福井県LNGインフラ整備研究会について 福井県総合政策部長 東村健治 平成26年11月 1. はじめに ~エネルギー立県の歴史~ 1 福井県における原子力の歴史 ○昭和45年 日本原電 敦賀1号機 運転開始 ○昭和47年 原子力対策室の設置(全国で初の原子力技術職員の採用) ○昭和54年 新型転換炉「ふげん」運転開始(MOX燃料の利用で世界最多の実績) ○平成 5年 関西電力 大飯4号機 運転開始(国内最多の商業炉13基体制) ○平成 6年 高速増殖炉「もんじゅ」初臨界 ○平成10年 若狭湾エネルギー研究センターの開設 ○平成15年 ふげんの廃止措置開始(廃止措置に必要な技術・開発を実施) ○平成16年 福井県原子力安全専門委員会の設置 ○平成17年 エネルギー研究開発拠点化計画の策定 ○平成25年 IAEAと人材育成に関する覚書締結 全国の自治体で初となる「新電源・廃炉対策室」の設置 IAEAとの覚書締結(H25.10) 2 原子力発電の状況 県内原発の発電量推移 (独)日本原子力研究開発機構 高速増殖炉もんじゅ 28万kw〔停止中〕 日本原子力発電㈱敦賀発電所 1号機 35万kw〔定検中〕 2号機 116万kw〔定検中〕 関西電力㈱美浜発電所 1号機 2号機 3号機 34万kw〔定検中〕 50万kw〔定検中〕 82万kw〔定検中〕 関西電力㈱大飯発電所 1号機 2号機 3号機 4号機 関西の電気の50%以上を供給 (24年度は11%) 117万kw〔定検中〕 117万kw〔定検中〕 118万kw〔定検中〕 118万kw〔定検中〕 関西電力㈱高浜発電所 1号機 2号機 3号機 4号機 82万kw〔定検中〕 82万kw〔定検中〕 87万kw〔定検中〕 87万kw〔定検中〕 3 2-1. LNGインフラ検討の背景 4 国土強靱化のため「日本海国土軸」を形成 ○アジアに面した日本海側の国土軸形成が、強靭な国土づくりのカギ ○太平洋側と日本海側の2つの国土軸(複軸化)を形成 ナホトカ 北京 天津 大連 ソウル 青島 太平洋国土軸 日本海国土軸 【 主軸】 アジア沿海部 ウラジオストク 釜山 5 日本海側にLNG受入基地を整備 ○LNG産出国は世界中に分布 ⇒ エネルギー安全保障の観点から活用が重要 ○日本海側は、世界有数のLNG産出国・ロシアと正対、受入基地として適地 北海道LNG・石狩LNG基地 日本海エルエヌジー・新潟基地 INPEX・直江津LNG基地 JX日鉱日石・八戸LNGターミナル (建設中) 堺エルエヌジー・堺LNGセンター 大阪ガス・泉北製造所 仙台市・港工場 関西電力・姫路LNG管理所 大阪ガス・姫路製造所 JAPEX・相馬LNG基地 (計画中) 水島エルエヌジー・水島基地 東京ガス・日立LNG基地 (建設中) 広島ガス・廿日市工場 東京ガス・根岸工場 東京ガス・扇島工場 北九州エルエヌジー・戸畑工場 東京ガス・袖ヶ浦工場 ひびきエルエヌジー・ひびきLNG基地 (建設中) 清水エルエヌジー・袖師基地 西部ガス・福北工場 知多LNG共同基地 知多エルエヌジー・知多LNG事業所 東邦ガス・知多緑浜工場 西部ガス・長崎工場 大分エルエヌジー・大分LNG基地 日本ガス・鹿児島工場 坂出エルエヌジー・坂出基地 中部電力・四日市LNGセンター 東邦ガス・四日市工場 6 国家的な広域ガスパイプライン網を整備 ○ガス事業者による経営合理性の観点からパイプライン構築 ⇒ バックアップ用ライン整備進まず ○今後、太平洋側のバックアップを目的とする国家的なパイプライン整備計画の構想が必要 既設ガスパイプライン ガス事業者が工事中・計画中の ガスパイプライン 富山ライン 28年度開通予定 長岡 国として検討すべき構想 小名浜 日立 桶川 鹿島 彦根 姫路 北九州 浜松 三重・滋賀ライン 26年開通 7 日本海側の拠点として本県にLNGインフラを整備 ○関西・中京へのバックアップ機能をもつ本県の敦賀港にLNGインフラを整備 ○原発の送電線を活用し、LNG火力発電などのエネルギー供給源を多角化 パイプライン・ミッシングリンク 敦賀~滋賀県多賀間 約75km LNGインフラの8割以上が太平洋側に集中 施設の種別 [凡例] :原子力発電所 :火力発電所 :変電所 :開閉所 :変換所 :送電線 (275kV以上) :他社連携点 :パイプライン :LNG基地 集中度 うち関東 石油精製 約79% 約38% 石油タンク 約60% 約26% LNG基地 約86% 約41% LNG火力発電 約84% 約44% 石炭火力発電 約39% 約5% 石油火力発電 約60% 約27% (資源エネルギー庁) 8 2-2. 敦賀港の状況 9 日本海側で関西・中京に最も近い敦賀港 ○敦賀港は古来、大陸への玄関口 ○関西・中京に近接 ○取扱貨物量が急増。中国航路も開設 敦賀港を関西・中京の港に 敦賀港の定期航路 【内貿】 ・カーフェリー ・RORO船 【外貿】 ・コンテナ船 ・RORO船 敦賀~苫小牧(直行) 敦賀~苫小牧(新潟・秋田経由) 敦賀~苫小牧(直行) 週7便 週1便 週6便 敦賀~釜山 敦賀~中国・韓国 敦賀~韓国 週2便 週1便 週2便 過去最高 10 日本海航路の中継地として期待される敦賀港 上海、寧波 ○釜山と北米を結ぶ航路の7~8割は、日本海を通航 ○日本海航路を活用し、太平洋側に6割集中する貨物を分散 内貿航路 韓国航路 韓国・中国航路 光陽 敦賀港 釜山港 蔚山 韓国 新潟港 秋田港 港湾貨物の6割が太平洋側に集中 北米・ 中米 北極海 苫小牧港 中国東北部 極東ロシア 国交省 港湾統計(2009) サハリン 11 敦賀港の主要施設 敦賀ICから約7分 高速道路 国道8号 石炭火力発電所 臨港道路 バルク ヤード 水深 -12m 水深 -14m コンテナ ヤード 水深 -10m 港内 水深 -15m~ 国際コンテナ 内航フェリー 内航RORO 国際RORO 敦賀港の整備計画 産業 団地 2期計画 鞠山南岸壁の延伸 桟橋整備 岸壁耐震補強 フェリーターミナル整備 2-3. LNGインフラ整備研究会の 検討状況 14 LNGインフラ整備の検討の経過① 電源立地地域の立場から、多角化によるエネルギー供給の安定化を提言 第1回LNG産消会議において、「エネルギーの道」(広域ガスパイプライン網)整備を提言 総合資源エネルギー調査会の委員として、新たなエネルギー基本計画の策定に関与。天然ガスの 需要拡大に備え、国内における受入・流通体制の強化を提言 LNGの国際会議でトップセールス( H24.9) 露ガスプロム社の副社長と会談(H25.4) 15 LNGインフラ整備の検討の経過② 本県へのLNGインフラ整備に向け、福井県LNGインフラ整備研究会を設置 ○世界や日本のエネルギー情勢、天然ガス情勢 ○ガスパイプライン整備の現状と今後の方向 ○LNG基地、火力発電所の立地条件および地元への波及効果 ○LNGの効果的活用方策(冷熱利用、関連産業の誘致、県内企業との連携) 等を検討 第1回研究会(H25.2) ・国内外のエネルギー情勢等の研究 第2回研究会(H25.6) ・受入基地、火力発電所、パイプラインなど、LNGインフラの 事例研究 敦賀港の評価 ・風速10m/s未満が98.7% ・波浪1.5m以下が99.9% ⇒ 稼働率99%を達成できる可能性あり 第3回研究会(H25.12) ・LNG関連産業、受入港等の事例研究 ・敦賀港を受入港として具体的な検討を進めることを合意 第4回研究会(H26.7) ・LNGインフラ整備に関する検討結果の報告等 ・国内初となるリガス船等を活用したフローティング基地の 導入可能性と課題の検討を進めることを合意 フローティング基地検討WGの設置(H26.8) ・供給安定性や安全性の検証 ・整備費およびランニング経費の試算 ・適用法規等の整理 等を実施 16 世界における洋上LNG受入施設の普及 ●世界的なLNGの需給の増加、供給地・需要地が拡大する中、LNGを洋上で受入、貯蔵・再気化して 陸上へ送る洋上LNG受入施設が急増 商船三井 Hoegh LNG社 左が洋上LNG受入施設、右がLNG運搬船 洋上LNG受入施設導入状況 ・導入済み 10基以上 ・建設中 10基程度 ・計画中 30基程度 JOG MEC資料 SEVAN marine 貯蔵の他、発電機能を有する洋上LNG受入施設 ●洋上LNG受入施設は、導入コストが低い他、①短期間で導入可能、②移動・転用が容易等のメリットが あり、LNG需給環境への変化に即応可能であることから、我が国においても導入ニーズが拡大 国土交通省作成資料から抜粋 17 国土交通省における洋上LNG受入施設の検討 LNG需要の増加とともに国内ニーズが高まっている洋上LNG受入施設に係る調査、 安全基準の整備等を実施 エネルギー輸送ルートの多様化への対応に関する検討会 設置(H26.4) ・北米からパナマ運河を経由したシェールガス輸送、北極海航路、豪州からの駅か水素輸送等、 エネルギー輸送ルートの多様化に対応した安定的な輸送の確保の検討のため設置 平成27年度概算要求において洋上LNG受入施設の検討予算を要求 (検討事項) ・設置海域、係留方法に応じた安全評価基準の確立 ・津波等の緊急時対応指針の策定 ・長期メンテナンス、検査手法の策定 平成27年度に安全評価基準等の策定 平成28年度に事業化ガイダンスの策定 を計画 18 法令等の適用関係の整理 国内における洋上LNG施設の導入事例はなく、適用法令等の整理が必要 ○設置海域に応じた占用許可 ・港湾法、海岸法、国有財産法 ○施設の要件 ・船舶安全法(船体、機関、設備等に関する要件) ・港湾施設に関する技術上の基準(係留施設、荷揚げ施設) ・高圧ガス保安法(高圧ガスパイプライン) ・その他、建築基準法、消防法(危険物貯蔵の技術基準)、ガス事業法(ガス工作物の技術基準) ○防災や入港等に係る要件 ・港則法(工事の許可、係留施設への係留制限、荷役の港長許可) ・水路業務法(水路測量等の際の海保長官の許可等) ・航路標識法(灯火、電波標識等) ・その他、石油コンビナート等災害防止法、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 等 等 ※洋上LNG受入施設の扱い次第で適用が変わるもの ・国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(保安措置) ・船舶職員及び小型船舶操縦者法(乗組員基準の適用可否) ・その他、船員法(乗組員の定員等)、船舶法・関税法 等 ○その他 ・環境影響評価法 19 エネルギー成長戦略特区の提案(平成26年4月) 福井を世界と競争する最先端エネルギー技術の戦略拠点に ○最先端のLNG・水素エネルギー活用都市を日本海側に整備 ○世界レベルの原子力の技術力・人材力を育成 ・廃炉技術など原子力の研究拠点を整備 ・IAEAと連携した国際的な人材育成の拠点を形成 ◇実現に向けた各主体の役割 <県> <国> <民間> 民間の活動環境を整備 エネルギー戦略の推進 エネルギー新産業を創出 ・民間企業等が行う研究開発やインフラ 整備を後押し ・エネルギー新産業の創業に対する支援、 産業団地の整備 ・国際的な人材育成のフィールドを提供 ・研究開発やインフラ整備を円滑にする 規制緩和、財政支援を実施 ・パイプラインや高速交通網などの全国 的ネットワークを国家的事業として整備 ・廃炉技術などの研究拠点の福井県への 整備を促進 ・エネルギー分野の研究開発の強化 ・LNGや水素のインフラの整備 ・原子力技術、LNG・水素を活用した 新産業創出 ・研修生の受入れや指導に協力 20 エネルギー成長戦略特区の提案 国家戦略特区の指定による規制緩和等により ○地域におけるLNG・水素の高度利用、エネルギー産業の集積によるガス需要の拡大 ○自由貿易地域の導入と加工貿易の拠点化による地域経済への波及効果の拡大 を実現 ○LNG・水素の高度利用 ○自由貿易地域導入による加工貿易の拠点化 ロシア、韓国まで1000km以内 LNG、農産物等 加工貿易 燃料電池自動車、燃料電池バス スマートメーター、燃料電池・LNGボンベ、 燃料電池車、燃料電池バスの普及 燃料電池車向けの炭素 繊維製タンクの開発 敦賀港 ○エネルギー産業の集積 中京 関西 電気に加え、LNG冷熱や温排水、CO₂も利用 するICT管理の大規模植物工場や陸上養殖等 (トリジェネレーションの導入) LNG冷熱を利用した食品加工、冷凍倉庫 放射線を利用した半導体製造等 エネルギープラント製造工場等の誘致 関西、中京まで約100km 北米航路や北極海航路の日本海側通航を拡大し、 敦賀港を活用 LNGや農産物等を輸入し、高付加価値製品として 輸出 21 今後の検討課題 本県におけるLNGインフラの早期整備のためには、国家戦略特区の採択等により、 国家プロジェクトの位置づけの下、重点的かつ優先的な取組みが不可欠 ○主な課題 整備施設 受入基地 火力発電所 広域 パイプライン 主な課題 求められる対応 発電単価が石炭火力と比較して高いため、電源 入札制度の下ではLNG火力発電の開発が困難 水素社会の基盤としても期待されるLNGを戦 略的に活用できる入札制度が必要 発電所建設等に10年以上の長期間を要し、事業 期間の短縮が必要 開発行為や環境アセスなど、法令等に基づく諸 手続きの迅速化が必要 事業性確保のため、パイプライン沿線における大 規模なガス需要が必要 国土強靱化の機能を評価する仕組みや国家的 プロジェクトとしての関与が必要 関連産業の誘致や家庭・業務用の都市ガス転 換が必要 事業性確保のため、工事費の縮減が必要 規制緩和や財政支援など、民間事業者による 整備を促進する仕組みが必要 22 3. 「幸福度日本一」と福井県政 23 福井県のすがた 人口と経済規模 人口 806,314人 全国43位 (平成22年) 平成22年国勢調査 面積 4,189.88k㎡ 全国34位 (平成24年度) 全国都道府県市区町村別面積調 3兆3,028億円 全国41位 (平成22年度) 県民経済計算年報 県内総生産 24 技術と戦略で勝ち抜く福井の産業 ○ものづくり産業を中心に良好な雇用環境を持続 有効求人倍率 全国上位 完全失業率 全国で最も低い水準 (平成26年8月) (平成26年第2四半期) 5.0 1.60 1.45 福井 全国 1.10 4.0 3.7 福井 1.00 全国 3.0 2.2 0.40 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 (月) 平成24年 平成25年 平成26年 労働市場月報 2.0 4~6 7~9 10~12 1~3 平成24年 4~6 7~9 10~12 1~3 平成25年 4~6 (月) 平成26年 労働力調査 25 優れたものづくり技術を有する福井 ○繊維、眼鏡等を中心に中小のものづくり企業が集積。社長輩出数は32年連続日本一 製造品出荷額等の構成比 全国シェア1位となる製品 眼鏡枠・ レンズ 製造品出荷額等 カーシート 生地 18,280億円 手すき 和紙 積層 セラミック コンデンサ 漆器製 食器 など (平成25年、4人以上の事業所) 26 日本のモデル「福井の教育」 ○福井県は文武両道。子どもの学力・体力ともに全国トップクラス 平成26年度全国学力・学習状況調査における各教科別正答率 小学6年生 中学3年生 100 100.0 83.1 75 74.6 72.9 61.8 福井県 78.1 64.1 55.5 全国 67.4 58.2 55.9 50 50.0 25 25.0 全国 74.3 75.0 0 66.9 59.8 51.0 0.0 国語(知識) 福井県 83.0 79.4 国語(活用) 算数(知識) 算数(活用) 国語(知識) 国語(活用) 数学(知識) 数学(活用) 平成25年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査における体力合計点 中学2年生 小学5年生 80 80 福井県 60 57.74 59.35 53.87 54.70 全国 福井県 60 52.93 45.55 40 40 20 20 0 全国 48.42 41.78 0 男子 女子 男子 女子 27 福井県のすがた 「幸福度 日本一」 ふくいでの生活は魅力たっぷり ふくいの立地環境 福井県は別名「越山若水」。豊かな緑や 水に恵まれています。 関西・中京圏から福井県までは、電車や 車で約2~3時間。新快速電車が関西から 敦賀まで運行。 ふくいのライフスタイル ふくいの食事 世代間の支え合いや地域での助け合いなど 「つながり」や「絆」を大切にする風土。 福井県で誕生した「コシヒカリ」は、美味しい お米の代表格。また、地下水をたっぷり含む 「福井のおいしい水」は、ミネラル分が豊富。 2つが揃う福井県では、おいしさ満点のご飯 が食べられます。 ・共働き率が高い(36.4% 全国1位) ・三世代同居率の高さ(17.6% 全国2位) 名水百選:瓜割の滝(うりわりのたき:若狭町) 高水準の三世代同居率 コシヒカリ 「日本一幸せな県」の評価(「47都道府県の幸福度ランキング」総合1位) 幸福度の指標 生活・家族部門 労働・企業部門 安全・安心部門 医療・健康部門 (出生率、保育所収容定員比率など) (離職率、正社員比率など) (交通事故件数、老人福祉費など) (10万人あたり病床数、 10万人あたり自殺死亡者数など) 3位 1位 1位 9位 28 ≪PR≫ 『食の國 福井館』のご紹介 昨年4月、福井県の美味しい“食”の専門店『食の國 福井館』が東京・銀座にオープン 日本海に 育まれた海の幸 豊かな自然が 生み出した農産物 〒104-0061 東京都中央区銀座1-3-3 銀座西ビル1F 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