平成9年11月

平成9年11月
1.抜歯手術
抜歯の費用は、歯牙又は残根の全部を抜去した場合に算定します。
(1)難抜歯 460点
・難抜歯とは歯根肥大、骨の癒着等に対して骨の開削又は歯根分割等を行った場合をいうもので、全身
状態との関連は含まれません。
・稀には乳歯の難抜歯もあります。
・水平埋伏智歯の隣接歯牙を抜去し、同時に水平埋伏智歯を抜去した場合、抜去すべき歯牙が難抜歯で
あるときは難抜歯の所定の点数により算定します。
・カルテには、理由と術式を記載します。
・レセプトでは所定欄の「難460× 」に記載します。
(2)埋伏歯 1000点
・埋伏歯とは、骨性の完全埋状歯又は歯冠部が3分の’2以上の骨性回状である水平埋状智歯をいいます。
・100点加算は、下顎完全埋伏智歯又は下顎水平埋伏智歯に限ります。
・レセプトでは処置・手術の抜歯欄の「埋1000× +100× 」に回数を記載します。
(3)抜歯中止
1) 抜歯着手前の中止
麻酔料、麻酔薬剤料と普通処置(16点)が算定できます。
2) 抜歯中に貧血などのため中止。
・抜歯の所定点数を算定できます。
・再度の抜歯時には、普通抜歯であれば所定点数を、難抜歯であれば460点を算定できます。
・同じ歯にっき、二度の抜歯となるので摘要欄に「○月○日抜歯中止、×月×日再度抜歯」と記載し
ます。
3) 抜歯が困難で中止
・難抜歯の算定で差し支えありません。
・伝麻の場合は、麻酔料、麻酔薬剤料も算定できます。
・レセプトでは摘要欄に「抜歯不能」と記載します。
(4)分割抜歯(ヘミセクション)460点 .
・大臼歯において必要があって保存し得る歯根を残して分割抜歯を行った場合に算定します。
・上顎6、7番に行っても差し支えありません。
・レセプトでは「処置・手術のその他」欄に「分割抜歯460× 」と記載し、抜歯した歯根名を摘要欄
に記載します。
【例】匿遠心根抜歯
(5)歯根分割(バイフォケーション)240点
・歯周疾患を原因としない根分岐部病変に対して歯根分割を行い、病変の掻爬を行って歯の保存を図っ
た場合に、臼歯の抜歯所定点数により算定します。
・レセプトでは「処置・手術のその他」欄に「分割掻爬240× 」を記載します。
病名は「Per;根分岐部病変」「C,根分岐部病変」
(6)抜歯と同時の歯槽骨整形手術等は、抜歯手術の所定点数に含まれます。
2.抜歯窩再掻爬手術 130点
・抜歯窩に対して再掻爬手術を行った場合は、1歯に相当する抜歯窩を単位として所定点数を算定します。
・病名は「抜歯窩治癒不全」、「ドライソケット」等
・レセプトでは「処置・手術のその他」欄に「再掻爬130x 」と記載します。
3.歯根嚢胞摘出手術
・歯冠大……770点 栂指頭大……1300点
・画像診断(レントゲン)を行ってください6
・歯根端切除術または抜歯を伴わないWZ摘出は算定できません。
・病名「Per,WZ」
・レセプトでは「処置・手術のその他」欄に「WZ摘出770× 」「WZ摘出1300× 」と記載します。
・歯冠大とは、歯根嚢胞の原因歯の歯冠の大きさをいいます。
4.歯根端切除手術(1歯にっき1300点)
・歯根端閉鎖の費用を含みます。歯根端切除手術と同時に行った根管充填は別途算定できますが、加圧根
充は算定できません。
・病名「Per,WZ」または「Per」
・レセプトでは「処置・手術のその他」に「根切1300× 」と記載します。
・乳歯には認められません。
5.歯科インプラント摘出手術
(1個につき)
・人工歯根タイプ(ルートタイプ 460点)
・ブレードタイプ(1210点)
・骨膜下インプラント(1700点)
・他医療機関で埋入したものに限ります。
・骨の開削を行えば50/100を加算します。
6.歯牙再植術 1300点
・外傷性歯牙脱臼時に行った場合、同時に行った抜髄、根充は別に算定できます。
・暫間固定を行った場合は、歯数に係わらず530点を算定します。
・レセプトでは「処置・手術のその他」欄に「歯牙再植術1300× 」と記載します。
7.歯牙移植術 1300点
・歯根未完成歯(埋状歯又は智歯)を抜去し、他の歯牙の抜歯窩に移植した場合に算定します。
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・歯根端切除手術を準用して算定します。
・移植する歯牙の抜歯に対しては460点、または1000点を算定できます。
・当該歯牙に行った抜髄、根充は別に算定できます。
・年齢にご注意ください。(根未完成歯に限る)
・レセプトでは「処置・手術のその他」欄に「歯牙移植術1300× 」と記載します。
8.歯肉息肉除去手術 110点
・Pul、Perで歯冠が大きく崩壊した歯牙の鶴窩を覆う歯肉息肉のため、歯内療法が困難で息肉を除
去した場合に算定します。
・病名「Pul、歯肉息肉」、「Per、歯肉息肉」のように併記病名が必要です。
・歯内療法着手時に算定してください。
9.口腔内消炎手術
(1)歯肉弁切除手術(弁切) 140点
・智歯周囲炎の消炎手術、歯牙萌出時の歯冠周囲炎、歯牙破折で破折片除去を行った時に必要があって、
歯肉弁を切除した場合に算定します。
・病名は「Perico」、「歯冠周囲炎」あるいは、「萌出困難」「生歯困難」
・レセプトでは「処置・手術のその他」欄に「四切140× 」と記載します。
② 切 開
歯肉膿瘍等 180点
・病名は「GA」です。
歯槽膿瘍、骨膜下膿瘍、口蓋膿瘍等 230点
・病名は「AA」です。
顎炎または顎骨骨髄炎等
1/3顎未満のもの 750点
1/3顎以上のもの 2600点
全顎にわたるもの 5700点
(器難敵畿護欝甲にわたる炎症のこと㈲開削をして消炎)
・GA、 A Aの鑑別診断を明確にしてください。「4」Per, A A」、「“百「Perico, G A」など起因
する病名を併記します。
・病名と切開点数の不一致に注意して下さい。 . ・
・同月に同部位を日を異にして2回以上切開した場合摘要欄に切開した日を記載します。
10.歯槽骨整形手術、骨腫除去手術 110点
・歯牙一幕に相当する範囲を単位として所定点数により算定します。
・病名「SChA」、「骨瘤」または「Tor」
・レセプトでは「処置・手術のその他」欄に「AECt110× 」または「骨瘤除去110× 」と記載します。
11.頬、口唇、舌小帯切離移動術 360点
頬、口唇、舌小帯形成術 340点
・各小帯ごとに算定します。
・小帯の部位の記載が必要です。
・病名「○○小帯異常」
12.歯肉弁移動術(歯肉移植術) 770点
・転位歯などを抜歯した際、隣在歯の歯根面が露出し、知覚過敏などの障害を来すおそれがあるときに歯
肉移植術を行った場合、歯肉弁移動術を準用して所定点数を算定します。
・病名は部位及び「歯根露出」・と記載します。
・レセプトでは「処置、手術のその他」欄に「歯肉弁移動術770× 」と記載します。
13.口腔内軟組織異物(人工物)除去術
簡単なもの. 30点
困難なもの(1)浅在性のもの 680点
(2)深在性のもの 1290点
・簡単なものとは異物(人工物)が比較的浅い組織内にあり、非観血的あるいは、簡単な切開で除去でき
るものをいいます。
・困難なものとは
1)浅在性のもの
除去に当たって組織の剥離を必要とするものをいいます。
2)深在性のもの
異物の位置が確認できず、なおかっ深部に存在するため大きく深い切開と組織の乱切を必要とし
た場合です。
(手術関連処置)
○ 口腔外科後処置(1口腔にっき) 22点
・1300点以上の大手術の外科後処置及びドレーン(吸引ドレーン等)を使用した外科後処置をいいます。
○ 後出血処置 340点
・手術直後に行われる止血処置は、手術の点数に含まれます。
・後出血のために再来院し、簡単に止血できない場合は外科後処置の点数によらず、後出血処置の点数を
算定します。レセプトの摘要欄には「1日2度来院」と記載してください。 . ・ ・
・レセプト病名欄には、部位と「後出血」の記載をします。
・抜歯後に限らず、歯肉弁切除後の出血、全身疾患等で出血性素因がある患者で、歯肉からの異常出血な
ど簡単に止血しない場合、後出血処置が算定できます。病名欄に「歯肉出血」等を、または摘要欄に
「血友病」、「紫斑病」など全身疾患を記載してください。
・1手術野単位で算定します。
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平成9年12月
一各種指導管理について一
各種指導管理料の算定に際して、患者に指導を行う場合、以下の事項を参考にしてください。また、カル
テには必ず指導内容の要点を記載してください。
【歯科ロ腔衛生指導(壮心指)内容】
1 口腔内疾患の原因について
U)う蝕や口臭の原因について
② 歯周疾患の原因について(学童、思春期)
(3)妊娠性歯肉炎の原因について
(4)細菌とプラークの関係及びう蝕活動性試験について
2 口腔内疾患の予防について
(1)ブラッシングの重要性及び歯磨剤、洗口剤の使用法について
(2)フッ素による歯質の強化について
(3)間食、飲料の選び方、与え方、摂り方について(乳幼児、学童)
(4)う蝕の早期発見と早期治療の重要性及び定期健診の必要性について
(5)う蝕の継続管理の必要性について(う蝕多発傾向者)
3 口腔の発育について
(1)胎児の歯の発育及び出生後の口腔の発育と育児の留意点について(妊娠中)
(2)乳歯と永久歯の交換期の注意事項について(乳幼児、学童)
(3)顎の発育と歯列不正について(乳幼児、学童)
(4)噛むことの重要性について
4 家庭療法について
(1)栄養のバランスと口腔の健康について
(2)規則正しい生活および食生活について
(3)妊娠中の栄養について
5 口腔内疾患のリスクファクターについて
(1)異常習癖の悪影響について
(2)歯列不正、不正咬合の悪影響について
(3)思春期及び妊娠中の口腔内の特異性について
6 その他 ・
(1)妊娠中の歯科治療の留意点について
(2)その他(具体的に記載してください)
【歯周疾患指導管理(P基管、P継管、老P基)内容】
1 歯周疾患の一般的知識について
(1)歯周疾患の特徴について
(2)歯周疾患の発症と進行について
(3)現在の状態の説明と歯周疾患の治療計画について
(4)歯周治療の内容と期閣及びその予後と歯周治療を放置したときの結果について
(5)歯周組織検査の目的について
(6)プラークコントロールの重要性と歯垢染色の意義について
(7)歯周治療での歯科医と患者の協力の必要性について
(8)歯周疾患と外傷性咬合の関係及び咬合性外傷の改善について
(9)不良補綴物、充填物の調整および改善について
(10)食片圧入の影響について
(11)歯の解剖学的形態異常の改善について
(12)軟組織の形態異常(小帯異常、付着歯肉狭小、口腔前庭狭小等)の改善について
(13)歯肉退縮、歯根露出の説明
(14)歯周治療用装置の役割およびその取り扱いと清掃について
(15)歯周外科手術後のブラッシングの時期とその方法について
(16)補綴物のプラークの付着性及び口腔衛生、審美、力学を考慮した補綴物について
(17)その他(具体的に記載してください)
2 家庭療法について
(1)規則正しい生活と適度な休養について
(2)バランスのとれた栄養、ビタミン類の摂取の必要性について
(3)軟らかい砂糖の多い食物の制限と線維性食物の摂取について
(4)過度のストレスや過労、暴飲、暴食をさけること
(5)タバコの歯周組織への為害性について
(6)異常習癖(歯ぎしり、くいしばり、薬指吸引癖、頬杖や睡眠等の異常姿勢、パイプ常用、乱暴なブラッ
シング、口呼吸、弄舌早、咬唇癖、異常嚥下癖等)一の改善について
(7)その他(具体的に記載してください)
3 全身疾患(糖尿病、腎疾患、肝疾患、血液疾患、ビタミン欠乏症、ホルモン失調症、栄養欠乏症、薬物
中毒、心身症、免疫不全症候群等)の影響について
4 メンテナンスについて
(1)再発の予防について
(2) リコールの理解とその重要性及び定期的な歯周治療の必要性について
(3)経年的な歯肉退縮と歯根露出に対する説明と理解及び根面う蝕の対応について
(4)その他(具体的に記載してください)
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【歯科ロ腔疾患指導管理(歯科指)内容】
「8020」の理解と重要性について
老人の心身の特性について
生理的機能の低下と口腔内の関係について
食物摂取上の注意について
残存歯および顎堤の保護の重要性について
有病者に対する注意について
口腔衛生指導、歯周疾患指導管理内容に準ずるもの
その他(具体的に記載してください)
【歯科衛生実地指導(実地指)内容】
1 規則正しい歯磨き習慣の確立について
2 予防と治療としてのブラッシング及び現在のブラッシングの状態と問題点について
3 刷掃法(スクラッピング法、バス法、フォーンズ法、ローリング法、スティルマン改良法、毛先磨き一
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ッマ先磨き・カカト磨き等)の指導による学習と再確認について
個々の歯列に合ったブラッシングについて
磨き残しの部分のプラークコントロールとワンポイントアドバイスについて
ブラッシングにかかる時間と回数及び歯ブラシの選択と交換時期について
補助衛生用具(歯間ブラシ、デンタルフロス、ガーゼ、テープ、トゥースビック等)の使用法について
歯磨剤、洗口剤、電動ハブラシの使用法について
歯牙、歯周組織の為害性のない歯磨き圧について
萌出歯のブラッシングについて
歯肉出血部位のブラッシング及びポケットの深い部分や歯根分岐部の清掃法について
冠の歯頸部及び連結部の清掃法について
ポンティック基底部の清掃法について
注意すべき家庭療法について(口腔衛生指導、歯周疾患指導管理の家庭療法に準ずるもの)
その他(具体的に記載してください)
【有床義歯指導(調A、調C、調D)内容】
1 装着当初の指導
(1)義歯の機能程度
①装着した義歯についてどの程度の機能効果があるか説明する。
α)咬合位、咬合接触の回復。
(ロ)咀囑機能、発音機能、外観の回復及び心理効果。
② 食事の仕方に関する留意事項を説明する。
ω 義歯に不向きな食物、熱い飲食物、前歯での咬み切りに注意。
(ロ)義歯表面に食片が残っていることがあるので食後はずして清掃する。
② 義歯への慣れについて
①熱、違和感のあるときは暫くはずして再び装着し、繰り返しながら装着している時間を長くする。
②舌で義歯をもてあそばない。
③最初は食べやすいものを選び、小さくして食べる。
④両側でおなじように咬むことに努める。
⑤最初は発音しにくいことがあるので声を出して本を読む訓練などをする。
(3)苦痛時の対応 . ・
①圧迫感があるときや痛みがある時の準意。
②来院日は朝から装着してもらう。
いずれにしても次回の来院時に調整することを説明する。さらに、長く装着しないでおくと、口腔
内が変化して義歯が入らなくなることがあることも説明する。
(4)義歯の清掃
残存歯のカリエスや歯肉、口腔粘膜の炎症に深く関係することを説明する。
①流水下で、歯ブラシなどを使って義歯を清掃する。
部分床義歯ではクラスプやレストの内面、歯に接する床内面をとくに留意して清掃する。
②必要に応じて義歯清掃剤を使用してもらう。
(5)口腔内の清掃
①食物残渣を粘膜から除去するために、よく洗口する。
②毎食後および就寝前には口腔粘膜をブラシで清掃する。
部分床義歯では、義歯に接する残存歯歯頸部、隣接面について、とくに入念に行う。歯間ブラシや
隣接面専用ブラシを適宜使用する。
(6)義歯の着脱法
①義歯を装着するときは義歯を水で少しぬらす。
②着脱時の注意と着脱方法及び方向。
③部分床義歯では、途中まで入れて咬み込んで入れることはしない。
(7)就寝時の義歯の扱い方
①原則的に就寝時には義歯をはずす。
ただし、以下の場合には義歯をよく清掃したうえで装着させることがある。
④ 残存歯により対合顎堤が損傷される場合
◎ 顎関節に過剰負担が加わる場合
◎ 部分床義歯では、ブラキシズムにより残存歯に過剰負担が生じる場合
e部分床義歯が動揺歯のスプリントを目的としている場合
②はずした義歯は清掃し、容器内の水中に保管する。
(8)以後の通院
義歯を長く良い状態で使用するには定期的な検査・調整が必要であることを説明する。
2 定期診査時の指導
(1)義歯の現状の診査と必要な対処
(2)口腔内の現状(残存歯、顎堤を診査)と必要な対処
(3)以後に予測される事態とその対応
以上については、義歯装着当初の指導事項を適用するほか、術者による処置が必要な場合には、その
必要性、処置内容を説明する。
お知らせ
1 外傷性咬合と咬合性外傷の診断を的確に行ってください。
(1)外傷性咬合は、特に早期接触を取り除くもので咬調(16点)が一般的です。
(2)咬合性外傷は、歯周組織の支持力が低下し、早期接触を除いても生理的な咬合が2次性咬合性外傷を
引き起こす場合で、側方圧のかかる部分や広い面接触の部分を削合し咬合力の軽減を図るいわゆる歯冠
形態修正(50点)のことです。
2 歯冠形態修正(50点)の病名としては、歯冠形態異常、咬合性外傷、挺出歯、咬耗症(Att)などを記
載してください。