密室で判断されます

2012年2月10日
大津市長 越 直美 様
脱原発・滋賀☆アクション
代表 峯本 敦子
(大津市におの浜三丁目5番15-909
電話 090-6323-4858)
日ごろの市民生活を守るためのご尽力に敬意を表します。
昨年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故から来月で1年になりますが、未だ高濃
度放射能汚染によって現場に人間が近づくことができず、事故の実態、事故原因の解明ができないばか
りか、放射能流出を止めることすらできない状況が続いています。汚染された食品を通じても被曝の拡
大が懸念されます。今回の事故で明らかなことは、原子力災害は取り返しのつかないほど深刻で広範囲
に被害をもたらすということです。
大津市は、福井県の14基の原子力発電所が位置する所からわずか34キロの地点です。福井県の原
子力発電所が建てられている場所は、多くの活断層が存在しており、いつ地震が起きても不思議はない
大変危険な地域です。この福井県で原子力災害が生じた場合、大津市は直下の被災地となります。
関西電力(株)は、とくに大飯原発3、4号機をはじめ、停止中の原子力発電所の再稼働に向けた準
備を進めています。私たちは、これは市民の生活と命をないがしろにするものとして認めることができ
ません。また、琵琶湖のある大津市としては、琵琶湖の水を放射能で汚染させてはなりません。
大津市が当事者として放射能汚染から市民の命と健康を守るため、以下の政策を実施するよう要望し
ます。
なお、要望に付随して確認も含めた質問事項も付記していますので、お手数ですが、あわせてお答え
くださいますようお願いいたします。
1. 福井県における定期検査中等の原子力発電所に関し、再稼働を行わないよう、関西電力(株)等電
力会社に働きかけること。
昨年に関西電力(株)から原子力安全・保安院に提出されていた大飯原発3号機及び4号機のストレ
ステストの評価書について、同院はこの結果を「妥当」として1月18日に開催された「ストレステストに
係る意見聴取会」に評価案を提出しました。この「意見聴取会」は、公開原則を無視して市民を締め出
し、直接の傍聴もモニターを通じた傍聴もない密室会議でした。しかも、三菱重工から献金を受け取っ
ていた「利益相反」の3委員を解任しないばかりか、11人の委員中の半数にも満たないわずか4人のみの
参加という状況でストレステストを妥当とする評価を出しました。これはとうてい納得できません。
国会での「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」が事故原因究明のための調査を行っている最
中で、その原因究明もできていない中、基準もない机上のシミュレーションにすぎないストレステスト
によって原発を再稼働することは、認めるわけにはいきません。
大津市として電力会社に要請するよう要望します。
2. 大津市へ放射能で汚染された震災ごみを持ち込まず、大津市で焼却しないこと。
昨年11月16日に大津市から頂いた回答によると、「震災廃棄物の広域処理は・・・判断することが大
変難しく、市民の皆様に安全について理解していただくことは困難だと判断」されています。これは賢
明な判断だと考えます。
越市長は「放射能の影響からの子どもたちの健康と未来を心配する女たちの会」が先の大津市長選挙
前に実施したアンケートに、この点について「市民の意見を伺って、慎重に検討すべきであると考えて
います」と回答されました。11月16日の市からの回答と、越市長のお考えとに相違があるように思われ
ますが、その点、市としての対応に変化がないことを確認させていただきたいと思います。お答えくだ
さい。
3. 食品放射能測定器を市として購入し、保育園や学校給食の食材を測定し、公表すること。
昨年11月16日に担当課の方等とお話させていただきました際に、国からの補助金を利用して食品放射
能測定器の購入が可能なことについて、担当課の方は「知らなかった。調査して検討します。」と言わ
れました。その調査と検討はどの程度進んでいるか教えてください。
なお、越市長は「放射能の影響からの子どもたちの健康と未来を心配する女たちの会」が先の大津市
長選挙前に実施したアンケートに、この事項については「市民の不安を解消し、安全を確保するために
は行うべきである」と回答されました。これを受けて、市としても積極的に取り組み、実施すべきと考
えますが、いかがですか。お答えください。
また、この事項について、11月市議会定例会の中での教育厚生常任委員会では、委員より「給食は地
産地消で行っていて、大津市は(福島第一原発から)遠いので(行う)必要はない」旨の発言がありま
した。園や小学校の給食食材は、その発言の通り地産地消が徹底されているのでしょうか。あるいは福
島原発から遠く離れた産地の食材を優先して使用されていますか。それとも安価な食材を優先して購入
するのでしょうか。あわせてお答えください。
市民の命と健康を守る自治体の役割として、消費地においても放射能汚染の検査ができる体制をつく
り、保護者が安心して子どもを学校・保育園に通わせられるよう、測定器の購入とその活用を強く要望
します。