はがき随筆 題名 ドングリ(26.11.12 掲載) 氏名 嶋田 秀宏(しまだ ひでひろ)73 歳 秋晴れの日の昼下がり、公園のベンチで休憩していたら、ヨチヨチ歩きの女 の子が近寄ってきた。ドングリが散らばっているのを、小さな手で拾っている。 私の姿に気がつくと、ポイと投げてよこした。 それを見た若い母親が、 「申し訳ありません」と私に謝った。そして、女の 子に向かって、静かに話かけた。 「人さまに、物を投げてはいけませんよ。きれ いなドングリだから、おうちに持って帰りましょうね」。 幼い子に丁寧な言葉で諭す態度は、とても爽やかだった。 笑顔で立ち去る母子を、私も笑顔で見送った。 はがき随筆 題名 墓参り(26年9月24日に掲載) 氏名 嶋田 秀宏(しまだ ひでひろ)73歳 恒例のお彼岸の墓参り。 好天に恵まれたので、妻の同意を得て自転車で行くことに。 妻は電動アシスト車、私は人力。自宅から墓までは約 10 ㎞の道のり。30 分 で到着。 墓石を清めた後、お花とお水のお供え。焼香して合掌し、家族の無病息災を祈 願する。 墓地内に植えている彼岸花は、今年も真っ赤な花を咲かせている。辺りにはシ オカラトンボが飛び交っている。天候不順だった今年の夏とはもうお別れ、す っかり秋の気配だ。 爽やかな空の下での老夫婦のサイクリング。逆風をものともせず勇躍して帰 路に着いた。
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