チルト機構を用いたヘリカルスキャン におけるAECの挙動の評価 近藤博仁 波平康彰 入江亮介 阿藤佳成子 寺田智子 太田丞二 桝田喜正 千葉大学医学部附属病院 放射線部 Chiba University Hospital この研究発表の内容に関する 利益相反事項は ☑ ありません Chiba University Hospital 背景 チルト機構を用いたヘリカルスキャン(チルトヘリカル スキャン)は主に頭頚部領域のCTにおいて,義歯から の金属アーチファクトの低減や水晶体の被ばく線量 低減に有用と報告されている. Chiba University Hospital 背景 頭部CTでは,固定線量で撮影する施設も少なくないが, 自動露出制御機構(Automatic Exposure Control:AEC) を使用して撮影することもある. その際,ポジショニングの不良,金属アーチファクト 低減および水晶体の被ばく線量低減を考慮して,チ ルトヘリカルスキャンにて撮影することも考えられる. Chiba University Hospital 目的 現在までにチルト機構における固定線量での評価が いくつか報告されている.一方で,チルトヘリカルスキャ ン時のAECの挙動を報告した例は少ない. 本研究では,ヘリカルスキャンとチルトヘリカル スキャンにおけるAECの挙動を比較評価すること を目的とした. Chiba University Hospital 検討項目 I. 水ファントムにおけるチルトヘリカルスキャン時 のAECの挙動 i. ii. チルト角によるSDの変化 ファントム径サイズによるSDの変化 II. 頭部ファントムにおけるチルトヘリカルスキャン 時のAECの挙動 Chiba University Hospital 使用機器 X線CT装置 Aquilion64CX(東芝社製) ノイズ計測用ファントム 水ファントム:20×20×25cm 25×25×30cm 頭部ファントム PBU-1(京都科学社) Chiba University Hospital 検討Ⅰ 撮影方法 円筒形水ファントムを使用し,以下のa,bの条件で撮影 した. a. チルト角変化 チルト角0° チルト角5° チルト角24° チルトヘリカルスキャンにおいて,角度をスキャン 方向と同一の向きに0,5,10,15,20,24°と変化させ 撮影した. Chiba University Hospital b. ファントム傾斜角変化 傾斜角0° 傾斜角5° 傾斜角24° ヘリカルスキャンにおいて,上図のようにaと同一 の角度0,5,10,15,20,24°ファントムを傾斜させ,撮 影した. 管電圧 管電流 設定SD 再構成関数 HP/PF スライス厚 収集スライス厚 FOV 120kV Volume-EC 5,10 FC21 41/0.641 3mm 0.5×64 200 Chiba University Hospital 検討Ⅰ 同一スライス断面の比較 チルトヘリカルスキャンとヘリカルスキャンのSDと出力を比較 同一のスライス断面 チルトヘリカルスキャン ヘリカルスキャン ファントムを傾斜させることで,同一のスライス断面に おけるチルトヘリカルスキャン時とヘリカルスキャン時 のSDの変化と出力を比較した. Chiba University Hospital 検討Ⅰ 評価方法 それぞれの条件で3回ずつ撮影して得られた画像の 中心部の5枚のスライスに対して,ノイズの測定を行 い,平均値を用いて評価した. ノイズ評価法 右図のように5箇所の Regions of interest(ROI)を 配置し,CT値のSDを測定した. Upper Left Center Right Lower 有意差検定 同一スライス断面の測定結果はStudent’s testを用 いて,有意水準5% (p<0.05)として評価を行った. Chiba University Hospital 結果ⅰ-a チルト角変化によるSDの変化 HU 7 設定SD10 13 6.5 Standard Definition (SD) Standard Definition (SD) HU 設定SD5 6 5.5 5 4.5 4 12 11 10 9 8 7 3.5 0 5 10 15 角度 20 24 0 5 設定SD5:最大で10.3%のSDの増加. 設定SD10:最大で11.3%のSDの増加. 10 15 角度 20 24 Chiba University Hospital 結果ⅰ-b ファントム角変化によるSDの変化 HU 7 設定SD10 13 6.5 Standard Definition (SD) Standard Definition (SD) HU 設定SD5 6 5.5 5 4.5 4 12 11 10 9 8 7 3.5 0 5 10 15 角度 20 24 0 5 設定SD5:最大で2.3%のSDの増加. 設定SD10:最大で2.6%のSDの増加. 10 15 角度 20 24 Chiba University Hospital 結果ⅰ-c 同一スライス断面のSDの比較 HU Standard Definition (SD) 7 設定SD5 *:p<0.05 チルト角変化 * * * 5 10 15 * 20 ファントム角変化 * 6 5 4 3 2 1 0 24 角度 Chiba University Hospital 結果ⅰ-c 同一スライス断面のSDの比較 HU 設定SD10 *:p<0.05 チルト角変化 Standard Definition (SD) 14 12 * * * * 5 10 15 20 ファントム角変化 * 10 8 6 4 2 0 24 角度 設定SD5,10ともにすべての角度で有意差が見られたが, 特に20,24°で顕著であった. Chiba University Hospital 結果ⅱ ファントム径の違いによるSD増加率の変化 SD増加率(%) 設定SD10におけるファントム径によるSD増加率 14 12 10 8 6 4 2 0 ファントム径小 ファントム径大 5 10 15 20 24 角度 ファントム径の違いによるSD増加率 →ファントム径小:最大11.3%のSD増加が見られた. ファントム径大:最大12.1%のSD増加が見られた. Chiba University Hospital 検討Ⅰ 小括 円筒形水ファントムにおいて ヘリカルスキャン時では,SDの顕著な増加は見られな かったが,チルトヘリカルスキャン時では,チルト角の 増加に伴ったSDの増加が見られた. ファントム径の変化に対しては,径の変化に対するSD の顕著な増加はみられなかった. Chiba University Hospital 検討Ⅱ 撮影方法 頭部ファントムにおいて,X線CT撮影における標準化に 準拠した撮影条件で撮影した. チルト角0° チルト角5° チルト角24° OMラインに対して0,5,10,15,20,24°とファントムを傾斜さ せ,チルトヘリカルスキャンにおいて,OMラインに合わ せて撮影した. Chiba University Hospital 検討Ⅱ 評価方法 検討Ⅰと同様にそれぞれの条件で3回ずつ撮影して得られた画 像の大脳基底核レベルの5枚のスライスに対して,ノイズの測定 を行い,平均値を用いて評価した. ノイズ評価法 右図のように5箇所の Regions of interest(ROI)を 配置し,CT値のSDを測定した. 有意差検定 同一スライス断面の測定結果はStudent’s testを用いて, 有意水準5% (p<0.05)として評価を行った. 管電圧 管電流 設定SD 再構成関数 HP/PF スライス厚 収集スライス厚 FOV 120kV Volume-EC 3 FC21 41/0.641 5mm 0.5×64 200 検討Ⅱ 結果 頭部ファントムにおける角度によるSDの変化 * * HU Standard Definition (SD) p=0.07 5 *:p<0.05 p=0.6 p=0.06 4 3 2 1 0 0 5 10 15 20 チルト角20°以上で有意差が見られた. 24 角度 Chiba University Hospital 考察 円筒形水ファントムでは,チルトヘリカルスキャンをすると スライス断面 管電流(mA) 増加する はず・・・ Chiba University Hospital 考察 円筒形水ファントムでは,チルトヘリカルスキャンをすると 設定SD5 mA 管電流 200 チルト角変化 80 ファントム角変化 管電流 250 mA 100 150 100 0 0 15 20 24 角度 ファントム角変化 40 20 10 チルト角変化 60 50 5 設定SD10 5 10 15 20 24 角度 管電流は角度によらずほぼ一定であった. Chiba University Hospital 考察 頭部ファントムでは,OMラインに合わせているため スライス断面 管電流(mA) 変わらない はず・・・ Chiba University Hospital 考察 頭部ファントムでは,チルトヘリカルスキャンをすると mA 頭部ファントムにおける角度による管電流の変化 200 150 100 50 0 0 5 10 15 20 24 チルト角20°以上で管電流10%程度の低下があった. Chiba University Hospital 考察 この管電流の変化がSDの増加につながったと考える. チルトヘリカルスキャンで撮影する場合,SDを下げて 設定することでSDの低下を防ぐことができると考える. 今後このSDの低下が臨床画像にどう影響していくのか 検討する必要がある. Chiba University Hospital 結論 チルトヘリカルスキャンにおいてAECを使用す るとヘリカルスキャンと比較して,ノイズが増加 する可能性が示唆された. Chiba University Hospital
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