リンケージ特有の図形融合を探る -「へ」の字型リンケージの「変位表」の作成- 茨城県立並木中等教育学校 吉田 真也 5年(高校2年) 【背景と目的】 数学で扱うリンケージについて,「ケンペの万能定理」という定理がある。 定理 ケンペの万能定理 「S を平面上の任意の代数曲線とする。このとき,ある線分の端点同士をピン止めした点の動きが, 正確に S を描くようなリンケージが存在する。 」 この定理から,任意に指定した代数曲線を描くリンケージの「線分の配置」について見出すのは,膨 大な計算量を要するため困難である。以前に,4 節リンケージの入力点と出力点の関係を数式化し,そ の結果を組み合わせることで計算量軽減を試みたが,成果は得られなかった。 そこで今回は,最小単位である「へ」の字型リンケージ(Fig.1) に注目し,点 P,R が動くことで点 Q はどのような軌跡を描くのか について,視覚的に捉えることにした。また,点 Q で描かれる図形 に対し,「点 P と点 R の図形を融合したもの(図形融合)」であると Fig.1 した。 【研究内容】 「へ」の字型リンケージにおける図形融合を考えるために,点 P からどれだけ離れた位置に点 Q が あるのかを示す表「変位表」を作成した。なお,この長さは直線距離 a ではなく,成分ごとの差である (Fig.1)。 以下に「変位表」の作成方法を説明する。 「へ」の字リンケージ PQR において, P の x,y 座標と R の x,y 座標の差 をそれぞれ δx, δy とする。このとき Q は直線 PR に関する対称を除き一意 に定まるが, 特に y 座標の大きい方を Q とする(Fig.1)。ベクトル PQ の x 成分及び y 成分を δx, δy の関数だと考えて δx-δy 平面上にプロットして変 位表を作成した(Fig.2)。 さらに,この「変位表」着色をすることを考える。今, 「変位表」のマス Fig.2 の中には,値が入っているのだが文字であるため認識しづらい。そこで,値 の変化を色の変化に対応させて着色した。そうすることで,リンケージの性質がより明瞭になる(Fig.3)。 Fig.3 の「変位表」は,表の値を小数第 1 位で四捨五入し,表の値の最小値から 1 増えるごとに,色を δy HSL 形式で分解したときの色合いの値を 4 ずつ変化させて着色した。 【今後の課題】 これらの図より,「へ」の字型リンケージの図形融合について視覚的に 捉えることができた。今後は,この図からさらに法則を見つけ,それを数 δx 式化していきたいと考えている。現在取り組んでいるのは,「変位表」の 「渦巻き」を数式化し,法則を導こうとしている。 【参考文献】 エリック・D・ドメイン,ジョセフ・オルーク著 Fig.3 上原隆平訳 「幾何的な折りアルゴリズム‐リンケージ,折り紙,多面体‐」 SSポスター発表1-1 近代科学社 2009 ポリ酢酸ビニルのガラス転移 筑波大学附属駒場高校 早坂有生(2年生)筑波大学数理物質系物理学域 1. 池沢道男 研究動機 様々な高分子の非晶体には、ガラス状態とゴム状態があり、この二つの相状態の状態変化のこ とをガラス転移という。ガラス転移はごく短い温度の幅の中で起こり、物質の剛性や粘性などの 性質が著しく変化する。私たちの身近にもこの性質を利用したものはあり、例えばガムは、主成 分のポリ酢酸ビニルが 30 度程度でガラス転移し、ガラス状態からゴム状態になることを利用して、 口に入れて初めて柔らかくなるようになっている。 このガラスやゴムという相には通常あてはまる法則が通用しないのではないか、そう思い僕は 興味を持った。調べていると、ガラス転移という分野はまだまだ謎が多く研究が多く続けられて いる分野であることがわかり、自分にも何か解明できることはないかと思い、研究を始めた。 2. 研究目的 ガラス転移が観測できる温度(ガラス転移点)は物質や環境によって異なる。どのような方法 でその温度を調べることができるのか、また温め方や物質の状態とガラス転移点にどのような関 係があるのか、ということを、特に身近にありガラス転移点が適温であるポリ酢酸ビニルを対象 として、明らかにする。 3. 研究方法 I. 分子振動の挙動を観測するために、木工用ボンドからポリ酢酸ビニルを取り出し、ガラス 転移前後での赤外吸収スペクトルを測り、何か違いがあるか調べた。 II. 誘電率や屈折率と並びガラス転移の研究によく使われる指標である、示差走査熱量測定 (DSC)を用いて、温める速度や物質の種類、重合度、純度等を変えてガラス転移点を測 定する。 4. 研究結果 I. 図1 1回目の実験で波数 1500(cm-1)、3800(cm-1)付近に変化が見られ たが、2回目では見られず再現性を実証できなかった。 ※1:図 1 は1回目の実験結果で、上と下の二つがガラス状態、真ん中の二 つがゴム状態。 ※2:見やすいようにグラフを上下にずらしたため透過率はずれている。 II. 5. 2 月中に行う予定である。 研究考察 Ⅰの1回目の実験では、実験に用いたポリ酢酸ビニルに水分が残っており、スペクトルの結果 に誤差が出てしまったものと考えられる。 今後は示差走査熱量測定の結果を分析し、ガラス転移点やガラス転移の特徴と、物質の状態、 環境の関係性を見出すことを試み、ガラス転移という謎の多い現象を解き明かしていきたい。 6. 参考文献 高分子のガラス転移とガラスダイナミクス(猿山靖夫,深尾浩次) SSポスター発表1-2 屋外/屋内両用で活動できる生活支援ロボットの研究開発 石川県立金沢泉丘高等学校理数科 発表者 出村 賢聖(2年) 担当教員 相山 康道 望山 洋 1. 研究動機 現在高齢化問題で生活支援ロボットの需要が高まってきているが、現在市場に存在する生活支 援ロボットは居住空間の中でしか人間の支援ができない。高齢者の方々は決して居住空間の中で しか活動しないことはなく、買い物をしたり友人と会ったり等、居住空間外である屋外でも長い 時間活動する。最近[1]一人暮らしの高齢者が増加傾向にあるが現在の生活支援ロボットでは一 人暮らしの高齢者の屋外での活動を支援できない。そこで、ロボットが高齢者をより支援できる ように、屋外/屋内両用で活動できる生活支援ロボットの研究開発を行った。 2. ハードウエア 以下の5点を屋外・屋内両用である生活支援ロボットのハードウエアの設計概念とした。1つ 目は居住空間で活動するために必要である、物体と物体の間を通り抜けられる小ささ、小回り だ。2つ目、3つ目と、4つ目は屋外で活動するために必要な能力である、複雑な地形でも走行 できる走行性能、外光に強いロボティクスの感覚系(センサ)と、防塵・防 水・耐振性だ。5つ目は屋外と屋内の両方で活動するために必要である重量 や収納性を含めた運びやすさだ。[2]この5つの要求を満たす生活支援ロボッ トを開発した。ロボットの直径は35cm,高さは60cm である。段差があっても ロボットが転倒しないよう最も重量が大きい部品である Toughbook をできる だけ下に配置することによって低重心を実現した。位置判定と人間認識用の 感覚系には外光に強い LIDAR である UTM-30XM を採用した。司令部は防塵・防 水・耐震性のある Panasonic Toughbook を採用した。このロボットは 53cmx33cmx22cm の大きさのスーツケースに収納して持ち運び可能だ。 [2] 開発したロボット 3. ハードウエアの実験 つくばチャレンジ実験走行会で摂氏10度くらいであった 、2014/11/14~16の19:00~16:00に このロボットを落ち葉や木の枝がたくさん落ちている大清水公園の歩道で10回ほど走行実験を行 った。結果 はオドメトリを用いた SLAM の情報に影響を与えず落ち葉、砂土、木の枝の上を減速 することなく進むことが目視により確認できた。2014/12/6の9:00 ~ 15:00に開かれた Intelligent Home Robotics Challenge での計測では、大理石のタイルの上で家具のある居住空 間の中で家具に衝突せず動くことが可能だと目視で確認できた。このロボットは絨毯の上でも動 くことを確認している。このことからこのロボットはハードウエア面で雨の降っていない秋の屋 外と家環境では活動できる能力を持っている。 4. 今後の課題 今回は家環境や雨の降っていない秋の屋外ではこのロボットが環境に左右されずに動くことが 確認できたが、夏,春,雨天時での屋外での走行実験を行うことによってこのロボットの能力が一 般的に天気や季節に左右されないことを示す必要がある。 5. 参考文献/補足 [1]参考文献:内閣府資料2015/2/9/11:18:57http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w2012/zenbun/s1_2_1_03.html SSポスター発表1-3 発電効率の高い生物模倣の風車の研究 東京都立小石川中等教育学校 Research on Windmill of Biomimetic Power Generation Efficiency is high Tokyo Metropolitan Koishikawa Secondary Education School 佐藤 圭一郎 担当教員名:中山 Keiichiro Sato 友紀 Tomoki Nakayama Abstract We developed the wind tunnel, which can see the flow of air. At first we developed the blade of dragonfly`s wings, which can be efficiently power generation. At the time of low wind velocity, the blade of dragonfly’s wings generated electricity better than the flat blade. In the low Reynolds area, the small blade has a viscous effect. 1. 目的 縦横高さが 80X80X80 ㎝以内のハブダイナモ風車で、発電効率の良いものを作成する。 2. 方法 ・風速 2~7m/s でそれぞれの平均発電量を記録する。 ・6 枚羽根、2mmP.P 板、長さ 35cm、幅 15cm で同面積の 2 種類の羽根で風車を作製し、 発電量を比較する。¹⁾右に作製した各風車の外観を示す。 ・低風速~高風速それぞれの発電効率(Cp)を計算し、グラフ化する。 ・自作風洞で、それぞれの羽根の断面の空気の流れを観察する。 3.結果 上は平板羽根型風車とトンボの羽根型風車の発電量の比較のグラフだ。トンボの羽 根型の方が低風速時において発電出力が高かった。また、高風速時はどちらの羽根も定格出力に達した。 4.考察 高風速時には、2種類とも定格まで発電出力が得られるので、いかにして低風速時に発電出力を高めるかが重 要である。そのため、トンボの羽根型では、NACA 型の羽根の空気の流れになるようにギザギザの加工をした。 その結果、低レイノルズ数域での翼は、乱流を発生させ、剥離点を後退させると高い電力出力を得られると考え られる。 5.結論 自作風洞での観察では、トンボの羽根のギザギザにより、翼上面に大きな乱流が確認 できた。この乱流が揚力を生み出し、回転の元になる。²⁾よって、低風速時では、NACA 型の翼に近い空気の流れをするトンボの羽根型が有効である。 6.参考文献 1)「超小型風車の制作」 三野正洋 著 パワー社 2011 年 2)「流れの科学」 アッシャー・H・シャピロ著 今井功 訳 河出書房新社 7. キーワード 風車 風洞 レイノルズ数 発電効率 生物模倣 SSポスター発表1-4 1981 年 つくば市内の気温の空間分布と周辺環境Ⅲ 茨城県立並木中等教育学校 軽辺 凌太(中 3) 指導:若月 泰孝先生 【はじめに】 本校で行われた SSH 講座で「つくば市内の気温の空間分布と周辺環境」と題した実習が行わ れたことをきっかけに,つくば市内の気温と周辺の環境の関係に興味をもった。本研究は,その講 座を基にした継続研究である。 【研究の目的】 つくば市内の複数の地点における夏期と冬期の気温を継続して測定し,それらの気温と周辺 環境の関係を明らかにすることを目的とした。特に,つくば市にヒートアイランド現象が発生し ているかどうかについて調べた。 【研究の方法】 つくば市内の小中学校 17 校の百葉箱に気温測定用データロガーを設置し、夏期と冬期の気温 を継続して測定した。その後,観測したデータを Excel や Arc GIS を用いてまとめた。 【研究の結果】 日最高気温の等温線図において,春日学園周辺で気温が高くなっている。日最低気温の等温線 図において、春日学園周辺で気温が高くなっている。日較差気温の等温線図において、筑波西 中学校周辺で気温が高くなっている。日平均気温の等温線図において、春日学園周辺で気温が 高くなっている。 図 2,3,4,5 2014 年 1 月 3 日最高、最低、日較差、平均気温等温線図 図 6,7,8,9 2014 年 1 月 5 日最高、最低、日較差、平均気温等温線図 【考察】 1. 春日学園(並木小学校)が他の地点よりも最高気温が高いのは、半径 500m 内の土地利 用の割合の 70%を建物用地が占めているからであると考えられる。また、筑波西中学校が他の 地点よりも最低気温が低いのは、半径 500m 内の土地利用の割合の約 50%を森林で占めている からであると考えられる。 2. ヒートアイランドは,都市部の気温がその周辺の郊外部に比べて高温を示す現象のことを いう。都市部では,生産活動や人口密度が高いことによる排熱が周辺部よりも多く,またコンクリ ートなどによる蓄熱により,周辺部に比べ,高温になる。また,都市部の熱量には,風などによって 運ばれる熱も影響するため,今回は風が弱く晴れた日について,ヒートアイランド現象の有無を 調べた。その結果,冬季はつくば市中心部において,周辺部よりも日最低気温が高く,日較差が小 さく,日平均気温が高い傾向がみられた。よって、つくば市中心部において,ヒートアイランド現 象が起こっていると考えられる。 SSポスター発表1-5 ディンプルにヒントを得て プロペラを考える による風速の差が生じ、吸い込み側と放出側の流れを変 南山中学校男子部 ②以下の式を導き出し、風量 Q(cm3)の計算を行った。 える必要があるかどうかを考えるきっかけとなった。 パターン(1) Q=102πV1+102πV2/3 田渕宏太朗(3 年) . . .吉田恭先生 パターン(2) Q=102πV1−102πV2/3 1.研究の動機 ・V_1(m/s)は、プロペラ中心からx方向に30 cm or ゴルフボールは、ディンプルによって空気がはく離し 50 cm, Z方向に10cm 離れた地点の風速 にくくなることから、圧力抗力が低減されて遠くに飛 ・V_2(m/s)は、プロペラ中心からx方向に30 cm or ぶ。このディンプルの効果を学び、プロペラの加工に 50 cm地点の風速 V(cm/s)よりV_1を引いたもの 応用することで、空気の流れ方に変化を与え、プロペ ・パターン(1)は V>V1 の時の式、パターン(2)は V1>V ラそのものの性能を上げることができるのではないか の時の式 と考えた。すでに市販されているディンプル扇風機の 30 cm 地点では表をヤスリでこすってザラザラにした 主な効果は静音である。この研究を進めることで流れ 50 cm プロペラの風量が 1.42×105 cm3 でもっとも多く、 を理解し、省エネ、静音、冷却効果の増大などに優れ 地点では浅い縦溝を両面に掘ったプロペラが 1.30×105 たプロペラの考案につなげたい。 cm3 でもっとも多かった。70 cm 地点では浅い縦溝を両 2.研究の目的 面に掘ったプロペラと浅い横溝を両面に掘ったプロペ A.風速・風量・効率などの面で、ノーマルのプロペラ ラの風量が 1.08×105 cm3 で最大だった。 を超える。 表・裏・両面にディンプルを掘ったプロペラや、加工を B.プロペラの表面を加工することで、プロペラ表面の 施さないノーマルプロペラと比較しても、上記のプロペ 空気の流れがどう変化をするかを解明する。 ラは、はるかに風量が多かった。 3.研究計画(黒丸数字は、今後の計画) 5.考察 ①ここまでに 35 種類のプロペラを加工。それぞれのプ ①実験の結果から、 プロペラの表面を加工することで、 ロペラの風速を計測し、プロペラから放出される空気の 空気の流れに変化が生じ、風速を大きくしていること 流れの様子と、空気の拡散の様子を撮影して観察した。 がわかった。風速を大きくするためには、ほどほどの ②計測した風速のデータを用いて風量を求める計算式 抵抗が必要だが、抵抗が大きすぎるのは逆効果だとい を導き出し、各プロペラの風量を計算した。 うことが推測できる。 ❸現在、煙法を用いて、プロペラ表面の空気の流れを ②プロペラの風量は、x 地点の風速に加え、z 地点の 可視化する実験を計画中である。この実験によって、 風速が大きく影響することがわかった。これより、プ プロペラの性能を上げるために必要な空気の流れを解 ロペラの風量を上げるためには、プロペラ正面の風の 明したい。 強さだけでなく、風の広がりも考慮しなければいけな ❹出力(風量)だけでなく入力(電力)も計測するこ いということが推測できる。 とで、プロペラの効率を考える。 ❸今後の実験になるので予測になるが、ゴルフボール ❺プロペラの裏(吸い込み側)と表(放出側)の空気 の場合はスピードが上がるほど空気のはく離が遅れて の流れを変える必要があるかどうかを考える。 遠くに飛ぶため、プロペラも空気のはく離を遅らせる 4.研究結果と考察 ことができれば、効率が良くなるのではないか。 ※模型用プロペラの加工は、いずれも彫刻刀を使用して ❹緻密なデータを取ることで、同じエネルギーで効率 手彫りした。 良くプロペラを回す道を探れるのではないか。 ※プロペラの風速は、プロペラの正面(x)から 30 cm、 ❺これまでの実験結果から、表・裏・両面加工で風速 50 cm、70 cm の地点と、それぞれの地点の 10 cm 外 や風量に差が生じていることから、吸い込み側に適し 側(z)で、各 5 回ずつ計測して平均値を求めた。 た加工と放出側に適した加工があることが推測できる。 ①30 cm、50 cm、70 cm 地点とも、浅い縦溝を掘った プロペラと浅い横溝を掘ったプロペラの風速がもっと も大きかった。プロペラによって加工した面(表・裏) SSポスター発表1-6 犬は飼い主の帰宅にどうやって気づくか つくば市立竹園東中学校 発表者:谷垣 1. 澪音(中学 2 年) 担当教員:中谷 敬先生 研究の背景 私は犬が飼い主の帰宅にかなり前から気づいているらしいことに興味を持ち、気づく条件と方法 を電磁波と音が関係するかどうかに注目して調べてきた。以前の研究で、 「帰ってくる時間、方向、 人数による違いはない。犬は 30m離れたところの足音、またはそこで発生した電磁波に反応した のかもしれない。」ということについてわかった。今回は帰宅に気づく時の犬の様子と、電磁波を 遮断すると帰宅に気づけるかどうかについて調べた。 2. 今年度の研究 2.1 実験 1 「普段の帰宅に気づく時の犬の様子を知る。」 ・家に誰もいない外出を利用した。 ・毎回同じ向きからビデオカメラで 1~2 時間程度、録画をした。 ・実験は 5 回行い、実験間隔を 2 日は空けるようにした。 2.2 結果・考察 「外を見る」や「起きる」という行動は、留守中に不規則にとっている。しかし、 「玄関に近寄る」 ・ 「吠える」という行動が帰宅の 1~2 分前に必ずある。つまり、家から約 80m~160m 離れた地点 で帰宅に確実に気づくと考えられる。音に反応していると思われる行動は見られなかった。 2.3 実験 2 「電磁波が帰宅に気づく原因となっているかを調べる。」 ・電磁波を遮るため、犬小屋を金網で囲み上下をアルミホイルで塞いだ。 →犬小屋の中に入れた携帯電話が使えないことで、マイクロ波の遮断を確認した。 ・毎回同じ向きからビデオカメラで 1~2 時間程度、録画をした。 ・金網「有」 ・「無」どちらも 5 回行った。 ・定期的に行うと犬の学習能力が働く可能性があるため、実験間隔を不規則にした。 金網あり 2.4 結果・考察 ④ 金網「有」の時よりも「無」時の方が、 帰宅に早く(平均 13.6 秒前に対し、50.8 3 2 ③ ② ① ⑤ 1 0 (分前) 秒前)気づいたとみられる行動が多かっ た(右図)。このことから犬は、電磁波も 金網なし ⑤ ④ 判断材料として飼い主の帰宅に事前に気 ①③ ② づいていると考えられる。 3 2 1 0 (分前) 図:金網の有無による反応時間の違い (帰宅の何分前に気づくか。○内の数字は実験回数を示す。) SSポスター発表1-7 分子間に働く力と気化の関係性 清真学園中学校 3年 中山 美桜 <研究の背景> 常温の水はお湯やエタノールに比べ気化しにくい、という事が以前行った実験から分かっ た。それで常温の水は固い水素結合により気化しづらいのではないかと考えた。そこで、 低圧下では水素結合はどうなるのだろうかという疑問からこの研究を始めた。 <目的> 低圧下と標準気圧下での気化でどのような違いが出るかを調べ、また分子間力に基づき考 察を立てる。 <研究方法 1> 水 2ml を染み込ませた脱脂綿 2 つをそれぞれ標準気圧下(1013hPa)と低圧下(600hPa)(市販 の減圧タッパーを使用)に置き、5 分ずつ 20 分間重量を測定する。(低圧下なので温度測定 は不可能だった。) 標準気圧下と低圧下での気化 20 20 分間で減った水の量 15 標準気圧下(1013hPa)(1 気圧)・・・0.09g 低圧下(600hPa)(約 0.59 気圧)・・・0.28g となった。低圧下での気化は、標準気圧下に 比べ気化しやすくなった。 時間[min] <研究結果 1> 600hPa 10 1013hPa 5 0 0 1 2 3 液体(⽔)の重量[g] <研究方法 2> 研究 1 の結果 研究 1 では市販の減圧タッパーを使用したためか、600hPa 以上の減圧は出来なかった。 しかし、私は更に減圧し、ほぼ真空状態をつくりたかったため筑波大学の研究室に行って きた。実験の方法はビーカーに水を入れて、減圧ポンプで 0.1hPa まで減圧し溶液の様子を 観察した。 <研究結果 2> 0.1 hPa まで減圧し、少しすると水が沸騰を始めその後しばらくして水が凍った。 <考察> 研究 1 で低圧下が標準気圧下に比べ気化しやすくなったの は、大気の圧力が小さくなり水分子が自由に動きまわるこ とができるようになったからだと考えられる。また、水分 子が常温で固い水素結合をして気化しづらいのは、大気の 圧力による影響だと考えられる。研究 2 で、水が沸騰を始 めたのは、大気の圧力が小さくなり、沸点が下がったから 研究 2 でできた氷 だと考えられる。低圧下では気化するのに多くの熱が必要となり、周りから熱を奪い、ま た水自身の熱をも奪ったために水自身が凍りついてしまったのではないかと考えられる。 SSポスター発表1-8
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