植物生産基礎実習 II 第7回、8 回、9 回 2014. 10. 28、11. 11、18 ■育種基礎実験 -不稔と不和合性耐病性の品種改良のほとんどは交雑育種によって行われています。 実習の目的は、交雑育種において次代種子が得られない(不稔の)場合の原因を解析する手 法を学ぶことです。 実習予定 9 月 23 日、10 月 14 日【実験 I.材料の準備】 材料 アブラナ: Brassica napus L. ウェスターの種まきと植え替え 10 月 28 日【実験 II.花器形態、葯、柱頭、胚珠形態の観察】 試料 ユリ 11 月 11 日【実験 III.花粉形態の観察、花粉核の観察】 試料 アブラナ、ツバキ、ユリ 11 月 18 日【実験 IV.花粉管の観察】 試料 アブラナ 10 月 28 日【実験 II.花器形態、葯、柱頭、胚珠形態の観察】 ・耐病性育種とは(裏面) 【実験 II.花器形態の観察】 課題 II ユリ花器構造をスケッチせよ。 観察のポイント ・がく、花弁、おしべ、めしべ、はそれぞれ何枚(何本)あるか。がく、花弁の区別。 ・それぞれの位置関係(おしべ、めしべ)はどのようになっているか。 ・葯、葯内部、柱頭表面の構造はどのようになっているか。 後片付け ・ユリは教卓のバケツへ戻す ・花の残骸はごみ箱へ捨てる レポート提出:育種実験 4 回分をまとめて 11 月 25 日(火) 耐病性育種 【目的】 耐病性品種育成 【方法】 耐病性遺伝 子欠如品種 耐病性系統 交雑育種法 【交雑育種について】 持ち合わせていない性質を交 雑によって導入する。 交雑操作の結果、種子形成され る場合 耐病性検定 種子形成されない場合 解析項目 花粉と雌 しべとの関 係 花粉の性質 雌しべの性質 花粉と雌しべの相互関係 解析に必要な技術 1. 試料調製技術 2. 生殖器官の染色技術 3. 顕微鏡観察技術 耐病性遺伝子の戻し交雑育種 *DNA マーカー ・環境の影響を受けない ・幼直物検定可 植物生産基礎実習 II 第8回 2014. 11. 11 育種基礎実験【実験 III.花粉形態の観察、花粉核の観察】 【実験 III-1.花粉核の観察】試料 アブラナ 1. スライドグラスに 0.001 % DAPI 水溶液を滴下する。 2. 翌日に開花しそうな蕾の葯を押しつぶし花粉を浮遊させ、カバーグラスをかけ 10 分間放置 する。試料が乾かないようにマニキュアでシールしておく。 3. 蛍光顕微鏡で紫外光を使って核観察する。 *DAPI(4’,6-diamino-2-phenylindole)は DNA に結合し、紫外光によって励起する性質 を持つ 課題 III-1 DAPI 染色した花粉核の写真撮影をし、核の名前を記せ。 また、蛍光染色の原理を概説し、蛍光染色剤と染色部位との関係について1例を挙げて説明 せよ。 【実験 III-2.花粉形態の観察】試料 アブラナ、ツバキ 1. スライドグラスに 50 % グリセリン水溶液を滴下する(20~30l 程度)。 2. 翌日に開花しそうな蕾の葯を押しつぶし花粉を浮遊させる(葯の表面を水溶液表面に漬ける) 。 3. カバーグラスをかけ透過光で検鏡する。 課題 III-2 アブラナ花粉、およびユリ花粉の形態をスケッチせよ。花粉の形、模様に注目する。ミクロ メーターを用いて大きさを測定せよ。 【実験 III-3.花粉の稔性検査】試料 アブラナ、ツバキ 1. スライドグラスに酢酸カーミン液を 1 滴、滴下する。 2. 花粉を浮遊させ、カバーグラスをかける。 3. 正立型顕微鏡を用い、酢酸カーミン液での染色度合いにもとづいて、稔性のある花粉、 無い花粉を判断する。3個の葯について、それぞれ 100 個程度花粉を観察し、稔性のあ る花粉の割合を計算する。あらかじめ使用する蕾の写真を撮っておくとよい。 課題 III-3 アブラナ、および、ツバキを用いて3個の葯の花粉稔性程度の平均値を求めよ。 【実験 III-4.授粉作業】試料 アブラナ 1. 開花した花を摘み取る。一部を授粉のための花粉材料とする。 2. 植物体上で翌日に開花しそうな蕾を選ぶ(蕾の雌蕊は授粉していないので)。 *実験テーブルを土で汚さないように、作業はバット、あるいはペーパータオルの上で行う。 3. ♀用の花の蕾を開き、雄蕊を取り除く(除雄)。従って、雌蕊のみとなる。 4. ♂用の花の開花花粉を人工授粉する。一鉢の雌しべに、各班、それぞれ蕾 15 個程度。花 粉の付いた雄蕊をピンセットで採取し、目に見える程度の花粉量を 2.の柱頭に授粉する。 5. 授粉した蕾付近にビニールテープで班名等をラベルし、温室(3番)に置く。 6. 一鉢は授粉せず除雄のみとする。 7. 2 日後(木曜日)に授粉した雌しべを 8 本程度回収し、1 N の NaOH 溶液に漬ける。 ※各班で回収に来る人を2名決め、午前 9 時 00 分~12 時 45 分の間で調査作業室にて 「 7 」の作業を行う。 (参考資料) アブラナの花粉内の核 a) ツバキの染色された花粉 b) 染色されなかった花粉 蛍光顕微鏡の割り振り 1-3 班:調査作業室、1→2→3 班の順 4-6 班:病害制御実験室、4→5→6 班の順 7-10 班:実習室、7→8→9→10 班の順 11-14 班:5003 号室、11→12→13→14 班の順 各班、蛍光顕微鏡観察に割り当てられていない時に、実験 III-2「花粉形態の観察」、実験 III-3 「花粉の稔性検査」 、実験 III-4「授粉作業」を行う。 準備するもの ・アブラナ:ウェスター2 鉢 ・50 % グリセロール液、エッペンドルフチューブ 2 本 ・DAPI 液、エッペンドルフチューブ 1 本 ・酢酸カーミン液、エッペンドルフチューブ 1 本 後片付け ・アブラナ:温室3に戻す ・50 % グリセロール液、DAPI 液、酢酸カーミン液:教卓上に戻す *画像データは授業支援システム上に UP します。 レポート提出:育種実験 4 回分をまとめて 11 月 25 日(火) 植物生産基礎実習 II 第9回 2014. 11. 18 育種基礎実験【実験 IV.花粉管の観察】 実験 IV-1 花粉管の観察 1. (授粉した雌しべは 1 N の NaOH 溶液中で 70 ℃で1時間軟化させ、その後、4℃で保存 した)。 エッペンドルフチューブ中の NaOH 溶液を取り除き、ミリ Q 水を加えて 2 回洗浄する。 2. 雌しべをエッペンドルフチューブ中の染色液(0.1 % アニリンブルー溶液、0.1 M K3PO4 溶解)に移し、5 分程度放置する(2 本程度)。 3. チューブから引きずり出すようにしてスライドグラス上に柱頭を置床する。 軟化していてバラバラになりやすいので注意する。 4.カバーグラスを乗せて、ゆっくりとピンセットの頭で押しつぶす。 5.花粉管伸長の様子を蛍光顕微鏡を用いて観察する。 アニリンブルーは紫外光で分解するので、プレパラートは検鏡の直前に作成する。 *アニリンブルーは花粉管細胞壁(β1,3-グルカン)に結合し、紫外光により蛍光を発する。 実験 IV-2 雌しべの観察 正立型顕微鏡を用いて観察し、雌しべの内部構造を観察する。 アニリンブルー染色に使わなかった残りの雌しべを使用する。 実験 IV-3 子房の観察 先週、授粉した雌しべの子房および子房内の胚珠を、未授粉の子房と比較し観察する。 課題 IV. 1.花粉管伸長の様子を写真撮影せよ。 柱頭上での花粉管発芽、花粉管の胚珠への到達に着目する。 2.雌しべの頭部、内部の胚珠をスケッチせよ。 3.授粉した雌しべ子房内の胚珠をスケッチ(あるいは写真撮影)し、未授粉の子房と比較 せよ。 4.不和合性について、胞子体不和合性と配偶体不和合性の相違点を中心に解説せよ。 蛍光顕微鏡の割り振り 1-3 班:調査作業室、3→2→1 班の順 4-6 班:病害制御実験室、6→5→4 班の順 7-10 班:実習室、10→9→8→7 班の順 11-14 班:5003 号室、14→13→12→11 班の順 各班、蛍光顕微鏡観察に割り当てられていない時に、実験 IV-2「雌しべの観察」 、実験 IV-3 「子房の観察」を行う。 柱頭上の花粉と花粉管(Brassica napus) アニリンブルー染色した花粉管 (Brassica napus) 使用する器具 ・授粉した雌しべが入った NaOH 溶液(エッペンチューブ) ・アニリンブルー溶液、各班 1 mLx1本(エッペンドルフチューブ入り) 後片付け ・残った雌しべ、アニリンブルー液:チューブごとポリ袋に入れて捨てる ・アブラナ:各班 2 鉢ずつ、作業室で処分する。 画像ファイルのありか ・授業支援システム→植物生産基礎実習→教材→「11 月 11 日花粉核観察」 「11 月 18 日花粉管観察」の中から自分の班の分のファイルをダウンロードする。一旦デス クトップ等に保存し、ZIP ファイルを解凍する。 ・ファイルをダウンロードできない、開けない等、問題がある場合は佐野、矢羽田 まで。 ・他班の画像を参照、およびレポートに添付してもよい。その場合は「何班の写真 を使用した」等、必ず出典の断りをいれること。 レポート提出: ・育種実験、4 回分をまとめて 11 月 25 日(火)
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