ペロブスカイト構造リチウムイオン伝導体Li3/8Sr7

ペロブスカイト構造リチウムイオン伝導体 Li3/8Sr7/16Ta3/4Zr1/4O3 の
合成および特性評価
(豊橋技術科学大学)○木村圭祐・東城友都・稲田亮史・櫻井庸司
Synthesis and characterization of perovskite-type lithium-ion conductor Li3/8Sr7/16Ta3/4Zr1/4O3 / K. Kimura, T. Tojo, R. Inada, Y.
Sakurai (Toyohashi University of Technology) / Perovskite-type lithium-ion conductors Li3/8Sr7/16Ta3/4Zr1/4O3 (LSTZ) was prepared
by a solid state reaction method. Microstructures, crystal phases and electrical properties were greatly influenced by sintering method.
Total (bulk and grain-boudary) ionic conductivity of LSTZ pellets sintered with calcined powders attained to 2 × 10-4 Scm-1 at room
temperature, which was attributed to dense structure with larger LSTZ grains and suppression of Li deficient secondary phases.
問合先:E-mail: inada[email protected]
【緒言】
ペロブスカイト構造を有するLi2/3-3xLaxTiO3(以下LLT)[1]は,室温下で
10-3 Scm-1(バルク値)を超える高いリチウムイオン伝導率を示すが,粒
界抵抗が大きいことに加えて,リチウム基準で1.6V程度と高電位で構成
元素のTiが還元される問題があり,単体での全固体電池用電解質として
の利用が難しい。本研究では,LLTよりも電気化学的安定性に優れたペ
ロブスカイト構造Li3/8Sr7/16Ta3/4Zr1/4O3(以下LSTZ)[2]を固相反応法で合成
し,異相低減ならびにイオン伝導率向上に向けた合成条件(焼結方法や
Li源の仕込み量)について検討した。
【実験方法】
Fig. 1. XRD patterns of sintered LSTZ.
Li:Sr:Ta:Zr = 1.5:1.75:3:1(モル比)となるように,Li2CO3, SrCO2,
Ta2O5, ZrO2 を秤量し,遊星ボールミルにより湿式粉砕・混合を 5 時
間行った。得られた前駆体粉末をアルミナ坩堝に入れて,大気中にて
1100℃で 12 時間仮焼した。この仮焼粉末を擂潰機により乾式粉砕・
混合し,一軸プレスで 53MPa 印加することでペレット状に仮成形し,
更に冷間等方圧プレス機を用いて 300MPa で 3 分間加圧した。このペ
レットをアルミナ坩堝に入れ,大気中,1300℃で 15 時間焼結した。
焼結の際に,①ペレットのみで焼結,②ペレットに仮焼粉を被せて焼
結,の 2 種類の方法を用いた。焼結体の結晶相同定,微細構造観察に
は XRD,SEM を用いた。また,金薄膜電極をペレットの両端面に蒸
着し,27~150℃の温度範囲において交流インピーダンス測定を行い,
イオン伝導率 σ を評価した。
Fig. 2. AC impedance at 27°C of LSTZ.
【実験結果・考察】
Fig.1 に,2 種類の LSTZ 焼結体の XRD 分析結果を示す。ペレットのみ
で焼結した試料では,ペロブスカイト構造由来の回折ピーク以外に SrTa2O6
のピークが観測されたのに対し,同組成粉を被せて焼結した試料では
SrTa2O6 のピークが減少し,ほぼ単相の LSTZ が得られていることを確認し
た。後者では,高温下での Li 揮発および不純物生成が抑制されたためと推
測される。LSTZ の 27℃における交流インピーダンス測定結果を Fig.2 に示
す。仮焼粉末と共に焼結したペレットのイオン伝導抵抗は,ペレットのみ
で焼結した場合の 1/5 程度であり,特に粒界抵抗が大きく低減しているこ
とが分かる。同組成粉と共に焼結したことにより,異相低減と共に粒成長
が促進され,より緻密な組織が形成されたためと考えられる(Fig.3)。ペ
レットのみで焼結した試料は σ = 0.47×10-4 Scm-1 であったのに対し,仮焼粉
末を被せて焼結した試料は,σ = 2×10-4 Scm-1 と既報値(0.8×10-4 Scm-1 at
30℃)[2]よりも 2 倍以上高い伝導率を得ることができた。なお,発表では,
Li 源の仕込み量が LSTZ の諸特性に及ぼす影響についても議論する。
【謝辞】
本研究の一部は,JSPS 科研費 26630111 ならびに中部電気利用基礎研究
振興財団研究助成 R-25209 の支援により実施した。
【参考文献】
[1] Y. Inaguma, et al., Solid State Comm. 86 (1993) 689-693.
Fig. 3. SEM images of LSTZ.
[2] C.H. Chen, et al., Solid State Ionics 167 (2004) 263-272.