特集 学生の研究活動報告−国内学会大会・国際会議参加記 17 海外キャリア実践実習に参加して 中 野 友 貴 Yuki NAKANO 数理情報学科 3年 (2)画像のアップデート 1.はじめに 集めてきた URL をもとに,会社の運営するサイ 私は 8 月 4 日から 8 月 21 日までの 2 週間,アメ トにアップデートする作業です.口コミをもとにお リカのカリフォルニア州ロサンゼルスで行われた海 客様にレストランに足を運んでいただくためのグル 外キャリア実践実習に参加しました.参加した目的 メサイトであり,より多くの人により正しくおいし は,英語が話せるようになりたい,積極的になりた そうな画像のアップデートをしていただくことを理 い,自分の強みを知りたい,という三点です.その 想としているために,一度アップデートした画像は ために,積極的に話す,何事にも挑戦するというこ 削除できません.もし,間違えてアップデートして とを行動目標として取り組みました. もほかの投稿者の写真を参考にすればいいという方 針のようで,ミスの許されない地道な作業でした. 2.インターンシップ (3)「食べログ」との比較 今回,AuriQ Systems, Inc. でインターンシップを 日本のグルメサイトである「食べログ」との比較 させていただきました.この会社はリアルタイム です.「食べログ」内で東京都には何件レストラン web 解析製品の開発とサービス提供をされている会 があるのか,またそれぞれのレストランには,何枚 社で,社長以外は非日本人でした.この会社が運営 の画像があり,そのうち何枚がメニュー名と画像が するグルメサイト「Cualy」の運営に際しての情報 一致しているのか 21 件のレストランをピックアッ 収集のお手伝いをさせていただきました.私のした プして調べました.各レストランにはたくさんの画 仕事というのは主に 3 つです. 像があり,それを 1 枚 1 枚コメントと照らし合わせ (1)データ収集 ながら,合計約 4000 枚の画像を調べました. レストランの住所,メニューの名前がリストアッ これらの仕事や会社の方々との会話や会議を通じ プされている csv ファイルにメニュー名と一致する て,まず任されるとどんな仕事であっても頑張れる 画像の URL とその画像のおいてあるサイトの URL ことに気付きました.「食べログ」についての情報 を張り付けるという作業でした.この画像は SNS 収集は,社長と私しか日本語がわからないので,私 サイトや検索サイトから探し,投稿されたコメント にしかできないという責任感を感じ,地味な作業で を読んでリストアップされているメニュー名と比較 あっても真剣に取り組むことができました.次に自 しました.たとえばイタリアンのレストランだとメ 分の志望する業界の方に会うにあたっての準備不足 ニューはイタリア語ですが,投稿者のコメントに書 に気付きました.大学でどんな勉強をしているのか かれるメニューは英語であったために,一致するか を話した際に成果がわかるものを見せてほしいと言 どうか確かめるため,メニューもコメントも日本語 われたのですが見せられるものが何もなく,2 週目 に翻訳しながらの作業でした. からプログラムを組んでみようというお話も無くな ― S-3 ― りました.準備不足がチャンスを逃してしまい,と ても悔しい思いをしました.最後に改めて自分の語 4.おわりに 学力のなさに気付きました.仕事はそれぞれ別々の この実習を通じてまずはそばに支えあえる人がい 部屋であまり会話のない会社でしたが,ランチタイ てくれることの大切さに気付きました.日本語の通 ムはみんなそろって食べました.私一人が会話につ じないアメリカで,英語をほとんど話せない私が, いていけず,話を振られてもまともに返事ができな インターンシップやホームステイで 2 週間も滞在す かったり,聞き取れなかったりしたため,私の語学 るなんて無茶な話だと思いながらも旅立ちました. 力は社員の方に呆れられるほどでした. 入国審査の時で一人ずつになる時,それぞれホーム ステイ先に引き取られる時,ものすごく不安でし 3.グローバルキャリアプログラム た.誰かが一緒にいてくれる,一緒に頑張ろうとし 8 月 9 日から 8 月 12 日の 4 日間にはグローバル ているそんな仲間がいることは私の不安を打ち消し キャリアプログラムに参加しました.このプログラ てくれるし,仲間がいたからこそ頑張れたこともた ムは日本の他大学からも学生が参加し,いろいろな くさんありました. プログラムに参加するなかで,私は毎日目標を立て それと同時に追い込まれたときにこそ自分の強さ がわかりました.アメリカで何かをやり残したと後 て過ごすことを目標に取り組みました. キャリアフォーラムや,企業訪問など,たくさん 悔しながら帰ってくるということはしたくなかった の海外で活躍する日本の企業や日本人の方に交流す ので,行きたいと思ったところには行き,やりたい る機会がありました.さまざまな企業の方のお話を と思ったことには挑戦しました.英語でしか自分の お聞きし,どの企業にもミッションやビジョンがあ 思っていることを伝えられない状況でも,自分から り,それも企業によって様々であることを知り,私 英語で話しかけ,道を尋ねたりチケットの買い方を が就職する際には,その企業の経営方針,理念と自 聞いたりなど,積極的に話しかけたり,自分の思い 分の考え方の似た企業を選びたいと強く感じまし をはっきり伝えたりそれまで消極的であった自分が た. 嘘であるかのようでした. 国際学生ビジネスフォーラムには国籍,理系,文 そして,私に一番足りなかったものは一歩を踏み 系を問わずたくさんの学生が参加しました.全員が 出す勇気だったことに気付きました.英語を勉強し わかりあうために英語は必要不可欠でしたが,ディ たくない.英語を話したくない.と英語を勉強する スカッションをしていても,自分ひとりだけが全く ことから逃げ続けてきた私でしたが,海外に行って 話についていけないうえに,自分の意見を言おうと みることで単語の知らなさを改めて感じると同時 しても言葉が出てこなかったため,自分の英語力の に,自分の英語が通じること,英語がわからなくて なさに落ち込みました.それでも,日本語のわかる も伝えたい気持ちがあれば伝わることがわかり,さ アメリカの学生が「こういうことを言いたいでし らには英語で話すことの楽しさも感じました. ょ?英語では∼∼と言うんだよ」と教えてくれた 2 週間という短い期間を全力で走り続け,日本で り,「○○はどう思う?」と全員がまんべんなく発 いるときには考えたこともなかった考え方や,日本 言できるように話を振ってくれたり,日本人学生だ でいれば会えなかった人たちに出会えました.私を けだと誰からしゃべろうか,と遠慮の押し付け合い 応援してくれる人の多さにも気付きました.自分の になるところも,率先して話してくれたりと,海外 周りにいる人たちに対して感謝を忘れず,人との出 で学ぶ学生の積極性やリーダーシップ,熱さを感じ 会いを大切にして誰かに感謝されるような人間にな ました. ろうと思います. ― S-4 ―
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