難民問題 - 日本模擬国連関西事務局

2010/08/28
日本模擬国連神戸研究会
夏勉強会
難民問題
文責 後藤 香菜子
プレゼンの目的
・
「難民」とはどのような人を指すのかを知ろう!
・難民がどのように保護されているのかを知ろう!
・難民問題の抱える今後の課題を知ろう!
1、
「難民」とは?
*定義
難民条約1による(①
難民
)の定義
人種・宗教・国籍・政治的信条などが原因で、
自国の政府から迫害を受ける恐れがあるために国外に逃れた者
*難民の歴史
1917 年 ロシア革命
→大規模な難民の発生に伴い、
「難民問題」が国際社会の注目を集めるようになる。
1921 年 難民高等弁務官 設置
→ロシア革命で発生した難民を救済。「ナンセン・パスポート」を発行する。
1940 年 第二次世界大戦 勃発
→ナチスによるユダヤ人迫害など、各地で大量の難民が発生。
→難民問題は「各国の問題」ではなく、「国際社会の問題」となる。
1948 年 世界人権宣言 採択
→他国に避難する権利も含めた、すべての人間の自由と平等のための人権を尊重。
1950 年 UNHCR2 設置
→難民について包括的に扱う国連機関として、今日に至るまで世界各地の難民を救済
している。
1
2
正式名称は「難民の地位に関する条約」
。1951 年国連で採択された。
国連難民高等弁務官事務所 the office of the United Nations High Commissioner for Refugees
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*難民の現状
1500 万
現在、約(②
)人もの難民が世界には存在しており、そのう
ちの約3分の2を UNHCR が保護を担っている。
UNHCR 保護下の難民数(2009 年末時点)
アフリカ
2,300,100
アジア
5,620,500
ヨーロッパ
1,628,100
南アメリカ
367,400
北アメリカ
444,900
オセアニア
35,600
合計
10,396,600
2、難民の保護
*国際機関
◇(③
国連難民高等弁務官事務所
)UNHCR
・第二次世界大戦後の 1950 年、
難民問題に普遍的に取り組む国連機関として設立。
・難民の庇護や、自主的帰還、庇護国への定住、第 3 国への定住の支援を行う。
・難民条約への締結・加入を各国政府に呼び掛ける。
◇UNRWA3
・1948 年のイスラエル独立に伴い発生した、パレスチナ難民を救済するために
1949 年に設立。
・パレスチナ難民に教育、保健、福祉、救急などを行う国連機関。
◇その他
・WFP(国連世界食糧計画)・・難民、被災民などに食糧援助を行う。
・OCHA(国連人道問題調整事務所)
・・自然災害や紛争時に状況把握、情報提
供を行い、国家や国際機関、NGO による緊急支援活動の調整などを行う。
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国際連合パレスチナ難民救済事業機関
Refugees in the Near East
United Nations Relief and Works Agency for Palestine
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*国際条約
◇「難民の地位に関する条約」(④
難民条約
)
・第二次世界大戦後の大量の難民発生を契機に、1951 年に採択された条約。
・難民の定義、
「ノン・ルフルマンの原則4」など、難民に保護を保障し生命の安
全を確保する規定を定めている。
◇「難民の地位に関する議定書」
・上記の条約から、時間的制限・地理的制限を取り除いたもの。
・国連総会で 1967 年に採択された。
3、各国の状況
*アフガン難民
原因
1978 年から現在まで断続的に発生している紛争5
主な移動先
(⑤
保護
2002 年から UNHCR によって 350 万人のアフガン難民が本国へ帰還
その他
国内情勢の改善が急務とされる
パキスタン、イラン
)
*イラク難民
原因
湾岸戦争、イラク戦争、宗教対立6などによる国内紛争・自爆テロ
主な移動先
(⑥
保護
毎年約 10 万人の難民申請を UNHCR が支援
その他
政権安定、インフラ整備が望まれる
シリア
)
、ヨルダン、レバノン、エジプト
*スーダン難民
原因
スーダン内戦7、ダルフール紛争8
主な移動先
チャド、ウガンダ、エチオピア
保護
UNHCR の援助により 10 万人以上の難民が帰還
その他
ダルフール紛争解決が帰還者の安定した生活には不可欠
第 33 条「難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させ
てはいけない。
」
5 ソ連軍による侵攻やタリバン政権下での米軍・NATO との紛争、これらに伴う内紛など
6 イスラム教シーア派とスンナ派の対立など
7 2005 年まで 20 年以上続いた北部のイスラム政権と南部のキリスト教系反政府勢力の争い
8 スーダン西部のダルフール地方でのアラブ系遊牧民と黒人系農民の衝突
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4、今後の課題
*(⑦
国内避難民
)
(Internally Displaced Persons: IDPs)
生活を脅かされ避難しているものの、国境を越えられていないため、難民として保
護が受けられない状態の人々。
<問題点>
・「難民」として条約の適用などが受けられず、国際社会で保護されない。
・国境を超えていないため、国際的な保護が内政干渉となりかねない。
・そもそも定義が定まっていない。
→国際社会で保護する準備がまだまだ整っていない。
<注目される理由>
・
「将来の難民」の発生を防ぐため。
・難民より発生数が多い。
(2009 年 UNHCR が保護する IDPsは約 1500 万人)
*ギャップ問題
難民発生直後の緊急的な援助を終えたあと、難民が帰還し安全な生活を送るために
その後の復興支援への移行が円滑に進められる必要がある。緊急的援助→長期的支援への
移行を切れ目(ギャップ)なく行うにはどのようにするか、が問題となっている。
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<<参考文献・WEB>>
*春名 美由貴「国内避難民の国際的保護」2009年 神戸研前期 BG
→私が新メンの時の前期会議の BG。今後の課題で挙げた「国内避難民」に焦点をあて
た会議でした。
*本間 浩「難民問題とは何か」1990年 岩波書店
→難民の発生の歴史や難民条約成立までの流れ、条約の意義、各国における難民保護
政策など、難民問題の基礎を知るにはとてもよい一冊。文章も読みやすいので、少し古い
本ではありますが、お勧めです。
*ジェームス・C・ハサウェイ「難民の地位に関する法」2008年 現代人文社
→難民条約のところで参照しました。内容は・・難しかった・・。著者は国際難民法
の研究者のようです。特に難民条約の法的意義?に興味のあるかたはどうぞ。
*緒方 貞子「私の仕事」2002年 草思社
→前 UNHCR 弁務官の緒方貞子さんの本です。自身がさまざまな事例で難民救助に奔
走した話が書かれています。難民救助の現場を知るのによい一冊。
*UNHCR Japan http://www.unhcr.or.jp/html/index.html
→難民の現状についてここを参照しました。そのほかにもさまざまなデータが数値で
グラフ化されています。フォトギャラリーなどもあるので、一度のぞいてみてもいいかも
しれません。
*外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/nanmin.html
→難民に対して日本がどのような対応をしてきたのかが主に書かれていますが、難民
問題の概要を掴むにはわかりやすいです。データが古いのがちょっと・・・・。
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