「新型インフルエンザ等対策」とは

「新型インフルエンザ等対策」とは
○ 日本の「新型インフルエンザ対策」は、感染症の危機管理法として、平成25年4月
に新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、「特措法」という。)が施行された
ことを受け、「新型インフルエンザ等対策」となった。
○ 法律用語である「新型インフルエンザ等」、「新型インフルエンザ等感染症」、「新
型インフルエンザ」の違いを理解する。
政府行動計画・ガイドラインでは
「新型インフルエンザ」
と記載されている
新型インフルエンザ
(感染症法第6条第7項第1号)
新型インフルエンザ等感染症
新型インフルエンザ等
(感染症法第6条第7項)
再興型インフルエンザ
(感染症法第6条第7項第2号)
(特措法第2条第1号)
新感染症
⇒全国的かつ急速なまん延のおそれのあるものに限定
(特措法第2条第1項第1号において限定)
(感染症法第6条第9項)
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(出典)新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する都道府県担当者会議
(平成25年2月20日)資料3「中間とりまとめ」参考資料
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H25.4.13
H25.6.7
H25.6.26
(出典)新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する都道府県担当者会議
(平成25年2月20日)資料3「中間とりまとめ」参考資料
3
新型インフルエンザ等対策について
<H23年行動計画改訂>
○ 病原性・感染力の程度等に応じ、柔軟に実施すべき対策を決定できるよう変更さ
れた。
○ 行動計画の5つの段階のうち、「感染拡大期」、「まん延期」、「回復期」に小分類さ
れていた「第三段階」が、小分類のない「国内感染期」に統一された。
○ 地域での発生状況に応じ、柔軟に対応できるよう、地域(都道府県)レベルで「発
生段階」を定めるように変更された。
○ 「発熱外来」から「帰国者・接触者外来」への名称変更がなされた。
<H25年政府行動計画策定>
○ 行動計画は、法に基づく政府行動計画となった。
○ 「新型インフルエンザ」に加え、全国的かつ急速なまん延のおそれのある「新感染
症」も対象となった。
○ 予防接種に関して、「特定接種」、「住民に対する予防接種」といった新たな法的
枠組みが作られた。
○ 「臨時の医療施設」や「医療関係者に対する要請・指示、補償」が法律事項となっ
た。
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特措法の法体系について
○ 特措法の法体系としては以下のものがあるが、特措法は、感染症法等の他の法
令と相まって、新型インフルエンザ等対策の強化を図るものであり、特措法のみで、
新型インフルエンザ等対策の全体像が把握できるものではない。
○ 政府行動計画・ガイドラインを基本的に参照し、各対策の法的根拠を確認する際、
各法令の条文を参照する。
●法律
新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)
●政令
新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令(平成25年政令第122号)
●内閣総理大臣公示
新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令第三条第十九号に規定する指定公共機関を公示する件(平成
25年4月12日)
●厚生労働省令
新型インフルエンザ等対策特別措置法第六十四条の規定による医薬品等の譲渡等の特例の手続きに関する
省令(厚生労働省令第六十号)
●厚生労働省告示
新型インフルエンザ等対策特別措置法第五十六条第二項の規定により特定都道府県知事が行う埋葬又は火
葬の方法を定める告示
●通知
指定地方公共機関の指定に係る留意事項について(閣副大277号 平成25年5月20日)
(参考)内閣官房 新型インフルエンザ等対策ホームページ http://www.cas.go.jp/jp/influenza/
官報 平成25年4月12日 (号外特第10号)
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政府行動計画・ガイドライン・業務計画等について
○ 政府の新型インフルエンザ等対策は、新型インフルエンザ等対策政府行動計画・
ガイドラインにおいて示されている。
 新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成25年6月7日)
・「総論」と「各発生段階における対策」の2部構成
 新型インフルエンザ等対策ガイドライン(平成25年6月26日)
・政府行動計画を踏まえ、具体的な内容を記載したガイドラインが10本ある
○ 都道府県は特措法第7条の規定に基づき「都道府県行動計画」を、市町村は特
措法第8条の規定に基づき「市町村行動計画」を作成しなければならない。
○ 指定(地方)公共機関は、特措法第9条の規定に基づき、政府行動計画又は都
道府県行動計画に基づき、新型インフルエンザ等対策に関する業務計画を作成し
なければならない。
○ 特措法では、「医療の提供並びに国民生活及び国民経済の安定を確保するた
め」に、臨時に予防接種を行う特定接種制度を設けている。特定接種は事業者を
事前に厚生労働省に登録する制度であり、登録の要件の1つに事業継続計画
(business continuity plan: BCP)の策定が含まれており、特定接種の登録事業者と
なる医療機関においても、診療継続計画を作成する必要がある。
(参考)内閣官房 新型インフルエンザ等対策ホームページ http://www.cas.go.jp/jp/influenza/
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発生段階について
○ 発生段階は、「未発生期」 「海外発生期」 「国内発生早期」 「国内感染期」
「小康期」の5段階。
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医療体制について
○ 「海外発生期から地域発生早期」までは、「帰国者・接触者外来」におけ
る外来診療と「感染症指定医療機関等」における入院診療が原則となる。
○ 「地域感染期」においては、原則として一般の医療機関において、新型イ
ンフルエンザ等の診療を行う。
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患者数が大幅に増加した場合の医療体制について
○ 未発生期から、地域における医療連携体制の構築、各医療機関における診
療継続計画を作成しておく。
○ 事前の計画に基づき最大限の対応を行った上でも、医療施設が不足する場
合は、臨時の医療施設等による医療の提供を行う。
○
新型インフルエンザ等以外の医療体制の維持も重要である。
●病診連携・病病連携
未発生期から、都道府県並びに保健所を設置する市及び特別区(以下「都道府県等」)が、二次医療圏等の圏
域を単位として設置する、保健所を中心とし、地域医師会や地域の中核的医療機関等の関係者からなる対策会
議等を通じ、新型インフルエンザ等を想定した病診連携、病病連携を構築しておく。
●診療継続計画
各医療機関は、医療機関の特性や規模に応じた診療継続計画を作成しておく。
●診療体制
・地域感染期の外来診療については、軽症者はできる限り地域の中核病院以外の医療機関で診療する。
・入院診療については、中核的医療機関が優先的に入院患者を受け入れるなど、地域全体で医療体制の確保
に努める。
・がん医療、透析医療、産科医療等の新型インフルエンザ等以外の医療体制の維持にも努める。
・各医療機関は、当該医療機関の診療継続計画に基づき、待機可能な入院や手術を控えるなどの対応を行う。
また、電話診察による処方箋のファクシミリによる送付も検討する。
・これらの対応を最大限に行った上でも医療施設が不足する場合は、定員超過入院等を行うほか、臨時の医療
施設等において医療の提供を行う。
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特定接種について
○ 特措法において新たに規定された予防接種制度で、基本的に住民接種より
も先に開始される。
○
特定接種の対象となり得る事業者は、厚生労働省への登録が必要である。
●特定接種制度
医療従事者、国民生活及び国民経済の安定に寄与する事業を行う事業者のうちこれらの業務に従事する者、
新型インフルエンザ等対策の実施に携わる公務員等を対象に、基本的に住民接種よりも先に開始される。
特定接種の対象となり得る事業者は、厚生労働省への登録が必要で、速やかに特定接種ができるよう、登録
事業者自らが、接種体制の構築を図る必要がある。なお、登録事業者に対しては国が実施主体となり、被接種
者の費用負担はない(市町村職員に対しては市町村が実施主体となる)。
●医療分野の特定接種対象者
医療分野における特定接種の対象者には、大きく2つの類型(A‐1, A‐2)がある。
・「新型インフルエンザ等医療型(A‐1)」は、新型インフルエンザ等に関する医療の提供を行う病院、診療所等で、
新型インフルエンザ等医療の提供に従事する者が対象となる。
・「重大・緊急医療型(A‐2)」は、下表に示す医療機関において、生命・健康に重大・緊急の影響がある医療の提
供を行う業務に従事する有資格者が対象となっている。
・特定接種の登録手続きが開始された際には、各医療機関は、新型インフルエンザ等発生時の役割を踏まえ、
類型に応じて登録を行うこととなる。
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住民に対する予防接種について
○
○
緊急事態宣言の有無により、予防接種の法的な枠組みが異なる。
市町村を実施主体として、集団的接種を原則として実施する。
●住民に対する予防接種制度
緊急事態宣言が行われている場合については、特措法第46条に基づき、予防接種法第6条の規定(臨時の予
防接種)による予防接種を行う一方、緊急事態宣言が行われていない場合については、予防接種法第6条第3
項の規定に基づく接種(新臨時の予防接種)を行うこととなる。
●接種対象者・接種体制
・特定接種対象者以外の接種対象者については、
①医学的ハイリスク者、②小児、③成人・若年者、④高齢者の4群に分類され、
その接種順位については、発生時に基本的対処方針等諮問委員会に諮った上で、政府対策本部において決定
される。
・住民に対する予防接種については、市町村を実施主体として、原則として集団的接種により接種を実施するこ
ととなる。(国を実施主体とする任意の個別接種で実施された平成21年時とは、制度が大きく変更されている。)
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参考ホームページ
http://www.cas.go.jp/jp/influenza/
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