DMA(曲げモード) 貯蔵弾性率(MPa) 軽量かつ優れた耐衝撃性を有する中・長鎖ポリアミド 1.0E+04 一般的なポリアミドと比較して寸法安定性・耐薬品性に優れます 低密度:背面の物性表参照 中・長鎖ポリアミドの中で最も密度の大 きなPA610でも1.08g/cm 3であり、PA66 の1.14g/cm 3 と比較して、5%小さくな り、軽量化に寄与します。 市販されているポリアミドで最も密度 が 小 さ い の は P A 1 2 の 1 . 0 2 g / c m 3で す が、PA1010(1.04g/cm3)とは2%未満の差 であり、PA1010、PA11、PA12について はほぼ同等です。 耐衝撃性:グラフ②参照 PA1010、PA11、PA12の耐衝撃強度は、 他のポリアミドより良好であり、特に PA11は、耐衝撃性に優れています。 耐薬品性 特に自動車関連用途では、融雪剤の塩化 カルシウムに対して、PA6やPA66が冒さ れやすいことが問題となっています。 また、「トタン」などに使用される亜鉛 に海風などによる食塩が付着すると、イ オン交換反応により強い作用を有する塩 化亜鉛が発生します。PA6やPA66は塩化 亜鉛に対して非常に弱く、割れなどの原 因となります。 PA610、PA612、PA1010と炭素鎖が長く なるにしたがって、これらの塩に対する 耐性が大きく向上します。特にPA11は、 良好な耐性を発揮します。 1.0E+03 1000 100 1.0E+02 -60 -60 PA610 PA610 PA1010 PA1010 PA11 PA11 -40 -40 -20 -20 00 20 20 40 40 60 60 80 80 120 120 140 140 160 160 180 180 200 200 温度(℃) 2.低温での優れた耐衝撃性 (kJ/m2) 25 23℃ 20 -30℃ 15 10 5 0 PA11 PA11 PA6 PA6 PA66 PA610 PA612 PA612 PA1010 PA12 PA66 PA610 PA1010 PA12 PBT PBT POM POM ノッチ付きシャルピー衝撃強度: ISO 179 /1eA グラフ②:シャルピーノッチ付き衝撃強度 5.低吸水率:寸法、機械物性の安定性 18 30 10 9 9 低融点:背面の物性表参照 PA1010、PA11、PA12といった長鎖ポリ アミドは、 PA6: 225℃ PA66: 265℃ よりも融点が低く、例えばPA12は178℃ しかありません。 そのため、 グラフ①のDMAデータにみら れるように短期耐熱性は種類によって大 きく異なります。これらの特長を活かし て、用途に応じて使い分けることが重要 です。 例えば、PA12を使用している部品が、集 積化などにより耐熱性が不足するように なった場合には、PA11やPA1010を検討 してください。 図④のポジショニングマップも、素材選 択の参考としてご活用ください。 100 100 PA612 PA612 PA1012 PA1012 PA12 PA12 グラフ①:DMA(3点曲げ法) 低吸水性:グラフ③参照 ポリアミドの中で最も吸水性が低いのは PA12です。PA610とPA612はPA6とPA66 の1/3程度であり、PA1010、PA11と PA12の長鎖ポリアミドの吸水率は1/4と さらに低くなります。これら3つの中では 大きな差はありません。 吸水(吸湿)による膨潤により、寸法が変化 します。吸水量の変化が少ないほど寸法 変化は少なくなります。 さらに、吸水により機械強度が低下し、 靭性が増します。吸水しにくいPA1010や PA11、PA12の機械強度は、PA6やPA66 と比較すると変化幅が小さくなります。 8 8 7 6 (%) PA610、PA612、PA1010そしてPA1012 は、一般的なポリアミド(ナイロン)のPA6 やPA66と比較すると、PA11やPA12と 同様に以下の点で際立った特徴を示しま す。 1. 低密度 2. 低温での優れた耐衝撃性 3. 塩化カルシウム等への耐薬品性 4. 低吸水性 5. 低融点 (PA610とPA612を除く) さらに、PA610、PA1010、PA1012と PA11のモノマーは「ひまし油」を原料と し、植物由来の炭素比率が高いのが特徴 です。特にPA1010とPA11は、植物由来 の炭素比率がほぼ100%のバイオマス・ポ リアミドです。 貯蔵弾性率 (MPa) 5 4 3.3 3 3 2.1 2.15 PA1010 PA1012 1.6 2 1.9 1 0 PA6 PA66 PA610 PA612 PA12 PA11 吸水率(23℃にて水中浸漬2週間後) 22 グラフ③:吸水率(23℃、水中、2週間) 衝撃強度と引張弾性率との相関 30 シャルピー衝撃強度 23℃調湿 中・長鎖ポリアミドの特徴 20 PA11 15 PA12 PA1012 10 PA1010 5 PA610 0 1000 1200 1400 PA612 1600 1800 2000 引張弾性率 23℃ 調湿 PA1010とPA12は、ほぼ同等の機械特性を有する。 図④:各PAのポジショニング 28 30 基本物性表 Rilsan® Rilsamid® Hiprolon® 試験項目 試験法 単位 BMN O PA 11 AMNO TLD PA 12 70 NN PA 610 90 NN PA 612 200 NN PA 1010 400 NN PA 1012 密度 ISO 1183 g/cm3 1.03 1.02 1.08 1.06 1.04 1.03 ℃ 46 37 48 ℃ 189 178 222 215 202 190 ℃ ℃ 138 42 110 47 60 60 50 50 ガラス転移点 37 融点 ISO 11357 熱変形温度 0.45 MPa 1.80 MPa ISO 75 曲げ弾性率 ISO 178 MPa 1140 1230 1700 1800 1200 1100 引張弾性率 ISO 527 MPa 1280 - 2000 1700 1500 1100 MPa % 41 > 200 38 > 200 52 > 50 53 > 50 50 > 50 40 > 50 kJ/m2 kJ/m2 kJ/m2 kJ/m2 破壊せず 破壊せず 20 10 破壊せず 破壊せず 9 5 破壊せず 破壊せず 8 6 破壊せず 破壊せず 9 6 破壊せず 破壊せず 11 8 破壊せず 破壊せず 14 11 10 11 7 8 9 10 > 99 0 > 60 0 > 99 > 43 引張特性 ISO 527 降伏強度 破断伸度 シャルピー衝撃強度 23℃ ノッチ無 -30℃ ノッチ無 23℃ ノッチ有 -30℃ ノッチ有 ISO 179/1eU ISO 179/1eU ISO 179/1eA ISO 179/1eA CH2/Amide炭素比 再生可能資源由来の ASTM D6866 炭素比率 % ひまし油からの垂直統合生産体制 アルケマは、セバシン酸の全世界生産キャパシティの50%以上を有するCASDA社と中長鎖PA重合メーカーのHipro Polymer社を2012年 に買収し、ひまし油からPA1010やPA610などのプラスチック原料に至るまでの垂直統合生産体制を確立しました。 なかでも、PA1010とPA11は全てのモノマーを「ひまし油」からグループ内で生産しています。 アルケマは、インドの世界的な「ひまし油」メーカーのジャイアント・アグロ社の関連会社に出資し、PA11およびPA1010のモノマ ーの原料となる「ひまし油」の安定的な調達に努力しています。 アルケマ株式会社 本社 〒 100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2富国生命ビル15階 Tel: 03-5251-9900 / Fax: 03-5251-9930 京都テクニカルセンター 〒 600-8815 京都市下京区中堂寺粟田町93京都リサーチパークSCB#3 Tel: 075-326-7431 / Fax: 075-326-7524 arkema.co.jp
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