特集 技術一直線! トランジスタ工房 共振ポイント数十 MHz のター 2 ns に ゲットをガツンと震わせる 成功! 超音波振動子をバッチーン! MOSFETで作る数ns高速パルサ 稲葉 保 Tamotsu Inaba 3 4MHz水晶発振器& 1/200分周器 ドライブ・パルス・ タイマ PRF 20kHz 外部 トリガ 入力 同期信号用 ドライバ セレ バス・ クト トリガ 4 同期 出力 ディジタル制御 分周器 5 今回解説する回路 主パルス 発生器 PRF:パルス 繰り返し周波数 PRF設定 100Hz∼10kHz 極性反転 スイッチ フォト カプラ 300V ダンピング 設定 20, 50, 100, 500Ω 6 t 0 出力エネルギ 設定 12.5∼100μJ 6.5ns 超音波 プローブ 7 T/R JACK レシーバ 出力 図 1 数十 MHz 帯域で使うパルサ・レーバ装置の基本構成ブロック 超音波振動子のドライブ回路 (パルサ)を作る ● 超音波の波長と測定分解能 毎年,健康診断をすると必ずお世話になる超音波診 断装置のプローブには,数百個の超音波振動子がアレ イ状に内蔵されており,立ち上がり時間が数 n ∼数十 のパルス信号で駆動されています. 最近は,画像分解能を高めるために,超音波の周波 数が上がってきています.従来は,立ち上がり時間数 十 ns のパルス信号で駆動していましたが,最近は数 ns にまで高周波化が進んでいます. 例えば,金属内部のキズを探す非破壊検査や,超音 波顕微鏡,厚み測定装置などの分野では,高周波化が 進んでいます.周波数を高くすると,距離分解能が改 善されるので,より高い周波数成分を持つパルサ回路 が必要になります. 超音波で何かを調べる場合,1 ∼ 1/4 波長が目安に なるといわれています.超音波の伝わる速度は人体や 2014 年 8 月号 1 2 周波数リミッタと ワンショット 信号切り換え イントロダクション 第7章 水の場合 1500 m/s 程度です.例えば 40 kHz の超音波 なら 1 波長が 34 mm,1/4 波長が 8.5 mm です.ここで 1.7 MHz の超音波を使えば,1 波長が 0.88 mm,1/4 波 長が 0.2 mm 程度となり,分解能の向上が見込めます. ● 立ち上がり数 ns,出力数μJ のパルサを作る パルサ回路の出力は,だいたい数十∼数百μJ (ジュ ール)くらいです.この値は,コンデンサや負荷抵抗 の容量により異なります.ジュールは電力 × 時間の 単位です.周波数が高い,時間の短いパルスを出力し ようとすると,高速なパルスを出力することになり, 広帯域なパワー回路が必要です. 本章ではカスコード回路をスイッチング回路に接 続して,ドレイン−ソース間電圧の立ち上がり時間 tr が 10 ns 以下の高速パルサ回路の作り方を解説しま す.例として数十 MHz 帯域で使われているパルサ・ レーバ装置の基本構成ブロックを図 1 に示します. 123
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