ランゲル八ンス細胞肉腫の1例 南本俊之? 杉 井 政 澄 , 工 藤 和 洋 , 下 山 則 彦 , 大 東 寛 幸 壷一三 堤 足立頁紀,石川耕資,林利彦,山本有平 Vol.23No.32014 ||本臨床皮膚外科'、jメ墜公I芯 SKINSURGERY 節23巻第3'/(2014年発行)別冊 (pp.128∼130) SkinSurgery:23(3):128-130,2014 「−−ブロシーテ'イング ランゲル八ンス細胞肉腫の1例 ¥CaseofLangerhansCellSarcoma 南本俊之*,杉井政澄*,工藤和洋**,下山則彦** 大東寛幸***,堤=…,足立真紀****,石川耕資**** 林利彦****,山本有平**** はじめに ランケルハンス細胞肉I匝(Langerhanscellsarco- このM傷も病理組織検査でランケルハンス細胞肉腫と 判│リ]した.患者は追加治療を希望せず,現在までのと ころ右耳介,右側頚部の経過観察とともに全身検索を ma:以下LCS)はまれな疾,患で,英文による報告は 行っているが,|匝傷の再発は認めていない(Fig.1c. 40例に満たない.今回当科で本疾患のl例を経験し d. たので報告する. 症例 病理所見:ヘマトキシリン・エオジン染色では類円 形から卵I'J形でしばしばくびれを呈する核,弱好酸性 の胞体をもつ類I'l形の異型細胞がびまん性に増生して 想者:82歳,男性 いた(Fig.2a).免疫組織化学染色では,CDlaで陽 家族歴:特記事項なし. 性,S-100蛋白で一部陽性であった(Fig.2b,c).電 既往歴:高血圧症にて内服加療中 子顕微鏡像でBirbeck噸粒を認めた(Fig.2d). 現病歴:当科初診の3ヵ月ほど前に右耳介に腫傷を 生じ,精査希望で当科を受診した. 初診時現症:右耳輪の耳HI介舟にI"Jかう面に8× 5×4mmのやや硬い腫傷を認めた(Fig.1a). 考察 LCSはランゲルハンスボ''1胞Ill来の腫傷の1つで 2008年にJaffeらによりランゲルハンス'11胞ヒスチオ 治療歴:腫腸の辺縁よりImm離し,軟骨膜を含め サイトーマ(Langerhanscellhistiocytoma:以下 切除し,皮膚欠損部には人工真皮を貼付した病理組 LCH)と整理,分類されている').LCHとLCSは 織検査にてランケルハンスボlll胞肉腫と診断された全 CDla.Langerin.S-100蛋白など免疫染色で│可じよ 身検索を行ったが,他に病変はみられなかった.化学 うに染色され,瓶子倣微鏡でBirbeck頼粒を認める 療法を検討したが患者が希望せず,経過観察をするに LCHが小児期に発症し,病変部が単発である場合は とどめた.人工真皮を貼付した創部は術後27日目に 99%が治癒するのに対し,LCSは中高年に発症し, 上皮化した.腫傷の初回切除2カ月後に右側頭部に直 致死率が50%以上となることが大きな違いである1) 径15mmの腫傷を認めたので切除した(Fig.lb). LCSは皮膚に結節を生じる場合や,皮膚潰傷や紅斑 として認められる場合があり2),形成外科や皮膚科を 受診する場合もあるが,血液の異常所見やリンパ節腫 " T o s h i y u k i M 1 N A M I M 0 T 0 . i V I . D . . ' M a s a z u m i S U C H . M . D . . "'KazuhiroKIDOII.M.D..**N<)rihikoSHIMOYAMA,M.D., ' * * H i r o y u k i O H I G A S ! I I , M . D . , * * * Y u t a k a T S U T S U M I ・ M D . . ""MakiADACHI.M.D.,****KosllkelSHIKAWA,M、,.. ""ToshihikoHAYASHI.M.D.."**YuheiYAMAMOTO,M.D *市立函館ソ(I院形成外科 **市立函館病院臨床病理科 ...*立函館シ,師│塊lⅢ液内科 〒041-8680北抑道函館ll丁港BT1-10-1 ****北海道大学火4,/'院医学研究科。│笈学部形成外イ:| 〒060-8638北抑道札Ilリlilll北Ⅸ北15H7 受理2011イド7月7日 1 2 , S 大でⅢl液内科を,|ノ1臓の病変として,内科,外科など で加療を受ける場合もある乱4) LCSの治療として,外科的探法。放射線療法,化 学搬法を単独もしくは組み合わせたものの報告はある が確実なものはない.化学療法ではCHOP療法を 組み合わせているものが多い2).免疫組織染色の反応 性により,悪性度が異なるという報告5)もあり,今 後,さらなる推例の集積と分析がなされる必要があ る . SkinSurgeryVol.23.No.3 鋤劣謡 Fig.ia院での皮膚症状を示す (a)1科初診時,イi耳輪の叫甲介舟にIIリかう面に8×5×4mmのやや硬い IF傷を認めた(→). (b)6耳輪の脈傷切除2カノl後に,さらに逆位となる右(i頭部に1k径15 mmのIllm易を認めた(破線円形内. (c)右耳輪の肺癌切除4カノJllの状態を示す腫癌の再発は認められない dam頭部のI瞳揚切除2カ月目の状態を示す1加甥のI'l発は認められな 1,1 自験例では今までのところ皮膚以外の病変は認めて まとめ いない.免疫糸│職染色でLangerinは確認していない が,わが国ではこの抗体をⅣr有している施設が少な LCSの報告例は少なく,治擦法も確立されていな く、入手できなかったために行ってはいない.しか い皮膚ソI'-j変により,皮ハサ科・形成外科が関与するこ し,電猟像でBirbeck順粒を認め、行うことのでき とあり症例の集積・検討が必要である. たCDla抗体,s-ioo蛋白抗体│場'Wミの結果と合わせて 典型性の強いランケルハンスIll来Ill胞からなる腫甥で 本プロシーデイングは,第32回日本臨床皮膚外科 あり.LCSと診断しえた.魁者さんが皮ハ病変の切 学会学術大会(2014年5月2:!∼2-1日‘於函館)で発 除以外の治療を望んでいないので,経過観察を行うに 表した. とどめている.今後も定期的に経過観察を行う予定で ある. 129 SkinSurgery:2014 Fig.2 腫傷の免疫糸IL織染色像および↑世子顕微鏡像を示す (a! ヘマトキシリン・エオジン染色で,類円形から卵│']形でしばしばくび れを呈する核弱孔酸性の胞体をもつ類Iリ形の異型細胞がびまん'性に 増生していた(右耳介・400併). b CDlaI場性であった(右耳介・100倍). (c) S-100蛋M一部│場性であった(右耳介・400K), (d) 電子顕微鏡像でBirbeck蜘粒を認めた(→)(イi側頭部. 文献 1)JaffeR,WeissLM,FacchettiF:Tumours SarcomaInvolvingGallbladderandPeritoneal LymphNodes:ACaseReport,IntJSurgPathol, 17:347-353,2009 derivedfromLangerhanscells.WHOClassifica- 4)NakayamaM,TakahashiK,HoriMoetal,: donofTumoursofHaematopoieticandLymphoid LangerhanscellSarcomaofthecervicallymph Tissues(SwerdlowSH.CampoE,HarrisNLetal node:Acasereportandliteraturereview,Auris Ed),IARCPress,Lyon,2008,358-360 NasusLarynx.37:750-753.2010 2)LiY,LiB,TianXY,etal.:Unusualcutaneous 5)KawaseT,HamazakiM,OguraM,etal.:CD56/ Langerhanscellsarcomawithoutextracutaneous NCAM-PositiveLangerhansCellSarcoma:A involvement,DiagnoPathol,8:20.2013 ClinicopathologicStudyof4Cases.IntJHemata 3)ZhaoG,LuoM,WuZY,etal.:LangerhansCell ! : ; i ) 81:323-329.2005
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