三協国際特許事務所 Q1 中国での公開・公告特許の件数や内容を調査するには、どのような方法 がありますか? A1 1.使用言語 まずは、特許(発明)の調査に使用できる言語について説明します。調査に使用す る事ができる言語として、中国語と英語があります。中国語では「3.検索項目」の 項にて説明する内容の調査が可能ですが、英語では要約、請求項1、書誌的事項に制 限されます。又、これら英文要約などの情報は、中国語の特許情報(公開公報、公告 公報)に比べ、約1年遅れとなっています。 これは、中国特許英文抄録(CD-ROM 又は DVD−ROM)発行に合せて、出願マス ターデータベースを基に、各出願の要約、請求項1、書誌的事項だけが英訳されるた めです。 そのため、本格的な調査が必要な場合は、使用言語は中国語のみと割り切った方が 適当です。 2.利用可能なツール・サービス 次に、特許調査として利用可能なツール・サービスについて説明します。日本で日 本出願した特許情報を調査する場合と同様に、1)中国特許庁(国家知識産権局)及 びその外郭団体が提供するツール・サービスと、2)民間企業が提供するサービスが あります。 1) 中国特許庁などが提供するツール・サービス ①中国特許公報(紙、CD-ROM)、②同公報をデータベース化した特許文献光デ ィスク、及び③WEB 上でのデータベースの3通りがあります。 毎週発行される公報に合せて、全ての情報源となる出願マスターデータベース が、中国特許庁に提出された出願書類(紙)から作成されます。同マスターは 電子データとしてテキストデータ(書誌的事項、要約、請求項1)と画像デー タ(公開時の表紙、特許請求の範囲、明細書、図面)から構成されています。 ①、③は原則として毎週水曜日に発行、更新されます。②は3ヶ月ごとに発行 されます。 2) 民間企業が提供するサービスを利用する場合 1 WEB 上での商用データベース、□ 2 民間企業によるデータベース検索の代行、 □ 3 英語系データベースの3通りがあります。 及び□ 1 は、各サービスとも上記マスターをそのまま利用している模様で、IPDL(日 □ 1/3 三協国際特許事務所 本特許庁 特許電子図書館)相当の簡単な検索サービスを提供するものが殆ど です。中国国内向けのため、全て中国語表示となっています。尚、日本の商用 データベースのように、検索結果を分析・加工できる機能をもつシステムも数 2 は②の CD-ROM などを利用している 種あります(2004 年 7 月 30 日現在) 。□ 3 は①又は②の英語版を利用している模様です。 企業が多く、□ 1 が適 日本に居たまま検索することを想定すると、検索対象が少ない場合は③又は□ 当で、対象が多い場合は、②と③の併用が必要です。これらのツール・サービスを使 いこなすには、中国語及びパソコン上での中国語の取扱い(文字処理、画像データ表 示用ソフトのインストール)の基本知識が必要です。 ③のサービスとしては、中国特許庁の検索サービス又は、その外郭団体である知識 産権出版社の無料検索サービスがあります。 中国特許庁 http://www.sipo.gov.cn/sipo/zljs/default.htm 知識産権出版社 http://211.157.104.86:8080/cnipr/index.htm 尚、中国特許庁はシステム上の制約から、同一ユーザーからの1日の検索出力数は 100頁に制限しています。又、中国現地の仕事時間帯(日本時間10:00∼18: 00)は検索速度が低下します。 その他、特殊な検索サービスとして、日本企業向けの中国特許専用検索ソフトを利 用したものがあります。これは①の CD-ROM 公報(中国語版)などを利用している 模様で、日⇄中機械翻訳ソフトを搭載している点が特徴です。 3.検索項目 出願マスターデータベースのテキストデータ部分が検索対象となります。一例とし て、中国特許庁の検索サービスで使用できる検索項目は次の通りです。 出願番号(又は特許番号) 、 発明名称、 要約、 出願日、 公開日(又は公告日) 、 公開番号(又は公告番号) 、 IPC 分類番号、 主分類、 出願人(又は特許権者)、 発明者(又は意匠創作者) 、 住所、 国際公開(番号、日、又は PCT 出願国)、 発行日、 特許事務所、 代理人、 優先権(第一国又は番号) 〔ホームページでの表示順〕 知識産権出版社の無料検索サービスでは、上記以外に請求項 1、分割する前の原出 願番号からの検索が可能です。英語による特許情報は、上述の通り中国語に比べて約 1 年遅れで、書誌的情報のみのものも多数あります。 中国では、電子出願が行われていないので、明細書全文からの検索はできません。 2/3 三協国際特許事務所 民間企業のデータベースも依然明細書検索には対応していません。 又、「専利」には、日本でいう特許(発明)以外に、実用新案(考案)、意匠も含ま れているため、 「専利」全体の検索では、実用新案及び意匠も対象となります。 検索漏れを減らすには、キーワードとして、同義語(異字語) 、類義語も対象とする 必要があります。同義語を調べるには知識産権出版社の同義語検索サービスが便利で す。 これ以外に、各 WEB 上のデータベースでは法律状態の検索もでき、審査請求、特 許、放棄、取下げの情報が分ります。但し、手続から 1∼2ヶ月のタイムラグがあり ます。 (2004 年 7 月 30 日 3/3 福山 記)
© Copyright 2024 Paperzz