改 定 現 3.5 取水施設の設計 行 備 3.5 取水施設の設計 取水施設は、その最大取水量、緊急放流量及び工事中の洪水量を安全に取水又は放流できるよう計 取水施設は、その最大取水量、緊急放流量及び工事中の洪水量を安全に取水又は放流できるよう計画 画するものとする。また、流水の水勢を緩和する必要がある場合においては適切な減勢工を設けるもの するものとする。また、流水の水勢を緩和する必要がある場合においては適切な減勢工を設けるものと とする。 する。 3.5.1 取水施設の構成 3.5.1 取水施設の構成 取水施設は取水部、導水部によって構成される。 取水施設は取水部、導水部によって構成される。 取水施設は、取水部、導水部からなり、適時適量の取水が容易にできるよう、適切な組合わせを選定しな ければならない。 取水施設は、取水部、導水部からなり、適時適量の取水が容易にできるよう、適切な組合わせを選定しな ければならない。 取水部は、ため池の貯水を取水するための斜樋又は取水塔等である。取水部には取水量を調節するための 取水部は、ため池の貯水を取水するための斜樋又は取水塔等である。取水部には取水量を調節するための ゲート等が設けられる。また、導水部は取水を堤外に導水するための底樋、取水トンネル及び減勢工をいう。 ゲート等が設けられる。また、導水部は取水を堤外に導水するための底樋、取水トンネル及び減勢工をいう。 それぞれの型式選定に当たっては、表-3.5.1、表-3.5.2 を参考に適時適量の取水が容易で、かつ経済的な それぞれの型式選定に当たっては、表-3.5.1、表-3.5.2 を参考に適時適量の取水が容易で、かつ経済的な 型式を選定するものとする。一般には、図-3.5.1 に示す斜樋、底樋の型式がよく用いられている。また、図 型式を選定するものとする。一般には、図-3.5.1 に示す斜樋、底樋の型式がよく用いられている。また、図 -3.5.2 に示すような取水塔と洪水吐を兼ねた型式もある。 -3.5.2 に示すような取水塔と洪水吐を兼ねた型式もある。 減勢工は必要に応じ、インパクトボックス、桝等を計画するものとする。 減勢工は必要に応じ、インパクトボックス、桝等を計画するものとする。 次節以降は、代表的な型式である斜樋、底樋について記述する。 次節以降は、代表的な型式である斜樋、底樋について記述する。 表-3.5.1 取水施設の型式別特徴 区分 取 構造物 斜 樋 水 部 取水塔 取水 導 トンネル 水 部 底 樋 表-3.5.1 取水施設の型式別特徴 特 徴 留意点 工事費が取水塔に比べ少ない。 大きな支持力を有する地盤を必要と せず施工が容易である。 構造的に安定であり、維持管理が容易 である。 設置傾斜が緩やかであれば延長が長くなり、軸管操作の場合 は故障を起こしやすい。 水門の操作が容易である。 位置の選定について制約が少ない。 温水取水が容易である。 工事費が斜樋に比べ大となる。 維持管理が斜樋に比べやや困難である。 鋼構造の場合は、将来塗装の塗り替えに費用を要する。 貯水の浸透に対し安全である。 土圧、地震力等に対し安全である。 維持管理が容易である。 小断面の施工が困難で、小規模のものでは底樋に比べ一般に 工事費が大となる。 取水トンネルに比べ工事費が少な い。 貯水の浸透に対し不利である。 盛土、土圧、地震力等に対し不利である。 維持管理が困難である。 区分 取 構造物 斜 樋 水 部 取水塔 取水 導 トンネル 水 部 底 樋 103 利 点 欠 点 工事費が取水塔に比べ少ない。 大きな支持力を有する地盤を必要と せず施工が容易である。 構造的に安定であり、維持管理が容易 である。 設置傾斜が緩やかであれば延長が長くなり、軸管操作の場合 は故障を起こしやすい。 水門の操作が容易である。 位置の選定について制約が少ない。 温水取水が容易である。 工事費が斜樋に比べ大となる。 維持管理が斜樋に比べやや困難である。 鋼構造の場合は、将来塗装の塗り替えに費用を要する。 貯水の浸透に対し安全である。 土圧、地震力等に対し安全である。 維持管理が容易である。 小断面の施工が困難で、小規模のものでは底樋に比べ一般に 工事費が大となる。 取水トンネルに比べ工事費が少な い。 貯水の浸透に対し不利である。 盛土、土圧、地震力等に対し不利である。 維持管理が困難である。 考 改 定 現 表-3.5.2 構造物の基礎条件 行 備 表-3.5.2 構造物の基礎条件 構造物種別 基 礎 の 条 件 構造物種別 基 礎 の 条 件 斜 樋 貯水によって飽和しても崩壊したりせず、必要な支持力を失わない良好な 地盤であること。 斜 樋 貯水によって飽和しても崩壊したりせず、必要な支持力を失わない良好な 地盤であること。 取水塔 貯水によって飽和しても、必要な支持力を失わない耐久性のある地盤であ ること。 取水塔 貯水によって飽和しても、必要な支持力を失わない耐久性のある 地盤で あること。 取水トンネル なるべく池水からのかぶりが大きく、水密で安定した岩盤であること。 取水トンネル なるべく池水からのかぶりが大きく、水密で安定した岩盤である こと。 取付ボックス 流水の振動によって沈下したり流動したりしない支持力の十分な安定し た地盤であること。 取付ボックス 流水の振動によって沈下したり流動したりしない支持力の十分な安定し た地盤であること。 良質な地盤であること。 遮水性ゾーン部を除き、極力盛土上には敷設しない。 底 樋 良質な地盤であること。 遮水性ゾーン部を除き、極力盛土上には敷設しない。 底 樋 巻上ハンドル 巻上ハンドル 空気孔 取水孔部 (スライドゲート) 工 土砂吐ゲート 斜樋 基礎の変形に応じた 適切な継手を設ける 工 斜樋 FWL (スライドゲート) 工 斜樋 FWL 管部 樋 斜 出口桝工 角落し 空気孔 取水孔部 工 土砂吐ゲート 斜樋 管部 樋 斜 出口桝工 角落し 底樋管巻立 底樋管巻立 底樋管 底樋管 止水壁 取付ボックス部 取付水路部 止水壁 取付ボックス部 取付水路部 底樋管敷設部 底樋管敷設部 土砂吐部 土砂吐部 図-3.5.1 取水施設参考例(斜樋型式) 図-3.5.1 取水施設参考例(斜樋型式) スライドゲート スライドゲート FWL FWL ゾ 性 水 遮 ゾ ー ンー ー ンー 図-3.5.2 取水塔参考例(竪樋型式) 図-3.5.2 取水塔参考例(竪樋型式) 104 性 水 遮 考 改 定 3.5.2 斜樋の設計 現 行 3.5.2 斜樋の設計 斜樋は、現況取水施設の状況を十分考慮の上、必要な取水量が確保できるよう設計するものとする。 (1) 取水孔の位置 斜樋は、現況取水施設の状況を十分考慮の上、必要な取水量が確保できるよう設計するものとする。 (1) 取水孔の位置 取水孔の位置は、現況取水孔の位置を参考として決定する。また、水利慣行上、上樋、中樋等に分けな ければならない時は、従前の取水孔の位置についても十分考慮して決定する。 (2) 取水孔径 取水孔の位置は、現況取水孔の位置を参考として決定する。また水利慣行上、上樋、中樋等に分けなけ ればならない時は、従前の取水孔の位置についても十分考慮して決定する。 (2) 取水孔径 取水孔径は、現況の取水孔径を考慮して決定する。計算により取水孔径を決定する場合には、式(3.5.1) による。 取水孔径は、現況の取水孔径を考慮して決定する。計算により取水孔径を決定する場合には、式(3.5.1) による。 A= Q ················································································· (3.5.1) A= H C 2g 2 ここに、A :孔断面積(m2) Q ここに、A Q :取水量(m3/s) C :流量係数(普通 0.62) 2 :重力の加速度(= 9.8 m/s ) g H :孔中心までの水深(m) (図-3.5.3) Q は最大取水量とし、対象農地における最大必要流量(Q C )にかんがい効率(α)を考慮した値 (Q = :孔断面積(m2) Q :取水量(m3/s) C :流量係数(普通 0.62) g ················································································· (3.5.1) H C 2g 2 100 Q C )とする。 α :重力の加速度(= 9.8 m/s2) H :孔中心までの水深(m) (図-3.5.3) Q は最大取水量とし、対象農地における最大必要流量(Q C )にかんがい効率(α)を考慮した値 (Q = 100 Q C )とする。 α FWL FWL H H 図-3.5.3 H のとり方 (3) 斜樋 斜樋は良好な地山に設けることが望ましい。堤体斜面に設ける場合は、盛土の圧密沈下により支障を生 じないよう目地等の構造に配慮して設計するものとする。 a. 斜樋管 斜樋管の通水断面積は、取水孔からの流入を阻害せず、取水孔の取付けに具合のよい大きさが必要で ある。このため、斜樋管断面は取水孔断面の 2 倍程度とし、表-3.5.3 を標準に斜樋管径を決定する。 図-3.5.3 H のとり方 (3) 斜樋 斜樋は良好な地山に設けることが望ましい。堤体斜面に設ける場合は、盛土の圧密沈下により支障を生 じないよう目地等の構造に配慮して設計するものとする。 a. 斜樋管 斜樋管の通水断面積は、取水孔からの流入を阻害せず、取水孔の取付けに具合のよい大きさが必要で ある。このため、斜樋管断面は取水孔断面の 2 倍程度とし、表-3.5.3 を標準に斜樋管径を決定する。 105 備 考 改 定 現 ただし、「3.6 緊急放流施設の設計」に示す緊急放流の機能を持たせる場合については、「3.6.4 放流 備 ただし、「3.6 緊急放流施設の設計」に示す緊急放流の機能を持たせる場合については、「3.6.4 放流 孔径及び斜樋管径の算定」により斜樋管径を決定するものとする。 孔径及び斜樋管径の算定」により斜樋管径を決定するものとする。 表-3.5.3 取水孔径と斜樋管径(標準) (単位:mm) b. 行 表-3.5.3 取水孔径と斜樋管径(標準) (単位:mm) 取水孔径 100 125 150 200 250 300 取水孔径 100 125 150 200 250 300 斜樋管径 200 200 250 300 400 500 斜樋管径 200 200 250 300 400 500 断面寸法について b. 管体は、水圧、浮力、その他の外力に対して十分安全な構造でなければならない。断面寸法は、図-3.5.4 及び表-3.5.4 を参考とする。 断面寸法について 管体は、水圧、浮力、その他の外力に対して十分安全な構造でなければならない。断面寸法は、図-3.5.4 及び表-3.5.4 を参考とする。 スライドゲート スライドゲート 空気孔( 50 mm)程度 x 空気孔( 50 mm)程度 x x-x 断面 x スピンドル x-x 断面 b x アンカー工 ブロック 斜樋管 D a スピンドル b アンカー工 ブロック 斜樋管 D a 管理用階段 管理用階段 図-3.5.4 斜樋断面 図-3.5.4 斜樋断面 表-3.5.4 斜樋管巻立寸法例(単位:mm ) 表-3.5.4 斜樋管巻立寸法例(単位:mm ) 斜樋管径 D 200 250 300 400 500 斜樋管径 D 200 250 300 400 500 巻立高a 550 600 650 800 1000 巻立高a 550 600 650 800 1000 巻立幅b 550 600 650 800 1000 巻立幅b 550 600 650 800 1000 (4) 斜樋付帯工 (4) 斜樋付帯工 斜樋は鉄筋コンクリートで巻立てるものとし、付帯工として管理用階段、空気孔を設けることとする。ま 斜樋は鉄筋コンクリートで巻立てるものとし、付帯工として管理用階段、空気孔を設けることとする。ま た、斜樋が長い場合には、アンカー工を設け斜樋の安定を図る。ただし、できる限り遮水性ゾーンの断面 を侵さないよう設計しなければならない。 a. 空気孔 た斜樋が長い場合には、アンカー工を設け斜樋の安定を図る。ただし、できる限り遮水性ゾーンの断面を 侵さないよう設計しなければならない。 a. 空気孔 空気孔の断面は、所要空気量と空気孔内風速から算定する。 空気孔の断面は、所要空気量と空気孔内風速から算定する。 空気孔内風速は45m/sを基準とし、90m/sを超えない範囲とする。 空気孔内風速は45m/sを基準とし、90m/sを超えない範囲とする。 ここで、所要空気量は最大取水量の 15%、空気孔最小径は 50 mm とする。 ここで、所要空気量は最大取水量の 15%、空気孔最小径は 50 mm とする。 0.15 Q A= V ·················································································· (3.5.2) A= 0.15 Q V ··················································································· (3.5.2) ここに、 A :空気孔断面(m2) Q :最大取水量(m3/s) V :空気孔内風速(m/s) ここに、 A :空気孔断面(m2) Q :最大取水量(m3/s) V :空気孔内風速(m/s) 106 考 改 定 現 行 備 空気管 空気管 図-3.5.5 空気孔の設置例 図-3.5.5 空気孔の設置例 b. 管理用階段工 b. 管理用階段工 階段の蹴上げは 0.15~0.20 m 程度とし、幅は 0.60 m が一般的であるが、維持管理、点検作業等を考慮 の上、決定する。 階段の蹴上げは 0.15~0.20 m 程度とし、幅は 0.60 m が一般的であるが、維持管理、点検作業等を考慮 の上、決定する。 蹴上げ H=0.15~0.20 m 蹴上げ H=0.15~0.20 m 路面 B≧0.30 m 路面 B≧0.30 m (法勾配によって B は変化する) (法勾配によって B は変化する) 図-3.5.6 管理用階段 c. 図-3.5.6 管理用階段 アンカー工 c. 管体縦断方向の基礎勾配が急で、すべりを生ずるおそれがある場合は、すべり止めステップを設け、 斜樋の安定を図る。 アンカー工 管体縦断方向の基礎勾配が急で、すべりを生ずるおそれがある場合は、すべり止めステップを設け、 斜樋の安定を図る。 斜樋の継目間隔は 9 m 程度とし、盛土の圧密沈下により支障を来さないよう目地等の構造に注意して 斜樋の継目間隔は 9 m 程度とし、盛土の圧密沈下により支障を来さないよう目地等の構造に注意して 設計する。この場合、継目部受け台とすべり止めステップは兼用とし、単体として安定を図るものとする。 設計する。この場合、継目部受け台とすべり止めステップは兼用とし、単体として安定を図るものとする。 また、受け台及びすべり止めステップは、できる限り遮水性ゾーンの断面を侵さないように設計しな また、受け台及びすべり止めステップは、できる限り遮水性ゾーンの断面を侵さないように設計しな ければならない。 ければならない。 止水板 止水板 目地材 目地材 油性ペイント 油性ペイント ダウェルバー ダウェルバー 図-3.5.7 アンカー工 図-3.5.7 アンカー工 107 考 改 定 3.5.3 底樋の設計 現 行 3.5.3 底樋の設計 底樋は、最大取水量、緊急放流量及び工事中の洪水量を安全に流下できるものとする。また、底樋 底樋は、最大取水量、緊急放流量及び工事中の洪水量を安全に流下できるものとする。また、底樋 の基礎は、堤体の機能と安全を損なわないよう、十分な支持力を有する地盤上に設けることを原則とす の基礎は、堤体の機能と安全を損なわないよう、十分な支持力を有する地盤上に設けることを原則とす る。 る。 (1) 設計の基本 (1) 設計の基本 底樋は、取水・緊急放流時の制水機能を確保すると同時に、堤体漏水、決壊等の原因とならないよう、 底樋は、取水・緊急放流時の制水機能を確保すると同時に、堤体漏水、決壊等の原因とならないよう、 堤体としての機能を十分確保しなければならない。また、工事中の洪水量を流下させる必要がある場合に 堤体としての機能を十分確保しなければならない。また、工事中の洪水量を流下させる必要がある場合に は、その機能についても検討するものとする。 は、その機能についても検討するものとする。 底樋の設計では、基礎地盤等における調査結果を踏まえ、構造物に有害な変形が生じないような支持力 を確保するものとする。 既設底樋を改修する場合は、既設底樋の構造、諸元、変状(クラック、空洞化等)の状態、程度等をで きるだけ把握し、設計に反映させる。 底樋の設計では、基礎地盤等における調査結果を踏まえ、構造物に有害な変形が生じないような支持力 を確保するものとする。 既設底樋を改修する場合は、既設底樋の構造、諸元、変状(クラック、空洞化等)の状態、程度等をで きるだけ把握し、設計に反映させる。 なお、計画ため池近傍で、底樋の改修事例や被災事例がある場合には、設計施工全般について参考にな なお、計画ため池近傍で、底樋の改修事例や被災事例がある場合には、設計施工全般について参考にな ることが多い。したがって、当該事例の関係資料や管理者等からの情報を収集して設計に反映させること ることが多い。したがって、当該事例の関係資料や管理者等からの情報を収集して設計に反映させること が望ましい。 が望ましい。 (2) 設置位置 (2) 設置位置 a. 底樋は、基盤が安定し、底樋付近の堤体が弱点とならない位置に設けるものとする。地形条件等の制 a. 底樋は、基盤が安定し、底樋付近の堤体が弱点とならない位置に設けるものとする。地形条件等の制 約から、旧みお筋等に設置せざるを得ない場合は、調査段階からそれに配慮した計画とする必要があ 約から、旧みお筋等に設置せざるを得ない場合は、調査段階からそれに配慮した計画とする必要があ る。 る。 また、底樋管についてはできるだけ、地盤が軟弱な場所や、液状化の可能性がある場所に設置す また、底樋管についてはできるだけ、地盤が軟弱な場所や、液状化の可能性がある場所に設置す ることは避けるべきである。避けきれない場合は、その対策について十分に検討しなければならない。 ることは避けるべきである。避けきれない場合は、その対策について十分に検討しなければならない。 b. 底樋の軸方向は、原則として堤軸に対し直角方向とする。 b. 底樋の軸方向は、原則として堤軸に対し直角方向とする。 c. 底樋の本数は、中樋等の統廃合を検討し、必要最小限とする。 c. 底樋の本数は、中樋等の統廃合を検討し、必要最小限とする。 (3) 底樋の構造 (3) 底樋の構造 底樋は、内水圧及び外圧等に対して安全で、予測される不同沈下に対しても十分追従でき、かつ水密性 底樋は、内水圧及び外圧等に対して安全で、予測される不同沈下に対しても十分追従でき、かつ水密性 及び耐久性を有する構造とする。型式としては、鉄筋コンクリート構造とした型式と既製管(ダクタイル 及び耐久性を有する構造とする。型式としては、鉄筋コンクリート構造とした型式と既製管(ダクタイル 鋳鉄管等)を単体で用いる柔構造型式がある。鉄筋コンクリート構造で内型枠として既製管を用いて設計 鋳鉄管等)を単体で用いる柔構造型式がある。鉄筋コンクリート構造で内型枠として既製管を用いて設計 する場合には、応力集中や水密性の保持について別途検討しなければならない。 する場合には、応力集中や水密性の保持について別途検討しなければならない。 底樋は原則として堅固な地盤に設置するものとするが、十分な支持力が期待できない場合には、置換、 地盤改良等の適切な処理を施すものとする。この場合、改良部と非改良部に大きな沈下ひずみ差が生じな いよう注意する必要がある。検討方法については、 「3.3.4 堤体の各種設計 (1)堤体の基礎地盤」による ものとする。 柔構造底樋の例として、パイプラインとして実績のある離脱防止性を有する継手管路(ダクタイル鋳鉄 管 S 形および US 形など)を堤体内に直接埋設するものがある。 S 形及び US 形継手は、伸縮性や可とう性に優れており、さらに離脱防止構造を備えた耐震継手となって いる。そのため、地盤沈下や地震による地盤変状時にも管路全体が柔軟に順応して、管体に無理な力が作 底樋は原則として堅固な地盤に設置するものとするが、十分な支持力が期待できない場合には、置換、 地盤改良等の適切な処理を施すものとする。 柔構造底樋の例として、パイプラインとして実績のある離脱防止性を有する継手管路(ダクタイル鋳鉄 管 S 形および US 形など)を堤体内に直接埋設するものがある。 S 形及び US 形継手は、伸縮性や可とう性に優れており、さらに離脱防止構造を備えた耐震継手となって いる。そのため、地盤沈下や地震による地盤変状時にも管路全体が柔軟に順応して、管体に無理な力が作 用しない。 この設計では、底樋と基礎地盤の相対変位量が基礎地盤の降伏変位量以内となるように適切な 用しない。 この設計では、底樋と基礎地盤の相対変位量が基礎地盤の降伏変位量以内となるように適切な 108 備 考 改 定 現 行 備 スパン割とする。なお、底樋下に空洞が生じない目安として、地盤の沈下曲線(即時沈下量+圧密沈下量) スパン割とする。なお、底樋下に空洞が生じない目安として、地盤の沈下曲線(即時沈下量+圧密沈下量) と管路との位相差が最大で 50 mm 以内を目標とする。 と管路との位相差が最大で 50 mm 以内を目標とする。 設計に当たっては、 「柔構造樋門設計の手引き、 (財)国土開発技術研究センター編 (1998 年 1 1 月)」等 を参考とする。 設計に当たっては、 「柔構造樋門設計の手引き、 (財)国土開発技術研究センター編 (1999 年 2 月)」等を 参考とする。 底樋管の勾配確保が できない場合を除き 盛土上は避ける。 底樋管の勾配確保が できない場合を除き 盛土上は避ける。 基礎地盤線 現況下流の用・ 排水路高を考慮 の上決定する。 基礎地盤線 現況下流の用・ 排水路高を考慮 の上決定する。 泥土層 泥土層 フィルター層を設ける。 フィルター層を設ける。 図-3.5.8 基礎地盤と底樋縦断計画 (4) 底樋管径の決定 図-3.5.8 基礎地盤と底樋縦断計画 (4) 底樋管径の決定 底樋管は、計画取水量、緊急放流量及び工事期間中の洪水量を安全に流下し得るものとする。工事期間 底樋管は、計画取水量、緊急放流量及び工事期間中の洪水量を安全に流下し得るものとする。工事期間 中の洪水量は、工期や周辺の土地利用状況等を勘案し決定した確率年に対応したものとする。なお、工事 中の洪水量は、工期や周辺の土地利用状況等を勘案し決定した確率年に対応したものとする。なお、工事 の期間が非かんがい期の場合は、その期間における確率洪水流量とする。 の期間が非かんがい期の場合は、その期間における確率洪水流量とする。 また、底樋管の管径は、上記の各流量流下能力や現況の管径等を勘案し決定するものとするが、維持管 理を考慮して 800 mm 以上とすることが望ましい。 a. 確率洪水流量 Qp の算出 確率洪水流量 Qp は、「3.2 設計洪水流量 3.2.1」に示す合理式により算定する。 また、底樋管の管径は、上記の各流量流下能力や現況の管径等を勘案し決定するものとするが、維持管 理を考慮して 800 mm 以上とすることが望ましい。 a. 確率洪水流量 Qp の算出 「3.2 設計洪水流量 3.2.1」に示す合理式による。 109 考 改 b. 定 現 底樋管径の決定 b. 底樋の管径は、次式で求める底樋管流下可能量Qe が、計画流量以上となるように決定する。 1 Q e = n ・R 2/3 ・ I 1/2 ・A ································································· (3.5.3) ここに、Qe :底樋管流下量(m3/s) 行 備 底樋管径の決定 底樋の管径は、次式で求める底樋管流下可能量Qe が、計画流量以上となるように決定する。 1 Q e = n ・R 2/3 ・ I 1/2 ・A ································································· (3.5.3) ここに、Qe :底樋管流下量(m3/s) n :粗度係数(ヒューム管、ダクタイル鋳鉄管、鋼管の場合 n = 0.013) n :粗度係数(ヒューム管、ダクタイル鋳鉄管、鋼管の場合 n = 0.013) R :径深(m) R :径深(m) I :勾配 I :勾配 A :通水断面積(m2) A 2 :通水断面積(m ) h D h D (単位:rad ) (単位:rad ) 図-3.5.9 管路の流れ 図-3.5.9 管路の流れ R、A および水深(h)は、図-3.5.9 を用い、次のように表される。 h= D 2 1 - cos 2 R、A および水深(h)は、図-3.5.9 を用い、次のように表される。 D2 ( - sin) 8 sin D R= 1- 4 A= h= ······························································· (3.5.4) 管路の場合、最大流量を与えるのは、h= 0.938 D のときであり、このときの A、R を示せば、表-3.5.5 のとおりである。 D 2 1 - cos 2 D2 ( - sin) 8 sin D R= 1- 4 A= ································································ (3.5.4) 管路の場合、最大流量を与えるのは、h= 0.938 D のときであり、このときの A、R を示せば、表-3.5.5 のとおりである。 表-3.5.5 水理諸元一覧 管 径 (mm) 表-3.5.5 水理諸元一覧 h=0.938D (m) A (m2) R (m) R2/3 600 0.56 0.275 0.174 0.312 700 0.66 0.375 0.203 800 0.75 0.490 900 0.84 1000 管 径 (mm) h=0.938D (m) A (m2) R (m) R2/3 600 0.56 0.275 0.174 0.312 0.345 700 0.66 0.375 0.203 0.345 0.232 0.378 800 0.75 0.490 0.232 0.378 0.620 0.261 0.408 900 0.84 0.620 0.261 0.408 0.94 0.765 0.290 0.438 1000 0.94 0.765 0.290 0.438 1100 1.03 0.926 0.319 0.467 1100 1.03 0.926 0.319 0.467 1200 1.13 1.102 0.348 0.495 1200 1.13 1.102 0.348 0.495 1350 1.27 1.395 0.392 0.535 1350 1.27 1.395 0.392 0.535 1500 1.41 1.722 0.435 0.574 1500 1.41 1.722 0.435 0.574 110 考 改 定 現 (5) 底樋改修工法の選定 行 備 (5) 底樋改修工法の選定 底樋の改修工法には、開削・埋戻し工法と推進工法がある。 底樋の改修工法には、開削・埋戻し工法と推進工法がある。 堤高 8~10 m 以上では推進工法が経済的である場合がある。工法決定に際しては現場の状況を十分検討し 堤高 8~10 m 以上では推進工法が経済的である場合がある。工法決定に際しては現場の状況を十分検討し た上で経済比較を行い、決定するものとする。 た上で経済比較を行い、決定するものとする。 表-3.5.6 上記以外の場合。 推 進 工 法 開削・埋戻し工法 (6) 開削・埋戻し工法による設計 経済比較の結果、開削・埋戻し工法より安価な場合、及び現場条件によ り開削・埋戻し工法が採用できない場合。 上記以外の場合。 (6) 開削・埋戻し工法による設計 a. 現況堤体の開削断面 a. 現況堤体の開削断面 現況堤体の開削断面は、図-3.5.10 を標準とし、現場条件や土質を考慮の上決定することとする。 現況堤体の開削断面は、図-3.5.10 を標準とし、現場条件や土質を考慮の上決定することとする。 H <5.0 m のとき 0 0 0.5 m 0.5 m 1. 1: 0 0 1: 1. 1. 0.5 m 図-3.5.10 現況堤体の開削断面(標準) 1.0 m 1: 0.5 m 0 1. 1: 0 2 1. 1: H 1.0 m 0 0 2 H 1. 1. 0 1. 1: 0 1. 1: 0.5 m H 1: 1.0 m 1: 1.0 m 0 2 1. 2 H 1: H 0.5 m H ≧5.0 m のとき 0 H ≧5.0 m のとき H 0 0 1: 1. 0 H 1. 1: 1. 1: 0 1. 1: 1. 1: 0.5 m H <5.0 m のとき 1. 開削・埋戻し工法 経済比較の結果、開削・埋戻し工法より安価な場合、及び現場条件によ り開削・埋戻し工法が採用できない場合。 工 法 選 定 の 基 準 0 法 法 1: 工 工 1: 1. 進 工 法 選 定 の 基 準 0 推 法 H 1: 1. 工 表-3.5.6 0.5 m 図-3.5.10 現況堤体の開削断面(標準) b. 基礎の施工においては、地下水の変動による周辺への影響について注意を要する。特に、掘削による b. 基礎の施工においては、地下水の変動による周辺への影響について注意を要する。特に、掘削による 湧水及びそれに伴う地盤沈下や、地下水低下対策工、並びに施工中のヒービング、ボイリング、地盤沈 湧水と、それに伴う地盤沈下や、地下水低下対策工、及び施工中のヒービング、ボイリング、地盤沈下 下による近接構造物の変状等が生じないよう配慮することが必要である。 による近接構造物の変状等が生じないよう配慮することが必要である。 111 考 改 定 現 (7) 底樋管の細部構造 行 備 (7) 底樋管の細部構造 a. 底樋管巻立て a. 底樋管巻立て ヒューム管を内型枠として、鉄筋コンクリートで巻立てた型式の場合については、一般的に以下の点 に注意する必要がある。 ヒューム管を内型枠として、鉄筋コンクリートで巻立てた型式の場合については、一般的に以下の点 に注意する必要がある。 ① 継目は、内挿する定尺管の3倍から5倍程度の 7~12 m 間隔程度ごとに設ける。なお、上下流のボ ックス等構造物と接続する部分には、適切な長さの単管、又は切り管を配置し、相対変位発生時 の応力集中を避けるよう配慮する。 ① 継目は 10~15 m 間隔程度ごとに設ける。 ② 鉄筋コンクリ-トの継目と内型枠に用いる既製管の継手は一致させる方が望ましい。内型枠とし て用いる既製管は、コンクリ-ト打設時の浮き上がりを防止する必要がある。 ② 鉄筋コンクリ-トの継目と内型枠に用いる既製管の継手は一致させる。内型枠として用いる既製 管は、コンクリ-ト打設時の浮き上がりを防止する必要がある。 ③ 底樋の継手は、底樋管の縦断方向の不同沈下を吸収する構造とする必要がある。 底樋の周辺が将来水みちとなることのないよう、基礎処理や均しコンクリートの施工に当たって ③ 底樋の継手は、底樋管の縦断方向の不同沈下を吸収する構造とする必要がある。 底樋の周辺が将来水みちとなることのないよう、基礎処理や均しコンクリートの施工に当たって は、空洞や転圧不足を生じさせないこととする。 は、空洞や転圧不足を生じさせないこととする。 ④ 底樋管の巻立ては、周辺埋戻し土の密度確保や、盛土とのなじみをよくするために原則として 1: 0.1 ~1:0.3 程度の勾配を付けるものとする。 ④ 底樋管の巻立ては、周辺埋戻し土の密度確保や、盛土とのなじみをよくするために原則として 1: 0.1 ~1:0.3 程度の勾配を付けるものとする。 図-3.5.11に、内型枠に鉄筋コンクリート管を用いた設計例を示す。 これは、鉄筋コンクリート管の有する内部鉄筋を考慮した単鉄筋の一例であり、複鉄筋とすることを ⑤ 遮水ゾーン沈下歪みの集中を緩和することを目的に、底樋の頂部両肩部分には図-3.5.12を参考 妨げるものではない。 に、100×100㎜程度の面取り、又は丸みを付けるものとする。 ⑥ 底樋管が遮水ゾーンを通過する部分はレイタンス除去を十分に行うとともに、コンタクトクレイ 等を用いて接触部の遮水機能を強化する。 なお、コンタクトクレイ材を用いる場合は表-3.5.8と同等の材料とする。 ⑦ 図-3.5.13を参考に、底樋の下流側には適切なパイピング防止用フィルターを設置して排水し、漏 水の浸潤点が堤体下流面に浸出しないよう処置する。 図-3.5.11に、内型枠に鉄筋コンクリート管を用いた設計例を示す。 これは、鉄筋コンクリート管の有する内部鉄筋を考慮した単鉄筋の一例であり、現地条件を考慮した 構造計算結果より、複鉄筋とすることを妨げるものではない。 なお、構造計算方法は「ヒューム管設計施工要覧」 (全国ヒューム管協会)によるものとする。 a1 鉄筋コンクリート 21-8-25 D13@250 1~0. 3 1~ 0. 3 1: 0. 1:0. 3 1~ 0. 1: 0. 3 1~0. 1:0. 0 均しコンクリート 18-8-25 ~ 0.3 1. 100mm D a2 図-3.5.11 底樋の設計例 図-3.5.11 底樋の設計例 112 1: 0.1 1: ~ 0.3 a2 1: a1 - 1.0 1: 0.1 0 0 1. D 100mm 図-3.5.12 面取り例 均しコンクリート 18-8-25 D13@250 D13@250 1: - 1. 1: a1 a1 鉄筋コンクリート 21-8-25 D13@250 考 改 定 現 行 備 F.W.L. H H1 (水深 ) フィル ター 土粒 子の流 亡防 止 有孔管 L ≒H H1 図-3.5.13 底樋下流部の構造例 目地材 鉄筋 D13 500 mm 500 mm 目地材 鉄筋 D13 500 mm 500 mm 止水板 止水板 ヒューム管 ヒューム管 コンクリート 21-8-25 コンクリート VP 管 ダウエルバー 21-8-25 ※止水板の規格については表-3.4.11を参照。 VP 管 ダウエルバー ※ダウエルバー及び塩ビ管(VP)の規格は 表-3.4.12 を参照。 ※ダウエルバー及び塩ビ管(VP)の規格は 表-3.4.12 を参照。 図-3.5.12 底樋の継手構造例 図-3.5.14 底樋の継手構造例 表-3.5.7 底樋の寸法例 (1:0.1の場合) 表-3.5.7 底樋の寸法例 (1:0.1の場合) D(mm) a1(m) a2(m) a1(m) a2(m) 300 0.75 0.90 800 1.35 1.62 350 0.80 0.96 900 1.45 1.74 400 0.85 1.02 1000 1.55 1.86 450 0.90 1.08 1100 1.70 2.04 500 1.00 1.20 1200 1.80 2.16 600 1.10 1.32 1350 2.00 2.40 700 1.20 1.44 1500 2.15 2.58 D(mm) 注) 上樋、中樋等の樋管の場合を考慮して、 300 ~ 1500 mm を示した。 D(mm) a1(m) a2(m) a1(m) a2(m) 300 0.75 0.90 800 1.35 1.62 350 0.80 0.96 900 1.45 1.74 400 0.85 1.02 1000 1.55 1.86 450 0.90 1.08 1100 1.70 2.04 500 1.00 1.20 1200 1.80 2.16 600 1.10 1.32 1350 2.00 2.40 700 1.20 1.44 1500 2.15 2.58 D(mm) 注) 上樋、中樋等の樋管の場合を考慮して、 300 ~ 1500 mm を示した。 なお、各寸法は、単鉄筋を想定した場合の寸法例であり、複鉄筋等となる場合は適宜変更する。 既製管(ダクタイル鋳鉄管等)を単体で用いる型式の場合においては、堤体荷重による不同沈下に対 既製管(ダクタイル鋳鉄管等)を単体で用いる型式の場合においては、堤体荷重による不同沈下に対 して、管体の離脱が抑制される構造を有し、水密構造が設計施工上十分確保されることを確認する必要 して、管体の離脱が抑制される構造を有し、水密構造が設計施工上十分確保されることを確認する必要 がある。とう性管を用いる場合においては剛性の高い管種とし、管体縦断方向のたわみ量は 1 %以下、 がある。とう性管を用いる場合においては剛性の高い管種とし、管体縦断方向のたわみ量は 1 %以下、 管体横断面の設計たわみ率は 3 %以下としなければならない。管体の基礎工の施工に当たっては、特に 管体横断面の設計たわみ率は 3 %以下としなければならない。管体の基礎工の施工に当たっては、特に 管体下部の水密性の確保ができる構造とする必要がある。 管体下部の水密性の確保ができる構造とする必要がある。 113 考 改 定 現 ダクタイル鋳鉄管 S 形等 行 備 ダクタイル鋳鉄管 S 形等 残留沈下量分布 残留沈下量分布 図-3.5.15 底樋の設計例 b. 止水壁 図-3.5.13 底樋の設計例 b. 止水壁 底樋外周面に沿った土粒子の流亡を防ぐため、止水壁を設ける(水みち形成を抑制) 。 底樋外周面に沿った土粒子の流亡を防ぐため、止水壁を設ける(水みち形成を抑制) 。 止水壁の設計に当たっては、十分な遮水性が確保できるよう適切な材料及び施工法を採用する必要が 止水壁の設計に当たっては、十分な遮水性が確保できるよう適切な材料及び施工法を採用する必要が ある。 ある。 止水壁の型式は、コンクリート製のものと土質材料(粘性土)を用いたものがある。なお、コンクリ ート止水壁の施工例を図-3.5.16に、土質材料の標準的指標を表-3.5.8 に示す。 止水壁の型式は、コンクリート製のものと土質材料(粘性土)を用いたものがある。なお、コンクリ ート止水壁の施工例を図-3.5.15に、土質材料の標準的指標を表-3.5.8 に示す。 表-3.5.8 土質材料の標準的な品質(参考) 品質項目 粒 度 表-3.5.8 土質材料の標準的な品質(参考) 標 準 値 品質項目 (75 m 以下)50% 以上 粒 度 標 準 値 (75 m 以下)50% 以上 最大粒径 20 mm 最大粒径 20 mm 含水比 60~70 % 含水比 60~70 % 塑性指数 I P 15 以上 塑性指数 I P 15 以上 止水壁の設置位置については図-3.5.17に示すとおり、底樋が遮水性ゾーンを横断する場合には遮水性ゾ 止水壁の設置位置については図-3.5.14 に示すとおり、底樋が遮水性ゾーンを横断する場合には遮水性ゾ ーンの範囲外に設置することを原則とする。遮水壁周辺部は、遮水性材料と同等の材料を用いて置換える ーンの範囲内に設置することを原則とするが、ゾーン境界面からのかぶり(1 m 程度)を確保するために ものとする。なお、堤体改修工法、堤体の規模等に応じて止水壁の個所数を増やすことも検討する。 遮水性ゾーンから外して設置する場合には、遮水性材料と同等の材料を用いて止水壁周辺部を置換えるも のとする。なお、堤体改修工法、堤体の規模等に応じて止水壁の個所数を増やすことも検討する。 114 考 改 定 現 行 備 遮水性ゾーン 0.5~1.0 m 0.2~0.3 m b 3 1: 0. 05~ 1: 0. 3 0 1: 0. 1. h 0.5~1.0 m 1~ 0. 1: 1~ 0. 1: 0. 止水板等 10 施工継目 0.5~1.0 m 止水板等 かぶり 1m 程度 図-3.5.16 止水壁の施工例 遮水性ゾーン かぶり 1m 程度 図-3.5.14 止水壁の位置 かぶり 1m 程度 3 3 1~ 0. 1~ 0. 1: 0. 3 3 1: 0. 0 1~ 0. 1. 0 1~ 0. 1: 1. 図-3.5.17 止水壁の位置 0.2~0.3 m 1: 0. 0.5~1.0 m 止水板 又はシール材 1: かぶり 1m 程度 1: 0. 遮水性ゾーン 10 0.2~0.3 m b 10 0.5~1.0 m 1: 0. 05~ 1: 0. 適切な可とう継手 地盤の上下 2 回に分けて 施工する場合 1: 0. 05~ 1: 0. 先に止水壁を施工 する場合 エラスチックフィラー t :20 mm 止水板又はシール材 h 0.5~1.0 m 図-3.5.15 止水壁の施工例 (8) 土砂吐工の設計 底樋の入口には貯水中に堆積した土砂を排出するための土砂吐を設ける。土砂吐前面には、貯水時の締 (8) 土砂吐工の設計 切と最下取水口の機能を兼ねる土砂吐ゲートを計画する。ゲートの巻上機は斜樋最下段の取水孔より高 く、操作が可能な位置とし、操作上必要な場合は渡板等を設ける。 また、土砂吐前面に設ける取付水路に高さ 20~30 cm 程度の角落しを入れることで、ゲート戸当たり周 辺への土砂集積を防ぎ、ゲートの水密性を確保することができる。 底樋の入口には貯水中に堆積した土砂を排出するための土砂吐を設ける。土砂吐前面には、貯水時の締 切と最下取水口の機能を兼ねる土砂吐ゲートを計画する。ゲートの巻上機は斜樋最下段の取水孔より高 く、操作が可能な位置とし、操作上必要な場合は渡板等を設ける。 また、土砂吐前面に設ける取付水路に高さ 20~30 cm 程度の角落しを入れることで、ゲート戸当たり周 辺への土砂集積を防ぎ、ゲートの水密性を確保することができる。 115 考 h=1.0 m 程度 h<1.0 m 現 渡板 基礎が土砂のとき 基礎が岩盤のとき 0.2~0.3 m 基礎が土砂のとき 基礎が岩盤のとき 定 角落し 行 h=1.0 m 程度 h<1.0 m 角落し h 備 渡板 0.2~0.3 m 改 h 図-3.5.18 土砂吐工の例 (9) ゲートの設計 取水施設の各ゲートは、予想される荷重に対して安全な構造とするとともに、確実に開閉し、かつ、必 要な水密性及び耐久性を有する構造とする。 (10) 推進工法 図-3.5.16 土砂吐工の例 (9) ゲートの設計 取水施設の各ゲートは、予想される荷重に対して安全な構造とするとともに、確実に開閉し、かつ、必 要な水密性及び耐久性を有する構造とする。 (10) 推進工法 堤高がおおむね 8~10 m 以上の場合、開削・埋戻し工法では大量の土工量になるので推進工法が有利に 堤高がおおむね 8~10 m 以上の場合、開削・埋戻し工法では大量の土工量になるので推進工法が有利に なる場合があるが、この場合は地質調査を十分に実施し、特に圧入管と周辺部との水密性等を検討して なる場合があるが、この場合は地質調査を十分に実施し、特に圧入管と周辺部との水密性等を検討して おく必要がある。なお、旧底樋は完全に閉塞する。 おく必要がある。なお、旧底樋は完全に閉塞する。 推進工法には、刃口推進工法、セミシールド工法、小口径管推進工法がある。底樋管の改修工法に採用 する場合の各工法を比較した結果を、表-3.5.9 に示す。 推進工法には、刃口推進工法、セミシールド工法、小口径管推進工法がある。底樋管の改修工法に採用 する場合の各工法を比較した結果を、表-3.5.9 に示す。 116 考 改 定 現 表-3.5.9 推進工法の比較 工 法 行 備 表-3.5.9 推進工法の比較 管体と地山との 空隙の補填状況 工法概要と特性 経 済 性 刃口推進工法 切羽の安定した地盤で推進管の先端に刃口を先導 裏込め注入が可能なため、グ 底樋管工事とし 体として用い、人力により掘削、ずり出しを行う ラウトによる空隙の充填が可 ては、 他の工法と 能。 ので、設備も簡単である。 比べて経済的で ある。 管は原則として呼び径 800 mm 以上とする(昭和 50年4月7日付け、基発第 204号に基づく労働省労 働基準局長の通達による。災害防止のための指 導)。 推進延長は、元押し推進で 50~70 m 程度。 セミシールド工法 管の先端にシールドを先導体として用いているの 裏込め注入が可能なため、グ 底樋管工事では で、シールドの選択により軟弱な土質等にも対応 ラウトによる空隙の充填が可 距離が短いため 能。 割高となる。 ができる。 管は呼び径 800 mm 以上(泥水式セミシールド工法 の場合)とし、1200 mm 以上が望ましい。 推進延長は元押し工法で 100 m 程度。 小口径管推進工法 小口径推進管又は誘導管の先端に小口径管先導体 を接続し、立て坑等から遠隔操作して推進する工 法である。 管は呼び径 250~700 mm で、推進延長は 20~160 m 程度。 裏込め注入が不可能なため空 空隙の充填を行 隙が残り、漏水の原因になる。 う必要があるの 空隙の充填のためにはボーリ で割高となる。 ング・グラウトが必要となる。 表-3.5.9 から、底樋管の推進工法としては、刃口推進工法が一般的であるが、比較検討の上、決定する。 刃口推進工法の略図を図-3.5.19 に示す。 工 法 管体と地山との 空隙の補填状況 工法概要と特性 刃口推進工法 切羽の安定した地盤で推進管の先端に刃口を先導 裏込め注入が可能なため、グ 底樋管工事とし 体として用い、人力により掘削、ずり出しを行う ラウトによる空隙の充填が可 ては、 他の工法と 能。 ので、設備も簡単である。 比べて経済的で ある。 管は原則として呼び径 800 mm 以上とする(昭和 50年4月7日付け、基発第 204号に基づく労働省労 働基準局長の通達による。災害防止のための指 導)。 推進延長は、元押し推進で 50~70 m 程度。 セミシールド工法 管の先端にシールドを先導体として用いているの 裏込め注入が可能なため、グ 底樋管工事では で、シールドの選択により軟弱な土質等にも対応 ラウトによる空隙の充填が可 距離が短いため 能。 割高となる。 ができる。 管は呼び径 800 mm 以上(泥水式セミシールド工法 の場合)とし、1200 mm 以上が望ましい。 推進延長は元押し工法で 100 m 程度。 小口径管推進工法 小口径推進管又は誘導管の先端に小口径管先導体 を接続し、立て坑等から遠隔操作して推進する工 法である。 管は呼び径 250~700 mm で、推進延長は 20~160 m 程度。 裏込め注入が不可能なため空 空隙の充填を行 隙が残り、漏水の原因になる。 う必要があるの 空隙の充填のためにはボーリ で割高となる。 ング・グラウトが必要となる。 表-3.5.9 から、底樋管の推進工法としては、刃口推進工法が一般的であるが、比較検討の上、決定する。 刃口推進工法の略図を図-3.5.17 に示す。 押輪(ストラット) 押輪(ストラット) 底樋管のみ改修の時は前部を 図のように掘削することが多い。 押え盛土を行う。 遮 前刃金改修を計画 掘 の場合圧入延長が ゾ 短くて樋管の改修 削 ー 線 が施工できる。 水 性 掘 削 ン 刃先 ① 底樋管のみ改修の時は前部を 図のように掘削することが多い。 掘 削 残堤 ② 水 グラウト注入孔 支圧壁 支圧壁の背面のみ H 型鋼を打込む。 あとの 3 面は矢板 工で施工する。 刃口推進工法では、推進用ヒューム管(内径 800 mm 以上)等を油圧機械で圧入し、後にパイプ内面から グラウトを行う。 刃口推進工法用の管としては、JSWAS A-2 下水道推進工法用鉄筋コンクリート管、JDPA G 1029 推進 工法用ダクタイル鋳鉄管、WSP 018 水道用推進鋼管等が規格化されている。 推進工の設計に当たっては、 「下水道推進工法の指針と解説-2010 年度版-: (社)日本下水道協会」を参 油圧機械 圧入延長 刃先 ① 残堤 ジャッキ ヒューム管 800 mm 以上 先導管 ② 支圧壁 支圧壁の背面のみ H 型鋼を打込む。 あとの 3 面は矢板 工で施工する。 図-3.5.17 刃口推進工法の例 図-3.5.19 刃口推進工法の例 考とされたい。 ン 遮 前刃金改修を計画 掘 の場合圧入延長が ゾ 短くて樋管の改修 削 ー 線 が施工できる。 ジャッキ ヒューム管 800 mm 以上 先導管 押え盛土を行う。 性 油圧機械 圧入延長 グラウト注入孔 経 済 性 刃口推進工法では、推進用ヒューム管(内径 800 mm 以上)等を油圧機械で圧入し、後にパイプ内面から グラウトを行う。 刃口推進工法用の管としては、JSWAS A-2 下水道推進工法用鉄筋コンクリート管、JDPA G 1029 推進 工法用ダクタイル鋳鉄管、WSP 018 水道用推進鋼管等が規格化されている。 推進工の設計に当たっては、 「下水道推進工法の指針と解説-2003 年度版-: (社)日本下水道協会」を参 考とされたい。 117 考 改 定 現 (11) 旧底樋の閉塞 行 備 (11) 旧底樋の閉塞 底樋の位置を変更することにより、不要になる底樋の閉塞については、以下を標準とする。 底樋の位置を変更することにより、不要になる底樋の閉塞については、以下を標準とする。 ① 旧底樋の両端をコンクリートで閉塞する前に旧底樋内の堆積土を清水で押し流す。 ① 旧底樋の両端をコンクリートで閉塞する前に旧底樋内の堆積土を清水で押し流す。 ② 両端をコンクリートで閉塞するに当たり、下流側の底にグラウトパイプを、上流側の天井に空気抜 ② 両端をコンクリートで閉塞するに当たり、下流側の底にグラウトパイプを、上流側の天井に空気抜 きを天井に設置しておく(図-3.5.20) 。 きを天井に設置しておく(図-3.5.18) 。 ③ モルタルグラウト(1:3)は下流側から注入し、上流空気抜きからモルタルがオーバーフローする まで注入する。 ③ モルタルグラウト(1:3)は下流側から注入し、上流空気抜きからモルタルがオーバーフローする まで注入する。 なお、旧底樋周辺が、漏水経路となっている場合も考えられるので、十分調査の上、必要に応じて対策 を検討するものとする。 なお、旧底樋周辺が、漏水経路となっている場合も考えられるので、十分調査の上、必要に応じて対策 を検討するものとする。 削 掘 掘 削 線 施工上の留意点は、「第 4 章 施工」を参照すること。 線 施工上の留意点は、「第 4 章 施工」を参照すること。 空気抜き(SGP40A) 空気抜き(SGP40A) 充填材 1.0 旧底樋充填 充填材 1.0m グラウトパイプ (SGP40A) 1.0 図-3.5.20 旧底樋の閉塞の例 参考文献 (財) 国土開発技術研究センター編:柔構造樋門設計の手引き(平成11年2月) (社) 日本下水道境界:下水道推進工法の指針と解説 ー2010年度版ー(平成22年10月) 旧底樋充填 図-3.5.18 旧底樋の閉塞の例 参考文献 (財) 国土開発技術研究センター編:柔構造樋門設計の手引き(平成11年2月) 118 1.0m グラウトパイプ (SGP40A) 考 改 定 3.6 緊急放流施設の設計 緊急放流施設は、地震発生直後等の堤体保全を目的に設けることとし、ため池内水位を1日で所定の 水位に、安全に降下させる放流能力を有するよう計画する。 3.6.1 緊急降下水位 緊急時のため池水位は常時満水位に設定し、緊急降下の目標水位は、「常時満水位-2.0 m 」と「常時満 現 行 3.6 緊急放流施設の設計 緊急放流施設は、地震発生直後等の堤体保全を目的に設けることとし、ため池内水位を1日で所定の 水位に、安全に降下させる放流能力を有するよう計画する。 3.6.1 緊急降下水位 緊急時のため池水位は常時満水位に設定し、緊急降下の目標水位は、「常時満水位-2.0 m 」と「常時満 水位-(貯水深×1/3 )」を比較し、いずれか高い水位とする。 水位-(貯水深×1/3 )」を比較し、いずれか高い水位とする。 検討時の出発水位は、地震発生時に洪水の流入がないこととし、常時満水位とする。 検討時の出発水位は、地震発生時に洪水の流入がないこととし、常時満水位とする。 堤体の安全を確保するには、1 日で常時満水位から 2 m 程度緊急降下させれば目的を達成し得ることが過去 堤体の安全を確保するには、1 日で常時満水位から 2 m 程度緊急降下させれば目的を達成し得ることが過去 の震災調査等から判明している(堤体上部に発生したクラックに浸水し、地震発生後 2~3 日で崩壊するとい の震災調査等から判明している(堤体上部に発生したクラックに浸水し、地震発生後 2~3 日で崩壊するとい う傾向にある)。ただ、貯水深が小さいため池の場合は、 2 m の緊急降下が、かえって堤体の安定に対して不 う傾向にある)。ただ、貯水深が小さいため池の場合は、 2 m の緊急降下が、かえって堤体の安定に対して不 利に働くこととなり、また、貯水量の大部分を喪失させることにもなる。これを防ぐため、「常時満水位-(貯 利に働くこととなり、また、貯水量の大部分を喪失させることにもなる。これを防ぐため、「常時満水位-(貯 水深×1/3 )」との比較を行うこととした。 水深×1/3 )」との比較を行うこととした。 3.6.2 放流施設の位置 3.6.2 放流施設の位置 緊急放流施設は取水施設を活用することを原則とする。ただし、活用することで取水施設としての規 緊急放流施設は取水施設を活用することを原則とする。ただし、活用することで取水施設としての規 模が過度に大きくなる場合は、単独設置も検討する。 模が過度に大きくなる場合は、単独設置も検討する。 算定した放流孔径が大きくなると、放流経路となる斜樋、底樋を取水施設としての規模以上にする必要が 算定した放流孔径が大きくなると、放流経路となる斜樋、底樋を取水施設としての規模以上にする必要が 出てくる。このような場合は、施工性、経済性等を検討の上、単独施設としての設置も検討する必要がある。 出てくる。このような場合は、施工性、経済性等を検討の上、単独施設としての設置も検討する必要がある。 単独施設として計画する場合は放流先を確保する必要から、洪水吐付近の設置が考えられる。 また、洪水吐が越流堰型で堰高が緊急降下水深以上の場合は、越流堰に放流用ゲート等を設けることで緊 急放流機能を持たせることも可能である。 なお、複数の取水施設を有しているため池については、常時満水時に操作可能なすべての施設を対象とし 単独施設として計画する場合は放流先を確保する必要から、洪水吐付近の設置が考えられる。 また、洪水吐が越流堰型で堰高が緊急降下水深以上の場合は、越流堰に放流用ゲート等を設けることで緊 急放流機能を持たせることも可能である。 なお、複数の取水施設を有しているため池については、常時満水時に操作可能なすべての施設を対象とし て検討を行うものとする。 て検討を行うものとする。 3.6.3 放流孔の位置及び構造 3.6.3 放流孔の位置及び構造 放流孔は取水孔を兼ねる位置に設けることを基本とし、斜樋、底樋の活用を図り、その構造は取水孔 放流孔は取水孔を兼ねる位置に設けることを基本とし、斜樋、底樋の活用を図り、その構造は取水孔 に準じる。 に準じる。 取水孔を活用した放流孔の例を、図-3.6.1 に示す。 取水孔を活用した放流孔の例を、図-3.6.1 に示す。 119 備 考 改 定 現 平 面 図 備 平 面 図 は、取水孔径から決定する斜樋管構造 は、放流孔径から決定する斜樋管構造(検討の結果、サイズアップする場合) は、取水孔径から決定する斜樋管構造 は、放流孔径から決定する斜樋管構造(検討の結果、サイズアップする場合) 緊急放流孔 取水孔を利用 取水孔 行 緊急放流孔 取水孔を利用 取水孔 (a) 最上部取水孔を利用する場合 (a) 最上部取水孔を利用する場合 斜樋管 斜樋管 取水孔 取水孔 緊急放流孔 緊急放流孔 (b) 放流施設を併設する場合 (b) 放流施設を併設する場合 断 面 図 断 面 図 FWL FWL 緊急降下水深 緊急降下水深 H H 緊急放流孔 緊急放流孔 斜樋管 取水孔 斜樋管 取水孔 Hmax=2 D or 0.3 m D:放流孔径(m) 図-3.6.1 取水施設活用例 図-3.6.1 取水施設活用例 120 Hmax=2 D or 0.3 m D:放流孔径(m) 考 改 定 取水孔を兼ねる場合は、放流孔として必要孔径を検討し、その機能を確保する。設置深さは、水利慣行を 現 行 取水孔を兼ねる場合は、放流孔として必要孔径を検討し、その機能を確保する。設置深さは、水利慣行を 十分考慮した上で、通常の取水操作において計画取水量を超えて取水されないよう定めるものとし、流量調 十分考慮した上で、通常の取水操作において計画取水量を超えて取水されないよう定めるものとし、流量調 整が必要な場合は、開度調整器具等を取付ける。 より低位部の取水孔を利活用する、あるいはより低位部に放流孔を設置して、水頭を大きく取れば水理的 整が必要な場合は、開度調整器具等を取付ける。 より低位部の取水孔を利活用する、あるいはより低位部に放流孔を設置して、水頭を大きく取れば水理的 には有利となるが、放流開始後に目標水位に達した時点(地震発生後 1 日)で、放流停止操作のため再び現地 には有利となるが、放流開始後に目標水位に達した時点(地震発生後 1 日)で、放流停止操作のため再び現地 に立入ることは危険である。また、池底付近の堆積土砂を吸い込む可能性もあることから、取水孔を兼ねる に立入ることは危険である。また、池底付近の堆積土砂を吸い込む可能性もあることから、取水孔を兼ねる 場合は、緊急降下目標水位の直近下位に設けられた取水孔を用いることとする。 なお、放流孔の設置深さは、「3.6.1 緊急降下水位」で決定した水位から、空気連行等による吸い込み損失 を防ぐための水没深(放流孔径の 2 倍と 0.3m のいずれか大きい方)を減じて決定する。 したがって、放流孔として利用する取水孔の位置は、緊急降下水位を目標として定め、その水位まで急降 下した場合の堤体安全性を確認する必要がある。 なお、緊急放流施設の操作は、十分に安全性を確認した上で行うものとする。 場合は、緊急降下目標水位の直近下位に設けられた取水孔を用いることとする。 なお、放流孔の設置深さは、「3.6.1 緊急降下水位」で決定した水位から、空気連行等による吸い込み損失 を防ぐための水没深(放流孔径の 2 倍と 0.3m のいずれか大きい方)を減じて決定する。 したがって、放流孔として利用する取水孔の位置は、緊急降下水位を目標として定め、その水位まで急降 下した場合の堤体安全性を確認する必要がある。 なお、緊急放流施設の操作は、十分に安全性を確認した上で行うものとする。 121 備 考 改 定 現 3.6.4 放流孔径及び斜樋管径の算定 行 備 3.6.4 放流孔径及び斜樋管径の算定 放流孔径は必要な放流量を安全に流下できるよう決定する。 放流孔径は必要な放流量を安全に流下できるよう決定する。 なお、放流量はため池内への流入がないものとして算定する。 なお、放流量はため池内への流入がないものとして算定する。 また、放流経路となる斜樋管径は最大放流量を流し得る管径と、取水施設として必要な斜樋管径を比 また、放流経路となる斜樋管径は最大放流量を流し得る管径と、取水施設として必要な斜樋管径を比 較の上、大きい方を採用する。さらに、底樋管の流下能力の確認を行う必要がある。 較の上、大きい方を採用する。さらに、底樋管の流下能力の確認を行う必要がある。 放流孔径は、式(3.6.1)により算定する。 放流孔径は、式(3.6.1)により算定する。 また、最大放流量は式 (3.6.2)で与えられ、これを流し得る斜樋管径は底樋管径の決定手法を準用して算定 また、最大放流量は式 (3.6.2)で与えられ、これを流し得る斜樋管径は底樋管径の決定手法を準用して算定 する。一方、取水施設としての必要な斜樋管径は前出表-3.5.3 を標準として用いる。 Q ····································································· (3.6.1) A= C ・ 2 ・ g ・ H/2 Q max= A ・ C ・ 2 ・ g・H ここに、A ································································· (3.6.2) :孔断面積 (m2) する。一方、取水施設としての必要な斜樋管径は前出表-3.5.3 を標準として用いる。 Q ····································································· (3.6.1) A= C ・ 2 ・ g ・ H/2 Q max= A ・ C ・ 2 ・ g・H ここに、A ································································· (3.6.2) :孔断面積 (m2) Q :放流量 (m3/s)(≒ 貯水面積(m2)×Hd / 1 日(86400 s)) Q :放流量 (m3/s)(≒ 貯水面積(m2)×Hd / 1 日(86400 s)) C :流量係数 (普通 0.62) C :流量係数 (普通 0.62) 2 g :重力加速度 (=9.8 m/s ) g :重力加速度 (=9.8 m/s2) H :孔中心までの水深 (m) H :孔中心までの水深 (m) H =Hd+Hα+h H =Hd+Hα+h Hd :緊急降下水深 (m) Hd :緊急降下水深 (m) Hα :水没深 (m) Hα :水没深 (m) h :孔上端より中心までの水深(m) h :孔上端より中心までの水深(m) Qmax :最大放流量(m3/s) Qmax :最大放流量(m3/s) FWL FWL H Hd Hα H Hd Hα 放流孔上端 h 放流孔上端 h 斜樋管 斜樋管 図-3.6.2 H のとり方 図-3.6.2 H のとり方 122 考
© Copyright 2024 Paperzz