【黒の切り札亭】第6話 秘めたる想いを届けよう!【オープンキャンペーン】 シナリオ NPC ●アリサ(17 歳・人間・女) ・黒い髪をポニーテールで結った町娘。 ・父親はアリサが生まれた頃に、モンスターに襲われて死んだと聞かされている。 ・母親も昨年病死。 ・歌が好きで、楽しいことや悲しいときに歌う癖がある。 ●ミレイユ(42 歳・人間・女) ・アリサの母親。アリサと同じ、黒髪、長髪の女性。 ・19 年前、当時 22 歳だったミレイユは、盗賊ギルド内の抗争がもとで怪我をしていたマーカスを偶然かくま うことになり、そのまま結ばれて 2 年後にアリサを出産した。 ・マーカスが盗賊ギルドの構成員であることは知っているが、マーカスが姿を消した後、女手一つでアリサを 育てた。 ●マーカス(享年 52 歳・ナイトメア・男) ・アリサの父親。赤髪で、老化しないため若く見える。細身な男。 ・盗賊ギルドの暗部に関わる仕事をしていた構成員。19 年前、ミレイユと結ばれてアリサが生まれた後、2 人 を巻き込むまいと 2 人とは別れている。 ・別れてからもミレイユを愛しており、表向きには生涯独身だったということになっている。 ・15 年かけてギルド内で幹部の地位を得たが、病に侵され先月死亡した。 ・基本的には盗賊ギルドの息がかかった地下の施設にいるが、地上にも目立たない一軒家を持っており、そこ でくつろぐこともある。この一軒家の存在は盗賊ギルドにも秘密にしている。 ・一軒家には誰も立ち入らせない。また、警戒のために罠を仕掛けている。 ・自分に何かあってもアリサ達が暮らしていけるよう、町の給水塔を買い取り、その最上階に隠し部屋を作っ て遺産を置いている。 ●ヨハン(22 歳・人間・男) ・銀髪の青年。やや猫背気味。 ・マーカスの部下。幼いころにマーカスに拾われたため、恩義を感じている。 ・盗賊ギルド内での仕事は主に密偵。スカウト Lv2を持つが、戦闘系の技能はないため、荒事は苦手。 ・マーカスがアリサに遺産を残していることを知っているが、深くはあえて知ろうとしなかった。 ●盗賊ギルドの 3 人組 ・盗賊ギルドの構成員。マーカスの部下ではあったが、別に恩義などは感じていない。 ・マーカスが死に、以前、偶然見つけた一軒家のことを思い出した。一軒家に侵入し中を漁った際、ミレイユ とアリサの絵、それに「私が死すとも、彼女たちに幸せを」と書かれたメモを見つけて遺産の存在に気づき、 横取りを画策している。 ・一軒家の隠し部屋やミレイユの歌にヒントが隠されていることは知っているが、うまく聞き出すことができ ず、アリサの家を見張ってチャンスをうかがっている。 ・安宿を根城に、ボッシュ(昼)とラヒド(夜)がアリサをストーキングしている。 ●バニフォ(人間・45 歳・男)かけら2ついり ・3 人組の一人。青白い顔の魔術師。基本的に宿から出てこない。 ・猫のファミリアを持っているが、2 人には隠している。 ・遺産の隠し場所である噴水の地下通路を知っているが、抜け駆けを恐れて 2 人には教えていない。むしろ、 チャンスがあれば 2 人を見捨てて遺産を狙う。 モンスターLv4 言語:共通語・魔法文明語 知名度/弱点値:8/- 先制値:14 弱点:なし 生命抵抗力:6(13) 精神抵抗力:7(14) 攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP 杖 4(11) 2d+1 5(12) 2 36 34 真語魔法 4Lv/魔力 7(14) 戦利品 2~3:なし 鷹の目 4~8:銀貨袋(1d×30G) 剣の加護/運命変転 9~10:大きな銀貨袋(1d×100G) 11~:宝石(1d×150G) ●ボッシュ(人間・35 歳・男) ・3 人組の一人。昼のストーキング担当。頬に大きな刀傷がある。賭け事が好き。1 週間前、知り合いの盗賊 に賭けで負け、 「近々大金が手に入る予定だからつけにしておいてくれ」と漏らした。 モンスターLv4 言語:共通語・地方語 知名度/弱点値:6/- 先制値:11 弱点:なし 生命抵抗力:6(13) 精神抵抗力:5(12) 攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP 武器 6(13) 2d+5 6(13) 4 35 14 全力攻撃(打撃点+4、回避-2) 戦利品 2~6:なし 7~10:銀貨袋(1d×50G) 剣の加護/運命変転 11~:銀貨袋(2d×50G) ●ラヒド(人間・35 歳・男) ・3 人組の一人。夜のストーキング担当。肌が浅黒く、眼帯をしている。酒が好き。2 週間前、ミレイユとア リサの似顔絵をもとに、盗賊ギルドの情報屋を使ってアリサの家を探しあてた。無論、目的などは話してい ない。 モンスターLv4 言語:共通語・地方語 知名度/弱点値:6/- 先制値:11 弱点:なし 生命抵抗力:6(13) 精神抵抗力:5(12) 攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP 武器 6(13) 2d+3 6(13) 3 25 14 全力攻撃(打撃点+4、回避-2) 戦利品 2~6:なし 剣の加護/運命変転 7~10:銀貨袋(1d×50G) 練技:「オウルビジョン」 11~:銀貨袋(2d×50G) ●ストーンサーバント(かけら3つ入り) るるぶ1参照。 本編の流れ 〈導入〉 ・PC の一人に、友人であるアリサが、 「ちょっとお願いがあるんだけど」と声をかける。 「2 週間くらい前から、誰かにずっと見られてるような気がするの。窓を開けると誰かが物陰に隠れたり、寝 てると外で物音がしたり……」 「私の勘違いならいいんだけど、去年母さんが死んでから一人暮らしだし。何だか怖くて」 「もし、できるならその人を見つけて、やめるよう説得してほしいの」 「お願い。あなた達が次の冒険に出るまででいいから」 ・アリサには物心ついたころから父親はいない。父親は冒険者で、モンスターに襲われて亡くなったと母親か ら聞かせれている。 ・母親のミレイユは女手ひとつでアリサを育てたが、去年、病気で他界した。 〈展開〉 ★アリサの家 (昼間) ・家の周囲に気をつけていると、 【危険感知判定】で 11 以上を出すと、頬に大きな刀傷のある男が物陰からア リサを見張っていることに気付く。気づかれた刀傷の男は慌てて逃げ出す。 ・追いかけるなら(敏捷度 B+2d)で 11 以上で追いつける。ただし、この判定は気づいた PC のみ。 ・追いついたなら袋小路での戦闘になる。追いついた PC 以外は3ラウンド遅れて戦闘に参加する。 (夜間) ・家の周囲に気をつけていると、 【危険感知判定】で 11 以上(暗視があれば-4 して 7 以上)を出すと、浅黒い 肌で眼帯をした男が物陰からアリサを見張っていることに気付く。気づかれた眼帯の男は慌てて逃げ出す。 ・追いかけるなら(敏捷度 B+2d)で 11 以上で追いつける。ただし、この判定は気づいた PC のみ。 ・追いついたなら袋小路での戦闘になる。追いついた PC 以外は3ラウンド遅れて戦闘に参加する。 ・ボッシュかラヒドは顔を見られたら、 逃げ切ったとしても PC を警戒して翌日の見張りの目標値が 1 上がる。 (昼夜共通) ・アリサの家は下町の一軒家。部屋は台所・寝室・トイレ・居間の4つだけ。 ・部屋の中を調べても怪しいものは見当たらない。 ・もし、PC が泊まり込みで見張るならアリサが「家は狭いし、ベッドも 2 つしかないから」と言い、最大で 2 人まで。 ・黒の切り札亭は、アリサの家から歩いて 30 分くらいのところにある。 ★近所の評判 ・ 「仲のいい母娘だった」 「父親はアリサが生まれたばかりの頃にちらっとしか見なかったが、ナイトメアだっ たように思う。名前は知らない」といった評判が聞ける。 〈ヨハンの接触〉 ・2 日たつと、アリサの目を盗んで見張りの PC に、 「彼女のことで、ちょっとお話があります」と言ってヨハ ンが接触してくる。 ・PC が警戒しているようなら、 「最近、アリサを見張ってる者について心当たりがある、と言えばお分かりでしょうか」 「他にお仲間がいるようでしたら、呼んでくださって結構です。こちらとしても話が早くなるので」と促す。 ・ヨハンはアリサの前では話したがらない。なるべく場所を変えてほしいと言う。 ★ヨハンの話 「まず最初に、このお話はアリサを含めて、他の方には一切漏らさない、と約束していただきたいのです」 「あなた方が秘密を洩らした場合、最悪、アリサの身に危険が及ぶ可能性があるのです」 「あなた方はアリサの個人的な友人で、なおかつそれなりの実力があると見込んだ為にお話しするのです」 ここで PC が話を聞くのを断ったり、力づくで話を聞こうとするならヨハンは一人で遺産の確保に向かい、 番人であるストーンサーバントに重傷を負わされてしまう。 PC が了解するなら、以下の話が聞ける。 「実は、アリサの父親は亡くなった訳ではなく、つい先月まで、生きてこの街で暮らしていました」 「アリサの父親の名前はマーカス。この街の盗賊ギルドの幹部です。私はその部下のヨハンといいます」 「19 年前、ギルド内の抗争で重傷を負ったマーカス様は、偶然出会ったミレイユという娘に命を助けられ、 かくまってもらったことがあるのです」 「やがて、マーカス様とミレイユは愛し合うようになり、2 年後に生まれたのがアリサです」 「しかし、娘のアリサがギルドの抗争に巻き込まることを恐れたマーカス様は、自分を冒険で死んだことにし て 2 人の前から去られたのです」 「そのマーカス様も、先月病で亡くなられました。ただ、生前マーカス様は密かに 2 人のことを気にかけてお り、遺産を残されたのです」 「アリサをつけまわしているのは、その遺産を狙っている奴らです」 「私の知る限り、そう人数は多くないはずです。盗賊ギルド内で遺産の噂が全く出ていないことから、偶然遺 産のことを知って、アリサの手に渡る前に横取りしようと考えているのでしょう」 「もうお分かりとは思いますが、ギルドの幹部に隠し子がおり、しかもその子に渡っていない手つかずの遺産 があることが公になれば……その遺産を狙ってアリサの身に危険が及ぶ可能性があるのです」 「一度、アリサの手に渡ってしまえば、あえて遺産を狙う者はいなくなるはずです。そうなれば今度は私を含 め、マーカス様のシンパが黙っていませんから。 」 「マーカス様とアリサのため、どうにか遺産を確保しアリサに届けてもらえないでしょうか」 「マーカス様の遺産については私にわずかながら心当たりがあります。」 PL が渋るようなら、このシナリオの達成目標は「アリサの身を守ること」であることを PL に伝えること。 ★盗賊ギルド ・ヨハンの身元や話の裏を取りたいなら、盗賊ギルドに行けばヨハンは嘘をついていないことがわかる。また、 ヨハンに同行を求めたら、それに従う。 ・ただし、盗賊ギルドで話を聞くなら 1 つにつき 50G の情報料がいることと、遺産についてはギルド内でも 話さないことを PL に警告すること。ギルドに手つかずになっている遺産のことを知られたら、それを狙う 者が現れることが予想される。 (各 50G の情報) ① 「マーカスはナイトメアであり、先月病死した」 「妻子がいたという話は聞いたことがないが、部下の面倒見はいい男だった。ヨハンも部下の一人だ」 「20 年ほど前のギルド内での抗争で、一時期行方が分からず死んだと思われてたこともあった」 ② (アリサについて) 「おやおや、お前たちもこの娘を探してるのか?2 週間ほど前にうちのギルドのラヒ ドも同じ娘を探しに来てたな。理由は知らんが」 ③ (頬に刀傷の男について) 「ふむ、そいつはうちのボッシュだな。なに、力任せの下っ端さ。稼いで も稼いでも●●って酒場で賭け事ですっちまうさえない奴だよ」 ④ (眼帯の男あるいはラヒドについて) 「ラヒドはうちのモンだが。●●って酒場でよく見かけるな」 ★酒場 ・店にボッシュやラヒドは来ていない。 ・店の客(盗賊風)が言うには、1 週間前、賭けで負けたボッシュが「近々大金が手に入る予定だからつけに しておいてくれ」と漏らしてた。 ・セッションの進行次第では、見張りを終えたボッシュかラヒドをやって来させてもよい。 〈ボッシュやラヒドが PC に捕まった場合〉 ・PC に知ってることは全部話す。 (自分の名前や仲間の情報、アリサを狙ったいきさつなど) ・ただし、遺産の隠し場所は魔法使いのバニフォしか知らない。アリサから秘密を聞きだしたら、自分たちが 持ち逃げすると思ったのだろうという。 ★マーカスの隠れ家 ・ヨハンはこの場所を知っているので案内できる。また、ボッシュたちに聞いても分かる。 ・家の中は本や家具がかなり散乱しており、荒らされていることが一目でわかる。 ・机の陰にミレイユとアリサの小さな肖像画、それに「私が死すとも、彼女たちに幸せを」と書かれたメモが 見つかる。 ・ 【探索判定】 (スカウト Lv+知力B+2D)で 10 以上を出せば、壁の下から紙が不自然にはみ出してるのに 気付く。よく調べると、壁がスライドして、中に隠し部屋があることがわかる。 ・隠し部屋の中には、遺産の隠し場所について記した巻物が広げられている。内容は以下の通り。 ・町の広場にある噴水の石を一つずらすと、路地から地下に続く通路がある。 ・この通路はマーカスが買い取った街の給水塔の地下につながっており、遺産はそこにかくしてある。 ・遺産を守るため、1つの鍵と1体の守護者をおいている。 ・ 「鍵の手掛かりは私の娘の中に残しておく。娘に万が一のことがあれば、遺産は永遠に失われるだろう」 〈遺産を巡っての攻防〉 ★アリサの家 ・マーカスは生前使っていた遺品などを一切アリサのもとには残していない。 ・キーワードは「父親からもらったもの」。これをアリサに聞けば「物ってほどじゃないけど…昔、母さんが よく私に歌ってくれた子守歌は、父さんが作ってくれたらしいの」と思い出す。 ・子守唄の内容は “おやすみ、おやすみ、いとし子よ 双子の女神が微笑んで お前の明日を照らすだろう 花は歌い 鳥は踊り お前に朝を告げるだろう だから まどろみの中で 今はおやすみ” ・アリサが歌のことを語りだしたら、【危険感知判定】で 9 以上を出すと、窓の外で猫のような生き物が走っ ていくのに気付く。 【魔物知識判定】で 8 以上か、ソーサラー技能の PC はファミリア-であることがわかる。 窓の外に警戒していれば、歌のことを知る前にファミリア-は逃げていく。この場合、バニフォは遺産を手 に入れることができず、PC 達の後を追うことになる。 ★給水塔への地下通路 ・地下道は一本道で、罠はない。 (万が一、アリサ自身が来たときのため。 ) ・途中に地下道をふさぐ形で石の扉があり、手のひら大の彫刻の板が 5 枚はめ込まれている。調べると、手 で押し込めそうなことがわかる。【罠感知判定】(スカウト Lv+知力B+2D)で 10 以上を出すと、間違 えると何かのスイッチが入ることがわかる。解除は不可能。 ・彫刻の板は左から順に「さえずる鳥」 「空駆ける天馬」「色鮮やかな花」 「一人の女神」 「火を吹く竜」。 ・正解は歌の順に「女神」 「女神」 「花」 「鳥」の順に押し込む。 ・間違えると通路の壁が開き、ストーンサーバントが現れる。 (バニフォが先に来ていた場合) ・扉は開けられ、バニフォは一抱えの宝箱を手にしている。PC がバニフォに近づくと、壁からストーンサ ーバントが現れ、襲ってくる。 ・戦闘はストーンサーバントとバニフォと行う。 (もし無事ならばボッシュとラヒドも参戦する) (バニフォが後から来た場合) ・扉を開けた途端、通路の来た方から「貴様ら!よくも俺をだしぬきおったな!」と声がして、バニフォが 追いかけてくる。 ・戦闘はバニフォと行う。 (もし無事ならばボッシュとラヒドも参戦する) 〈エンディング〉 ・宝箱には 5 万ガメルの金貨や宝石、そして赤ん坊のアリサとそれを見守るマーカスとミレイユが映った《バ ーサタイル》が入っている。 ・この宝箱をどうするかは PC に委ねられる。 ・戦闘に勝ち、遺産の入った宝箱を入手すれば、とりあえずアリサの身に危険が迫ることはなくなるため、ミ ッション成功の 1000 点を得られる。 ・PL が機転を利かせて、アリサの身に危険がないような手段を講じたうえで、バーサタイル以外の遺産もア リサに渡したならば、経験点は 500 点追加の 1500 点。 この場合、アリサは「父さん……」と目に涙を浮かべてバーサタイルを大事に抱きしめる。 そして、 「母さんの残してくれた貯えも少しはあるし、父さんと母さんに胸を張っていけるよう、自分で暮 らしていきたいから」と PC に遺産から 3000G ずつ渡し、残りはライフォス神殿の孤児院に寄付する。
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