 、 ヒラズハ ナアザ ミ
ウマ か らの病原菌 の検出に取 り組 んだ。 また、 メ ロン果実内腐敗病菌 の果実侵
入経路 を検証するため様 々な接種試験を試みた。
P ttα麻
は様 々 な植物に病 害 を引き起 こす がその特性 については知 られて
いない。
研究過程において P ttmtisの 中に宿主植物に対す る特異的な反応 を示
す菌株や 、特異的な遺伝子を保 有す る菌株 が存在す るこ とが 明 らか とな って き
た。 これ らの事象 か ら、種の 中で もさらに細分化 される可能性 がある こ とが示
唆 された。そ こで、静岡大学農学 部植物病理学研究室にて保存 、または、本研
究にて収集 された P…
tisを 利用 して、細菌学的性状調査、交互接種 による病
原性試験、遺伝子 レベル での特性 、そ して、 タバ コに形成 された壊死斑につい
て試 験 に取 り組み、P硼印α納 の病原性やその多様性に関 して検証 し、メ ロン分
離株 を含 めた P硼醐α鮨 の分類 について検討 した。
また、本病原細菌 は培養条件 に よつてタバ コに過敏感反応 (HR)に 似 た壊死
斑を形成す ることが予備実験で明 らか となった。通常、IIRは 乃
rP遺 伝子を保 有
する細菌 によって誘導 される。しか し、本菌において LFp遺 伝子を保有 していた
とい う報告は これまでない。そ こで、本研究ではこの現象 について も、力ψ 遺伝
子によ り引き起 こ され る HRと 比較す ることによ り検証 し、P酬鮒α鮨 の病原性
発 現 メカニズムを解明す るための糸 口を得る こ とを 目的 として研究を行 つた。
これ らの研究成果 は P¨
由 の生態、植物 に対す る病原性 、その遺伝子特性
の一部 を明 らか とした もので あ り、今後 の本菌 の分類 ・ 同定、農業分野 での病
原菌検 出、病原性 の判別、感染源 調 査など病害防除 の一助 となることが期待 さ
れ る。 また、 日和 見感染性 の弱病 原性細菌が どの よ うに病原性 を発揮 している
のかを解明す るこ とにより、未知 の病原性機構 の発見につ なが る学術的な成果
も期待 され る。本論文は これ らの成果をまとめた もので ある。本研究 の成果 は
論文
2編
(Kido tt al.2008■ 2010)、 学会発表 5件 (本 戸 ら 200■ 2008:
2009biKido et J.2008b)と して公表 してい る。
謝辞
│1雄 一先 生 、露無慎二先生、 平 田久恵先生 より終
本研究を行 うにあた り、瀧メ
始暖 かいご指導、 ご助言 を賜 り厚 く感謝 し、研究の基礎 を懇切丁寧 に ご指導 く
だ さつた後藤 正夫先生及び兵藤宏先 生に深 く感謝す る。 また、貴重 な ご意見、
ご協力をい ただいた横浜植木株式会社 の伊藤智司氏 、奥克美 氏、望月啓司氏、
鳥取県農業試験場 の長谷川優博 士、農業 生 物資源研究所 の古谷綾子博 士、長谷
川香料株式会 社、閉サカタの タネ の加 来久敏博士、静岡大学農学部 の渡邊修治
博 士、高知 県農業技術 セ ンターの竹内繁治博 士、安達理恵氏、愛媛 県農林水産
研究所 の楠 元智子博士、高知大学農学部 の曳地康史博 士 、沖縄県農業試験場 の
大城篤博士 、入交アグ リー ン側 の西内陽氏 、味の素田 の伊藤 久生博 士 、横井大
輔氏に厚 く感 謝するとともに、SK‥ 1菌 株 を分譲いただい た宇都宮大学 の諸星知
広博 士、NM4,NR53菌 株 を分譲いただいた畔 上耕児博 士、 メロン雄花 のサンプ
ル を分譲いた だいた千葉県暖地園芸研究 所 の植松清次氏、田中千華 氏 、ならび
に、貴重なサ ンプル を ご提供 いただい た 高知県の メ ロン生産 に携 わ る皆様方 に
深 く感謝す る。 そ して、本研究 の共同研究者 である静岡大学農学部植物病理学
研究室卒業 生 及 び在学生の小林真樹氏(現 :理 研 グリー ン株式会社)、 厚地多恵氏、
川 田宏史氏 、 松本大雪氏、松本洋司氏に厚 く感謝す る。
10
第 2章
メ ロン果実内腐敗病
2.1
緒言
現在、我 国 で栽培 され る果菜類 の中で も最高級品の一つ とされ る
`ア ールス
'
メ ロンは明治中期以降に ヨー ロッパ か ら導入 された こ とが始ま りである。導入
されたメ ロ ンは数種類 の
`ア
ールスフェボ リッ ト'メ ロンであ り、その中には
芳香、内質、そ して甘み が強い もの もあ つたが、冬系 の メロン品種(冬 季 に栽培
されるタイ プ)で あつたため 日本 の栽培 には適 してい なか った。しか し、その後、
先人 の努力 によ り、 日本 の気候に適 した 品種が育成 され現在 の よ うに周年栽培
が可能にな った。その結果、2007年 の 日本全 国メロン栽培面積は 9520
収穫量は 221,300tと なった
`ア ールス系 'メ
ロン
(農 林水産省 2009)。
(品 種改良により
ha、
その
現在、 `ア ール ス 'メ ロンや
`ア ールス 'に 極 めて近 い メ ロンに育
成 された品種 )は 日本人 を魅了す る嗜好品 として 「果実 の王様」 と称 されてい
る。 この よ うな背景か ら、 メ ロン産地は消 費者に良い メ ロンを届 けるため、糖
度などの食 味 のみな らず、外観 の美 しさ(ネ ッ ト形成 ,果 皮色)な どの多 くの点に
配慮 し、品質 にこだわった果実 を出荷 してい る。
ところが 、近年、高知県 の メ ロン産地 にお いて果実内部が悪臭 を伴 い腐敗す
る
`メ
ロン果実内腐敗症 'が 発生 し、品質管理 の点で大 きな問題 が生 じている。
一般的に収 穫時や出荷前 の品質検査時 において、果実 に腐敗 が見 られればそ
の果実は直 ちに取 り除かれ る。 しか し、本病害は果実外観 か らは病気 を発症 し
ているこ とを判断 で きず 、観察検査 による除去がで きない。仮 に、本病罹病果
実が 出荷 された場合、消費者 に不llt感 を与 え、産地イメージを損 な つて しま う
こ とが懸念 され る。現状 の対策 として、本病 の発生 してい るメ ロン産地では微
妙 なネ ッ ト形成異常、果実 の打音異常、そ して、発病果実か ら極僅 かに漂 う腐
敗異臭を嗅 ぎ分 け発病果実 を除去 してい る。
本症状が 1998年 に初 めて確認 された 当初 、原因不明で あつたこともあ り、メ
ロン生産 現場 では生理 障害 として扱 われてきた。 ところが、本腐敗果実の腐敗
部を顕微鏡 にて観察す る と、常に多数 の細菌 が認 め られ るこ とか ら細 菌の関与
が疑われた。
国 内 に お い て 報 告 され た メ ロ ン の 細 菌 病 は 、 P∫ θ
リ
カ副側田 ッ れりθpV.
ねカソ‖用 によるメ ロン斑点細菌病 (Yoneyama d al.1971:Umektta et」 .1978)、
胸
清θ副 側 as cα ttgJ″ お p■ β露
ら加 ′ に よ る メ ロ ン 褐 斑 細 菌 病
`″
“
ル εゎ ら たガγ″
Ю わ 7o翻 刑
“
“
al.1974)Pseu赫 鋼 硼
И♂ 泌
subsp.“ 認 ゎ
"″
閣 に よ る メ ロ ン軟腐 病
θノ
働 面 ゴに よ る メ ロ ン 腐 敗 病
勧鳴 鷹 所 腱 psに
“
Ostta.1987),И θJあ ヾ
釧鑑 仰
よ る メ ロ ン毛 根 病
"″
lWakimoto 1975)、
(Nasuda et
(Gouma and Kttima.1995),
(Shiomi et al.1987:Makino and
subsp.ε ゴ
rr7肪 に よるメ ロ ン 果 実汚斑 細 菌 病 但 orha
et J.2006:0'B五 en and Martin 199乳 TOmha ct d.2006)で あ っ た 。 また 、ア メ リカ 合
衆 国 にお い て 、R醐
“
α αttα麻 に よ リハ ネ デ ュ メ ロ ンや キ ャ ン タ ロー プ メ ロ ン
の果実表皮 に引き起 こされ る `Brown spot'病 が あるoruton a J.1991:wells d al.
1987)。
また、生理障害 として、 メ ロン果実内部が胎座 に接する果 肉 が水浸状に
なる過熟発酵 とい う症状が報告 されてい る (農 文協 2004)。
しか し、 これまで
メ ロン果実 内部 のみが腐敗す るとい う細菌病 の報告はない。
本章では、本病 の発 生状況、特徴、病原細菌の特性 な どについ て、新病害 と
して断定 され るまでの過程 についてま とめた。
2.2
材料及 び方法
メ ロン果実腐敗病 の発生状況
高知県メ ロン産地におい て、本病 の発 生が確認 された地区のメ ロン栽培 に関
わる方々の ご協力に より、情報を提供 いただ き、2005年 7月 , 2006年 6月
,10
月, 2007年 10月 ,2008年 6月 ,10月 と現地圃場の調査観察を行 った。
12
腐敗果実組 織 か らの病原細菌 の分離
高知県か ら送 られて きた発病メ ロン果実 の腐敗 した胎座部位やそ の周辺の果
内組 織か ら、一 白金耳の果汁 を採取 し、YP Agar(酵 母エ キス 5g,ペ プ トン 10g,
蒸留水 1000ml,Agar 15g,pH6.8:YPA)プ レー トとP α
η
αηα由 の選択培地である
NSVC‥In Agar(ペ プ トン 10g,イ ノシ トール 10g,NaC1 50g,バ ンコマイ シン 100m3,
シク ロヘ キシ ミ ド 10伽 唱,Agar 15g,蒸 留水 1000ml,pH6.8)プ レー ト(長 谷メ
IIら
,
2003)に 画線 し、27℃ で 2日 間培養 した。
分離菌の培養 と保存
分離 された菌株を YPAプ レー トに画線 し、
27℃ で 24∼ 48時 間培養 した ものを
各試験に用 い た。また、分離菌株は凍結保存用培地[ス キム ミル クoif00)10g,ダ
ル タ ミン酸ナ トリウム 1.5g,蒸 留水 100ml]へ 懸濁 し、 -20℃ にて凍結保存 した。
供試菌株
高知県の メ ロ ン産地で発生 したメ ロン果実 内部腐敗サ ンプルか ら、 上記の方
法 にて菌 を分離 し、1998年 か ら2008年 にかけて、それぞれ異なるサ ンプルか ら
黄色細菌を 39菌 株収集 した。その うちの 8菌 株Ⅳ e10■ ‐
1,SuPP1791,Melon… 2,
SUPP2582,MA-2,3,A9,05KEA‐
1)を ネ ッ トメ ロンに対す る病原性試 験や細菌学
的性 状試験に用 いた(表 2-1)。 SLIPPと は shizuoka University plant pttho10gy
culture cdlectiOnの 略名である。本章研究 を行 うに当た り、 メ ロン罹病組織か ら
黄色細菌が純粋 に分離 され たことか ら此副枕α属細菌であることが推測 された。
し た が つ て 、 本 章 研 究 の 対 照
と し て 、
P鋼
爾
腑
(su叩 2219),P aggJO朋 grar7J
cPル jわ C(SWP2439), P ttθ ttg[螺 pv
(SUPP1993), P aggJattgrtt pv 脚 ∫
″ゴ
JJgrrliaF
cHR4‐
1503)を 用 い た 。各 菌株 の 詳 しい 由来 につ い て は表 に示 した (表 2
-1)。
13
ネ ットメ ロ ンに対する果実腐敗再現性試験
アールス 系ネ ットメ ロン
`雅
春秋 系 '(横 浜植 木株式会社)を 用 いて、分離菌
株 の病原性 試験を行 った。病原性 を調 査す るために行 つた刺壼十接種 は以下の と
お りである。人工交配 し 5∼ 7日 経過 した子房 の柱頭 を取 り去 り、その柱頭傷跡
か ら上記 の 条件 で培養 した細菌の菌叢 に触れた針先 を、子房 内の胎座 に達す る
程度
(約
5mm)差 し込む ことにより行われた(図
2-2)。
この とき、子房内に挿
入 された菌 量は約 104ci/siteで あった。接種後、果実が収穫期 に達するまでの
50∼ 60日 間、 18∼ 30℃ のガ ラス室にて栽培 された。病原性再現は収穫 された果
実を垂直 に割 り、胎座 を中心 とした 内部 の腐敗 の有無を 目視 によ り行 つた。 ま
た、腐敗症 状 の有無に関係 なく、上記 の培地 を利用 し菌 の再分離 も行 つた。腐
敗果実か ら分離 された SuPP1791を 代表菌株 として 6果 実 に接種 し、対照菌株で
ある SUPP2219(CTBl135)と SUPP1993(C-7)は 各 4果 実 に接種 を した。 また、ネ
ガテ ィブ コ ン トロール と して、滅 菌水 を用 いて
SuPP1791以 外 の罹病果実分離 7菌 株
2果 実 に接種 した。 また、
(Me10n‐ 1,Melon… 2,SuPP2582,MA… 2,3,A9,
05駆A‐ 1)と 対照菌株である SIPP2439と ⅢM-1503は 各 1菌 株 につ き、各 1果 実
に接種を行 い 、その病原性 を調査 した。
細菌学的性 状調査
グラム反応 、OFテ ス ト、オキシダーゼ 、カタラーゼ 、硝酸塩還元、イ ン ドー
ル産生、H2S産 生、アセ トィ ン試験、 メチル レッド試験 、蛍光色素産生、フェニ
ル アラニ ンデ ア ミナーゼ は suzllki
et d.(2003)の
記載 に従 つて行 つた。
糖 からの酸産生試験は Dye(1968)の 記載に従い、pH指 示薬 として 1.5%プ ロ
モ ク レゾール パ ープルエ タノール溶液 を
700
μl加 えた 1%ペ プ トン水培地を用
い た。ペ プ トン水に加 えた糖 の濃度 は 1%と した。判定は一週間後 に 目視 によ
14
り行 った。糖 の利用性 には 対 ersら (1919)の 基本培地 を用いた
(。
3週 間観察 し、
菌の生育 の有無を調査 した。
DNA抽 出
細菌の DNAは YP Brothで 24時 間、
27℃ にて振 と う培養 した菌液 か らAusubel
ら(1995)の cetyhrimethylammOnium bromide(CTAB)を 用 いた方法により抽出され
た。 この章以降の遺伝子解析試験には この方法で抽 出された DNAを 用いた。
16S rDNAシ ー クエ ンス 解 析
SUPP1791の 16S rDNAシ ー クエ ン シ ン グは楠 元 ら(2004)の 記 載 に従 っ て 行 っ
た 。 得 られ た シ ー ク エ ン ス デ ー タ は
DNASIS一 Mac ven3.O cHitachi Sottwtte
Engineering)に よ り解析 した 。 シ ー ク エ ンス の 相 同性 は DNA data bank Of Ja.pan
(DDBDデ ー タベ ー ス
(http;〃
呻
.ddttnig.aC.jp)の
FASTAプ ロ グ ラ ム を使 用
検 索 した 。 ま た 、系統解 析 には DDBJデ ー タベ ー ス の
CLUSWLWに
し
よ り解 析 を
行 い 、得 られ たデ ー タ を基 に TreeVlew(Win32)ve■ 1.6,6 So■ wareを 使 用 し系 統 樹
を 作成 した cage.1996).
2.3
結果
メ ロン果実内腐敗病の発生 状況 とその特徴
1998年 、高知県で栽培 されたメ ロン果実 におい て果実内腐敗症 が発 生 した。
そ の症状 はアールス系 メ ロン 〔
″お″
CtJθ γ
`わ
L.(rdiCulatus group)〕
果実外観は正 常であるが、果実内部 のみ腐敗 していた
(図
に認 められ、
2-1)。 本症状 の発
生率は 0.2%未 満 と少ない が、2003年 以降現在 に至 るまで毎年発 生が確認 され
てい る。病害 の発生は 6∼ 8月 と 12∼ 1月 に収穫 され る果実に多 く見 られ る傾
向が あった。 また、暖房 を使わない時期 に交配期 を迎 えた果実 において、本症
15
状 を伴 うものが多 く発生す る傾向 も確認 された。発 生回場は産地 の中に点在 し
てお り、決 まった圃場での継続的な発生が確認 された。
本病害 の病徴は果実内部 の腐敗 のみ で、葉や茎 な どにお け る病徴発現 は確認
されてい ない。果実を切断 してみ る と腐敗症状 は胎座を中心 に果内部位 まで広
が つてお り、感染部位 で ある組織 は淡 い茶褐色水 浸状 になるが 、 とろけるよ う
な症状 は観察 されなか った
(図
2-1)。 ただ し、酸味のある発酵 したチーズの
よ うな刺激 的な悪臭 を伴 い、糖度 も低 く、食味は苦味を伴 い 商品価値はない と
判断 された。
分離 された黄色細菌の メ ロンに対す る病原性 (病 徴再現)
光学顕微鏡 により罹病組織を観察 した ところ、多数 の細菌が観察 され、そ の
部分か らは常に黄色細菌 が分離 された
(図
2-ld)。 このため、1998年 か ら 2008
年 にかけて 、高知県の メ ロン産地 にて発 生 したメ ロン果実内腐敗症を呈 した果
実を収集 し、各 々異なる発病果実 か ら菌分離を行 い、39菌 株 の黄色細菌を収集
した。そ の うち、表 2-1に 示 した代表 8菌 株を用 いて、刺針接種試験によるメ
ロンに対す る病原性試験 を行 った。
接種 した子房は外観 上に腐敗な どの病徴を形成す ることな く、50∼ 60日 間順
調 に生育 した。収穫期 に達 したメ ロン果実 (縦 12∼ 16cm,横 13∼ 16cm,重 量
1200∼ 1800g)を 収穫 し、
果実内部 の病徴形成 につい て観察 した ところ、
SLIPP1791
を接種 した
6果 実すべ てに、悪臭を伴 う胎座 とその周辺の果実 に淡 い茶褐色 の
水浸状病徴 が観察 された(図 2-3)。
S■ IPP1791以
外 の 7菌 株 を接種 した果実にお
いて も同様 に、果実内部 に病徴を観 察 した。 これ らの接種試験 によ り形成 され
た病徴は 自然発生 した病徴 と同 じ症 状 であることが確認 された。 さらに、接種
した果実 か らは黄色細菌 が再分離 された。
これに対 し、対照菌株 である SLIPP2219を 接種 した 4果 実にお い て、1果 実 の
16
み、接種 部位付近 の果 肉が腐敗 しえ ぐれ ていた。 この症状は 自然発病 した症 状
とは異なるものであ り、原病徴 を再現するものではなかった。それ以外 の
実は無病 徴 であった。 suP1993を 接種 した
3果
4果 実は全 くの無病徴で あ り、
SLIPP2439、 HR4… 1503を 接種 した果実 も無病徴 であった。
細菌学的性 状試験
メ ロンに対 して病原性 を示 した メ ロン分離 8菌 株 の細菌学的性状試験 の結果
を表 2-2に 示 した。 メ ロン分離菌はグラム陰性、通性嫌気性 で あ り、イ ン ド
ール産生、カタラーゼ産生、アセ トィ ン産生テス トにおいて陽性反応を示 した。
オキシ ダーゼ活性、硫 化水素産生、40℃ での生 育、 タバ コ過敏感反応 、 タマネ
ギ腐敗 テ ス ト、 フェニル ア ラニ ンデ ア ミナーゼ試験 、蛍光色素産生、硝酸塩還
元試験 、 メチル レッ ド試 験 はいずれ も陰性 を示 した。基本培地 としてペ プ トン
水 を用 い た糖類 か らの酸産生試験 では、イノシ トール、 ソル ビ トール、 メ リビ
オース、 グ リセ ロール 、 ラフィノース において 陽性反応 を示 したが、ズル シ ト
ール にお いては陰性を示 した。対 erSら の培地 での炭素源利用試験ではソル ビ ト
ール 、イ ノシ トール、 メ リビオース、マル トース、 マ ンニ トール 、セ ロビオー
ス、L‐ ア ラ ビノース、ラク トース、グ リセ ロール 、ガ ラク トース、スクロース、
トレハ ロー ス、クエ ン酸 において 陽性 を示 した。 しか し、ズル シ トール、 ア ド
ニ トール 、 α_メ チル‐
D― グル コシ ド、デ キス トリン、DL‐ 酒石酸、マロン酸、乳
酸に関 しては陰性 を示 した。 これ らの反応 は、乳酸、クエ ン酸和j用 性に違 い が
見 られたが、対照菌株 に用 いた sLIPP2219仕 α
ttαttJJJiJ)と 同様 の結果であ り、
SL「
PP1993ば q肥 山″θ
rmら,SUPP2439ぽ 鍔ゴθ
″θ
μ
α
″
∫pv
認
螂 θ
`期
‖ pv″ ゴ
JJg庸
)と
“
tts…ゴ
ルθ
),HR4-1503ぽ
は全 く異 なる反応 であった。
16S rDNAシ ー クエ ンス 解 析
メ ロ ン分 離株 SUPP1791の 16S rDNAシ ー クエ ンス(1417bp)(GenBank/DDBI no.
17
AB297969)を 決 定 した 。DDBJの FASTAに よ る相 同性 検 索 の 結 果 、SuPP1791は
P ttα rdisの 16S ttNAと
高 い 相 同性 を有 して い た 。そ の 相 同性 は P硼 硼 α歯 (ュ
ー カ リ分 離 菌 LMG20105(AF364845)(CoutinhO et d.2002)]99.9°/o,P硼 印耐 lis
の type strain[ATCC33244T(U80196)cKwon et al.1997)]99.9%,そ
して 、 P
α醜観 α油<〒E.reおソ
囲 )[ATCC19321T(U80209)(Kwon et al.1997)]99,8%で
さ らに 、几 ″ o`α 属 細 菌 の
あ っ た。
16S rDNAに 関 して 、 これ らの デ ー タの比 較 調 査 を行
う た め に 、Ps″ wα r″ ゴsubsp.加此 洗 9鋼 gs,PJた 1/y″ ガJ subsp.∫ JgwartiJ,P鍔
J9″ `ヽ総
、
P aggJoHθ認服 pv朋 ゴ
JJg″
,ル grab″ たFfzJHッ rIPgttJ,Eschg河 働滋 ルの シ ー クエ
“
“
ンス デ ー タをデ ー タベ ー ス よ り入 手 し、得 られ た全 デ ー タ の 比 較 可能 な 1loo bp
につ い て cLUSTALWに よ り解析 を行 い 、そ の 解 析 結果 に基 づ き Tree Vlewソ フ
トウエ ア ー に よ り系統 樹 を作成 した 。 そ の結 果 は 図 2-4に 示 した。 得 られ た
系統樹 は メ ロ ン分離菌 (SLIPP1791)が 報告 の あ っ た
P ttm麻
の 細 菌群 に含 まれ
てい る こ とを示 した。
2.4
考察
メ ロン果実腐敗症は高知県 の メ ロン産地で栽 培 されるアールス系 メ ロンにそ
の発 生が認 め られ、果実外観 は正 常 であるが、異臭を伴 い、そ の果実内部が水
浸状 に腐敗す る特徴をもつ(図 2-1)。 本症状 はメ ロンの品種 によって図 2-5A
に示 したよ うに若干異なるこ ともある。 しか し、類似 した症 状 として、発酵果 、
うるみ果 とい う生理障害が知 られてい るが(図
2-5B,C,農 文協
2000、 果内
の変色 を伴 わない点お よび刺激的な悪臭 ではな くアル コール 臭 を発す る点で大
きく異な っていた。本症状 の発生 当初は生理 障害 の一種 と考 え られていたが、
2003年 以降連続 して本症状が発 生 したこと、決ま った圃場で の継続発生が確認
されたこ とか ら、微生物 による病害である可能性 が考 え られ た。そ こで、 メ ロ
ン果実内腐敗症 の原因探 索 に着手 した。
18
最初 にメロン罹病組織を光学顕微鏡 にて観察す ると、多数 の細菌が観察 され
常に黄色細菌が分離 された。罹病 メ ロンか ら分離 された黄 色細菌のメ ロンに対
す る病 原性 を調査す るため、予備試験 として、 メ ロン雌花 へ の噴霧接種、メ ロ
ン果実 のネ ッ ト形成期にできた ヒビ割れ部位 へ の噴霧接種、結果枝へ の刺針接
種、収穫 した果実へ の針接種 な ど様 々な試験 を行 つた。 しか し、果実内腐敗症
状 の再現 に至 らず、本症状の病原菌 として断定で きなか つた(詳 しい内容 は第 6
章 にて記載する)。 そ こで、本症状 を発症 した果実の特徴 が 、共通 して果実胎座
を中心 とした腐敗症状であることか ら、病原菌 が胎座に侵入す ることが病徴 を
引き起 こす重要なポイン トで ある と推察 した。 この推論 を元 に、黄色細菌 とメ
ロン果実腐敗症 との関係 を明確 にす るこ とを 目的 とし、栽培 中の果実 の胎座 に
黄色分離菌が侵入 で きるよ うに刺針接種試験(図 2-2)を 行 い、本症状の再現性
につ い て検証 した。その結果、交配 後 5∼ 7日 経過 した子房 に、菌叢 に触れた針
で刺壼十接種 した ところ、果実は外観 上 問題なく 50∼ 60日 間生 育肥大 し収穫 に至
つた。 しか し、そ の収穫 された果実 内部は胎座 を中心に腐敗 し異臭を放 ってい
た。SUPP1791を 含む メロン分離代表 8菌 株 を接種 した果実すべてに果実内部
腐敗 が観察 され(図 2-3)、 その腐敗部位か らは黄色細菌 が再分離 された。 この
結果 は原病徴を再 現す る結果 で あ り、 コ ッホの原則 がみ た されたことか ら接種
した黄色細菌により引き起 こされた細菌病であると断定 した。
メ ロンに病原性 を示 した黄色細菌 を同定す るため、Dyeの 研究(1969b)を もと
「
に Bergey's Manualな どで も採用 されてい る旧
`力 gFbJβ
θ
ル'群 細菌を類別す るため
の項 目を含 め、様 々 な細菌学的性状 を調査 した。その結果、表 2-2に 示 したよ
うに、黄色色素産生 、 グラム陰性 、通性嫌気性 、 イ ン ドール 産 生が陽性、硝酸
塩か らの還元性 とフェニル アラニ ンデア ミナーゼ試験が陰性 、糖類 か らの酸 の
産生試験 において、 メ リビオース , ソル ビ トール ,グ リセ ロール,イ ノシ トー
ル が 陽性 、 ズルシ トールが陰性 とい った特徴を示 した。 これ らの特徴 は比 較対
19
照や文献記載 の
P…
isと 一 致 し、 メ ロ ン に病原性 を示 した病 原 菌 が
P
酬anα漁 であるこ とを示 した(Dye 1969b:Lelliott and Dickey 1984:Mergaei et al.
1993)。
さらに、訊PP1791の 16S rDNAシ ー クエ ンスデー タは、この メ ロンに病
原性 を示 した黄色細菌がP α
ttαmJlisで ある こ とを明確に した
(図 2-4)。 したが
つて、以上の結果 か ら、 メロン果実内腐敗症 は 肺
¨
歯 (Serrm0 1928)
“
Mergaert飢 」。
1993が 引き起 こす病害の一つ で あると断定 した。そ して 、本病害
をメ ロン果実内腐敗病
al.2008う 。
Pα″
α″
α由
(Intemal fruit rot Ofme10■
)と する こ とを提案 したに idO∝
は貯蔵 中のハネデ ュメ ロンやキャンタ ロープメ ロンの表皮
に `BrOwll spot'病 を引き起 こす貯蔵病害 の病原 として報告 された
ou■ On d d,
1991;Wells a d.1987)。
しか し、 これ らの報告 の記載には果実内部の腐敗 に関す
る記載はない。ゅ えに、P酬翻α麻 がメロン果実内部 に腐敗 を引き起 こす初めて
の報告 となった。
しか し、同 じ種 で あるイネ内穎褐変病菌(SUPP2219)は 接種 した
4果 実 中の
1
果 にのみ腐敗病徴 を引き起 こ したが、典型病 徴 と全 く異なってお り、本病 の病
原菌ではない と判断 された。 これは同種 で もメ ロンに病原性 を示す系統 と示 さ
ない系統が存在す る こ とを意味す る。この件 に関 しては第 5章 にて検証 を行 う。
20
表2-1.供 試 菌株
Host
Strain
Location
Isolator
Year
1998
1998
2000
2003
2003
2003
Melon isolates
Melo■ -1
Cucumis melo
Kochi,Japan
Kido
SUPP⇒ 1791
Melo■ ‐
2
Cucumis melo
Kochi,」 apan
Takikawa
Cucumis melo
Cucumis melo
Cucumis melo
Cucumis melo
Cucumis melo
Cucumis melo
Kochi,Japan
Kochi,Japan
Kochi,Japan
Kochi,Japan
Kochi,Japan
Kochi,Japan
Kido
Kido
Kido
Kido
httA「
1(SUPP2582)
MA-2
MA-3
A9
05 KEA‐
1
Adachi
Adachi
2004
Hasegawa
1995
2005
Pα rag4 α″α″α″J
“
CTBl135(SUPP2219)
Oryza sativa
Tottori,
Japan
Pα ″ra`α aggJ● 副gra″ s
C…
7(SUPP1993)
Cyclamen
persicum
SW
1979
Japan
SUPP
2004
Japan
SUPP
1994
Tochigi, Japan
Erwinia herbicola pv. gypsophilae
Kazumi04-l (suPP2439)
Qtpsophila paniculata shizuoka,
Pantoea agglomeran^r pv. millettiae
FIR4-1503
Wistarisfloribunda Shizuoka,
"SIIPP: Shizuoka University plant pathology culture collection
21
Mebn Lolates R翻
Characteristic
n=E
1503
一 一 一+
一 W
F +
一+ +
一+
一
一 一 一 一 一 一 一 一
T
pv"ゴ Ira籠 ″
軍
+
+
1
十 +
+
Cellobiose
Melibioase
Glycerol
一
一
Raffrnose
Kasuttd04‐
F 主
-r
Dnlcitol
ωtt pvリ リカ
m層 ′
a己 戦鮨 ″鮮m
記
+
Sorbitol
arbゴ
一主
b
trnositol
一 十 + 一+ + + +
+
Methyl red test
Acid production from
一
一
十 一 + 一
一
一
一
一十
Fluorescent pbmet
Acetorn
一
一 一+
+
Indole production
NO3 reduction
HlS production
一+
r
OF test
Phenylalanine deaminase
`ratt Eみ
三
+
Catalase
Hypersensitive reaction on tobacco
Onion soft rot
c-7
一
一
一 + 一 一
F +
Oxidase actMty
Growlh at 4Ot
一
一 一+ 一
一 F
Gram reaction
aris R ttο 鷹
“
1135
Utilization of "
1
-r
-r
lMaltose
+
+
+
+
+
h,{annitol
Arabinose
Cellobiose
I
Adonitol
Lactose
Glycerol
a-Methyl glucoside
+
-T-
-T-
-r
+
I
+
+
;-r
-r
+
l
Dortrin
Galactose
Sucrose
-r
Trehalose
+
-T-
1
lr,[alonate
-r
Lactate
Citrate
t+,
bln
+
+
+
,,d
-t-t
+
+
+
一+ 十 +
DL-Tarfrate
-r
一 一 一 一 一+ 十 +
1
Melibiose
一 一 一+ 十 十 + 土
Dulcitol
一 一 一 一 一+ + + 十 十 + 十
+
一 一 一 一+ + 十 士
+
Sorbitol
Inositol
Positive reaotion; -, n€gative reaotion
peptone water
tln the
modifed medium of Ayeru
d1+;,
T = fermentative
fNT=
et al.
delayed positive after 2 weeks
metabolism
not tested
22
図 2-1
a
高 知 県 メ ロ ン産 地 にて発生 した メ ロン果 実 内腐 敗 症
果実 内部 の腐敗 症 状
b,c果 実 の 内部 に腐 敗 症 状 ともな つて い る果 実 の外 観
d
腐 敗 部位 よ り分 離 され た 黄色細菌 (YP寒 天培 地 に て 、27℃ で 2日 間
培養 した 黄 色細 菌 )
23
■
︵一
図 2-2
刺針接 種 の 様 子
a
メ ロ ン雌 花 の 状 態
b
接 種 時 の様 子
(白 矢 印 は雌花 の 柱 頭 を示す 。)
(受 粉 を確 認 した 了房 の 柱 頭 を取 り去 り、 そ
の 部位 よ り菌叢 に触 れ た針 を 5mm程 度 差 し込 んだ。)
c
接 種 直後 の 了房 の 状 態
(黄 色矢印 は針 を刺 した位 置 を示す 。 )
24
図
2-3
メロン果実内腐敗症か る分離 された黄色細 菌のメロンに対する病原性
a SUPP1791(メ ロ ン分離菌),b suPP2219(Pα ″α″″′
お:イ ネ内穎褐変病 菌),c
StJPP1993(′ 鱈ノο
″で
″パ:シ クラメン葉腐細菌病 菌),d滅 菌水(ネ ガテ ィブ コン
トロール)こ れ らの メロン果実は接種後 60日 経過 した │)の である。
25
¨
ⅢF― r.…
…
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“
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図 2-4
tlttO鰤ゆ
lATO‐ う 「∪
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Ⅲ
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“
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p囃
"l
●
I
16SrDNAシ ークエ ンスデー タに基 づ く物
"属 細菌
の系統樹
分岐点の数字はプー トス トラップ確率(1000)を 示す。
26
図
2 5
A:メ
メ ロ ン果実内 腐 11文 lPlと メ ロ ン ll実 41FJ「 章害 の 比 較
ロン 果 実 内腐敗 病 を発 lllし ´
た 果実 1品 種 (左 :雅 夏系 2号 ,イ「:雅 春秋 系)に よ
っ て病 イ
敗が 異な ることが あ り、lli敗 で あ る 果内の 変 色が
異な る こ と もあ る],B:
発叶 果 ,C:う なみ果
27
第 3章
メ ロン果実内腐敗病菌 の ウリ類 に対する病原性
3.1
緒言
日本で栽培 されてい る主な ウリ科植物 は、キュ ウリ (働 rtJwお 認詢躙)(年 間収
穫 量 639,900り 、カボチ ヤ に加73加 解籠i‖α)(年 間収穫量 230,500t)、 スイカ
にレ湖需 wm)(年 間収穫量 421,600t)、 メ ロン(ndted me10n:(レ
Fgガ
″お朋β
わv祉
`γ
ε
滅協→(年 間収穫量 221,300t)な ど、大量生産 される特定野菜 を含 め多 く種類
が毎年栽培 されてい る(農 林水産省 2009)。 また、世界中では様 々 なウリ類 が栽
培 されて、メ ロンに属す るものだけでも、ハネデ ュメロン (winter
melo■
:CzJε
″
″お
加 レT),キ ャ ン タ ロー プ メ ロ ン(rock me10n:働 硼開お ″θ
わ va■
“
θ
α認餞Iψθ
ガ↓ マ クワ ウリ(o五 ental sweet melon i C″
iiS″ β
あva■ 赫
→, シロ
″
`ル
va■
`"“
ウリ(onental picking melon:G肥
"閣
お副gん
var.θ θθ
ttθ ″
“
)な どがある。また、その
他 の栽培 され るウリ科植物 として、ズ ッキー ニ(働 θ
rb加 ″″ )な どが上げ られる。
メ ロン果実 内腐敗病はネ ッ トメ ロン(緑 肉アールス系メ ロン)に のみ、その発 生が
確認 されて い るが、同 じアールス系 メ ロンの 中で も品種 によつて 同 じ症状を示
す のか、赤 内ネ ッ トメ ロンに病原性 を示 す のか ど うか もわかつてい ない。 さら
に、その他 の ウリ科植物 に対す る病原性 は不 明であ り、 メロン果実 内腐敗病菌
が種 の異な るネ ッ トメ ロンや他の近縁 の ウリ科作物に感染 し発病 じ うるか ど う
かを知るこ とには、本病害の防除対策 を とる上で重要な意味 をもつ。
一般的に、強い病原性 を示す植物病原細菌は、感染後 、短 い潜伏期間を経て
病徴 を形成す るが、 日和見感染菌であるメ ロン果実 内腐 敗病菌は感染 してか ら
発病に至るまである程度 の期間を有す る こ とが推測 され る。そ こで、本章 にお
い て、本病原細菌がメ ロン果実の胎座 に侵入後、菌の増殖 と病徴形成 との関係
を調べ る こ とで、発病 に至るまでの潜伏期 間を検証 した。 さらに、そ の潜伏期
間を把握 した上で、様 々なウリ科植物 に対す る病原性 を調査 した。
28
3.2
材料 および方法
刺針接種 によるアールス系 メ ロンにおける病徴発現
メロン子房 へ刺針接種を行 い、接種 0,15,30、
40、
50日 経過 したメ ロン果
実 に関 して 、果実 を縦割 りし、その 内部 の病徴形成 の有無 を観察調査 した。接
種方法に関 しては第 2章 2の 材料及 び方法に記載 した方法に従 い、接種菌株 は
メ ロン果実 内腐敗病菌 の代表菌株である SuP1791を 用 いた。 その対照 として、
滅菌水を接種 した。試験は 2007年 4∼ 7月 、2008年 4∼ 7月 の 2回 行 われ、調査
果実数 は接種 30,40日 後 に滅菌水接種 した果実 を 1果 、SLIPP1791を 接種 した
果実 を 2果 用 いた。 さらに、収穫適期 となる接種 50日 後には滅菌水接種果実を
2果 、SUPP1791接 種果実を 2果 用い て調査を行 つた。、果実 を縦害Jり に した際、
接種部位、胎座 、果内の 3箇 所 の組織サ ンプル を採種 し(図 3-1)、 各 々のサ ンプ
ル lg中 に存在す る P印醐α油 の菌量を希釈平板法によ り調査 した。 さらに、胎
座部位、果 内部位 の糖度を糖度計(At電 o)に て計測 した。
様 々なウリ類 への病原性調査
世界中で栽培 されてい る様 々なウリ科植物 に対す るメ ロン果実内腐敗病菌 の
病原性を調査す るため、接種 に用 い た ウ リ科植物 の子房 ヘ メ ロン果実 内腐敗病
菌 の刺針接種を行 った。接種 し用 い た ウリ科植物は次 の とお りであ り、カ ッコ
内にその品種 と接種 に用 いた果実数 を記載 した。 アールス系 メ ロン(雅
夏系=
緑肉ネ ッ トメ ロンi2果 )、 赤肉ネ ッ トメ ロン(初 夏 の クイ ンシー :2果 )、 ハネデ ュ
メ ロン (オ レンジフ レッシュハネデ ュ :4果 ),キ ャンタ ロープメ ロンPMR5:
5果 ),マ ク ワ ウリ(金 太郎 :5果), シ ロ ウリ(東 京早生 白瓜 :3果 )、 スイカ
(瑞
,
祥 :3果 ),キ ュ ウリ (グ リー ンラックス 2:3果 ),カ ボチ ャ (み や こ:3果 ),ズ
ツキーニ(ダ イナー:3果 )
また、発病調査 は各 々の成熟期(接 種 か ら収穫期 まで の 日数)に 合 わせて行 っ
29
ハネデ ュメ ロン(40日
た :ア ールス系 メ ロン及 び赤肉ネ ッ トメ ロン(50日
)、
ャンタロー プメ ロン(40日 )、 マ クワウリ(30日
シロウ リ(30日
日),キ ュ ウ リ (45日
)、
カボチ ャ (45日
)、
)、
)、
)、
スイカ
キ
(45
ズ ッキーニ (45日 )。
接種 した果実 の収穫調査を行 つた後 、発病 の有無 に関わ らず 、菌 の再分離を
行い、菌 の増殖、果実内での拡散を調査 した。
3.3
結果
メロン果実 内腐敗病 の病徴発現
メロン果実内腐敗病菌 (SLIPP1791)を 刺針接種 したメ ロン子房は腐敗や生育
が止まることなく、順調に生育 し、果実 が肥大 していつた。接種 0,15,30,40,
´
50日 後 と定期的 に果実 内部の観察 を行 つた ところ、接種 15,30日 経過 した果実
までは全 く病徴は観察 されなか った(図 3-2)。 この ときの果実 内での病原菌の動
向は、接種直後に接種部位に 2.4X104ch/she(4.8X104 ch/g)の 菌 が挿入 されて以
降、15日 後 までは、接種部 にのみ菌 が生存 し、その部位 か ら分離 された菌数は
2.6X104 ch/gで あつた(図 3-3)。 つ ま り、P硼 硼αrlisは 接種部位 か ら果実全体に
菌 が拡散せ ず に、接種部位 でその菌数 を維持す るに留 ま つていた こ とを示 した。
しか し、30日 経過 した ところで胎座 の糖度値 (Brix)が 急激 に増加す るととも
に、胎座 にて菌が検 出 されるようにな り、調査 した果実 で異な つていたが、そ
の菌量は 106∼ 1。 7ch/gに まで急激に増殖 していた(表 3-2)。 次 に、40日 経過 し
た果実の胎座 で、極僅 かな悪臭 とともに腐敗症状 が始 めて確認 された とともに、
η
αttJお が分離 され るよ うになった。
果内部位 か らもP α
腐敗 した果実胎座 の菌量
は接種 したすべ ての果実で、確実 に 107 ch/gに 達 していた。果実 の糖度 はネガ
テ ィブ コン トロールで胎座 17.7度 、果内 16度 まで上昇 したが、病原菌 を接種 し
た果実では胎座 ,果 肉ともに糖度が 10度 と低かつた。
50日 経過 した ところで、腐敗症状 は胎座 のみならず、果肉にまで広が り、菌
30
量は 5。 l X 108cⅣ gに まで達 した。 また、悪臭や変色など本病特有の病徴 が完全
に再現 された。
様 々 な ウリ類への病原性
アールス系メ ロンに属す る品種 の一つ で ある `雅 夏系 'に メロン果実 内腐敗
病菌 を接種 した ところ、 これまで雅春秋系で観察 された淡 い茶褐色腐敗 と異な
り、赤褐色の腐敗症状 を示 した
(図 3-4)。
また、赤 肉ネ ッ トメロンの一 品種で
ある `初 夏 のクイ ンシー "に 接種 したところ、酸味を帯 びた悪臭を伴 う水浸状
露ルたJ'グ ル ープに属す るネ ッ トメロン
腐敗 を示 した。 これ らのことか ら、 犠″θ
に対 して、 メロン果実 内腐敗病菌 は病原性 を示すが、そ の病徴 は品種 によつて
若干異なることもあるこ とが明 らか とな つた。
ネ ッ トメロン と同 じよ うに胎座 を含 むその周辺 の果内組織 に腐敗症状 が観察
された ウリ科植物 は、ハネデ ュ メ ロン、マ ク フ ウリ、 シ ロ ウリ,ス イカ、 ズ ッ
キー ニ であったが 、そ の感受性 には大 きな差 が あった。詳 しくは後述す る。 そ
の他 のキャンタ ロー プメ ロン,キ ュ ウリ,カ ボチャは果実 内部 に腐敗 は観察 さ
れなか った
(図
3-4,5,6,7,8,9,10,H,12)。
メ ロン果実内腐敗病菌をハネデ ュメロン 4つ の果実 に接種 し、40日 間、果実
が成熟す るまで栽培 した。栽培途 中で腐敗す ることな く収穫 されたが、表皮 上
に茶褐色 のシ ミが現れ た
(図
3-5札 B)。 果実内部はアール スメロンの よ うに胎
座 が激 しく腐敗す るよ うなこ とはなかったが、接種部位付近 の胎座や果肉が褐
色腐敗 していた (図 3-5C)。 茶褐色状 シ ミが現れた表皮か らPα″
αα″∫は分離
“
されず 、表皮 の下 は健全組織 で あ った こ とか ら、表皮 のシ ミ症状は本病 とは関
係ない と判断 され た。 したが って、 メ ロン果実 内腐敗病菌 はハネデ ュ メ ロンに
対 しては弱い病原性 を示す こ とが明 らか とな つた。
メ ロン果実内腐敗病菌を接種 したキ ャ ンタ ロー プ メ ロンは、接種後果実が成
00
熟す るまでの 40日 間栽培 された。収穫果実 は外観 上に 日立った症状 は見 られず
(図
3-6A)、 その果実内部 にも腐敗症状は見 られなか つた (図 3-6B)。 しか し、
その果内か らは F…
納 が再分離 された。そ の菌量は発病 した果実か ら再分離
される菌量 に比べ ると少 なく 105ch/g程 度 で あった。接種 した 4果 実中の 1果 実
にのみ表皮 のわず かな水浸症状が観察 され 、表皮 の下 に も水浸症状 が見 られた
(図
3-6C,D)。 この部位 か ら、Pα‖
蘭 麻 が再分離 された。
メ ロン果実内腐敗病菌 は接種 した全てのマ クワ ウリ果実 に対 してアールス系
メ ロン同様に激 しい病原性 を示 した
(図
3-7)。 その病状は胎座 を中心 とした腐
敗症状を示 し、マ クワ ウリの果肉が 自い こ ともあ り腐敗 した果肉の色は黄 色 く
悪臭 を伴 っていた。 さらに、病徴 が進展 した ときは、腐敗 した果内の色が黒褐
色にな り、図 3-7Bの よ うに表皮 の水浸症状にまで発展 した もの も観察 された。
これ らの症状を伴 った組織 か らは F…
isが 再分離 された。
シ ロウリに関 して、 メ ロン果実 内腐敗病菌 を接種 した果実 は成熟す るまで の
30日 間栽培 された。本菌を 3果 実 に刺針接種 したが、果実内部 に腐敗 を起 こし
たものは 1果 実 しかなか った
(図 3-8)。
そ して、悪臭は微妙 に漂 う程度 で、そ
の発病 も軽微 で あった。 このことか ら、 シ ロ ウ リに対す る病原性 は弱 い と判断
された。
スイカに関 して、 メ ロン果実内腐敗病菌を接種 した果実は成熟す るまで の 45
日間栽培 され 、外観 上異常なく収穫 された (図 3-9A)。 ネガテ ィブ コン トロー
ル として、滅菌水 を接種 した果実 は、外観、内部 ともに異常 は観察 されなか つ
た
(図
3-9へ B,C)。 しか し、メ ロン果実内腐敗病菌を接種 した 3つ 果実 を割 っ
て、そ の内部 を観察 した ところ、全ての果実 にお いて、強い酸味を帯び る とと
もに、その 中か ら多量 の茶色 の果汁 が流れ出 し、 その果肉は変色 していないが
水浸状に腐敗 していた
の P硼
“
(図
3-9B,D)。 この腐敗組織 か らは 108cⅣ g程 度 の多量
麻 が再分離 された。したがって、メ ロン果実内腐敗病菌はスイカにも
32
強い病原性 を持つ こ とが判明 した。
メロン果実内腐敗病 菌 を接種 したキュ ウリは果実内部が成熟するまでの 45日
間栽培 し調査に用 い た。 メ ロン果実内腐 敗病菌を接種 した果実 に腐敗症 状、悪
臭 ともに観察 されず、滅 菌水を接種 した果実 と変わ りはなか った(図 3-10)。 接
種 した菌 も接種 部位 か らのみ僅かに再分離 されただ けで、胎座、果肉か らは再
分離 されなかった。このこ とか ら、キュ ウリ内部 で P…
tiSは 増殖、
拡散 せず 、
キュ ウリに病原性 を示 さない と判断 された。 なお、 キュ ゥリはメロンや スイカ
と異な り、成熟 した果 内であって も、糖度が低 く4∼ 5度 程度であった。
カボチ ャに関 して、 スイカ、キ ュ ウリ同様 に接種後 45日 間栽培 し、栽培 中に
果実外観 に異常、腐敗症状 も観察 されることな く収穫 された
‐
(図 3-11)。
そし
て、果実内部 を観察 したが、メロ ン果実内腐敗病 菌を接種 した果実 に腐敗症状
はな く無臭 であった。 それはネ ガテ ィブ コン トロール と変わ らなか った。 ただ
し、接種 部位周辺 が 僅 かに褐変 してい た こ とと、そ の胎座 や 果 肉か らは
P
α
ttm麻 が lo5ch/g以 下の レベル で再分離 された。
4果 実 のズ ッキーニ にメ ロン果実内腐敗病 菌を接種 し、その病原性調査 につい
て調査 した。4果 実中 3果 実はネガテ ィブ コン トロール 同様 に、外観、そ の内部
ともに病徴 を形成す ることなく健全であった。 しか し、1果 実 のみ接種 1週 間程
度 で生育肥大が止 ま り、接種
(図 3-12)。
4週 間後に接種 部位付近に腐敗症状が観察 された
この果実 か らは P酬 鋼αぉ が再分離 されたため、本病原菌によっ
て 引き起 こ された と考 え られた。腐敗 したままの状態で栽培 を続け、収穫 した
ものが図 3-11,札
Bの 状態 である。 また、そ の他 の接種 した果実 において も接
種 部位 か らP翻硼由 が分離 された。これ らの こ とか ら、メロン病原性 P硼 例 納
はズ ッキーニ に対 して 、通常、病原性を示 さないが、希 に、腐敗を引き起 こす
こ とがあるこ とが明 らか となった。
33
3.4
第
考察
2章 においてメ ロン果実内腐敗病菌を接種 した果実は、収穫期 に達 した場
合 でのみ発病 を確認す る ことができ、 自然発病 した果実 と症 状が完全 に一 致 し
た。 しか し、病徴 を確認す るまでの期間が 60日 間 と非常 に長 く、接種後果実の
中で、どの よ うに病徴 が形成 されてい るのか不明であった。そ こで、接種後 0,15,
30,40,50日 に果実内部 を観察 し、果実内部 の状況 とメロン果実内腐敗病菌 の動
向 について調査 を行 った。その結果 、接種後 15日 までは、P開囲 tisは 胎座や
果 肉へ拡散す る ことな く、接種 部位 に留 ま りの接種時の菌数(104ch/g)を 維持 し
ていた。接種後 30日 後、滅菌水及び病原菌 を接種 した果実 の胎座 で急激 な糖度
の上昇orix14%程 度)が 確認 された(表
3-1,図
3-3)。
それ とともに胎座 にて急
激 な本菌の増殖(2.3X107d屯 )が 確認 された。 しか し、 この時点では病徴発現は
確認 されず、果内組織 にお ける P硼 囲α府 の拡散 も確認 されなかった。また、同
様 の試験を繰 り返 し行 った とき、 この 30日 経過 した果実で早 々に果実糖度 が上
昇 した 1果 実において、
果 肉組織 でのP anttα 腑 増殖 が確認 されたこともあ つた。
接種 40日 後、滅菌水 を接種 した果実の糖度 は胎座で 17.7度 、果肉組織 で 16度
にまで達 したが、本菌 を接種 した果実では胎座、果肉組織 ともに 10度 と低 く、
本菌が果肉組織 か ら多 量 に検出され るとともに、胎座にて初 めて病徴 が 内眼で
確認 できるようにな った(図
3-2,3).50日 後 には胎座、果肉組織 か ら 108cwg
レベルの菌が分離 され 、果内組織 で も病徴 が観察 されるとともに悪臭 も確認 で
きた。 したがって、本菌 の増殖・ 拡散には果実 内部での糖生成 が関与す る可能
性 が あ り、糖 が蓄積 され てい く胎座、果内の順番 で菌が拡散 ・増殖 してい くこ
とが示唆 された。
また、デー タとして示 してないが、十分に成熟 したメロン果実に刺針接種 を
行 い、14日 間室温で維持 した後、その内部 の状態を観察 したが、菌は果実全体
か ら検出されるが腐敗病徴は形成 されなか った。 さらに、交配後 40日 経過 した
34
果実 に刺針接種 を行 い、その 14日 後 に収穫調査 したが、病徴 は形成 されていな
か つた。 これ らの結果 は単純にメ ロン果実 内腐敗病菌が増殖 ・拡散 しただ けで
病徴 が引き起 こ され るのではない こ とを示 唆 した。
以上の結果 か ら、 メ ロン果実 内腐敗病菌 は果実 の成熟 とともに生産 される糖
を利用 し急激 に増殖す る。本病原細菌は果実胎座 に侵入 後病徴を発 現す るまで
に少な くとも 40日 以上必要 となる。そ して、病徴形成は単純 に菌が 107d屯 以
上増殖 したため引き起 こ されるのではな く、菌量が 107cⅣ g以 上の量を 10日 間
以 上の一定期間維持 された ときに病徴発現に至るとい うこ とが明 らか となった。
このことか ら、本病は P酬翻α由 が果実肥 大 以前 の早い段階 で胎座に侵入 し、果
実 にて糖生成 され る成熟期にまで達 しな ければ発病 しない こ とが示 唆 された。
そ して、そ の病徴は宿主植物 の生理 変化、菌増殖、一定期間の組織 内高濃度 の
菌量維持 とい う要因が重 なつて初 めて発現 に至ると考 え られた。そ して、一定
の菌数(107 ci/g)が メ ロン組織内で維持 され る過程において、 メロン果実内腐敗
病菌 が病徴を誘導す る要因がある可能性が考 え られた。
一般的に腐敗 を引き起 こす病 原細菌 は感染後短期間で病 徴 を発現 させ る。例
えば、スイカ果実汚斑細 菌病を引き起 こす Иβ
iい鮮億 仰鋼″
subsp.θ ゴ
れ曲
は強
い病原性を持 ち、スイカ千葉に単針付傷接種や噴霧接種をす ると接種後 3∼ 5日
で病斑を形成す る。 また、果実 に付傷接種す ると接種 5日 後に褐変病斑が確認
され る(Shirakawa ct d.2000)。
しか し、腐敗 を引き起 こす メ ロン果実内腐敗病菌
は上述 した よ うに感染か ら発病 に至るまでに長 い期間を必要 とする。 この よ う
な腐敗型 の植物病原細菌 は非常に希であ り初 めての報告 である。 メ ロン果実内
腐敗病菌はメ ロンに病気 を引き起 こす以 上、菌 の感染増殖後に何 らか の発病因
子を産出 してい ると推測 される。この発病因子については第 4章 にて述 べ たい。
上記 の考察 により、 メ ロン果実 内腐敗病 菌 が病気を引き起 こす条件 が判明 し
た。そ こで、様 々 なウ リ科植物におけるメ ロン果実 内腐敗病菌の宿 主範囲 を調
35
査す るため、上記 の試験同様 に交配後間 もない子房 に刺針接種 を行 い 、果実内
部 の精度が十分に高 くなる成熟期を迎えるまでの長期間栽培を続 けた。その上
で、果実収穫 しその内部 を観察調査 した。そ の結果、メ ロン果実内腐敗病 は緑
内ネ ッ トメ ロン、赤肉ネ ッ トメ ロン関係 な く ″ガθ
″
ルJ7Jグ ル ープに含 まれ るメ
ロンに強い病原性 を示 す が、品種 によつて は病徴 が異 なる こ とも判明 した。
″ガθ加加 グル ープ以外 のメロンに関 して、メ ロン果実内腐敗病菌はハネデ ュメ
“
ロン、マク フ ウリ、 シ ロ ウリ、スイカ、 ズ ッキーニを宿 主範囲 に持 つ こ とが判
明 したが 、 そ の感 受性 が大 き く異 な って い た。 マ ク ワ ウ リ、 ス イ カ果実 は
劇 lirγ ル1幣 グル ープのネ ッ トメ ロン と同様 に激 しい病徴を示 した(図 3-6,8)。
ハネデ ュメ ロンは接種 した果実全てに腐敗 を引き起 こしたが、胎座部位全体が
腐敗す るの ではな く、菌 が付着 した針 が触れた周 囲の果 肉が腐敗す る程度 であ
つた ことか ら(図 3-4)、 メ ロン果実内腐敗病菌 のハネデ ュ メロンに対す る病原性
は弱い と判断 された。 シ ロウリ、ズ ッキー ニ は接種 した果実全てに病原性 を示
すわけではなか った(図 3-7,H)。 その他 のキャンタロー プメロン,キ ュ ウリ
,
カボチャに関 して、果実内部か らP…
isが 再分離 されたが、腐敗症 状 は全 く
観察 されなか った(図 3-5,9,10)。 メ ロンはその種類によって蓄積 され る糖 の
成分 が異なる こ とが知 られ、ネ ッ トメ ロンや マ クワウリは主 として ス ク ロース
を蓄積 し、そ の蓄積 し始 める時期 もネ ッ トメ ロンで交配 28日 以降、マ クワウリ
ではよ り早 い時期か ら蓄積 され るこ とが報告 されてい る(江 口,藤 枝
1966)。
これ
は本試験で の メ ロン果実内腐敗病 の病徴形成 と果実内の糖蓄積 の関係 と一致 し
てい ると考え られた。 また、 シ ロウリは、 ス ク ロースではな く、 フル ク トース
や グル コース を集積す る ことも知 られて い る。 ハネデ ュ メ ロンはネ ッ トメ ロン
に比べ るとその糖度 は H度 前後 と少 し低 か った。 キュ ウリは成熟 した果実 で も
糖度 が 4∼ 5度 程度 しか含 まれていなか った。 この よ うな糖成分の違 いや糖 の蓄
積量 の違いが メ ロン果実内腐敗病 の病原性 の差 につ なが った一つの要因 と推測
36
された。 さらに、接種 したキャンタロー プ メ ロンの表皮 に見 られた水浸斑(図
-5C,D)に 関 して、 この症状は BmtOn
3
et J(1991)が 報告 した `Brown spot'病
の症状 と一致 していた。 しか し、以前、販売 されてい るメ ロン果実 を集 め、表
皮 か ら針接種 を行 つたが原病徴 を再現 できなか つた経験 がある。 キ ャ ンタロー
プメ ロンには上記 の発病 に関 わる宿 主 の要因以外 に別の フ ァクター が絡 んでい
ると推測 された。
本試験結果 か ら、 ウリ科植物 におけるメ ロン果実内腐敗病 の宿 主植 物は明確
とな ったが、今回行 った接種試験 は胎座 に菌 が侵入できることを前提 に してい
る。 したが つて 、本試験 でメ ロン果実 内腐 敗病菌 に対 して感受性 であ つた植物
に菌 が感染能力 を持 つていなければ、実際 の現場 で発病 をす る可能性 は低 い と
考 え られる。Walco世 就J(2003)は スイカの花 に P mttα 府 を噴霧接種 して、スイ
カ果実内部 か ら再分離 で きた こ とを報告 した。これはスイカにおいて、
P ar7α η
αガJ
が花器感染す る こ とを意 味す る。 これ らの こ とか ら、ス イカに関 しては、 メロ
ン果実内腐敗病 の現実的な宿主植物 とな りえるため、被害報告はない が、今後、
メ ロン と同様 に防除対策 を考える必要 がある。 メ ロンにおける花器 感染 の可能
性 については第 6章 で検証 を行 う。
37
x
2.3
107
D
N
ND
D
N
17.7
0 6
0 0
1
3
1.6
x
107
7.6
x
106
0
5
D
N
18.3
D
N
6
4
18.8
3 0
SUPP1791
14.9
10.6
16.0
0
3
50日
3 2 2 0
SUPP1791
一 一
一 + 一 一
一
一 + 一
40日
座 肉 座 肉 座 肉 座 肉 座 肉
胎 果 胎 果 胎 果 胎 果 胎 果
SUPP1791
D
N
1 4
D
N
●
a anana緒 増殖及び病徴発現
表3-1東 1針 接種した果実 における果実生理変化と島漏●
の日
B‖ x
接種後
数
調査部位 病 徴発現
分 薗量
―
14.0
胎座
一
9.3
果内
30日
7.2
x
108
5.1
x
108
NG:ネ ガティブコントロールを示し、減菌水を接種 したものである。
ND:検 出限界以下を示す: 分離菌量の単位はcfu/gで ある。
ヽ
38
図 3-1
a1 1よ
.1い
フ′
しを採 取 した場 所 の模 式 l渕
接 種 果実 か ら淑l織 サ ン「
ギJ:│[
重許
台11111;11, ci 'こ レ
千
「f立 , bl 月
′ す.
矢印 は針 を刺 した場 所 を「
単
図
3-2
メ :コ ン 果実 内腐 敗 病 菌 ′α′
″οご
″α′
,α ′
,α ′
パ (SUPP1791)接 種 した メ ロン 果
実(雅 春秋 系 )に お ける病 徴 形成
した果 実
aネ ガテ ィブ コン トロール と し′て滅 菌水 を接 種
′
ド(SLTPP1791)を 接 種 した果実
b Pα ″″″″′
接 種後 の経 過 ‖数である.
写 真に4ヽ され た数字 は中帷「
09ぎ温轟静↑ ︺︲o
ω︲
15日
40日
│1日
精糧 後 の 日数
”
0
︲
6
︲
2
︲
8ゼ0”〓側色
^
4
︲
●
8
0
4
2
0
15日
∞ 日
411日
●●●の日敏
”
8
︲
0
︲
2
︲
ete螂〓超礫
4
︲
0
︲
8
6
4
2
0
0日
15日
∞日
接種後 の日数
日
m日
“
ロン果実 にお
図 3-3 メロン果 実内腐敗病菌 Pα ″″″S(StIPP1791)接 種 したメ
ける菌 の拡散増殖変化 と果実 内の精度変化
A:果 実 内での 2…
歯 拡散増殖変化,B:果 実胎座におけ る糖度変化,C:果 実果
肉における糖度変化
41
図
3-4
メ ロ ン 果 実 内店敗病 菌 ′ ″″″,α ″s(StlPP1791)の 異な るア ー
ル ス系 メ ロ ン 及 びネ ッ トメ ロ ン品種 に対 す る病原性
A緑
肉 ネ ッ トメ ロ ン (雅
夏 系 ),B赤 肉 ネ ッ トメロ ン (初 夏 の
クイ ンシー )
42
図 3-5
メ ロン果 実 内腐 敗 病 菌 P"爾 ″ざ(SllPP 1791)の ハ ネデ ュ メ ロン に対す
る病 原 性
A:果 実外観 ,B:果 実外観 (接 種 部位 ),Ci果 実 内部 ,黒 い 矢印 は 接種 した場 所 を
示す 。SUPP1791を 接 種 した 果 実 の 表 面 に茶褐 色 の しみ が 見 られ るが 、表皮 をは
がす と ドの 果 肉 は健 全 で あ り、表皮 か ら病原 菌 は分 Fulさ れ なか つ たc
413
¬
/
図
ン
3-6
プ (StlPP 1791)の キ ャ ン タ rコ ー プ メ ロ
メ ロ ン果 実 内腐 敗病 菌 P α7747″ α′
`ゞ
(PMR5)に 対 す る病 原 性
A:果 実外観 ,B果 実内部 ,Ci SllPP1791を 接 種 した 果実 の 表 皮 に表れ た 水 浸 斑
,
黒 い 矢印 は水浸 斑 点が生 じた場 所 を示す 。 D水 浸 斑点 が生 じた衣皮 下 の 様「 。
44
│メ
13-7
● レ 果実 内 1禽 敗 l
メ・
ll曲
′
パ (SUPP1791)llマ クワ ウ リ (企 太郎
ノl`″ κ″κ′
)
に 対 するI"iル i[17L
A果
実外 41[,B 米実 の 1モ 皮 に t111た 水 浸lll J'ff女 F,C果 実 内 湘1の 様 r
¨0
図
3-8
メ ロ ン 果 実 内腐 敗 llll菌 ノ
:″ ″α′
κ″′
,(SLrPP1791)の シ ロ ウ リ (東 京 『l14i「
│
Лl)に 対す る llJl原 1生
A果
実外観 ,B果 実 内 部 の 様
r.白 い 矢印 は 発 llllし
た 果 実 を ,Fし てい る。 シ ロ
ウリでは 3果 実中 l果 実のみ 発″
i
46
ヽ
図 3-9
`
′
,(StIPP 179 1)の ス イカ (瑞 キF)に 対す
メ ロン果 実 内腐 敗 病 菌 ′ α″α″α′
る病 原性
A果
実外観 ,B:果 実 内部 の 様 ro C,D:内 部 の腐 敗 状 況
SUPP1791を 接 種 した スイ カの 内 部 は完 全 に腐敗 し、汚 泥 の よ うな 臭 い を発 して
い た。
47
図 3-10 メ ロン果 実 内腐 敗 病 菌 P
α′
メ
s(StJPP1
cr77“η
791)の キ ユ ウ リ (グ リー ン ラ
ック ス 2)に 対す る病原 性
A果
実外観 ,B:果 実 内部 の様 子。 C接 種 部位
全 く病徴 は形 成 され て い な い 。通常 、 キ ュ ウ リは交配 後 7∼ 10日 の 未熟果 実 を
収穫 し食 して い る。 本調 査 は果 実 の 成 熟す る交配 後 45日 に調査 した。
48
図 3-H
メ ロ ン果 実 内lrnt敗 病 菌 ′
滋お(StJPP 1791)の カボチ ャ (み や こ)
““
に
対す る病 原 性
A:果 実外観 ,B:果 実 内部 の 様 子 。
白い 矢 印 は接種 した 部位 を示す 。
49
図 3-12 メロン果実内腐敗病菌 Pα″″αお (StIPP1791)の ズ ッキーニ
(ダ イナ
ー)に 対す る病原性
A果 実外観 ,B:果 実内部 の様子。
50
第 4章
メ ロン果実 内腐敗病菌 の病原性因子
4.1
緒言
第 2章 において、メ ロン果実内腐敗病菌 P
mα 腑 と同種 であるイネ内頴褐変
病菌(SuPP2219)は メ ロン果実内腐敗病 の典型的病 徴 をメ ロン果実 に引き起 こ さ
なか つた こ とから、 メ ロンに対 して病原性を持たない と判断 された。 この事象
は、同種であるP…
isの 中に病原性 を異にす る系統がある可能性 を示唆す る
とともに、メロン果実 内腐敗病菌 がイネ内頴褐変病菌 と異 なる発病因子を保有
してい る可能性を示唆 した。
一般的 に、植物病原細菌が宿主を病気に導 くための発病因子 として、TypeⅢ
分泌機構 を経 由して分泌 されるエ フェ クター タ ンパ ク、Type Ⅱ分泌機構 を経 由
す るペ クチナーゼ な どの菌体外分泌酵素、ハ ロー を引き起 こす植物毒素、 こぶ
形成 の原因 となる植物 ホル モンの産出(イ ン ドール 酢酸やサイ トカイニン)、 導管
閉塞 の原 因 となる菌対外多糖cEPS)な どが知 られている。 しか し、本病 にお い て
どの よ うな発病因子が病原性 に関与 しているかは不明である。そ こで、
P
mma納
の メ ロンに対する病原性 を調査す る簡易検定法 として、 メロン子葉への菌液注
入接種試験 を予備実験 として行 つた ところ、接種 した子葉 に水 浸状腐敗症状 で
はな く増生症状を観察 した(図 4-1)。 この現象 か らメ ロン果実 内腐敗病菌 はその
発病因子 として植物 ホル モンを産出 してい る可能性 が考えられた。
宿 主植 物 に こぶ を形 成す る病 原 菌 の一種 で あ る 几席agα aggJawθ Fαη
S pv.
,pJリカカ ′ はイン ドール酢酸合成 に関わる トリプ トファンモ ノオキシゲナ ーゼ
遺伝子(Jα 叫 とイン ドール アセ トア ミ ドヒ ドロラーゼ遺伝子(iαα
聡 、そ して、サ
イ トカイ エ ン合成遺伝 子(′ ル:イ ソペ ンテニル トラ ンスフェ ラーゼ遺伝子)を 保
有 し、 これ らの遺伝子 が宿 主植物 にこぶを形成す る病原性 に関与す ることが報
告 されて い る (Clark et J.1993:Lichter就 」.1995a)。
そ こで 、本章では多量の菌液 を注入接種 したメ ロン葉 で起 こってい る現象 を
員υ
組織学的 に観察するとともに、メ ロン果実 内腐敗病菌 がイ ン ドール酢酸や サイ
トカイニ ンの生合成 に関わるを保有 しているか否 かを確認 し、 それ らの遺伝 子
の メロン組織内での遺伝子発現につ いて調査を行 つた。 さらに、 メ ロン果実 内
腐敗病を発症 した果実 か ら分離 された P¨
伝子を保有す るP¨
府 の 39菌 株 の 中で、 これ らの遺
麻 系統 と保有 しない系統を判別 し、
それ らの メロンに対
す る病原性 について も検証 した。 なお、発病因子 として重要である TypeⅢ 分泌
機構(TypeⅢ SecrttiOn syttem:TTSS)の 関与に関 しては第 7章 にて検証 した。
4.2
材料及び方法
メロン果実 か らの菌分離 と供試菌株
1998年 か ら2008年 にかけて、高知県 の メロン産地にて発 生 したメ ロン果実 内
腐敗病果実 を収集 し、第
2章 に記載 した方法で菌 の分離を行 った。 また、高知
県農業技術 センター安達氏 より異なる罹病果実か ら分離 された 13菌 株(A-1,2,4,
5,6,7,8,9,H,12,13,17,05KEA‐
1)を 分譲 いただいた。 これ ら分離菌 を含 め、本
章にて使用 した供試菌株 は 39菌 株 であ り、その詳細 は表 4-1に 示 した。
細 菌学的性 状 の調査
メ ロン罹 病果実 か ら YPAプ レー トに分離 され た 黄色細 菌 を、Dye(1969b)が 示
した 几耐
α属細菌 に 特徴 的 な数 種 の 細 菌学的性 状 [OFテ ス ト、 オ キシダ ーゼ 、
“
硝酸塩還 元 、イ ン ドー ル 産 生 、硫 化 水 素産 生 、フェ ニ ル ア ラ ニ ンデ ア ミナ ー ゼ 、
糖 (イ ノシ トー ル 、 ソル ビ トー ル 、 ズ ル シ トール 、 メ リビオ ー ス 、 グ リセ ロー ル )
か らの 酸 産 生 ]に つい て 調 査 を行 い 、Pα開碑α麻 の 簡 易 同定 と した 。各 々 の試 験
方法 は第
2章 に記載 した 。
メロン子葉 における病原性調査
52
YPAプ レー トに 27℃ ,48時 間培養 した菌叢 を取 り、l
約 1.O
X 108。 Ⅳ mlの 濃度 に調整 し接種源
mlの 滅菌水に懸濁 し、
とした。接種試験は、播種後 5∼ 6日 経
過 したメ ロン千葉(品 種 :雅 春秋系)に 針 のついたシ リンジで約 50 μlを 葉 の裏側
か ら注入 した。接種後は 25度 、12時 間照明下で 14日 間栽培 し経過観察 した。
なお、本試験 ではメ ロン果実 内腐敗病菌(SUPP1791),メ ロン分離菌(A3)、 イネ内
穎褐変細菌病菌(SUPP2219)、 シユ ツコンカス ミソウこぶ病菌(SUPP2439)を 供試
菌株 として用 いた。
メロン果実 に対す る病原性調査
メロン品種 `雅 春秋系 'を 用 いて、交配後 5∼ 7日 経過 したメ ロン子房に刺針
接種を行 い 、収穫期(交 配後 50∼ 60日 )に 達す るまで栽培 し収穫調査 を行 つた。
刺針接種 の詳細に関 しては第 2章 にて記載 した。
シュク コンカス ミソウに対す る病原性調査
YPAプ レー トに 27℃ ,48時 間培養 した菌叢を取 り、l
mlの 滅菌水に懸濁 し、
約 1.OX 108 ch/mlの 濃度 に調整 し接種源 とした。宿根 かすみ草 の幼苗の茎に菌
液 10μ lを 付着 させ、その上か ら滅菌 した針 を 1∼ 2mm程 度茎に刺 した。その後、
25℃ ,12時 間照明下で 21日 間栽培 し経過観察 した。 なお、本試験 ではメロン果
実内腐敗病 菌(SlWP1791),シ ユ ツコンカス ミソウこぶ病菌(SLIPP2439)を 供試菌株
として接種 した。ネ ガテ ィブ コン トロール として、滅菌水 を用 い た。
光学顕微鏡 による組織観察
上記の試験により接種 されたメロン子葉 は菌液を注入 した部位 を約 7 mmX15
mmの 大きさに切 り取 り、ⅢA No.1液 (70%エ タノール :フ ォルマ リン :氷 酢
パ ラフィン包埋 したNOda and Kaku 1999)。
酸=90:5:5)に 24時 間以上浸漬固定 し、
53
回転式 ミク ロ トームを使用 して 10∼ 15μ mの 厚 さに切 った切片は、チオニ ン と
オ レンジ Gを 使用 した染色を行い(表 4-2)、 光学顕微鏡 により細胞間隙におけ
るバ クテ リア の有無 と肥大 した葉 の厚 さを調査 した。
発病 因子 に 関与す る遺伝 子
発病因子 の一 種 で あ るイ ン ドー ル 酢 酸合成 関連遺伝 子 (磁 、j湖 遺伝 子)、 サ
イ トカ イ エ ン生 合成遺伝 子 (`ル 遺伝 子 )の 有 無 につ いて 検 証す るた め に 、 表
4-2
に示 した プ ライ マー を使 用 した PCR(■ olymerase」 ain tteaction)を 行 っ た。
JttMと
す る Jαル
Jα
ar遺 伝 子 を検 出す るた めに 、P電 誠 洲θ認服 pv tt「oPみ j:"が 保 有
と 加ガ の
J“ h角 翻 缶 の
DNAシ ー クエ ンス デ ー タ(L338657)に 基 づ き J“赫
…
,
2つ のプ ライ マーセ ッ トを設 計 した。Jααmittmrは JttM遺 伝子 の
オ ー プ ン リー デ ィ ン グ フ レー ム の 中央 部位 (約 790 bp)を 増 幅 し、 ゴ hf― Jtthr
“
は れガ 遺 伝 子 のオ ー プ ン リー デ ィ ン グ フ レー ムの終端 周辺部位 (約 430 bp)を
″θ
Fα ″
∫pv
増幅す る。 遺伝子 は P鍔 ゴθ
`″
ttsⅢノ
J"が 保 有す る g″ 遺伝 子 の DNA
││(未 発 表 )に よ つ て設計 され
シ ー クエ ンス デ ー タに46375)に 基 づ き 、小林 と瀧メ
た ETZ6D‐ ETZ4Uプ ライ マ ー セ ッ トに よ つ て 検 出 され た 。ETZ6D‐ ETZ4Uプ ライ
マ ー セ ッ トは θル遺伝 子 (約 400 bp)を 増 幅 した。
PCR反 応 組 成 は 、 全 量 25
mixture(2.Oμ l),5pmoy
μl[10 Xy ttf reaction bufFer(2.5μ l),2.5mM dNTP
μlの 各種プライマー(1.Oμ り,0.lμ ゴμlDNAテ ンプレー
ト(1.Oμ l),5U/μ ll弾 ル7 poけ meraSC(0.2μ り(Takara,Otsu,Japan)]に 調 整 し、反応
条件 は、 [94℃ 3分 ,(94℃ 30秒 ,各 58℃ 鞣測り
て
,65℃
30秒 ,72℃ 1分 )X30サ イ クル ,72℃ 5分 ]に て
(ゴ
臨n,60℃
(θ
″)に
Thermal cycler Dice model
TP600cTakara)を 使用 し行 われた。PCR産 物は 1.5%ア ガ ロースゲル に電気泳動 さ
れ、エチ ジ ウムプ ロマイ ド染色を行 い、増幅 された DNA断 片を検 出 した。本実
験は少な くとも 3回 行 つた。
54
PCRに よ つ て 増 幅 され た SuPP1791ぽ
硼略 所 対 や
,p呼 カルg)由 来 の ,面 ,i胡 ,θ ル 遺 伝 子 を QIAGEN
に 従 つ て 、 pDRIVE
た各
vector
SUPP2439ぽ
aggJOHgttα ″J pv.
PCR cloning K■ s(QIAGENl
プ ラ ス ミ ドに ク ロー ニ ン グ した 。 ク ロー ニ ン グ し
DNA断 片 は シ ー ク エ ンス を 読 み 、各 々 の シ ー ク エ ンス デ ー タ を DDBJに 登
録 した 。 登 録 した デ ー タ の 霞cession No.を 次 に示 した 。 AB373739(SUPP1791
由 来 の
Jα
副
遺 伝 子
),AB373740(SuP1791由
来 の
ゴ
耐
遺 伝 子
),
AB373741(SIIPP1791由 来 の ′″ 遺伝 子 ),AB373742(SUPP2439由 来 の JttM遺 伝
子 ),AB373743(SUPP2439由 来 の ノ
α」 遺 伝 子 ),AB373744(SLIPP2439由 来 の g″
遺 伝 子)
RNA抽 出
各供試菌株 を接種 したメ ロン子葉組織 ・果肉組織・ シ ュク コンカ ス ミソウこ
ぶ組織 (0.05g)に TⅢ zol(InvitrOgenp 800μ
μlの クロロフォルムを加 え、室温にて
lを 加 え、摩砕 した。 この液 に 200
3分 間静置 し、遠心分離(15,000rpm,15
分間)し た。上澄み液を新 しいチ ュープ に移 し、等量のイ ソプ ロパ ノール を加え、
-20℃ で 30分 間静置 した。 その後、遠 心分離(15,000rpm,10分 間)し 、上澄み液
を捨 て、100%エ タノール(970 μl)と
3M酢 酸 ナ トリウム溶液 p
H5.2(30 μl)を 加
え、遠心分離 (15,000rpm,10分 間)し た。 上澄み液を捨 て、75%エ タノール(lml)
を加え、再び遠 心分離(15,000rpm,10分 間)し た。上澄み液を捨て、ペ レッ トを真
空乾燥 し 10μ lの 滅菌水に溶解 した。溶解後、DNase I処 理 した上で、分光光度
計
U‥
2000(Hitachi,Ltd)に て OD260値 を読み取 り、mIA濃 度を計測 した うえ
で、RT tteverse■ anscription)_PCR解 析 に使用 した。
RT‐
PCR
抽 出 した
RNAを 使 用 して 、 J副 ,iααH,θル 遺伝 子 の 発 現 状 況 を調 査 した。 ま
55
ず 、抽 出 した RNA(約
lμ 3)に 各 々 のプ ライ マー セ
ッ トを各 10pmOy μ lを 加 え熱
変性 (65℃ ,5分 )さ せ た 。逆転 写反応 は 、[熱 変性済み RNA(12μ l),5 X RT buttr(4
μl),10mM dNTPs(2μ l),RNase inhibitor(lμ l),ReverTra Ace(lμ l)(TOYOBO CO.,
LTD)]の 全 量 20 μlの 組成 で 、42℃ 60分 ,85℃ 5分 で 反応 させ た 。 これ に よ り合
成 された
cDNAを DNAテ ンプ レー トと して 、 上述 した方法 で 、PCRを 行 った 。
サザ ンハ イ プ リダイゼー シ ョン
各供試菌株 の トー タル DNA中 に 目的 とす る遺伝子 の有無、も しくは、RT‐ PCR
によつて得 られた遺伝子 が 目的の遺伝子 で あるこ とを再確認す るため、サザ ン
ハイブ リダイゼーシ ョンを行 った。ナイ ロンメンブ レンヘの DNAブ ロ ッテ ィン
グ、ハイ ブ リダイゼーシ ョンは Ausubel
et al.(1987)の
方法に従 つた。各菌株 か ら
抽出 した トー タル DNAは 、制限酵素 盈 JH処 理後 、 1.5%ア ガ ロースグル に電
気泳動 され 、ナイ ロンメンブ レンヘ プ ロ ッテ ィング した。その後、 メ ンブ レン
ヘ転写 され た DNAは
UV処 理
(260nm,3分 )に より固定され た。 サザ ンハイブ
リダイゼ ー シ ョンに よる 目的 とす る
Detection Kit cRoche Diagno■ ics K.η
DNAの 検 出 は
DIG DNA Lttehng and
を用 い て行 つた。,面、iαJ,θ ″遺伝子のプ
ロー プは 上 記 した Pα露 lo認 aFα ∫p■ 騨 明 ル
来 の各 々 の ク ロ
`(SUPP2439)由
“
"ゴ
ー ニ ン グ プ ラ ス ミ ドか ら作成 され た 。 プ ロ
ー プ はデ ィ ゴキ ゲ ニ ン で ラベ ル し、
アル カ リフ ォ ス フ ァタ ーゼ 標識 抗 デ ィ ゴ キ ゲ ニ ン抗 体 を使用 した 免 疫 染色 に よ
り目的 とす る DNAを 検 出 した。
メ ロン果実 内腐敗病菌によるペ クチ ン分解酵素の分泌調査
植物病原 細菌にはペ クチ ンを分解す る酵素を分泌 し、それ が病原性 を持つ一
つ の要因 とな ってい るこ とが知 られてい る。そ こで、 メ ロン果実 内腐敗病菌 を
含 む P酬織 α腑 に関 して、ペ クチ ン分解酵素 である、ペ クチ ン酸 リアーゼeel)、
56
ポ リガラクツ ロナーゼeCh)の 活性 を次に示 した培地 を利用 したプ レー トア ッセ
イを Chatteゴ ee d J.(1995)の 方法に従 い検証 した。Pel活 性試験培地 [1%ポ リガ
ラクツロン酸ぽGAl,1%Yeatt Extract,50 μ M CaC12'50mM Tris― HClpH8.5,
0.8%寒 天平面培地]、
Pch検 定試験培地 (1%PGA,1%Yeatt Extrad,2.5mM
ED]眈 ,lmM SOdhm ac∝ 誼e,0.8%寒 天平面培地)、 各 々の検定培地 に菌体 をス
ポ ットし,24℃ ,3日 間培養後,培 地 上の菌体 をキム ワイプで払拭 し,4N
HCl
5m lを 培養培地上に塗沫 し観察 を行 つた。
4.3
結果
メ ロン罹病果実か らの菌収集
1998年 か ら2008年 にかけて、高知県の メ ロン産地 にて発生 したメ ロン果実内
腐敗病果実 を集 め、各異なる個体 か ら菌を分離 した。 この うち、Pαm腑
の特
徴 の一つ で ある YPA上 での黄色色素 を持 った コロニー を選抜 し、39菌 株を得 る
こ とができた。 この中には、第
2章 でメ ロン果実内腐敗病菌 として同定 された
メ ロン分離 8株 も含 む。 これ ら 39菌 株 につ いて、P
ttm納
に特徴的 ない くつ
かの細菌学的性質について調査を行 つた ところ、
P酬翻a聴 の性状 と一致 した(表
4-4)。
ただ し、イ ノシ トール、 ソル ビ トール からの酸産生テス トにおいて、菌
株間で僅 か に違いが見 られたもの もあつた。
メロン子葉 における病徴形成
メロン果 実内腐敗病 菌(SLIPP1791)を 約 1.OX 108 ch/ml(50 μl)注 入 したメ ロン
の子葉 にお いて、メ ロン子葉組織 が接種 5日 後か ら硬化 し始 め、7日 後には菌液
を注入 した葉 の裏側 に組 織 の増生 とそれに伴 う葉 の奇形 が確認 された。接種 14
日後には菌液 を注入 した領域 のみが顕著 に組織が盛 り上が って きた
(図 4-1)。
この とき、増生組織は硬 化 してお り、そ の周 りの部分 の葉 が巻 き上が り湾曲す
57
る奇形も観察 された。この メ ロン組織内での P硼 如 ガ∫菌数 は、接種直後か ら増
生組織が形成 された 14日 後 まで常に約 107cwg程 度に維持 されてい た。しか し、
増生組織は、接種後
3週 間以上経過 して も腐敗することはなかった。 これに対
して、メ ロ ン果実内腐敗病菌 ではない P…
is(A8)、 シュ ッコンカス ミソウ
こぶ病菌(SUPP243り を接種 したが、滅菌水 を接種 した千葉 と変わ らず、組織 が
増 生する こ ともなか った。そ して、組織 内での菌量は、接種直後 には 107ch/g
程度であったが 3日 後には菌量 105ch/g程 度 にまで減少 していた。また、イネ内
頴褐変病菌 (SUPP2219)も 同様 に接種 した ところ、増生症状は観察 されなか つた
が、壊死斑 形成が観察 された。 この件 に関 しては第 7章 にて検証す る。
メ ロン果実 内腐敗病 菌 を接種 したメ ロン子葉 の組織学的観察
上記 の試 験 にて接種 したメ ロン子葉組織 をパ ラフ ィン包埋 し、チオ ニ ン とオ
レンジ Gに て染色 し、光学顕微鏡 にて観察 したところ、滅菌水や メ ロン果実内
腐敗病菌 ではない P ar剛 孵腑 を接種 した葉 の厚みは 500∼ 600μ mで あるのに対
し、メロン果実内腐敗病菌を接種 した子葉 の厚 さは 850∼ 1000μ mに まで達 して
いた
(図 4-2)。
これ らの比較 か ら、メ ロン千葉の厚 さが P¨
麻 の感染によ
り約 1,8倍 程度増加 したことが明 らか とな った。また、メロン果実内腐敗病菌を
接種 したメ ロン子葉 の組織 では、細胞数 が増 えてい るとともに、各 々 の細胞 が
顕著に肥大化 している様子 も観察 された。 また、増 生組織 の表面に近 い細胞間
隙が紫色に染色 されていた。その部分は連続 してい るのではな く散在 していた。
この染色 された細胞間隙を詳 しく観察 した ところ、染色 された細菌 が無数に存
在 してい る こ とが判 明 した(図 4-2E)。 また、 メ ロ ン果実 内腐 敗病菌 でない
P硼硼納 を接種 した子葉 では細胞間隙での細菌増殖 を確認できなか った(図
4
-2C).
58
メ ロ ン果 実 内腐 敗 病菌 の保 有す る特異 的遺 伝 子
表
4-3に 示 した プ ライ マー を使用 して 、第 2章 にて メ ロン果実 内腐 敗 菌 で あ
る こ とが確認 され た P manatis(メ ロ ン分離 8菌 株 :表 2-1)と イネ 内頴 褐 変病菌
(SWP2219)に 関 して 、血 、iαJ,g″ 遺伝 子 の 有 無 を検 証 した。 (表 4-5)。 そ の
結果 、図 4-3に 示 した よ うに、イ ン ドー ル 酢酸 の生 合 成 に関 与す る
遺伝 子が メ ロ ン分離 8菌 株 と P
attlm働酬Jp■
され た。 さ らに 、サ イ トカイ エ ン合成 に 関 わ る
.面、id
tts…JJ晩 (SLIPP2439)か ら検 出
`″
遺伝 子 に 関 して も、 メ ロン分
離 8菌 株 と SUPP2439か らの み検 出 され た (図 4-4)。 しか し、イネ 内頴 褐 変病菌
(SUPP2219)か らは
3つ の遺伝 子 が検 出 され る こ とはなか つた。 これ らの結果 を
裏 づ け る試 験 と して 、 メ ロ ン 分 離 株 (SI「 PP1791,Mキ 1),イ ネ 内 穎 褐 変 病 菌
(SUPP2219),シ ク ラ メ ン葉腐 細 菌病 菌 (SUPP1993),シ ュ ク コ ン カ ス ミ ソ ウ こ
ぶ病 菌
SIIPP2439(P昭 ゴ θ″
`認
朋
pV.脚 StthJJ“ )に 関
して 、 ゲ ノ ミ ッ ク サ ザ ンハ
イ プ リダイゼー シ ョンを行 った(図 4-5)。 そ の結果、 メ ロン分離
2菌 株 と
SUPP2439に のみ θ
″遺伝子相同領域 の存在 を確認 でき、SUPP2219や SUPP1993
″遺伝子相同領域 がないこ とが確認 で きた。.面、ittHに つい て も同様 の
には θ
α
結果が得 られた。 さらに、SIPP1791の ゴ
劇 ,滋Лンル遺伝子 PCR産 物 をクロー
ニ ング し、各 々の塩基配列 を調査 した。 それ らの遺伝子 を DDBJデ ー タベース
に あ る
P attlttθ Fα ηS pⅥ gν JqPル ノね θ
由 来 の
プ
叫
33867),れJ賓 L33866),
θ
JztZ46375)と 比較 した結果、各々の遺伝子の相同性 は 92.1%(ゴ 飢呻 ,95。 10/0(ゴ硼め
,
96.5%(grzpで あつた。
上記の結果を受け、PCRに よる検出結果 に信頼性が得 られたことか ら、上述の
PCRに 用いた菌株 も再度含 めたメロン分離 39菌 株について、ゴ
α
砒 滋ガ:β ″遺
伝子の検出を試みた。その結果、メロン分離 34/39菌 株(87.1%)が 麒 、iαα
H,`″
遺伝子を保有 し、残 りの 5菌 株(A‥ 8,13,Mキ 16,20,SUPPl128)は 保有 していなか
つた(表 4-5)。 これ らの菌株 について も、サザ ンハイプ リダイゼーシ ョン解析 を
59
行 い、同様 の結果 が得 られた。そ して、 これ らの菌株 の菌液 をメロン子葉 へ注
H,gル 遺伝子を保有 した菌株 のみが菌液注入部位 に
入接種 したところ、=面.iαα
増生症状 を引き起 こした(表 4-5).
菌液注入接種 したメ ロン子葉 にて観察 された増 生組織に関 して、idブ 硼軋
β
″遺伝子が組織内で発 現 してい るかを RT‐ PCRに て検証 した。 この試験 におい
てはメ ロン果実腐敗病菌 (SLIPP1791)と 比較対象 として A3(I面、れど,β ″遺伝
子不在 のメロン分離株)、 証EP2439(P昭 誠Wθ 聞服 pv
tts中J性
)、
イネ内頴褐
変病菌(S■ IPP2219)を 用 いた。そ の結果、RT‐ PCR産 物 を電気泳動 したところ、日
的 とす るバ ン ドの位置以外 にエ キス トラなバ ン ドが見 られ、θ
ルの発現 を確認 で
きなか った。そ こで、RT‐ PCR産 物をサザ ンハ イブ リダイゼーシ ョン解析 した。
その結果、SLIPP1791を 接種 した子葉で
`″
遺伝子 の強い発現を、SUPP2439を 接
種 した 子 葉 では 極 僅 か な発 現 を検 出 した (図 4-6)。
これ に対 して 、 キ 8,
SUPP2219を 接種 した千葉では これ ら遺伝子 の発現は確認 されなか った。 この
=面"J“二 に関 して も同様 の結果 が得 られた。 また、A8,SUPP2439を 接種 した
子葉 では組織 の増 生反応は全 く観察 されず、組織切片の観察 で も滅菌水 を接種
した対照区 との差は見 られなか つた(図 4-2,C,E)。
屯 加』ンrz遺 伝子 を保有す るメ ロン分離株 の メロン果実へ の病原性
iα
メ ロン果実へ の病原性に関 して、1面,ブ α
翻 ,θ ″遺伝子 を保有する菌株 と保有
しない菌株 をメ ロン子房 への刺針接種 によ り検証 した。その結果、,直、ゴ
ぽ
遺伝子を保有す る 17菌 株(SUPP1791,Melon-1,2,MA-1,2,3,A9,05KEキ
,θ
″
1,Kochi‐ 1,
4,6,M卜 1,MA‐ 31,32,40,49,50)は 果実 内腐敗 を引き起 こしたが、 これ らの遺伝
子を持たない メ ロン分離 5菌 株 (A‐ 8,13,MA-16,20,SUPPl128)は 病徴を引き起 こ
さなかつた(図 4-7)。 また、iα亜 ,J硼二
g″
遺伝子を保有す る SUPP2439[シ ュ ッ
コンカス ミソウこぶ病菌ぽan"θ α覺がθ
ttg認 郷 pv.,P∫ ψカ
カ
`)]は
メロンに対 し病
60
原 性 を示 さなか っ た 。 そ して 、 証
、放 ィ ル ″遺伝 子 を保 有 しな い SLIPP2203ぽ
α関 α腑
チ ャ 分 離 菌 ),飢 PP2219『 硼 卿 麻
イ ネ 分 離 菌 ),SUPP1993解
“
哩 lo醜 g関 ⇒は 果 実 内腐 敗 を 引 き起 こ さなか っ た (図 2-3,4-7,表 4-5)。
“
さらに、
SulP1791,2203,2439を 接種 した果実の果内組織 か らmJAを 抽出 し、
メ ロン果実内での
`″
遺伝子 の発現を確認す るため RT‐ PCRを 行 った(図 4-8)。
しか し、
RT‐ PCR産 物は目的 とす る
RT‐
`″
遺伝子以外 のバ ン ドも増幅 していたため、
PCR産 物をもとに、再度サザ ンハイプ リダイゼー シ ョンによりθル遺伝子発
現 の有無 を調査 した。その結果、翻 、iααH,′ ″遺伝子 を保有する SUPP1791を
接種 し病徴を形成 した果内におい て、β
″遺伝子の強い発現 が確認 された(図
8)。
4-
SLIPP2439を 接種 した果実 では病徴確認できなか ったが、僅かな θ
″遺伝子
の発現を確認 した。 これに対 して、SUPP2203を 接種 した果実では θ
″遺伝子発
現 は確認 されなか った。
SUPP1791,SUPP2439の
SL「
シ ュ コ ン カ ス ミ ソ ウ に 対 す る病 原 性
PP1791,SUPP2439を 宿根 かすみ草の茎に接種を行 つた。 SIPP2439を 接種
した茎は接種 5日 後か ら増 生形成が 日視 され るよ うにな り(図 4-9)、 21日 後に
は明確な こぶを形成 した。 このこぶ組織か らP電課〕
″gFarJ pv型 即響力Jagが 再
分離 され、 こぶ組織か ら 1.4X108cⅣ gの 菌数 を確認 し、 この組織にお ける
g″
遺伝 子 の発現 に 関 して、RT― PCRに よって調 査 した結果 、P銘 愛wertts pv.
ら脚リカJ加 の感染部位で強 く発 現 していることが判明 した(図 4-8)。
したが っ
て、肌PP2439は 本来の宿 主植物であるシュク コンカス ミソ ウにおいて、サイ ト
カ イ エ ンを産出 し、強 い病原性 を しめ してい る こ とが確認 された。 しか し、
SUPP1791を 接種 したシュク コンカス ミソウの茎に病徴形成は観察 されず 、菌 も
″遺伝子 の発現 も確認 で きなかった。
再分 離、β
61
メ ロン果 実 内腐敗 病菌 に よるペ クチ ン分解 酵 素 の 分 泌
メ ロ ン 果 実 内 腐 敗 病 菌 を含 む
P鰍 颯
由
5菌 株 (SUPP1791,Melon-1,
SWP2219,NR53,SUPP2203)に つ い て 、Pel,Pch活 性 の 有無 を各酵 素検 定培地 に
よ り調査 した 。そ の結果 、メ ロ ン果 実 内腐 敗 病 菌 で あ る SLIPP1791,Melon‐ 1は 、
普通 に YPAプ レー トや YP‐ Brothに て 培 養 した もの を プ ロ ッ トして も Pel活 性
は誘導 され なか ったが 、 0.1%PGAを 含 む YP¨ brothで 前培養 す る と、軟腐病 菌
で ある Pgβ Jab″ たガ
θ期解 の よ うに明確 な反応 で はな い が 、僅 か にそ の
“"JⅣ
活性 が誘 導 され て い る こ とが確認 され た (図 4-10)。 しか し、Pch活 性 は全 く認
"″
め られ なか っ た。 これ らの結果 は Pmm腑
が感染 した宿 主 組 織 内 で Pel活 性
を誘導す る可 能性 を示 したが 、そ の 反応 が 弱 い こ とか ら病 原性 に 関 わ る可能性
は低 い と考 え られ た。
4.3
考察
メ ロン果実 内腐敗病 はメ ロン果実内部 のみに腐敗症状を示す病 害 で あ り、果
実以外 の メ ロン植物体における病徴形成 は確認 されてい ない。予備試験にてメ
ロン子葉、本葉、茎、花 など各部位 に通常 の針接種や噴霧接種 を行 ったが、水
浸斑や腐敗 とい った病原性は認め られなか った。 また、第
3章 において、メロ
ン果実 内腐 敗病菌 が果実内部に病徴 を発 現 させるための一つの要因 として、 メ
ロン組織内で 107cⅣ g以 上の菌数 を一 定期間保 たなければな らない こ とが判明
した。 しか し、 メ ロン果実 内腐敗病菌 の病原性 について検証す る上で、病原性
をメロン果実 で検証す るためには接種植物 の準備、評価す るまで の約 2ヶ 月間
とい う期間 が必要であるため、より簡便 な評価方法が必要 とされた。一般的に、
ウリ類 の細菌病では子葉 の感受性 が高 く、子葉への注入接種 による簡易病原性
検定が行 われ る こ とがある。そ こで、人 工的にメ ロン子葉に高濃度菌液を多量
に注入接種す る こ とによ り、 メロンに対 して病原性 を保持 してい る系統であれ
62
ば子葉 に水浸状反応を誘導す るこ とを仮定 し、 メロン子葉へ の菌液注入接種を
行 つた。そ の結果、メロン果実内腐敗病菌は水浸状病斑 を形成するのではな く、
子葉組織 に増 生病徴を引き起 こす ことが判明 した(図 4-1)。 この増 生反応 は
¨
P
納 系統間の 中で もメ ロン果実内腐敗病菌(SIIPP1791)だ けが誘導 し、イネ分
離菌(SUPP2219)や チ ヤ分離菌(S■ IPP2203)を 接種 した子葉 では観察 されなかった。
この増生組織 では、顕著な細胞 の肥大化や細胞数 の増加 を確認す るとともに、
葉 の厚みが約 1.8倍 に増 えていた(図 4-2)。 この現象 は子葉組織内での植物ホル
モ ンバ ランスが変化 したこ とを推測 させ るものであった。そ して、 この症状 は
メ ロン果実内腐敗病菌が植 物 ホルモ ンを分泌 している可能性 を示唆す るもので
あ つた。
宿 主 植 物 に こ ぶ (増 生 )病 徴 を 引 き 起 こ す 植 物 病 原 細 菌 と し て 、根 頭 が ん 腫 病 菌
♂昴
た Fノ 露″
“
“
ぽ S劉 砒
Wmsッ
ル ‖ψ
`た
″J=tumo五
Fitte p立
騨 総 勧
genic動
J)、
たりらゴ
γ
疑り
“
.),オ
リー ブ こ ぶ 病 菌
シ ュ ツ コ ンカ ス ミ ソ ウ こぶ 病 菌
Pttragα
“
畑 わ解
`閣響
pv.騨SⅢJ力θ)が 知 られ、 これ らの細菌は、その病原性 に関与する
遺伝子 として、イ ン ドール酢酸合成 に関 わ る トリプ トフ ァンモ ノオキシゲナー
ゼ 遺伝子(i醐 とイ ン ドール アセ トア ミ ドヒ ドロラーゼ遺伝子(.錢、そ して、
サイ トカイ エ ン合成遺伝子(″ 4′れ
g″ :イ
ソペ ンテニル トランスフェ ラーゼお
よび トランスゼ アチンシンテ ターゼ遺伝 子)を 保有す る こ とが報告 され ている
(COmai and Kosuge.1982:Clark et al.1993:Lichter et al.1995a,b:Liu et al.1982)。
そ
こで、.面,ゴ硼颯 θ
″ 遺伝子 の存在 を調査 したところ、 メ ロン果実 内腐敗病菌
(S■ IPP1791,Melo■ -1,2,MA-1,2,3,A9,05KE丼
1)に おいて もこれ らの遺伝子を保
有 してい るこ とが、各遺伝子 を検出す る PCRを 行 つた結果(図
4‐ 3,4)と
ゲノミッ
クサザンハイ ブ リダイゼー シ ョンの結果 か ら明 らか とな った。 メ ロン果実内腐
敗病罹病組織 か ら分離 された′硼硼鷹lisの
i面
,ノ
αtt θ
″遺伝子の保有に関 して
調査 した結果 、87.1%(34/39)の 菌株 がこれ ら特異的遺伝子 を保 有 してい る ことが
63
明 らか とな つ た (表 4-5)。 さ らに、これ らの遺伝 子 の 有 無 とメ ロ ン果 実 へ の病 原
性 との 関係 を調 査す るため 、 銀
、j“ 嘱
`″
遺伝 子 を保 有す る 34菌 株 の うち 17
菌株 (SUPP1791,Mdon‥ 1,2,MA-1,2,3,A9,05KEA-1,Kochi‐ 1,4,6,MB‥ 1,M井 31,
32,40,49,50)と
1面、i湖,θ ル を保 有 しない 5菌 株 (A-8,13,Mキ 16,MA‐20,
SUPPl128)を メ ロ ン果実刺針 接種 に用 い て 、そ の病原性 を比 較 した と こ ろ、直
滋嘱
`ル
、
遺伝 子 を保 有す る菌株 の み が メ ロ ン果実 を腐 敗 させ た(図 4-7)。 また 、
上 記 にて
SUPP1791を 接種 した メ ロ ン果 実 、 メ ロン果 実 内腐 敗 病 菌 (SUPP1791)
を注入接 種 した メ ロ ン子 葉 組 織 にお い て 、 suPP1791は メ ロ ン組 織 内 で
id,θ ″遺伝 子 を強 く発現 させ てい た こ とか ら(図 4-6,8)、
,直、
組織 内 でイ ン ドー
ル 酢 酸及 び サ イ トカイ ェ ン を 多 量 に生 成 してい る こ とが示 唆 され 、 そ の 結果 と
して 、メ ロ ン果 実 内腐敗症 状 の 形成や 増 生 (カ ル ス)病 徴 形成 につ な が つ た と考 え
られ た。 これ らの 結果 は メ ロ ン果 実 内腐 敗 病 菌 が 、 自身 の 産 出す る植 物 ホ ルモ
ン(イ ン ドー ル 酢 酸 とサイ トカイ ェ ン)を 病 原 性 因子 の 一 つ と してい る こ とを傍
証す る もの で あ っ た。
本 章 で行 つ た試 験 にお い て 、メ ロ ン果 実 内腐 敗病菌 の 対象 菌株 に 、
=面、滋 嘱
θ″遺伝 子 を保 有 す るシ ュ タ コ ン カ ス ミソ ウ こぶ 病菌 (SUPP2439:P cttJθ ttθ rα ″∫
p■ ttPJリ
ルカ リ を 用 い た 。
こ の
P attJθ ″ θ 総
・
pV・
,pJΨ
ルJル θ は 発 病 因 子
と し て 、
TypeⅢ 分泌機構 に関わるみ
面 ,滋 嘱 θ
″遺伝子を保有 しているこ
ψ 遺伝子群 と し
とが報告 されてい る(Clark
et al.1993:Lichter et al,1995乳
Nizan et a1 1997)。
メ ロン
α
″
αrJめ は 力ψ 遺伝子相同領域 を保有 しているとい う報告は
果実内腐敗病 菌ば α″
ないが(第
7章 にて検証
)、
シュク コンカス ミソウこぶ病菌 の病原性因子である
岨 、J“ 屹 β
ル遺伝子 と同 じ遺伝子相同性領域 を保有 してい ることを確認 した。
・
そ して、上述 にて、 これ らの遺伝子がメ ロン果実 内腐敗病 の病原性因子 の一つ
である可能性 を示 唆 した。そ こで、 シュ ク コンカス ミソウこぶ病菌 もメ ロンに
病原性 を示す 可能性 が推察 されたため、 メ ロン果実、子葉へ の接種試験 を行 っ
64
た。 シュク コンカス ミソウこぶ病菌はメ ロン果実内に 105∼ 106d1/g程 度 で生存
していたが 、果実内に腐敗症状を引き起 こす こ とはなか った。 さらに、両菌株
(約 1.O X 108ch/ml)の 菌液(約 50μ l)を
メ ロン子葉 に注入接種 した ところ、メロ
ン果実内腐敗病菌(SLIPP1791)で は感染 したメ ロン組織 を増生 させたが、 シュク
コ ンカス ミソウこぶ病菌を接種 したメ ロ ン千葉 に変化 はなか った。 そ の組織切
片 の観察 で も変化は見 られなか った(図 4-2D)。 その原因 として、メ ロン子葉組
織 内の菌量につ いてみると、メ ロン果実内腐敗病菌の方は接種か ら 12日 間、注
入 された菌量 107ch/gレ ベル を組織内に維持 しているのに対 して、SUPP2439は
接種直後 8.4X107 ch/gの 菌 が組織内に存在 していて も、3日 後 には組織内での
菌 量が 3.3X105 ch/g程 度にまで減少 し、そ の低い濃度 のまま組織内に定着 した。
これはメ ロンに対する親和性 の病原菌 と非親和性菌の違 い によるもの 、即ち、
メ ロン植物 の基礎的抵抗反応 により菌数 が減少 した もの と推定 され る。 また、
Lichter et al.(1995b)は Psθ γ
め認
rゴ
助 認わθ
αttθ ″θ
Fα ∫
pv.J明副勧
… ッ 疑Fg
"Jと
“
pv騨 岬 カゴ
ルθの各 々の病原性菌株 と非病原性菌株 との間で トランスーゼ アチン
(天 然サイ トカイ エ ンの 中で も活性 の高 い サイ トカイ エ ン)生 成 量に関 して比較
を行 い、病原性菌株は非病原性菌株 に比 べ 、多量の トランスーゼ アチ ンを生産
したことを報告 した。本研究において、 メ ロン接種に用 いた シュク コンカス ミ
ソ ウこぶ病菌(S■ IPP2439)は 宿根 かすみ草 に対 して強い病原性 を示す とともに宿
主組織内でサイ トカイニンを産出 してい る こ と確認 された(図 4-8,9)。 しか し、
訊PP2439が
副 ,加 4θ ル遺伝子を持ちなが らもメロン子葉 の増生や 果実 に病
iα
原性 を示 さなか った理 由の一つ として、 メ ロン組織内で十分 に増殖 で きなかつ
た こ と、それ に伴 い、菌が生産 したイ ン ドール 酢酸や サイ トカイニ ン
(ト
ラン
ス ーゼ アチン)の 生成量が植物に生理変化 を引き起 こす ほどの量に達 していな
か つた ことにあると推測 された。 つ ま り、 メ ロン果実内腐敗病を引き起 こす た
めには、 メ ロンに対 して親和性であ り、感染 した組織において十分 に増殖 した
65
上で イ ン ドール酢酸、サイ トカイ ニ ンを産出で きなければな らない こ とを意味
した。 しか し、 メ ロン果実内腐敗病は水浸状腐敗症状であ り、増生症 状 ではな
い。 したが って、 これ らの植物 ホルモンが病徴発現にどの よ うに関わ つて い る
のか、更なる検証が必要である。
以 上をまとめると、 メ ロン果実内腐敗病菌 の病原性因子 として、イ ン ドール
酢酸合成遺伝子(iα覗
;哺の存在 と発現、サイ トカイニ ン合成遺伝子●Jzlの 存
在 と発現、そ して、 メ ロンに対す る親和性 に関わる因子 の関与が考 え られ た。
ただ し、先 にも述 べ た よ うに、根 頭 がん腫病菌 、オ リープ こぶ病菌、 シ ュ ク コ
ンカス ミソウこぶ病菌 の よ うにイ ン ドール酢酸やサイ トカイ エ ン
(ト
ラ ンスー
ゼ アチン)を 病原性因子に持つ場合 の病徴は増 生(こ ぶ)症 状 であ り、腐敗症状で
はない。 メ ロン果実内腐敗病では 自然発病 した植物体に こぶ症状 は見 られ ず、
当然、果実内部 にも認 め られない。現在、 これ らの植物 ホルモンが どの よ うに
病徴発現に関わ ってい るかを検証す るため、 メ ロン果実内腐敗病菌が感染 した
果実内での
,直、id,′ ″遺伝子 の発現量をノーザ ンハイプ リダイゼーシ ョン
により検証中で あ り、 さらに、 これ ら遺伝子 を欠損 させた菌株 を作成 し、そ の
病原性 について今後検証 してい く必要がある。 また、イ ン ドール酢酸やサイ ト
カイエ ンが病原性(水 浸状腐敗)に 関与す るのであれば、これ らの植物ホル モ ンに
よリメ ロン植物体 自身 のペ クチ ン分解酵素を誘 導す る可能性や 、その他月りの病
原性因子の存在 が考 え られるとともに、い くつ かの病原性因子が関わる相乗効
果 によ り病徴 が形成 され る可能性 も考えられ る。 ゆえに、果実内部 での代謝変
動について詳細な調査 を行 う必要 がある。
66
にて供試 した
Mclo■ -1
Melo■ ¨
2
MA‐ 1,2,3
MB‐
1
A‐ 1,2,4,5,6,7,9,11,12,13,17
A‐ 8,
13
05KEA‐ 01
Kochi‐
、
1,4,6
MA‐ギ ,8
MA‐ 16,20
MA‐ 31,32,40,41,43,44,45,46,48,49,50
SIIPPl128
Pα
SLIPP1993
Pα
SIIPP2439
鳥取
1995
シクラメン
栃木
1979
P
P
U
S
raFa c∬ Jθ θ
′
り J pv.」 りPs(ソ カJル
`
“
“ “
イネ
P
P
U
S
女Fa 4ggJ● 7grぃ
“
脚
PmraFα
α″J
SUPP2219`"α “
発病果
発病果実
発病果 実
発病果 実
発病果実
発病果 実
発病果 実
発病果 実
メ ロン雄花
発病果実
発病果実
発病果 実
メ ロン
所 分離年
高矢ロ
高知
高知
高知
高知
高矢日
高知
高知
高知
高知
高知
高知
測紆紳穎紆難難鍵紆相紆新卿
SIIPP1791
シュクコンカスミソウ 静岡
Pa“ ragα aggJ● ″θ
ra"J Pv・ ″fJJgガ 4`
HR4‐ 1503
フジ
静岡
1994
SUPP
SUPP: Shizuoka university plant pathology culture collection
67
4-2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
ヽ
14
‖
15
16
17
18
19
20
キシ ロー ル
15分 間
キシ ロー ル 15分 間・ 浸漬
キシ ロー ル :エ タノール (1:1)15分 間・ 浸漬
100%エ タ ノー ル 15分 間・ 浸漬
85%エ タ ノール
15分 間・浸漬
70%エ タ ノール
15分 間・浸漬
50%エ タ ノール
15分 間・ 浸漬
フェ ノール :チ オ ニ ン処理 1時 間・ 浸漬 →
50%エ タ ノール
2,3回 浸す。 (10秒 間)
新 たな50%エ タ ノール 2,3回 浸す。 (10秒 間)
70%エ タ ノール
2,3回 浸す。 (10秒 間)
85%エ タ ノール
2,3回 浸す。 (10秒 間)
100%エ タ ノー ル
2,3回 浸す。 (10秒 間)
オ レン ジG・ エ タノール 飽和溶液 7∼ 10回 浸す
100%エ タ ノー ル
2,3回 浸す。 (10秒 間)
ール
100%エ
2,3回 浸す。 (10秒 間)
タノ
新たな
エ タノール :キ シロール (111)2,3回 浸す。 (10秒 間)
*Vt: -/v
2,3回 浸す。 (10秒 間)
キシロール (き れ い なもの)
数分 間浸漬
5%フ ェ ノール
せ
液 100m lに チオ ニ ン 0.lgを 溶解
せ た
を使用 。
68
表 4-3 第4章で使用 したPCR
Primer
′
αα Hlr
5LGCTGATGGGATTATCACCCC‐ 3'
5tCTTCTCCTGGTCGGTTGTCA¨ 3'
GCATGGCAGATATGGCTCAA‐ 3'
5'■ GAACGTACCGTTCATAGTC‐ 3'
raghf
57_ATGCAAGACGCGGGTTTTGA‐ 3'
ねαhr
5'―
ETZ6D
ETZ4U
Jα
α証
5'―
ACAGAAGGCAGAGCAGCATT-3'
′rz
Kobayashi and Takikaw♂
erz
Kobayashi and Takikawa
ゴ
αalイ
Lis ttdy
ゴ
α副
This study
lia」
Lss加 中
′
α謂
This stud
PCR, polymerase chain reaction
"I(obayastu and Takikawa (unpublished)
69
M● bn inhtes
Melon‐
1,2
F
_
―
StlPP。 1791
F
―
_
MA‐ 1(StIPP2582),2,3
MB‐ l
F
―
―
_
Al,2,4,5,6,7,■
F
11,13
F
ハ8
Al■ 17
―
―
―
―
F
F
05KEA‐ l
F
F
Koch_1,4,6
MA‐ 4F,8
―
―
F
MA16,20
F
MA‐ 31,32
MA‐ 嶋 ,41,43,4■
MA‐ ● ,50
45,4`,48
F
StlPPl1 28
PaFraFa響 ノ
F
F
―
―
―
―
_
_
十
+
―
_
_
十
一
_
十
一
+
_
+
十
十
+
_
_
_
―
F
―
_
―
―
_
_
―
_
―
+
十
_
+W十
_
―
―
―
+
―
+W
++
一
一
十
_
+
+
+
+
S
"“ F―
StIPP1 993
PaFraF● agrraHan口
"s pv.』
+ +十
lPsqPル と
SUPP2439
F―
Par“ 鶴 ノ硼 膊 pv.薇 躙
“
戯
`
十
一
_____
++______
`
'SUPP; Shiaroka urriversity plart palholog5r cultrrre collection F' fermentativo metabolism, +W: weakly reactiur
70
α″∫(メ ロン分離菌)が 保有する特異的遺伝子 とメロン子葉の反応
表4-5P."α″
特異的遺伝子 のPCRに よる検 出
MA‐ 1,2,3
MB… 1
13
05KEA… 01
一
Pα
一+
SUPPl128
一
MA‐ 16,20
MA‐ 31,32,40,41,43,44,45,46,48,49,50
一+
Kochi-1,4,6
MA‐ 4F,8
一十 + +
1,2,4,5,6,7,9,11,12,13,17
A‐ 8,
一十 + +
A‐
+ + + + + +
Melo■ ‐
2
ねJ
+ + + + + + 一十 + + 一+ 一
SUPP1791
Melo■ ‐1
滋」ソ
+ + + + + + 一十 + + 一+ 一
+ + + + + +
菌株名
メロン子葉
増生反応
ゎ′αα″α″α″J
「“
PP2219
S■
PaarOFr aggJowarars
SUPP1993
ヽ
Paaragα aggra″
SUPP2439
Pa“ ra`α aggJ●
HR4¨ 1503
`rarJ pv.ypsottjル
"FrarrJ pv.“
g
flle■■α
`
SUPP : Shizuoka university plant pathology
cultue collection
71
Zι
Ⅲ董 ⑦華■イ 嵐 F7■ 聾署:g`冊 準⑦華士イ ロ /7■ 聾碧 :V
′ご ヮf,嗜 コ信重■κ 嵐 /
干許響畔 9Tコ ,W″ ″″'"メ ″
1-,国
●
図 4-2
A:
Pattω
麻 を接種 したメ ロン子葉の組織切片観察
“ “
滅菌水を接種 したメロンの縦断切片 ,B:メ ロン果実内腐敗病菌(SUPP1791)
8)を 接種 したメロン子葉組織,D:
rls体 ‐
““
gglo″ ′
rars pv.倒 グリカ77ac(SUPP2439)を 接 種 した メ ロ ン 子 葉 組 織 ,E:
′α
を接種 したメ ロンの縦断切片,C:P′
SUPP1791を 接種 したメロンの縦断切片 で観察 された細胞間隙での菌増殖
A,B,C,Dに ある黒線は 200 μ mの 長 さを示す。
73
1353br
1078bP
8'2bp
60311P
310bll
図
4-3
伝子 と
″sに お け るイ ン ドール 酢 酸
“
H遺 伝 子の検 出
物 ′ゎω α″
(lAA)合 成 に 関 わ る ねα2′ 遺
=oα
M:DNA standard markcr[9X174/1a´ Ш
digc■
(Wako)],Iane l_8:mclon isolates
(乃 ″わω α″α″α )(1:SUPP1791,2:Mclon‐ 1,3:Melon-2, 4:MA‐ 1,5:MA-5,
`お
6:NIA‐ 3,7:A-9,8:05KEA‐ 01),9:StlPP2219ご anわ ω α′
″″ 麻 ),10:SUPP2439
rm pv sが9′ 力 α
agg/● ″ι
f′
`), H:SUPP1993(′
agg/0″ ′
″
α
1P
), 12:HR4-1503(P
“
ο
″ι
′
α
″
S
pv
″
ifleltiac).Arrow
hdicates
PcR―
α[=′
amplifled ca 790-bp(″ αJり and
ca.430-bp(Iα α
tt DNA fraglnent
74
図
4-4
動
"“
“
α′α麻 に お け る サ イ トカ イ ニ ン 合 成 遺 伝 子 (`″ )の 検 出
M:DNA ttalldard markcr R― Eco T14 1 digc前 (Takara)],lanc l-8:mdon isolatcs(P
α′α″arお )(1:SUPP1791,
2:Mclon-1, 3:Mclon-2, 4:MA-1, 5:MA-5, 6:NIIA-3,
7: A-9, 8: 05KEA-01), 9: SUPP2219 oα
4gr′ ο″era″ s
・
J。 ″ara′ s
pv 翻 ヮs9ρ 力;102),
わ alta″ α′
お), 10: SUPP2439(2
“ “
11:SUPP1993(P αggi()″ ′″αパ ), 12:HR4-15031P
pv″ 7JJF″ 滋
ampliflcd ca 400-bp(arz gCnc)DNA
`)Arow indicatts PC■
彙agmcllt
75
‐
図
4-5
5“
豊一一一
1234
準
ヽ1
‐
ゲ ノ ミ ックサ ザ ンハ イ プ リダイ ゼ ー シ ョン に よるサ イ ト
カイ ニ ン合 成遺伝 子 (arzl相 同領 域 の 検 出
1:メ
ロ ン果 実 内腐敗 病 菌 c…
病 菌解 α
…
1ぉ
isISUPP1791),2メ ロ ン果 実 内腐 敗
:SUPP),3:イ ネ 内穎 褐 変病 菌ぱ
4:シ ク ラメ ン葉腐 細 菌病 菌 c
"切
動産 SUPP2219,
aggraa∝銀 :StJPP2203),5:シ ュ ッ コ
ンカ ス ミソ ウこぶ 病 菌 (2曜 Jο ″ 物昭 μ ttνリ カJ′ :StJPP2439)
“
“
76
PN1 2345678 910・
図
4-6
分 離源 の 異 な る ん ′ゎθ
′
α′
ぉ を注 入 接 種 した メ ロ ン 子 葉 にお け る
““
′″ 遺伝 子 発 現 の RT― PCR解 析 、お よび RT― PCR産 物 の サ ザ ンハ イ ブ リ
ダイ ゼ ー シ ョン に よ る ′″ 遺伝 子 相 同 領 域 の検 出
上 段 写真 :RT― PCR解 析 ,下 段 写真 :サ ザ ン ハ イ ブ リダイ ゼー シ ョン解 析
P:PrJ″ ゎ
`α
“ ""べ
滅 菌水 ,lanc
SUPP1791)由 来 の
3-4:A‐ 8ぱ
“
`″
遺伝子
α″″お),hne
(DNA),N:滅 菌 水 ,lane
5-6:SUPP2439ぃ
l_2:
ル″ 々″
わたοあ pv
蓼Psο 力〃 ),lalle 7-8:SUPP1791メ ロ ン分 F推 菌 (2ω 留′
η″
お),lanc 9‐ 10:sUPP2219
“
イ ネ 分 離 菌 (2α ″α″α聴 )lanc l-loに は上 記 に示 した 菌 株 を接種 した メ ロ ン子
葉 か ら抽 出 した
RNAを テ ンプ レー
トと した
RT PCR産 物 で あ る。
77
ⅣIB-1
A13
MAl
図
4-7
SIIPPl12R
Melon- I
St∫
PP2203
StiPP2439
イ ン ドー ル 酢 酸 とサ イ トカ ィ ニ ン 合 成 遺 伝 子を 保 有 す る 場 ″
α″″″″ぷ メロン分 離 青年の メ ロ ン に女■ る
「
滋″17/747α ノム α 走讐仁や子 を 1暴 Ff→
る
7_―
MA-50,SIjPP1791,Mc10n l,た α″
,777`′ ″″
ドpv
gyρ /1お ゝ
ゃ/1itaご
"cα
′│:
Jl原「
′ α″α″α′
パ:MBI、
A9,MAl,MA 4R MA 32,
ルα〃,′ た 遺 伝 了 を 保 イ
「 し な い ′ α″α″α沐 :A-8.
A-13,SUPP H28,MA20,StJPP2203,′
`igg/て
ヽllPP179:
MA20
α″l1/力 α鼠
じた 遺 伝
rを
保 伯¬
る
′
:StlPP2439
78
10 11 12
→
図
4-8 Pa7わ
纂
嚇
経
ごοα″α″σ麻 と ′ αggわ 777ピ ″″spV
ミ ソ ウ と メ ロ ン 呆 実 にお け る
`7-gcnc発
spsψ み施 ′を接 種 した シ ュ ク コ ンカ ス
現調査
4∼ 6:シ ュ ク コ ン カ ス ミ ソ ウで の ′″ gcnc発 現 調 査 ,7∼
10:メ ロ ン で の ′
r_―
gcne発 現 調 査
1:P″ ″α″αrお (sLJPP1791)(DNA)の PCit産 物 (ポ ジ コ ン),2:滅 菌 水 ,3:SIJPP1791(ItNA),
4:滅 菌 水 を接 種 した シュ ク コ ン カ ス ミ ソ ウの
RNA抽 出物 ,5:Sモ JPP2439(′
αggl(,″ ピ
″ 77S
pv tts″ 力7/a′ )を 接種 したシュ クコンカ ス ミ ツウの RNA抽 出物 ,6 i SUPP1791を 接種
した シュクコンカ ス ミソウの ItNA抽 田物,7:滅 菌水を接種 したメ ロン果実 の RNA仙
出 物 ,8:SUl'P2203(P″ ″ ″α鷹 )を 接 種 した メ ロ ン 果 実 の
aggあ 711`″ パ pv ttsリ カあ ピ)を 接 種 した メ ロ ン 果 実 の
した メ ロ ン 果 実 の
RNA ttlJ物 , 9:SuPP2439(P
RNA抽
出 物 ,10:sLIPP1791を 接 種
RNA抽 出 物 , lo:減 菌 水 ,H:stJPP1791(RNA)
た遺伝子 を示す。
矢印は θ
79
│′
図
4‐
9
イ ン ドー ル 酢 酸 とサ イ トカ ィ ニ ン 合 成 遺 伝 子 を保 有 す る 物
α″ αカ メ ロン分離 菌 の シュ ク コ ン カ ス ミノ ウに対 す る病 原性
“
NC:滅 菌 水 ,SIIPP1 791:fPa″わω 磁 麻),sUPP243%助 ″ゎ″ α :ο
“
…
“
g2Psο 力
i:α′
)
“
慶 pv.
A:SUPP2439を 接種 した シ ュ ク コ ン カ ス ミソ ウの 7日 後 の様 子 ,B,C:接 種 21日
後 の シュ ク コ ンカ ス ミソ ウ
80
YPプ ロス培養 菌液
図
0_1%PGAを 含む YPプ ロス培養菌
4-10 Pa商 _ぉ
の Pel活 性 調査
“
1:SUPP1791(メ ロ ン分離 菌),2:Melon-1(メ ロ ン分 離菌
),3SUPP2219(イ ネ分 離 菌),
4:NR53(イ ネ分 離 菌),5SUPP2203(チ ャ分 離 菌
),P:ル
“
″加 ″″ ,1∼ 5:分 離源 の 異 な る Par2ra“
“
…
ルωterL″ ο
αゎゎ
"″ “ Pv.
“
麻
81
第 5章
5。
1
助 ‖ra“ 硼α励由 の多様性
緒言
第一章 にて述べ たよ うに、P硼
"α
ガJは 一般的に、植物葉面細菌、植物腐生細
菌、植物病原細菌 と して知 られ、多 くの作物や雑草 か ら分離 され る とともに
(Gitaitis et」 .2002)、
湖や人間 か ら分離 された とい う報告 もあるこ とか ら(Eayre飢
al.1995;Baere tt al.2004)、
幅広い生息圏を持つ事が伺われる。
植物病原菌 としては、パイナ ップル(Se∬ 狙01928),ト マ ト(StJl d al.1969),イ
ネ(Azegami et d.1983),ハ ネデ ュー メ ロン(WellS et al.1987),キ ャンタ ロープメ
ロンIBrLltOn
al.2000),
et J。
1991),タ マネ ギ(Gitaitis and G平 1997),ス ー ダングラス(Azad et
トウモ ロ コシcaCC01a― Mcirelles et al.2001),ユ ー カ リ(CoutinhO et
al.2002),エ リンギ(Kim et J.2007), ネ ッ トメ ロン(Kido d d.2008う な どを宿主
植物 とす る こ とが報告 されてい る。しか し、すべての P酬醐 麻 が報告 されたす
べ ての宿 主植物に病原性を示す かど うかは全 く知 られていない。
本論文 の第 2章 において、イネ内穎褐変病菌 (Su叩 2219)は メ ロンに対 して病
原性 を示 さなか つた。また、第 4章 におい て、メロンか ら分離 された P酬蘭 ガ∫
の うち特異的に 融 、ゴ
αtt θ
″遺伝子 を保有 していた菌のみがメ ロン果実内腐
敗病引き起す こ とが明 らか となった。これ らの結果 は P¨
納 系統間 において、
宿主植物に対す る病原性 が分化 してい る可能性 を推測 させた。
日本国内にお い て 、P anttαtisは イネ 内穎褐変病 の病原菌 として報告 され
(Azegami et al.1983)、
近年 の夏期の高温化 による影響 か らイネ内穎褐変病 が各地
で顕在化 して きた との報告 が ある (長 谷川 2007)。 また、本研究 の主 な対象であ
るメロン果実内腐敗病
ido d」 .2008→ は外観 上病徴 が現れないため、収穫前 に
とが困難 である。 これ らの病害は、今後、そ の存在 がよ
罹病果実 を取 り除 くこ“
り顕在化 し問題 とな つてい くことが予想 され 、事前 に病 害防除対策 を考えてい
く必要がある。そ のためには、P鮒 硼αrlisの 生態を十分に理解す るこ とが重要 と
32
あ り、 これ らの病 害の伝染環 を調査す る上で、伝染源や媒介者 の存在 、感染経
路 とあらゆる可能性 を考慮 しなければな らない。 しか し、仮 に、P印翻α腑 の系
統間において、宿 主植物を異 にす る病原性系統 が存在 した としても、その細菌
学的性状はほとん ど一致す るため、宿 主植物に対す る病 原性 の違 い を判別す る
ことがで きない こ とが推察 された。そ こで、真 の伝染様式 を知 るためには、病
原性 を判別す るための簡易な方法が必要不可欠 である。
P開観α麻 のイネ 、メロンに対す る病原性 を評価するためにはイネ を開花・ も
み形成期、メ ロンを果実収穫まで栽培 しなければならない。このため、P…
納
の病原性 を判断す るためには 2ヶ 月以 上期間 と労力がかか る上に、接種菌株数
も限 られ るため効率 が悪い。一方 、予備試験 として、イネ内頴褐変病 菌 S■IPP2219
をP an酬所∫の宿 主植物の一つ として報告 の あるネギの葉 に接種 した ところ、
葉
枯症状が形成 された。 また、YP‥ brothに よる菌培養液 を直接 タバ コの葉へ注入
す るタバ コ過敏感反応試験 において も、そ の接種部位 に壊 死反応 の誘 導 を確認
した。そ こで、
本章では様 々な植 物 か らP硼卿 虐 の分離収集 し、
それ らのネギ、
タマネギ、タバ コに対する反応、細菌学的性状 、遺伝子 レベルで多様性、イネ、
メ ロンに対す る病原性 につ いて調査を行 い、P硼 酬α
tisの 多様性 に関 して検証す
るとともに、P酬翻α腑 の簡易 グループ判別方法について も提案 した。
5.2
材 料 お よび 方法
本 章 にお け る供試 菌株
1995年 か ら 2008年 にか けて 、病 害 虫 に よ り影 響 を受 けた植 物体 な ど、多 くの
植 物 サ ンプル が集 め られ た 。 それ らの サ ンプル か ら後述 の 分離 ・ 簡 易 同定法 に
よ り′ 酬硼α麻 と判 断 され た 49菌 株 と前 章 にて使用 した メ ロ ン分離 39菌 株 を本
章 の 供試 菌株 と して 用 い る と ともに 、鳥 取 県農 林総合研 究所 の長谷 川 博 士 よ り
SLIPP2219(CTBl135),CTB 1004,1061の 3菌 株 、宇都宮 大 学 の 諸 星 博 士 よ りSK-1
83
の 1菌 株 、沖縄 県農 業 試 験場 の 大 城 博 士 よ り Pa‐ 1,4,5の 3菌 株 、 中央農 業研 究
所 の 畔 上 博 士 よ り N‐ R53の 1菌 株 を分譲 い た だ い き、合計 96菌 株 を本 章 の 供試
菌株 と した 。詳細 は表
Kudzll‐ 1)、
5-1に 示 した。 対 照 菌株 は P偲 Jwgrα
P aggJOHgrtt pv.gF∫ 9カ Jルθ(SUPP2439)、
cHR4‐ 1503)の
P哩
∫(SLIPP1993,
“
10mβ
JJglliαc
=総 p■ 認′
4菌 株 を用 い た。
植物サ ンプルか らの菌分離 とその簡易同定
様 々な植物か らサ ンプル を採集 し、それ らの各 一部を切 り取 り、70%エ タノ
ール にて表面殺菌 した後 に滅菌水(500 μl)と ともに磨 り潰 した。 この磨砕液 を
1
白金耳採 りYPAプ レー ト上に画線 し27℃ にて 2日 間培養 した。YPAプ レー ト上
に分離 された黄色細菌 に関 して、 グラム陰性、嫌気性であ つた細菌 を選別 し、
Dyc(1969b)が 示 した P翻 醐
lisに
見 られる特徴的細菌学的性 状[OFテ ス ト、オキ
シダーゼ 、硝酸塩還元、イ ン ドール産生 、硫化水素産生 、 フェニル ア ラニ ンデ
ア ミナーゼ、糖(イ ノシ トール、 ソル ビ トール 、 ズルシ トール 、 メリビオース、
グリセロール)か らの酸産生]に つ いて調査 を行 つた。各々の具体的な試験方 法は
第 2章 に記載 した。 なお、メロン分離株 の結果は第 4章 の結果 より引用 した。
Pα α α由 のネ ギ、 タマネギに対す る病原性
““
Pα醜
硼α鮨 96菌 株 と対照 4菌 株 (表 5-1)を
YPAプ レー トに画線 し、28℃ で
36∼ 48時 間培養 した。接種菌液は各菌株 の YPAプ レー ト上 に形成 された菌叢 を
滅菌水に懸濁 し、約 108 ch/ml(OD600=1.0∼
1.1)に 調整 した ものを接種源 として
用 いた。接種源濃度 の調整は分光光度計[U‐ 2000 Spectorophotomder rHitachi,Ltd)]
を使用 した。
ネギ、 タマネギヘ の接種方法 として、針接種 を行 った。接種 に用 い たネ ギ(品
種 :宏 太郎)は 播種後 1∼ 2ヶ 月経過 した苗 を用 い、ネギの葉 の上に菌懸濁液(10
84
μl)を 置き、その上か ら葉の表皮に菌液がにじむように入ることを確認 しながら
一本 の針をゆっ くり刺 した。接種 したネギは一晩湿度の高い部屋へ置き、その
後、ガラス室へ移 し、温度 25∼ 32度 で 14日 間栽培 した。ネギ、タマネギヘの
病原性は接種 した葉 に生 じた葉枯 の有無によって評価 した。
Pα ‖α‖α由 の タバ コ に 対す る病 原 性
P ttαttα riis 96菌 株 と対 照 4菌 株 (表
5-1)を
YP‐ brothに
て振 と う(120rpm)
し、 28℃ で 48時 間培養 した。 この 培養液 を 下記 の試 験 に用 い た。
P醐 酬α納 (SuPP2219)培 養 液 の 濃 度 とタバ コ に形 成 され る壊 死 反応 との 関係
を調 査 す るた め 、培養 菌 液 (8.O X 108cwml)を 新鮮 な YP口 brothで 1,2,5,10,20,
100倍 に希 釈 し、Klements(1963)の 方 法 に従 い 、 タバ コの葉 に注射 器 を使 用 して
100 μ lを 注入接種 した 。 接種 に用 い た タバ コ の 品種 は
iicθ
limた ら″悧 L.cv
「
`White Burley'で ある。S■ IPP2219に よ り誘 導 され た タバ コの壊 死 反応 は
TTSSを
有す る PJg商
脚 製 由 rp・ Ptt PP105)が 誘 導す るタバ コ過敏感反応 但 助 と
“
も比較 され た 。この 比 較 接 種試験 に用 い た 菌液 濃度 は SIPP2219(8.O X 108ci/ml)、
PP105(5.O X 108ch/ml)に 調 整 した もの を接種 源 と した。
さ らに、す で に、 テ ス トされ た SLIPP2219も 含 め 、P αttαttα 麻 96菌 株 と対 照 4
菌株 をタバ コ に注入 接 種 した。接 種 濃度 は 前述 と同様 に YP― brothに よ り約 108
c動/ml(OD600=1.0∼ 1.1)に 調整 し、接種源 と した 。 この試 験 で使用 した タバ コは
N″b″γtt Lo cv.こ White
Burley'と 吼 `Xanthi'の
2品 種 を用 い た。接種後 、 タ バ コ
植 物 は 25℃ 、 12時 間照 明条件 で 2日 間栽培 され 、接種
48時 間後 にタバ コ の反
応 の 評価 を行 っ た。 この 試 験 は少 な くとも 3回 行 っ た。
P α
ttα α
由 のイネに対する病原性
“
P硼鮒α歯 のイネに対する病原性 を調査するために、イネ品種
`コ
〕
シヒカ リ
85
を
9号 ポ ッ トにて栽培 を行い、出穂開花 ステー ジを迎えた苗 の花に菌液 を噴霧
接種 した。接種菌液 は保存菌株 を YPAプ レー トに画線 し、28℃ で 36∼ 48時 間培
養 した後 に形成 された菌叢を滅菌水に懸濁 し、約 107 ch/ml(OD600=0.6∼
0.7)に
調整 し接種試験 に用 い た。イネ の花 へ の接種試験は接種 当 日の午前中に開花 を
確認 できた苗を選び 、菌液 を稲穂 か ら滴 る程度 (約 10m l)噴 霧す るこ とにより
行 つた。接種後、 日陰 に苗を移動 させ 、3日 間パ ラフィン紙製 の袋で稲穂 を覆 っ
て湿度 を保 つた。そ の後、袋 を取 り除き、日の あたるガラス室へ苗を移動 させ、
ガ ラス室温度条件 20∼ 32℃ にて 14日 間栽培 した後に発病調査を行 った。この際、
各菌株につ き
3穂 が接種試験に使用 された。発病調査は褐変 した もみ の数 を数
え、褐変 もみ率[(3穂 の褐変 もみ数/3穂 全 もみ数(一 つの稲穂 に約 80∼ HOも み
が ある)]を 求 めた。イネヘの病原性試験は 2008年 8月 、2009年 8月 の 2回 行 つ
た。
P α
ttα α
由 の遺伝子 レベルでの特性調査
“
本章にて用いた各 菌株 からの DNA抽 出方法は、
第 2章 にて記載 した Ausubel d
al.(1995)の
CTAB法 にて行 つた。氷核活性遺伝子(J肥
子(,直、J硼め 、サイ トカイエン合成遺伝子(θ Jzlの
)、
イ ン ドール酢酸合成遺伝
P鰍翻α由 が保有す る可能性
のある特異的遺伝子や、遺伝子 レベルでの細菌分類・菌株 レベルでの 同一性を
評する手法である rep‐ PCЩ Rademaker飢
J.1998)、
recOmbinase A"」 )遺 伝子の
RFLPttestriction iagment letth polymorphism)解 析 tWalerOn et al.2002)に 関 して
本研 究 で 調 査 検 証 した 。
氷核活性 遺伝 子 (J″ α 遺伝 子 )を 検 出す るた め に使 用 した れfと 加量 の プ ライ
マ ー セ ッ トは 氷核 活 性 遺 伝 子 と して 報 告 の あ る
J″
』 cM26382),加 ガ (P14992),
加αA(X17316)遺 伝 子 の シ ー クエ ンス (Abe et d。 1989;Michigami d J.1994)に 基
づ き 、 これ ら遺伝 子 に共 通 したオ ー プ ン リー デ ィ ン グに含 まれ る
3つ の
ドメイ
86
ン佃 末端領域,繰 り返 し(R)領 域,C末 端領域)内 の相同性 の高い R領 域 の後部 か
ら C末 端領域 のほぼ全領域(約 342 bp)を 検出できるよ うに設計 した。プ ライ マー
の詳細については表
5-3に 示 した。氷核活性遺伝子を検出す るための PCR反 応
組成 は、全量 25 μ l[10XⅨ 乃g reaction buttr(2.5μ l),2.5mM dNTP mixture(2.0
μl),5pmoy μlの 各種 プ ライマー(1.Oμ
ll彊 乃g
5U/μ
l),0。 lμ
ゴμlDNAテ ンプ レー ト(1.Oμ り
polymerase(0.2μ l)(Tttra,Otsu,Japanp]に
[94℃ 3分 ,(94℃ 30秒 ,54℃ 30秒 ,72℃
,
調整 し、反応条件 は、
1分 )X30サ イクル,72℃ 5分 ]に て ThermJ
Gycler Dice model TP600(Takara)を 使 用 し行 われ た 。 PCR産 物 は 1.5%ア ガ ロー ス
ゲル に電気 泳動 され 、エ チ ジ ウム プ ロマ イ ド染 色 を行 い 、増 幅 され た DNA断 片
を検 出 した 。本実験 は少 な くとも 3回 行 っ た 。 なお 、加山け 硼颯 θ
″遺伝 子 の 検
出、お よび 、サザ ン ハ イ プ リダイ ゼ ー シ ョン に よる各遺伝 子 の相 同性 領 域 の 検
出 に 関す る方 法 は第
rep‐
4章 に記 載 した。
PCRに よる多形 解 析 は Rademaker
d al.(1998)の 方法 に従 っ た。 rep― PCR反
応組成 は 、 全 量 20 μl[5 X Gitschier buttr(4μ l),100XBSA(10mゴ ml)(0,32 μl),
DMSO(2μ
場合
lμ
l)、
dNTP(1.6μ l),5pmoyμ lの 各 種 プ ライ マー (1.Oμ l)(BOX‐ PCRの
l),DNAテ
ンプ レー ト(1.Oμ l),5U/μ lI彊 動g polymerase(0.2μ l)(T壺 肛a,
Otsu,Japan)]に 調整 した 。 この とき使 用 した 5× Gittchier burerの 組成 は 、 [lM
cNH4)2S041.66ml,lM Tris― HClpH8.06.7ml,lM MgC12670
130
μ l,0.5M EDTA pH8.0
mercarptOeth狙 o1208 μ l,100XBSA 10mg/m180μ l,蒸 留水 ,計 20m珂
μ l, β中
に調 整 した 。反応 条件 は 、[95℃ 7分 ,(95℃ 1分 ,各 52℃ 佃RIC),40℃ (REP),53℃
(BOX)1分 ,65℃ 8分 )X30サ イ クル ,65℃ 16分 ]に て Thermal
cycler Dice modd
W600(Takara)を 使用 し行 われ た。PCR産 物 は 3.0%ア ガ ロー ス ゲル に電気 泳 動 さ
れ 、エ チ ジ ウム プ ロマ イ ド染色 を行 い 、増 幅 され た DNA断 片 を検 出 した。本 実
験 は少 な くとも 3回 行 つ た。
″副 遺伝 子断片 の PCR‐ RFLP分 析 に 関 して は WalerOn et al.(2002)の 方 法 に従
87
つ た。 PCRプ ライ マ ー は表
5-3に 示 した。 ″J遺 伝子検 出 PCRの 反応 組 成 は
全 量 25 μl[10 XttrF gag reaction bunttr(2.5μ l),2.5mM dNTP mixture(2.Oμ
l),
5Pmoyμ lの 各種 プ ライ マ ー(1,Oμ l),0.lμ ノ μl DNAテ ンプ レー ト(1.Oμ l),5U/
μl五 χ ttf polymerasc(0.2μ l)(Takara,Otsu,Japan)]に 調 整 し、反応条件 は 、 [94℃ 3
分 ,(94℃ 60秒 ,49℃ 60秒 ,72℃ 2分 )X30サ イ クル ,72℃ 5分 ]に て行 つ た 。PCR
反応後 ,RFLP解 析 を 行 つ た .RFLPの 反応 組 成 は ,PCR反 応 液 5μ l,Reaction
Buttr2(New England Bio Labs lnc。 )1.5μ l,И ル 10.5μ l,滅 菌水 を入 れ全 量 15
μl PCR反 応 後 ,RFLP解 析 を行 つ た 。RFLPの 反応組成 は ,PCR反 応 液 5μ
l,
Reaction Buttr2(New England BiO Labs lnc.)1.5μ l,И ル 10.5μ l,滅 菌水 を入 れ
全量
15
μlと し、37℃ で 2時 間イ ン キ ュベ ー トした。そ の 後 、制 限酵素処理 液 は
1.0%agrose gdに 電 気 泳動 した。
5。
3
結果
様 々な植物か らの Pα α α由 の分離
““
上で
本研究を行 う
集 め られた多 くの植物サ ンプル か ら黄色細菌が数多 く分離
された。 これ らの細菌学的性 状 を調査 した ところ、 グラム陰性、通性嫌気性、
イ ン ドール産生が陽性 、オキシダーゼ活性、硫化水素(05KEA-1を 除 く)、 硝酸塩
還元 フェニル アラニ ンデア ミナーゼ反応 が陰性 を示 した菌株 は、全部 で 96菌 株
あつた。 これ らの特性 は Dyc(1969b)が 示 した P酬 硼α鮨 に特異的な特性 と一致
したことか ら、 これ ら 96菌 株 を P
呻
arlis96菌 株 の詳細 を表
ttα腑
と判断 した。 これ ら分離 された P
5-1,2に 示 した。これ らの菌株は、ササか ら 7菌 株、
ススキか ら 6菌 株、 カンキツか ら菌株、 ミズ キか ら 4菌 株、 アフか ら 5菌 株、
西洋 アジサイか ら 4菌 株、 メロンか ら 39菌 株 (第 4章 にて検証)、 ヨモ ギか ら 4
菌株、パ イナ ップルか ら 3菌 株、イネか ら 7菌 株、川 の水 か ら 1菌 株、ネ ム ノ
キか ら 1菌 株、 トウモ ロコシか ら 9菌 株、チ ャか ら 3菌 株、ネ ギか ら 2菌 株 が
88
分離 された。 しか し、 イ ノシ トール とソル ビ トール か らの酸産 生試験 では菌株
間で異なる反応 が見 られた。
Pα α
″α
由 を接種 した ネ ギ・ タマ ネ ギの反応
“
P硼酬αお のネ ギ・タマネギに対す る病原性 を各 々の葉 に針接種す るこ とによ
り調査 した。96菌 株 中 20菌 株
(ア
ワ分離 5菌 株、アジサイ分離 4菌 株、パ イナ
ップル分離 3菌 株、イネ分離 7菌 株、川 の水分離 1菌 株)が ネ ギ(宏 太郎)の 葉 に
葉枯症状 を引き起 こした
(図 5-1)。
そ の症状は、接種 3∼ 8日 後 に針接種 した
部位 を中心に 3∼ 4cmの 長 さで葉枯 した。 この葉枯症状の程度 は上記 で示 した
20菌 株間で異なってお り、強い病原性 を示 した菌株(SWP2219,NR53)は そ の後
徐 々に葉枯病徴を拡大 させ、20日 後には接種 した葉全体が萎れ た。そ して、接
種― ヵ月後 にはネ ギ植 物体の基部 まで完全に腐敗す るもの もあつた(図 5-2)。 そ
の他、76菌 株(サ サ分離 7菌 株、ススキ分離 6菌 株、カンキツ分離 1菌 株 、 ミヅ
キ分離 4菌 株、 メロン分離 39菌 株、 ヨモ ギ分離 4菌 株、ネ ム ノキ分離 1菌 株、
トウモ ロコシ分離 9菌 株、茶分離 3菌 株、ネ ギ分離 2菌 株)は ネ ギに対 して全 く
病原性を示 さなか つた(表 5-4)。
ネギに病原性 を示 した 20菌 株 の うち代表 3菌 株 (SUPP2219,N閣 3,SuPP2113)
と病原性を示 さなか った sL「 PP1791を タマネ ギ(品 種 :紅 州)の 葉 に接種 した。そ
の結果、ネ ギに葉枯症 状 を引き起 こした菌株 はタマネギに も病原性 を示 した。
これに対 し、SUPP1791は ネ ギ同様 にタマネ ギに も病原性を示 さなかつた(図
5
-2C)。 ネ ギ・タマネ ギ の品種間差 について も調査 を検証 した ところ、SUPP2219,
N‐
R53,SuPP2113は タマネ ギ全 17品 種に病原性 を示 した。 これ ら 3菌 株 により
引き起 こされた病徴は G■ JIs and Gay(1997)が 報告 したタマネ ギ`center
rOt'病
の
症状の一つ であ り、特 に、感受性 の高かったタマネ ギ`紅 州'で は病徴 の進展 は遅
いが茎 の中心部を腐敗 させるもの も観察 された。 ただ し、ネ ギに関 しては、 こ
89
れ ら 3菌 株 に対 して 品種 間差 が 見 られ 、 3菌 株 は ネ ギ 14品 種 中 6品 種 (吉 蔵 、
金 長 、金長
3号 、優 作 、宏太郎 、松本 一 本太 )に 葉枯れ を 引 き起 こ した
(表 5
-5)。
Pα α α
歯 を接種 した タバコ反応
““
予備試験にて、 タバ コ`whhe burley'の 葉 に SUPP2219(イ ネ分離株)培 養菌液を
注入接種 したとき、接種 36∼ 48時 間後 に HR反 応 に似 た壊死斑が菌液 を注入 し
た部分 に形成 された(図
5-3)。
これまで P硼卿 腑 がタバ コに壊死を誘導 した と
い う報告はない。そ こで、SuPP2219が タバ コの葉 に壊死斑形成を誘導す る条件
について、最初に、菌濃度の影響 に関 して調査 を行 つた。そ の結果、SUPP2219
培養液(8.O X 108ch/ml)を
1,2,5倍 に希釈 に した菌液までは、タバコの葉 に壊
死反応 を誘導 したが 、 10倍 以上の希釈液ではそ の反応 は誘導 されなか った。
本章にて収集 され た 96菌 株(StrPP2219を 含 む)の P ttαJlisに 関 して、上記 の
試験結果 に基づ き、接種 菌濃度 を約 8.O X 108ch/mlに 調整 しタバ コ品種 `White
burley'へ の注入接種 を行 つた。そ の結果、接種
導 した菌株 は 20菌 株
(ア
したタバコの葉 に HR様 反応 を誘
ワ分離 5菌 株、アジサイ分離 4菌 株、パイナ ップル 分
離 3菌 株、イネ分離 7菌 株、川 の水分離 1菌 株 )で あり、 これ らの菌株 はネ ギ
の葉に葉枯症状 を引き起 こ した菌株 と完全に一致 していた。その他 の 76菌 株 は
全 く反応 を誘導 しなか った。 さらに、 タバコの 品種を変えて `Xanthi'に 96菌
株 を接種 したところ、HR様 反応 を誘導 した菌株 はこ
Whhe buiey'に
HR様 反応 を
引き起 こ した 20菌 株 で あった。 これ らの結果 は、P anana麻 の中にネ ギ・ タマ
ネ ギ・ タバ コに対 して、異なる反応 を示すグル ー プがある こ とを示唆 した。
Pα α α由 の遺伝子特性
““
P anttα 麻 は氷核活性細菌 として報告 され (Makin01983:Goto d d.1887)、 氷
90
核活性遺伝子ooを 持つことが報告 された (Abe d d,1989:Michigami d a1 1994)。
そ こで、本章にて収集 された 96菌 株 における ノ 遺伝子の存在 について検証 し
“
た。そ の 結果 、J″ Jイ 油 Rプ ライ マ ー セ ッ トを使 用 した PCRに よ り増幅 され た ゴ
孵
遺伝 子 断片 (約 350 bp)が 96菌 株 全 て の P酬 蘭 麻 か ら検 出 され た(図 5-4)。
か し、 対 照 菌 株 で あ る
4菌 株
の
Pc雰
し
わ″働 辮 J(S■ IPP1993,Kudze‐ 1,S■ IPP2439,
Ш 件 1503)か らは検 出 され なか っ た (図 5-4)。
第 4章 にて メ ロ ン か ら分離 され た P¨
漁 にお け る 融
,J“颯 gル 遺伝 子 の
保 有 に つ い て検 証 した が 、本章 で は 改 めて メ ロ ン 分離株 を含 め 、 メ ロ ン 以外 の
植 物 を分離源 とす る Pα 関″
αガ∫57菌 株 につ いて も ,融,i耐,`″ 遺伝 子 の 有 無 に
関 して 検 証 した 。 そ の 結 果 、P
aggJomθ 認鰐
ttmtis96菌 株 中 メ ロ ン 分 離 34菌 株
pv型脚呼商加 か らこれ らの遺伝 子 が 検 出 された (表 5-5,図
P
と
5-5)。
さ らに 、 ゲ ノ ミックサ ザ ンハ イ ブ リダイ ゼ ー シ ョン分析 を行 い 、先 の結 果 と同
じ 34菌 株 の メ ロ ン分 離株 の み が これ らの遺伝 子 を保 有 してい る こ とを確 認 す る
とともに 、改 めて 、 それ 以外 の 62菌 株 は これ らの 遺伝子 を保 有 してい な い こ と
を確認 した(図 5-6)。
次 に 、Pα醜硼α鳥96菌 株 に関 して 、rep_PcR解 析 を行 った。そ の結果 、REP― PCR
に関 して 、P…
iSメ ロ ン分離菌 に特異 的 な ca.850bpと
ン ドが検 出 され た(図
5-7)。
しか し、第
ca。
1000bpの 2本 の バ
4章 にて 、 メ ロンに対 して病原性 を持 っ
て い なか っ た sLIPPl128菌 株 に も これ ら 2本 の バ ン ドが検 出 され た(図
5‐ 8)。
そ
の他、ERIC,BOX― PCRの 結果 は菌株 間 で 多様 性 は確認 され た が 、表現形 質 と一
致す る もの はなか っ た 。
さらに 、″酬 遺伝 子 の PCR― RFLP解 析 に よ つ て 、 これ まで の 試 験 で形 質 が 異
な る こ とが確認 され た 代 表 菌株 SUPP1791(メ ロ ン分離株 )、 MA-1(メ ロ ン分離 株 )、
SUPP2219(イ ネ分 離株 )、 SUPP2113(イ ネ分離 )、 SUPP2203(チ ャ分離株 )の
対 照菌株 で あ る
Su叩 1993(P ttθ ″θαη∫)、 SIPP2439ぱ
“
5株 と
暉∬ わ閣gFαη∫ pv.
91
HR4-1503の 3菌 株 につ いて検 証 した。 そ の結 果 、PCRに よ り増
馴
"円"JJag)、
幅 され た ″」 遺伝 子領 域 (ca.730bp)を 制 限酵素処理 解 ル I,Щ 、 Tas I,Tru I)す
る こ とに よ り、P
ttmガJと
P aggra″
`期 “
sを 識 別す る こ とが で きた。 しか し、
P αttαnα麻 同 一種 内で の菌株 間 の 差 を識 別す るまで には至 らなか っ た
(図
交 互 接 種 試 験 にお け る P ttα α由 の 宿 主 植物 に対 す る病 原性 差 異
“
これ まで の試験結 果 よ り、本 章 にて 検 証 して きた 96菌 株 の P…
tisは 、ネ
ギ 、 タバ コ に葉枯、 HR様 反応 を誘 導す るグル ー プ (Group I)、
5‐ 9)。
i副,i醐,gル
遺伝 子 を保 有す るグル ー プ(GToup Ⅱ)、 ネ ギ、タバ コ に反応 を 引 き起 こ さず 、i翻
,
滋 嘱 θ″ 遺伝 子 を保 持 しない グル ー プ(GToupⅢ )が 存在 してい る こ とが判 明 した
(表
5-6)。
これ らの グル ー プの代 表 菌株 を選 び 、 イネ 、 メ ロ ン に対す る病 原性 を
接種試 験 に よ り調 査 した。Group Iの 代 表菌株 は 14菌 株 (CTB 1061,SUPP2219,
Ine‐
1,2,NR53,SUPP2H3,巧 isai-9701,9702,Awa‥ 101,105,P卜 1,4,5,SK‐ 1)、 Group
Ⅱの 代 表 菌株 は 13菌 株 (SLPP1791,2582,Melon-1,2,M井 2,3,4二 8,A9,05KEA-1,
Kochi-1,4,6)、
00upⅢ の代表 菌株 は 14菌 株 (A8,13,M井 16,20,Nemllnoki‐ 101,
OF102, Q101, Sasa-101, Susuki101, SL「 PP1974, 2203, Sweet com‐ 101, 105,
Yomogi-101)を 用 い た 。
第
4章 にお い て 、i副,加Л ン ル を保 有す る P酬翻 α麻 17菌 株 をメ ロン に刺針
接種 し、 これ らの 菌株 が メ ロ ン果 実 内腐 敗病 を 引 き起 こす病 原 細菌 で あ る こ と
を確認 した 。 さらに 、
=面,JttH,gFzを 保 有 しな い P硼硼所liJ(A8,13,MA16,20,
SUPPl128)は メ ロン果 実 に腐敗症 状 を引 き起 こ さな い こ とを確 認 した。これ らの
結果 も含 め 、上記 の代 表 菌株 の メ ロ ン に対す る病 原性 を調 査 した と ころ、`Group
Ⅱ 'に 属 す る 13菌 株 はす べ て メ ロ ン に病原性 を示 した。 と こ ろが 、 `Group I'
に属す る 14菌 株 と `Gfoup Ⅲ 'に 属す る 14菌 株 はす べ て メ ロ ン に対 して 病 原
性 を示 さな か った(図
5‐ 10、
表
5-6)。
92
αα腑 各代表菌株 を開花 したイネの穂 に各菌懸濁液 を噴霧接種 し、
次 に、Pα‖
“
イネに対する病原性調査 を行 った。その結果、 `Gfoup I'に 属す る P ttm歯
は、もみの内穎及 び外頴 に褐変症状を引き起 こ した[図
5‥
11(a‐
1)]、
ただ し、菌株
間 で病原性 に差 が ある こ とも認 め られ 、病原性 の強 い 菌株 による籾褐変率は
30%を 超 え、病原性 の弱い菌株 で も籾に 10%程 度 の褐変病徴を発現 させた(図
5-1l b)。
しか し、 `Group Ⅱ,Ⅲ 'に 属す る P
引き起 こさなか った[図
5‐
11(a… 2)]。
ttm麻
の各菌株は明確 な病徴 を
対照菌株 として接種 した HR4‐ 1503株 は僅 か
で あるが、褐変症状をもみの外頴 も しくは内穎 に 3%以 下の褐変を引き起 こした。
5.4
P¨
考察
由 には少な くとも
3つ のグルー プが存在 してい ることが判明 した。
Group Iは 、ネ ギ、 タマネギに葉枯(図
す るが、証 、ゴ
司
5-1)、
タバ コに HR様 反応(図
5‐
3)を 誘導
θ
ル遺伝子を保持 しない。Group Ⅱはネ ギ、 タバ コに反応 を
引き起 こさない が ,面、J硼 颯 β
″遺伝子を保有する。GrOupⅢ はネ ギ、 タバ コに
反応 を引き起 こ さず、岨 、id,θ ″遺伝子 も保持 しない(表
5‐ 5)と
い う特性 を持
つていた。これ らグループ間 のイネ、メロンに対する病原性 を調査 した ところ、
Group Iの 代表 14菌 株はイネに対 して強い病原性 を示 したが、メロンに対 して
は全 く腐敗症状 を引き起 こ さなかった(図 5-10,11,表
5‐ 6)。
Gfoup Ⅱの代表 13
菌株 はイネに対 して病原性 は殆 ど示 さなか ったが、全ての菌株 がメ ロン果実内
腐敗病を引き起 こ した(図
4‐
7,5"10,5-11,表
5‐ 6)。
これ らに対 して、GroupⅢ
の代表 14菌 株全て、イネ 、 メ ロンに対 して病原性を示 さなかった。 これ らの結
果 は、ネギ・タバコに引き起 こされる反応 とし
岨
,ノ
硼蠣
`ル
遺伝子とい う特異的
遺伝子の存在によって判別 されたPα隠‖
α麻 の3つ のグループがメロンやイネに
対す る病原性に対応 してい ることが強 く示唆 された。つ まり、 これ らの結果は
Group Iの 菌株 がイネ内頴褐変病菌、Group Ⅱの菌株 がメ ロン果実内腐敗病菌、
93
GToupⅢ の菌株 がイネ、ネギ、メ ロンに対 して非病原性 で ある ことを示唆 した も
ので あつた。
P¨
訥 はタマネ ギ `center rr病 、パイナ ップル果実腐敗病(=花 樟病)を 引
き起 こす こ とが報告 されてい る(Gitdtis and Gay 199■ Seran0 1928:Tよ aesu
1996)。
d al.
ネ ギ・ タマネ ギにお ける接種試験 にお いて、Group Iの 菌株はネ ギの葉
に葉枯症状を引き起 こす とともに、SLIPP2219を 接種 したネ ギは接種後 5週 間経
過 した ときにはネ ギの中心部 が腐敗 し、植物 自体が枯れて しまった(図
そ し て 、 こ の 肌 PP2219,NR53,SUPP2113は
5‐
1,2)。
タ マ ネ ギ に も 接 種 した 葉 に 葉 枯 を
引き起 こし、これ らの病原細菌に対 して感受性 の高いタマネ ギ`紅 州つ
は枯死に至
るもの もあつた。 この症状は、Gha■ is
and Gay(1997)が
タマネ ギ
`center rOt'病
と
して報告 した症状そのものであった。 さらに、予備実験にてパイナップルの花
に SUPP2219,Pa-5,S■ IPP1791の 3菌 株 を噴霧 接種 した と こ ろ 、GrOup Iに 属 し
た SUPP2219,P卜 5は パ イナ ップル 果 実 に暗褐 色 の果実腐敗 を 引 き起 こ した。 し
か し、 Group Ⅱに属す る
S■ IPP1791を
の こ とか ら、
Group Iに 属す る P¨
タマネ ギ
接種 した果実 は無 病 徴 で あ った。 これ ら
府 はイ ネ 内頴褐 変病 菌 で ある とともに、
`center rOt'病 菌、パ イナ ップル果実腐敗病菌で もある可能性が示唆 さ
れた。 これに関 しては、パイナ ップル果実腐敗病菌で あ り、P酬翻α腑 の標準菌
(type■ raり である菌株 とタマネギ `center rOt'病
として報告 された菌株を入手 し、
病原性 について比較調査す る必要 が ある。また、飼料用 トウモ ロコシの葉 に `leaf
spot'病 を引き起 こ した
き起 こしたP¨
P硼 側
腑 と、スーダ ングラスの葉 に `leaf spot'病 を引
加 系統がタバ コの葉 にHRを 引き起 こした と報告 されている
(Azad tt al.200Q PaCCCOL‐ Meirelles d d.2001)。
この反応 か ら、これ らの病害を引
き起 こ した P硼 鋼α漁 は GToup Iに 属す る菌株 である可能性 が推察 された。
上述 の よ うに、Pα 酬αJlisに は、植物病原性 の 2グ ルー プ と非病原性 の少なく
“
とも 3つ の グループがあるこ とが確認 された。これまでの P硼 卿 ″
∫に対す る一
94
般認識 は、葉面細菌、腐生細菌、病原性細菌 として幅広 い生 息域を持つ とされ
てきた。G競 洒tisら は、 タマネギ
地周辺 の植物 か ら P…
`center rOt'病
の伝染源を探るため、 タマネ ギ産
納 の検出 を試 みて、宿 主であるタマネ ギ以外 の植物
25種 か らP硼躙耐lisを 検出 したこ とを報告 した(2002)。 本章の研究において、宿
主 とされ る植物(メ ロン、イネ、パイナ ップル、 トウモ ロコシ)を 含 め、14種 の植
物 か らPα猟卿 麻 を分離収集 した。そ して、それ らの研究結果 か ら、分離で きた
植物全てが病原菌で ある P¨
麻 の寄生植物ではな く、アフ、アジサイはイネ
内頴褐変病 の伝染源 とな りえる可能性 が考 えられた。 メロン果実内腐敗病菌は
メ ロンか らのみ分離 され 、 メ ロンが唯一の感染 D伝 染源 とな ってい る可能性 が
推測 された。 しか し、 メ ロン果実 内腐敗病発 生地域 の植物に関す る P
ttα 麻
の生息調査 が不十分であるため、現地点 での明言はできない。 したが って、イ
ネ内穎褐変病やメ ロン果実内腐敗病 の伝染様式を調査す る上で 、各 々のグル ー
プの P
ttm由
がどの植物に寄生す るのか、
その寄生性 の特異性 について、
今後、
更なる研究が必要である。
イネ内頴褐 変病や メ ロ ン果実 内腐 敗病 の伝染様 式 を調査す るためには 、P
硼卿 腑 の簡易同定、
病原性 の簡易判別方法を確 立す る必要がある。
P翻 馴鷹lis(=
Pγ 闊力
肋 ゎ 属細菌 の 中で唯一の氷核活性細菌 と して報告 が あ り
"認)は
“
Ⅳ akin0 1983:Goto a al.1988)、 氷核活性 遺伝子(J″α)を 保有す る系統がい るとい
う報告がある(Abe
tt d.1989)。
しか し、全ての P anmtiJが j朋 遺伝子を保 有 し
てい るかはこれまで不明であつた。 これ らの報告 に注 目し、細菌学的性状 によ
りP鋼鋼α麻 と同 じ性状を示 した系統に関 して、氷核活性遺伝子
検出を試
"oの
み た。そ の結果 、96菌 株 全ての P anαttα 麻 か ら4irα 遺伝子が検出 された(図
5‐ 4、
表 5‐ 5)。 したがつて、ほ とん どの P ttmガ∫が ゴα 遺伝子を保有 しているこ とが
“
明 らかとなった。これまで、遺伝子 レベル での P ttα nα歯 同定方法 について、
″」
遺伝子の PCR‥ RFLP分 析 (WalerOn
d al.2002)、 IMS(imunOmagnetic separttio⇒
PCR
“
95
法(WalcO■ 飢J.2002)、
multi‐ 10cus
sequence analysis(Brady d al.2008)が
報告 された。
簡易同定 として、本研究で使用 した 加f‐ 加水 プ ライマーセ ッ トによる PCR検
出方法 も報告 された もの と同様 に有効な方法 として役 立つこ とが期待 される。
本章にお ける研究 目的のひ とつ として、P仰硼α麻 と同定 された菌株 の病原性
グループ を迅速に判別す る方法の必要性 を掲げた。walerOn
et al.は
P¨
歯が
″」 遺伝子 の PCR‐ RFLP分 析によ り2つ のグループ に分かれ る こ とを報告 した。
しか し、我 々の保有す る菌株 で宿 主に対す る病原性 との関係 を調査 したところ、
病原性 との 連鎖 は本試 験 では認 め られ な かった (図
al.(1983)は イネに対す る病原性 がイ ノシ
5‐ 9)。
また 、Azegami就
トール か らの酸産生 能力 と密接な関係
があるこ とを報告 した。この傾向は確かに Group Iの 菌株間で見 られたが、
Group
ⅡとⅢの数系統におい て も、イノシ トール を利用す る系統が確認 された。また、
Azegami et J.は イネ内頴褐変病菌 の 中 には病原性 の弱い系統 も存在するこ とを
報告 した。これ らの系統 が同の よ うに P酬働α腑 の グループ間で位置づ けられ る
か、今後研究をする必要 がある。 さらに、P… α腑 のイネ、メ ロンに対す る病
原性 を調査す る際、検定植物を育 て るためにかか る期間が長 く、接種 して評価
す るまでに一 定の 日数 が必要 となる。 しか し、ネ ギ、タバ コヘ の接種に よる反
応 で識別 で きること、ネ ギよ りもタバ コのほ うが反応 が早い こ とを考慮すべ き
点である。 このよ うな背景 を踏 まえた上で、P
ttm府
の病原性 の簡易検定法 と
して、タバ コにおける HR様 反応 の有無、PCRに よる .瀬,ノ 硼颯
出 といつた併用方法を提案する(詳 細 については第 8章 にて記載
)。
`″
遺伝子 の検
P…
■
iSの
病原型を簡 易 に判定できることは、P硼 翻α腑 の伝染学的研究を行 う上で、非常
に有効 な手段 となると考 えられる。
また、本章 にて観察 されたタバ コにおける HR様 反応 に関 しては第 7章 にて検
証 した。
96
Rlc● 1卸 Ltes
CTB1004
CrB1061
Palea browning
Oryza satiw
Totmi, Iapan
Palea brourning
Oryza satiw
Totrcri, Japan
Hasegawa
Hasegawa
Palea browning
Oryza satitra
Totori, Japan
ndo d J.2008
1995
Palea bro'nring
patca brorrning
palea bron ning
Orymsatiw
Oryza satiw
Aichi, Japan
Attutti
2002
Ibaraki, Iryan
Oryza sativa
Ehime, Iapan
Cuclanismelo
Japan
轟 do cta1 2008
1998
Japan
Kido et a1 2008
1998
Japal
Iapan
饉 do
Cucannic melo
Kochi,
Koctri,
Koctri,
Kochi,
Kochi,
intemal fruitrot
internal firrit rot
male flowcr
CuannLrmelo
Ko&i,
Iapan
CuqlnFmelo
Kochi, Iapan
Kochi, Iapan
fruitrot
fruitrot
stEm
Cuannis melo
CucumF melo
Cucumis melo
leaf of hydrargca
discolored leaf of foxtail millet
leaf of silk tee
sihus leaf dweloping citus canker
Hydrangea tp.
Setafia italica
Albizia julhrissin
Crfrus sp.
StIPP221哭 ml135)
h●
1,2
NR‐ 53
StlPP211 3
1995
1995
Aagami et a1 1983 1980
Tanawa
2004
Me:o■ 歯obtes
Melon-1
intErnal
StJPP01791
Melon‐ 2
MA‐1(StIPP2582),23
intemd &uitrot
intcmal fruitrot
Cuannis melo
ftuitrot
intemal fruitrot
CuallrtFmelo
MB‐
fruitrot
interflBl
1
Al,2,■ 5,6,7,8,9,H,1■ 13,17
05KEA-1
K∝ 腱-1,4,6
MA‐ 4F,8,16,20
rnternal
intefiral
MA‐ 31,32,40,41,43,44,4■ 4■ 48,49,50
SllPPl 128
Cucutnismelo
Cuannismelo
et」
2008
Kndo et d 2008
Kido
Iapan
2000
2003
2003
2004
A姉
Rud.et a1 2008
Кido
2005
2005
Stuanoka
Kido
Kido
L〔 議
dno
Shia.rok4 Japan
Kobayadi
Kobayadi
1997
Kobayash
KoL甲 闘h
1998
Alliumfutulonan
Shizuoh, Japan
Shianok4 Japan
Shizuoka lapan
Okinas'4 Japm
Shizuoka Iapan
Shizuok4 lapan
Shizuoka Iapan
Zeamays
Kurnamoto, Japar,
Saitma, Japur
Kochi
Japan
Kochi, Japan
2007
2008
1986
V鋤 嗜ous phntimhtes
珂 igai‐ 9701,9702,,703,9704
Awa… 101,10■ 103,105,106
NernuЮ h-101
0F102
Pa‐ 1,45
fruit rot
101,102,104,201,20■ 203,204
SB… 1,6
SK‐ 1
S■ lPP1
974
S■ lPP2203,2204,2205
S疇週は-101,102,103,104,201,202
Sweet con卜 101,102,103,104,105,106,107,108
Yclmogn-101,10■
pineapple
leafofdogwood
Q101)102,l C13,104
Sasa‐
o,n
103,104
leaf of banboo grass developing ntst disease
leaves of welsh urion
rivcr water
sweet com
leaf oftea
chinese silver grass leafdeveloping rust disease
lower discolorirg leaf of sweet com
discoloring lcaf of mrgwort
Afianas comosus
Swida contrcversa
Sasa sp.
Canellia siaensis
Mrscunffrns sp.
Zeamtys
Artemisia sp.
Shianoka
Shiajoka,
Shizuoka
Shizuoka
1997
1997
0shiro
2008
Kobayash
Kobayash
1997
1997
Kido
2009
Moohoshi et a1 2007
Talcikawa
1983
… 熱
Kob彎
Kobayash
1997
Japan
Japan
Kobayash
1997
Japan
Japafl
1997
Pa″ 力′
a aggran″ 副
SllPP1993
Kudal‐
"
1
Pa″ raθ a aggra″ ′
′
α曖
「 Pv gン 1昴 ゆ′みrraF
ル a)
(ぜ 〃 加ね ル 泌れ ra Ⅳ
.騨
SllPP2439
Pa″ l● ′
α aggra2″ 申
",カ
pv"ゴ rr.が ″
HR4‐ 1503
PヽF赫
Kido et al.
Japan
Kido etal.
Gypsophila
paniaiata
Wistariafloribunla
″as yP74g4′ PV PSゴ
PP1 05
`SUPI Shzuoka面 versltyメ 鍼
Cyclannn persicttttt Tochigi, Jpan
Pueraria lobata Shizuok4 Japan
P面
Shianokq
Shizuokalapan
2008
Kobayashi
19':,9
199'l
2008
2004
Xldo et a1 2008
詢 鋤 h et al
pa■ 010gy祠 転 ●●
。lc亜 m
97
1994
表5-2様 々な植物から分離されか
shin
P山
m山
ル●
αα 由 の細菌学的性状
“
“"α
OF Ltt acuvけ
“
Melon“
fuoletg
Melon-l,2
肥獄
rCNQ"dttm
Hβ ‐ Prol"uon
I瑞 摘 m¬
lnodtol
So面
高 証 葛
認 ●
詳l 瑞mdゎ
器 器l 場
MttЫ
撫 話
ose 面
clyoerol
高
_‐
『
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
suPPdl?91
MA-1(SUPPz58212,3
MB-1
A'1,2,4,5,6,7,9,1I,t3
AE
41?.,11
05KEA-1
Koctri-I, 4,6
MA-44I
MAl6,20
MA-31,32
MA-4oy' 1,43,44,45,46,48
N,IA-4q50
suPP1128
F
Rlce bolebr
cTBl 004, 1061, I 135(SUPP2219)
Ine- l,2
NR53
suPP2l 13
Varlour plant bolater
F
F
F
F
F
Pa-1,4,5
F
Ql01, Q102, 103,104
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
SK-1
SUPPl9?4
suPP2203, 2204,2205
Susuki-101,1 02, 103,104, 201, 2O2
Sweot com-l 01, 102, 103, 1 04, 105, 106, lO7, 108
Yomogi-l01
Yomogi-l02, 103, I04
+
―
+W
F
F
F
F
Ajisai -9701
Ajisai -9702, 97 03, 9704
Awa-101, 102, 103, 105,106
Nemunoh-10I
oF102
Ssa-101, I 02, 104, 207, 202, 201, 2O4
sB-1
sB-6
+W
+W
+W
+W
Panlou agglonzans
SUPPl993
Kudan- 1
―
u
Panlo
agglmnauts pv. ppsop
SUPP2439
Puloea Wlon sans
HR4-1503
・SUPP:Sttzucka
pv.
十
■
十
_____十
W
hilac
mill&ac
Шこ
v薇 ty plantpOology cJm cOnecion+w:weamy re“ ■on
98
表5-3第 5章で使用したPCR primers
Primer
5'―
ETZ6D
Targeted DNA
Sequence
5'―
GGGATCGCAACCAAGCTCTGG…
GCGATTATTCTTCGGGTTT¨ 3'
3'
5tGCTGATttATTATCACCCC‐ 3'
ETZ4U
iaanf
5'‐ CTTCTCCTGGTCGGTTGTCA‐
iaamr
5'■ GAACGTACCGTTCATAGTC‐
iaaltf
α α
″ “
inaF
inaR
5'¨
etz
3'
etz
GCATGGCAGATATGGCTCAA-3'
ATGCAAGACCCGGGTTTTGA‐ 3'
ACAGAAGGCAGAGCAGCATT‐ 3'
5'‐ ATGTAAGCTGGGGATTCAC-3'
5'‐ AAGTAAGTGACTGGGGTGAGCG…
iaalul
3'
iaaAd
ioaH
iaaH
5'‐
iaahr
5'…
ERIClR
ERIC2
REPlR
REP21
BOXAlR
3'
5'¨ ⅡIICGICGICATCIGGC‐ 3'
51‐ ICGICTT ATCIGGCCTAC-3'
5'― CTACGGCAAGGCGACGCTGTAGACG‐
ErecA1
5'い GGTAAAGGGTCTATCATGCG‐
ErecA2
5'‐
3'
3'
This study
This study
Kobayashi and Takikawa"
Kobayashi and Takikawa
This study
This study
This study
This study
ERIC"
ERIC
Radermarker et al. 1998
REPb
Radermarker et al. 1998
REP
Radermarker et al. 1998
Radermar*er et al. 1998
BOX element Radermarker et al. 1998
recA
3'
CCTrCACC』 ACACATAATTTGGA‐
Designed in
recA
Waleron et a1.2002
Waleron et a1.2002
PCR, polymerase chain reaction
"Kobayashi and Takikawa (unpublished)
"ERIC, the e,lrterobacterial repetitive intergenic consensus sequence
hEP,
the repetitive extragenic palindromic element s€quence
99
表5-4様 々な植物から分離されたレHrα αα
"a″
Strain
Pa"raa[a"α
RIce i30hteS
arlisの
特性
Pauloge面 c●
welsh O面 On"
ac饉 cln
asslped
Group
一
二
一
+ +
+ + +
+ 十 + + 十
一十 + +
十 +
一十
一十
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一 一
一
一
一
一
一
一
一
一
一 一
一
一
一
一 一
一 一
一
一
一
一 一
一 一 一
一 一 一
一 一 一
一
Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅱ
一+
Ⅱ Ⅱ Ⅲ Ⅱ
Ⅲ
I I Ⅲ
Ⅲ Ⅲ
I Ⅲ Ⅲ Ⅲ I Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ
ms
agFra‖
一
一
`Л
1
aggro"`蘭 ,pv.中
HR4‐ 1503
一
SIIPP1974
SUPP2203,2204,2205
Yomogi_101,102,103,104
一 一 一 一
SusA‐ 101,102,103,10■ 201,202
+ + + 十 十 + + 十 +
+
SK-1
一 一 一+
SB‐ 1,6
十 十 + + 十
+
Q101,102,103,104
Sasa‐ 101,102,104,201,202,203)204
一 一 一 十
0F102
Pa‐ 1,4,5
十 十
Swect com‐ 101,102,103,104,105,10Q107,108
Nemunoh‐ 101
十 + 一 一 一
+ 一 一 一
+ 一 一 一 一
+
+
Awa-101,102103,105,106
一十
一
SUPPl128
Va‖ o■ s phntimbtes
巧 isd-9701,9702,9703,9704
十 十 +
MA-31,32,40,41,43,44,45,46,49,50
+ 十
一 一
MA-16,20
+ 十 十
Al,2,4,5,6,■ 9,11,12,17
A8,13
05KEA‐ 1
Kod巨 ‐
1,4,6
MA‐4F,8
SIIPP2439
Paara24 4ggra膚
十
一 一 一 一 一 一 一
MB‐ 1
"“
SUPP1993
十
一 一
1791
MA-1(SUPP2582),2,3
一+ + +
SUPP2113
Molon ittLtes
M● lon‐ 1,2
+ + +
十
+ 十
+
+
一
一 一
一 一
一
NR‐ 53
Kudzu‐
′
″
+ +
十
+
+
+
+
1ne-1,2
PaH′ 幽
力α
″
+ +
CTB1061
SUPP2219
n蹴
Presence ofspecific g,m
J“ α Jα ″
"山
CTB1004
Sl刀 EP°
ontobacco
IIR
like■ cv Whte Barley
cv.Xanchi
…
s pV.″ ¨
山僣
`
・ SUPP:Sittoka
unveFSiサ plant panology側 こ珈町 e cOllecucII.
blight syrnptom onwelslr onion ard HR like r€actiorl Group tr is harbouing ioaLr', iaaH ard eE genes.
Groqr III is no reaction to tobacco and welsh onioq and did not pocess iaalul , iaa\[ and etz genes.
Grotp I induced
100
5-5
したネ ギ
Pantoea ananatis
タマネギ
ター ボ
タ ー ボA
プ レス ト3
0.K黄
もみ じ3号
ア ンサ ー
貴錦
錦毬
泉州 中高黄
浜育
七 宝 早 生 7号
甲高愛知 早生黄
極 早 生 貝塚 黄
―ジ ュ
ルヽ
奥州
紅州
ネギ
吉蔵
十国
東京冬黒
金 長 3号
優作
錦蔵
元蔵
長宝
金長
宏 太 良F
長 l脱
越谷黒
松 本 一 本大
西田
SUPP2219
+
+
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+
―
+
+
+
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+
+
SUPP2113
+
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+
+
+
+
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SUPP1791
+
+
+
―
―
―
―
―
―
+
+
+
+
+
+
+
+
+
―
―
―
+
+
NR53
マネ ギの
…
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
+
―
+
+
―
―
―
―
―
―
101
表 5‐ 63つ のグル ープに分 かれな
α″硼α訥 のメロン、イネに対する病 原性
Sttatt
Pa"わ
Group
Melo■
Rice
a″ α α 磁 誨
I
I
CTB1061
I
he‐ 1,2
I
NR‐53
I
Pa-1,4,5
I
SK¨ 1
I
SUPP2113
SUPP2219
I
I
SUPP° 1791
Ⅱ
A8,13
Ⅲ
Ⅲ
Ⅲ
Ⅲ
05KEA‐ 1
Kochi… 1,4,6
MA‥ 1(SUPP2582),2,3
MA‐ 4F,8
MA‐ 16,20
Nemlmoki‐ 101
0F102
Ⅲ
Ⅲ
Q101
101
Ⅲ
Ⅲ
Susuki‐ 101
SUPP1974
SUPP2203
Sweetcom¨ 101,105
Yomogi… 101
■ 7"ra“ αttI"“
SUPP1993
Ⅲ
Ⅲ
Ⅲ
+
+
+
十
+
+
+
十
十
+
+
+
+
一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一
Melon‐ 1,2
Ⅱ
Ⅱ
Ⅱ
Ⅱ
Ⅱ
Ⅱ
+
+
+
一 一 一 一 一 一 一
A9
一
一
一
一
一
一
一
一
一
“ “
巧 おd‐ 9701,9702
Awa‐ 101,105
Sasa‐
P山 ogenhiサ
J
“
■ 7“ ra“ agglo躍 ra“ sp■ gypsaF■ 加 ′
SUPP2439
λ
ra“ aggJoaFrarts pv.脚 l誡lac
“
HR4‐ 1503
"SUPP: Shizuoka university plant pathology culture collection.
102
rls(suPP2219)を 接種 したネ ギにお ける一 ヵ月後の腐敗状
ra“ α
図 5-2 助 ′
““
況、及び 、同菌を接種 したタマネギの 3日 後の反応
A:接 種後
lヶ 月経過 し腐敗 したネ ギ(左 :SuPP2219接 種苗,右 :滅 菌水接種苗)
B:腐 敗 したネギの内部状況(左 :SUPP2219接 種苗 ,右 :滅 菌水接種苗)
C:′
α″
α″α′
な(SUPP2219)を 接種 したタマネギ(写 真は接種 3日 後 の状況
104
図 5-3 様 々 な植 物 か ら分 離 され た と″●
α 麻 の タ バ コ鮮 cο ね ″α″bα
`″
““ “
L cv`White Burlcy')の 反応
1:ネ ガテ ィブ コ ン トロール (滅 菌 した YP液 体培地 )、 2:メ ロン果 実 内腐 敗病
菌 (SllPP1791)、 3:イ ネ内穎褐 変 病菌 (SUPP2219)、
離 菌 (SuPP2203)、
(SUPP2439)
5:P電 ノο″
`″
お (StlPP1993)、
4非 病 原性 P
a2■
a24“ ぉ チ ャ分
。″αtt pv spSυ 川
"′
“
105
:3S bp
10・ 8
bp
872 bP
a13 bp
図
5-4
様 々 な植 物 か ら分離 され た Pα ″ ′α麻 と P aggFa晟 留 ″sに お け る
水核 活 性 遺伝 子 レ α)の 検 出
M:DNA standard markcr[9X17″ 〃α′lJ digcst(Nよ。)],lane l:SUPP1791,2:Melon l,
3:SLJPP2582,4:A9,5:CTB1061,6:SUPP2219,7:SUPP2113,8:NR53,9:SUPP2203,
10:SUPP2204,H:SUPP2205, 12: Ajisai 9701, 13:Q101, 14:OF102, 15:SUPP1974,
16:Yomogi-101, 17:Susuki-101, 18:Awa-101,
鱈
S),21:Kudzu isolatcs c銘
g′ο711`“ ″
jノ
炒 pS9ρ 力 α′),23:HR4-1503(′
ヽolatcdお m
19:Sasa 101, 20: SUPP1993 (2
ノ ο″42ra溶 ),22:StJPP2439(′ 電 ノ ο″′″ パ
2醸 0″ θrmpv″
pV
ノル″″ ′)Lancs l to 4 arc 2 α′α″α′
お
symptomatic mclon, lanes S t0 8 are′ amη αrお is01ated frOm
symptomatic ricc,lancs 9 1o ll are tca isolatcs,lanc 1 2 to 19 arc otller isolates■
Om
vanous plants Иrrr2″ 力′αグ indicatcs PCR products of ca 350-bp(ル α gCnc)DNA
■agmcllt
106
p
い路 “ b
8
。
︲
鶴0
7
”“3
〓 〓 昴
2 ︲
。
87
”0
7
8“3
pい p
””b
b
8mm。
”
7
0
3.
図
5-5
様 々 な植 物 か ら分 離 され た
P“
るイ ン ドー ル 酢 酸合 成 遺 伝 子 (=ααM,Iα畿
(`た )の 検
"油
と P偲 J励
`″
″Sに お け
とサ イ トカ イ ニ ン合 成 遺 伝 子
出
M:DNA standard markcr[9X1741H“ IⅡ digest(Wak。 )],lane l:StIPP1791,
2:Mclon-1, 3: SUPP2582, 4: A9, 5: CTB1061, 6:SUPP2219, 7:SUPP2113,
8:NR53,9:SUPP2203,10:SUPP2204,H:SUPP2205,12:村 isai 9701,13:Q101,
14:OF102,
15:SUPP1974,
19:Sasa‐ 101,
16:Yomogi-101,
17:Susuki-101,
18:ノ
ヽ″a-1,
20: SUPP1993(P aggJ● ″′″αぉ), 21: Kudzu isolttes(′
gglo″ erαぉ ),22:SUPP2439c α
ggi。 ″armpv
α
gッ 9′″ノαの,23:HR4-1503c
α ο ′″
αtt pV
′
′
ル″′
α′).Lanes l to 4 are P"α ″ar7s is01atcd,om
“
“
"ノ
symptomatic mclon,lancs S to 8 arc P α″α″αris isOlatcd壁oln syllptomatic ricc,
lanc 9 1o ll are tea isolates,lanes 12 to 1 9 are other isolates from vanous plants
//raw力 ιαグ indicatcs PCR products of ca 790-bp(″α
alld′ レ gcne)DNA
ttagment
and Ca.400-bp(Jα α〃
“
107
″ 1231567891911:210111,16 17 1p l1 211 21 22 23
>
図
5‐
6
|}a ?lt
●
ゲ ノ ミ ックサ ザ ンハ イ ブ リダイ ゼ ー シ ョン に よ るサ イ トカ イ ニ
ン 合 成 遺伝 子 (oの 検 出
lane l:StlPP1791,2:Meloll‐
1,3:StIPP2582,4:A%5:CTB1061,6:SUPP2219,
7:SIJPP2113, 81¶ R53, 9:StJPP2203, 10:StIPP2204,11:SllPP2205, lanc 12:
Aiisa1 9701, 13:Q101, 14:OF102, 15:StJPP1974, 16:Yomogi‐
lol,
17:SusJd‐ 101, 18:Awa‐ 1, 19:Sasa-101,20: StlPP1993〔 t aggrCa′ rα パ
),21:
Kudzu isolates ¢ 4“′
ο
″ια
お), 22: SuPP2439c aggro2α m pv
“
′
′ ),23:HR4‐ 1503c aggr.″ ′
′
α
ぉ pv.″ ′
′
′
′
筋α
¨
`).Lanes i to 4 arc P
“
α″υ
″α″S iSOlated■ Om symptomatic mcl町 lanes 5 to 8 arc P α
納 isolated
““
■om symptomatic Hce,lane 9 to ll are tea isolates,lanes 12 to 19 are othcr
aHの 制限
isolates Oom various plants.StIPP1791の arz geneは 制限酵素 量
酵素サイ トを持 つ。そのため矢印で示 したよ うに
2つ の断片が確認 され
た。
108
図
5-7 RER―PCRに よ る Pα″ゎω
′″ 聴 の 多 様 性 分 析
“
Lanel:SUPP1791, 2:MA-1, 3:A9, 4:kochi-1, 5:CTB1061, 6:CTB H35,
7:StIPP2 H 3,8:llR53,91NA-2,10:INA‐ 6,H:INA-12,12:ア ジ サ イ 9701,
13:Q101,
14:OF102,
15:SUPP1934,
18:Aw"101, 19:Sasa-101, 20:Pa4ゎ
“
aggraa冴嗜 (Kudzu‐ 1),22:
16:Yomogi‐ 101, 17:Susuki‐ 101,
哩
Iο
′´α (StlPP1993), 21: P
“
“
StIPP2439 1Pa″ わ ′α agyο
ね′
″αα
tt
8Psのみ
),23:HR4‐ 1503ざ臨ゎ 偲ゴο
“
″ erm
pL
pv.″ :ll●■
lα の
109
図 5-8
P“ 四滋おメ ロ ン分離株 にお け る 贈 ―
R解 析
К〕
M:DNA standard marker ttEco T14 1 dtesty,lanes l to l■
メ ロ ン分離 菌 (P
α α漁),laneS 18 to21:P偲 」ο 辟黙
"″
“
Lanes l to ll,and 14融,ね ″ 4
16,17:滋 z
mH,`″
at_7を 保有す る メ ロ ン分離菌 ,lancs 12,13,15,
を保 有 しな い メ ロン分 離 菌 を示す 。
Lanel:SUPP1791,2:Mclon-1,3:Mebn‐ 3,4:NIA‐ 1,5:MA-5,6:ヽ■4-3,7:05KEA‐ 1,
8:A9, 9:Kochil, 10:Kochi4, 11:Kochi6, 12:ヽ Lヽ ‐
16, 13:NIA‐ 20, 14:MB-1, 15:
SUPPH 28, 16:A8, 17:A13, 18:SUPP1993(P aggra″ ′´ s), 19:Kudzu-lc
`“
偲 プ ο″鮮m),20:SUPP2439(2偲 ゴ ο″∝m
pⅥ
騨
s"″
),21:HR4-1503(2
`“
aggJ●
arα tt
pv.″ ::lett″ ′)
“
110
図
5‐
9
遺 伝 子 に 関 す る PCR‐ RFLP解 析
""″
“
JzI,卸 ,rasI,「 ″II)に 関 して調査 した。
物肋 ω
制限酵素
7・
“
1:SUPP1791(メ
SUPP2113(イ
ロ ン分 離株
ネ分離
7:SUPP2439o●
力
J/2′ ′
′
αa)
ぉの ″
),2:MA-1(メ
ロン分 離 株
),3:SUPP2219(イ
),5:StIPP2203(チ ャ 分 離 株 ),6:StIPP1993(Pa2oω
"`“
α a殴 引ο″′ 溶
“
pV aρS`フカ::αe),8:HR4-1503cPa7Jraι
ネ分 離 株
),4:
饗 ガ ο″′″αお ),
α agy。 ″′′αパ
pv
│ズ
1510 3つ
`
の グル ー プ に 属 司 る ″ ″77r2″ α′
た の メ ロ ン 果 実 へ の 病 原 1生
a:Mclon-1,h:Adachi 9,ci SUPP2439(ρ αggん 777′ ″″パ pV sP、q″ 力′
ね′),d:A8,
c:ノ ヽ13,■
MA-16,giStiPP2203,hi CTB1061,i:St,PP2113a,b:nlclon isOlatcs
harbouring ′
ααlィ ル●ノ
7 and c″ gcncs bclonging lo Group■ , c: SuPP2439,
arcfcrcncc strain with thc spccinc gcncs, d, c, l i nlc10n isolatcs without thc
spcciic gcncs bclongillglo GroupIⅡ , gi a tca isolatc bc10nging to GroupI11 ,
and h,i:ricc is。 latcs bclonging to GrOup I
112
50
0● し ■ 8 ■ 8 ●
“
30
20
10
0
ゞ
図 5-H
ξ ど
'ギ
゛
ゞ
が ξ
3つ のグループに属する′
"醐
αおのイネに対する病原性
a:Thc palea Of Jに c hOcu:atcd wlth StIPP2219(a-1)and StJPP1 791(a-2) Thc a-l sho■
cd
ith
"piCally symptom Of brOwn palca b:DiscO10ration perccnttgc Of glumcs hOculatcd■
each isOlates of′ α″ ″ ″s
NC:spmン ℃d with stenlizcd watcrD sIJPP2119,NR53:jcc isOlatcs,
Pa l,4,5:pineapplc isOlatcs,Awa-101:a fottail millet isolatc,AJis五
9701:hydrangca isolate,
SK-1:五 vcr watcr is01ate,StJPP1791,Mc10■ _1:melon isOlatcs harbOurmg rの
gcnes,A8,A13,Ⅳ Vt-20:mc10n isOlatcs、 ithOut izJピ
M`α α〃 and
a″
″7 and′
`z gencs,SuPP2203:a tca
isolate,ン OmOgi-101:a mugwort isOlate,Swect cOm-101,sllPP1974:swcet cOm isOlates,
`α
Sasa-101:a balnb00 isOlatc and l磁 _1503:refcrcncc stra■
oOfP ttο ″θ,い Pv″ ′′ル
`Fiae
RatiO was calculated from thc nunlber of attcted Palea fO.1.led On 3 paniclcs pcr caOh
inOculated is01atcs sIIPP2119,lIR53,Pa-1,4,5,Awa-101,メ iSai9701 and SK l belongs tO
リ
Group I
StJPP1791 and Mc10n-l bclongs to Group
Ⅱ
A8, A13,ヽ L4-20, SuPP2203,
yomogi-101,Sweet 00m-101,SIJPP1974 and Sasa-101 be10ngs tO Group Ⅲ
.
113
第 6章
メ ロン果実腐敗病菌 の感染・ 伝染経路 の解明
6.1
緒言
宿 主植物 の種子 が発芽 し成長 を始めると、植物病原細菌は これに感染、も しく
は 、葉面な ど植物 の表面に付着あるい は移動 して定着 し増殖す る。 これが第一
伝染源 とな り、雨滴伝搬、昆虫伝搬 、接触伝搬 などを通 じて周囲に広が ってい
く と考 えられる。本研究対象 で あるPmm歯
に関す る宿主植物へ伝染・感染経
路 に関 して い くつ かの報告 が ある。 タマネ ギ `center rOt'病 の病原 で ある P
…
由 は種 子伝染 (WalCO■
(Gitalis d J.2003)し
dJ.2002)や タバ コアザ ミ ウマ によ り虫媒伝染
、害 虫による食痕 の傷 口か らP硼 閉 麻 が感染 し病害発生に
つ ながる可能性 があることが報告 された(Gitaitis
tt al.2003)。
スーダングラス `leaf
spot'病 は種子伝染 し、風 による植物同士の接触伝搬 も しくは接触によ りできた
傷 か ら感染す るこ とが報告 された(Azad d al.2000)。 イネ内頴褐変病 は種子伝染
し(Azegami et J.1983:Hasegawa et al.2003)、 トビイ ロウンカ(Watanabe et al.1996)
や ツマグ ロヨコバイ(長 谷川 2007)に より虫媒伝染 し、花器(特 に約)で 増殖 した上
で花器感染す るこ とが報告 された(Hasegawa et J.2003)。 パイナ ップル果実腐敗
病 は花器感染するこ とが報告 された(SeFan01928)。 しか し、本研究対象 の メ ロン
果実内腐敗病は新病害であるため、 メ ロン果実 内腐敗病菌 の伝染 0感 染経路に
関 しては知見に乏 しく、
安達 らが接種試 験に よ り植物組織 内を P…
麻 が移動
す る可能性 を示唆 したが(Adachi et al.2008)、 これ以外 の報告 はないため依然 と
して不明な点が多 く残 されてい る。
本研究においてメ ロン果実内腐敗病 の原病徴 を再現す る上で、本病 の感染経
路 を想定 した時、本病 害 の最 大 の特徴 である胎座を中心 とした腐敗症状に着 目
した。そ して、胎座 ヘ メ ロン果実内腐敗病菌 を侵入 させ る刺針接種 により原病
徴 を再現す る(第 2章 )と ともに、メロン果実内腐敗病菌 の感染 か ら発病 に至るま
で少なくとも 40日 以 上必要 であることを明 らかにした (第 3章 )。 メ ロン果実
114
が 受粉後収穫 されるまでにかか る期間は,そ の作型や栽 培期間中の天候 により
多少前後す るが,50∼ 60日 を必要 とす る。 これまでの研 究成果 か ら,本 病 が発
症す るには P酬翻α納 が交配直後か ら 10日 間程度 の間 に感染 し、子房 の胎座 に
侵入 しなけれ ばな らない こ とが推測 された。そ して、推 測 される感染経路 とし
て 、 玉つ り作業 によりできた傷 口感染、ネ ッ ト形成時 にできたひび割れ による
傷 口感染、開花 中雌花 の柱頭感染、 も しくは、結実直後 の花取 り作業 でで きた
傷 口感染が疑われた。また、P¨
腑 が花器周辺へ どの よ うに して移動す るの
か 、種子伝搬 を含 め、そ の伝搬経路に関 して も調査す る必要があつた。 したが
って、本章では、メロン雄花・雌花、花に関わる昆虫、そ して、本病発病果実か
ら採種 した種子 か らの菌 の検 出、花器感染 を想定 した接種試験 を行い 、 メ ロン
果実 内腐敗病 菌の感染・伝搬機構 について検証 した。
6.2
材料及び方法
メ ロン雄花 か らのPα α α
由 分離
““
2007∼ 2009年 にかけて、 日本全 国の メロン産地のメ ロン生産者 にご協力 いた
だ き、高知県(198個 体)、 宮崎県(64個 体)、 熊本県(37個 体)、 長崎県(20個 体)、
愛知県(28個 体
)、
静岡県(96個 体)、 千葉県(40個 体)、 長野県(10個 体)、 茨城県(60
個体)、 山形県(28個 体)、 北海道(36個 体)、 合計 617個 体 の メロン植物体 か らそ
れ ぞれ 1花 ず つ メロン雄花 を収集 した(表
6‐ 1)。
メロン雌花 について も調査 を行
う必要があ つたが、雌花 は商品である果実 を形成す る部位 であるため協力 をお
願 い した生産者 の方々 に断 られて しまった。 よって、雌花収集 は高知 県 の メロ
ン果実内腐敗病発生 圃場 より異なる植物体か ら lo個 体 を入手するにとどま った。
収集 されたメロン雄花 か らの P attna麻 分離 は、 メ ロン雄花 にNSVC― In
broth
(ペ プ トン 10g,イ ノシ トール 10g,NaC1 50g,バ ンコマ イ シン 100mg,シ ク ロヘ
キシ ミド 100mg,,蒸 留水 1000ml,pH6.8)を lml加 え、乳鉢 にて磨砕 した。 こ
115
の磨砕液 50μ lを NSVC‐ In agarプ レー トに塗抹 し、
28℃ ,3日 間培養 した。また、
これ と同時に、磨砕液 100 μlを NSVC‐ In broth 900 μlに 加 え、28℃ で 2日 間振
と う培養 し、その後、この培養液 50 μlを NSVC― In
3日 間培養 した(以 下、 この方法を増菌法 とした
)。
a.garプ
レー トに塗抹 し、
28℃
雄花 におけるP…
,
由 の局
在性 を調査す るため、雄花 を花弁、約、専の 3つ に分離 し、上記 の方法にて P
酬αm歯 の検出を行 つた。
ヒ ラズハ ナ アザ ミウマ か らの 菌分離
2008,2009年 、 高知 県、熊 本 県、静 岡県、愛媛 県、 北海 道 の メ ロ ン産 地 にて 、
メ ロ ン雄花 や 雌花 に 寄 生 す る ヒ ラ ズ ハ ナ アザ ミウマ
袖鴻加ルJJJルSCめ を収集 し
「
た 。各産地 で 収集 した個体数 は高知 県 (68頭 )、 熊本
県 (50頭 )、 静 岡県
媛 県 (92頭 )、 北海 道 (48頭 )、 合 計 306頭 で あ つ た。
8頭
)、
愛
“
1.5mlの チ ュー プ にアザ ミ ウマ を 1頭 入 れ 、
NSVC― In broth(200 μl)を 加 え、1.5ml
チ ュー ブ 用 の プ ラ ス テ ィ ッ ク 製 磨 砕 棒 で 磨 り潰 した 。 この 磨 砕 液 50 μ lを
NSVC‐ In agarプ レー トに塗 沫 し、28℃ ,3日 間培養 した 。 これ と同時 に 、磨砕液
50μ lを
NSVC‥ In broth(950 μl)へ 加 え、増菌 法 に従 っ て 培養 を行 つ た 。
また、2009年 に メ ロ ン果 実 内腐敗 病 の発 生歴 の あ る圃場 で ヒ ラ ズ ハ ナアザ ミ
ウマ 72頭 を採 取 し、 ヒラ ズ ハ ナ アザ ミウマ に着 生 す る P麟翻α歯 の 局在性 につ
い て 調査 を行 つた。そ の検 出方 法 は 、 ヒラ ズ ハ ナアザ ミ ウマ 1頭 を 1.5mlの チ ュ
ー プに入れ 、そ こ に NSVC‐ In brothを 100 μ l加 え、 ヒ ラ ズ ハ ナアザ ミウマ の表
面 を洗 うよ うに ボ ル テ ック ス で 混和 させ た 後 、5分 間室 温 にて静置 した 。 ヒラズ
ハ ナアザ ミウマ をチ ュー プ に残 し、NSVC― In brothを 取 り出 した。 この 取 り出 し
た 液 50μ lを NSVC‥ In agarプ レー トに塗沫 し、28℃ ,3日 間培養 した 。残 りの
50μ lを 増 菌 法 に よ つ て培養 した 。 これ らの 液 か ら分離 され た菌 を ヒ ラ ズ ハ ナア
ザ ミウマ の 表 面付 着 菌 と して 考 えた。
116
さらに、チ ュー プに残 した ヒラズハナアザ ミウマ に 70%エ タノール を 500 μl
加 え 1分 間表面殺菌 した。 ピペ ッター で 70%エ タノール を取 り除き、 さらにピ
ペ ッターで 500 μlの 滅菌水 を出 し入れす るこ とにより洗浄 を 2回 行 つた。その
後 に、NSVC… In brothを 200 μl加 え、磨砕棒 で磨 り潰 した。 この摩砕液 を上述 し
た方 法により培養 した。ここで、検出 された P…
tiSは ヒラズハナアザ ミウマ
に生 息する菌(内 生 菌)と して判断 した。
分離 された菌株 の Pα α‖α歯 簡易同定法
“
NSVC‐ In agarプ レー ト上 に形成 された コロニーを採取 し、 これまで述べてき
た P¨
麻 に特徴的な細菌学的性状[グ ラム陰性、OF、 硝酸塩還元性、糖(イ
ノシ トール、 ソル ビ トール 、 ズルシ トール)か らの酸産生テス トなど](第
記述)と
P¨
2章 に
漁 が保有す る J“ 遺伝子 の有無 について PCRに よって検証 を行
い、P酬醐 由 の簡易同定 とした。また、分離 された P α
nanα腑 の属す るグルー
プ を判断するために、直 、油』レ ″遺伝子 の有無につ い て も調査 した。本章の
調査 はメロン果実 内腐敗病 に関す る調査 で あるため、分離菌 の属す るグル ープ
につ いては、第 5章 で提案 した P ttα 腑 の グル ープ判別方法に基づ き、GToup
Ⅱを判別す ることだ けに留ま った。なお、J隠,.面、i醐,θ ル遺伝子の検出方法
は第
5章 に記述 した方法に従 った。 ただ し、 ヒラズハナアザ ミウマの表面及び
内部 か ら分離 された P
ttm麻
に限 り、タバ コヘ の菌液注入接種 も行い グループ
判男Jを した。
メ ロ ン花器
ズハナアザ ミウマか ら分離 された菌株 の病原性テス ト
"ヒ ラ
メ ロン雄花、 ヒラズハナアザ ミウマ分離菌(計 21菌 株)の 病原性は第 2章 に記
載 した刺針接種法 を用 いて `雅 春秋系 'の 子房 に接種 し、そ の後、果実 が収穫
期に達 した ところで調査を行 った。
117
各接種試 験 に用 い た 供 試 菌株
ネ ッ ト形 成 時 の 噴 霧 接 種 、 結 果 枝 へ の 針 接 種 に は メ ロ ン 果 実 内腐 敗 病 菌
(SUPP1791)を 用 い た 。
柱頭 へ の 菌液滴 下 接 種 、柱頭 除 去 菌液滴 下接種 試 験 には メ ロ ン果実 内腐 敗 病
菌 (S■「PP1791),イ ネ 内頴褐変病 菌 (SLIPP2219),非 病 原性
(S■ IPP2203),シ
P…
ミ
クラメ ン葉腐 細菌 病 菌 (SUPP1993:P aggJawθ 嗜
訥 チ ャ分離 菌
を用 い た 。
なお 、 本 章 で行 つ た メ ロン接種 試 験 はす べ て `雅 春秋 系 'を 用 い た。
メロンネ ッ ト形成時 の噴霧接種
メ ロンの雌花 に人 工受粉 させて 、20日 経過す ると、メ ロン幼果 に縦横 の割れ
目が生ず る(図
6‐ 1)。
この割れ 目が形成 されたことを確認 の上 、約 103 cfu/dの
メロン果 実内腐敗病 菌(SWT1791)の 菌液を噴霧接種 し、一 晩 ビニール袋 で覆 っ
た。 翌 日、袋を取 り、通常の管理 栽培を行 った。菌の感染、病徴形成 は、接種
30∼ 40日 後の果実が成熟 した ときに調査を行 った。
メロン結果枝への接種試験
交配 7∼ 10日 後 の果実 の結果枝 (果 実か ら 3∼ 5cm程 度離れ た部分)へ 針接種 を
行 つた(図
6‐
2鋤 。メ ロン果実 内腐敗病菌 (SLIPP1791)を 使用 し、
PBSで 約 107cwml
に調整 した菌液 10μ lを 結果枝 の上 に置き、その上 か ら針接種 を行 つた。菌 の感
染、病徴形成は、接種 50∼ 60日 後 の果実が成熟 した ときに調 査を行 った。
メロン雌花 の柱頭 へ の菌液滴下接種
予備試 験 において 、交配直後に噴霧接種 もしくは柱頭へ滴 下接種を行 った と
き、花粉 が濡れた こ とにより、花粉稔性を失 い、果実が着 生 しなか った。 この
118
ため、 メ ロン雌花を午前 6∼ 7時 の間に人工交配 し、その 12時 間後 に滅 菌 PBS
で約 107cwmlに 調整 した各供試菌株 の菌液 10μ lを 雌花の柱頭 に滴下 させた(図
6‐
3村 。そ の後、一般管理 を行い なが ら経過観察 した。菌の感染、果実内部の病
徴形成 は、交配後(50∼ 60日 )経 過 し成熟 した果実 を収穫 し調 査 を行 つた。果実
か らの菌再分離 は第 2章 に記載 した方法に従 つた。
メロン柱頭除去接種
メロン雌花 を人工交配 し結実が確認 された 3日 後の幼果 か ら萎れた花弁 と柱
頭 を取 り去 り、その傷 口に約 1.O X 107cⅣ mlに 調整 した YP Broth振 とう培養菌
液
10μ
lを 滴下させた(図
6‐
4Ap。
そ の後、一般管理 を行いなが ら経過観察 した。
菌 の感染、果実内部の病徴発現の調査 は、交配後(50∼ 60日 )経 過 し成熟 した果
実を収穫 し、果実 を縦割 りに切 り、その内部を観察調査 した。果実か らの菌再
分離 は第 2章 に記載 した方法に従 った。 また、本接種試験 は 2008年 9∼ 11月 、
2009年 5∼ 7月 の 2回 行 われた。
メロン果実内腐敗病発病果実に形成 された種子調 査
高知県 の メ ロン栽培 の現場で、 メ ロン果実 内腐 敗病 を発症 した果実 か ら種子
を取 り出 し、水洗 し、 自然乾燥 した させた種子 を種子伝染調査、種子消毒に関
する研究に用 いた。
採種 した種子 の状態 を調 査す るた め、発芽試 験 を行 った 。発芽試験 は直径
90mmの 滅菌 したガラス シャー レに 2枚 のろ紙 を入れ十分に湿 らせ、その上 に種
が触れない よ うに 2cm程 度離 して種子を 10粒 置床 した。 1区 50粒 の種子を用
いて、一度 の試験に 3区 反復 を取 り調査 を行 った。
発病果実 か ら採種 した種子の汚染率を調査す るため、
種子 か らP離鮒αJlisの 分
離 を試 みた。種子か らの P酬翻α麻 分離 は、種子 1粒 とNSVC― In broth(lml)を 滅
119
菌済み の乳鉢に入れ磨 り潰 し、この摩砕液 100 μlを NSVC― In agarプ レー トに塗
沫 し、28℃ ,3日 間培養す ることに より行 われた。分離 された菌は YPAプ レー
トに移植 し、黄色細菌 であることを確認 した上で、プ
観
=画,れガンタ遺伝子 の
GToup Ⅱに属す るP硼 卿 麻 であることを確認 した。
有無 をPCRに よつて調 査 し、
また 、種子消毒効果 の調査試験 の ため行 った種子消毒方法 は、70%エ タノー
ル消毒処理 、薬剤消毒処理、乾熱消毒処理、薬斉J・ 乾熱消毒処理 の 5つ の処理
を行 った。70%エ タノール消毒処理 は、メロン種子 に 70%エ タノール を噴霧 し、
滅菌 したキ ッチ ンペ ー パ ーで軽 く拭 き、 自然乾燥 させた。薬剤消毒処理は食酢
[(穀 物酢 (ミ
ツカン)]を 74倍 に希釈 した液 1000m lに 種子消毒用 ボル ドーA(北
興化学 )2.Ogを 溶解 させた液に、メ ロン種子を 30分 間攪拌 しなが ら浸漬 させた。
その後、消毒が終了 した種子はふ き取るこ とな くステ ンレス製 の体に広げ、 自
然乾燥 させ 、実験 に用 い た。乾熱 消毒処理は、 メ ロン種子 を予備乾燥 (40℃ 、
24時 間)さ せ、その後、乾熱消毒 (70℃ ,72時 間、または、75℃ ,96時 間)さ せ た。
薬剤 ・ 乾熱消毒処理は、薬斉1消 毒後 に乾熱消毒処理 を行 つた。 一度 の消毒 に付
き、各処理区で約 300粒 の P翻 靱 ″J汚 染 メ ロン種子 と健全種子が使用 された。
メロン果実腐敗病菌汚染種子 の栽培
上記 の 無消毒種子 を 100粒 播種 し、健全種子 か ら育てた苗 と比較 して、完全
に生育 が遅れている苗 を選抜 し、68型 のプ ランター にて果実 が収穫 されるまで
の約 3ヶ 月間栽培を行 った。この実験 は 2006年 4∼ 7月 (汚 染種子から得 られた
苗 6株 を栽培)、 2009年 9∼ 11月 (汚 染種子 か ら得 られた苗 10株 を栽培)の 2回
行 った。 そ の過程 で の生 育状況 を健全種子 か ら育成 してい るもの と比較を行 つ
た。また 、交配期の雄花、雌花 をそれぞれ 2花 ず つ採集 し、P硼 硼αJlisの 有無 を
調査 した。 さらに、収穫 に至 った果実の内部 を観察 した。
120
6.3
'
結果
メロン雄花 からの Pα α α由 検出
““
高知県 の メロン果実 内腐敗病発 生 履歴 の ある ビニールハ ウス にて栽培 された
メロンの雄花 を採集 し、その雄花 における P硼 硼α廊 生′
思の有無 を調査 した。ま
ず、2005∼ 2008年 にかけて、14箇 所 のそれぞれ異なるメロンハ ウスにて、メ ロ
ン雄花 を 198個 体採集 した。これ らの雄花 について P鰍蜘
Jlisの 有無を調査 した
ところ、56/198(28.2%)の 雄花か らP翻 馴耐lisが 分離 された(表 6-1)。 この際、
ttα riisが 検 出 されたのではな く、
どのハ ウスか らも F α
P硼 捌 由 が生息す るハ
ウス と生 息 しない ハ ウス とで明確 に分 かれていた。検出され た
49/56株 (87.5%)が
,磁、放嘱
P¨
加 の
θ
″遺伝子を保有す る Group Ⅱの系統 であった。そ
の うち、雄花か らの分離率 が高いハ ウスでは 20/24個 体 (83.3%)に も達 し、20
菌株全てが Group Ⅱの系統であった。 さらに、表 6‐ 1と は別に、2009年 10月 高
知県 8KoA圃 場 にてメ ロン雌花 を 10個 体採取 し、P¨
油 分離 を試みた とこ
ろ、8/10個 体 より Group Ⅱに属す る菌株 が分離 された。また、メ ロン雄花 におけ
ttα陽麻 の局在性 を調査 した ところ、約 と花弁にその存在 が認 められた(図
るP α
6‐ 5)。
これ らメロン雄花 か ら分離 された P αttη αガJの うち、Group Ⅱに属 してい
た KoF-2,4,8の 3菌 株 を代表菌株 としてメロン果実への病原性 を刺針接種に よ
り調査 した ところ、 これ らの菌株 がメ ロンに対 し病原性 を持 つ メ ロン果実内腐
敗病菌 で あるこ とが確認 された(図 6-6)。
さらに、宮崎県、熊本県、長崎県、愛知県、静岡県、千葉 県、長野県、茨城
県、山形 県、北海道 の H道 県のメ ロン産地に関 して、メロン雄花 での P ttmtis
生息の有無を調査 した。 その結果、宮崎県、熊本県、愛知県 、北海道 の一部 の
メロンハ ウスか ら P¨
腑 が分離 され、特 に、熊本県、北海道 で分離 された
P雌印αJJisは ,瀬、故測ル ″遺伝子 を有す る Group
1)。
Ⅱの系統を含 んでいた(表
高知 県、熊本県、北海道にて分離 された P硼 副所lis
Group
6-
Ⅱの菌株 と、宮崎
121
″遺伝子 を保有 しない菌株 の うち、それぞれ 3菌
県にて分離 された ia劇,J硼颯 θ
株ず つを使用 し、メロン に対す る病原性 を調査 した。 そ の結果、高知県、熊本
αガ
J GToup Ⅱ菌株 を接
″遺伝子 を保 有 した Pα 肥″
県、北海道 由来 の [面,れ 薦 θ
種 した果実 は悪臭を伴 う果実腐敗 を引 き起 こし(図 6-6)、 その果実 の糖度 は健全
果実 に比べ低 か つた(表 6-2)。 したが つて、高知県、熊本県、北海道 の Group
Ⅱ系統はす べ てメロン に対 し病原性 を有す るこ とが明 らか とな った。 これに対
して、宮崎県 の分離菌株 を接種 した菌株 は、滅菌水 を接種 した果実 と同様 に悪
臭 を感 じるこ となく、果実 内の糖度も Brix14,0∼ 15,6%と 高い値 を示 し、ネガテ
ィブ コン トロール と変 わ らない健全な果実 であった。
したが つ て 、 メロ ン果実 内腐敗病 の 発 生が確認 され てい る高知県では、P
麻 Group Ⅱの菌株 が生息す るハ ウスが多く、検出率 に違いはあるが、メ ロ
…
ン雄花・雌花 に定着・ 生 息 していることが判明 し、雄花 では新や花弁 に生 `息 し
てい ることが確認 された。また、高知県以外のメロン産地において も、熊本県、
北海道 メロン産地の一 部 のハ ウスにて栽培 されるメ ロン雄花 にメ ロン果実 内腐
敗病菌が存在す るこ とが明 らか となった。
ヒラズハナアザ ミウマ か らの Pα ‖α α由 分離
“
ロ
ンの
メ
花 に寄生す る害 虫 として、 ヒラズハナアザ ミウマPan肪 ″たJJJ力
)
“
rJル ″
劇η が存在す る。 また、 メ ロン
や ミカンキイ ロアザ ミウマF■機 勝ガgJJJ θθ
の花に接角
虫す る昆虫と して、一般栽培 の交配用 に用 い られてい るセ イ ヨウオオ
マルハナバ チ むθ
閣ら
需 たrFaS″ 静 があげ られ る(図 6-7)。 そ こで、高知県のメロン
果実内腐敗 病発生暦 の ある数箇所 のハ ウス にて、交配 に利用 されて いた西洋 ミ
ツバチ 50頭 、ミカンキイ ロアザ ミウマ 37頭 、ヒラズハ ナアザ ミウマ 68頭 を採
集 し P鮒 鮒α腑 の分離 を試 み た とこ ろ 、 ヒラズハ ナ アザ ミウマ か らのみ
¨
P
α′
J∫ が分離 され、
鮨 が分離 された。その分離率は全 68頭 中44頭 か らFα αη
“
122
そ の うち 36/44菌 株(81.8%)が Group Ⅱに属 していた(表 6-3)。 さらに、熊本県、
静岡県、愛媛 県、北海道 の メ ロン産地にて、 ヒラズハ ナアザ ミウマ を採集 し P
α
印
腑 存在 の有無 を調査 した。その結果、熊本県、静岡県、北海道 で採種 した
ヒラズハナアザ ミウマか らは P硼硼α麻 は分離 されず 、
愛媛県の ヒラズハナアザ
ミウマ 53/92頭 (57.6%)か らPαm由
が分離 された(表
6‐ 3)。
しか し、それ らは
す べ て ,直、加』レ″遺伝子 を保有 しない菌株 であった。次に、高知県、愛媛県
の ヒラズハ ナアザ ミウマか ら分離 された
9菌 株(ETr‐ 1,43,74,KoTr-5,11,12,
KoTr08-6,8,15)の メロンに対す る病原性 を調査 した ところ、J個嗣:ゴ硼颯 ι
″遺伝
子 を保有 しない愛媛分離 3菌 株 (ETr-1,43,74)は 病原性 を示 さず 、対照的 に、
,直、れЛル″遺伝子を保有す る高知 6菌 株cKoTr‐ 5,H,12,KoTr08‐ 6,8,15)は 病原
性 を示 した(表
6‐
4,図
6-8)。
さらに、P醐醐 歯 が ヒラズハナアザ ミウマの表面 もしくは内部 の どちらに生
息 しているのかを調査 した。 この調査 のために前年(2008年 )メ ロン雄花か ら P
α
腑 が分離 された とともに、本病 の発 生が確認 された 8 KoA圃 場 にて、ヒラ
“
ズハナアザ ミウマ を採 集 し菌 の分離 を行 つた。 ヒラズハナアザ ミウマ の表面 か
硼
ら 39/72頭 (54.1%)か ら P ana隠腑 が分離 され、その うち 21/39菌 株(53.8%)が
Group Ⅱ系統 に属 し、そ の他 18/39菌 株
6.2%)が GroupⅢ 系統で あ った。 この結
“ ロン果実内腐敗病菌ぽ
果 は 21/72頭 の ヒラズハナアザ ミウマ がメ
matt Gfoup
Ⅱ系統)を 保有 していたことを示唆 した。 また、 ヒラズハナアザ ミウマの内部 か
らは 7/72(9.7%)の
つた(表
6-5)。
P鋼硼α廊 が分離 され 、その全てが Group
Ⅱに属す る菌株 で あ
つ ま り、メ ロン果実内腐敗病菌 は ヒラズハナアザ ミウマ の体表面・
内部 にも定着 していることが明 らか とな った。
花器感染経路
P硼仰JJに よるメ ロン果実内腐敗病 の原病徴 を再現す るにあた り、様々な接
123
種試験を行 つた。 メロン幼果 のネ ッ ト形成時にできた傷 日か らの感染 を想定 し
た菌液噴霧接種
(図
6-1):導 管 を通 じて果実 内部へ Pαm麻
を仮定 した結果枝への針接種 を行 つた(図 6-2)。
の再現には至 らず、接種果実 の内部か らP¨
が侵入するこ と
しか し、両試験 ともに原病徴
府 は検 出されなかった。
次に、花器感染を想定 してメ ロン雌花 の柱頭への菌液付着接種を行 った。 1。 0
x106,1.O x 107cwmlの 菌液 (10μ
l)を 接種
した雌花 は結実 したが、接種 7∼
10
日後 に膨 らんできた子房 が急激 に黄化 し、 14日 後には腐敗 した(図 6-3B,C)。
この症状は 1.O X 107cⅣ ml菌 液を接種 した 3つ の子房すべてにおいて観察 され
た。1.0× lo6dh/ml菌 液を接種 した子房 は 3果 中 2果 が腐敗 した。腐敗 した果実
の胎座 か ら、=瀬.i岨,g″ 遺伝子を保有 した P硼硼副iisが 再分離 された。腐敗
しなかった果実はその後健 全 な果実 に生 育 し、収穫す る ことができた。そ して、
収穫 された果実内部に腐敗症状は見 られず、P酬観α腑 も再分離 されなかった。
1.0× 105cⅣ mlの 菌液を接種
く収穫に至 り(図
ず(図
6"3F)、
6‥ 3D,E)、
した雌花 は子房 の腐敗や 生 育不良 を起 こす ことな
接種 した 3果 実全てにおいて果実 に腐敗症状は見 られ
その内部か らメ ロン果実内腐敗病菌を検 出す るこ とはできなかった。
また、イネ内頴褐色病菌(Grollp I)や 非病原性菌 (GrOupⅢ )の 1.O X 107cm/ml
の 高濃度 の菌液 を接種 して も腐敗す るこ とはな く健全 な果実 を収穫す ることが
で きた。 そ して、接種 した菌株 が果実内部 か ら再分離 されることはなかった。
この接種試験は 2006年 5∼ 7月 、2007年 9∼ 11月 の 2回 行 つたが同様 の結果で
あ つた。 したが って、メ ロン果実内腐敗病菌ぽ ¨
納 Group Ⅱ)が 柱頭 に 104ch
以 上存在 した場合、本病原細 菌が柱頭か ら子房内部 へ侵入す る ことができ、そ
の結果、子房 は生 育肥大 できずに腐敗す る こ とが明 らか となった。そ して、 こ
の症 状 は自然発病 した果実 の原病徴 とは大 きく異な っていた こ とか ら、 メロン
果実内腐敗病菌 の本来 の感染経路ではない と考えられた。
124
メ ロン柱頭除去接種試験
子房 の縦 の長 さが 4∼ 5cm(交 配 3日 後)に 達 した こ とを確認 した上で、
交配後、
柱頭及 び萎れた花弁を取 り去 り、その柱頭 の傷 口にメロン果実内腐敗病菌(Ghup
Ⅱ :S■IPP1791)、
イ ネ 内 穎 褐 変 病 菌 (Group I:SUPP2219)、
硼 m歯 (GroupⅢ :SuPP2203)を 滴下接種 した(図
非病 原性
P
6-鋤 。そ の後、接種 した子房
は黄化す ることな く、順調に肥大 し続 け、接種 55∼ 60日 後 には成熟 した果実 と
な つ た。接種 した果実 を収穫 して、縦 に切断 し、その内部 を観察 した ところ、
譴PP1791を 接種 した果実 10果 中 1果 において、原病徴 の よ うな激 しい腐敗 で
はないが、悪臭を伴 う明確な腐敗症状を確認できた(図
6…
4B,E)。 また、SUPP2203
を接種 した果実 2果 中 1果 に接種 した部位 に近 い胎座 の部分 で極僅 かな悪 臭 と、
胎座 と果肉の境 の部分 にわずかな水浸症状を観察 したが 、 メロン果実内腐敗病
によ り生 じた病徴 とは大 きく異な っていた。(図 6-4D)。 接種 した果実 に関 して、
一果実 につ き図 3‐ 1に 示 した
3箇 所か ら菌 の再分離を行 つたところ、 メ ロン果
実内腐敗病菌を接種 した果実 10果 実中 2果 、イネ内穎褐変病菌を接種 した果実
4果 中 1果 、非病原性 P翻
麻 を接種 した果実 2果 中 1果 か らP硼硼α漁 が再
“
硼嵐 θ
ル遺伝子 の有無
分離 された。これ ら再分離菌 の特性 をタバ コ反応 と面 、ゴ
について検定 した ところ、各 々接種 した菌株 と再分離株 が 同 じ反応 を示 した。
また、同様 の試験 を繰 り返 し検証 した(表 6-6)。 その結果、SWP1791を 接種
した 13果 実中 7果 か ら し
面 ゝ加 嘱
`″
遺伝子 を保有 した Group Ⅱに属す る P
αttαttα 鮨 が再分離 された。 この度 の試験の SuPP1791感 染 率 は 53%と 前回(20%)
よ りも高 く、接種時 の時期 が異な つていた こ とが影響 した 可能性 も考え られた。
SUPP2219を 接種 した 3果 中 1果 か らP翻 硼αJlisが 再分離 され、再分離菌をタバ
コに注入接種 した ところ壊死反応 を示 したことか らGroup Iに 属す るP鋼 硼所lis
で あった。P電 酢卿θ
Fα η
Jを 接種 した果実か らは菌は再分離 されなか った。
以 上の結果 より、メ ロン果実内腐敗病菌である P anα■αtt Group Ⅱ系統は柱頭
125
を除去 した傷 口か ら容易 に感染 し、その果実(子 房)内 部 で胎座・果肉へ拡散 し病
徴発現 させ ることが明 らかになった。 しか し、感染 した果実が全て発病 に至る
わけではない こ と、その感染率 は感染時期 の環境(温 度、湿度)に 影響 を受ける可
能性 があることが判明 した。また、メロン果実内腐敗病菌以外 の P ttαttα Jlis
GrOup
I,Ⅲ の菌株 で も、 この感染経路によつて、 メ ロン果実内部 に侵入す る ことがで
きることも判明 した。
種子伝染
高知県にてメ ロン果実 内腐 敗病 を発症 した罹病果実 を入手 し、そ の果実か ら
種子を取 り出 し、その保菌率を 2006年 9月 ,2008年 11月 に調査 した。健全果
実 か ら採種 した種子は、淡 い茶 白色 で、厚 く、発芽率 100%と 発芽 も良い(図
6-9ム C)。
しか し、罹病果実 か ら採種 した種子 は、灰褐 色で、やや 薄 く、発芽 が
健 全種子の発芽 に比べ 2日 程度遅れ たが、発芽率は 99.3%と 悪 くはなかった(図
6-9B,D)。
また、各 々の罹病果実種子を摩砕 し、NSVC‥ In agarプ レー トに塗沫培養 しP
¨
油 を検出 した(表 6-7)。 それ らの種子汚染率は 20.8∼ 98.0%と 罹病果実間
で大き く異な り、再分離 された P ttα虐 は全て GrOup Ⅱに属す る系統 であるこ
とが確認 された。
次 に、P
ttα麻 汚染種子 が原因 とな り果実 に本病害 を呈するのか調査を行 う
ため、P硼開 歯 汚染種子 を播種 し果実 が収穫できるまで栽培 した(図 6-10)。
本試験は 2回 に行 い、合計 16株 の メ ロンを栽培 した。汚染種子 か ら育てた苗は
健全種子か ら育 てた苗 に比 べ生育が遅 か つたが(図 6-10対 、全ての苗 から果実
を収穫す るこ とができた。収穫 された 16果 実はす べ て健全で あ り(図 6-10B)、
そ の内部 か らP硼 硼所iisを 検出す るこ とはできなか った。 また、 これ ら 16株 の
苗 に関 して、交配期に採集 した雄花、雌花 か らもP硼 硼α腑 を検出す ることはで
126
きなか った。 したがって、汚染果実 か ら採種 した種子は種子 自身が
P…
腑
に汚染 されていた として も、枯 死 といった大 きなダメー ジを与えるこ とはない
が、 生 育が遅れ収穫期 も遅れて しま うこ とが確認 された。 また、メロン種子に
P mmα 麻 が付着 していたとして も、発芽 したメ ロン苗に P酬蜘 ガsは 定着 でき
ず果実 に病害 を引き起 こすに至 らなか った。
この汚染種子 につい て、P醜観αrlisの 局在性 と、その消毒方法 とその効果 を調
P仰硼耐liJ検 出率 に対 して、70%エ タ
ノール により種子表面殺菌処理区では 14∼ 24%の 種子か ら P酬硼α歯 が検 出さ
査 した。その結果、無処理区が約 54%の
れた(図 6-H)。 また、乾熱消毒(70℃ ,72時 間)処 理 区では、表 6-7に 示 したよ
うに、その消毒効果は不十分で あつた。 しか し、乾熱消毒(75℃ ,96時 間)処 理 区
では、P
ttm鷹
が検出 されず 、そ の消毒効果 が認 められた(図 6-H)。 さらに、
薬剤消毒、薬斉J消 毒・乾熱消毒(75℃ ,96時 間)処 理区ともに、P鰍卿 麻 は検出
されず 、十分 な消毒効果 が認 め られた。
6.4
考察
メ ロン果実内腐敗病 の病徴は胎座 を中心 とした腐敗病 で あ り、果実 が肥大す
る前(交 配直後 か ら 10日 以内の時期)の 段階で、胎座ヘ メ ロ ン果実内腐敗病菌が
侵入 ・感染 しなければ病斑形成が成 立 しない病害 である こ とが本研究 にて判明
した。 しか し、本菌の果実への感染経路を明 らかにするため、予備試験を含 め、
果実 のネ ッ ト形成時 の傷 口や結 果枝 への接種試験 を行 つたが 、果実 内部へ の感
染 が成 立 しなかった(図 6-1,2)。 このこ とか ら、 メロン果 実内腐敗病菌は果実
表面 の傷 口や導管 を通 じ果実 内部 へ感染す るの ではなく、別 の感染経路 が存在
す ると推測 された。P鰍醐a廊 が果実・種子 に直接病徴 を発 現 させる事例 として
パイナ ップル果実腐敗病(Seran0 1928)、 イネ内頴褐変病(Azegami et J.1983)が 報
告 されお り、いずれ も花器を感染経路 としてい ることが知 られてい る。 これ ら
127
の報告 か ら、 メ ロン果実内腐敗病菌に関 して も、花器を通 じた果実 内部へ の感
染経路 が存在す る可能性 が推測 された。 そ こで、 メロン花器、それ に関 わる昆
虫についてメ ロン果実内腐敗病菌 の存在 を確認す るとともに、その感 染経路に
関 して様 々な接種試 験 により調査 を行 つた。
メ ロン果実 内腐敗病発 生歴 の ある高知県 の ビニールハ ウスで栽培 されたメロ
ンの雄花 か ら P醐 閣歯 が高頻度 で分離 された(表 6-1)。 花 から分離 された P
硼踊耐lisの うち 49/56菌 株 (87_5%)が
Ⅱに属す るP…
tisで
,直,Jd g″ 遺伝子を保有す る GIoup
あ り、これ らうちの代表 3菌 株(KoF‐ 2,4,8)は メ ロン果実
に病原性 を示す メ ロン果実 内腐敗病菌である こ とが確認 された(表
6‐
2,図
6-6)。
さらに、3/10個 体 の雌花 か らも Group Ⅱに属す るP ttαttriisが 分離 され た。そ し
て、雄花 を花弁、商、専の 3つ に分けて、各 々か らP酬醐 歯 の局在性 を調査 し
た ところ、
花弁 と蔚 に Group Ⅱに属するP硼 嘲面lisが 存在す ることが判明 した(図
6‐ 5)。
したがつて、開花期(交 配期)の メロン雄花・雌花 にメ ロン果実内腐敗病菌は
定着 ・生息 してい るこ とが明 らか となつた。 メ ロン雄花 の約や花弁 か らメ ロン
果実 内腐敗病菌 が検出 された こ とか ら、 メ ロン雌花において も同様 に、約・花
弁 で増殖 してい る可能性 が示唆 された(メ ロンは他の ウリ科 と異な り、雌花 にも
約が形成 され る
)。
イネ の開花期 において、P¨
由 が約で急激 に増殖す る こ とがイネ 内穎褐変
病 の発 生に大きく関与 してい るこ とが報告 された 但asegawa
スイカの雌花へ
ct al.2003)。
また、
P硼 "α由 を接種す ると果実 内部へ侵入す ることが報告 された
(Walcott d d,2003)。
そ こで、花器感染を想 定 して雌花 の柱頭への病原細菌の菌
液付着接種を行 つたが,菌 濃度(約
107clⅣ ml)が
高い と子房 内へ感染す るが,感 染
して も果実が肥大す る前に腐敗 し,原 病徴 の再現に至 らなか った(図
6-3)。
反対
に、接種菌液 の濃度 を 100分 の 1(約 105ch/ml)に して接種す ると、感染す ら確認
で きなかった。また、メ ロン雌花 へ噴霧接種 を行 つたが同様 の結果であ つた (dtta
128
not shown)。
これ らの ことか ら、メロン雌花の柱頭 に 104ci以 上の菌が存在す れ
ば、子房内部へ本菌 が侵入す ることが証明 され たが、子房 へ の感染 が成立 した
場合、子房 が肥大せず に腐敗す る点で原病徴 と異 な り、本病 の本来の感染経路
とは異なると考 えられた。
次に、花器 を通 じた本病 の感染経路 として、花取 り作業 でできた傷 口感染 が
推測 された。一般 に、 メ ロンを栽培す る現場 では交配後 に着果
(受 粉 して 3∼ 5
日後 に子房 が膨 らみ始 めた もの)が 確認 された後で、す ぐに花弁、柱頭 を子房
か ら取 り去 る作業 を行 う。萎れ た花 は果実尻腐 れ の原因 となる菌核病菌な ど糸
状菌 が増殖す る場 とな る ことがあ り、 この作業 はその防除対策 として行われて
い る。 この作業 によ りできた傷 日か らメ ロン果 実内腐敗病菌 が感染 の可能性 を
考 え、柱頭除去接種試験 を行 つた。その結果、交配後の メ ロン雌花 の花弁 ,柱
頭 を取 り去 り,柱 頭 の傷 口に菌液 を付着 させ る とこれまでの接種試験に比 べ 高
率(20∼ 53%)に 果実内部 へ侵入す る こ とが判明 した(表
6‐
5,図
6口 4)。
そ して 、感
染 が成 立 した果実 は黄化す る こ とな く、成長 ・ 肥大 を続 け遊郭するこ とができ
た。 さらに、 メロン果実 内腐敗病菌 を接種 した 1果 実にお い て、菌の侵入 とと
もに胎座 と果肉の一 部分 に悪臭を伴 う腐敗症状 を呈 した果実 が観察 された。 こ
れ らの結果 は自然発生 した本病 の特徴 と一致 していた。 したが つて、接種 試験
によ り病徴 を再現 で きた ことか ら、柱頭除去 した傷 日か ら果実 内部へ侵入す る
特異的な感染経路 が成 立するこ とを証明できた。 そ して、果実内部へ の感染 が
成 立 していて も必ず しも発病 しない(潜 在感染)と い うことも判明 した。また、メ
ロン果実 内腐敗病菌 のみならず 、本病原菌以外 の グループ に属す る P硼 捌 腑
で もこの経路 を通 じて果実内部へ感染す るこ とが明 らか とな った。
メ ロン果実内腐敗病 の発生歴 の ある圃場(400坪 )に おいて、2008年 7月 に収穫
調査を行 ったところ、2400株 中 28果 実(1.2%)に メ ロン果実内腐敗病発症果実 を
確認 した。 また、産地全体の本病害発 生率 も約 0.2%と 非常 に低 い値 である。 メ
129
ロン雄花・雌花での生 息率や 上述 した接種試験 に よ り得 られた果実 内への侵入
率 か ら推測す ると、メ ロン果実内腐敗病菌 が侵入 している割 には発病 に至 らず 、
現実の発病果実 の数 が少 ない と考えられた。接種試 験の結果 よ り、発病 に至 ら
ないが果実 内部 にメ ロン果実内腐敗病菌 が潜在感染 していることが確認 され た
こ とか ら、 メ ロン生産現場 において も本病原細菌 が潜在感染 してい る果実 が存
在す ると考 えられた。
リンゴ、ナ シの人傷病菌であるDwi4加 αJ7Jθ varaで は、花器感染す る際、柱
頭や書の表面上の水分状態(湿 度)が 二 町 1070raの 増殖 に影響 を与え、結果的 に
果実への感染発病 ともつ ながってい るこ とが報告 されてい る●usey・
2000)。
本
病害の発 生において も、交配期の雌花 の開花や開約 を促すために ビニール ハ ウ
ス を締め切 り、ハ ウス内 の温度を 25度 以 上に維持 しよ うとす る所謂「蒸 しこみ」
とい う作業 を行 うこ とが ある。 これは結果的 に、雌花表面の湿度を上 げた り、
蔚や花弁での メ ロン果実 内腐敗病菌 の増殖 を誘導す ることになると推測 され 、
リンゴ火傷病 の花器感染 における感染経路 とは異な るが、Puseyが 報告 したよ う
に花 の表面 上の湿度 が本病 の果実胎座 へ の感染 に影響 を与えてい ると考 え られ
た。そ して、実際に この よ うな加湿条件 で栽培管理 を したハ ウスにて本病 の発
生が多い と産地では認識 されてい る。 したがつて 、 メ ロン果実 内腐敗病菌 の感
染経路は、本病原細菌 が花器 の周辺 で生存 し、花器 表面の湿度条件 な どに影響
を受けなが ら、花取 り作業 でできた柱頭 の傷 日か ら侵入す る可能性 が高い こ と
が示唆 された。 これは一 般的な花器感染 とは異な る特異的な感染経路 と考 え ら
れた。
イネ内頴褐変病菌 は下位葉鞘、下位葉身、葉先等 の枯死組織 で増殖・定着 し、
稲穂へ風雨 による保菌組織 との接触伝搬す るこ とが報告 された但 asegawa et al.
200■ 2003)。
メ ロン果実 内腐敗病菌 に関 しては、本病 を発症 した植物体 の地 際
や根か らP ttα Jlisは 分離 されたことが報告 された(Adachi
tt al.2008)。
しか し、
130
メ ロンは ビニール ハ ウス内で 固定 して栽培 されるため、 イネの よ うに風雨 によ
る接触伝搬 の可能性 は低い。栽培管理作業 による接触伝播 の可能性 も考えられ
たが 、管理 作業 によりできた傷や結果枝 へ の接種 を行 つたが原病徴 の再現 には
至 らず(図
6‥
1,2)、
接種 した植物体に実 つた果実からP硼硼α麻 が分離 されるこ
ともなかった。そ して、 メ ロン交配は西洋 ミツバチを使用す るため、人為的な
接触 はほとん どない といえる。 したがつて 、 これ らの こ とか ら接触伝搬 の可能
性 は低い と考 えられた。
長谷川 らはイネ内頴褐変病菌 がツマ グ ロヨコバイに より伝搬 される こ とを報
告 した但 asegawa
ct al.2000;2003)。
さらに、 タバコアザ ミウマ、ツマ ダ ロヨコバ
イ、そ して、クフノメイガは P ttα ttriiJを 保菌 もしくは伝搬する昆虫と して報告
されてい る(Ghaitis
et al.2003;長
││.2007;Takahashi
谷メ
et al.1995)。
ガJ
また,P酬翻α
Jを 伝搬す る昆虫として ミツバチが報告 され
と同 じ細菌群である PJ唖ヵ aFα ″
“
ている(ThomSOn et al.1992)。 そ こで,メ ロンの花 に寄生す る害虫である ヒラズハ
ナ アザ ミウマや ミカ ンキイ ロアザ ミウマ ,そ して,交 配 に利用 され る ミツバチ
における保菌について検証 した(図
6‐ 6)。
そ の結果,メ ロン栽培ハ ウス にて捕獲
された ヒラズハナアザ ミウマ のみ′酬翻α麻 を保有す る ことが判明 した(表 6‐ 3)。
さらに,高 知県で捕獲 された ヒラズハナアザ ミウマは,j副,J硼 颯
g″
遺伝子を
保有す る菌株 を高率[28/35株 (800/0)]に 保菌 していた。そ して,分 離 された菌株を
メ ロン果実 に接種 したところ、,面、撤』ン タ遺伝子を保有する菌株 のみが病原
性 を示 した(図
6‐ 7)。
さらに、 ヒラズハナアザ ミウマ における P…
歯 の局在
性 とその保菌率 と雌花における本菌 の生 息率を調査す る ことを 目的 として、本
病害発生歴 のある同 じビニールハ ウス にて、 ヒラズハ ナアザ ミウマ の採集 と同
時にメロン雌花 10個 体を収集 した。 この ヒラズハナアザ ミウマの体 の表面から
21/72頭 (29。 1%),そ の 内生菌 として 7/72(9.70/0)の 割合 で GToup Ⅱに属す る
硼囲 麻 が分離 された。同 じハ ウスに生 育 していたメ ロン雌花 か らは
P
8/10(800/0)
131
か ら Group Ⅱに属す るP α
nαttα納 が分離 された。これ らの結果はメ ロン果実 内腐
敗病菌 が ヒラズハ ナアザ ミウマ の表面に付着 できるだけでな く、内生菌 として
も生 存す るこ とがで きるこ と、 ヒラズハ ナアザ ミウマが メ ロン果実内腐敗病菌
をメ ロン雄花や雌花 へ伝搬 で きる ことを示 した。高知県 にて、 メロン果実内腐
敗病菌が検出 され るハ ウス と検 出 されないハ ウスが明確 に分 かれたのは、 ヒラ
ズハ ナアザ ミウマ の保菌に影 響 を受けてい る可能性 も考 え られた。 ヒラズハナ
アザ ミウマ は地 面 か ら 8.5mの 高 さまで飛 翔 す るこ とが報告 されてい る(村 井
1988)。
これは、僅 かな風で も吹 けば、その飛 翔距離 は広 がることを推測 させ、
メ ロンハ ウス内での伝搬距離 は広範囲に広がることが予測 された。 したが って、
これ らの事実 か らメ ロン果実内腐敗病 の伝搬 に ヒラズハ ナアザ ミウマ が大 きく
関 わ ってい るこ とは間違い ない と考えられた。 つ ま り、 ヒラズハナアザ ミウマ
が メ ロン果実内腐敗病菌を保菌 ・伝搬す る こ とが、本病害発 生にお ける重要な
要 素 の一つ で あ る こ とが示 唆 され た。 ヒ ラ ズハ ナ ア ザ ミ ウマ FFan励
JJJ
"θ
加[錦m)は タマネ ギ `center rOt'の 病原菌である P離酬α漁 を伝搬す ると報告 さ
れ た タ バ コ ア ザ ミ ウ マ Pα醜肪 が′JJJルSCa)と 同 属 の ア ザ ミ ウ マ で あ る (Gita■ is et
al.2003)。
こ れ ら の こ とか ら も 、 FT熱 ″J′ JJa属 の ア ザ ミ ウ マ は
P…
歯 を獲
得 しやす い性質 を持 って い る可能性 が推 測 された。 タ バ コア ザ ミ ウマ は
ma漁
(103∼
105c」
P
Ⅳmlた hrips)を 保菌 し、 タマ ネ ギヘ伝搬す ることが報告 されて
い る(Gita■ is d al.2003:Wells d al.2002)。
メ ロ ン果実内腐 敗病菌 とヒラズハナア
ザ ミウマ との関係 において も、P翻翻α庸 獲得能力、保菌量、そ して、伝搬能力
(永 続伝搬や経卵伝搬など)に つ いて、今後詳細 な研究が必 要 であると考 え られた。
イネ内頴褐変病 の第一伝染源 の一つ として種子伝染 が推測 されてい る(長 谷川
2007)。
また,タ マネ ギに
`center rot'病
を引き起 こす P酬翻α腑 は,種 子伝染す
る こ とが報告 されてい る(WalcO枕 飢al,2002)。 メ ロン果実 内腐敗病は果実 の胎座、
果 肉が腐敗す る病 害 であるため、胎座 に形成 され る種子 が本病原細菌に汚染 さ
132
れ、種子伝染す る可能性 は否定できない。 また,安 達 らは高濃度 の
P鵬醐
鳶
菌液 に浸 した種子 を播種 して生育 させ る と,非 常 に低率 ではあるが果実 内部 か
ら本菌 を再分離 した ことを報告 した(Adachi
et al,2008)。
そ こで、発病果実か ら
種子 を採種 し,種 子伝染 の可能性 につい て調査 した。本病原 細菌の種子汚染率
は採種 した果実 により異な り 20.8∼ 98%と 様 々であ った。エ タノール処理によ
る種子表面殺菌を行 つた種子 か ら Pmm廊
が分離 された こ とか ら
(図
6‐
11)、
メ ロン果実内腐敗病菌 は主に種子 の表面 に付着 して い るが、一部が胚珠へ侵入
して種子伝染す る可能性 が示 唆 された。汚染種子 か ら栽培 した苗 は生 育が遅い
ものの、栽培期間中を腐敗や増生 といった病徴 も観 察 されず、順調に生育 し交
配期を向かえ、果実も収穫す るこ とができた(図
6-10)。
また、交配期間中の調査
として、メ ロン植物体 10株 において、雄花・雌花をそれぞれ 2個 体ずつ採集 し、
収穫 された果実 とともに、P酬翻α庸 の分離 を試みた が検出 され るこ とはなかつ
た。 したが って、 メロン果実 内腐敗病菌 に汚染 された種子を栽培 して も、必ず
しも果実が腐敗するこ とはな く、花、果実 か らP観卿 ″Jが 分離 されなかつた こ
とか ら、 メ ロン果実内腐敗病菌 に汚染 された種子は伝染源になる可能性はあ つ
て も、直接的な病害発 生 の要因にはな りにくい と思われた。 そ して、不発芽や
発芽後の枯 死 といった植物体 に大きな悪影響を及 ぼす こ とはないが,生 育遅延
な ど植物体 を弱勢化 させ ると考 えられた。
以上のことか ら、メ ロン果実内腐敗病 の感染経路 についてまとめ、図 6-12
に示 した。 メ ロン果実 内腐敗病菌 はメ ロン雄花・雌花 で生存 し,ヒ ラズハナアザ
ミウマ によ り近隣のメ ロン雌花へ 虫媒伝染 される拡散 してい く可能性 が示唆 さ
れた。伝搬 された花 にお い て約や花弁 に定着 し、萎 れた花弁で生息 し続 け、交
配直後の花取 り作業でできた子房 の傷 口か ら感染 した可能性 が示唆 された。 ま
た、メロン果実内腐敗病菌に汚染 した種子は伝染源 となる可能性が示唆 された。
しか し、汚染種 子が本病 の伝染源 として、 どのよ うに伝染環 に関与す るかは不
133
明である。 さらに、 メ ロン果実内腐敗病菌を保 菌 した ヒラズハ ナアザ ミウマが
本病の伝染環 において大 きな役割 を持 つ が、 ヒラズハナアザ ミウマが どこでメ
ロン果実内腐敗病菌を獲得 してい るのか を今後調査す る必要がある。
メロン果実 内腐敗病 は、今の ところ高知県の メ ロン産地でのみ、その発生が
報告 されて い る。2007年 に北海道 の メ ロン産地にて、本病 に疑 わ しきメロン果
実 が見 られ た とい う報告 が あったが 、病原菌の同定 にまで至 っていない。 その
他 のメ ロン産地での状況は不明である。 しか し、本病害 は新病 害 であるため、
そ の認知度 が低い ことか ら、他の産地で発生 していた として も生理 障害 として
対処 されて い ることも推測 された。 そ こで、高知 県以外 の 日本全 国のメ ロン産
地におけるメ ロン果実 内腐敗病菌 の生 息 の有無 を調査 し、本病 害 が高知県以外
の メロン産地 にて発生す る可能性 が ない か検証 した。調査方法 は、先 の研究結
果 に基づ き、各産地 の メ ロン花器、それ に寄生 していた ヒラズハ ナアザ ミウマ
か ら本病原細菌の検出を行 い検証 した。
高知県以外 の メロン産地で採集 したメ ロン雄花 を調査 した結果、北海道や熊
本県の メ ロン産地におい て、 メロンに対 して病原性 を示す メ ロ ン果実 内腐敗病
菌が存在 してい ることが明 らかとなった(表
6‐
1,2,図
6‐
5,13対 .さ らに、本
病 の発生 に大 きな影響 力を持つ と考 え られた ヒラズハナアザ ミウマ に関 して、
メ ロン果実 内腐敗病菌 を獲得 した ヒラズハナアザ ミウマ は高知 県 のみにそ の存
在 を確認 した。北海道や熊本県の ヒラズハナアザ ミウマ か らは今 の ところ検出
されてい ない(表
6…
3,図
6-13B)。
しか し、 この度調査 した北海道、熊本県のヒ
ラズハナア ザ ミウマは、 メ ロン雄花 よ リメ ロン果実内腐敗病菌 が検出 された同
一 圃場か ら必ず しも収集 したわけではない。 この点 に関 しては 、今後、同 じ固
場 のメロン雄花 とヒラズハナアザ ミウマ を同時に収集 し、P離棚α腑 の検出を行
う必要がある。 したが って、 メロン果実 内腐敗病菌 は高知県以外 の メ ロン産地
において も存在 し、存在 が確認 された 北海道や熊本県の メロン産地では、本病
134
の発 生が顕在化 して くる可能性は十 分に考 えられた。今後、熊本県、北海道 の
メ ロン産地 にて本病 の発 生状況を調査するとともに、同一 圃場 におけるメ ロン
雄花・ 雌花 ・ ヒラズハ ナアザ ミウマ を収集 しメ ロン果実内腐敗病菌の生息状況
を行 う必要 がある。
6.5
メ ロン果実内腐敗病の防除対策 についての考察
メ ロン果実内腐敗病 の発生率は約 0.2%と 低 いが、本病害の問題点は果実外観
か ら発病果実であるか判断が難 しい 点にある。 したがって、病原菌がメ ロンに
感染 しない よ うに防除対策 をとることは最 も重要 で ある。 これ まで得 られた知
見か ら、 メ ロン種子による種子伝染 、そ して、 メ ロン果実 内腐 敗病 の発生には
P ttmtisの ヒラズハナアザ ミウマ による虫媒伝搬 、花器での P¨
納 増殖や
交配受粉後 の花取 り作業 でできた傷 口とい う条件 を伴 う花器感染 が関与す る可
能性 が考 え られた。 したがって、防除対策 としては、健全種子 の利用、虫媒伝
搬 の阻止 や花器での病原細菌増殖 抑制 が有効 と考える。
まず、第一 に、メ ロン果実内腐敗病 菌汚染種子に よる国場 へ の持込を防 ぐこ
とが最 も優先 される。現在、メロンの種子消毒方法 として、働 卿 レF』 ″
″θrrJg
`″
副osdc力 T(CGMMV)に よるキ ュ ウリ緑斑 モザイク病の種子伝染防除を目的
とした乾熱消毒[70℃ 、2日 間以 上 側 ish and Nishizawa。
1967)]と
Jあ 70ra
、Иβ
昴'`″
SubSp.cJれ 瀞 によるウリ類果実汚斑細菌病 の種子伝染防除を目的 とした
“
食酢(74倍 希釈水溶液 :特 定農薬に指定)と ドイ ツボル ドーA水 和斉1(500倍 希釈
使用 :登 録農薬 登録番号 21746号 )の 混合液へ の浸漬消毒法 が現実 に使用 され
てい る。 これ らの消毒方法をメロン果実内腐敗病菌汚染種子に適応 した ところ、
乾熱消毒 は 70℃ で 3日 間行 って も完全な消毒効果 は認 められず 、75℃ で 4日 間
以上の乾熱消毒を行 う必要があることが判明 した。乾熱消毒 (75℃ ,4日 間)処
理 した種子 の発芽は 99.3%(149/150)と 良く、 この乾熱消毒による種子へ の悪影
135
響 はない と考 えられた。 また、食酢 と塩基性銅水和剤混合液へ の浸漬消毒 は十
分な効果 が認 められた。 この処理にお い て も発芽 へ の悪影響はなか った。 しか
し、現実的 な消毒を考 えると、 この たび の消毒処理 は実験室 レベルの少量 の種
子 での検証 で あるため、営利 目的で行われ る種子消毒に適応す るためにはより
多 くの量を用 いて、均一 な消毒効果 が得 られるよ うな工夫が要求 されるであろ
う。
ヒラズハ ナアザ ミウマ対策 に関 しては、アザ ミウマ類 が植物病原 ウイルスの
媒介虫と して知 られ様 々 な対策が考 案 されているため、 これ らを参考 にす ると
良い と考え られる。 メ ロンにおいて 、現在、メ ロン黄化 えそ病 が全 国のメ ロン
産地にて問題 となってい る。 その病原体 であるメ ロン黄化 えそ ウイルスは ミナ
ミキイ ロア ザ ミウマ により永続伝搬 され るため (K誼 o
et」 .1999:2000)、
ハ ウス
の近紫外線 除去 フィルム被覆や防虫ネ ッ ト(0.5mm以 下アU用 、ハ ウス内でのアザ
ミウマ初発 生確認 を 目的 とした粘着板 の設置、発生防除や駆除を 目的 とした登
録薬剤 の散布 などの対策 が採 られてい る。 よって、 メ ロン黄化 えそ病 の防除対
策 を参考 と し、アザ ミウマ類 の防除 を強化するこ とが ヒラズハ ナアザ ミウマ に
よる本病原菌伝搬の阻止 につ ながるため本病害の防除にも有効 と考 える。
花器 での病原細菌増殖抑制 も重要な防除法 となると推測 され る。先 にも述ベ
たが、 メ ロ ンの一般栽培 において、低 温 期に交配時期 を迎 えた場合、 メロンの
開花・開約 を促すためハ ウス内の温度 を 25℃ 以上に上 げることを 目的 としてハ
ウスの換気 口を締め切 る こ とがある。 この とき、ハ ウス 内の温度 ・湿度が上昇
す ると、雌花 が露で濡れたよ うに湿 ることがある。この よ うな環境 は P¨
麻
の増殖に好条件 となる。したがって、雌花 が湿 らない よ うに、潅水 量を調整 し、
一 時的に暖房 をかけて適度 な温度を保 ちなが ら換気 をす ることによ り湿度 を下
げることが重要である。
136
0
︲
0
︲
で裁培されたメロン雄花からの月 調a請 分離
“ 島aヱ ヵ薦 θ杉保有数
年度
分離箇所 供試雄花数 ■a“ 即請 検出花数
5KoA
16
2005
5KoB
12
5KoC
8
7KoA
37
8
7KoB
24
20
7KoC
11
0
2007
7KoD
9
0
7KoE
7
5
__ 7KoF
7
6
8KoA
12
8KoB
10
2008
8KoC
23
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11
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1
1
1
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0
2
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0
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0
0
0
0
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4
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静 岡県 __
6
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5
2009
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2
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4
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B F
B C D E
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辮 A A A A
9 9 9 9
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熊本県
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7KuB
7KuC
3
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3
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11
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2008
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0
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ゴヒ判
藝I重
2008
81baD
0
_
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0
山形 県
7
18
14
H 9 8
―――――――-
81baB
81baC
0
2008
茨城県
137
6-2
メロン産地
たメロン雄花 か ら
分離菌の特異的遺伝子
* lfLt= Pantoea ana nails A
したメロン
の反
(Bttx%)
分離
嵐話″ルョ〃/θ セ
一 一
+ + +
+ + +
北海道
¨ 一
宮崎
+ + +
熊本
果
+ + +
高知
+ + +
KoF-2
KoF-4
KoF-8
KuF-1
KuF-8
KuF-9
MF-2
MF-6
MF-8
HF-12
HF-14
HF-15
+ + +
NC(滅 菌
16.2
14.8
7.6
5.9
8.3
6.6
8.5
6.7
5.2
7.3
6.4
9.2
5.7
7.3
14.0
14.2
15.3
14.7
15.6
15.0
8.4
10.0
11.9
11.0
9.2
11.2
138
表6-3
調査
雲誹
ヒラズハ ナアザミウマからの■ ′
″
"′
調査個体数
硼
象
"α
麻 分離
″J寄 生 頭
θ″保有
警寧 型 黎裏
高知 県
熊本県
静岡県
33
愛媛 県
北海 道
139
6-4ヒ ラズハナアザミウマから
たPar7faaa
分離菌の特異的遺伝 F
分離菌
NC(滅 菌水 )
分離地
れガ /れ沼 /θ レ
arar7arJriFの 病原性
したメロン
の反
精度 (Bttx%)
病原性
Etr-1
Etr― -43
愛媛
Etr-74
+ 十 +
2008.高 知
+
+
+
+ + +
2007.高 知
+ + +
KoTr-5
KoTr-11
KoTr-12
KOTr 08-6
KOTr 08-8
KoTr 08-15
土 (cavLy)
胎座
果肉
16,2
14.8
14.3
15.7
13.9
13,7
14.9
14.0
5.7
6.7
5.6
7.5
6.5
5.0
7,9
6.2
4.1
5.0
6.1
8.3
140
-5ヒ ラズハナアザミウマにおけ
びそ の 内
Pantoea ananatis
assigned
タバコ反応
サンプル
S-39
S-40
S-1
S-41
Ⅲ
Ⅲ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅱ
S-31
S-32
S… 33
S-34
S-35
S-36
S-37
S-38
58
Ⅱ
S-30
56
Ⅱ
S-29
-57
Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ
S-26
S-27
S-28
S-52
S-53
S-54
Ⅱ
S-17
S-18
S-19
S-20
S-21
S-22
S-23
S-24
S-25
S-51
Ⅱ
S-15
S-16
Ⅲ
Ⅲ
Ⅲ
Ⅲ
Ⅲ
Ⅲ Ⅲ
S-13
S-14
Ⅱ
S-12
S-42
S-43
S-44
S-45
S-46
S-47
S-48
S-49
5-50
Ⅱ
S-2
S-3
S-4
S-5
S-6
S-7
S-8
S-9
S-10
S-11
4t\=
ⅡⅡ Ⅲ Ⅲ Ⅲ Ⅲ
サンプル
Ⅲ
-68
-69
70
Ⅲ
71
72
Ⅲ
141
接種菌株 サンプ∠
Lttp病 徴形成果実分離部位 菌再分離
S-1
S-2
b
―
a
―
a
-
b
一
CTB-1
-
十
―
SUPP2219 CTB-2
-
CTB-3
-
十
S-4
b
―
=
十
十 一十
S-3
-
一
b
c
b
a
十
一
十
一
C7-1
suPPl993
S-5
-
b
+
C7-2
S-6
S-8
S-10
r
+
分離部位 のa、
b、
cは 図3-1に示した。
十 十
S-9
一 一 二十 +
S-7
一一一 一一一 一一一
SUPPl791
NC
十
S-11
S-12
S-13
142
表6-7 自然発病果実 か ら採種 した種子 か らのP.α ″α4α 鮨 検出
サ ンプル
採種年 月 P.α α α麻 検 出率
乾熱 消毒 (70℃ ,72h)
“
“
(0/48#f)
-1
0.0% (0/40粒 )
2006. e
0. 0%
健 全果実
0,0% (0/100米 立)
2008. 11 0. 0% (0/100fi1)
健 全果実 -2
(16/48ff)
20.0%(8/40粒 )
2006, e
33. 3%
発病果実 -1
(30/4s*it)
-2
0% (18/40粒 )
45。
2006.
e
62.50/0
発病果実
0。 0%
(0/40粒 )
2006. e
4r. 60/0 (20/48fii)
発病果実 -3
(ro/+sfrfi)
-4
12.5% (5/40米 立)
2006.
20. 8%
発病果実
gs. o% (e8/rooft)
6.0% (6/100粒 )
2008.
発病果実 -5
2.0% (2/100米 立)
2008. 11 SS. O% (55/rOOfij)
発病果実 -6
e
11
143
図
6‐
の 噴霧接
罹
時の
頃 霧 破種
ロ ンネ
彫形成
駆時
ッ ト
1 メ
メ ロン
ネ ッ
A:ネ ットを形成 し始めたメ ロン(こ のステー ジにあるメ ロンに噴霧接種 し
た。),B:接 種後、成熟期 を迎 えたメロン果実の内部
144
図 6-2 結果 枝 へ の接 種 試 験
A:接 種 時 の 様 子
枝 の _11に 菌液 を付 着 させ 、 矢 印 の 方 向 か ら針 で 刺 した 。
B:接 種 した 枝 に着 果 していた 果 実
145
`l`仁
=ン
図 63
ヽ
ぃ 、
`
ヽ、
メロン雌花へ の ′″″
α″
″お(SUPP1791)接 種試験
A:雌 花 へ の接種 の様子 、B:53×
107cFu mlの 菌懸濁液接 種 ,C:53Xl(´ crll mlの 菌懸濁液接種
,
D:53X10う じft1/mIの 菌懸濁液接種,11,「 53X10'cfu7mlの 菌懸濁液接種 を接種 した 果実(接 種後
55日 経過 した果実)、 黒 い 矢 自1は 菌液 を柱頭 に滴下 した状 態 を示 した。
146
図 6‐ 4 柱頭除 去接種試験
A:柱 頭除去後、菌液 を付着接種す る様子、B:メ ロン果実内腐敗病菌(SllPP1
791)
を接種 した果実 ,C:イ ネ内穎褐変細菌61JPP2219)を 接種 した果実 ,D:非 病原性
′ 動鷹嵐SUPP2203)を 接種 した果実[2果 中 1果 が僅 かに水浸症状 を呈す。黒 い
“
矢印の部分],E:メ ロン果実内腐敗病菌を接種 した果実 に見 られた病徴(10果 実
中 1果 に観察 された。青い矢印にて発病果実を印 した。)
147
図 6-5
メ ロン雄 花 にお ける Pα ″ ″artsの 局在性
P:SUPP1791 1P“
“
α麻),N:滅 菌水 ,1:サ ンプル ‐
1の 約 ,2:サ ン プル ー
2の 約
,3:
サ ンプル _1の 花弁 ,4:サ ンプル ー
2の 花 弁 ,5:サ ンプル _1の 書 ,6:サ ンプル ー
2の 専
″α 氷 核 活性 遺伝 子 ,′ ″:サ イ トカィ ニ ン合成 遺伝 子
矢 印 は 各 々 の 目的 の遺伝 子 を示す 。
148
お病原性調査
図 6-6 メ ロン雄花 か ら分離 された Pα ″′
“
″遺伝子保有菌株)、 熊本分離菌 :KuF‐ 1,8,
高知分離菌 :KoF‐ 2,4,8"M麒 、ι
9(融,議ぶ ,′ ″遺伝子保有菌株
)、
宮崎分離菌 :MF‐ 2,6,8(7aaM滋 4ι た遺伝
″遺伝子保有菌株)
子保有 しない)、 北海道分離菌 :HF-12,14,15(lααM,滋 薦 ′
149
図 6-7 メ ロンの雄花 。雌花 に接す る昆虫
A:メ ロン雄花に寄生す る ヒラズハ ナアザ
ミウマ,B:メ ロン雌花に寄生 した ヒラ
ズハ ナアザ ミウマ,C:メ ロ ン雄花に
寄生 した ミカンキイ ロァザ ミウマ,D:メ
ロンの交配に利用 されてい るセイ ョ
ゥォオマルハナバ チ,自 い矢印は ヒラズハ
ナアザ ミウマ を示す。
150
図 6‐ 8 ヒラズハナアザ ミウマか ら分離 された ′
愛媛分離菌
:ETr‐ 1,43,74(崚α
M
12(融,Jα薦
ttH,`″ :一
)、
麻 病原性調査
…
2007年 高知分離菌 :KoTr‐ 5,H,
″ :+)、 2008年 高知分離菌 :KoTH18‐ 6,8,15(雨 滋
、 4
erz:+)
151
図 6-9
罹病 果 実か 弓採種 した種
r
A:健 全 果実 か ら採 種 した メ ロ ン種 子 、 B:メ
ロ ン 果実 内腐 敗 病 罹 病 果 実
か ら採 種 した メ ロ ン種 子 、 C:健 全 種 子の 発 芽状 況 、D:メ ロン果 実 内腐
敗 病 菌汚染種 r
152
図 6-10メ ロン果実 内腐 敗病 菌 に 汚染 され た種 Fを 使 用 した メ rュ
ン栽培
A:栽 培 状 況
(左 の プ ラ ン ター は 汚染種 子、右 側 のプ ラ ン ター
は健 全 種 子 を使 用 )、
B:ll■ 穫 果 実 (左
:汚 染種 子 │¬ 来 ,右 :健 全 種
子 由来)
153
薬剤・乾饉消H子
乾熱消毒種子
藁剤消毒種子
エタノール消毒租子
無処理種子
ネガティメ コントロール
01020304050∞
70
検出率 (96)
…
図 6-11 罹病果実 か ら採種 した種子及び消毒種子 か らの 2_Ialarisの 検 出
154
991
γ音騨 ⑫草率
割識帝渭・談ヨ⑦単撃窮剛 M¥音 イ ロ/■ 繁 マ艘摯 つヽ
ZI-9国
■ Pa″α att Group Ⅱ
“
● P“ 口 s crKlup l or Ⅲ
"`西
■ Not detccted
I
.P
,na@trj Group tr
a
P matutis GroW I
I
No1 detect€d
A
q fl
B
♂
′
許
網
〆
図 6-13 日本 の主なメ ロン産地 における物
A:メ ロン雄花 に関する P…
α″ ′
JSの 生息調査
“
is検 出調査,B:ヒ ラズハ ナアザ ミウマに関す
“
る Pa“ ″麻 検出調査
赤色はメ ロンに病原性 を示す P…
is Group Ⅱが検出 された地区.黄 色は
メロンに対 し非病原性 で あった Pα 〃″rJs
GЮ up
isが 検出されなか った地 区を示す
青色は Pα″″′
lor Ⅲ系統 が検出された地区
,
.
156
第 7章 ]α ‖ra“ α αⅢ曲 によ り引き起 こされ るタバコ壊 死反応
“
7.1 緒言
植物病原細菌が植 物体内に侵入 すると、植物細胞 との相互作用 がす ぐに始ま
る。多 くの植物病原細菌 の菌懸濁液 を非宿 主で あるタバ コ植物 の細胞間隙に注
入す ると、注入部位 の組織 が 12∼ 24時 間で褐 変壊死す る現象 が観察され る。 こ
の現象 は、非宿主植物細胞が植物組 織 の形態 ・ 生化学的変化 を起 こし、侵入 し
て きた病 原 細 菌 をその 場 で 封 じ込 める植 物 抵抗性 反 応 の一 種 [過 敏 感 反応
CHypersensitive reactioI HRI]と されている。植物病原細菌 にお ける
HR反 応は
Klements(1963)に よ って初 めて 報告 された。 現在 、HRは 力
ψ (Hypersensitive
readion and ptthogenichy)遺 伝子群 を保有 してい る多 くの グラム陰性植物病原細
菌 によって引き起 こ され る こ とが報告 されてい るIWilliS
et al.1991)。
その カッ遺
伝子群には、HRを 直接誘 導す る harpinタ ンパ ク、及 び、病原細菌が菌体外 に病
原性関連たんぱ く質 [エ フェ クター(harpinも 含 む)]を 分泌す るための機構 の一つ
で あるタイプⅢ分泌機構cyp週 旦eCrdion ttstem:TTSS)に 関す る遺伝情報 を備
えてい る(Galan and C01lme■
1999)。
TTSSは ルrsiniα,助動
肋 加側θ
JJJ属 糸
田菌 な
ど数 多 くの グラム 陰性 動 物病 原 細 菌 に も保 存 され てい る タ ンパ ク分泌機構 で あ
り、 この シ ス テ ム を 介 して 多 くの エ フェ クタ ー たん ぱ く質 を宿 主 細胞 内 に 直接
注入 す る と考 え られ てい る(Van(町 Segem d al.1993:Bittner and Bonas.2002)。
そ
して 、力ψ 遺伝子群 の 中 で 動 物 ・ 植 物 病原細 菌 に共 通 して 分布す る遺伝 子 を ルκ
遺 伝 子 と呼 んでい るoogdanOve d d.1996)。
第 5章 にて、P ttαmtt Group Iに 属する系統 を YP‐ brothで 振 と う培養 し、そ
の培養液 をタバコの葉 に注入接種 した とき HR様 反応 が観察 された。この反応 は、
力ψ 遺伝子群 にコー ドす る TTSSを 有す る細菌 により引き起 こされ る HRに 非常
に似 ているが、反応 が 引き起 こ され るまでに 36時 間以上の時間を要する点 で異
な っていた。 また、第
2章 にて行 つた細菌学的性状調査 の ように、通常 タバ コ
157
への注入接種 に用い られる接種源 は、YPAプ レー ト上に培養 された菌叢 を滅 菌
水 に懸濁 した もの使用す る。 このよ うに準備 された S■ IPP2219ぽ 硼硼αJliS
Group
I)の 接種菌液はタバ コヘ注入接種 されたが、 タバ コに壊 死反応 を引き起 こす こ
α ″Jの タバコヘ の注入接種の結果は
とはできなかつた。 そ して、一般 に Pα″
“
陰性 と報告 されてい る(Azegami et J.19831 Coplin and Kado.2001)。
比庸ogα 属細菌 にお いて、Psた 即αrガ J subsp.Jた w″ガゴや P ttθ ttβ Fα燿∫pv
騨
SⅢJJ"は みrp遺 伝子群を保有す る こ とが報告 され
(Frederick d J.2001:
Nizan d al.1997)、 これ らの種は 乃
ψ 誘導培地で前培養 も しくは培養 しなければ
タバ コの葉 に HRを 誘導 しない こ とが報告 されてい る(Ahmd d J。 2001i Coplin
狙d Kado.2001)。 これ らに対 して、P¨
腑 に 乃rP遺 伝子群 が検出 された とい
う報告 もな く、誘導培地によりHRを 誘導 した とい う報告 もない。
本章では、第
5章 で報告 した P¨
麻 Grollp Iに よるタバ コに誘導 された
IIR様 反応 に関 して、TTSSに よつて引き起 こされる HR反 応 との違いを、接種
菌濃度、抗 生物質、ぼ象 遺伝子 の存在 な どと比較検証 した。
7.2
材 料 及 び方 法
本 章 で 使 用 した供 試 菌 株
き難
ragα
α肥 認αJJS(SUPP2219,m53: GToup I, SLIPP1791:Group Ⅱ, SLIPP2203:
GroupIII),P翻わθα q里 ゴθ閣
`,総
(SLIPP1993),Psβ
仰
"あ
pv.g暮 ,s甲 力J力
`(SUPP2439),P轍
10Ca aggI硼 grttJ
‖θηαJッ rゴ″Fg pv′ 創 cP105),PJγ g昴 認θ″αs yritte pv″ b“ ゴ
7364)以 上 、 8菌 株 を タバ コや メ ロ ン 子 葉 へ の 接 種 試 験 に供 試
した。
ま た 、 サ ザ ン ハ イ ブ リダ イ ゼ ー シ ョ ン に よ る 加駅 遺 伝 子 の 検 出 に は 、 P
α■硼 α″s(SUPP2219, CTB1061, SIIPP2213, NRL53, SUPP1791, Melon‐ 1, nゞ A‐ 2,
Sasa101, Yomogi‐ 101, OF102, Awa101, SK‥ 1), P α
rtts(SLIPP1993), P
ttJθ ″β
螂
θttgrtt pv.ソ IP力 測bF(SUPP2439),P α
ttlθ 認
`FmS pv.″
ノ
JJg=すiac(I□ 14‥ 1504),
158
以 上 15菌 株 を供試 した 。
供試植物
接種試験 に用いたタバ コ植物 の品種は `White Buney'を 用 い た。接種葉 は展
開 しきつた本葉 3も しくは 4枚 日の葉を選 び、菌液 注入接種 したタバコ植物 は
25℃ 、12時 間照明条件 で 2日 間栽培 され 、接種 48時 間までのタバ コ反応 の経 時
的変化を観察調査 した。
上記 と同様 に、 メ ロンヘ の注入接種試験には、品種 `雅 春秋系 'を 用 い、播
種後 5∼ 6日 経過 したメ ロン子葉 に注入接種 を行い、接種後 は 25℃ 、 12時 間照
明条件 で 14日 間栽培 し経過観察 した。
YPAプ レー ト,YP口 broth,ル 響 誘導培地,低 栄養培 地(MM培 地)の 培養
YPAプ レー トでの培養方法は第 2章 にて記載 した。W Brothで の培養方法 は
第 5章 にて記載 した。ルψ 遺伝子 の活性 を促すための 乃
ψ 誘導培地(IM)で の培養
は Coplin and Kado(2001)の 方法に従 い、下記の よ うに行 った。各菌株 は 10mlの
CPB“ broth(カ
ザ ミノ酸 1.Og,ペ プ トン 10g,グ ル コース 10g,蒸 留水 1000ml,
pH6.8)に て振 とう培養 (42時 間,27℃ ,120rpm)し 、遠 心分離(10000rpm,5分 間)
を行 い集 菌 した。 上清 を捨て、IM… brothio側⇒2S040・ 058,KH2P04 0・ 027g,MES
4.26g,カ ザ ミノ酸 0.2g,Sucrose 2.OgIを 10ml加 え再懸濁 し、
振 とう培養(6時 間
,
27℃ ,120rp叫 した。 さらに、低栄養液体培地[MM液 体培地 :K2HP04 3.158,
KH2P04 1.5g,cNH4)2S041.Og,L‥ asparagine O.25g,glucose 2,Og,蒸 留水 200ml]で
の培養 は YPAプ レー ト上に形成 された菌叢 を白金耳で取 り、MM液 体培地 に加
え振 と う培養(48時 間,27℃ ,120rp→ し、菌 の増殖、濃度 を確認 した上で、そ
の菌液 をタバコに注入接種 した。
接種源 の濃度は約 108 cm/ml(oD600=1.0∼
1.1)に 調整
し、タバ コやメロンヘ の注
159
入接種に用 いた。接種方法 は第 5章 にて記載 したKlements(1963)の 方法に従 った。
注入接種 した菌液 の濃度比較
SUPP2219,1791,2439,PP105培 養液 の濃度 とタバ コに形成 され るHR様 反応 と
の関係 を調査するた め、48時 間培養 した菌液
[約 108。 lⅣ ml(OD600=1.0∼ 1.1)]を
新鮮な YP口 brothで 1,2,5,10,20,100倍 に希釈 し注入接種 した。 この試験は少
なくとも 2回 行 った。
注入接種 したタバ コ組織や メロン子葉組織 か らの菌再分離
タバ コの葉 に SUPP2219,1791,PP105の 約 108cⅣ ml(OD600=1.0∼
1.1)に 調整
し
た YP‐ broth培 養液(100 μl)を 注入接種 した。その際、菌液 が注入 された部分 を油
性ペ ンでマー クし、0,12,24,36,48,60h後 に注入 された部分 のみを切 り取 り、
その注入部 位 に含 まれ た菌 を再分離 し菌数測定 した。菌数測定は、切 り取 つた
部位 に lmlの 滅菌水 を加 えて、
減菌 した乳鉢 にて磨 り潰 し、この液を loO,1000,
10000倍 希釈 した液(50μ
l)を
YPプ レー トに塗抹 し、27℃ にて 2日 間培養 したの
ちに形成 された コロニー数 をカ ウン トし、 コロニー数 と希釈倍率 か ら計算 した。
メロン千葉への注入接種は第
4章 にて記載 した。そ して、接種葉 か らの再分
離 は接種 子葉 1枚 に存在 した菌を上記 の タバコか らの再分離方法同様に行 った。
メロン子 葉 のサ ンプ リングは、接種直後、3、
6、
9、
12日 後に行 つた。
ⅡR様 反応 を誘導す る物質調査
P ar矧 鴨麻 (SUPP2219)が
HR様 反応 を誘導す る何 らかの物質 を産出するので
あれば、培養液 中にそ の物質を分泌 していると推測 された。 そ こで、YP口 broth
にて培養 した菌液 lmlを 遠 心分離(10000rpm,10分 間)し 、遠 心分離前の無処理 の
菌液、遠 心分離後 のフ ィル ター(0.22μ m,ニ トロセル ロー ス メンブ レン製)ろ 過
160
した上清液 、沈殿 した菌の再懸濁液 [新 しい YP― broth(lml)を 加 えボル ッテクスに
て激 しく再懸濁 した液]を 各 々100 μlず つ タバ コに注入接種 した。その後 48時 間
後まで経過観察 した。
また、同様 の実験 として、SuPP2219の み に着 日 し、上記 の処理菌液 に加 え、
沈殿 した菌 の再懸濁液(YP― brothを 滅菌水 に変 えた もの)を 加 え調査 した。
接種 した タ バ コの遮 光 処理
遮光 に よ る HR様 反応 形 成 へ の影 響 を調 査 す るた め 、菌液 を タバ コの葉 に注入
直後 にア ル ミホイ ル で 葉 を完 全 に覆 い 、そ の 反応 の経 時的変 化 を観 察調査 した。
最終評価 は 接種 48時 間後 の 状態 で 判 断 した。 なお 、本 実験 は 少 な くとも 2回 繰
り返 した 。
接種 したタバ コヘの抗 生物質処理
S■
IPP2219,PP105の 2つ の菌株 をタバ コに注入接種 した後、30分 後 と 3時 間
後に菌液 を注入 した部分 が重なるよ うにテ トラサイク リン(20μ ノml)、 シクロヘ
キシ ミ ド(20μ
g/ml)、
リフ ァンピシン(20μ
g/ml)を
注入 しその後 の タバ コの反応
の変化を観察 した。また、HR様 反応 の誘導期 を詳 しく調査す るため、上記 の方
法で、菌液注入後 0,1,2,3,4,6,8時 間後に各 々の抗生物質を注入 し、HR様 反応
が抑制 され るまでの時間を調査 した。本研究に用 い た抗 生物質 の作用機序は次
の とお りで ある。テ トラサイク リンは細菌 の 70Sリ ボゾームの 30Sサ ブユニ ッ
トに作用す るたんぱ く質合成阻害剤 である。 リファンピシンは細菌 の RNAポ リ
メラーゼ に直接作用す る RNA合 成 の 開始阻害剤 である。シク ロヘ キシ ミドは真
核 生物の 80Sリ ボゾームの 60Sサ ブユニ ッ トに作用す るたんぱ く質合成阻害剤
で ある。 これ らの作用性 の違 いによ り、P¨
腑 による HR様 反応 の要因を検
証 した。本実験は少な くとも 2回 繰 り返 し行 つた。
161
TTSSに 関与する h醸 遺伝子の検出
加 択 遺 伝 子 を 検 出 す る プ ラ イ マ ー は P aggJoHθ ‖ 服
に Obaryashi and Takikawa unpublished),P Sttα
7ガ J∫
"み
pv.″ ゴ
JJgJ″ j“ HR4‐ 1503
理凱 Jた wα r″ ゴ [AF282857
(COmplement:5580-6533),Frederick et al.2001],P aggJattg,総
p■
ttsttL′ ねβ
(X99768,Nizan‐ Koren et al.llllpublish),Dリ ッ
Jirね α
θFα IL25828(complementi
η んソ
7646‐ 8299),Ohd
J.2005]由 来 の 加択 遺伝 子 (653bp)に 基 づ き設 計 され た。作成 さ
れ た プ ラ イ マ ー セ ッ トは
P田 hcRft5'‐ AT∝TGCTGTTGATCAC‐ 3')と
PanhrcRI(5'‥ GTCGTCCOCACAGGTCGGTAA-3')で あ り、加訳 遺伝 子 の 大部 分 に
あた る(522bp)を 検 出 で き る よ うに した 。この PCR条 件 は 94℃ 3分 ,(94℃ 30秒
,
58℃ 30秒 ,72℃ 30秒 )X30サ イ クル 、 72℃ 5分 にて 行 われ た。 PCR産 物 は 1.5%
アガ ロー ス ゲル に 電気 泳 動 され、 エ チ ジ ウム プ ロマ イ ド染色 を 行 い 、増幅 され
た DNA断 片 を検 出 した。
さらに 、加駅 遺伝 子 の存 在 を調 べ るた めに 、供試 菌株 の ゲ ノ ミ ック DNAを 対
象 に した ゲ ノ ミック DNAサ ザ ンハ イ プ リダイ ゼー シ ョン を行 つ た。上 記 のプ ラ
イ マー を使 用 して Pc諄 あ″θ
‖閥 pv.,「 甲″Jag(S■ IPP2439)の ゲ ノ ム をテ ンプ レ
ー トと して 、上 記 の 条 件 にて PCRを 行 つ た。 この PCR産 物 をア ガ ロー ス ゲル に
て 電気泳 動 を行 い 、グ ル 上 に検 出 され た 加訳 遺伝 子断 片 をグ ル よ り切 り出 した。
切 り出 した か訳 遺伝 子 は Nucleo Spin Extract Kit(MACHEREY‐
NAGEL)を 用 い て
精 製 され た 。 この 加 J遺 伝 子 を pGEM― T Easy Vector eromega)に
T4DNALigase
New England BloLabs)を 用 い て ク ロー ニ ン グ した。この ク ロー ニ ン グ プ ラス ミ ド
(pParg2439-hrc動 か らイ ンサ ー トを切 り出 してサ ザ ンハ イ プ リダイ ゼ ー シ ョン に
よ る 加螺 遺 伝子 を検 出す るため のプ ロー プ を作成 した。 ナイ ロ ン メ ン ブ レンヘ
の DNAプ ロ ッテ ィ ン グ、ハ イ ブ リダイ ゼ ー シ ョン は 第 4章 に記 載 した 方 法 に従
っ た。 プ ロー プ はデ ィ ゴ キ ゲ ニ ン で ラベ ル し、 アル カ リフ ォ ス フ ァ タ ー ゼ 標 識
162
抗ディゴキ ゲニン抗体 を使用 した免疫染色により目的 とする DNAを 検出 した。
Pα α α漁 を注入接種 したタバ コにおける ルliml,■ J「2JJJi遺 伝子発現の検出
““
brP遺 伝子 を保有す る植物部病原細菌を注入接種 したタバコは HRを 生 じると
と もに 、 そ の
HR進 行 に 関 連
野pettensh市 hy{elated
い る(Gopalan
そ こで、P
菌 障陶
dw硼
gene 2θ
して bttin Lduced gene l(乃 加f)、 及 び
JJい F2θ 鋤 遺伝子を活性 化す る こ とが報告 されて
et al.1996:Pontler et al.1994:1998)。
ttαガs(SIIPP2219,1791,2203)3菌 株 と、 ライラ ック枝枯れ細菌病
卵 ッ rJttαθ pvツ
i甲 CPSS):MAFF301861]を
注 入 接 種 した タ バ コ に
お ける 力加f,Asr2θ 才 遺 伝 子 の 発 現 に つ いて 調 査 した。 各 々 の 菌株 は YPAプ レー
ト上で一 晩 培養 し、滅 菌水 で(OD600=0.6)に 調 整 した も の を接種源 と して 、 タバ
コ(CVo Xttthi)に 注入接 種 した。接 種
1,3,6,9時 間後 に RNAを 抽 出 し、RT― PCR
を行 い 、力加f,LJ/2θ 芽 遺伝 子発 現 の 有 無及 び 誘 導時期 を 調 査 した 。 なお 、 この研
究 は古 谷 博 士 との共 同研 究 に よ つ て 行 われ た(未 発表 )。
7.3
結果
Pα ‖α‖αtt Group Iに よる ⅡR様 反 応 の形 成 条件
P硼 硼耐lisに 存在 す る 3つ の グル ー プの代表菌株 SUPP2219,NR53(Group
Su田 1791(Group Ⅱ),SLIPP2203(GFOupⅢ
)を
YPAプ レー
I),
ト (固 形 培 地)及 び YP‥
broth(液 体 培 地)で 培養 し、タバ コ にお け る これ らの 菌株 の HR様 反 応 形成能力 を
調 査 した 。 YP‐ brothに よ り振 と う1培 養 した
SuPP2219(2.9X108ch/ml),NR53
(6.3X108cwml)は 常 に安 定 して接種 36∼ 48時 間後 に HR様 反応 を形 成 した (図
7‥ 1)。
そ して 、SLIPP2219に よる HR様 反応 は 1.9X108cwml(接 種源 5倍 希釈液 )
以 上 の濃 度 で あれ ば HR様 反応 を接種 36∼ 48時 間後 に誘 導す る こ とが判 明 した
(図
7‐ 2A_l。
しか し、菌濃度 (9.5X107cL輛 1)以 下 の 菌 液 では
HR様 反応 を誘 導
163
しなか つ た 。
これ に対 して 、YPAプ レー トで培養 した
S■
IPP2219,Nb3の 菌叢 を滅 菌水 に
懸濁 した 菌 液 (約 108ch/ml)を タバ コヘ 注入 接種 した と ころ、48時 間以 上 経過 し
て も HR様 反応 を確 認 で きな か っ た (図
7口 1)。
Group Ⅱ,Ⅲ に属す る SLIPP1791,
SLIPP2203は 培養 条件 に 関係 な く、接 種 菌液濃度 の濃 淡 に も関係 な く HR様 反応
をタバ コ に誘 導 しなか っ た (図
を 有す る
Su四 2439ぽ
7‐
1,2)。
G唖ヵ ″grα ″J
また 、 同 じλ翻能α属細 菌 で 力ψ 遺伝 子
8
pv.,PJψ 乃ゴ
ルβ
)に お い て も濃 度 (3.4X106∼
cWml)に 関係 な く HRを 誘 導 しなか っ た。 これ らに対 して 、坤 遺伝 子 を保 有す
る
l。
PP105は 培養 条 件 に 関係 な く IRを 誘 導 し、 そ の 誘 導す る 菌濃 度 は 9.5X
6cⅣ
ml(接 種源 の 100倍 希 釈液 )以 上 で確 実 に HRを 誘 導 した 。
α由 により形成 された ⅡR様 反応 の特徴
“
Su四 2219の 菌液(8.O X 108cwml)を タバ コの葉 に接種 し、そ の葉 に起 こる経時
P ttα
変化を観察 したところ、菌液 を接種 した部分 の植物組織 は接種 24∼ 36時 間後 に
36∼ 48時 間後に灰褐色壊死斑の形成 が誘導 された(図 7-3)。
水浸状にな り始 め、
72時 間後 には、 この壊 死反応 を起 こ した組織は脱水 し、自色 の乾いた壊 死斑 と
な った。これに対 して、力ψ 遺伝子を持つ PP105に よ り引き起 こ され る典型的な
HR反 応 は接種後 8∼ 12時 間で組織 が水浸状にな り、接種後 24時 間以内に明確
な壊死を引 き起 こ した。接種 した部分 に壊 死が誘導 され るまで の時間に違 い は
あるが、 この SUPP2219に より誘導 された反応(HR様 反応)は 典型的な HR反 応
に似てい た。
P硼面
S(SLIPP2219)菌 液を注入 し誘導 された HR様 反応 と、 タバ コに対 し
て親和性 関係 にある乃 励 醐 sッrjtte pv.″ b“ J cPt7364)と 非親和性関係に
`夕
ある力g"伽 硼∬ ッ 呻 e pV′おf CP105)に よリタバ コに形成 された壊死反応
を比較 した。その結果、SUPP2219と PP105に より形成 された HRも しくは HR
164
様反応は菌 が注入 された部分 にのみ壊死 が生 じ、48時 間以降も広がることはな
か つた (図
7‐
4へ
B)。
しか し、タバ コに対 し親和性細菌 である Pt7364は 注入部
位 に形成 された壊死斑が、接種 24時 間後以降、時間の経過 とともに徐 々 に広が
つていつた(図
7‐ 4D)。
次 にタバ コ組織内における注入接種後 の菌数推移 について、飢PP2219,1791,
PP105の 約 7.O X 108cwmlに 調整 した菌液 をタバコの葉 へ 100 μlず つ注入 し、経
時的にタバ コ組織 か ら再分離 し菌数 を測定 した。その結果、PP105は 接種直後
に約 8.O X 107ch存 在 した菌 が HRの 誘導 とともに減少 し、60時 間後 には
1。
6chレ ベ ル にまで
減少 した(図
7‐ 5)。
1.0×
SLIPP1791も 12時 間後まで接種 した菌数
を維持 したが、
PP105と 同様 に 60時 間後 には 1_O X 106chレ ベル にまで減少 した。
しか し、SUPP2219は 接種後 48時 間後まで接種時の菌数 を維持 していたが、HR
様反応 が 明確な状態 に変化す るとともに、その部位 における菌数 も接種時 の 1
/10程 度 の菌数にまで急激に減少 した。
メ ロン子葉 における壊 死斑形 成
第 4章 にて、 メロン子葉 へ の菌液注入接種試験 を行 い、=面、ね』レ ルを保有
す るSUPP1791ば 硼如 聴 Group Ⅱ)は メ ロン子葉に増生 を引き起 こ した こ とを報
告 した。 それ と同様 に、P¨
麻 Group Ⅱ以外 の GToup I,Ⅲ の系統をメ ロン
千葉へ注入接種 した結果、メ ロンと非親和関係 にある SUPP2219(Group I)は メロ
ン子葉 に接種後 48∼ 96時 間経過 とともに黄化壊死症 状 を引き起 こ した(図
7-6)。
この とき の メ ロン組 織 内で の菌数 は接種 3日 後 まで メ ロン親 和性菌である
SUPP1791と ほぼ同等量(約 3.9X107cwml)が 組織内に存在 し、組織 に壊死症状が
現れ始 め る とともに 3日 後以降菌 量 が 減少 した(図
7‐ 7)。
親 和 関係 にある
SulP1791は 常に約 4.2X106cwml以 上の菌数 を組織 内に接種後 の 12日 間維持 し
ていた(図
7‥ 7)。
SUPP2203(GrOupⅢ )は 滅菌水を接種 した葉 と同様 に 目視による変
165
化 もなく、注入部位での菌数 はタバ コに接種 したときと同様 に、接種後緩 や か
に減少 してい つた。SuP2439は メロンに対 し非親和性菌 であるに も関わ らず壊
死斑を誘導す ることな く(第 4章 図 4‐ 2)、 接種 3日 後 には 105ch/ml程 度にまで
急激 に減少 し、その後 も増殖す るこ ともなか った。
ⅡR様 反応 の誘導・ 形成要因
HR様 反応 を誘導す る物質の存在 について、各菌を培養 した液体培養液 の上清
液 を接種す る こ とにより検証 した
(図 7-8へ B)。
その結果、PP105の 培養 上清液
のみが、菌液 を接種 した時に誘導 され る明確 な HRと 比較 して、微 かな壊死を誘
導 した。S■「PP2219を 含 むその他 の菌株 は全 く反応 が観察 されなか った。
次に、通常 HRや 病原性に関 して細菌 の線毛、鞭毛は重要な役割 を持つ こ とが
知 られてい る。そ こで、R…
麻 の鞭 毛や線毛などの構造物がこの反応 に与え
る影響 を検証す るため、鞭毛や繊毛を切断す る処理 として遠 心分離やボル テ ッ
クスによる攪拌処理 を行い、 タバ コヘ の注入接種を行 い調査 した
(図
7‐
8C,9)。
SIIPP2219は 遠心分離処理 とボルテ ックス処理を行 つた菌 でも HR様 反応 は形成
された。 ただ し、菌液 を遠心分離後、滅菌水 に再懸濁 した菌液 は YP"brothに 再
懸濁 した菌液 を接種 した もの に比べ、HR様 反応 の形成 は遅 く、そ の反応 も弱ま
った。
HRを 形成す るための外的要因のひ とつ として、光 による影響 が報告 されてい
る●ozanO and sequeira 197軋
て 引き起 こ され る
Zeier et al.2004)。
そ こで、P ttmtt Group Iに よつ
HR様 反応 が光 に よる影響 を受 け るか検証す るために、
Pαttα‖
α納 各菌株 をタバコの葉 に注入接種 した直後、アル ミホイル により遮光 し
た。その結果 、PP105は 遮光 の影響 を受 け る こ とな く壊 死斑 を形 成 したが、
訊PP2219,N‐ R53に よるHR様 反応 の形成 は遅れ、
その反応 も弱ま った(図
7‐
10)。
SLIPP1791,2203は 光 の影響 は関係な く、反応 は観察 されなか った。
166
抗生物質に よる 」皿 様反応形成 への影響
細菌の RNA合 成阻害、タンパ ク合成阻害、植物 のタンパ ク阻害剤 を処理する
ことにより、HR様 反応 が誘導 される要因について調査を行 った。 SLIPP2219の
菌液 を注入 し 30分 後に各抗生物 質 を処理す ると、テ トラサイク リンの処理 区で
皿 様反応は抑制 された(図
7‐
H)。
さらに、菌液 を注入 して 3時 間後 にテ トラサ
イク リンを注入 した葉 ではその反応 を抑制 した(図
7‐ 11)。
しか し、接種 4∼ 6時
間後、それ以降に、テ トラサイク リンを処理 して も、HR様 反応 は抑制 されなか
つた(図
7‐
H)。
そ して、この現象 は リファンピシン処理でも同 じ結果 が得 られた。
これに対 して、PP105の 菌液を注入 し 30分 後 に各抗生物質を処理す ると、テ ト
ラサイクリンを注入 した部分 でそ の反応 が抑制 された。 ただ し、 リフ ァンピシ
ンは HR反 応 を抑制 しなかった(dtta
nOt shown)。
では全ての処理区で HRが 誘導 された(図
7‐
■
そ して、3時 間後に注入 した葉
)。
また、シク ロヘ キシ ミ ド処理は Sl〃 P2219に よるHR様 反応 の誘導 を阻害 した。
このことか ら、SUPP2219が タバ コの葉 に侵入す ることにより植物体側 に新たな
タンパ ク合成 が誘起 され、その結果 HR様 反応 が誘導 された と考 え られた。
力響 誘導培地 による HR様 反応形成へ の影響
乃
ψ 遺伝子群 を有 してい る PP105は 培養培地に関係なく、HRを タバ コの葉 に
形成 した。力ψ 誘導液体培地で培養 した SuPP2219は
YP‐ brothで 培養
した菌液 に
より誘導 され た HR様 反応 に比べ 、その反応 が活性化 され ることな く、逆 に弱い
反応 となった
(図
7‐
12)。
SUPP1791,2203,HR4‐ 1503 ψψ 遺伝子群保有)は 力
ψ誘
導液 体培 地 に よる影 響 はな く、HR様 反 応 は誘 導 され なか っ た 。 ま た 、
SIIPP2439(力 ψ 遺伝子群保有),Su田 1993ψ ψ 遺伝子群 を持たない P cttJθ ttgrα
め
“
は YP‥ broth培 養 では HRを 形成 しなか ったが、LFp誘 導液体培地 で培養す ると
167
HRを 引き起 こした。
低栄養培地で培養 した力ψ 遺伝子群保有の植物病原細菌はみ
ψ 遺伝子群 の発現
が高まることが報告 されている。そ こで、
低栄養培地 (MM液 体培地)で SLIPP2219,
PP105を 培養 し、そ の培養菌液 をタバ コの葉 に注入接種 を行 った結果、図 7-13
に示 したよ うに、SUPP2219は
HR様 反応 を誘導 しなか った。 しか し、高栄養培
地 とされ る LB液 体培地 で培養 した場合、HR様 反応 を誘導 し、LFP遺 伝子 を保
有す るPP105と は異な っていた。
P ttα ‖α由 に よる ⅡR様 反応 にお け る ■甲 遺伝 子 群 の 関与
Su四 2219が 引き起 こす HR様 反応 に関 して ルψ 遺伝 子 の 関与 を調 査す るた め 、
みψ 遺伝 子 を保 有す る多 くの植 物病原 細菌が共 通 して保 持す る 力κ 遺伝 子 の 中 で 、
最 も高 い 相 同性 を維 持 してい る 加ぼ 遺伝 子 を 検 出す るプ ライ マ ー を設 計 し、
PCRに
よ りそ の存在 を 調 査 した。そ の 結果 、SUPP2219,SUPP1791か らバ ン ドは
検 出 され ず 、AFP遺 伝 子 を保 有す る HR4‐ 1503,SUPP2439か らは約 500bpの バ ン
ドが検 出 され た(図
7-14)。
さ らに、ゲ ノ ミ ックサ ザ ンハ イ プ リダイ ゼー シ ョン解
析 にお い て 、PCRの 結 果 と同様 に、SIPP2219と SUPP1791か らはそ の存在 を確
認 で きず 、HR4‐ 1503、 SIPP2439の 2菌 株 か らみFcR遺 伝 子 を検 出 した(図
さ らに 、先 の菌株 も含 め
SL「 PP2113,NR53,SK‐
P ttm聴
の
7-14)。
12菌 株 (GrouP I:SLIPP2219,CTB1061,
1,Awa101,Group Ⅱ:SLIPP1791,Melon‐ 1,Group 3:S■FPP2203,
Sasa101,OF102,Yomogi101)、
S■ IPP1993を
加 え 、ゲ ノ ミ ックサザ ンハ イ ブ リダイ
ゼ ー シ ヨン解 析 を行 っ た が 、補訳 遺伝 子 を検 出 で きなか つ た(図
7-15)。
SWP2219,1971,2203と Pssを タバ コに注入 接 種 し、ArP遺 伝 子 に よつて タ バ
コ に誘導 され る 力加fや 力∫
r2θ 3∫ 遺伝 子 の発 現 を調 査 した。 タバ コ に HR様 反応
を誘 導す る SIIPP2219は 力加Iの 発 現 を 6時 間後 、加″θり の発 現 を 9時 間後 に誘
導 した(図
7‐ 16)。
みψ 遺 伝 子 を保 有す る Pssを 注入 接種 した タバ コは注入 1時 間
168
後か ら力linf遺 伝子の発現 を誘導 させ 、6,9時 間後には強い発現 が確認 された。
力∫
r2θ J」 遺伝子 に関 して 、
6時 間後 に急激 な 加r2θ JJ発 現が確認 された。SL「 PP2219
J/2θ JJ遺 伝子発現 を比較 した とき、
と Pssを 接種 したときの タバコの 力J″ fと み
SUPP2219を 接種 したタバ コではそれ らの遺伝子 が 3時 間遅れて発現 してい る こ
とが判明 した。
SuPP1791は タバ コに 力加fの 発現を 1時 間後 と9時 間後に誘導 させた。さらに、
力∫
r2θ JJに 関 しては極僅 かな発現 を 9時 間後に誘導 させた。非病原性 SUPP2203
はタバコに 力Jだ の発現 を 1時 間後、LJF2θ 身 の発現を 6時 間後 に誘導 した。
これ ら各 々の菌株 を接種 したタバ コの葉 に誘導 された み加」と み
J/2θ JJ遺 伝子
発現量を比較すると、加r2θ JJに おい て大きな違 い が観察 された。 その遺伝子 の
発現量を検 出されたバ ン ドの濃淡 か ら判断 して 、SLIPP1791と 肌PP2203接 種区
では極僅 かであるの に対 して、SLIPP2219と Pssの 接種区では発現 が活性化 され
ていた。
7.4
考察
第 5章 にて、Group Iに 属す るP ttarlisが タバ コの葉 に HR様 反応 を引き起
こす ことを報告 した。 この反応 は 疇 1職Q遺 伝子 を保有す る植物病原細菌 により
誘導 される HRに 比べ 、形成 されるまでの時間 が遅い とい うことまで把握 してい
たが、それ以外 の点において全 く不明で あつた。そ こで、 タバ コに誘導 された
HR様 反応 について様 々 な実験を行 い 、TTSS(brF遺 伝子群)に よ り誘導 され る
HRと 比較 しなが ら、そ の特徴 につい て検証 した。
P ttαtt
Group Iに より誘導 された HR様 反応 は、接種後 36∼ 48時 間 に菌液
を注入 した組織に壊死 を誘導す るとい うもので ある(図 7-3)。 この HR様 反応 に
より形成 された壊死斑 は 48時 間以降 も拡大す る こ とはなく(図
7… 4)、
の菌数は壊 死斑が形成 され脱水症状 が進むにつ れて減少 した(図
その組織内
7-5)。
この反応
169
は、通常 の HRよ りも壊 死 を誘導す るまでにかかる時間が遅 い こ とを除 くと、観
察 された症 状 のみで判断す るとKlements(1964)が 定義 した HRと ほとんど一致 し
ていた。
ttα tt Group Iを 注入後 30分 経過 した葉 にシク ロヘ キシミドを処理
また、P α
した とき、HR様 反応 が抑制 された こ とか ら、 この HR様 反応 は病原細菌の侵入
を受け ることによつて誘導 された植物 の タンパ ク合成を伴 う動的な反応 である
ことが明 らか となった。同様 に、接種 30分 後にテ トラサイク リン、 リフ ァンピ
シンを処理す ると反応 が抑制 された こ とか ら(図
7-H)、
この反応 は組織 に生きた
P硼硼所lis Gfoup Iが 存在 しなければ誘導 されないこ とも判明 した。したがつて、
Pα確硼αtt GToup Iに よる
I・
R様 反応 は親和性関係 により生 じた病徴ではな く、
P αttαtt Group Iの 侵入 を認識 し誘導 されたタバ コの抵抗反応 であると考 え ら
れた。
P卿
麻 Group Iの 菌数 とHR様 反応誘導の関係 について、 1.9X108cwml以
上の濃度 の菌液(100 μl)を 注入 した ときに HR様 反応 は誘導 され 、YP‐ brothに よ
り振 とう培養 したときにその反応 は安定 していた(表
7…
1,図
7‐
1,2)。
HR様 反応 を形成す るためにはタバ コ組織内で 7.7X107du/inihr■ ed
そ して、
she程 度 の
菌量を 36∼ 48時 間以上が維持 されなければ HR様 反応 が誘導 されないこ とが明
らか とな った
た(図
7‐ 6,7)。
(図
7-5)。 この反応 はメ ロン子葉において も同 じ傾向が観察 され
この結果は、P α
ttαttα tt Gfoup Iは タバ コ組織内で増殖 も しくは 7.7
x107 ch/inflhrtted site以 上の菌 量を一定時間維持す ることが HR様 反応 を誘導
す るための重要な要素 となつてい ると考 えられた。 しか し、YPAプ レー ト(固 形
培地)上 で培養 した菌 を液体 に懸濁 し注入す ると、 その反応 は不安定とな り誘導
されに くくなった。特 に水に懸濁 した場合はそ の反応 が誘導 されなか った。 ま
た、YP Brothに より培養 した菌液 を遠 心分離 によ り集菌 し水 に再懸濁 した菌液
を接種 した場合、タバ コにおける HR様 反応 が YP Brothに て振 と う培養 した菌
170
液 を注入接種 した ものに比べ、不安定 とな り、壊死斑形 成能力 が弱 くなった
7… 9)。
A認 め″θ″αJ
(図
yrJttFgに 属す る多 くの種は 5.O X 106山 /ml以 上の菌数 があ
ればHRを 誘導す ることが報告 されてい る (Klements 1964)。 そ して、
培養条件、
菌 を懸濁す る液によつて反応 が異な るとい う報告 はない。なぜ 、 この よ うな違
いが表現 され るのか全 く不明である。
Lozano and Sequeira(1970)は 非親和性 R脚 加 α
β
θ
″卿 をタバ コに注入接種 し
た際、暗黒下では HR形 成せず、強い光(1800■ )を 照射す ると、HRが より強 く明
確 となることか ら、HRは 光 の影響 を受けると報告 した。そ こで、P¨
腑を
注入接種 したタバコを遮光 し、HR様 反応 の形成 に対す る影響 を調査 した。その
結果は図 7-10に 示 したよ うに、SUPP2219,NR53ぽ α″αη
αtt Group I)は 遮光条件
下では HR様 反応形成能力 が著 しく低下す る ことが明 らか とな った。この反応 は
Lozano and Sequeiraが 報告 した力
ψ 遺伝子由来のIER形 成能 と同 じ傾向を示 した。
しか し、PP105が 遮光条件下にも関わ らず 、通常 よりも弱い反応 で あつたが、菌
液 を注入 したタバ コに壊 死斑を形成 した。 これは光 の反応 による生理 変化 とは
関係なく、PP105が 産出 した毒素により壊 死が誘導 されたと考え られた。
をタバ コに接種 した とき、HRは 接種直後 か ら2時 間の
"硼 ッ留Fθ
誘導期、2∼ 6時 間の潜伏期 を経 て 、壊 死形成す るこ とが報告 されてい る(Sigee
島 あ副
"β
1993)。
そ して、誘導期 に細菌に対す る抗生物質 を処理すると HR形 成 は抑制 さ
れ るが、潜伏期 に抗生物質 を処理 して も HR形 成を抑制するこ とはできないこ と
が報告 され た。 これは 力ψ 遺伝子群 により誘導 され る
anttαtt Group Iに
HRの 場合 であ り、P
より誘導 された HR様 反応 は接種後 36∼ 48時 間経過 して形成
されるため、異 なる誘導期、潜伏期、細胞崩壊期 を経 ることが推測 された。そ
こで、本研究 において、植物のタ ンパ ク合成阻害剤(シ クロヘ キシ ミド)、 細菌 の
タンパ ク合成阻害剤(テ トラサイク リン)、 細菌の Ⅲ
A合 成開始阻害剤(リ
フ ァン
ピシン)を 処理す る こ とによ り、HR様 反応 に与え る影響 につ い て検証 した。
171
S■ IPP2219と
PP105を 注入接種 した タバ コ にシ ク ロヘ キシ ミ ド、テ トラサイ ク リ
ン を接種 30分 後 に処理 す る と HR様 反応 及 び HRと もに抑制 され た (図
Bl)。
7‐
1lA‐ 1,
テ トラサ イ ク リンの接種 3時 間後 の 処 理 では PP105を 接種 した タバ コで は
HRを 抑制す る こ とはで きな か つ たが 、 S■IPP2219を 接種 したタバ コで は HR様
反応 を抑制 した 。 4時 間後以降 の 処理 で SLIPP2219に よる HR様 反応 は 4∼ 6時
間後 以降 の 処 理 で抑 制 され な い よ うにな つ た (図 7"1lC)。
シンで も同様 で あった(data not showo。
この傾 向 は リフ ァ ンピ
したがつて、P J4ar7Jtt Group Iに より
誘導 された HR様 反応 は、病原細菌が植物組織に侵入す る ことによ り、タバコが
それ を認識 し抵抗反応 に関わるタンパ ク合成 を伴 う動的反応を示 した ことを意
に
味す るとい う点では ルψ 遺伝子 により誘導 された HRと 同 じであつた。 しか し、
タバ コ組織 内で病原菌 を認識 しその抵抗誘導 が開始 され るまでの時間が異な り、
PP105に よる HRで 3時 間未満、SIIPP2219で 4∼ 6時 間 と僅か 2∼ 3時 間の差で
あつた。植物 の動的反応 として誘導 され始 めるスター トが 2∼ 3時 間 の差であつ
て も、細胞壊 死 とい うところに至 るまで の時間が大きく異なつてお りこ とを意
味す る。つ ま り、HR様 反応 は接種直後 か ら 4∼ 6時 間の誘導期、32∼ 44時 間の
潜伏期を経 て、細胞崩壊期 に至 ることが明 らか となった。IERで 観察 され る植物
の動的反応 と比較す ると、反応 に掛 かる時間が大きく異なることか ら、HR様 反
応 は HRと 異なる動的反応経路 を誘導 してい ると考え られた。
また、養分 の少ない培地で培養 された R翻 あ″
"硼 wrinyc
αは リフ
Pv.gJycli″ θ
ァ ンピシンの影響 を受 けず 、HRを 誘 導 した こ とが報告 されて い るcHuynh d
al.1989)。
PP105に おいて、リフ ァンピシンによる抑制効果 は確認 で きなかつた。
この理由として、R聞巌wttα Jッitte pv gJyg加
`α
の例 か ら考える と 力
ψ 遺伝子
の活性 が誘導 されてい るとき、 リフ ァンピシンの影響を受けない、通常 とは異
なる別 の RNAポ リメラーゼ が誘導 され るのか も しれない。 しか し、Group Iに
属す るPamα ガJは リファンピシンによ り完全に反応 を抑制 されてい た。これは
172
細胞死 を誘導す る経 路 が 異 な つてい る可 能性 を示 唆す る もので あ つた 。
続 い て 、遺伝 子 レベ ル にお ける P鰤硼αtt Group Iの 力ψ 遺伝 子 の保 有 、及 び 、
HR誘 導 時 にタバ コ に誘 導 され る遺 伝 子
(み iirf,ル Jr2θ 3め
初 に DTli4加 判 lo"認 ,P aggJowθ 閣肥
につい て調 査 を した 。 最
pv.,p専 蒲j鷺 ,P ttlttθ rtt
pv.
所 JJarrJ“ 、PJた war″ J subsp.∫ ″ソ″″′にお い て ルκ 遺伝 子群 の 中で も相 同性 の 高
い 加盤 をター ゲ ッ トDNAと して 、PCRに よ る 加訳 遺伝 子 の 検 出や ゲ ノ ミック
サザ ンハ イ ブ リダイ ゼ ー シ ョン解 析 を行 っ た が 、P
ttαtt
Group Iの ゲ ノ ム 上
に 加醸 遺伝子 の 存在 を確 認 で きな か った。 これ らの 結果 か ら、P翻 硼 αriis
GrOup
Iが 力ψ 遺伝 子 を保 有 して い な い こ とが 明 らか とな った。 よ って 、P硼 鋼 α歯
Group Iは
TTSS以 外 の 分泌機構 に よ り HR様 反応 を誘導 してい る可能性 が 示 唆
され た 。
HR様 反応 を誘 導す る SUPP2219を 接種 した タバ コにお け る ル加J,L/J2θJJ遺 伝
子発 現 は 、Pssを 接 種 した タバ コ よ り、 3時 間遅れ て誘 導 され てい た (図
7-15)。
S2θ JJ遺 伝 子
そ して 、HR様 反応 を誘 導 しない P mmrlis(sUPP1791,2203)で は 力κ
発 現 量 が極僅 か で あ っ た点で 、HR様 反応 や
HRを 誘 導す る SUPP2219と
Pssと
大 き く異 な って い た 。 力sr2θ JJは 外 的 ス トレス や ルψ 遺伝 子欠損株 で は誘 導 され
な い こ とが報告 され て い る●ontler飢 J1994)。
したが つて 、HR様 反応 にお い て
誘 導 され た 力FJ2θ JJの 発 現 はタバ コ組織 で HRと 同様 に動的反応 を誘 起 され てい
るこ とを意 味 し、 みψ 遺伝 子 とは 異 なる P酬 翻 αtt Group Iが 保 有す る別 の 遺伝
子 に よ っ て誘 導 され た と考 え られ た。
これ らの結果 か ら、HR様 反応 と HRの 共 通 点 と相違 点 につ い て ま とめた (表
7‐ 1)。
みψ κ 遺伝 子 を保 有 しな い P鰍銀αtt GToup Iは 、培養 条件 に影 響 を 受 け、
高 栄 養 条件 の 液 体培養 を行 い 108cm/ml以 上 の 菌数 を注入 した ときに 、 タ バ コ に
HR様 反 応 を 引 き起 こす 能 力 を発 揮 す る。 これ は
Psg"伽 鋼αs yFJ″ lrβ
肝P/hκ 遺伝 子 を保 有 す る
と異 な って い た。P anα■att Group Iに よる HR様 反応 にお
173
いて、反応誘導時間、テ トラサイ ク リンによる阻害効果 の有効時間、 タバ コの
力
rs2θ JJ遺 伝子発現が P″ 算
あ″饉αs yれ りβの場合に比べすべ て遅れ て誘導・発
現 してい た。 この反応遅延は P
amisGroupIの 侵入を認識 したタバ コの抵抗
反応 を誘起す る代謝系 が HRの 代謝系 と異な ってい ることを推測 させた。したが
って、皿 様反応 は ルψ 遺伝子 とは異なる P
mmtt GfoupIの 保有す る別 の遺
伝子を持 ち、TTSsと は異なるタンパ ク分泌 機構 を持つ と推測 された。 しか し、
タバコの遺伝子発現 において、HRと 同様 に 力Jttf,AFJ2θ 〃 遺伝子 が発現 してい る
ことか ら、反応 が遅れ てい るだけで HRと 同 じ代謝変動が起 こってい るのか も し
れない。この場合 は Pα碑
醐 麻 Group Iの エ フェクターに起因す ると推測 され る。
P α
ttИα
tt GToup Iに よるHR様 反応 に関 して、
今後更なる研究 が期待 され る。
そ して、HR様 反応 の条件 として挙 げ られた高栄養、108cⅣ ml以 上の菌数 の必要
性 に関 して、 メ ロン果実 内腐敗病 の病長発現条件 と重なる部分 もあ り、宿 主植
物への病原性 と連鎖 させなが ら研究を進めてい く必要があると考えられ る.
174
表7-1 2 anana施 により引き起 こされた過敏感反応様反応 と
角 θ〃赫 oras sy/Jngaθ による過敏感反応の比 較
P. ananatis Group
I
Pseudomonas syringae
HR
HR like reaction
壊死反応誘導菌数
YPAプ レート培養
YP― broth培 養
低栄養液体培地培養
妨″ ′ 遺伝子
“
壊 死反応 誘導時間
抗 生物質 による反応 阻害
力rsFθ JJ遺 伝子発現
1.9x108。 fu/ml以 口
上
5。
O X 100 cfu/m!El.上
十
+
+
+
+
36∼ 48時 間
12∼ 24時 間
4∼ 6時 間
3時 間未 満
接種後 約 9時 間
接種 後 約 6時 間
175
SUPP2219
Pa“
s Group I
"面
PP105
pv.μ J
Ps“ あ 馳 ″ ッ
“ "4g“
おによるHR様 反応形成、及 び
図 7‐ 1 異なる培養条件で培養 され た 2″協η′
駅 様反応誘導物質の調査
A:YPAプ レー トに画線培養 した菌株 を減菌水に懸濁 し注入接種 (108∼ 9ch/ml)
B:YP‐ brothで 培養 した菌液 を注入接種(108∼ Ъげd)
176
図
7-2 注 入 した 菌液 の 濃 度 とタバ コ にお ける壊 死 斑 形 成 の 比 較
A: SllPP2219(′ ●72r77Pr7′ お Group l),BI stlPP1791(′ α″α″αrr,Group]),
CiSllPP2439(′ αgg7o″ ο″
α″s pv ttp狸 /27カ θ
),D:PP105 cs● ″あ綺ο″ ッ
・inttθ
“
pv′ お′
)NCi■ T_broth,1:接 種 原 液 ,22倍 希釈液 ,35倍 希釈 液 ,4:10倍 希釈
液 ,5120倍 希 釈 液 ,6:100倍 希 釈 液
接 種 原 液 の 濃 度 :SuPP2219(95×
1 08cft1/ml),StJPP1791(95× 108cfVml),SllPP2439(34× 108cfVml),PP105(95
×1 08cfu/ml)
177
il]illilサ lGrOupI
PPl05
Pseudomonas
syringae pv. pisi
SIIPP1791
■ ″″α″αtt Group I
図 7-3 P翻 略鷹Isを 接種 したタバ コの葉 における時間経過に伴 う壊死発現調査
178
図
7‐
4
親 和性 ・ 非親和性 植物病 原細菌 を注 入 した とき の タバ コの 反 応
″Sい。up I)B:PP105 cw励″ο′αs,シrJ4♂ α′pv Pis,),c:
“
StlPP1791c α″α お GOup Ⅱ),D:Pt7364 cw″ あ″
′
ッ″
僣 pv″ ら ゴ
)
“
“
““
“
Dに 示 した 点線 で 囲 つ た 円 は接 種 時 に菌 液 を注入 した 部分 を示 す。
AI SUPP2219c α
179
Cogl
9
^85
8
18
E75
ヽ
弓
洒
7
檀
履65
尋
当 6
像
障 55
5
図
7‐
5
菌液 を注 入 した タバ コ組 織 にお け る生 菌数 の推移
StIPP2219:′ α
"″
Pse″
`力 "ο
′
ηs,"4g″
s GoupI, StlPP17911 P α油 ″
ノ
s OoupⅡ ,PP105 :
"“
`pv prsJ
180
図
7-6
菌液 注入 接 種 した 6日 後 の メ ロ ン子 葉 の 反 応
NC:滅 菌 水 ,StlPP1791 2
α
rls Group Ⅱ,StlPP22 1 9:P翻 %″Is Group I,
““
ttα rrs GroupⅢ ,SUPP24391 P ttg`ο ″erms pv ttpscP力 Jlαe
S■ lPP2203 1 P α
181
Q 9 師 8 蘭 7 “ 6 師 5 “ 4
磐 ●03E 〓
堰一
ヽこo︶
嘲 担 轟 ‘轟 軍 樹 叶
︵
-■ 卜‐SUPP2219
SUPP2203
-SUPP2439
■
3day
図
7‐
7
6day
9day
接種後 の 日数
12day
メ ロ ン子 葉 にお け る接 種 後 の組 織 内 で の 菌 量 変 化
SllPP1791:P… ″S
―
SUPP1791
一
Group Ⅱ,SllPP2219:′ α溜窃″″s
m
″S GOupⅢ ,StlPP2439:P aggrapι ″
GoupI,SllPP2203:P
pv"Jraa
182
図 7-8 11R様 反 応誘導物 質 の 調 査
A:YP‐ broth振 と う培養液 接 種 ,B:YP‐ broth振 と う培 養 液 を遠 心 分離 した後 の 上
ペ
清 液 接 種 ,C:YP― broth振 と う培 養 液 を遠 心 分 離 した 後 に得 られ た レ ッ ト
YP‐ broth再 懸 濁液 の注入接 種
NC:YP― broth,1:SllPP1791,2:S■ lPP2219,3:StlPP2203,4:StlPP1993,PI PP105
183
図 7‐ 92-歯
group I説 面 n(SIIPP2219)の 壊死斑形成要因の調査
NC‐ 1l YP‐ broth,NC‐ 2:w江 鶴
1:無 処理 の培養菌液,2:培 養菌液 の遠心分離 。ボル
テ ックス処理,3:培 養菌液遠心分離後 に上清 を新 YPも roth交 換 しボルテ ックス
した菌液,4:培 養菌液 を遠心分離 し、上清 を滅菌水 に交換 しボルテ ックス により
十分に混和 した菌液,P:PP105(Ps励
gα ′pv
″
ブ
″
"四 ツ
PIsI)の YP‐ broth培 養菌
液
StJPP2219は 95× 108cumlを 接種源 とし、各処理 を した後 に注入接種 され た。
PP105は 29× 10'cIVmlを 接種源 とした。
184
図
7‐
10
遮 光 に よ る IIR様 反 応 形 成 へ の影 響
A:光 照射 処 理 ,B:
遮光処理
′
S Group I),
脇α′
“
α″ rls Group Ⅱ ),P
NCi YPめ roth,1:StIPP2219(′ α″″α麻 け oup I),2:blR53(Pα
3:SllPP2203c
α″α rIS Group Ⅲ ),4:SIJPP1791¢
“
′pv′ Is′ )
71as,r,48γ
PP105(Psc,あ ″●
“
185
テトラサ イクリン処理
4-6h
SUPP2219
几 aFana」S GЮ upェ
PP105
Psevdomonas
syangae pv.pた ′
図 7-H 抗生物質処理によるタバ コ壊死斑形成への影響
テ トラサイ クリン処理濃度は 20μ g/mlに 調整 した もの注入 した。
186
図
712
「
‖苗 │■ ‐
1:ろ
セ′
″′
カ′
″ 誘 1ル 午地 で 培 養 した ノ
`,′ ``llr判
ヾCi lヽ1-broth
〕
i
SUPl)2219, 2iSUPP17111、
llR反 │よ 形 成
31StJPP2203, 4iSIIPP 1993,
5:HR4-1503,6i SUPP2439,7,PP105
187
MM漬 体培地
LB液 体培地
SuPP2219
2 araFaお Group I
PP105
Pseudomo"as
,Frngae p■ pた ′
″s
図 7-13 NIIM液 体培地で培養 した P“鰤α
GmpIに よる IIR様 反応誘導
188
M
図
7-14
″cR遺 伝 rの
PCRに
2
3
4
よ る検 出、及 び 、 ゲ ノ ミ ッ クサザ ンハ イ ブ リダ
イ ゼ ー シ ョン解 析
M:DNA makc■ 1:StyPP2219,21 SWP1791,3:HR4-1503,41 SllPP2439
189
12
図
7-15
13
14
15
″訳 遺伝子領域 に 関す るグ ノ ミ ックサザ ンハ イ プ リダイ ゼ ー シ ョン
解析
′ 切mm″ ノ
s(1:SllPP2219,2i Cm1061,3:StlPP2213,4:NR53,51 StlPP1791,6:
Melon‐ 1,7:INA‐ 2,8:Sasa101,9:Yomogl‐
Pq慇 ′ο″′raPs(SllPP1993),14:P
101,10:OF102,11:Awa101,12:SK‐
aggramけ 郎
pl,η
1,13:
″raa(SuPP2439),15:′
ttm pv″ ブ
Jra籠
晏忍 〃ι
cHR4‐ 1503)
“
`ο
190
SUPP2203
SUPP1791
SUPP2219
Pss
3691360136913091369
al●
′
力sr203J
Tac9
図
7‐
16 TTSSに
よ り形 成 され る HRlこ お い て タバ コ に誘 導 され る 力771′ ,お″θ身
遺伝 子 の発 現 調査
″IPj′ :harpin inductt hy2θ 7:hypersenshivity― related
2θ
9:ア クチ ン遺伝 子
ヵ, ルσ
を示 して い る。
DW:う 載菌蒸 留 水,StlPP2203:Pα ″α″α/1s
SllPP2219:Pα
漱筋 OJrs
GroupⅢ ,StlPP 1791:Pα ″α″αrrs oЮ up Ⅱ
GrOup I,Pss:′ w″ dο ″ ο晟 容
,
ッ riれFe
pVり
″″
g,″ (ラ イ ラ ッ
ク枝枯れ細 菌病菌)
191
第 8章
総合考察
Sの 植物 に対す る病原性、生態、その多様性 を明 らか
ttα 隠″
本論文は ■副枕αα
にす る こ とを 目的 と して行 われた 。 まず 、 メ ロ ン果実 内腐敗 病 の 病原 が
P
鰍酬α
JliJで あるこ とを明 らかにした。そ の感染・伝染経路 につい て、 ヒラズハナ
アザ ミウマ による伝搬、 メ ロン花器 で の定着 ・生息、交配後 の 「花取 り作業」
によりで きた傷 日か らの感染(特 異 的 な花器感染 )を 明 らかに した。次 に、P
硼面
sの 多様性 に関 し、 タバコヘ の注入接種試験や特異的遺伝子(ia酬,ゴ
β
Jzlの 検出 により、P α
4αm麻
颯
“
が 3つ の グループ (Gfoup I,Ⅱ ,Ⅲ )を 構成するこ
とを解 明 した。そ して、 この
3つ の グループは宿主植物に対す る病原性 におい
て も分化 していることを明 らか とした。要約すれば、以 上の事実 が本研究 によ
って初 めて 報告 される成果 である。 これ ら以外にも、様 々な事象 を提 え、各章
にてその可能性 につい て考察を行 つて きた。本章の総合考察 では本研究で得 ら
れた成果 の 意義や応用性 について述 べ るとともに、今後 の研究 の発展性 につい
て、 これまでの報告 な どか ら推察で きる ことを論 じた。
メロン果実 内腐敗病
日本にお いて、`ア ールス'メ ロンや `ア ールス系'メ ロン (品 種改良により `ア
ール ス 'に 極 めて近 い メ ロンに育成 された品種 )は 日本人を魅了す る嗜好 品 と
して 「果実 の王様」 と称 され、贈答 品 として扱 われ ることが多 い。 これはメ ロ
ンを贈 る人 の感謝 の気持 ちも含 まれ るため、単な る果実商品 として価値以上に
重要な意味 を持つ こ とになる。このような背景から、メロン産地は消費者 に良いメロ
ンを届けるため、糖度 などの食味のみならず、外観 の美 しさ(ネ ット形成 ,果 皮色)な ど
の多くの点 に配慮 し、品質にこだわつた果実を出荷している。
本研究対象であるP¨
鷹 GToup Ⅱにより引き起 こされるメ ロン果実 内腐敗
病は、果実外観は正常 で あるにもかかわ らず 、果実内部 の胎座 を中心にその周
192
辺 の果 肉組 織 が水 浸状 腐 敗 す る病害 で あ る。 この症 状 には酸味 を帯 びた 強 い 異
臭 を伴 う こ と もあ り、 果 実 の 商 品価値 は全 くな い 。 そ して、果 実 以外 に症 状 を
示 さな い 点 、仮 に果実 内部 に病徴 が 形 成 され てい た と して も外 観 か ら判 断 で き
な い点 に 本 病害 の 問題 点 が あ り、 メ ロ ン栽培 全期 間 を通 じて、P αηα αJお Group
“
Ⅱに感染 した 疑 い の あ る果 実 を取 り除 くことは 困難 で あ る。本 病 発病果 実 は糖
度 が Brixl o%前 後 (健 全 果 実 はお よそ Brix15%以 上 )と 低 い ため 、果 実糖 度 を分析
す る光 セ ンサー装置 を 持 つ メ ロ ン集 荷場 で あれ ば市 場 へ 出荷前 に 発病果 実 を取
り除 くこ とがで きる。 しか し、光 セ ン サ ー 装 置 は 高額 な設備 で あ るため 、 この
装 置 を持 つ メ ロ ン集 荷 場 は希 で あ り、 打音 に よる音 の 違 い や 集 荷場 の職 員 が 臭
い を嗅 ぎ分 け 発病 の 疑 い の あ る果 実 を取 り除 いてい る。 この よ うな状 態 で 、 メ
ロ ン産 地 と しての プ ラ ン ドを保 って い るのが現 実 で あ る。 した が って 、 本病 害
を発症 した 果実 が市場 に流 れ な い よ う にす るため には 、栽培 の段 階 で Pα α αJお
““
Group Ⅱが メ ロ ンに感 染 しな い ように 防除対策 を徹 底 す ることと、本病 を発症 し
た果実 を 取 り除 く技術 を開 発す る必 要 が あ る。
本病 の 防 除手段 を考 え るため には Pα ″α″αrお Group Ⅱの伝染環 を十 分 に理 解す
j∫
る必要 が あ る。P αηα″αノ
Group Ⅱの伝 染環 に関 して、 本論文 の 第 6章 にて検証
した。 そ の 結果、■ α αηαノ
Js Group Ⅱは種子伝染 し、 メ ロ ンの花 に寄生 す る ヒラ
“
ズハ ナ アザ ミウマ に よ り虫媒伝搬 され 、雄花 ・ 雌 花 で 定 着 ・生 息 し、交 配結 実
確 認後 の 花 取 り作業 で で きた傷 国か らの果 実 内部 へ 侵 入 す る とい う果 実 へ の感
お
染経路 と伝 染環 の 一 部 を 明 らか に した。 しか し、 本 研究 にお い て 、Pα α″α′
“
Group Ⅱの 汚 染種 子 16個 体 を栽 培 したが 、 そ の 植 物 体 の 雄 花 や 雌 花 か ら P
αηαηα′
JS Group Ⅱが検 出 され る ことはな く、発病 に至 った果実 は なか った。 この
事実 は 汚 染 種子が 直接 的伝 染源 に な る可 能性 が 低 い こ とを意 味 した。 ゆえ に、
ヒラズハ ナ アザ ミウ マ が メ ロ ン雄花・雌花 へ P αηα α′
おGroup Ⅱを伝搬す る こと、
“
つ ま り、 P αttαttα ′
おGroup Ⅱを保菌 す る ヒラズハ ナ アザ ミウマ が 最 も重要 な伝 染
193
源 とな る と考 え られ る。 しか し、 第
jJを 検 出
5章 にて様 々な植物 か ら P αttα ηα′
し、分離 され た菌 が 属 す るグルー プ を調 べ た ところ、P α4α ttα ′
お Group Ⅱが検 出
され た 植 物 はメ ロ ンのみ で あ った 。 これ らの ことか ら、真 の 伝 染源 を突 き止 め
るた め に も、 ヒラズ ハ ナ アザ ミウ マ が どこで どの よ う に して Pα ″αηαtt Group Ⅱ
を獲得 して い るのか 調 査 を行 う必 要 が あ る。 そ して 、 ヒラズハ ナ アザ ミウマ の
防除 に努 め ることが 、 本病感染、 感 染 拡 大 を防 ぐための最善 策 と考 え られ る。
具体的 な 対 応策 に関 して は第 6章 の「 メ ロ ン果実 内腐 敗病 の 防 除対 策 につい ての
考察」にて 論 じ、防除対策 と して健 全 種 子 の利用、虫媒伝搬 の 阻止 や 花器 での病
原細菌 増 殖 抑制 が 有 効 と考 えた。 本 研 究 を行 う ことによ って 、 メ ロ ン産地 に こ
`
の よ うな 本 病害対策案 を提 案 で き、 注 意 を喚起 で きた ことは 、 本病 で 問題 を抱
え るメ ロ ン産 地 や 本病 の 発生 が 懸 念 され るメ ロ ン産地 に と って 産 地 形成上意義
が大 き い もの と思われ る。
本病 を 発 症 した果 実 を取 り除 く技 術 開発 に関 して 、非破壊 条 件 で 本病 発症 果
実 を検 出す る技術 が 求 め られ てい る。 そ の 方法 と して 、 メ ロ ン果 実 内腐 敗病 の
特徴 の一 つ で あ る悪 臭 に注 目を した 。 そ こで 、静 岡大学農学 部 天然物化 学研究
室 の渡 邊 修 治博士、 及 び 、長谷川 香 料株 式会社 との 共 同研究 に よ り、 メ ロ ン果
実 内腐 敗 病 の悪臭 原 因 とな る物質 を特 定 す る こと を 目的 と して 予備 実験 を行 っ
た。発病 果 実 か らダ イナ ミックヘ ッ ドス ペ ー ス法 にて 悪臭 を カ ラ ムに吸着 させ、
ガスク ロ マ トグラ フ ィー にて分析 を 行 った ところ、 ア リル メチ ル スル フ ィ ド、
メチル メ ル カプタ ン、 イ ソ吉草酸 、 プ ロ ピオ ン酸 な ど悪臭 の 原 因 とな る可 能性
の あ る物 質 が検 出 され た(dtta nOt shoⅦ )。 しか し、悪臭原 因物 質 に 関 して 、人 が
悪臭 と感 知 で きる濃度 が 不 明 で あ る点 、悪 臭 が 様 々 な物質 が 絡 み 合 って成立 し
てい る 可 能 性 が あ る点 な どか ら、 そ の 特 定 が 困難 で あ り、 よ り多 くのサ ンプル
を比 較 す る必 要 が あ った 。 しか し、 サ ンプルの入 手 が 困難 で あ った理 由 か ら、
悪臭特 定 の 研究 は 断念 せ ぎ るを得 な か った。 ただ し、 メ ロ ン産 地 に お い ては 、
194
メロン果実 内腐敗病発症果実だけでな く、潤み果 実、発酵果実 とい った異臭 を
放 つ生理 障害を伴 う果 実 を取 り除 く必要があるため、 これ らの障害を持 った果
実 を取 り除 く技術 として、各 々の悪臭原因物質 を検知する簡易 な装置が要望 さ
れてい る事実 は言うまで もない。 したが って、本研究では悪臭原因物質の候補
を絞 ることはで きた と考え、今後、悪臭原因物質 が特定され、産地で病害 発症
果実を検 出するための簡易装置が開発 されることを期待 したい。
メ ロ ン果 実 内腐敗病菌 解 α α″αtt Group Ⅱ)の 病 原性
“
ロ
メ ン果 実 内腐敗病 菌 の病原性 因子 の一 つ と して 、Pα ″α4α ′
お Group Ⅱが 保 有
す るイ ン ドール酢酸 合 成 遺伝子 は肌に
jα
α鋤 とサ イ トカイエ ン合成遺伝子 (β ″)の
関与 を示 唆 した。 これ らの遺伝 子 は 、宿 主 植物 に こぶ(増 生)病 徴 を引 き起 こす植
″ ψ εJθ ″∫ =tumorigenic
“
ttθ ″
鰐 ΨrJ“ gα θpⅥ ∫
αッ
α∫ θj)、 シ ユ ツ
物 病 原 細 菌 で あ る 、 根 頭 が ん 腫 病 菌 ugrabα
R乃 ルθ
bjν ″ 押 .),オ
リー ブ こぶ 病菌
Ⅳ
"Jθ
`た
rJり
“
"″
『
コ ンカス ミソウこぶ 病 菌 (Pattθ θ
αaggJa“ β
rα ∫pv.,wリ カ
山
共通 して 保 有
`)が
“
す る遺伝 子 で あ り、各 々 の病 原性 に 関与 して い る ことが報告 され てい る(Clark et
al. 1993i Comai and Kosuge 1980:Sucrico et al. 1985;Liu et al. 1982:Lichter et al.
1995a,bl Mo■ is
1995)。
しか し、 メ ロ ン果実 内腐 敗 病 は果実 に こぶ を形成す る病
害 では な い 。 本研究 に て 、 これ らの遺 伝 子 が病 徴 部 位 で 発現 して い る こ とを確
認 したが 、 果実 内部 の 腐 敗 に どの よ う に 関与 して い るのか全 く不 明 で あ った 。
果 実 内部 で イ ン ドー ル 酢 酸 が 産 出 され る部位 に 関す る報告 と して、 トマ ト果 実
内部 で は 、 イ ン ドー ル 酢 酸 が 果 肉組 織 よ りも トマ ト種 子 に多 く含 まれ てい る こ
とが報告 され てい る(Hocher et al.1992)。 健 全 な メ ロ ン果実 で は 、 イ ン ドール 酢
酸 が メ ロ ン種子 の形 成 と ともに急 激 に産 出 され、交 配後 か ら 35日 間、常 に果 肉
組織 内 に 1.5ng/gが 維 持 され、 細胞壁 結 合酸性 polygdacturonaseや hexokinase、
及 び 可溶 性 酸性 polygalttturonaseや hexokinaseの 活 性 を促進 させ る効果 が あ る
195
ことが 報 告 された(Lec et al.1997)。 本研究 において 、メ ロ ン果 実 内腐 敗病菌 は 30
日以 降 に種 子形成 部 位 で あ る胎座 にて 急激 に増殖 し、 メ ロ ン組 織 内 で一 定 の菌
量 が一 定 期 間維持 され た後 に病 徴 が 形成 され る こ とを 明 らか に した 。 この こと
か らメ ロ ン果 実 内腐 敗 病菌 が一 定 量 以上 のイ ン ドール酢酸 を メ ロ ン組織 内 に産
出 し、 そ れ を受 けて メ ロ ン組織 の polygalacturonascや hexokinaseの 活性 が 激 し
く高 ま り、植物細胞 壁 の主 成分 で あ る セル ロー ス、 ヘ ミセ ル ロ ー ス、 ペ クチ ン
質 が 分解 され 、水 浸症 状 が誘起 され て い る可 能性 が推測 され た。
閉θ4α ∫妙
θpv.∫ αッ
α∫
脇4θ jと Pα raθ α
“
"4gα
各 々 の病 原性菌株 と非病原性 菌株 との 間 でサ イ ト
また 、 Lichter et al.(1995b)は
aggJθ ttθ rα 刀
∫pⅥ
騨 sψ 乃山
`の
P∫
`"あ
カイ エ ン生 成量 に 関 して 比較 を行 い 、病 原性菌株 は 非病 原性 菌株 に比 べ 、多 量
のサ イ トカイ エ ンを 生 産 した こ と を報 告 した。 サ イ トカイ ニ ンは細胞分裂 を促
進す るホ ル モ ンで あ る ことは周 知 の事 実 で あ るが、それ 以 外 に 、細胞壁 イ ンベ
ル ター ゼ 遺 伝子 とグル コー ス輸 送 担体遺 伝子 の 発現 を誘 導 す る ことが報 告 され
て い る(Bremer et al.2005)。
よ って 、 サ イ トカイ ニ ンが加 わ る ことによって 通 常
とは異 な る生理代 謝 が 導 かれ て い る可 能 性 も考 え られ る。 また 、 サ イ トカ イ ニ
ンに は イ ソ ペ ンテ ニ ル アデ ニ ン, トラ ンスーゼ アチ ン,シ ス ー ゼ アチ ンが 存 在
し、そ の 活 性能力 が 異 な ることが 知 られ て い る (K〔 mada‐Nobusada and Sakakibara.
2009)。
メ ロ ン果実 内腐 敗病菌 の 産 出す るサ イ トカ イ ニ ンが どれ に あ た るの か 調
査す る必 要 が あ り、 病 原性 を発揮 す る上 で重 要 で あ るか も知 れ な い 。 この 他 、
メ ロ ン果 実 内腐敗病 菌 が 自身で細 胞 壁 を分解 す る病 原性 関連 酵 素 を産 出 して い
る可 能 性 も十分 に考 え られ る。 今 後 、以 上 の事 象 に つ い て 、 メ ロ ン果実 内腐 敗
病菌 とメ ロ ン果実 との 相 互 作用 の 場 で起 こ り得 る生理代 謝 に 関 して 更 な る検 証
が必 要 で あ る。
助
α αttα 廊 の多様性
“"`α “
196
これ まで Pα α α′
お は病原性 の 弱 い植物病 原細菌 と して扱 われ、腐 生細菌 とい
““
う認識 が 一 般的 で あ った ため 、研 究報告 も少 な く、 未解 明な点 を多 く残 して い
る植物 病 原細菌 で あ る。 本研究 にて 、P αttα ηα″
お は ネギ ・ タバ コに対 す る反応 、
特異的 遺 伝 子 の有無
(jα
αtt
jα α
二
`″
)か ら少 な くと も 3つ の グル ー プ(Group I,Ⅱ
,
Ⅲ)に 分 かれ ることが 明 らか とな った。 これ らの グル ー プの 宿 主 植物 に対 す る病
原性 か ら、Group I系 統 は イネ 内穎 褐 変病 、タ マ ネギ center rOt病 、パ イナ ップル
花樟病 の 病 原系統 、 Group Ⅱの系統 は メ ロ ン果 実 内腐敗病菌 の系 統 、 GroupⅢ 系
統 は メ ロ ン、イネ、 タ マ ネギ(ネ ギ)に 対す る非病 原性系統 を含 み、グルー プ 同様
に病 原 性 も分化 して い る ことが判 明 した。これ は 、全 ての P αttα ″α′
なが 同 一 の病
原性 を示 すわけで はな く、Pα α αrお 種 内 で病 原性 が 分化 して い るこ とを示 す重
““
要 な意 義 を持 つ 結果 で あ った。
本論 文 にて報告 した メ ロ ン果 実 内腐 敗病 は症 状 が 激 しい た め、 発生 率 が 少 な
くて も、 生産者 や 消 費者 に与 え る イ メー ジは 悪 い 。 アメ リカ合衆 国 の ジ ョー ジ
ア州、 コ ロ ラ ド州 、 ミシガ ン州 にて 発生 が確認 され た タマ ネギ `center rOt'病 は
発生 が 確 認 され た 数 箇 所 の 圃場 で全 ての タ マ ネ ギ に被害 を与 え 大 きな ダメー ジ
を与 え て い ることが 報 告 され た(Gitaitis
et」 .2002;2003)。
また、 日本各 地 で 発生
が確 認 され てい る イネ 内穎褐変病 は 、近年 の 夏季 の 高温傾 向 に あ る気候 変動 に
伴 い 、 そ の 発生 が 顕 在 化 し始 め る とと も に、種 子 生産 の現 場 で 問題 とな って い
る(長 谷 川
2007)。
この よ う に経済 価 値 の 高 い農作 物 の被害 を 防 ぐため には 、そ の
伝染源 を探 る必 要 が あ り、本研究 で 明 らか に した Pα ″αη″おの 病 原性 分化 を十 分
に考慮 した上で、目的 とす る病原性 を持 つ Pα α α′
おの伝染環 を調査 しなけれ ば
““
な らな い 。 しか し、 伝 染環 を調 査 す る際、分離 され た菌株 の 病 原性 を調査 す る
ため に は 宿 主 植物 へ の接 種試験 を 行 わ なけれ ば な らな い。 タ マ ネギ で あれ ば 比
較 的容 易 で あ るが 、 イ ネ、 メ ロ ンの 場 合 は花期 の ステー ジ に あ る植 物 を準備 す
る必 要 が あ り、 接種 試 験 によ り病 原性 を評価す るまで にイネで 約 10∼ 14日 間、
197
メ ロ ンで 約 50日 間 必 要 とな る。 この ため 、分離菌 の簡易 な同定方 法 と分離 され
た
Pα ″αηα′
お の病 原性 と分離菌 の 属 す るグル ー プ を判 断す る簡 易 方法 が必 要 と
な る。そ こで 、本研究 の 結果 か ら、次 の ような分離 ・簡易 同定 方 法 を提案す る。
まず 、 サ ンプル を減菌 水 (500 μl)に て磨 り潰 し、 この磨砕液 を一 白金 耳取 り P
αttα 4α ′
お の選択培地 で あ る NSVC― In Agarプ レー トに画線 し、 27℃ で 2日 間培養
す る。 こ こで 得 られ た コロニ ー に 関 して 、各 コロニ ー か ら
DNAを 抽 出 し、P
j∫
α α α′
が 特 異 的 に 保 有 す る氷 核 活 性 遺 伝 子 (J″ α)を 本研 究 に お い て 確 立 した
““
jttα F¨
Jη α
Rプ ライ マーセ ッ トを使用 した PCR検 出技 術 によ り簡 易 同定 を行 う。そ
の結果 、P αηα αノ
お と判 定 され た菌 株 に関 して 、 タバ コヘ の菌 液 注入接種試験 と
“
PCRに よ る J“zj硼配 gた 遺伝子 の検 出試験 を平行 して行 う。これ らの試験 に よ
り得 られ た HR様 反応 の 有無 や 加αz J硼配 θ
″遺伝 子 の検 出結 果 か ら P αttα ttα ′
お
の病 原型 グル ー プ を簡 易 に判定 で き る。 この方法 を取 れ ば
7日 以 内 に結果 を得
る ことが で き、菌 の 同定 や 病原性 試 験 の 結果 を得 るまで に通 常 必 要 とされ る期
間 に比 べ 非常 に短 い 期 間 で 判定 で き る技術 とい え る。P αttα 4α Jお の伝染学的研究
を行 う上 で 真 の 病 原菌 を把握 し調 査 す る ことは重 要 な ことで あ る。 本技術 は こ
の点 に お い て有 効 な手 段 とな り大 きな意義 を持 つ と考 え られ る。
また、 P αttα ttα Jお は 人 間 に対 す る 日和 見感染菌 で あ る ことが 報 告 され て い る
(BaCre et al.2004)。
メ ロ ンの ように生 食 され る果物 の場 合、 メ ロ ンに病 原性 を示
す系統 と人 間 へ の 病 原 性 を示す 系統 が 異 な る ことを立 証す る必 要 が あ る と考 え
られ る。 今 後、遺 伝 子診 断 によ って 、植物病 原細菌 と動物病 原 細 菌
(ヒ
トに対
す る病 原性細菌 )と を簡 単 に識別 で きる方法 が確立 され る ことを期待 した い。
Pα α α由 の宿 主 植物 に対 す る感染 性 ・ 病原力
““
植物 病 原 細菌 の 中 には 、 圃場 で は 激 しい 病気 を 引 き起 こす に もかか わ らず、
分離 し接 種 して も同 じ病 徴 を再現 しに くい細菌 が存 在 し、 この よ うな細菌 の多
198
くが 日和 見 感 染菌 で あ る こ とが 多 い 。 この よ うな細菌 の 感染性 ・ 病 原 力 は植物
の生育段 階 、 栽培 環 境 、生 育不 良 に伴 う植 物側 の免 疫 力低 下 な どの 要 素 が重 な
った ときに 発揮 され る傾 向 が あ る。本研 究 対 象 で あ る P α4α ttα ′
おは病 原性 の 弱 い
植物病 原 細 菌 で あ り、宿 主 植 物 の 栽培 環 境 な どの影響 を受 け 、感 染 して い て も
必 ず しも発病 しな い ことか ら 日和 見感 染 菌 と して扱 われ て きた。
医学 に お け る 日和 見感 染菌 とは 、病 原 性 が 弱 く、 コ ッホの 原則 を証 明で きな
い細菌 と定 義 され て い る。 しか し、植 物 病 原細菌 におけ る 日和 見感 染菌 は 医学
の もの とは異 な り曖 昧 で あ る。本研究 の 成 果 にお い て 、P α4α4α ノ
お は 宿 主 植物 に
対 し感染 ・ 病 徴 発現 部位 が 限 られ る こ と、感染 して も必ず しも発病 しな い こと
な どか ら 日和 見感 染 菌 と しての特徴 を確 認 で きた。 しか し、 メ ロ ン、 イネ、 ネ
ギ、 タ マ ネ ギ ヘ の病 原性 に 関 して 、感 染 部位 とそ の病徴 発現条件 が 分 か ってい
れ ば、接 種 後 に 明確 な激 しい 病徴 を 引 き起 こす ことがで きた。 この 特 徴 は これ
までの 日和 見感染菌 と しての概 念 にそ ぐわ な い 。 そ して 、本研究 の 第
らか とな った メ ロ ン果実 内腐 敗病 の病 徴 発現機 構、第
地 で培 養 した菌 に よ る タバ コ の
3章 で 明
7章 で行 な った 高栄養培
HR様 反 応 誘 導 の結 果 な どか ら考 え る と、P
αttα η
α′
お が 宿 主 植物 の成熟 期 に入 った 貯 蔵 器官 [果 実、籾 (種 子 )、
りん茎]を 好 ん
で 寄生 し病 徴 を発現 させ る背景 に、他 の 植 物病 原細菌 とは異 な る P αttα ηα′
おの感
染性 ・病 原 力 を発揮 す る機 構 を持 って い る可能 性 が推察 され る。 つ ま り、植物
の貯蔵器 官 とい う栄 養豊富 な条件下 に P αttα ttα ′
おが定着 ・ 増殖 した と き にのみ、
病原性 に 関 わ る遺伝 子 の 発現、物質 (エ フ ェ クター タンパ クな ど)が 分 泌 され る可
能性 が考 え られ た。 この よ うな特 徴 が 日和 見感 染菌 の病 原性機構 を 示 す のか、
も しくは、 単 純 に病 原 力 の 弱 い植物病 原 細 菌 の特徴 で あ るのか は 分 か らな い。
しか し、 本 研 究 は宿 主 植物 に曖 昧 な病 原 性 を示 す植物病 原細菌 の 病 原 性 を研究
す るうえ で の 貴重 な糸 日のひ とつ とな る と思われ る。
199
8.2
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以 上 、 本 研 究 の 成 果 と今 後 期 待 され る研 究 に 関 して述 べ たが 、 何 よ りも
P
αttα ttα ′
お に よ り引 き起 こされ る病害 を 防 除す る こ と 目的 と して行 わ れ た 研 究 で
あ るため 、作物 ・ 野 菜 生産 の現場 で この 度 得 られ た知 見 が役 立 つ ことを願 う。
また 、近 年 、食 事 の 多様 性 か ら、 これ まで 日本 に なか った 野菜 ・ 果物 が 品種
改 良 によ り栽培 され る よ う に な って きた 。 人 々 は ゆ と りの あ る生活 を求 め 、 よ
リカラフル で 多様 な 様 々 な花 を海外 か ら導入 し、花壇 で 栽培 、鉢物 と して 家 に
飾 ることが 増 えて い る。 それ に伴 い 、 これ まで に 日本 に はなか った 新 病 害 の 発
j∫
生 な どが 懸 念 され、P αttα ″α′
もその病 原 の一 つ とい え る。本研究 で は 日本 国内
で 分離 され た P α4α ″α′
おにつ い てのみ 研 究 を進 めたが 、野菜 ・果物 ・ 野菜種 子 ・
花 苗 が 海外 で生 産 され 日本 に輸 入 され て い る現状 を考 え る と、海外 で 発生報告
され た Pα αηα′
ぉ菌 株 (Type Strdnを 含 む )を 収集 し、比較 調査 を行 ってい く必要
“
が あ るで あ ろ う。そ して 、今後 、本研究 にて報告 した Pα α″α′
おの病 原 性 、生 態、
“
多様性 に 関 して、 よ り詳細 な知 見が得 られ ることを期待 す る。
200
SuЦ eCtiVe synonymy of ErwJη
jα
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57-63
213
8.3
摘要
1998年 よ り高知 県 メ ロ ン産地 にて 栽 培 され た アール ス系 メ ロ ンに 、果実外観
は正 常 で あ るが、果 実 内部 の胎座 が 腐 敗 し、 そ の 周辺 の 果 肉組織 が 淡 い水浸状
とな るメ ロ ン果実 内腐 敗症 が確認 され た 。 この 症状 には 強 い異 臭 を 伴 い、果実
の 商 品価 値 は全 くな い 。 この 罹病組 織 を光 学顕 微鏡 にて 観察す る と多数 の細菌
が 観察 され 、常 に黄 色 細菌 が 純粋 に 分離 され た 。 これ らの ことか ら、 メ ロ ン果
実 内腐敗 症 が 細菌 に よ り引 き起 こされ てい る病 害 で あ る ことが 推 測 された。 そ
こで 、本 研 究 におい て 、 メ ロ ン果 実 内腐 敗症 の 原 因 を探 索す る と と も に、 そ の
原 因 で あ っ た病原細 菌 の 同定 、病 徴 発 現 、宿 主 範 囲、 発病 因子、 感 染 及 び伝染
機 構 の解 明 を 目的 と して 研究 を行 った 。 また 、 本病 原細 菌 の多様 性 に つい て も
検 証 した 。
腐敗果 実 か ら分離 され た 黄 色細菌 の 病 原性 を調査 す るため、果 実 へ 刺針接種
試験 を行 っ た。 その 結 果 、交 配後 5∼ 7日 経過 した子 房 に、菌叢 に 触 れ た針 で刺
針接種 した と ころ、約 50∼ 60日 後 に果 実 は外観 上 問題 な く生長 し収 穫 できたが 、
そ の果実 内部 は胎座 を中心 に腐敗 し異 臭 を放 ち 、原病徴 が 再現 され た 。 この黄
色細菌 の 細 菌 学的性 状 は 、 グラ ム陰性 、通性嫌 気性 、 イ ン ドー ル 産 生 テス トは
陽性、硝酸 塩 還元 テ ス ト、 オキ シ ダー ゼ 活性 は 陰性 を示 した。糖 か らの酸産生
テ ス トで は ソル ビ トー ル ,イ ノシ トー ル は陽性 、ズル シ トー ルは陰 性 で あ った。
rDNAシ
Dyeの 示 した Pα
ゎθ
α αηα″α麻 の性状 と一 致 した 。 また、 16S
“
ー ク エ ンシ ン グを行 い 、その結 果 に も基 づ き系統樹 を作成 した ところ 、
これ らの性 状 は
P α4α 4α 緒 の グル ー プ に属 して い た。したが って 、メ ロ ン果実 内腐 敗 症 は Pα ttθ
`α
α″α″α′
J∫
硼)に よ って 引 き起 こ され る病 害 で あ る こ とが 明 らか と
(=DTjttjα α α″
“
な った。 そ して、本病 を メ ロ ン果実 内腐 敗病 と命名 した。
メ ロ ン果 実 内腐敗病 は 、感染 か ら病徴 を形成 す るまで に 40日 以上 必 要 であ り、
病徴 を形 成 す るため に は果 実組織 内 に 107ciノ g以 上 の菌 量 を 10日 以 上維持す る
214
ことが必 要 で あ る こ とが判 明 した 。 ま た 、果実 内 で の糖 の集積 が 始 まるととも
菌 の増殖 が 観察 され た 。 さ らに、 メ ロ ン果実内腐 敗病 の 宿 主 範 囲 は 、 マ クワウ
リ、 ハ ネ デ ュメ ロ ン、 シ ロ ウ リ、 ス イ カ、 ズ ッキ ー ニ で あ った が 、 キ ャンタ ロ
ー プメ ロ ン 、 カボチ ャには病原性 を示 さな い ことが 明 らか とな っ た 。
P αηαηα席 はメ ロ ン 、イネ、 パ イナ ップル 、 トウモ ロコシ、 タ マ ネギ、 ユ ー カ
リなどに 対 して病原 性 を示す こ とが 報 告 され て い る。様 々な植 物 か ら分離 され
た Pα 4α ηα′
J∫ 96菌 株 を 用 い て 、ネギ、タ バ コヘ の 接種試験、遺伝 子 レベ ルでの特
異的遺伝 子 の保有 に 関 して検証 した 。 そ の結 果 、P α4α 4α ′
JJは ネ ギ に葉枯 れ 、 タ
バ コに壊 死 反応 を 引 き起 こす 系統 (Group I)、 イ ン ドー ル酢酸 合 成 遺伝子 (Jm払
jα
α鋤 とサ イ トカイ ニ ン合成遺伝 子 (θ ″)の 3つ の遺伝 子 を保 有す る系統 (Group Ⅱ)、
そ して 、ネ ギ、タバ コ に対 して 病原性 が な く、3つ の特異的遺伝 子 を保有 しな い
系統 (Group Ⅲ)の 特徴 を持 つ 3つ グル ー プ に少 な くと も分 かれ る こ とが判 明 した 。
さ らに、 こ れ らのグル ー プのメ ロ ン、 イネヘ の病 原性 を調査 した結 果、Group I
の系統 は イ ネ内穎 褐 変 病菌、 Group Ⅱの 系統 は メ ロ ン果 実 内腐 敗 病 菌 、GroupⅢ
の系統 は メ ロ ン、 イ ネ に対す る非病 原 性 菌 で あ る可 能性 が示 唆 され た。
Jmに
Jα
αtt θ
ルの 3つ の遺伝 子 を保 有 す る菌株 は上 述 の よ う に メ ロ ン果実 に病
原性 を示 す とともに、 メ ロ ン子葉 に 接 種 す る と メ ロ ン組織 を増 生 す ることが観
察 され た 。 さらに、 そ の組織 内 で は これ ら
3つ の遺伝 子 が発現 して い ることも
確認 され た 。 したが って 、 メ ロ ン果 実 内腐敗病菌 の 発病 因子 と して、 これ らの
遺伝子 が 関 与 して い る可 能性 が示 め され た。
メ ロ ン果 実 内腐敗 病 の感染 0伝 染経 路 につい て検証 した。そ の結 果 、Pα αηα′
お
“
は雄花 で 生 存 し,ヒ ラ ズハ ナアザ ミ ウ マ によ り雌花 へ 虫媒伝染 され る可能性 ,交
配 直後 の 子 房 での傷 口感染 しうる こ と を 明 らかに した。
上 述 した
P
α
4α η
αJな の 多様 性 を調 査 す る際、 YPプ ロ ス振 と う培養 した
P
αηαη
αrお の Group I系 統 が タバ コ に壊 死 反応 を引 き起 こ した。 この 反応 は過 敏感
215
反応 (HR)に 似 てい るが 、壊 死 が 目視 され るまでの 時 間 が 36時 間 以 降 と遅 い 点 に
j∫
違 い が あ り、力
響 遺伝 子相 同領域 が 検 出 され なか った。 したが って 、Pα αηα′
“
の Group I系 統 は TypeⅢ 分泌機構 とは 異 なる病徴 発現機構 を持 つ ことが推測 さ
れ た。
以上 を 要 す るに、 メ ロ ン果実 内腐 敗 病 の病 原 を明 らか に し、 そ の 発生生 態 を
解 明 した 。また、病原 で あ る P αηαηα′
お は病原性 に お い て分化 して い ることを初
めて明 らか と した。
216
SuII11■
aw
ln 1998,an intemal fruit rot of netted melon(Cttθ
J∫
"刑
閣θJθ )Was ObseⅣ ed in Kochi
Prefecture,Japan,The sympto■ l appetted as internal rot of fruits with malodor9 despite
of their healthy appearance. A yellow bacteriuln was consistently isolated frolllll the
attected fruits. Therefore, I initiated the studies concenling on the isolation and
identiflcation of its pathogen, and on epidcIIlio10gy and pathology of lhe disease. To
oonf1111l the pathogenicity of the yellow bacteriunl,a stubbing inoculation test using a
pin smeared with bacterial growth was perforlllled on ovaries 5 to 7 days a■
poHination.When the Fne10n fruits were growllfor 60 days a■
er artiflci〔 遺
er inoculation,the intemal
fruits rot resembling to natural infection was appeared and the inoculated bacterium was
reisolated.
The bacterium had identical prOperties with Pα ″′
θ
`α
grそ In‐
α α″αノ
お, Such as
“
negative staining,facultative anacrobic groMtth,positive indole production,lack of
phenylalanine deaminasc,and follllation of acid fron■
lnelibiose,sorbitol,glycerol and
inOsit01.Phylogenetic analysis based on 16S rDNA sequences showed that the melo■
bacterilllll positioned closely with k■
jS Strains, The melon bacterium
owll P α″α″α′
harbored indolc acetic acid(IAA)biosynthesis genes(jα QMand jα αtt and a CytOkinin
biosynthesis gene(grz).From these results,the causal agent of intemal fruit rot was
identifled as a strain of Pα 4α αJお
“
This report is the flrst on fi
(Serrano 1928)MergaCrt,Verdonck&Kersters 1993.
α αttα Jjむ inducing an intemal rot of melon fruits,Moreover9
“
the purpose ofthis study was to conflI11l Characteristic expression of the sympto■
1,host
range ttong cucurbitaceous plants, the virulence factors associated with the
pathogenicity and epidenliology ofP α4α 4α JJJ.
The symptorn caused by」 P α″α77α ノ
J∫ developed at least more than 40 days aner a
subbing inoculation. Possible corelation was suggest between multiplication of the
pathogen and production of sugar content in lnelon fruit,because sugar content in fruit
217
begin to increase aier 30 days a■ er pollination, 」
P α αηα′
お rapidly increased from
“
ca.105 t。 107 ciノ g in the placenta of melon fruit. MOreovet it was suggested that
keeping the bacterial dosc of rnore than 107。 1助 /g in the tissue for at least 10 days may
be necessaryy for development ofthe symptom.
When the pathogenicity of SUPP1791 of F α4α 4α ′
お WaS investigtted among
cucurbitaceous plants by a stabbing inoculation with a pin,SUPP1791 of P
α α α′
J∫
““
was developed the symptonl o■ oriental swect melon,honeydew lnelon,oriental picking
melon,watennelon and zucchini,but nOt On cantaloupe inelon and cuc■ l■ lber.
The pathogenic P α4α ″α′
J∫
str〔
uns were detected from melon seeds in aJLcted fruit,
melon iowers,and■ ower thrips(Frα 〃j“
α″αttα rJ∫
jθ
Jル J4ゎ 刀
∫α).It Was demonsiated that F
“
Was able to invade into placenta through the scar of reHloved stigma. From
these results,lt was suggested thtt P αttα ttα rお sllrvives arOund■ owers,and mlght have
been transIIlitted by thrips and that sOmetimes the bacterium could penetrate into
ovaries through wounds,
Pineapple, rice, onion, honeydew melon, cantaloupe melon, sudangrass and
E夕
`α
みpr2JJ were reported as host.But it is not clett whether all strains of P α″αttα rお
has same pathogenicity to reported host plants.In this studL 96 strains of F
j∫
αηα α′
“
,
which were isolated fron■ 14 plant species including inelon,rice,tea and other crops of
eco■ omic
importance,could be classifled into three groups(Group I,
Ⅱ,Ⅲ )based
on welsh onion stabbing assay,tobacco inflltration test,and polymerase chain reaction
(PCR)to detect jα aMっ
Jα
αH,θ ″gene.Group l strains were characterized as causing
signiflcant blight symptolrl on welsh onion,inducing hypersensitive responsc(Htt like
reactio■ on tobacco leaves atter 36 to 48 h and not possessing jα
Group Ⅱ,was
aM,jα α
Hand θJz gencs,
M,fr7oH and arz geneso All ofthe Group
characterized as harboring fα α
Ⅱ strains did neither develop blight symptom on welsh onion nor cause HR―
like
218
reaction on tobacco. Group Ⅲ stralns were chttacterized as causing no reaction to
welsh Onion and tObacco,肌 d nOt having jα αM jα αノ
7 and θル genes.Representative
strains of the three groups were investigated for pathogenicity to lnelon,rice,oniOn and
pineappleo We fbund that Group l strains caused palea browning on rice,leafblight o■
onion,fruit rot om pineapple but not intemal fruit rot On melon.On the contrary9 Group
Ⅱ str〔 uns cOuld only develop intemal fruit rOt On l■ elon and did not cause the disease
on the other plants,Group Ⅲ strains have non― pathogenicity to rice9 melon and onion.
As mentioned above,only the,f:α ″α4α riむ Group Ⅱ strains harboring jα αM,Jα α∬ and
`Jz genes could cause intemal fruit rot tO melon.Expression ofthese genes and tumor
inductiOn in the tissuc of lnelon cotyledon was conflHlled, when inflltration test on
melon cOtyledon was perforlned.It was also conf1111led that these genes were expressed
in the tissue developing intemal fruit rot.These results indicated that one of virulence
factors might be fα α
スζjα α∬ and grz genes.
It is known that F αηα4α ノ
お usually does■ ot causc hypersensitive reaction(HR)on
tobacco(Coplin and K〔 測lo 2001).It has never been reported that the bacterium has Type
Ⅲ secretion systems(TTSS)。
But We follnd that Group l strains of F αttα α′
J∫
“
induced necrotic reaction resembling IIR a■ er 36 to 48 h,when inflltrated into tobacco
leaves at lnore than 108 ch/1nl using YP broth culture.It was conf1111led ttrcR gene,
which is One of力 ψ genes cluster9 couldn't be detected from genome ofthe bacteriurll by
PCR and genonlic southem hybridization analysis.Therefore,the bacteriunl may have
another secretion systel■ s dittmt from TTSS.
In this study9 1 found that the ptthogen of interrlal fruit rot Of me10n is Pα
η′
θθ
α
α″α″αJお 。I also olarifled the epidellllio10gy of the tissuc, It is the flrst report that P
α4α ttα ′
J∫ Can be classifled into threc groups based on pathogenicity to rice,Inelon and
onion,lnflltration test to tobacco,and PCR to detect′
ααM,Jα αH)grz gene.
219