ラ イ セ ン ス ア ウ ト に 向 け て 、 勝 負 の 一 年

アールテック・ウエノ
(4573・JASDAQ スタンダード)
2014 年 8 月 1 日
ラ イ センス ア ウト に 向 け て 、 勝 負 の 一 年
ベーシックレポート
眼科領域における創薬バイオベンチャーの旗手
株式会社アールテック・ウエノは、東京都に本社を構える創薬ベンチ
ャー企業である。医学博士でもある真島社長の陣頭指揮のもと
㈱アドバンスト・リサーチ・ジャパン
山田 義久
)
会
社
概
要
「Physician-Oriented New Drug Innovation」(臨床医による新薬開発)
をテーマとし、これまで有効な治療薬のない眼科・皮膚科疾患を主な
ターゲットとして新薬の開発を行っている。直近では網膜色素変性治
療薬(UF-021)”オキュセバ”また重症ドライアイ治療薬(RU-101)に注
所
在
地
東京都千代田区
力しており、眼科領域において日本発、
代
表
者
真島 行彦
世界初の治療薬の創出を目指す。堅実な
1989/09
財務基盤を背景に、各研究機関、病院と
設 立 年 月
資
本
金
の連携も深めながら、所有するパイプラ
658 百万円
(2014/03/31 現在)
インのライセンスアウト、上市に向かい
上
場
日
着実に前進している。
U
R
L
2008/04/09
http://www.rtechueno.com/
業
種
(陣頭指揮を執る真島行彦社長)
上市された 2 医薬品の製造販売が財務基盤
医薬品
同社が、創薬ベンチャーながら盤石の財務基盤を有するのは、既に上
主 要 指 標 2014/7/31 現 在
株
価
1,487 円
1,655 円
(01/24)
945 円
(05/21)
年初来高値
年初来安値
発行済株式数
19,305,600 株
売 買 単 位
100 株
時 価 総 額
28,707 百万円
予 想 配 当
25.0 円
(
会
予 想
社
)
E P S
52.2 円
( ア ナ リ ス ト )
実 績
業
P B R
績
2014/03
2016/03
るからである。なお、Amitiza に関しては、治療薬としての適用拡大と
市場のグローバル展開と、縦横両面の販路展開を進めている。
サマリー②(ゴシック・10.5
今期に予定される 2ポイント)
つのキ―オープンに注目
今期特に注目すべきパイプラインは、網膜色素変性治療薬(UF-021)”
オキュセバ”パイプラインと重症ドライアイ治療薬(RU-101)パイプ
ラインである。網膜色素変性治療薬(UF-021)”オキュセバ”パイプラ
インについては 2015 年春、重症ドライアイ治療薬(RU-101)パイプラ
インについては 9 月に有効性データ取得(キ―オープン)を控えてお
り、その結果次第でライセンスアウトに向けたロードマップに大きな
インパクトを与える。
28.6 倍
動
売上高
百万円
向
前期比
%
営業利益
百万円
前期比
%
経常利益
百万円
前期比
%
当期純利益
百万円
前期比
%
EPS
円
績
5,618
23.4
1,419
80.9
1,477
65.9
1,062
89.1
55.07
想
(2014 年 5 月発表)
5,763
2.6
1,431
0.8
1,434
-2.9
1,003
-5.5
52.01
ア ナ リス ト 予想
5,803
3.3
1,453
2.4
1,550
4.9
1,008
-5.1
52.2
ア ナ リス ト 予想
6,163
実
会
2015/03
市された 2 つの医薬品:レスキュラ、Amitiza の製造販売権を有してい
社
予
アナリストレポート・プラットフォーム
サマリー③(ゴシック・10.5
ポイント)
6.2
2,124 46.1
2,130
37.4
1,385 37.4
71.7
※サブタイトルの位置は,サマリー①・②の分量により上下させる。
1
えんけつ
会
社
会
社
概
概
要
要
■会社概要
株式会社アールテック・ウエノ(以下、同社)は、東京都に本社を構える創薬
 会社概要
ベンチャー企業である。
同社は、1989 年 9 月、医薬品の研究開発、製造販売を目的に設立。医学博
士でもある真島社長のもと「Physician-Oriented New Drug Innovation」(臨
床医による新薬開発)をテーマとし、これまで有効な治療薬のない眼科・皮
膚科疾患を主なターゲットとして新薬の開発を行っている。また、新薬の開
発のみならず、既に市場で販売されている医薬品の製造・販売、さらに医薬
品開発支援及び受託製造サービスも手掛けている。
本社は、東京都千代田区内幸町。資本金は 6 億 5867 万円、連結従業員数は
2014 年 3 月時点で 75 名である。
沿
革
1989 年
09 月
アールテック・ウエノ設立(創業者:上野隆司博士、久能祐子博士)
2001 年
04 月
上野製薬株式会社よりレスキュラ点眼液 0.12%の製造販売業務を承継
2003 年
06 月
ファーマケミカル事業部、医薬品事業部(現
2004 年
10 月
レスキュラ点眼液 0.12%の販売提携先を「藤沢薬品工業(現
ラス製薬株式会社)
」から「参天製薬株式会社」へ変更
学術企画部)を設立
アステ
「武田薬品工業株式会社」及び「Sucampo Pharmaceuticals, Inc.」と
の 3 社間で Amitiza カプセルの製造供給契約締結
2005 年
04 月
トランスレーショナル・リサーチ推進室(室長
開発本部)を設立
2008 年
04 月
大阪証券取引所ヘラクレス(現 JASDAQ スタンダード)に上場
2010 年
06 月
網膜色素変性(プロストン・UF-021)の第 2 相臨床試験(フェーズ 2)
完了
2011 年
01 月
男性型脱毛症(RK-023)の前期第 2 相臨床試験(フェーズ 2 前期)完了
04 月
神戸研究所開設
04 月
睫毛貧毛症(RK-023)の第 1 相臨床試験(フェーズ 1)完了
07 月
Amitiza カプセルの日本での製造販売承認
11 月
Amitiza カプセルの日本での販売開始
12 月
レスキュラ点眼液 0.12%の米国での追加新薬申請の承認
02 月
レスキュラ点眼液 0.12%の米国での上市
03 月
網膜色素変性(プロストン・UF-021)の第 3 相臨床試験(フェーズ 3)
開始
04 月
重症ドライアイに対する遺伝子組換え人血清アルブミン(開発コード
RU-101)点眼液の新薬臨床試験開始(IND)申請承認
2012 年
2013 年
真島行彦)
(現
研究
AMITIZA(ルビプロストン)の米国での追加新薬申請の承認取得
アナリストレポート・プラットフォーム
2
会
社
経
概
営
要
者
 会社概要
■経営者
代表取締役社長 真島行彦氏は、2005 年同社取締役に就任するが、それまで
は慶應義塾大学医学部眼科助教授として、眼遺伝性疾患(角膜疾患、網膜疾
患、レーベル病、緑内障等)の分子生物学的解明と治療法の開発を専門とし、
その業績により日本眼科医会会長賞、日本医師会最高優功賞受賞等、数々の
実績を残した。同社参加後は、研究開発本部長を経て、メディカルディレク
ターとして、これまで有効な治療方法のない眼科疾患をターゲットにした治
療薬の開発をめざし、国内外の大学、研究機関との共同研究を推進。このほ
か、マーケティング活動の領域において医学的側面からの助言や提案を行い
全社的なマネジメントを担当した。
2009 年 6 月より現職。既存事業の収益力の強化を進める一方で、また医師
の目線で新規医薬品開発を統括。時にはパイプラインのライセンスアウトに
向けたトップセールスをこなし、同社をグローバルな医薬品会社に成長させ
るために邁進している。
主
要
株
主
■主要株主
主要株主は、S&R テクノロジー・ホールディングス(33.9%)、上野隆司(16.5%)
、
久能祐子(10.3%)、オリックス(9.2%)となっている。S&R テクノロジー・
ホールディングスとは、上野氏と久能氏の資産管理会社であるので、創業者
2 人で合計 60.7%を有することになる。
目下、自社株買い、M&A 等のコーポレートアクションも予定されていなく、
現在の株主の構図が大きく変わる予定はない。
企
業
理
念
■企業理念
専門誌のインタビューの中で、真島社長は、社長就任後真っ先に行ったこと
はホームページの刷新であると答えている
(
『医薬経済』
2010 年 2 月 1 日号)
。
これは、自身の考える経営方針の透明性を高め、明確に外部に発信すること
を意図したものである。
同社 HP によると、経営理念として「Physician-Oriented Company 医師の
目線で医薬品開発・販売を行う分野特化型(眼科・皮膚科)のグローバル
な医薬品会社を目指します。」と明記されている。
そして、その経営理念を支えるミッションとして、下記 5 つの項目を定めて
いる。
1. ベンチャー精神を忘れず、革新的なアイデアを源泉とした、効率的かつ
迅速な医薬品開発を行います。
2. 国内外の企業・研究機関との連携を深め、常にグローバルな視点に立っ
て事業を展開してまいります。
アナリストレポート・プラットフォーム
3
会
社
概
要
3. 眼科疾患や自社製品の最新情報を医療関係者にお届けすることを通じて、
人々の健康と生活の質の向上に貢献してまいります。
4. 化合物に関する豊富な知識や、蓄積された製造ノウハウを活用して、付
 会社概要
加価値の高い製造部門の育成をはかります。
5. 実力本位な人事制度のもと、常に優れた人材を確保し、少数精鋭のプロ
フェッショナル集団による活力に溢れた会社を目指します。
(同社 HP より抜粋)
事
業
紹
介
■事業紹介
事業に関して同社は、有価証券報告書上の分類によると下記の通りになって
いる。
(1)新規医薬品の研究開発事業
(2)医薬品の製造・販売事業
(3)医薬品開発支援及び受託製造サービス事業
(1)新規医薬品の研究開発事業
同社の経営理念である、「医師の目線で医薬品の開発を行う分野特化型(眼
科・皮膚科)の医薬品会社を目指す」という目標をもとに、医師でもある真
島社長を中心に、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ満たされていない
医療ニーズ)領域、オーファンドラッグ(希少疾病医薬品)領域、アンチエ
イジング(生活改善薬)領域の開発に注力している。
(2)医薬品の製造・販売事業
緑内障・高眼圧症治療薬レスキュラ点眼液 0.12%(以下レスキュラ)の製造販
売事業である。同社は、レスキュラの製造販売承認を 1994 年に厚生省(現
厚生労働省)より取得。レスキュラは、副作用が少なく、1 日 2 回投与で緑
内障進行の最大の危険因子とされる眼圧の安定した下降作用をもたらし、ま
た視神経保護作用と眼血流増加の作用メカニズムにより、緑内障及び高眼圧
症患者の視野を長期的に維持する優れた治療効果を有する。
(3)医薬品開発支援及び受託製造サービス事業
同社は、Sucampo Pharma Americas, Inc.(以下 SPA 社※)より Amitiza カプ
セル(以下、Amitiza)の独占的製造共有権を有する。Amitiza とは SPA 社
が開発し慢性特発性便秘症、便秘型過敏性腸症候群について FDA(米国食品
医薬品局)から販売承認を得ている治療薬である。Amitiza は、腸管粘膜に
直接働きかけ、腸液の分泌を促進し、液体により便通を促す機能を有する。
この機能により、店頭販売されている治療薬や、酸化マグネシウムを使用し
た既存の医療用治療薬とは一線を画する。
アナリストレポート・プラットフォーム
4
事
業
概
要
また、4 月には、オピオイド誘発性便秘症(OIC)治療薬としての追加新薬申
 会社概要
請が承認された(後述)
。
※SPA 社とは、Sucampo Pharmaceuticals, Inc.(Sucampo 社)の 100%出資子会社であり、南北アメリ
カ地域における臨床開発を行う。
収 益 構 造 に つ い て
■アールテック・ウエノの収益構造について
同社は「創薬ベンチャー」である。
そして、一般的に創薬ベンチャーと言えば、新薬パイプラインを複数有し、
多額の研究開発費を費やしながら開発を進め、上市またはライセンスアウト
による現金化を目指すというのが典型的なビジネスモデルである。
しかし同社は、上述の通り、新薬パイプラインの開発を行う一方で、既に上
市されている 2 つの医薬品の製造・販売事業も手掛けており、その事業から
の収入がほぼ毎期定期的に見込まれると考えてよい。このように同社は、稀
有な収益構造を持つ創薬ベンチャーといえる。
実際、前期(2014/3 期)の業績を例にとると、同社はレスキュラと Amitiza
の製造・販売に関する売上合計で 54.8 億円であり、全売上 56.1 億円の約
97%を占める。そして、この 2 製品が収益の柱である構造は今期以降も変わ
らない。
レスキュラと Amitiza の販路の拡大は現在も続けられており、短期的な業績
はその成果に左右される。一方、潤沢な資金を研究開発費として、複数の新
薬パイプラインの開発が進められており、そのライセンスアウトによる不定
期収入が、いつどのくらい計上されるかが、中長期的な業績予想の焦点とな
る。
詳 細 セ グ メ ン ト
情 報 の 必 要 性
■詳細セグメント情報の必要性
一方、現在同社より公表されている製品別セグメント情報には、同一セグメ
ント内に、製品販売収入とライセンス収入等異なる性質の売上が、または異
なる地域の売上が、混在する場合がある。
そこで、緻密な業績予想を作成するには収益構造が違うセグメントを分割し
て把握することが重要と考え、ARJ は取材と独自の分析を通じて、詳細セグ
メントを下の通り作成している。
以下、各セグメントについて、項目に沿ってその内容と ARJ としての業績予
想を述べたい。
アナリストレポート・プラットフォーム
5
業
績
詳細セグメント別売上&損益計算書
1.参天製薬に対する売上(国内)
2.台湾(アステラス)・韓国(東亜製薬)への売上
レスキュラ
3.参天製薬からのライセンス収入
 会社概要
4.SAGからのライセンス収入
5.レスキュラ再上市(米)による売上
6.米国における売上(武田薬品工業)
Amitiza
7.スイス上市準備用の対Sucampo売上
8.日本国内における売上(Abbott社)
その他医療品
その他
9.Sucampo向け研究開発支援
売上合計
売上原価
売上総利益
研究開発費
販売管理費・その他営業費用(研究開発費以外)
P/L項目
営業利益
支払利息
為替差損
営業外純損益
税引前利益
法人税等
当期純利益
2008/3期 2009/3期 2010/3期 2011/3期 2012/3期 2013/3期 2014/3期 2015/3期CE ARJ2015/3期 ARJ2016/3期
3,465
3,080
2,631
1,632
1,545
1,194
1,279
1,170
1,110
15
19
6
8
2
3
3
3
3
製品売上に込 製品売上に込 製品売上に込
1,270
300
150
150
100
100
100
244
247
0
0
0
0
464
101
0
200
2,502
2,525
1,322
1,885
2,026
2,327
3,144
3,000
3,000
4,342
55
0
0
0
0
0
0
264
852
1,380
1,600
57
14
0
0
0
0
0
0
0
0
293
355
203
80
83
148
138
150
150
150
6,332
5,993
4,162
4,204
4,053
4,552
5,618
5,763
5,803
6,163
-2,008
-2,093
-1,358
-1,349
-1,324
-1,703
-2,026
-2,050
-2,239
4,324
3,900
2,803
2,855
2,728
2,849
3,592
3,753
3,924
-757
-1,651
-1,362
-1,040
-917
-1,279
-1,372
-1,545
-1,500
-1,000
-759
-780
-712
-816
-748
-785
-800
-800
-800
2,807
1,468
728
998
1,063
784
1,419
1,431
1,453
2,124
-25
-7
-3
0
0
0
0
-83
-32
-5
-11
-8
93
52
820
-13
296
985
-33
8
5
3,518
1,415
1,017
1,972
1,022
885
1,477
1,550
2,130
-1,448
-479
-350
-724
-342
-323
-414
-542
-745
2,070
936
666
1,248
680
561
1,062
1,003
1,008
1,385
(出所)会社資料、会社取材をもとにARJ作成。予想値もARJ
(単位:百万円)
※原則的に参天製薬からのライセンス収入額は非開示であり、1.参天製薬に対する売上(国内)に含まれている
※2011/3以降のレスキュラ、Amitizaのブレイクダウンについては、開示情報と取材よりARJが計算、算出
■参天製薬に対する売上(国内)(項目 1.参照)
参天製薬に対する
売上(国内)
同社は、緑内障・高眼圧症治療薬であるレスキュラを自社工場(三田工場)
で生産し、参天製薬(4536)を通じて国内販売している。
(レスキュラ点眼液 0.12%:同社 HP より抜粋)
参天製薬向け売上高は減少傾向にあり、毎年約 10%弱ずつ減少すると見込まれて
いる。
レスキュラが対象とする緑内障治療薬の国内市場は、人口の高齢化とともに拡
大が見込まれる有望な市場である。よって、各製薬会社が新製品を投入し日々、
鎬を削っているので、競争が激化している。
ところが、レスキュラは上市されたのが 17 年前の”古い薬”である。よって、
最新薬と比較して眼圧を下げる効果等の薬効が強くないことは否めなく、新製
品群にシェアを奪われ続けている。
また使用者のなかからは、レスキュラは他の点眼薬と作用機序が異なり、かつ
他製品と比べて眼圧下降作用が弱いという声も聞かれる。
そのような状況であるが、同社は「緑内障の治療薬は、もはやターゲットとす
るアンメット・メディカル(未だ満足のゆく治療法がない医療領域)でない」
アナリストレポート・プラットフォーム
6
業
績
と考えており、レスキュラを改良するために新たに研究開発を始める予定はな
い。
 会社概要
一方、レスキュラは副作用がなく安全性の高い点や過去の処方実績を評価する
医師も多い。特に初期の緑内障患者や、効き目が強すぎる薬を使えない高齢者
からは一定のニーズが健在である。
結果、マーケッティング活動や、販売プロモーション等により売上の下支えを
図るもの、中長期的な売上の減少トレンドは緩やかに収束していくと見込まれ
ている。
以上を受けて、ARJ は、参天製薬向けレスキュラ売上について、今期 11.7
億円、来期 11.1 億円と予想する。
■台湾(アステラス)
・韓国(東亜製薬)への売上(項目 2.参照)
台湾(アステラス)・
韓国(東亜製薬)へ
の売上
同社は、台湾においてアステラス、韓国において東亜製薬を通じてレスキュ
ラを販売しているが、その売上規模は現在の規模を維持する見込みである。
同社によると、売上規模自体は全体に比べ決して大きくないが、台湾におけ
るアステラス、韓国における東亜製薬は、今後の事業展開上の重要なパート
ナー(例:パイプラインのライセンスアウト先)になる可能性があることも
鑑み、商流を維持する方針であるとのことである。
今期、来期とも同水準の売上を計上すると見込まれる。
■参天製薬からのライセンス収入(項目 3.参照)
参天製薬に対する
売上(国内)
参天製薬とのレスキュラの国内販売に関する取引基本契約に基づいたライ
センス収入である。
現行の契約は 4 年契約(2012 年 4 月~2016 年 3 月)であり、契約締結時に 4
年間のライセンス収入総額は決まる。その総額が、適切な会計基準に基づい
て適切に各期に配分され計上される。つまり、今期、来期において同社が計
上するライセンス収入額は、既に決まっていると考えてよい。
その額は非開示であるが、当然販売にかかるライセンス収入総額は、契約締
結時におけるレスキュラの市場価値に左右されると考えるのが妥当であろ
う。
以上と直近の取材による感触を鑑み、ARJ は参天製薬からのライセンス収入
について、今期、来期とも 1.0 億円と予想する。
■SAG からのライセンス収入(項目 4.参照)
SAG からの
ライセンス収入
2011 年 3 月に同社は、レスキュラの有効成分であるウノプロストン(UF-021)
の開発、製造及び商業化権のライセンス契約を米 Sucampo Manufacturing
and Research AG(以下 SAG 社 ※)と締結したことによる契約一時金、マイル
ストーン収入をそれぞれ前々期、前期に 300 万ドルずつ計上してきた。
アナリストレポート・プラットフォーム
7
業
績
一方、同社によると今期以降に関してもマイルストーン収入が計上される見
通しは、現時点ではないとのことである。よって、ARJ としての予想も今期、
 会社概要
来期ともに 0 円とする。
※SAG 社とは、Sucampo Pharmacheuticals, Inc.(Sucampo 社)の子会社で特許の維持管理会社
■レスキュラ再上市(米)による売上(項目 5.参照)
レスキュラ再上市
(米)による売上
レスキュラは、緑内障・高眼圧症治療薬として国内販売されているが、SAG
社は、一昨年に北米地域において、レスキュラの添付文書記載内容を変更(視
神経保護、血流改善等の作用機序を追加)して再上市すべく、FDA(米国食品
医薬品局)と交渉した。Sucampo Pharmacheuticals, Inc.(以下 Sucampo 社
※)は、この添付文書に作用機序を追加することにより商品力が増し、従来
とは異なる販路が開けてくると見込んでいた。
そして、昨年 2 月に無事再上市され、レスキュラの独占的製造供給権を有す
る同社に新たな収入源が加わることとなった。
今期、来期の見通しであるが、今期については、在庫分が今期の需要を吸収
する見込みであるため、今期は売上が見込めない。一方、来期に関しては当
然の需要の推移によるが、足下の堅調な需要を鑑みると来期 2.0 億円前後の
着地が予想される。
※Sucampo Pharmacheuticals, Inc(Sucampo 社)とは、米国に拠点をおく医薬品の研究開発と販売に
特化した会社であり、Sucampo グループの中核である。その傘下に子会社として SPA 社、SAG 社を有
する。
■米国における売上(武田薬品工業)(項目 6.参照)
米国における売上
(武田薬品工業)
上述の通り同社は、SPA 社より Amitiza の独占的製造供給権を有している。
つまり Amitiza が世界のどこで販売されるとしても、その製造は同社が独占
的に行うことになる。一方、マーケティングや営業戦略の策定・実行は基本
的に Sucampo 社が行い、同社は受託製造に徹している。
製造プロセスとしては、同社は国内工場(三田工場)で原薬のみを製造し、
米国の外注業者(カプセル注入、包装)で最終製品に仕上げ、武田薬品工業
(4502)の北米子会社 TPNA(Takeda Pharmaceuticals North America)に
納品する。武田薬品工業は販売のみ行い、主に米国市場で販売する。尚、
Amitiza は米国において「慢性特発性便秘症治療薬(≒一般的な便秘)」と
「便秘型過敏性腸症候群」との治療薬として上市していたが、昨年オピオイ
ド誘発性誘発性便秘症(OIC)治療薬として追加新薬申請し、承認を取得した
(後述)
。
足下の販売状況は過年度より引き続き堅調であることに加え、前期には従来
より契約に定められていた納入価格の変更が行われた。結果、同社の TPNA
アナリストレポート・プラットフォーム
8
業
績
に対する販売価格が 2 割ほど上昇したとみられ、それが業績の上方修正の背
景となった。
 会社概要
今期、来期の見通しであるが、基本的に従来通り、武田薬品工業から出され
ているフォーキャストに基づいて推移すると考えて間違いはない。
一方、OIC 治療薬としての販売分上乗せされているので、比較的高い水準で
高止まりする模様である。
そこで ARJ は、Amitiza の米国における売上を今期、来期とも 30 億円と予
想する。
※なお、同社は通期予想の為替の前提を 1 ドル=90 円で計算。
スイス上市準備に
おける Sucampo 社
に対する売上
■スイス上市準備における Sucampo 社に対する売上(項目 7.参照)
本件は既に完了しており、今後発生する予定はない。
■日本国内における売上(Abbott 社)(項目 8.参照)
日本国内における
売上(Abbott 社)
以前は Amitiza の主な販路は北米であったが、新たな販路開拓のため
Sucampo 社は Amitiza の日本国内販売に向けて、慢性特発性便秘症治療薬と
して厚生 2012 年 7 月に厚生労働省より製造販売承認を受け、便秘向けの新
薬としては半世紀以上ぶりの承認であり、かつ日本初の慢性便秘症に対する
治療薬の認可となった。
国内販社は Abbott 社であり、武田薬品工業と同様、販売計画(フォーキャ
スト)の提示を受け、基本的にその計画に沿って販売される。
ここで、Amitiza の国内販売の展望を考えたい。
日本国内の便秘薬市場(一般用医薬品)は富士経済『一般用医薬品データブ
ック 2013』によると 2013 年は 156 億円の見込み、そして 2014 年の予想も
156 億円である。日本の人口状態から考えても、今後も急拡大するマーケッ
トではないと考えられる。同時に、医療用便秘治療薬市場(データなし)も
今後急拡大するマーケットとではないと想像できる。
つまり、基本的な競争のルールとしては、既存製品のシェアを奪いあう形で
あり、ほどの薬効を Amitiza が有するかが焦点である。
Amitiza の商品競争力としては、安全かつ効果的に便秘を解消させる点であ
る。具体的には、Amitiza は、腸管粘膜に直接働きかけ、腸液の分泌を促進
し、液体により便通を促す機能を有する。この機能により、店頭販売されて
いる廉価ながら効き目の薄い治療薬や、酸化マグネシウムを使用した既存の
医療用治療薬とは一線を画する(腎不全等により酸化マグネシウムが使えな
い患者は一定数存在する)
。
アナリストレポート・プラットフォーム
9
業
績
また、既存の便秘治療薬は常習性や副作用が問題になることが多いが、
Amitiza に関しては基本的にその問題も解消されている。また、既存の便秘
 会社概要
薬では腹痛を生じさせやすかったが、Amitiza は腹痛がほとんどないという
医師の評価もある。
一方医師の中には、便秘は基本的に命に関わらない疾患である以上、既存の
治療薬で充分対処可能であり、新薬を使うインセンティブに乏しいという意
見もある。
確かに、廉価な治療薬が多い領域であり、患者の経済的負担を鑑みると第一
選択薬となるのは難しいとされる。しかし、廉価な治療薬を試したところ、
思ったような効果が見られない患者や、腹痛等の副作用に悩む患者には、新
たな選択肢が増えることになる。
よって Amitiza は、便秘症に悩む患者の QOL(Quality of Life:生活の質)
を高める一翼を担うことなり、市場の中で競合製品とは十分差別化された位
置付けなる公算が大きい。
2012 年 11 月の販売開始以来、着実にその評価を高めている模様であり、下
記の通り新聞をはじめとするメディアで取り上げられている。
“分かっているようで、分かっていないのが便秘。便秘の定義は 3 日以上出
ないか、毎日出ても、量が 35g(ピンポン球大)以下。医師でも知らない人が
多い。便秘を軽く見ると痛い目に遭う。性格や健康状態も変え、人生も変え
てしまう疾患だ。順天堂大の便秘外来は現在、初診は 6 年待ち。患者は 60
歳以上がほとんど。高齢者になると男女比は一緒。糖尿病やパーキンソン病、
うつ病になると 100%便秘になることからも、いかに便秘の人が多いかが分
かる。
(中略)
新しく発売された慢性便秘の処方薬ルビプロストン(商品名アミティーザ)
は、腸管内に腸液を分泌させ、便の水分を増やす働きがある。
データでは、投与 24 時間以内で半数に自然便通があり、週 2 回だった人が
5~6 回の便通になっている。いきみも減り、便も軟らかくなって、残便感
も改善すると報告されている。
自律神経の関係では、ストレスは交感神経を高めるので、腸の蠕動運動が落
ちる。便秘を治すにはリラックスして副交感神経を高め、腸内環境を改善す
る必要がある”
『熊本日日新聞』2014 年 5 月 13 日朝刊「シニア世代に多い慢性便秘~順天
堂大医学部小林弘幸教授に聞く」
足下の状況であるが、総じて日本市場における評判は好意的な模様であり、
その薬効も市場に浸透してきており、それが堅調な売上に繋がっている模様
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10
業
績
である。
以上を受けて ARJ としては、Amitiza 国内販売高について、今期 13.8 億円、
 会社概要
来期 16.0 億円と予想する。
■新薬パイプラインの開発、マネタイズ(現金化)までの考え方について
新薬パイプラインの
開発、マネタイズまで
の考え方について
開発中の新薬パイプラインについて、同社は創薬プロセスにおいて、臨床試
験フェーズ 2 前期を基準にライセンスアウトすることを基本方針としてい
る。現金化の手順としては、ライセンスアウトの契約締結後、まず契約一時
金を受け取る。その後、譲渡先においてその新薬開発のフェーズが進むごと
にマイルストーン収入を受け取り、上市後は製造また販売数量に応じてロイ
ヤリティ収入を受け取る。当然、譲渡先との契約内容によって細部は異なる
が、基本的にはこのようなスキームによりパイプラインは現金化される。
(医薬品の研究開発のプロセス:同社 HP より抜粋。円枠は ARJ)
同社は現在、新薬パイプラインを 12 種類有するが、今期その動向が非常に
注目されるパイプラインを重点的に紹介したい。
■今期その動向が非常に注目されるパイプラインについて
今期その動向が非
常に注目されるパ
イプラインについて
今期その動向が注目されるパイプラインは網膜色素変性治療薬(UF-021)”
オキュセバ”パイプラインと重症ドライアイ治療薬(RU-101)パイプライ
ンである。網膜色素変性治療薬(UF-021)”オキュセバ”パイプラインにつ
いては 2015 年春、重症ドライアイ治療薬(RU-101)パイプラインについて
は 9 月に有効性データ取得(キ―オープン)を控えており、その結果次第で
ライセンスアウトに向けたロードマップに大きなインパクトを与える。
下記、各パイプラインについて概説したい。
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11
業
績
■網膜色素変性治療薬(UF-021)”オキュセバ”パイプラインについて
網膜色素変性治療
薬(UF-021)パイプ
 会社概要
ラインについて
網膜色素変性とは、約 5,000 人に 1 人罹患する遺伝性の疾患であり、進行性
の網膜の視細胞の変性・消失により網膜変性と視機能障害を起こす。進行度
合や症状には個人差があるが、夜盲、視野狭窄、失明等を引き起こす。
(網膜色素変性の症状:同社 HP より抜粋)
同社の網膜色素変性治療薬(UF-021)”オキュセバ”は、疾患の進行を遅
らせる機能を有することがデータ的に確認されている(機能詳細については
非開示)
。
網膜色素変性治療薬の市場規模は、約 5,000 人に 1 人の罹患と考えると、グ
ローバルでも患者は 150 万人程と推定される。よって、グローバルで 500
億円、日本国内で 20 億円の市場規模と予想され、レスキュラ、Amitiza に
続く、第三の収益柱とすべく研究開発を続けている。
同パイプラインはライセンスアウトの基準であるフェーズ 2 を既に終了し
ているが、引き続き同社で研究開発を進める意向である。
同パイプラインについて、同社が多額の費用がかかる臨床試験を継続できる
背景にあるのは、盤石な財務基盤に加え、昨年 2 月に独立行政法人科学技術
振興機構(以下、JST)より、研究成果最適支援展開プログラム A-STEP
(Adaptable and Seamless Technology Program through Target-Driven R&D)
「本格研究開発ステージ 実用化挑戦タイプ (委託開発)
(注 2)
」に採択さ
れ、JST と同社が新技術開発委託契約等を締結したことがある。
これにより財務面の支援を受けられるが、その内容としては、最長で 7 年間、
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12
業
績
20 億円までの研究開発費の支援を受けることができ、成功時には売上に応
じて支援額の全額を返済する一方、不成功時にも支援額の 10%のみの返済
 会社概要
でよく、同社にとって極めて有利な支援内容となっている(無利子)
。
こういった財務的なサポートも受けながら、同パインプラインについての心
証試験は順調に進捗し、15 年春には有効性データ取得(キーオープン)を
予定している。
同パイプラインについて、有効性が証明されればライセンスアウトに向けて
極めて大きな一歩を踏み出すことになる。
よって、同キーオープンが同社の中長期の業績の方向性を決める大きな一因
になる可能性が高く、ARJ としては引き続き注意深く動向を見守りたい。
■重症ドライアイ治療薬(RU-101)パイプラインについて
重症ドライアイ治療
薬(RU-101)パイプ
ラインについて
ドライアイとは、眼表面の乾燥により引き起こされる眼疾患の総称である。
より具体的には、さまざまな要因による涙液層や眼表面(角結膜上皮)の障
害を特徴とする慢性で多因性の状態である。眼の不快感や視機能の異常を伴
い、目を酷使する機会が多くなった現代社会では、ドライアイの患者は年々
増加しており、世界のドライアイの治療薬市場は 1,500 億円の市場と見込ま
れ、今後も成長が見込まれている。また、国内には 2,200 万人もの患者がい
ると推定されている(慶応技術大学病院 医療・健康情報サイト)
。
軽症のドライアイであれば、市販の治療薬でも対処可能であるが、重症のド
ライアイに対しては、現時点では有効な治療薬が存在していないと考えてよ
い。
重症ドライアイ治療薬として FDA 認可のシクロスポリン点眼薬が存在する
が、同点眼薬は炎症を抑えることを主眼としており、同社の治療薬が有する
と目される、涙液成分を生成するような根本的な治癒を図る機能は有さない。
よって、もし同社の治療薬が上市した場合には睫毛貧毛症治療薬と同じく、
その製品的独自性の故に、多くのシェアを獲得することが見込まれる。
一方、同社の重症ドライアイ治療薬パイプラインは、原料供給に関する田辺
三菱製薬との契約を解除(2010 年 8 月)して以来、開発は中断されていた。
しかし、2011 年 10 月 18 日にデンマークを拠点とする Novozymes 社との間
で、新たに原料となる遺伝子組換え人血清アルブミンの供給に関する契約を
締結し、開発を再開した。
そして、2011 年 10 月 19 日に一般財団法人化学及血清療法研究所(以下 化
血研)と遺伝子組換え人血清アルブミンの安全性データの使用許諾につい
て基本合意に至った。化血研は同物質の臨床試験について、既にデータを保
持しており、同社はこの合意によりそのデータを利用し、開発を加速させる
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13
業
績
ことが可能となった。
このような経緯を経て、昨年より、米国において臨床試験を行うべく準備を
 会社概要
進め、無事開始された。この米国における臨床試験とは、フェーズ 1 とフェ
ーズ 2 を一つにした形で迅速なプロセスが期待される形態であるが、これが
可能となった背景には、先ほど上述した化血研より入手した血清アルブミン
の臨床試験データがあった。
足下の状況であるが、臨床試験は順調に進捗し、今年 9 月に有効性データ取
得(キーオープン)を予定することとなっている。
網膜色素変性治療薬(UF-021)パイプライン同様に、同パイプラインについ
ても、有効性が証明されることは、ライセンスアウトに向けて極めて重要な
一歩を踏み出すことになる。
特に同パイプラインに関しては、ライセンスアウト先との交渉が順調に伸展
すれば、今期に契約一時金が計上できる可能性も見えてきており、より一層
注意深く動向を見守る必要がある。
このように、同社は今期に二つのキーオープンを控えており、その結果がラ
イセンスアウトに向けての方向性を決め、中長期的な業績を大きく左右する。
まさに同社にとっては「勝負の一年」であり、ARJ としては両パイプライン
に関して重要な動きがあった場合は、迅速に報告したい。
■その他のパイプラインについて
その他のパイプ
ラインについて
既にライセンスアウトの基準であるフェーズ 2 前期が終了している男性型
脱毛症治療薬(RK-023)パイプライン、また同じ有効成分を有する睫毛貧毛
症治療薬(RK-023)パイプラインは、交渉の進捗によってライセンスアウトす
る可能性を秘めているが、同社に対する取材によると直近で特筆すべき動き
は見られない。
その他、アトピー性皮膚炎治療薬(RTU-1096)パイプライン、糖尿病白内障
治療薬(RTU-007)パイプライン、糖尿病神経障害治療薬(RTU-1096)パインラ
イン等は非臨床試験段階にあり、今後研究の進捗と市場ニーズを鑑みながら、
開発を進めていく模様である。いずれにせよ、今期、来期の収益に対するイ
ンパクトは低いとみられる。
■Sucampo 社向け研究開発支援について(項目 9.参照)
Sucampo 社向け研
究開発支援について
その他、同社は Sucampo 社が独自で開発する新薬パイプライン(プロストン
系)に対して、研究開発支援を行っており、具体的には、治験薬の製造、化
合物安定性試験等のサービスを提供している。この業務により、同社は現時
点で毎期 1.5 億円程度の売上が見込める。ARJ としても、今期、来期ともそ
の金額を参考として業績予想とする。
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14
業
績
■研究開発を取り巻く環境:アールテック・ウエノ 神戸研究所について
研究開発を取り巻
 会社概要
く環境:アールテック・
ウエノ神戸研究所に
ついて
同社は 2011 年 4 月より、神戸ポートアイランドの医療産業都市に新しい研
究所を開設し、創薬に関わる探索薬理スクリーニングや薬効薬理試験等を行
う研究開発の主要拠点を従来までの三田市より移転、活動を開始した。同産
業都市は、産学官の研究者が集まる場所であり、国内有数の医療産業専用の
クラスター(集積地)である。同社は、同研究所において、新薬パイプライン
開発の更なる効率化、迅速化を計っている。
(神戸研究所:同社資料より抜粋)
■コスト構造について概説
コスト構造について
概説
同社のコスト構造は全体としてシンプルであり、直近数年間は大きく変動す
ることはないと思われる。
→研究開発費について、新薬パイプラインが多額の費用を必要とする臨床試
験のフェーズにいくつかかるかにより発生額が異なるが、取材により確認し
たところ、今期は 15.0 億円、来期は 10.0 億円前後で推移すると予想する。
→売上原価については、同社へのヒアリングにより把握した各製品の粗利率
より ARJ が算出。
→研究開発費を除く販売管理費・その他営業費用については、当面は増員や
現体制を大きく変える予定もないことと直近のトレンドを考慮して、8.0 億
円前後で推移すると予想する。
→その他の費用項目は、毎期恒常的に過年度平均額と同額発生するものと想
定した。
→法人税率は 40%と仮定している。
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(出所)㈱QUICK
上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。
上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。
上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。
2012/03
株 価 推 移
2013/03
2015/03 予
(アナリスト)
2014/03
株価(年間高値)
円
117,300
339,500
3,435
-
株価(年間安値)
円
71,100
65,900
1,102
-
月間平均出来高
千株
2,652
17,723
3,160
-
高
百万円
4,053
4,552
5,618
5,803
売
上
営
業
利
益
百万円
1,063
784
1,419
1,453
経
常
利
益
百万円
1,073
890
1,477
1,550
百万円
680
561
1,062
1,008
業 績 推 移
当 期 純 利 益
E
P
S
円
6,910.50
5,746.66
55.07
52.2
R
O
E
%
8.9
6.9
12.3
-
流動資産合計
百万円
7,235
7,799
8,995
-
固定資産合計
百万円
2,094
2,120
2,403
-
資
百万円
9,329
9,919
11,399
-
産
合
計
貸借対照表
流動負債合計
百万円
705
973
906
-
主 要 項 目
固定負債合計
百万円
529
755
1,300
-
負
百万円
1,234
1,728
2,207
-
株主資本合計
百万円
7,138
7,217
7,999
-
純 資 産 合 計
百万円
8,095
8,191
9,192
-
営業活動による CF
百万円
814
267
1,428
-
投資活動による CF
百万円
-746
-197
-107
-
財務活動による CF
百万円
-299
-240
114
-
現金及び現金同等
物の期末残高
百万円
1,809
1,719
3,215
-
キャッシュフ
ロー計算書
主 要 項 目
債
合
計
アナリストレポート・プラットフォーム
16
リ
事
関
ス
ク
す
業
る リ
 会社概要
分
析
に
ス ク
事業に関するリスクについて
①参天製薬に対するレスキュラの売上について、依然逓減傾向であることは、
変わりなく、下落幅が予想以上に広がり、通期予想額をも大きく下回るリス
クがある。
②武田薬品工業に対するアメリカ市場向け Amitiza の販売について、市場環
境によっては、武田薬品工業が提示するフォーキャストを下回る売上で着地
するリスクがある。
③Amitiza の国内販売について、市場環境、国内におけるレピュテーション
の変動によって、Abbott 社が提示するフォーキャストを下回る売上で着地
するリスクがある。
④現在開発中の他パイプラインについて、安全性や効能に対する懸念や副作
用や、臨床試験データが競合品と比べて有意差を示さないことにより、開発
計画の遅延、中止に至るリスクがある。
⑤2013 年 8 月に同社は上野製薬株式会社より、三田工場を収去し、土地を
明け渡すことを請求する訴訟を提起されている。訴訟の結果が同社にとって
極めて不利なものになり、業務の執行に影響を与える可能性がある。
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デ ィ ス ク レ ー マ ー
1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。
)が実施する「アナリストレポー
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 会社概要
2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作
成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社ア
ドバンスト・リサーチ・ジャパン(以下「レポート作成会社」といいます。
)に支払われています。
3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに
誤りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありま
せん)
。
4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ
れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。
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動その他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資
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