ITU-D SG1及び2、TDAG会合報告 - ITU-AJ

会合報告
ITU-D SG1及び2、TDAG会合報告
かわすみ
ITU協会顧問
やすひこ
川角 靖彦
1.はじめに
表題の三つの会合は2014年9月15日-10月1日、ジュネーブ
のITU本部タワーのPopov会議場で開催された。我が国から
は在ジュネーブ国際機関日本政府代表部、総務省、早稲田
大学、東海大学、NTT、KDDI、三菱電機、ラックから13
名が出席した。以下、順を追って三つの会合にについて報告
する。
2.SG1(電気通信/ICT開発のための環境整備)
写真1.中央がマッケルバンSG1議長
SG1は9月15日(月)から19日(金)の5日間の日程で開
催された。会合にはおよそ60か国から約160名が出席した。
SG1は表1に示す研究課題についてラポータ、副ラポータの
下でラポータグループ研究活動を行う。日本からは表2のと
2.1 全体会合
会合の冒頭、サヌーBDT局長は、
「本会合は今研究期の
SG1初会合である。今期はITU-Dの資源をブロードバンドの
おり8名が出席した。
普及に注力し、各地域及び各国間に見られる格差の解消に
表1.SG1研究体制
議 長:マッケルバン(米国)
副議長:日本(川角)、ヨルダン、コートジボワール、スペイン、ベトナム、カメルーン、ベネズエラ、エジプト、ウクライナ、キルギス、
パラグアイ
研究課題
研究内容
Q1/1
開発途上国における、NGN、モバイルサービス、OTTサービス、IPv6実現を含む、既存ネ
ットワークからブロードバンドへの移行の政策、規制、技術的側面(新規研究課題)
ラポータ・副ラポータ
Q2/1
IMTを含む開発途上国のためのブロードバンドアクセス技術(旧「研究課題25/2」)
Q3/1
クラウドコンピューティングへのアクセス:開発途上国のための課題と機会(新規研究課
題)
Q4/1
経済政策と、NGNを含む国内電気通信/ICTネットワークに関係するサービスの費用決定方
法(旧「研究課題12/1」
)
Q5/1
ルーラル及び遠隔地域のための電気通信/ICT(旧「研究課題10/2」
)
Q6/1
消費者情報保護及び権利:法律、規制、経済基盤、消費者ネットワーク(旧「研究課題
18/1」
)
Q7/1
障がい者、特別な必要性のある人々の電気通信/ICTサービスへのアクセス(旧「研究課題
20/1」
)
Q8/1
アナログからデジタル地上放送への移行戦略及び手法の検討、デジタルデビデンドバンド
における新サービスの実施(旧「研究課題11/2」)
Res.9
特に開発途上国の周波数管理への参加(決議9)
ラポータ:西本氏(日本)
表2.SG1会合 日本代表団名簿
井出 真司
ジュネーブ国連代表部
松本 充司
早稲田大学
中島 睦晴
総務省国際政策課
梅澤 由起
KDDI
‹本 純
総務省国際政策課
西本 修一
KDDI
川角 靖彦
総務省参与
土田 充
三菱電機
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ITUジャーナル Vol. 45 No. 1(2015, 1)
副ラポータ:梅澤氏(日本)
副ラポータ:松本氏(日本)
取り組む」と挨拶した。続いて以下のような審議が行われた。
1)WTDC-14の決議1及び2の活動方法の規定の説明(寄
10)各研究課題につき、ラポータから審議報告書のプレゼ
ンがあり、承認した。
書は45日前までに提出されたものが6か国語に翻訳、
12日前までのものは正式寄書となる)
。さらにSG1及び
各研究課題のMandateの紹介があった。
2.2 Q1/1(NGNへの移行)
この課題は、前研究期におけるQ7-3/1(ブロードバンドサ
2)ラポータ、副ラポータ候補リスト(Doc.5)が承認され
ービスのユニバーサルアクセス実現)
、Q19-2/1(開発途上国
た。ラポータ候補が重複しているところは、共同ラポ
におけるIP電気通信の実施)
、Q26/2(技術、規制、政策の
ータとして全てを承認。
観点からの開発途上国のための既存ネットワークからNGN
3)ネパールから(Doc.48)により、研究課題が多年にわ
への移行)を受け、開発途上国におけるNGN、モバイルサ
たり繰り返される問題について、成果が上がらないも
ービス、OTTサービスIPv6実現を含む既存ネットワークから
のは次会期に再考すべきとの問題提起があった。
ブロードバンドへの移行に関する政策、規制、技術的側面に
4)オーストラリア、サモア、英国、バヌアツから(Doc.65)
により、電話番号の不適切な使用が発生している問題
が提起された。至急実態調査を開始するよう提案。勧
ついて検討する。
1)ラポータ及び副ラポータの承認
ラポータ:Dr. W. K. Jee(韓国)
告E164に沿った正しい国番号の割当てにすることは
副ラポータ:Mr. R. Outemzabet(アルジェリア)
、
ITUの使命。
Mr. S. E. Koudjo(ベナン)
、Mr. A. Ouedraogo(ブ
5)次年以降の会合開催予定(1/ADM/2)を承認した
ルキナファソ)
、Mr. A. Kamga(カメルーン)
、Mr. G.
が、Res.9ラポータ会議についてITU-R側から会合を6
Balekette(中央アフリカ)
、Mr. C. Zhang(中国)
、
月のR会議とback to backにするよう要望が出ている問
Mr. L. Missidimbazi(コンゴ共和国)
、Mr. P. H.B.
題。ITU-D側は反対意見が多く、Rとの調整が必要とさ
Zeboua(コートジボワール)
、Mr. J. B. Y. Utchudi
れたが、結局D側は原案どおり4月を推すことになった。
(コンゴ民主共和国)
、Mr. M. P. Barry(ギニア)
、Mr.
6)米国から(Doc.18)により、障がい者の関係でhear-
S. N. Gupta(インド、ITU-APT Foundation)
、Mr. Y.
ing aidに周波数干渉がある問題の提起があった。関連
N. M. Al Hajri(オマーン)
、Dr. V. Kaptur(ウクライ
の研究課題で再度審議されることになった。
ナ)
、Ms. J. Coffin(米国)
、Mr. T. Muluk(米国、イ
7)ITU-Tから(Doc.15、&16)により、携帯電話の盗難
に関する研究の紹介があり、関連の研究課題で再度審
議されることになった。
8)インテルが(Doc.64)によりe-educationは政府が進め
る問題なので、SG1に新課題を設定すべきとの提案。
ンテル)
2)ラポータ・副ラポータにより、今会期の作業計画が策
定された。作業は下記四つに分割され、責任者が定め
られた。
A)The migration from existing networks to broad-
会期の途中でもTDAGで新課題を設定可能。中国が支
band networks in developing countries, includ-
持。ブラジル、韓国、米国、日本、ウクライナ、パラ
ing next-generation networks
グアイなどはWTDC-14(ドバイ)でapplicationに関す
る課題を統合することになり、e-health以外はQ1/2に
なった経緯あり。SG2で研究すべきとの意見。エジプ
トはSG1&2のJointにすればよい。ミンキン(TDAG議
長)もSG1/2のJoint支持。コンゴはe-governmentも独
立した課題にすべきとのコメント。Doc.64をSG1から
SG2に送ることになった。
9)BDT事務局からの報告。今SG1会合は、参加者総数
B)M-services(mobile money transfer, m banking,
m commerce and e commerce etc.)
C)IP-based services and applications(Over-the-top
(OTT)services)
D)The implementation of IPv6
3)本課題は、ITU-T SG13をフォローする。このため、本
課題の作業計画をSG13に送る。また、ITU-T SG3とも
協働する。
150名(会合前の登録は213名)主管庁115、セクター
メンバー20名、アソシエート2名、アカデミア2名他。
フェローシップは29名に支給された。
2.3 Q2/1(ブロードバンド・アクセス)
この課題は、前会期のQ25/2からの継続。開発途上国の
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ためのIMTを含む無線・有線のブロードバンド・アクセス技
とは関係が深いので、作業の重複がないようよく連携
術全般について研究する。
を取る。
1)ラポータ及び副ラポータの承認
3)他セクターとの協働:ITU-T SG3とは密接に連絡を取
ラポータ:Mr. Luc Missidimbazi(コンゴ共和国)
り協働する。BDTフォーカルポイントからは、SG3地
副ラポータ:梅澤(KDDI、日本)
、Mr. F. Nakhli
域会合に併設して地域の経済及び金融フォーラムが企
(ベラルーシ)
、Mr. T. Muluk(インテル、米国)
、Mr.
画されていることが紹介された。
P. Kelley(アルカテル・ルーセント、フランス)
、Ms.
L Patnaik(クアルコム、米国)
2)リエゾンが送られてきたITU-R WP4B、WP5C、WP5D
並びにITU-T SG13、SG15に対しては、ラポータ会合
2.6 Q5/1(ルーラル通信開発)
前研究期からの継続。
1)ラポータ及び副ラポータの承認
報告書(作業計画案、最終報告書章立て案)を添付
ラポータ:西本(KDDI、日本)
してリエゾンを返すこととした。
副ラポータ:Mr. Y. S. Avanesov(ロシア)
、Ms. C.
3)他課題との協働:Q1/1、Q5/1
Bai(中国)
、Mr J. B. Yuma Utchudi(コンゴ民主共
4)他セクターとの協働:ITU-R WP4B、WP5C、WP5D、
和国)
、Mr. E. Altemar(ハイチ、欠席)
、Mr. I. A.
ITU-T SG13、SG15
Kone(マリ、欠席)
2)1/45(マダガスカル)農村部や遠隔地でのICTアクセ
2.4 Q3/1(クラウド・コンピューティング)
1)ラポータ及び副ラポータの承認
ラポータ:Nasser Kettani(マイクロソフト)
ス。必要な情報を最終レポートに反映する。ケースス
タディライブラリに入力を依頼。
3)1/46(中国)ルーラルブロードバンドに関する現状説
副ラポータ:Mr. A. Ouedraogo(ブルキナファソ)
、
明及びQ5/1の研究に対する提案。
Ms. S. Owona Noah(カメルーン)
、Mr. D. N. Ilunga
必要な情報を最終レポートに反映。ケーススタディラ
(コンゴ民主共和国)
2)コートジボアールから、クラウド・コンピューティングに
関して規制面の課題(パーソナルデータの個人情報保
護等)も検討すべきとの意見が出され、エジプト、カメ
イブラリに入力を依頼。
4)1/INF/2(ルワンダ)の事例。ケーススタディライブラ
リに入力を要請。
5)作業計画について1/47(Draft Work Plan)をラポー
ルーン、ブルキナファソ、コンゴ等アフリカ諸国が支持。
タから説明。
一方、米国は「研究課題のOutputのフレームワークに
ネパールの意見により、2015年4月のラポータ会合で最
入っていない」と反対。ラポータは「定められた研究課
終レポートの構成案を示すことを作業計画に追加。会
題のマンデートは変えず、報告書を作成する上で、他機
期中にquestionnaireを回章として出すか議論があった
関やITUの他のセクターの活動を参考にする」とした。
が、ラポータが調査項目について説明し、ネパールか
ら賛同と協力の約束が得られた。
2.5 Q4/1(サービスコストの決定方法)
前研究期のQ12/1からの移行で、NGNを含む、国内電気
通信/ICTネットワークに関係するサービスコスト決定方法全
6)次回ラポータ会合について、中国がQ1、Q2、Q5、Q6
等の招聘を表明(来年5月、北京)
。今後BDTと調整
し回章で通知。
般について経済政策の側面を含めて研究する。
1)ラポータ及び副ラポータの承認
ラポータ:Mr. Amah Vinyo Capo(トーゴ)
、
前会期におけるQ18-2/1(融合環境における消費者保護
副ラポータ:Mr. Mohamed Abdullah Suliman Al-
についての国内政策、規制及び規制の実施)の継続課題と
Kharusi(オマーン)
、Mr. A. Ipou(コートジボワー
して、消費者情報や権利を守るための法規制、経済基盤等
ル)
、Mr. S. Alshammari(サウジアラビア)
、Mr. S.
について検討する。
M. Fati(セネガル)
。
2)他課題との協働:周波数ライセンス料の関係でRes.9
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2.7 Q6/1(消費者保護)
ITUジャーナル Vol. 45 No. 1(2015, 1)
1)ラポータ及び副ラポータの承認
共同ラポータ:Mr. R. A. Houéhou(ベナン)
、Dr. J.
Chen(中国).
副ラポータ:Ms. C. C. L. Quinalia(ブラジル)
、Ms.
に質問票を作成することになった。
3)決議9グループとの協働作業が重要であることを確認。
S. O. Noah(カメルーン)
、Mr. S. K. K. Bidje(コー
特にデジタルデビデンド(移行後の空き周波数の再利
トジボワール)
、Mr. R. Ciza(コンゴ民主共和国)
、
用)が重要であることを確認
Mr. E. Altemar(ハイチ)
、Mr. A. Traore(マリ)
、
Mr. Majid Khalid Al Balushi(オマーン)
、Mr. Y. S.
4)ITU-R SG1、WP1B、SG6、WP6との協働が重要であ
ることを確認。
Mawuéna Gamo(トーゴ)
、Mr. Carl Adams Kopati
Gbali(中央アフリカ)
2.10 Res.9(途上国のための周波数管理)
2)各国やBDTからの入力文書(1/38参照)の紹介がな
WTDC-14の決議9に基づいて、途上国のための周波数管
され、質疑が行われた。内容は、各国での関連施策・
理、周波数監視方法に関するガイドブックを作成する。関連
規制等の実施例、BDTからの情報等。施策・規制等
して各国の経験や事例を収集分析して、ガイドブックに反映
の実施例については、本研究課題で作成するレポート
させる。そのためにはITU-R SG1との緊密に協力する。
に反映すべく、今後、更に情報収集、検討を重ねてい
く。
3)次回会合として、共同議長の中国より、可能であれば、
1)ラポータ及び副ラポータの承認
共同ラポータ:Mr. F. Digham(エジプト)
、ITU-Dの
代表。Mr. S. Pastukh(ロシア)
、ITU-R SG1からの代
韓国、日本、中国がホストとなって、Q1/1、Q2/1、
表
Q5/1、Q6/1のジョイントラポータグループ会合を開催
副ラポータ:Mr. A. Hassan(米国)
、Mr. S. Kotler
したい旨が表明された。
(米国)
、Mr. R. Kimasi(コンゴ民主共和国)
2)ITU-R SG1議長とBRからの1/55により、ITU-R SG1に
2.8 Q7/1(アクセシビリティ)
おけるDynamic Spectrum Access(DSA)及びCogni-
本課題は障がい者や特別なニーズを持つ人々及び読み書
tive Radio System(CRS)に関するITU-Rの研究と周
きの修得が困難な人に、電気通信/ICTへのアクセスの提供
波数管理に関する最近の研究活動や今後の作業計画
を促進し、サービスを充実するための政策や戦略の取組に対
が紹介された。
処することを研究するもので、WTDCにおいて前会期Q20-
3)米国から1/50により、無線端末数の増加、移動体通
1/1を今会期においてはQ7/1として継続することとなった。
信のブロードバンド化、ビデオストリーミングサービス
1)ラポータ及び副ラポータの承認
などで周波数需要が急増する状況下の同国の周波数管
共同ラポータ:Mr. A. Dembele(マリ)
、Dr Mirian
理及び周波数割当て政策が紹介された。タンザニア、
Choi(韓国、欠席)
ウガンダなど途上国からRes.9の下でもっと研究すべき
副ラポータ:松本(日本)
、Ms. L. Kalubi(コンゴ共
とのコメントがあった。
和国)
、Mr. G. M. Mutsotso(ケニヤ)
、Ms. J. G. Z.
Yassengou(中央アフリカ)
2)松本副ラポータをITU-DとITU-T及びJTC1 SWGAとの
リエゾンオフィサーに指名。
4)韓国から1/54により同国の事情紹介。新しい周波数割
当てに際して、ビューティーコンテスト方式とオークシ
ョン方式があること。ライセンス期間及びライセンス継
続(取消し)の条件、二次市場(原則的に可)等の紹
介があった。
2.9 Q8/1(地デジ移行)
5)フォーカルポイントから1/56により国内周波数割当て
本課題は前会期のQ11-3/2の継続。
表 ( National Tabel of Frequency Allocation:
1)ラポータ及び副ラポータの承認
NTFA)の必要性及び作成のためのガイドラインが紹
ラポータ:Mr. R Hirayama(ブラジル)
、
副ラポータ:Ms. J. Karam(レバノン)
、Mr. F. D.
Dontsa(カメルーン)
、Mr. P. M. Ikumilu(ケニヤ)
介された。
6)BR(小泉純子氏)から1/62により、RAG 2012の要請
に基づき、日本からの拠出金、及び日本の専門家の支
2)各国関係機関に対して地上デジタル放送への移行に関
援で構築された「ITU-R文書の検索データベース」が
する調査質問票を発送することになり、次回会合まで
紹介された。本システムはオープンで外部からアクセス
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会合報告
可能。日本は本データベースが有効であり、支持する
旨発言した。ITU-R SG1議長から謝意が表明された。
7)今後、ITU-R SG1、SG5、SG6の関連ある作業グルー
プ、ITU-DのQ8/1、Q4/1等との協働が必要とされた。
3.SG2(ICT アプリケーション、サイバーセ
キュリティ、災害通信、気候変動への対応)
SG2会合は、SG1に続き、9月22日(月)から9月26日
(金)の5日間、ITU本部タワービルのPopov会議場で開催さ
れた。会合にはおよそ54か国から約160名が出席した。SG1
写真2.左端がシャラファットSG2議長
は表3に示す研究課題についてラポータ、副ラポータの下で
ラポータグループ研究活動を行う。日本からは表4のとおり7
Team Meetingで韓国からQ2(e-health)の共同ラポ
名が出席した。
ータの話は出ていなかったが、この全体会合で中島氏
3.1 全体会合
とともにラポータ/副ラポータにダブルエントリーして
いた韓国のDr. YooがQ2の共同ラポータに指名された。
サヌー局長の開会挨拶。シャラファット議長が、これまで
ITU-D会議の経験はないが精一杯頑張る。と開会挨拶。各
他の課題でも同じようなことがあった。Q2のラポータ
地域を代表する10名の副議長を紹介。
会議で中島氏が議長を務めたが、Dr. Yooが自分は共
1)ラポータ及び副ラポータの指名
同ラポータだと言ってしばしば発言するので、会場で
44名のリストが示され、重複している者も含めて全て
異常な雰囲気が感じられた。これを心配した韓国の
を承認した。ラポータ及び副ラポータにダブってエント
Seo氏からアプローチがあり、シャラファット議長も加
リーしていた者がいる。また、複数の課題にエントリ
わって調整した結果、中島氏を正ラポータ、韓国の候
ーしていた者もいるがそのまま承認。Management
補は同レベルではない標準化担当の共同ラポータにす
表3.SG2研究体制
議 長:シャラファト(イラン)
副議長:ロシア、ブルガリア、ギニア、ケニア、UAE、スーダン、中国、ネパール、ベラルーシ、ニカラグア
研究課題
研究内容
ラポータ・副ラポータ
Q1/2
スマート社会の構築:ICTアプリケーションを通じた社会経済開発(旧「研究課題17/2」
Q2/2
eヘルスのための情報及び電気通信/ICT(旧「研究課題14/2」)
ラポータ:中島氏(日本)
Q3/2
情報通信ネットワークの安全確保:サイバーセキュリティ文化を発展させるためのベスト
プラクティス(旧「研究課題22/1」
)
副ラポータ:永沼氏(日本)
Q4/2
適合性及び相互接続性プログラム実施のための開発途上国への支援(新規研究課題)
Q5/2
防災、減災、災害対応のための電気通信/ICT利活用(旧「研究課題22/2」
副ラポータ:今中氏(日本)
Q6/2
ICTと気候変動(旧「研究課題24/2」
)
副ラポータ:福家氏(日本)
Q7/2
電磁界の人体ばく露に関する戦略及び政策(旧「研究課題23/1」
)
Q8/2
電気通信/ICT廃棄物の適切な処分と再利用のための戦略及び政策(旧「研究課題24/1」
)
Q9/2
開発途上国に特に関心の高い、ITU-T及びITU-R研究委員会の研究テーマの特定(旧「研
究課題9/2」)
表4.SG2会合 日本代表団名簿
井出 真司
ジュネーブ国連代表部
今中 秀郎
日本電信電話
‹本 純
総務省国際政策課
福家 直樹
KDDI
川角 靖彦
総務省参与
永沼 美保
ラック
中島 功
東海大学
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ITUジャーナル Vol. 45 No. 1(2015, 1)
るとして収拾を図った。ブルガリアからこの時期で申
題を扱うことになった経緯について、研究課題を減ら
し訳ないが、Q2の副ラポータ候補(女性、氏名は未提
すため、スマート社会の下に遠隔医療を除く各アプリ
出)を出したいとの申し入れがあり議長は承認した。
ケーションをまとめて議論することがWTDCで決まっ
必要な手続をした後副ラポータになる。これを含め、
たこと、期待される成果としてM2M等のICTの利用を
ラポータ、副ラポータのリストはDoc.2/100のとおり承
通じた持続可能な開発の達成である旨の説明があっ
認された。結局、我が国からは、Q2(e-health)のラ
た。
ポータに中島氏(東海大学)
、Q3(Security)の副ラ
ポータに永 沼 氏 (ラック)、Q5(Disaster Com-
3.3 Q2/2(e-Health)
municaton)の副ラポータに今中氏(NTT)
、Q6(Cli-
前会期から研究してきた「モービルeヘルス」
「女性・子供
mate Change)の副ラポータに福家氏(KDDI)が指
のヘルスケアへのICT利用」
「非感染症対策」などの研究を
名された。
継続して実施する。各国に対して新たなアンケート調査を実
2)Working Party(作業班)の設置
施。途上国に有用なeヘルス政策指針やeヘルス技術のガイ
作業方法で議長からWorking Party(WP2A&2B)の
ドブックの作成などを向こう4年間の活動計画とする。他の
創設提案があった。Q 1 ∼4 、Q 5 ∼8 をそれぞれ
国際機関(WHO)
、ITU-T SG16 Q28eヘルス標準化との協
WP2A&2Bに分けて割り当てるというもの。米国から
調を図り、途上国に対してきめ細かなeヘルスの政策の参考
財政上の影響があるとのコメント。議長の提案文書が
に資する。
ないので、WP創設の目的、具体的な背景が明確でな
1)ラポータ及び副ラポータの承認
く、再審議となった。最終日の全体会合において、議
ラポータ:中島(日本)
長からWP2A及びWP2B創設の件は、目的などを説明
共同ラポータ:Dr. D. Yoo(韓国)
したDoc.2/96を下に審議した結果、WP2B(Q5∼Q8)
副ラポータ:Mr. L. Androuchko(スイス)
、Mr. G.
のみ1年間の試行として創設が決まった。もう一つの
Domond(ハイチ)
WP2AはWP2Bの1年間試行結果を見て創設の是非を
2)審議概要
決める。米国からWP2Bはラポータ会合期間とSG会合
米国が議長であるITU-T(JCA-AHF)からhearing aid
期間中に開催すべきとの提案があり承認された。会合
装置に対して2.3-2.4GHz帯における混信や障害が問題
が開催されない間はコレスポンデンスで意見交換する
になっているとのリエゾンステートが紹介され、これに
ことも承認された。議長にはカンチェフ氏(ブルガリ
反対する者はなかった。米国は、OECDが高齢化社会
ア)が経験を買われて指名された。
へ向けたICTを利用した対策を調査・報告するが、
3)E-educationに関するnew Q創設のインテルの文書
(2/99)
ITU-Dでも同様な動きをすべきと主張した。ウガンダ
は女性・子供のためのICT利用普及と一層の支援・継
本文書は、SG1でも審議された。SG1からSG2のQ1に
続を求めた。セネガルはNGOと協調したeヘルスの実
も関係するので回されたもの。SG2 Q1で研究するか、
施が有効であるので、政策的な調査や指針にNGOと
Joint GとしてTDAGに新Qを提案するか、前日のJoint
の協調、さらに自立的継続的な運用を目指すユニバー
Managementで討論された。SG2議長はこの文書につ
サル・サービス政策を調査に入れるべきと主張。韓国
いて掘り下げた審議をしなかった。
はeヘルスの標準化に関して、途上国向けに、自国の
ユビキタス・ヘルスというプログラムがあるので、途上
3.2 Q1/2(スマート社会)
1)ラポータ及び副ラポータの承認
国に対して紹介する旨を表明した。BDT担当官は
WHOとの共同作業として「モービルeヘルス」
「女性・
ラポータ:Dr J. N. Njeru(ケニヤ)
子供に対するICT利活用」
「非感染症対策」などを継
副ラポータ:Mr. T. Muluk(インテル、米国)
、Mr. R.
続して実施すると述べた。ITU事務総局は、WSISにお
Ciza(コンゴ民主共和国)
、Mr. E. B.(ロシア)
、Dr.
いてeヘルスは重要な課題であり、WSISへの情報提供、
C.M. Cho(韓国).
さらにWHOと共同で「モービルeヘルス」
「女性・子供
2)BDTから、Q1/2がスマート社会の構築という幅広い議
に対するICT利活用」問題について支援すると述べた。
ITUジャーナル Vol. 45 No. 1(2015, 1)
41
会合報告
3.4 Q3/2(サイバー・セキュリチィ)
前研究期のQ22/1からの移行で、情報通信ネットワークの
1)ラポータ及び副ラポータの承認
ラポータ:Ms. K. O'Keefe(米国)
安全確保とサイバーセキュリティの文化を発展させるため、
副ラポータ:今中(日本)
、Mr. R. Krock(米国)
サイバーセキュリティへの各国の取組やベストプラクティス
2)日本からワークショップの必要性提案、米国のチェッ
等の共有等を行い、関連事項の審議を行う。
1)ラポータ及び副ラポータの承認
クリストの必要性提案等が作業計画に盛り込まれた。
今後、韓国からのアカデミアや研究機関と協働すべき
共同ラポータ:Ms. R. B. F. Al-Balushi(オマーン)
、
との提案、ケーススタディ、技術、アクセシビリティ等
Mr. E. Lear(米国)
の会合中のコメントを考慮に入れた作業計画の改定を
副ラポータ:Mr. D. K. Bagolibe(トーゴ)
、Ms. J. S.
行う。
Vahora(米国)
、Mr. J. Yun(韓国)
、Mr. A. Kamga
(カメルーン)
、Mr. J.-D. Rodney(ハイチ)
、永沼(日
本)
2)ワークショップの計画及び実施
3)他課題との協働:Q6/2(ICT and Climate Change)
、
Q2/1
(Broadband Access Technologies)
、
Q5/1
(Rural
Telecommunications)
、Q7/1(Accessibility).
4)他セクターとの協働:非常災害通信はITUにとどまら
日本寄書に基づくワークショップの開催が承認され、
ずグローバルな協働が必要である。日本提案にあると
別途委員会を設立して準備を行うこととなった。日本
おり、この研究課題の下、今後とも関係機関との情報
は委員会を主導することとなる。なお、本ワークショ
共有に心掛ける。
ップは、Q3/2のToRにあるセミナー等の開催及びイベ
ントによる情報共有の促進に沿ったものである。
3)他課題との協働:Q3/1、Q7/1と連携を行う。
4)他セクターとの協働:ITU-T SG17(セキュリティ)と
の連携が期待される。なお、Q3会合の直前に、SG17
及びSG2共同会合の機会が設けられ、双方の活動紹介
を行った。
3.7 Q6/2(気候変動)
前会期のQ24/2を引き継ぎ、ICTと気候変動に関する事
項、特にICTを使った気候変動の観測、ICTによる気候変動
の影響の緩和を中心に、研究活動を行う。
具体的には、ITU-T、ITU-R各セクター、並びに関係機関
(UN、WMO等)と連携して検討や情報収集を行い、情報
提供の場(toolkit、各種セミナー等)を活用して、途上国へ
3.5 Q4/2(適合性・相互接続性)
WTDC決議2(ドバイ、2014)及び決議47に基づく新規
の啓蒙活動等を進める。
1)ラポータ及び副ラポータの承認
の研究課題。適合性及び相互接続性プログラム実施のため
ラポータ:Mr. P. Kelley(フランス)
の開発途上国への支援方法を検討する。
副ラポータ:Mr. N. A. Marzouqi(アラブ首長国連
1)ラポータ及び副ラポータの承認
共同ラポータ:Mr. C. T. Oudaa(モーリタニア)
、Mr.
邦)
、福家(日本)
2)作業計画:ラポータが、活動計画と最終報告書の目次
G. Gillerman(米国)
案を提示し、承認された。現時点で目次案を示す目的
副ラポータ:Mr. R. Anago(ブルキナファソ)
、Mr. F.
は、本研究課題が扱う範囲が広いため、取りまとめの
Nakhli(ベラルーシ)
方向を明確化し、寄与文書の提出を促すためである。
2)他課題との協働:ITU-T SG11 and ITU-T JCA-CIT
3)他セクターとの協働:ISO/CASCO、IEEE、ILAC、
ILAF
3)他セクターとの協働:
ITU-T SG5(気候変動)をはじめとするITU-T、ITU-R
との連携、並びに外部機関(WMO等)と連携してい
くこととされた。また、IPCC(United Nations Inter-
3.6 Q5/2(非常災害通信)
前会期のQ22/2の継続。WTDC決議2(ドバイ、2014)
に基づき、自然災害及び人的災害に対する防災、減災、災
governmental Panel on Climatic Change)など国連
レベルの会合の進捗も参照することとした。
4)各国のコメント:
害対応のための電気通信・ICT利活用についてITUの長期的
SIDS(Small Islands Developing States)は特に影響
な役割を明らかにすることをマンデートとする。
を受けやすいため、その重要性をハイライトして欲しい
42
ITUジャーナル Vol. 45 No. 1(2015, 1)
(日本)
、ITU-R/Tに限定せず、WSIS、地域オフィス、
ドバイアクションプランを含めた全ITUの活動を含める
よう提案(UAE、副ラポータ)
、途上国ニーズを見極
ICT equipment, management of e-waste)
3)他セクター、他機関との協働:
ITU、UNEP、UNU等の国連機関と連携していく。
めることが重要(ネパール)
。
3.10 (途上国に関心のあるITU-R/Tのトピック)
3.8 Q7/2(電磁被爆)
1)ラポータ及び副ラポータの承認:
前会期Q23/1の継続である。
ラポータ:Mr. N. Al Marzouqi(UAE)
1)ラポータ及び副ラポータの承認
副ラポータ:今のところなし。副ラポータへの志願者
ラポータ:Ms. L. D.(中国)
副ラポータ:Mr. I. K. Maiga(マリ)
を募ることになった。
2)作業計画:
2)他の課題との協働:Q8/1、Q1/2及びQ8/2。
ラポータから以下のような概要が示された。
3)他セクターとの協働:ITU-T(SG5)
、ITU-R(SG1、
i)ITU-T/Rの途上国に関係あるトピックを特定するた
SG5&SG6)
、WHO、ICNIRP、IEEE、GSMA
めのガイドラインを作成。
4)各国のコメント:アンケート調査をすべきとの中国提
ii)ITU-D SG1&2の課題とITU-T/Rの課題の関係、研
案に対し、既にWHOによる勧告に基づくガイドライン
究活動、事務総局の活動の関係を示す分かりやす
が策定されているので、新たな調査を行うことはコス
い表を作成する。
トや時間がかかるだけでなく、いたずらに市民の不安
をあおることから慎重に検討すべき(日本)
。米国は日
iii)
Q9/2のLiaison Statement(LS)に基づいて、ITUT/Rに対するLiaison Officerを指名する。
本を支持。調査に反対はしないが、WHOがこれまで
iv)
Q9/2ラポータグループのアウトプット及びITU-Dの
様々な勧告を行っており、WHOの専門家の知見を借
SGsの成果がメンバー国にとってどのような利益を
りればよい。WHOがデータを既に有しており、新たな
もたらすかに関して質問状を作り、調査を行う。
調査は必要ない(GMSA)等の意見交換があった。
v)Q9/2の最終報告書をどのような構成とするか概要
を作成する。
3.9 Q8/2(e-廃棄物)
ICTネットワーク並びに情報機器の普及につれ課題となっ
ているICT関連廃棄物の適切な処理と再利用について、途上
国の参考となる計画や政策を検討することを目標とする。
1)ラポータ及び副ラポータの承認
vi)
ITU-T/Rの研究活動の現状報告書を作成、更新す
る。
3)ITU-R/Tの研究活動の紹介:
ITU-R Mr. Sergio BuonomaがRの研究活動全般を紹
介。
ラポータ:Ms. S. A. Barrero(コロンビア、本会合に
ITU-T Mr. ReinhartがTの研究活動全般(トピック)
はリモート参加)
を以下のように紹介。
副ラポータ:Mr. G. C. Ahokpossi(ベニン、本会合の
Copperを利用した高速アクセスラインGDFAST、
議長を務めた)
、Dr. J. N. Njeru(ケニア)
Road Safety for Networked Cars、 Automatic
2)作業計画:
Driving、 GPON、 Climate Change & E-waste、
ラポータから、前会期で取りまとめたcomprehensive
Submarine Cableの中継間隔が100kmのものが出現。
management systemに言及があり、今会期は、技術
センサーを付して海水温度を測定し気候変動予測、津
面は廃棄手法や環境への影響が少ない代替手段等の検
波の検知、これにITU/WMO/UNESCOなどが協力し
討、経済面ではファンド等の検討であるとした。最終
ている。E-healthではContinua Health Allianceが設立
的には以下に示す三つの出力文書を想定し、検討を進
された。これにITU-Tは協力している。
めることとなった。
Internet of Things、 Cloud Computing、 Cyber
1. Minimal technical standard
Security、Smart Sustainable Society、Airplane On-
2. Usage of alternative on hazardous e-waste
line Tracking(ICAOと協力)
、Money Transferに関
3. Analysis of outcome economic aspect(re-use of
してはケニアでミリンダ・ゲイツ財団と協力したプロジ
ITUジャーナル Vol. 45 No. 1(2015, 1)
43
会合報告
ェクトを実施(BDT/TSBとのコラボ)
、Accessibility
の研究、高速インターネット等の種々の研究活動を行
っている。
4.TDAG(開発諮問委員会)
TDAG会合は9月29日(月)から10月1日(水)の3日間
の日程で、ITU本部タワービルのPopov会議場で開催された。
会合にはおよそ47か国から約120名が出席し、審議が行われ
た。我が国からは井出真司(在ジュネーブ国際機関日本政
府代表部)尾“敦子(総務省国政課)川角靖彦(総務省参
写真3.中央がミンキンTDAG議長、右隣が鳥越次長
与)の3名が出席した。
1)議長:Prof. V. Minkin(ロシア)
副議長:Ms. R. McElvane(米国・SG1議長)
、Dr A.
長の挨拶は次のとおり。2015年にはITUは150周年を
R. Sharafat(イラン・SG2議長)
、Mr. N. Karavaski
迎える。会員数の更なる増加と積極的な活動を進めた
(アルゼンチン)
、Mr. R. Taghyzadeh(アゼルバイジャ
い。WSISの次の10年に向けITUは主導的な役割を果
ン)
、Mr. E. Djerambete(チャド)
、Mr. D. Wurges
(フランス)
、Mr. K. Babu(インド)
、Mr. F. Bigi(イ
たし、成果を上げることが重要。
3)審議概要
タリア)
、Mr. A. AlMashagbah(ヨルダン)
、Dr. B.
a)Doc.2はDuAPの紹介。他にプログラム、地域イニ
Seo(韓国)
、Ms. NBoljobekova(キルギス)
、Mr. A.
シアティブ、SG1&2の研究課題、ITU-D SG1&2及
Traoré(マリ)
、Mr. H. E. V. Moreno(メキシコ)
、
びTDAGの作業方法、WTDC-14の決定がITU-Dの
Mr. S. A. Al Mazrooei(UAE)
財政に及ぼす影響も記述されている。
2)開会
b)Doc.3及び4はRes.24(今後4年間のTDAGのNew
トゥーレ事務総局長はニューヨークのUN(Climate
Scope)。これまでのRes.24を少し改定した。
change関連)会合に出席のため不在で、ビデオメッセ
WTDCとWTDCの間の期間、TDAGが決定機関の
ージにより次のように挨拶した。今年はDubaiで
役割を果たすことや任務の内容を正式に規定した。
WTDC-14が開催された。Dubai Action Plan(DuAP)
Doc.4ではRes.1の改定を次回WTDCに向け、
に基づいて、ITUは行動しなければならない。また、10
Correspondence Gで行うという提案。そのための
月にはブサンでPP-14が開催される。ITU-Dの成果を
CGのToR(Annex1)を固める。Annex 2はout-
PP-14に入力して欲しい。サヌウBDT局長は次のよう
come indicators(ITU-D活動の成果測定:KPI)
に挨拶した。第6回WTDC-14のテーマは「持続可能な
のリスト。これもCGのToRに含める。なお、CGは
発展のためのブロードバンド」であった。Dubai宣言と
TDAGの前か後にFace to faceの会合を持つこと。
DuAPが採択された。その中には一連の戦略計画
この会合にはTDAG議長、副議長も参加すること。
(2016-2019年)に関する決議がある。BDTは拡大する
Roxanne SG1議長とナサー副議長(UAE)が協力
通信マーケットに関する重要データ及び統計を作成し
ている。11月24-26日World Telecommunication ICT
してToRに対するコメントをまとめる。
c)Doc.5及びDoc.17の審議(Res.59:Inter-Sectoral
indicator symposium(WTIS)を開催する。また、バ
Group)
ーレーンにおいてGlobal Symposium for Regulator
3 sectors(D、R、T)に共通の関心ある問題を共
(GSR)が開催され多数の参加があった。本年9月サモ
44
のための財務資源確保を進めたい。TDAGミンキン議
有するチームを作る。
アで開催された第3回島嶼国(SIDS)会議に参加し
ナサー副議長がToRを策定する。これが合意された
た。Climate changeが重要なテーマだった。SIDSに対
らTSAGとRAGに送る。目的としては、セクター間
してできる限りの財政支援を行いたい。プロジェクト
の調整、協力関係を強め、相互理解を深める。
ITUジャーナル Vol. 45 No. 1(2015, 1)
d)ITU-Dの運営計画のReview(Doc.6、21、23)
く改善された。参加者数、寄書数も増えた。PPPも
Doc.6(Performance Report 2013)及びDoc.21
進んだ。SG活動を評価しよう。サヌー局長からITU
(2014年1-6月のPerformance Report)。6 objec-
はWSISのFacilitatorだが、その95%はITU-Dの作業。
tives、Implementation Plan、Budget Perform-
Correspondence Gで Strategic Plan、Financial
anceなどの報告。Doc.23は、Regional Initiatives
実行のため、本年12月までにResource Mobiliza-
Plan、Operational Planを検討する。Fabio Bigi
(イタリア)氏がCGのToRを作る。
tionを推進。主にPrivate SectorとのPartnershipを
Doc.25(中国)ICTのサービス融合が急速に進む一
模索する。
方で格差が拡大。調査が必要。ナイジェリアが支
e)ITU-D SG1&2に関連した事項(Doc.7&8)
Doc.7は、SG1議長(米国・Ms. R. McElvane)よ
り説明。
持。BDTがこれをやる。議長からこれは遅延寄書だ
が、他の5か国語に翻訳すべき。
h)TDAG and SGの電子的作業方法(Doc.11)
インドから、現在Q1などは、16か国がラポータ・副
Doc.11は、遠隔参加の際の時差の問題で苦労して
ラポータとなっているが、多すぎる。4-6か国程度に
いるとの指摘(アラステ、アゼルバイジャン、UAE)
。
絞ってはどうかとの提案があった。さらに、UAEよ
物理的に参加が難しい障がい者も参加可能になっ
り、副ラポータの役割を明確化する必要がある旨の
たのは良い。しかし、目の不自由な人、ろうあ者な
発言があった。議長は、これはSG1だけの問題では
どへの対策にも考慮した改善が必要(米国のサック
ないが、歴史的な経緯があるもの。SG1議長から、
ス氏)
。インドが指摘するようにもっと大規模に障が
サイバーセキュリティは、昔から多くの問題を抱え
い者の参加を容易にする対策を講じて欲しい(マリ
ており、一人では難しいとの説明があった。また、
のデンベレ氏)
。
イラン・アラステ氏は、共同ラポータには2種類あ
i)キャパシティビルディングへの取組(Doc.12)
り、ラポータをアシストする場合と、一緒にラポー
Doc.12は、Meller氏より説明があり、ザヴァザヴァ
タとして活動する場合とある。Doc.8について、SG2
部長より補足として、WTDC14において決議40が
議長(イラン・Dr A. R. Sharafat)より説明。
採択され、2015-2018年会期についての提案をいろ
f)WSISの Plan of Actionに 対 す る ITU-Dの 貢 献
(Doc.9)
いろ受け取ったので、次のステージに向け対処すべ
きとの説明があった。ITU Academyのための訓練資
Doc.9は、WSIS+10 High Level Eventとそのout-
料を作成しており、COEにおいて利用される。新し
come及びWSIS+10 Statement on Implementa-
いCOEは本年8月29日で締め切られ、目下、選考
tion of WSIS Outcomes、WSIS+10 Vision for
が進んでいる。ITU Academyイニシアティブに基づ
WSIS beyond 2015が紹介されている。その中でも、
いて周波数管理、QOSの訓練資料が作成され、ヒ
WSIS Action Lines C2, C5 and C6推進のために
ューマンキャパシティビルディングに関する世界ICT
BDTの果たす主導的な役割は重要である。ICTが開
フォーラムを2015年に開催する準備が進められてい
発に果たした効果測定において、BDTの貢献は多
ることなどが述べられている。
大であった。
g)ITU-Dの4年ローリング運営計画(Doc.10及び25)
j)メンバーシップ、パートナーシップ、資源移動他、
(Doc.13、14、15、24)
Doc.10は、2015-18年の4年ローリング運営計画を、
Doc.13は、ITU-Dのメンバーシップの現状分析。セ
2013年計画の実績に基づき改定。六つのobjectives
クターメンバーは340.アソシエーツ10.アカデミア22。
を五つに絞った。ローリング計画は戦略、財政、運
2014年には10の新メンバーが加盟。本寄書はPP-14
営から成る計画で、D-セクター活動の方向性を決
に提出される。アカデミアの分担金の問題、メンバ
める重要なもの。ブルキナからC2、C5、
“connect
ー数を増やす方策、コストリカバリーを図る参加費
the world”等アフリカに関係深いものが盛り込ま
改定等を含む決議案が付いている。
れているのでこの計画を支持する。インドからITUD SGの報告を活用すべき。韓国からSG活動は著し
k)Doc.14はITUがPartnership Agreementを結んだ
実績の報告。
ITUジャーナル Vol. 45 No. 1(2015, 1)
45
会合報告
2011-2014年の実績が表になっている。この表には
BDTより説明。第11回(メキシコで開催)第12
i)Memorandum of Understanding.
ii)Volun-
回(ジョージアで11月開催予定)
。イスラエルよ
tary Contribution Agreement. iii)Cooperation
り、WTISは重要で、ITUのデータは無料のはず
Agreement.
なのに、有料。
iv)Letter of Intent.
v)Adminis-
trative Agreement. vi)Letter of Engagement.等
iv)非常災害通信(Doc.20)
をITUと交わしたプロジェクトの総額が出ている。
寄書は、BDTより説明。日本より、BDTへの謝
2014年の総額はU$39milと大きく見えるがITUへの
辞と現状報告、MDRU有用性等を発言。イラ
管理費収入は見えない。
ン(アラステ氏)より、全ての国が災害に困っ
Doc.15はprivateセクターの加盟状況。ITU-D加盟
ているので、本件の責任者であるザヴァザヴァ
数の61%をprivateセクターが占めており、privateセ
部長は、報告書にあるように災害後24時間以内
クターがITU-D活動に重要な役割を果たしている。
に通信を回復できるような災害対応システムの
Doc.24は日本寄書ICT broadband開発計画を進め
構築をすべきとの発言があった。
るに当たり、World Bank、UNDP、地域開発銀行
からの資源移動を進めるべきとの提案。Res.71に基
づき上記の開発銀行とパートナーシップを促進し、
プロジェクト資金がITUに回るようにすべき。ITUは
TDAG及びSG1&2の議長・副議長はWTDC-14において
管理費収入で専門能力の高い人的資源を確保可
決められた。SGの各課題のラポータ及び副ラポータは、
能。韓国から他にもEUや世界的規模の援助機関が
WTDC後にBDT局長の回章でメンバー国から候補者を募り、
ある。ブルキナファソからはアフリカ開発銀行と協
今回の会合で決めた。しかしながら、多くの応募があり、か
力して“connect the world"を推進すべきとのコメ
つ各ポストに重複して応募があった。BDTは事前にコンサル
ント。議長は次のように集約。ITUの150周年に向
テーションすることなく、マネージメント会合で応募した全
けてメンバーに魅力的なITUにするようにBDT局長
ての候補者を承認してしまった。そのため、ラポータが複数
が努力すべき。また、日本寄書Doc.24を考慮に入
になり、誰が主導するのかはっきりしなくなった。また、副
れ、援助機関の参加、資金移動にも努力するよう
ラポータの数が非常に多いことも問題となった。複数のポス
BDT局長に勧告する。
トへの応募は認めないと回章にあった。結果は、一人でいく
l)Any other business(Doc.16、18、19、20、22、
つものポストに就任した者もあった。ラポータ/副ラポータの
DT/2、DT/3、DT/5)
義務を明確にすべきとの動きも出ている。例えば会合への出
i) ITU Web siteの言語の問題(Doc.22)
。ロシア
席など。今後、徐々に問題が改善されるよう期待したい。中
より説明。
46
5.おわりに
国がラポータ会議を招請しようとの新しい動きがあった。中
ii)GSRの問題(Doc.18)
。BDTより説明。
国から、日本と韓国に対してアジアでの開催を積極的に進め
iii)WTISの問題(Doc.19)
ようとの協力を要請された。
ITUジャーナル Vol. 45 No. 1(2015, 1)