「『解深密経』の三無自性説について」. - ECHO-LAB

Komazawa
Kom
三
1z 三1w 三1 Unlverslty
University
『解 深 密 経 』
無 自性 説 に
の 三
つ
て
い
伊 藤 秀 憲
1 は じ め に 『解 深 密 経 』
rr解 深 密 経 』 に
心 と し
て
お け る玄
無 自性 説 に 関 し て は
三
の
奘 ・流 支 の 縁 起 理 解 に
発表 の 予 定 で あ る が
照表
に
す
して 示
こ
訳者 に
,
とに す る
よ り三
生 無 自性 性 を 中
た か
っ
。
自性 三 無 自性
玄奘 訳
paratantra −lak$apa
parin おpanna −1ak§apa
nibsvabhavata
lakSaりa ・
訳 語 が 異 な るか ら
の
遍 計所 執 相
菩 提 流 支訳 虚妄分別相
依他 起相
kun brtags pahi mtshan
〔他 力〕因縁 椙
円 成実 相
g $an
第 一 義相
su 相 無 自性 性
yohs
無 自体 相
paramartha −ni りsvabhavata
ッ
そ れ を対
,
ト訳
勝 義 無 自性 性
fiid
mtshan
fiid
grub pabi mtshan
fiid
fiid ho
bo 五id
med
無生体相
skye ba 血o bo 五id med
第 一 義 〔諦〕無 〔自〕体 相
生 無 自性 性
盃
チ ベ
gyi dba血 gyi
mthan
utpatti
,
。
lak$arPa
parikalpita ・
−niljsvabhavat
に
改 め て 三 無 自性 説 を 論 じ て み よ う と思 う
,
,
を展 開す る 前 に
,
紙 幅 の 関 係 か ら 十 分 な 資 料 を 掲 載 で きな か
,
ら 本 稿 で は そ れ を 補 う意 味 も含 め て
論
1
『印仏 研 』 23−
と題 し
い て」
つ
,
pa 五id
pa fiid
don dam pa ho bo 五 id med pa fiid
『解
深 密経 』
の 三
無 自性 説 を 論 じ る に 当
と 解 深 密 経 」 (r大 乗 仏 教 思 想
な
い
密経 』 と の 相 違 が 詳
述べ
た が
,
く論 証 さ れ て
い る
次 の よ うで あ る
の よ
5に
に
と は
こ
で
き
r解 深
。
につ い て 一
捉え るか
密解 脱 経
密解脱 経 』 と玄 奘 訳
両訳
の
相 違 は 前 掲拙 論 に
相 違 が 生 じ た 原 因 は ,utpatti −nibsvabhavata
)を ど
samutpada
し
「深
の
根 本 構 造 』 所 収 ) と 題 す る 論文 を 見落 す
−nibsvabhgvata
2 utpatti
, 上 田義 文博 士
て は
, 菩 提 流 支 訳 (以 下 流 支 訳 と 略 す ) r深
こ に は
そ
。
の
っ
あ る と言 え る
の
お い て
理 解 .即 ち 縁 起 (pratltya・
それ ゆ え, まず三 訳を示
。
も
せ ば
。
云 何 諸法 生 無 自性性 , 謂諸 法 依他起 相
何以 故
〔玄
〕
・
(正 &
t 16 694 a )
故 説 名 生 無 自性 性
。
此 由 依 他 縁 力 故 有 。 非 自然 有 。 是
ー ー
7 ニ ,
ニ
。
〔流 〕成 就第 一義
,
何 者諸法無生 体相 ,謂 諸法 無 体 桾
一
何以
。
lllC以 彼 生 法 依 他 力 因 縁ー非 自
,
下 ニ
申
169 − ・
一
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r解深 密経 』 の 三 無 自性 説 に つ
体 相h ,是 故 我 説無 生 体 相 (正 蔵 16 ・670c )
Tib .
〔
〕don darn yai dag hphags chos rnams kyi skye
(19 )
(伊 藤 )
い て
。
ニ ba tho bo fiid
med
pa fiid gafi
$ena / chos rnams kyi g $an gyi dba 血 gi mtshan fiid gah yin paljo// de cibi
ltar
de ni rk
kyis byuh ba yin 9 ヅi/ dbag
phyir se na / bdi
)en 85an gyi stobs ces byabo
勉 4felYiS ni ma 夕in pas debi phyir skye ba ho bo fiid皿 ed pa fiid
//
ed .by E .Lamotte,p .
68 )
(
・
玄 奘訳 に
る外道 の
ノ
お い て は
説 )と
もの で は な い
無 体で あ り
に よ り縁
,
い
っ
生 無 自性 性 と は 依 他 起 相 で あ り
た誤
一 方 流支 訳 で は , 因 縁
。
そ れ が
に よ
無 生 体相 で あ る と し て
重点 が 置 か れ
想 史 研究 』 (p.41 )
て
に お い て
い
る と
, 単
に
言え る
っ
て
い る
,
。
こ
自然 有 (仏 教 の 縁 起 説 を 否 定 す
っ
て
, 縁起
の
概念 を 否 定 す
る
生 じ た 法 は 自体 の 相 で は な い か ら
v
即 ち ,玄
奘訳で
は
自然 有 の 否 定
流支 訳 で
は
縁生
の
玄 奘 訳に
つ
い て
E 田 博士 は
縁生 で あ る
依 他 起 性 は 有 で あ っ て 無 と せ られ る
,
て そ う で あ ろ うか
こ とを
とは な
い
顕わ
法
自体 が 無 い
に は
『仏 教 思
過 ぎない と
して い るに
と 述べ て お ら れ る が
果 し
,
。
本 経 の 玄 奘 訳 に 見
で は
観 念 を 否 定 す る もの で あ
た
生 の 有 で あ る と い う点 が 強 調 さ れ
と い うこ と に
して
っ
,
られ る
よ
うな
・
nibsvabhavata
utpatti
説 明は
の
a )『成 唯 識 論 』 (
b)『顕 揚 聖 教 論 』 に も 見 られ る
あ るが (
,
同 じ玄 奘 訳
,
。
a)
(
依次依 他
無 性 此 如 幻 事− 託 衆縁 生
無 如 妾 執 自然 性 故
仮説 無 性
非 性 全 無−
立 生
F L ・
(正 蔵 31 48a )
一 相 無性 … …二 生 無 性
b)
謂 依 他 起 自性
(
由 此 自性 縁 カ 所 生 非 自然 生 故 (正 蔵 31 ・
557b )
若 爾 何 故 名生 無 性 , 謂 縁 カ所 生, 非 自然 有 故 (正 蔵 31 ・559a )
。
ニ
。
ニ
ニ
ニ
,
,
ニ
J
。
ニ
,
ニ
。
,
。
c )『瑜 伽 師 地 論 』 (
d)r大 乗 阿 毘 達 磨 雑 集 論 』
(
,
様 の 説 明 が 見 られ
る
c)
云 何 生 無 自性 性
(
蔵 30 ・702b )
,
に お い て は
,
ベ
チ
ッ
ト訳 に
も同
。
謂 一 切 行 衆縁 所 生 縁 力 故 有 ,非 自然 有, 是 故説 名 生 無 自性 性
。
(正
pa gah Se na /hdi
lta ste/hdu
byed rnams
ni rten cih hbrel
ba
rkyen
ba
yin palji
phyir gyi(
s )stobs kyis skye yin gyi /rah Ini skye
par fpbyih
−e
ba
fio
bo
fiid
med
ces
byaho
ba ni skye
// (北 京 No .5539 翠i 18a2 )
skye
ba ho bo fiid
med
,
屯生 無 自性 性故
及 勝 義無 自性 性 故
(正 蔵 30 ・705a )
,
,
依 他起 自性 睇無 自性, 非 自然 有 性故
、
非清浄 所
縁 性 故
五id med pa fiid dah /don dam pa 血o bo fiid med pa fiid kyis
de la skye ba ho bo med pa yin te/ rah mi skye
ba fiid
kyi
ni g $an gyi dba血 gi 血o bo fiid fio bo fiid
−
phyir dah / rnam par dag pahi dmigs pa fiid ma yin pabi phyir ro //
(耳i 24a5 6)
d)
(
依 他 起 自性 待 衆 縁 故 , 非 自然 生 ,無 自然 生 性 故 名 生 無 性 生 無 性 故 名 為 無性
(正蔵
。
。
,
31 。752a )
g $an gyi dbah ni rkyen
la bltos
pa13i
phyir bdag fiid
kyis
hbyuh ba med
一
pa
te/
$
168 一
一
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(20)
『解 深密 経 』 の 三 無 自性 説 に
bdis ni raft gi byuh ba med pas na skye
−
med paho/ (北 京 No .5555 Si 307al 2)
つ
(伊 藤 )
て
い
balji ho bo fiid med
pas debi ho bo hid
,
Sthiramati
安慧 (
)の
また
同様 の 説 明が な され て
説 明を な して
る
い
を特 微 づ け る もの
そ
の
こ
こ
こ で
の
チ
,
とを
ベ
の で
で
あり
表わ
,
して
よ
よ
し
い こ
っ
て
ベ
それ
る
,我
る
あろ う
て い
即 ち 玄 奘訳
,
先に あげ た
また
。
説 明が な され
の
安慧 が 玄 奘 訳 と 同様
の
る と い う こ とは
『解
深 密経 』 中 の
は
。
々
存在 す
る もの の
, そ れ 自体 と
とは
こ
イ タ リ
しては
部 分を 訳せ ば 次
ク の
ッ
「そ れ
あ りえ な
い か
縁生 と い う こ とで あ
(svatas ) 有 る と
し て
それ ゆえ
。
自体 と
で
とは 理 解 さ れ る で あ ろ う
が
依 他 起相 を 有 と し て 捉 え る
は
自性 を 認 め る
と
こ
,
即 ち無
自性
こ
とを
し も有 の み を
表わ
で
ある
の
あ り
縁起 が 必 ず
の は
rr成 唯 識 論 』 の 理 解 を 背 景 に
。
か ら」
(
袴 谷 憲昭
。
rMS .に 対 す る
『成 唯 識 論 』
次
に は
,
Asvabhava 註釈 の 特徴 」 r印仏 研 』
の よ
うに 説 か れ
て い
る
。
・
依 他 起 性有 実 有ノ
仮,聚生
相 続 ・分位 性 故 説為 仮 有 心 心 所 色 従縁 生故 為 実 有
V ー ,
31 ・47c )
認め
あ りえ な い 」 と 言 わ れ る
こ と
,
こ
ら… …
り, そ の こ とは
うこ と
い
して は
実 体性 を 否 定 す る
縁 生 で あ る か ら 無 自性 な の
19− 1 所 収 P ・440) で あ ろ う
,
。
ト訳
ッ
そ
見 られ る 特 殊 な 説
み
の
る と言 え る で
い
含 む 多 くの 論 に 同様
生 じ る とい う
ら否 定 さ れ る
い
とを 示 して
て 生 じて は い るが
っ
玄 奘訳 を 読 む
して
な
あ る が , そ れ 自体 と
す もの で は な い
しか
で は
玄 奘訳 に
,
,
。
力に
られ る
か
とい うこ とは
裏 付 け る も の と言 え
力に
の
の
な る
思 想 で あ っ た と言 わ れ て お り
た
先 に 引用 した チ
他の 縁
に
っ
ト訳 を
ッ
よ うで あ る
他の 縁
。
by S .16vi ,
p .
41 )
/ (ed .
安 慧 と玄 奘 と は 異 な
うに
よ うに
の
ayen6tpa
よ
も次
−
paratantrasvabh 巨vah /na svaya
punar iti
甲 bh 盃va etasya m δy 盃vat parapraty
’
亡亡eh / ata ≦i ca yath盃 prakhy 盈ti 亡athasy δtpa亡tir nastlti a 亡o sya u 亡patti−niIPsva ・
aparah
bhavat6ty ucyate
の
る
い
−bhaSya (TVB ) に
TrirpSikavijfiapti
レ
ニ
γ
(正 蔵
。
=
二
依次 依 他 立 生 無 性 ,此 如幻 事 託 衆縁 生 無 如 妄執 自然 性 故 , 仮 説 無 性 非 性 全無 ’ (48
− T − k − L
。
ニ
ニ:
=
,
ニ
ニ
。
ニ
a )
下線 の 部分 に よ
縁起 と い
っ
うの は
て
,
依 他起相 を 有 と考 え る の
で は い
無 自性 ・空 と し て 有 る
味が 同 時
に
含 まれ
あろ う
。
他 に 縁 っ て 生 じ て い る とい う こ とで あ る か ら, そ
れ ぽ 有 と い う意 味 を 含 ん
して ,
で
て い る の で
るが
の で
それは
,
ある
あるか ら
一
こ の
。
よ
して
有る
の で は
点 か らす
な く
,
うに , 縁起 と い う語 に は 二
あ え て 両 訳 を異 な
,
実体 と
の
っ
た
縁生 と
つ
の
意
もの と し て読 む必
167一
一
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三
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『解深 密経 』
あ り, 異 な
要は な
い
相宗
伝 統 的解釈
の
の で
一
を説 く
。
な
う意 昧
とい
い
る と い う意 味 で
の は
にっ い て 一
衰vata
ま一
つ
ば
玄 奘訳 は
ある
るの で
勝 義 で は な い と い う意味 と 勝 義 で あ る と い う意 味 と
か れ る
の で
自体相 で あ
, ど ち ら も第 一
あ る が , 流支 訳
で は
る と説 か
−iつ は
れる
。
る か ら第 一
も う一
あ り
の で
,
つ
は
それ ゆえ
,
部分を示
こ の
ば次
せ
〔玄〕云 何 諸 法 勝 義 無 自性 性
それ
,
,
無 自性性
何以 故
。
,
種
。
二
勝 義 無 自性 性
の
境界 で は な い .勝 義で は
の
は
っ
玄 奘訳 で は
。
,二 種
の
義相 で あ
。
り
れ は 第 一 義で あ
こ
、
玄 奘 訳 も流 支 訳 も , 後者 の 意 味 で
の
内容は 同 じで あ り. 両 訳
の
よ
うで あ る
こ と
(無 生
一
あるか ら 第
義 諦 無 自休 相 と
清浄 観 で
あ る
の で
,
そ れ が 第一 義 諦 無
,
生 じた 法 の 無 体 で あ る
て
よ うに
こ の
,
勝 義 無 自性 性 が 説
の
て
っ
諸法 の 無我 は 無 自体 で あ
義 諦 無 自体 相 と 説 か れ る
paramartha −nibsvabhavata
の
因縁 に よ
,
体相)が 第一 義相 を 意 味 して お り
言われ る
『成 唯 識 論 』 等 に よ る 法
,
円 成実 相 で あ る 一 切諸 法 の 法 無 我 性 は 勝 義 で あ
,
勝 義 無 自性 性 と 説 か れ
,
(21)
(伊 藤 )
て
い
自性 性 即 ち 依 他起相 は 清 浄所 縁
い
で
つ
もの と して 読 み 取 る
−nibsvabh
は ,生無
つ
無 自性 説 に
影 響 を 受 け て 依 他 起 相 を 理 解 す る か らで あ る
の
3 paramartha
た
っ
の 三
の
相違 は 前者
に
ある
。
。
i
謂 諸 法 由生無 自性 性故 , 説 名無 自性 性, 即 縁 生 法 亦 名勝 義
諸法 中 若 是 清 浄所 縁境 界 我 顕 一示 彼 以 為 勝 義 無 自性 性
依
,
於
,
,
。
他 起 相非 是 清浄 所 縁 覧 界 是 故 亦 説 名 為勝 義無 自性 性 (694a )
一
一
一 切 諸 法本 無 生
一
体 是 故我 説 切 諸 法 無 自 体 相
〔流 〕成 就 第 義 第 義 無 体相 者
一
一
以 彼 依 於 因 縁 生k 故 以 依 第 義 無 体相 故 何 以 故 成 就 第 義 於諸 法 中 清浄観
。
。
,
,
,
ニ ニ ,
。
t
レ ニ 彼是第一義相
相我説
,
,
,
ニ
成就 第 一・
義 , 以他 力 相 中 清浄観 故
。
相 (670c )
〕 don dam yah dag 尊phags chos
〔Tib .
,
是故 我 説 第一 義諦 無 自体
。
pa ho bo fiid med pa fiid
par 尊byu 血 ba尊i chos gah dag skye ba ho bo fiid
med
gah Se na / rten cin bbrel
med
pa fiid kyis ho bo iid med pa de dag ni don dam pahi ho bo fiid
pa fiid
kyis 血o bo fiid med pa りah yin no // de cihi phyir $e na /don dah yah dag
hphagschos
rnams
la rnam
rnams
kyi don dam
par dag pabi dlnigs pa gah yin pa de ni has don
血id de ni rnam
dam pa yin par yohs su bstan Ia/g $an gyi dbah gi mtshan
i
par dag pa り dmigs pa ma yin pas dehi phyir don dam pabi ho lx) fiid med
pa 五id ces byaho // (p .68)
こ の
相 違 は utpatti −nibsvabhavata
無 生体相 と 言っ
相 を表 わ し て
て
も
,
い る の で
か らの
玄 奘訳
の
あ り
それ
E田
は
い
る か らで あ る
で
あ り空 は 諸 法 実 相 の 異 名 に す ぎ な
。
こ の
点を
,
よ うに
相 違 に 起因 し て
依他 起 相 を意 味す る もの
縁起 を 第 一 義 の 立 場
博士 は
「こ れ は
,
い とい
よ り
,
。
流
無 自性
う思 想 を 真 直 ぐに 受 け て
て い
る
。
支訳 に
で は な
竜樹 に お け る 縁生
る 」 (r大 乗 仏 教 思想 の 根 本 構 造 』 P .199) と 指 摘 され
一
い る
こ の こ
の
く
,
・
お
い
て
第一 義
空 とみ
て
無 自性 が 空
い る
もの
で
あ
と は 他 の 箇所 に
166 一
一
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(22 )
『解 深 密 経 』
も見 られ る
お い て
〔
玄 〕我 為彼 故
無 自性 説 に
の 三
つ
(伊 藤 )
い て
。
依 生 無 自性 性 宣 一説 諸 法 (694c )
,
,
ゾ レ ニ ニ
。
ニ 彼 説 諸 法 不 生 Q (671b )
〔流 〕我 為ノ
〕 de dag la ni ha sfeye ba カo bo
〔Tib .
挧
4 med
励 41as
Pa
brtsams nas
stoll te
/
chos
71)
(P .
〔玄 〕若 即 分 別 所 行 遍 計 所 執 相 所 依 行相 是 名 依 他 起 相一 世 尊 依 此 ,施 一設 諸 法 生 無 自性 性 .
及 一 分 勝 義 無 自性 性 (696b )
。
,
二 ,
レ〆 二
。
〔流 〕世 尊
彼 分 別境 界
依 彼分別境界行相
是他力相 是故 如来
一
不 生 諸 法 無 体,亦 依 彼法 , 説第 i義言 無 体 相 (673a )
,
,
,
。
,
依 於 彼法
而 説 諸法
,
。
Tib .
kyi 〔
〕 rnam par rtog pa りi spyod yul kun brtags pabi mtshan fiid
gnas bdu byed
kyi mtshan ma gah lags pa de ni g 爭an gyi dbah gi mtshan fiid lags te/de la
ldan hdas
chos rnams
kyi sleye ba ho bo ftid
ma mchis brten nas bcom pa fiid
dah /don dam pa ho bo fiid ma mchis pa de fiid Ias gcig kyafi 尊dogs par mdzad
lags so // (P .81)
「生 無
玄奘 訳 の
Pa fiid
”
とな
に
生な
あ り
て
こ
,
こ の
,
ト訳
ッ
“
の
s勿 ε
い
ba ho bo fiid med
「諸法 不
生」 或は
出 され る の は
『中論 』
r中論 』 で 説
れは
よ うな
『成 唯 識 論 述 記 』 で は
く と こ ろ と一 致 す る
説 と て も決 し て 法 相 宗 に
て
(or ma
「諸 法 不
八不
の
生 じた 法 は 実体 が な い か ら 無体 (無 自性 )で あ り
っ
しか し
チ ベ
不 生 と い う語 で 思
。
因縁 に よ
の で
,
対 応 す る 箇 所 が , 流 支訳 で は
て い る
っ
自性 性 」
,
の
mchis
)
生諸法 無体 」
偈で ある が
,
無 体 で あ る か ら不
。
説か れ なか
っ
た もの で は な
い
。
,
… … 即縁 生法 亦 名 勝 義無 自性 性 於 諸 法 中若
是清 浄 所 縁境 ,我 顕 彼 為 勝 義 無性− 依 他 起
相 亦 是 清 浄所 縁境 界 故 亦 説為 勝 義 無 性へ 無 漏後 得 真智 名V 勝 ,亦 縁 此 依 他 為境 故 此 依
,
ニ
。
ニ ,
他 亦 名 清 浄所 縁
と して お り
あ る か ら清
が
,
,
。
第一 義 相 で あ
勝 之 義故
。
,
こ
,
ニ ゾ
(正 蔵 43
・554c − 555 a )
後 得 真 智 と い うag−一義
あ り
,
,
ある
の で
。
の
立 場 よ り見 られ て
流 支訳 に お い
り 清 浄 で あ る と され る の は ,
見 られ る と い うこ と は
こ こ に
て
い
る
の で
因縁相 は 雑 染 で あ る
縁起 を 無 自性 ・空 と い う第 一 義 の
引用
した よ
うな 理 解 が 法相 宗 に お
流 支 訳 の よ うな 理 解 を 決 し て し な か
っ
た
の で
は な
い
とを 示 す も の で あ る と 言 え よ う
。
4 譬 喩 に
れ る
に
ご
る と言わ れ る の で
立 場 か ら見 た 場 合 に 言 わ れ る
い て
。
依 他起 の 法 も
浄で あ
レ ニ
。
する
する
つ
いて
こ こ に お い て
。
経 は
無 自性 の 説 明 の 後
三
も両 訳 は 相違 し
経 文 は 次 の よ うで あ り
,
て い るか
チ ベ
ッ
ら
ト訳 の
,
,
そ
三
つ
の
点に
の
譬 喩を 用 い
つ
い て
触れ
て
更に 説 か
て お
くこ と
内容 は 玄 奘 訳 に 一 致 す る か ら省 略
。
一
165 一
一
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Komazawa
Kom
三
1z 三1w 三1 Umversrty
University
r解 深 密 経 』 の
i )〔玄 〕善男 子
,
無 自性 説
三
譬如 空 花 相無 自性 性当知 亦 爾
ニ
一
〔流〕成 就 第 義
。
v
(23 )
(伊 藤 )
に つ い て
一切 諸法
如 空 中華 無 自体 相 ,
是 故我説一切諸
無 自体 相 亦 復 如 是
法 無 自体 相 法 応 如 是 応 知
レ ノ
ii)〔
玄 〕譬 如幻 像一生無 自性 性 当知 亦 爾 一 分勝 義 無 自性 性 当知 亦 爾
5 一
〔流〕成就 第 義 譬 如 幻 一作種 種 色像− , 諸 因 縁 法 無 自体 相 亦 復 如 是 是 故 我 説 一 切 諸
一
一
是 故 我 説 第 一 義諦 無 自
法 無 自体 相一 成 就 第 義 第 義 諦 無 自体 相 亦 復 如 是
一
体
桓
。
ニ
レt
。
。
。
〆
二
ン
,
。
ヨ
ニ
ノ
。
,
ニ
,
〆 =
・
)〔玄 〕譬 如 虚 牢 惟 是衆 色 無 性 所 顕 遍 一 切 処 , 一 分勝 義無 自性 性 当 知 亦爾
iii
レ
一
−
所顕 故 遍 切 故 o (694a b )
ニ
法無我性 之
。
ニ
,
流 〕成 就 第
〔
− 671a
i) に 関 し て
よ
る
て
っ
は
一 義 ,如 空 中 華 色
体 相ー得 !
名 如 是 第 一 義 諦 無 自体相 亦復 如 是 (670c
ー 無
v
)
,
ニ
う意味
生 無 自性 性 を 説 き
の
種
二
,
語 が 適確 に 示
の
の
,
玄奘訳 で
あ
iii
)で は
っ
そ し
て
同 じ 空 中華 の 喩 と な
ろ う
。
,
っ
。
流 支訳
て
て い
の
喩を用
る
。
て
い
こ こ で
,
い
は
譬喩
の
な
の で
ある
以 上
の よ
の
で
あ り
は ,玄奘
い か
の
喩 を用
の 二
5 ,
うに
,
あ る と し て
で
い
う意 味 と勝 義 で あ る と い
r− 一分 」
点を
こ の
,
因 縁 法 無 自体 相 」 と は
「諸
い る
て
っ
るが
よ
自体 相 で あ り
く表 わ し て
流 支訳 は
,
,
と
い
う
utpatti
−
い
第 一 義諦 無
,
る
。
i)の 無 自体 相 の 場 合 と
喩 と 見 る べ きで あ
の
虚妄 分別 相 で あ る 我 も当然 自体 が な い と い
い
こ の
喩 は 意味 し て
る と い う意 味 で
) と 名 づ け られ る
こ
れ らの 譬 喩 は
こ
,
。
,
い る
。
存在 す る も
一 切法無 自
体相
の
(こ れ
そ し て そ れ が 第 一 義 諦 無 自体 相
れ ま で 論 じ て きた
両 訳 の 特 徴 を そ れ ぞ れ よ く表 わ し て
訳の 方が
の
,
の で
い る の は
つ
幻像 の 喩 に
は
。
と考 え る
な
もこ
実 体 が な く無 体 相 に よ
部 分に は 欠 け て
玄 奘訳
,
も空 中 華 は 虚 妄 分別 相
う こ と , す な わ ち 諸 法 無 我 とい う こ と を
,
ある が
そ れ が 一 切諸 法 無
,
空 中 華 に は 実 体 が な い よ うに
(色 ) は
て
は な い とい
の で
の
・
,
勝 義 無 自性 性 」
の
譬喩 の 部 分 も流 支 訳 の 特 徴 を
玄 奘 訳 は 虚空
,
勝義 で
,
却
引 用 した 部 分 (p .169) に あ る 「彼 生 法 他 力 因 縁 非 自体
こ ろで
と
。
の で
は
ii)に
,
勝 義 無 自性 性 が 説 か れ る
相 」 と い う こ とで あ ろ う
自体相 な
〆
「一 分
そ れ が また
,
し て い る と言え る
nihsvabhavata
。
レ
両 訳 の 相 違 は 見 られ な い が
先 に 述 べ た よ うに
。
ニ
,
そ の 当時 の
ある
。
玄 奘訳
の み に
以上 の
こ
無 白性 を 説 くの
,
とか ら
,
一
ある
,
に
,
に
譬喩の 用
一
よ り 般的な用
見 られ る も の で は な く
て い る か らで
と と 密接 な 関 係
る と 言 え る が
無 自性 を 説 く場 合 の
三
な ぜ な らば , 三
譬 喩 が 用 い られ
お わ りに 一
,
い
こ
い
ある
い
方
方では
空 花 ・幻 像 ・虚 空
安慧の
TVB
(p .41)
に
。
両 訳 の 相違 は 縁起 を ど の
よ うに
捉 え るか に
164一
一
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Komazawa
Kom
三
1z 三1w 三1 Umversrty
University
(24)
『解 深 密 経 』 の
あ り
よる
もの
と
無 自性 ・空
,
で
と
い
う意
た もの と して
っ
よ う と す る か らで あ る
に お い て
味 とが 含 ま れ
で
あ る
こ
ら考 え る
が
で
註)
た もの と して
の は
また
。
る とい
言え
喩は
られ 方
に
決 し て 玄 奘訳
,
の
っ
て
も
。
,
る
っ
て
還元 に
際
して
の
伝 統 的解 釈 に
よ
。
,
。
我
っ
て
,
が
々
,
それ は縁起
,
の
理解
安 慧 の TVB
に
見 られ る も の
で は
な
い
の
或 は 譬喩 , ま た チ
,
ベ
ト訳 の
ッ
ベ
方がむ
ッ
つ
相違に よ
っ
原点 に 忠実 で あ る よ り も
こ
。
れ らの
の
て
とか
こ
あ る
で
もつ 直 訳 的 で あ
原典 に 忠実 で あ る
,
彼 の 思想 を 含
と
ん だ
(1g74 .g .16)
,
っ
じる の で あ る
一
こ
竜 樹 以 来 の 縁 起 は 無 自性 ・空 で あ る と い う
い て
誤 りを 生
こ
も見 られ る も の
ト訳 の
しろ
玄
理解 し
」(『印仏 研 』 21− 1 所収 ) も 同 じ 観 点 か ら論 じ た もの
サ ソ ス ク リ ヅ
う語 を 我 々 が 伝 統 的 解 釈 に よ
て 理 解す る か ら
(註 )拙 論 「本 質 の 原 語 に
の
,
流支訳 は
意訳 が な さ れ た もの と思 わ れ
へ
の み に
玄奘 訳 チ
め に
あ
る か ら 有 る と い う意味
無 自性 ・空 と い う点 を 強 調 し て 訳 し た も
思 想 を よ り 明確 に 伝 え ん が た
本 質 とい
い
無 自性 が 譬 喩 を も っ て 説 明 さ れ て お り . そ
の
う性格 か ら言
,
玄 奘 訳 を 法 相宗
あ っ て , 空 花 ・幻 像 ・虚 空
い
る の で は な か ろ うか
,
三
,
玄 奘訳 に 見 られ る 三 無 自性 説
,
て (
伊藤)
読 む 必要 は な い で あ ろ う
が
用
流支 訳は 縁起
,
い
つ
とい う こ と が 理 解 さ れ る な ら ば
る
の
とか らも
に
見る
っ
て い る
相違 が あ
も譬喩
生 じた も の
に
縁 起 と い う語 に は , 他 に 縁 っ て 生 じ て
,
奘 訳 と流 支 訳 と を あ え て 異 な
れを異な
無 自性説
三
,
で
ト
。
163 一
一
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