強制薄膜式リアクターを用いたフタロシアニン固溶体ナノ粒子の作製

185
研究論文
J・Jpn、SOC、ColourMater.,85〔5〕,185-190(2012)
強制薄膜式リアクターを用いたフタロシアニン固溶体ナノ粒子の作製
およびその特‘性
前川昌輝*,**.↑・本田大介*・榎村真一*・酒井秀樹**,***・阿部正彦**,***
*エム・テクニック㈱大阪府和泉市テクノステージ2-2-16(〒594-1144)
*掌東京理科大学大学院理工学研究科千葉県野田市山崎2641(〒278-8510)
…東京理科大学総合研究機構千葉県野田市山崎2641(〒278-8510)
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(2011年11月16日受付;2011年12月27日受理)
要 旨
強制薄膜式リアクター(FTFR)を用いて,銅フタロシアニン(Cu-Pc)と臭素化塩素化亜鉛フタロシアニン(Zn-Pc)の固溶体ナノ
粒子を作製した。実験は,発煙硫酸に溶解させたCu-PcとZn-PCの混合溶液を水に希釈することで,粒子を析出させる方法を用いた。
作製したフタロシアニンナノ粒子は,XRD,IR,ICPおよびSTEM-EDSにて評価した。その結果,CuとZnが均一に分布した10∼30
,mの固溶体ナノ粒子であることがわかった。UV-Visを用いて可視光領域における透過スペクトル特性を評価した。その結果,Cuと
Znのモル比を制御することによって,透過スペクトル特性を制御できることがわかった。TG・DrAを用いて熱的特性を確認した。そ
の結果,固溶体化することで分解温度が上昇することがわかった。これらの結果からFTFRを用いることによって新たな特性のフタロ
シアニンナノ粒子を作製できることを見いだした。
キーワード:固溶体,銅フタロシアニン,臭素化塩素化亜鉛フタロシアニン,強制薄膜式リアクター
が知られている'・3)。しかしこの手法では,一方向での色特性の
1.緒論
近年,有機顔料を微細化することによる染料レベルの発色性
を有し,かつ堅牢な色材の創製が試みられている。一般的に微
細化することで透過・吸収特性は,短波長側へシフトすること
制御しかできない。そこで色域を広げ,色再現性を向上するた
めには,2種以上の色相の異なる顔料種を混合して調色するこ
とも一般的である。しかし,使用する複数種類の顔料は,それ
ぞれの化学的な性質が異なるため,各種分散液の安定貯蔵が難
しいだけでなく,プロセスが煩雑化しやすいことは容易に想像
○
○
できる3.5)。この問題を解決する一つの方法としては,単独の顔料
ナノ粒子について,その色特性を制御する方法が必要となる。
本研究では,青色顔料である銅フタロシアニン(Fig.1,Cu‐
PCと略記)と,緑色顔料である臭素化塩素化亜鉛フタロシアニ
ン(Fig.2,Zn-Pcと略記)との固溶体ナノ粒子を作製し,色特
性の制御に関する可能性ほかを検討した。実験方法としては,
○
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錐者らがこれまでに報告した強制薄膜式リアクター(Forced
ThinFilmReactor:FrFRと略記)によるCu-Pcナノ粒子の作製
を応用した1.2)。FIFRを用いることで,①数十nmのCu-Pcナノ
粒子の作製が可能であること,②数∼数十肌、程度の薄膜中で
は分子レベルの混合・拡散が急速かつ均一に起こるため,本検
○
○
討のような異なる顔料を,偏析させずにナノ顔料として固溶体
噴弾
○
化することが可能であると考えたためである。
2.実験装置および実験方法
○
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本実験では,Cu-PcとZn-Pcを発煙硫酸と濃硫酸の混合溶液
に加えて溶解させたフタロシアニン溶液と純水(PWと略記)
とを混合し,粒子を析出させるアシッドペーステイング法を,
強制薄膜式リアクター(FIFR)に適応させてフタロシアニンナ
ノ粒子を作製した。作製したフタロシアニンナノ粒子の形状と
−1−
186
研 究 論 文
粒子径の測定は,透過型電子顕微鏡(TEM)および粒度分布計
J・Jpn・SOC,ColourMater.,85〔5〕(2012)
鏡観察下でのエネルギー分散型蛍光X線分光分析(STEM‐
送液される。次に,反応部の概念図をFig.4に示す。反応部は,
下部の回転デイスクと,軸方向には,可動であるが回転方向に
は固定された固定ディスクからなる。流体Aは,ディスクの内
EDS)にて,粒子におけるCu,ZnおよびBrの分布状態を確認
側からディスク間に送液される。二枚のディスク面には,鏡面
した。さらに,その比率については,STEM-EDSおよび誘導結
加工を施してあり,運転停止時は閉止されている。流体Aをデ
合プラズマ発光分光分析(ICP)にて定量,算出した。分散液
ィスク間に送液し,ディスクの回転を開始することによって流
の可視領域における透過特性を紫外可視分光分析(UV-Vis)に
体Aは,スパイラル状の流れをもつ厚み数umの強制薄膜を形
より確認した。乾燥粉体を作製し,X線回折測定(XRD)で結
成する。流体Bを固定ディスクに設けられた流路を用いて強制
晶型を評価し,フーリエ変換赤外分光分析(Fr-IR)にて分子
薄膜中に送液することによって.流体Aと流体Bは,ディスク
測定にて行った。固溶体化の評価のために走査透過型電子顕微
構造を評価した。示差熱重量分析(TG・DTA)にて熱的特性
間に形成された強制薄膜中で混合され,ディスク間より吐出さ
を確認した。
れる。この機構によりディスク間においては,急速な分子レベ
2.1実験装置
ルでの混合・拡散が起こり,均一な反応・晶析が可能となる。
フタロシアニンナノ粒子の作製に用いたFrFRのフロー図を
また固定ディスクの背面には,複数本のバネが欺設されており,
さらに圧縮気体(空気や窒素など)にて一定圧力を付与できる
Fig.3に示す。流体Aはタンクから圧縮空気にて反応部に送液
され,流体Bはシリンジポンプ(エム・テクニック㈱製)にて
機構になっている。この機構により運転時に発生する振動や熱
反応部に送液される。本実験では,流体AがPW,流体Bがフ
変位等による反応場への影響を低減することができ,安定的に
タロシアニン溶液である。また流体Aおよび流体Bは,反応部
強制薄膜を形成できる。
に導入される直前に,熱交換器によって目的の温度に調節して
2.2試薬
Cu-Pcは,PVFASTBLUEBG(クラリアントジャパン製,
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ml1lI1A
C、1.PigmentBh,el5:3)を用いた。Zn-Pcは,臭素化塩素化亜
,
霞
皇
急
IcIIcckvnll
鉛フタロシアニン(DIC製,Cl、PigmeI1tGreen58)を用いた。
フタロシアニン溶液の作製には硫酸(キシダ化学製,98%
H2SO4)と発煙硫酸(SIGMA-ALDRICH製,30%SO3)を混合
lFIlIi(IBTnIlk
して用いた。作製したフタロシアニンナノ粒子の分散には''一ド
【
八
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デシル硫酸ナトリウム(関東化学,一級,SDSと略記)を分散
i窪′、、,
IF1uidATnnk(20ぃ1
剤として用いた。上記試薬などは精製を行わずに用いた。
2.3フタロシアニン固溶体ナノ粒子の作製
Fig.3FlowcharlofFTFR‘
所定量のCu-PcとZn-Pcを蓋付きの容器に量り取り,そこへ
SpringForce
StationaryDisk
発煙硫酸と濃硫酸の混合溶液(5Wt%SO3-95wt%H2SO4)を
加え,蓋をした後5分間スターラーにて撹枠溶解させて作製し
た流・体Bと流体A(PW)とをFTFRにて混合し,フタロシアニ
ンナノ粒子を析出させた。実験条件についてTablelに示す。
や
遮鍵識
は,Cu-Pc単独のフタロシアニンナノ粒子を作製した。
2.4ナノ粒子の洗浄方法および評価サンプルの作製
●合官9句■
一胃jIト
評袖蝿亮屋︾
砂麿
画描
mixtm・e
No.lからNo.4の順にCu-Pcの割合が多くなる。No.4について
Fn員Rより吐出されたフタロシアニンナノ粒子水分散液を遠心
ー痕”けり矛汐”ザ”
分離(KUBOTA製778011,23,000G,10分)し,上澄みをデカ
ンテーションにて取り除くことで固液分離を行った。続いて沈
殿物にPWを加え,超音波洗浄機(東京理科機器製,AU308CB)
L
--.hF
を用いて10分間再分散処理した後,再度遠心分離する作業を
、i雫 RotatingDisk
3回行い,ナノ粒子の洗浄を行った。洗浄後のナノ粒子水ペー
ストを顔料濃度が0.1Wt%になるように0.05M%SDS水溶液に
lFig.4SketchofFrFR‘
TablelExperimenlalCondition
FhIidB
NC
FluidA
Total
Cu−Pc:Zn−Pc
Pig.Conc.
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PW
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Swt%SO3‐
7.62.4
95Wt%H2SO4
§
10.00
−2−
1.700
400
9
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2
5
強制薄膜式リアクターを用いたフタロシアニン固溶体ナノ粒子の作製およびその特性
加え,超音波分散機(Hielscher製,UP200S)を用いて分散処
理を行った。Zn-Pc単独の分散液の作製は,Zn-Pc原料を用いて
187
定結果をFigs、5,6に示す。FrFRを用いて作製した粒子は,一
次粒子径10∼30nm程度の略球状粒子であることを確認した。
同様に分散処理を行い作製した。これらの分散液を用いてTEM
およびSTEM-EDS分析,ICP測定ならびにUV-Vis測定試料を
次に,作製した粒子の元素分析を行った。Fig.7に代表的な
作製した。また水ペーストを60℃,−0.lMPaGの条件で12時
ものとしてNo.2の条件で作製した粒子のSTEM-EDS分析結果
を示す。分析結果からCu,ZnおよびBrが偏析することなく均
間真空乾燥して乾燥粉体を作製した。この乾燥粉体をXRD測
一に分布していることを確認した。No.lおよびNo.3で作製した
定,IR測定ならびにTG・DTA測定用試料とした。
粒子も同様の分布状態であることを観察している。次に,作製
2.5測定
したフタロシアニンナノ粒子についてICP測定を行った。その
粒度分布測定には,動的光散乱方式粒度分布測定装置ナノト
結果とSTEM-EDS分析から求めたCuとZnのモル比をTable2
ラックUPA-UT151(日機装製)を使用した。測定条件は,粒
に示す。ICP分析とSTBM-EDSの結果は,ほぼ一致した。以上
子屈折率1.81,粒子比重1.09/cm3,測定溶媒がPW,測定時間
G
I
I
2分である。分散液の350∼800,mにおける透過スペクトル測
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戸1
つ訂
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U︻ヨ
フ宮
定には,紫外可視分光光度計UV-2450(UV-Vis,島津製作所
製)を使用した。測定試料は顔料濃度をo005wt%に調整した
分散液を用いた。測定条件は,石英セルを使用し,サンプリン
グレート0.2,m,測定速度が低速である。粒子の形状観察に
は,透過型電子顕微鏡JEM-2100(TEM,JEOL製)を使用し
た。観察試料は,顔料濃度を0.005Wt%に調整した分散液をコ
ロジオン膜付Moグリッドに滴下後,真空乾燥させて作製した。
STEM-EDS分析による,粒子中のCu,ZnおよびBrの元素マッ
ピングおよび定量には,TITAN80-300(STEM-EDS,FEI製)を
用いた。誘導結合プラズマ発光分光分析による,粉体試料中に
含まれるCuおよびZnの定量には,ICP8100(ICP,島津製作所製)
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NC
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ParticIedinmelerInml
を用いた。観測波長は,Cu:224,700nmZn:21385611mを用
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manufacturedbyFTFR.
いて3回平均値にて評価した。結晶柵造に関して,粉末x線回
折測定装置X‘PertPROMPD(XRD,スペクトリスPANalytical
事業部製)を使用した。測定条件は,Cu対陰極,管電圧45kV,
管電流40mA,走査速度1.6./minである。フーリエ変換赤外分
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(
b
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一流’,蔦.y#
糖
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光分析には,FT/IR-4100typeA(FT-IR,日本分光製)を用い
た。測定はKBr錠剤法,分解能4.0cm-1,積算回数32回で行
った。示差熱重量分析には,TG/DTA-6300(TG・DTA,セイ
コーインスツル製)を使用した。測定条件は大気下,昇温速度
を5℃/minとし,参照サンプルはαアルミナ,サンプル重量は
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豊爵1艮・,烏.
jj寺・砥“・融Sj”!
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3.結果および考察
3.1粒子の組成ならびにその構造分析
作製したフタロシアニンナノ粒子のTEM観察と粒度分布測
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byFTFRunderNo2condition[(a)STEMimage*red
sqUaredisplaysmappingarea(b)HRmMimage(c)BI
mappingimage(d)Cumappingimage(e)Znmapping
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188
J,Jpn・SOC、ColourMater.,85〔5〕(2012)
研 究 陰 文
100
Table2ResultsofelementalanalysesoflCPandSTEM-EDS.
昔No.1T唾aエ1%I■89.】⑱
入■S00AOnm
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byFTFR(No.l∼4)andZn-Pcmaterial.
100
一NO1
一や堅①U自慰輯一目切目飼揖牌
1600140012001000800
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−No4+Zn−Pc
No4+Zn−Pc
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WaveIengthInml
Fig.81Rspectraofnanopigmentparticlesmanufacturedby
FrFR(No.I∼4)andZn-PCmaterial.
Fig,11TransmissionspectraofNo、land,mixedsampleofZn‐
PcandNo,4[Cu:Zn=3.8:6.2(mCl)].
Zn-PC
Zn-PcとCu-Pc(No.4)とのピークを足し合わせたような形でス
ペクトルが得られた。次にXRD測定結果をFig.9に示す。最上
段にZn-Pc原料の回折パターンを示した。No.1,2,3では,非
No.1
常にプロードな回折パターンが確認された。これは,微粒子化
倉呂塁昌
による回折線の広幅化と考えられる。No.4では,α型Cu-Pcの
回折パターンが確認されたI・ユ6)。No.1∼3の順に,Cu-Pcの量が
No.2
増加するに従い,Zn-Pcの回折に由来する25。付近のピークが
32.付近のピークに対して強度比が増加した。さらに高角側へ
わずかにシフトしていくのが確認された。Cu-PcとZn-Pcのモル
No.3
比の変化にともなう結晶構造の変化が示唆された7)。
以上より,今回作製した粒子は,Cu-PcとZn-Pcの基本構造
を保ったまま,一定の比率で均一に固溶した10∼30,m程度の
No.4(a-CuPc)
ナノ粒子と考えられる。
3.2ナノ粒子分散液の透過スペクトル
各条件にて作製したフタロシアニンナノ粒子の分散液につい
1020304050
zeIdegreel
て,透過スペクトルを測定した。その結果をFig.10に示す。ま
た,図における▽で示した位置は,各スペクトルにおける最大
Fig、9XRDpattemsofnanopigmentparticlesmanufacturedby
FIFR(No.1∼4)andZn-Pcmaterial.
透過率となる波長位置を示す。Cu-Pc量の増加とともに最大透
より作製した粒子は,偏析することなく,固溶体を形成してい
過率となる波長が,短波長側に移動することを確認した。また
ることが示唆された。
No.4の分散液とZn-Pcの分散液をNo.1,2,3と同等のCuとZn
次にFILIR測定結果をFig.8に示す。IR測定結果の最上段は
モル比になるように混合した。その分散液の透過スペクトルを
Zn-Pc原料のスペクトルである。No.1,2,3では原料に用いた
測定し,比較した結果を順にFigs、11∼13に示す。作製した固
−4−
強制薄膜式リアクターを用いたフタロシアニン固溶体ナノ粒子の作製およびその特性
1
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一NCl(Tq
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Fig、12TransmissionspectraofNo2and,mixedsampleofZn-
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5 TG・DTAanalysisofNo、1.
PCandNo,4[Cu:Zn=5.8:4.2(mCl)].
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証
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宕堅①②自国輯冒扇口興﹄P
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Fig.16TG・DTAanalysisofNo、2.
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PcandNo、4[Cu:Zn=7.6:2.4(mCl)].
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5
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5 0 2 0 0 3 5 0 5 0 0 6 5 0
800
Temp1℃l
Temp1℃l
Fig.14TG・DTAanalysisofZu-Pc(PG58).
Fig.17TG・DTAanalysisofNo3.
溶体ナノ粒子の分散液は,混合した分散液と比較して,最大透
Zn-Pcの分解温度は,521℃であった。Fig.15にNo.lで作製し
過率となる波長が,短波長側であることを確認した。さらにス
たフタロシアニンナノ粒子のTG・DTA測定結果を示す。その
ペクトル形状も異なることがわかった。このことから,固溶体
結果,分解温度は532℃であった。Fig.16にNo.2で作製したフ
分散液と,混合分散液とでは,スペクトル特性が異なることが
タロシアニンナノ粒子のTG・DTA測定結果を示す。その結
わかった。以上の結果より,Cu-PcとZn-Pcのモル比を制御する
果,分解温度は543℃であった。Fig.17にNo.3で作製したフタ
ことで,色特性を変化させることができることを見いだした。
ロシアニンナノ粒子のTG・DTA測定結果を示す。その結果,
3.3熱分析結果
分解温度は578℃であった。Fig.18にNo.4で作製したフタロシ
Fig.14にZn-Pc原料のTG・DTA測定結果を示す。図中に破
アニンナノ粒子のTG・DTA測定結果を示す。その結果,分解
線で,DTA微分曲線から求めた重還減少開始温度と最大変化
温度は465℃であった。以上の結果から,固溶体化することで
量を示す温度から求めた分解温度について示した。その結果,
分解温度が上昇することがわかった。さらにCuとZnのモル比
−5−
190
研 究 飴 文
JJpn、SOC・ColourMater.,85〔5〕(2012)
を変化させることで分解温度を制御できることがわかった。以
4.まとめ
上の結果をTable3にまとめた。
FIFRを用いてCu-PcとZn-PCのフタロシアニン固溶体ナノ粒
子の作製に成功した。またUV-Vis測定から,Cu-PcとZn-Pcの
280
モル比を変化させることで透過スペクトル特性が制御できるこ
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であると考えられる。TG・DTA測定より,固溶体化すること
で分解温度が上昇することを確認した。またCU-PcとZn-Pcの
モル比を変化させることで,分解温度の制御もできることを確
認した。以上の結果から,FTFRを用いることによって新たな
7
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-80
特性のフタロシアニンナノ粒子を創製できることがわかった。
この結果は,目的とする特性をもつ各種固溶体顔料の創製実現
-105
に寄与するものと思われる。
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Temp1℃l
文 献
Fig.18TG・DTAanaIysisofNo,4andCu-Pc.
1)本田大介,小林加永子,数本優,前川昌輝,張暁峰,緒方
嘉貴,榎村填一,酒井秀樹,阿部正彦:ノ.Jp"、soc、COノo!,r
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3)船倉省二:J、JP"、SOC、COノo"rMmer.,84〔5〕,179(2011).
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4)目黒鎌次郎:“色材工学ハンドブック”,朝倉書店(2000).
5)朝日剛:“最新顔料分散ノウハウ集",技術情報協会(2008).
6)田中正夫,船倉省二:“フタロシアニン",ぷんしん出版(1991).
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FabricationofPhthalOcyanineSolidSolutionNan⑪particles
byForcedThinFilmReact0randTheirPr0perties
MasakiMAEKAwA*,**,↑,DaisukeHoNDA*,MasakazuENoMuRA*,
HidekiSAKAI**,***andMasahikoABE**,***
*M-たcA"i9IイeCb.,Lぱ,2-2-J6庇cA"osfage,ノz”71i,Osqka59ィー〃郷,、ノヒリフα〃
**Gmdlィα花S℃ACOノq/・Scje"“α"d酌g伽e〃伽9,7b勺oUj'んe応iIyq/S℃花"“’2“ノ】/h剛αzα",ノVbdh,Cソ'妙α278-85ノ0,J上ZPα〃
***Res“”ハル““eノbrScje"Ceα"d亜cA"oノogy,7bb'。U"jve応ijyq/Scje"c2,2“ノy、"rqzaAj,ノVbdzz,Cソi必α278-85ノ0,.ノヒZpα〃
fCb舵SPO"。i"9A”ACノ;E−"zαi上川αe肋wα@m-だch'1i9"e・cojp
(ReceivedNovemberl6,2011;AcceptedDecember27,2011)
AbStract
Phthalocyaninesolidsolutionnanoparticlesconsistingofbrominatedchlorinatedzincphthalocyanine(Zn-Pc)andcopperphthalocyanine
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(STEM-EDS)showedphthalocyaninesolidsolutionnanoparticleswithaunifbrmdistributionofCuandZn,Moreoverthediametersofthe
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